やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

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134話

 

 

遊戯祭の最中に起きた海上テロ‥‥

 

日本が建造した海上プラントとアメリカのモスボール状態となっている海上要塞の二つが同じグループと思われるテロリストたちに占拠されてしまった。

 

ブルーマーメイド、そして横須賀女子海洋学校の校長である真雪は、テロリストたちは占拠したプラントと海上要塞をドッキングさせて半永久的な一大拠点を築き上げようとしていると推察し、日本政府もその見解に同感な様子だった。

 

当然、政府としてもブルーマーメイドとしてもこれを看過することは出来ず、直ちにプラントの奪還とプラントにてテロリストたちの手によって囚われている人質救出のための作戦が練られるも、横須賀に集結していたブルーマーメイドの艦艇は、廃棄フロートが港口に爆破・着底してしまい出撃不能の事態となる。

 

事件の規模とテロリストたちの目的から廃棄フロートを撤去するまで待つことは出来ない。

 

幸いなことに学生艦は沖合に停泊していたため、出撃が可能だったことから、教育者である真雪としては、使いたくない手段であったが、事件解決のために学生艦の出動を許可した。

 

また、宗谷家の次女である宗谷真冬が艦長を務めるべんてんは横須賀への到着が遅れ、港内に停泊していなかったので、出撃が可能であったため、今回の出撃に当たり、プラント奪還を目的に学生艦と共に出撃した。

 

シュテルともえかの立てた作戦の草案と多少異なる点があったが、尾張級を主力とした艦隊はプラント、そして海上要塞が移動している海域へと向かった。

 

そのべんてんのCICにて、真冬は現状の確認をしていた。

 

「現状は如何なっている?」

 

「現在、バルーンでプラントの偵察を行っております。そろそろ映像が入る筈です」

 

べんてんには福内も乗艦しており、真冬に現状を報告する。

 

プラントに着く前、べんてんからは無人飛行船が偵察のため、出撃しておりプラントの様子をリアルタイムでべんてんに伝えようとしていた。

 

やがて、無人飛行船からプラントの映像が映る。

 

「見えた!」

 

「現在、目標は本艦の260度、38マイル、8ノットで西南西へ移動中‥‥」

 

構造上、高速での移動は出来ないが、プラントは確実に海上要塞に向かって移動していた。

 

「よし!潜入部隊を高速艇で送り込み、人質と海賊の配置を確認!可能ならプラント内部の監視システムをジャックせよ!」

 

真冬は、人質とテロリストたちの配置を確認する為、プラントに潜入部隊を送り込むよう命じる。

 

政府からは、海上要塞の方は破壊許可が出ているが、プラントに関しては人命優先と通達が来ていた。

 

日本としても優秀な人材と完成したばかりのプラントを海の藻屑にはしたくなかった。

 

真冬たちにしてもプラント自体は兎も角、ブルーマーメイドとして人命優先は当然のことだった。

 

 

作戦開始時間が夜間になるため、戦闘前に腹ごしらえとして炊事委員が軽食を配る。

 

「はーむ、モグモグ‥‥ん?」

 

駿河の艦橋でスーは配られたおにぎりを食べていると、彼女は何かに気づき、犬みたいに鼻をヒクヒクさせて匂いを嗅ぐと、匂いの先を見る。

 

「ん?何を見ているの?」

 

スーの様子に気づいたもえかは彼女に声をかける。

 

すると、

 

「アッチ!スッゴク美味シソウ!」

 

スーは、何か美味しそうな匂いを嗅ぎ分けた様で、匂いの発生源を指さす。

 

一体彼女の鼻はどんな構造をしているのだろうか?

 

妹が鬼にされた炭焼き少年並みの嗅覚である。

 

スーが美味しそうな匂いがすると言う発生源は駿河の前方を航行する晴風だった。

 

「ミケちゃんの所?見えるの?」

 

「何カ、イイ匂イマデスル」

 

スー曰く、晴風から食事のいい匂いがすると言う。

 

確かにスーは、今日の昼ごはんを晴風の炊事委員である伊良子と杵崎姉妹が作った弁当を食べていたので、彼女らが作った食事の匂いは覚えているのかもしれないが、それでも晴風と駿河との距離は離れており、装甲板を挟んで食事の匂いを嗅ぎ分けたスーの嗅覚は凄い。

 

「ネェ!アッチニ移ッチャ駄目?」

 

スーはもえかに晴風に移乗して良いかを訊ねる。

 

「駄目です」

 

しかし、もえかはあっさりと却下する。

 

「えぇ~‥‥」

 

もえかに却下され、スーはがっかりするが、駿河に乗ったばかりの時と比べると多少は明るくなっている。

 

 

晴風でも同じく作戦前に夕食となり、クラスメイトたちは非直の者は食堂で食事をとっていた。

 

しかし、作戦中なので、片手で食べられる食事だった。

 

艦橋には明乃と真白の二人で真白が舵輪を握り、明乃が見張りをしていた。

 

そんな中

 

「宗谷さん、夜食です」

 

黒木が食事を持って艦橋にやってきた。

 

「ああ、ありがとう」

 

真白が黒木から食事が入ったランチボックスを受け取る。

 

すると黒木は、

 

「何か悩んでいるなら私に相談して‥‥」

 

真白の耳元で悩み事があるなら、自分が相談に乗ると囁く。

 

「あっ‥‥」

 

真白が何に対して悩んでいるのか、黒木は知らないが、真白が何か思い詰めているのではないかと昼間に校舎前でスーとのやり取りをこっそり見ていた黒木はそう思っていた。

 

実際に黒木の予感は的中しており、晴風クラスに残留するか比叡クラスに移籍するかを悩んでいた真白。

 

黒木に見抜かれ、真白は反射的に明乃へと視線を向ける。

 

「‥‥」

 

明乃も真白に視線を向ける。

 

互いに何だかバツ悪そうな表情をしている。

 

「今は目の前の作戦に集中します」

 

真白は現時点ではまだ、移籍か残留かの答えを出さずに目の前の作戦に集中すると告げる。

 

午前中の競技の際もクラス替えの問題に関して、悩んでいたせいで足を引っ張った経緯があった。

 

この作戦は競技と違い、相手は他校の生徒ではなく、プラントと海上要塞を占拠したテロリストたち‥‥

 

一時の気の迷いが、大怪我の元になりかねない。

 

「う、うん」

 

真白の言葉を聞いて明乃も頷く。

 

 

「はむっ、モグモグ‥‥」

 

ヒンデンブルクの艦橋でも作戦前の食事タイムとなっており、シュテルはホットドッグを食べながら、周囲の海を見渡している。

 

「静かな海だね」

 

クリスもシュテルと同じくホットドッグ片手に声をかける。

 

「うん‥‥この先でテロリストたちが待ち構えているなんて信じられないくらいだ‥‥」

 

もえかと作戦を練っていた時、テロリストたちは機雷や潜水艦でブルーマーメイドの妨害をしてくると思っていたが、テロリストたちはブルーマーメイドの妨害を廃棄フロートを使っての港口の閉塞と言う手段を用いてきた。

 

その事からテロリストたちは機雷や潜水艦までは用意していないのかもしれないが、油断は禁物である。

 

 

プラントへ偵察に出した無人飛行船から情報が入り、作戦会議を行うという事で状況を知る為、真霜ともえか、そしてもえかからの推薦でシュテルもべんてんへと赴くことになった。

 

「現在、プラントの内部状況は、保々完全に把握完了」

 

べんてんのCICのモニターにはプラントの地図が表示されている。

 

(プラントって聞いたから、海上油田の採掘プラントみたいな形を想像していたけど、結構奇抜な形状だな)

 

此処で初めてプラントの全体図を見たシュテルはプラントに対してそんな印象を抱いた。

 

「人質は全員、デッキの此処に‥‥」

 

真冬は人質が監禁されている居場所を指さす。

 

「見張りは?」

 

続いて真霜がテロリストたちの展開状況を訊ねる。

 

「人質の見張りは常に三人。まだ交代のタイミング自体は分かりません」

 

(その辺は、ちゃんと集団行動をしているのか‥‥)

 

占拠し、人質が居るからと言って油断せずにテロリストたちは集団行動をとっている。

 

「他の海賊は?」

 

「管制室に十二名、上層部にも見張りが六名。それ以外は食堂に集まっている模様です」

 

(食堂に居るのは休憩中なのか?)

 

(ただ、上層部の見張りが少ない気もするが‥‥)

 

テロリストたちの展開具合を見て巡回行動については評価するも、展開具合については疑問に思うシュテル。

 

「人質がいなければ、突っ込んで、ドカーンって、行くのになぁ‥‥」

 

真冬は人質が居なければプラントに対して遠慮なく突撃するか攻撃して鎮圧するつもりだったみたいだ。

 

なお、彼女のリアクションにより、マントが翻り隣に立っていた福内にマントが被さり、福内はもがいている。

 

しかし、真冬本人は気づいていない。

 

(あぁ~あぁ~もう~)

 

見かねたシュテルがマントを除去する。

 

「あ、ありがとう」

 

「いえ、いえ。ただ、真冬さん」

 

「ん?」

 

「人質の救出を最優先としても日本政府の本音はきっとプラントも無傷で奪還してもらいたいはずですよ」

 

「でしょうね‥‥でも、人質の救出をするにあたって、テロリストたちに見つからずに行動をするのは難しいでしょうけど、母さ‥校長からも人質救出を最優先と指示が出ているわ。でも、人質さえ救出すれば‥‥手加減する必要‥ないでしょう?」

 

真霜は、真雪から人質救出を最優先と指示が出ているが、人質さえ救出すれば後は、手加減する必要はない。

 

それはつまり、テロリストたちをボコボコにしようが、射殺しようが、好きにせよと言っている。

 

真霜の顔は笑みを浮かべているが、物凄く怖い。

 

スーや明乃‥妹である真白さえも今の真霜を見たら背筋に寒いモノを感じるだろう。

 

「うっ‥‥」

 

「ひぃっ‥‥」

 

現に妹である真冬と福内はドン引きしている。

 

(やっぱり、この人も魔王属性だ‥‥)

 

シュテルの場合、母校のミーナ教官に鍛えられているので、大して何も感じなかったが、前世では魔王と認定していた人物と同じ声を持つ真霜のことを同じ魔王系の人物だと認定した。

 

「プラントに傷がついてもそれはいわゆる、コラテラルダメージというものに過ぎないわ。事件解決のための致し方ない犠牲だけど、人質の生命だけは何としてでも守り抜かないと‥‥」

 

「貴女たちは何かプランがあるかしら?」

 

真霜は次にもえかとシュテルに何か作戦案はあるかと訊ねる。

 

「‥‥そうですね。此処まで情報が把握できているなら、このまま監視装置に欺瞞情報を流して、その間に人質を救出でしょうか?」

 

もえかは、モニターを見てプラントの内部情報が把握できているなら、監視装置に欺瞞情報を流して、その間に人質を救出しようと言う案を出す。

 

「大体、正解ね」

 

「ですが、注意点として、連中の動きがまだ完全に把握されていないことがネックですね‥‥見張りの交代のタイミングがつかめない事、管制室に居る連中の中で電子機器の取り扱いに精通している奴がいると、例え欺瞞情報を流してもそれが欺瞞だと気づかれてしまう可能性もあります」

 

「そうね、人質と合流し、外に連れ出す時間はそれなりにかかるのであれば、迅速な制圧が必要になるわね」

 

「人質を救助する突入隊の目を海賊から逸らすには大きな陽動をする必要がありますね」

 

「それに関しては、一つ手があります。ただ、そのためにはシュペーの協力も必要になりますが‥‥」

 

陽動に関してシュテルがある作戦を真霜に提案する。

 

「では、シュペーの艦長と連絡をとってちょうだい」

 

「はい」

 

真霜にそう促され、シュテルはテアに連絡をとる。

 

「あっ、もしもし、テア?ちょっと、頼みたいことがあって‥‥そう‥‥夜間発艦になるけど‥‥ああ、あと念のため、後部座席には射撃の上手いクラスメイトを乗せて‥‥うん‥‥そう‥‥ありがとう」

 

シュテルは作戦内容をテアに説明し、テアからの許可をとりつけた。

 

「大丈夫です。シュペーとの協力も得られました」

 

「では、この作戦で行きましょう」

 

真霜はプラント奪還作戦の概要を横須賀女子に居る真雪に報告をした。

 

 

「作戦は以上です。この方法なら、先ず間違いなく人質に危害が及ぶ事はありません」

 

真霜は横須賀女子に居る真雪にべんてんで立てたプラント奪還作戦の内容を報告する。

 

報告を受けた真雪は、作戦内容を海上安全整備局に説明する。

 

「確率は?」

 

作戦内容を聞いた海上安全整備局は作戦の成功確率を問う。

 

「95%‥‥」

 

真雪は信じているのか、作戦の成功確率は95%と言う高確率で成功すると断言する。

 

「残りの5%は、べんてん乗員が暴走する可能性ですが、宗谷真霜が抑えてくれるでしょう」

 

失敗確率の5%は真冬たち、べんてんの乗員が暴走する可能性だと言うが、それも真霜が居るので大丈夫だと言う。

 

つまり、作戦の成功確率は100%だと遠回しに報告した。

 

「真霜君か‥‥確かに彼女なら手綱を引き受けるだろう。よろしい、作戦を承認する。プラントが我が国の管轄海域外に出るまでに必ず作戦を必ず完遂せよ」

 

真雪からの説明を聞いて海上安全整備局は作戦を承認した。

 

「了解しました」

 

作戦は承認され、プラントが日本の管轄海域外に出るまでに作戦を必ず完了しなければならなかった。

 

日本の領海内であれば、どんなに派手なドンパチをしても、『日本の領海内での出来事だ』と主張することが出来、外国からの干渉を防ぐことが出来る。

 

 

「本部から作戦決行の指示が来ました」

 

統合作戦本部と海上安全整備局から作戦決行の許可が下りた。

 

「よーし、腕が鳴るぜ!」

 

作戦実行の許可が出て真冬は、腕が鳴ると言って、腕をゴキゴキと鳴らしながらやる気を見せる。

 

「姉ちゃん!作戦の指示を!!」

 

真冬は真霜に作戦指示を仰ぐが、

 

「此方の指揮官は貴方でしょう?」

 

プラント奪還の指揮官は真冬なので、真霜がそう言い返すと、

 

「あっ、そうか」

 

真冬は、自分が指揮官と言うのを自覚していなかった。

 

「大丈夫かな?」

 

真冬の気合が空回りしなければ良いと願うシュテルだった。

 

「私たちは、学生艦隊に戻って、大至急、要塞に向かうわ。今のままなら0600に管轄海域に侵入する筈‥その瞬間に攻撃を開始するわ」

 

「「了解」」

 

べんてんで作戦会議が行われている頃、晴風は明石からある物を受領していた。

 

「何、あのおっきいの?」

 

「普通の倍ぐらいあるよね!?」

 

明石から晴風に受領されたモノは大型の魚雷で、その大きさは通常の魚雷よりもデカい。

 

ヒンデンブルクに搭載されている墳進弾と同じくらいあるのではないかと言う大きさだ。

 

「フッフッフッ‥‥私の秘蔵コレクションだ」

 

受領された魚雷は明石艦長である珊瑚のコレクションみたいだ。

 

‥‥なんとも、物騒なコレクションだ。

 

「おー!あれは幻の36インチ(91.44センチ)魚雷っスね!初めて見たっスよ!」

 

同人制作の知識から得たのか明石から受領された魚雷がなんなのかを青木は嬉々として説明する。

 

『36インチ!?』

 

36インチと聞いて、松永と姫路は驚愕する。

 

水雷クラスに在籍している二人もまさか、この世に36インチの魚雷が存在しているなんて思ってもいなかったみたいだ。

 

「そう、試験的に開発されたけど無駄に威力が大き過ぎて、使い道が無くなった」

 

珊瑚曰く、威力が高すぎる為に開発が中止となり、残存する魚雷は処分されることもなくどこかの倉庫に埃をかぶっていた所を珊瑚が引き取ってコレクションしていたのだ。

 

「これなら要塞にも効くのかなぁ?」

 

威力が高い魚雷ならば要塞相手にも通じるのではないかと松永は予測する。

 

「普通に正面から撃っただけなら多分効果はない」

 

しかし、いくら威力が強くても命中箇所によっては無効になるみたいだった。

 

「それじゃあ積む意味ないんじゃない?」

 

姫路はそんな魚雷を無理矢理装備する必要はないのではないかと言う。

 

確かに余計なモノを積んで艦を重くする必要はない筈だ。

 

「きっと貴女方の艦長なら面白い使い道を考えてくれる筈。他のも含めて、レポート楽しみにしている」

 

しかし、珊瑚は明乃ならばきっと、この魚雷を奇想天外な方法で使用するだろうと予測し、後日一体どんな使用方法をしたのか報告書を楽しみにしていると言う。

 

『ええぇぇぇぇー!?』

 

珊瑚の発言に驚く三人だった。

 

 

シュペーの艦橋と煙突の間の甲板では、シュテルがテアに頼んだメーヴェが準備されていた。

 

「まさか、夏休みに講習を受けてからすぐにコレ(メーヴェ)を使用する機会が来るなんてな‥‥」

 

「はい、しかも夜間発艦と言う少々困難な発艦になりますね」

 

テアとミーナは準備をしているメーヴェを見ながら話している。

 

「シュテルの頼み‥本来ならば、私が答えたいところだったのだがな‥‥」

 

テアは自身がメーヴェに搭乗したかったが、テアはシュペーの艦長と言う責任ある立場‥‥

 

そう簡単に艦を離れる訳にはいかない。

 

「大丈夫です。艦長とシュペーの名を知らしめるため、ワシが役目を果たしてみせます!!」

 

ミーナはグッとガッツポーズをとる。

 

この時のミーナの服装はいつものヴィルヘルムスハーフェン校の士官制服ではなく、飛行服を身に纏っていた。

 

彼女はテアの代わりにメーヴェの搭乗を志願していたのだ。

 

「しかし、レターナ、お主はいいのか?主はシュペーの航海長だろう?」

 

ミーナは視線を逸らし、レターナに声をかける。

 

「ん?大丈夫、大丈夫、ウチの航海科は優秀だからね!」

 

レターナもミーナ同様、制服ではなく飛行服を身に纏っていた。

 

シュテルがメーヴェの発艦依頼をした時、一人ではなく念のため、射撃が得意なクラスメイトも乗せてくれと頼んでいた。

 

「だが、レターナ、お前射撃の腕は大丈夫なのか?」

 

ミーナはレターナの射撃の腕を心配する。

 

「ふん、バカにするなよ、ミーナ。この一年、撃って、撃って撃ちまくった私の射撃の腕をすぐ傍で見て、驚くがいい!!」

 

ミーナの心配をよそにレターナは自信満々な様子だった。

 

 

やがて全艦補給が完了し、

 

「全艦、補給完了!出撃準備完了です!」

 

もえかは、海上要塞とプラント奪還に向かう学生艦が補給を終えた事を真霜に報告する。

 

「よろしい。それでは、要塞に向かいます」

 

報告を聞いた真霜は、海上要塞に向けて出撃命令を出す。

 

一方で、べんてん、シュペー、比叡を始めとする金剛型はプラント奪還の為に‥‥

 

尾張級の戦艦とヒンデンブルク、晴風、天津風、時津風は海上要塞へと向かう。

 

シュテルは艦橋のウィングに出てシュペーに向かって手を振る。

 

テアもそれに気づき、帽子を振った。

 

ミーナも晴風に向けて手を振り、晴風の艦橋では納沙が手を振っていた。

 

 

海上要塞へと向かった艦隊を見送ったべんてんでは、

 

「フッ、潜入作戦開始!我らの行けぬ海はなし!素早く!そして確実に!徹底的にやれ!」

 

真冬が潜入部隊に檄を飛ばす。

 

『ウッス!』

 

潜入隊はウェットスーツを着て、テロリスト鎮圧のためのテーザーガンのエネルギー容量を確認し、安全装置をいれてホルスターに入れる。

 

そして、準備ができた潜入隊は水中スクーターでプラントに向けて出撃する。

 

テロリストたちも水中からの侵入は計算外‥‥と言うか、プラント自体が動いているので海中まで注意が向いていなかった。

 

シュテルともえかの予想に反して潜水艦または潜水艇がなかったことが、勝敗をきめていたのかもしれない。

 

潜入隊はプラントの海底部にあるハッチを開け、プラント内部へと侵入。

 

先頭の隊員がバラストタンク室の安全を確認し、後続のメンバーに合図を送る。

 

侵入した隊員たちはバラストタンク室にて背負っていた防水バックを開け、水中ゴーグルを外し、酸素ボンベを下ろすと、ウェットスーツ姿から戦闘服姿になり、その上に防弾チョッキ、ヘルメット、手袋、ブーツを装備して人質の救助へと向かう。

 

潜入隊の状況はべんてんのCICのモニターで逐次、確認できるようになっている。

 

潜入隊は慎重かつ迅速に人質がいる貨物室へと向かっていた。

 

地下階層に一人、見張りが居るのを確認し、エレベーターで上に上がるように指示を出すと、一人がエレベーターに乗り込み、残りは階段で上がっていく。

 

見張りが居る地下のエントランスではエレベーターの到着音が鳴る。

 

交代や人員が追加される連絡は来ておらず、見張りのテロリストは何事かとエレベーターへと近づく。

 

扉が開いたエレベーターに注意が向いている隙に階段で上がってきた隊員が銃で見張りのテロリストを撃ち、上の階へと向かう。

 

次の階では見張りの数は三人に増えている。

 

ファイバースコープで見張りの位置と人数を確認する潜入隊。

 

その間にもう一人がプラントのメインコンピューターにハッキングし、監視カメラの映像をリンクする。

 

「同期しました」

 

べんてんのCICにはプラントの監視カメラの映像も送られてくる。

 

そして、べんてんはプラントのメインコンピューターに欺瞞映像を流し、潜入隊の姿が消えた映像がプラントの管制室には流されることになる。

 

「Hun?(ん?)」

 

「What's wrong? (どうした?)」

 

プラントの管制室では監視カメラの映像を確認していたテロリストの一人が地下の映像に一瞬ノイズが入ったのを見逃さなかった。

 

映像を切り替える際、僅かに電波障害があったのだろう。

 

「there was static (今ノイズが)」

 

「switch the cameras (カメラを切り替えてみろ)」

 

テロリストのリーダーが念のため、他の地区の監視カメラの映像に切り替えてみると、異常はない。

 

「all clear (異常なしか)」

 

しかし、この映像はべんてんから送られている欺瞞映像だとテロリストたちは気づいていない。

 

「send come men to the hostage area in case(一応、人質区画に人を送れ)」

 

「aye aye (了解)」

 

海賊達が欺瞞映像に騙されているうちに潜入隊は物陰から飛び出し、見張りのテロリスト三人をテーザーガンで同時に仕留めた。

 

人質が居る区画にテロリストの増員が来る前に潜入隊は人質たちが居る倉庫に辿り着いた。

 

扉を開けるとそこには大勢の技術者、研究者たちがすし詰め状態で閉じ込められていた。

 

「あなた方は?」

 

「ブルーマーメイドです。救助に来ました」

 

自分たちの救助に来たブルーマーメイド隊員の姿を見て、安堵の表情を浮かべる人質たち。

 

「さあ、急いで時間がありません」

 

大人数で移動すればテロリストたちに気づかれる恐れがある。

 

潜入隊は、急いで人質にされていたプラント関係者たちを舷側搬入口へと誘導する。

 

こうして作戦の第一段階である人質の確保は成功した。

 

あとは、彼らを連れてプラントから脱出するだけであった。

 

 

べんてんの艦橋では真冬が神妙な面持ちで前方の海を見ている。

 

「予定時間です」

 

「よし!作戦開始!!」

 

攻撃予定時間になり、真冬は攻撃を開始するよう命じた。

 

いよいよ、本格的なプラント奪還作戦が開始されたのだった。

 

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