やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

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今回でプラントは無事に奪還です。

残りは海上要塞のみ‥‥

映画版も残り2話ぐらいで終わらせたいです。


135話

 

横須賀女子で行われている遊戯祭の最中に起きた二つの海上テロ事件‥‥

 

日本が建造した海上プラントとアメリカのモスボールの海上要塞‥‥

 

この二つの海上施設を占拠したテロリストたちは、プラントと海上要塞の二つをドッキングさせて半永久的な海上要塞を建造し、自分たちの根城として使用するつもりだった。

 

日本政府、ブルーマーメイドはこの事態を看過させず、テロリストたちの捕縛とプラントの奪還、同プラントにてテロリストたちの手によって人質となっている技術者・研究者たちの救助作戦を実行した。

 

事件鎮圧の為に横須賀から出撃した学生艦を中心とした混成艦隊はプラント奪還組と海上要塞討伐組の二つに分かれての二正面作戦となる。

 

最初に動いたのは横須賀から距離が近かったプラント奪還組の方だった。

 

プラントの奪還には真冬が艦長を務めるべんてんの乗員たち‥本職のブルーマーメイド隊員たちで、彼女たちは海中からプラントへと侵入し、見張りのテロリストたちを倒し、プラントの管制室に欺瞞映像を流し、テロリストたちの目を欺き、なんとか人質が監禁されている倉庫へとたどり着き、人質を救助した。

 

あとは、人質をプラントから脱出させるだけで、人質をプラントから無事に救出すれば、遠慮なくドンパチしてテロリストたちを叩きのめすことが出来る。

 

べんてんの艦橋では、真冬が神妙な面持ちで腕時計を見ている。

 

「予定時間です」

 

「よし!作戦開始!!」

 

攻撃予定時間になり、真冬は攻撃命令を下す。

 

テロリストたちが自分たちに目を奪われている間に潜入部隊が救出した人質たちをプラントから脱出させるのだ。

 

べんてんはシュペーら学生艦に攻撃命令を発光信号にて、通達する。

 

「作戦開始の指示です!」

 

シュペーのウィングにある双眼鏡でべんてんからの攻撃命令を確認するローザ。

 

「よろしい、メーヴェ発艦始め!」

 

シュペーの後部甲板では、沢山のライトで少しでも発艦しやすいように明るく照らされる。

 

「メーヴェ発艦始め!」

 

「うむ‥いくぞ、レターナ」

 

「あいよ」

 

メーヴェの操縦席に座るミーナは飛行ゴーグルを目に装備し、発艦プロセスに入る。

 

やがて、メーヴェの機体後部にあるプロペラが勢いよく回転し始めると、メーヴェはふわりと浮き、シュペーを離れる。

 

「メーヴェ、発艦しました」

 

ローザの報告を受け、テアが空を見上げると空気を裂きながら、プラントへと向かうメーヴェの姿があった。

 

「‥頼むぞ、副長‥‥こちらもプラントへと向かう!砲撃戦用意!!」

 

「ハッ、砲撃戦用意!総員、戦闘配置につけ!」

 

「砲撃戦用意完了!」

 

「ファイエル!」

 

砲撃準備が整うとシュペー、比叡、榛名、霧島はプラントに向けて一斉に砲撃をする。

 

もちろん、プラント自体に被害が及ばないように至近距離で着弾するように距離測定はちゃんとしていた。

 

「うぉっ!?」

 

「うわっ!?」

 

四隻の学生艦からの至近距離への砲弾でプラント周辺にはいくつもの水柱が立ち上り、プラントを激しく揺さぶる。

 

いきなりの衝撃で床に倒れるテロリストも居た。

 

「what`s going on?(何事だ?)」

 

「we`re under attack! (砲撃です!)」

 

「show me! (出せ!)」

 

リーダーが映像を外部映像に切り替えると、プラントに向けて砲塔を向けている学生艦の姿がある。

 

「are they abandoning the hostages!? (人質を見殺しにする気か!?)」

 

日本人は基本的に誘拐や立て籠もり事件等で人質を取られた場合、強硬手段に取ることは少なく、粘り強い交渉を行い、解決しようとしてくる。

 

しかし、日本政府は自分たちに交渉を持ちかけることなく、学生艦を使用してプラントに砲撃を加えてきた。

 

まぁ、こちらが日本政府に対して何の要求もしていないので、日本政府とのチャンネルがない事も一つの要因であるが、人質を見捨てるかのようにプラントに対して砲撃してきたことを鑑みても日本政府は本気なのかもしれないとこの時、リーダーはそんな予感がした。

 

「we`re going to counterattack! (反撃するぞ!)」

 

だからといってこのままむざむざとやられる訳にはいかない。

 

海上要塞まで辿り着くことが出来れば自分たちの勝ちなのだ。

 

このまま何としてでも逃げ切ってみせる。

 

プラントの外部に出たテロリストたちは小銃を構える。

 

海上要塞は不明であるが、プラントは最初から武装目的の海上施設ではないので、武装はされていない。

 

テロリストたちもプラントに大砲等の対艦用の武器を備えていない。

 

その為、プラントに居るテロリストたちは自前で持ち込んだ小銃や拳銃、手榴弾くらいでしか反撃の手立てをもっていなかった。

 

その直後、空から探照灯が照射される。

 

ミーナが操縦するメーヴェがプラント上空に到着し、外に居たテロリストたちを照らしたのだ。

 

そして、海上にも無人の小型ボートが探照灯で下からプラントを照らしている。

 

「I wonder what that is? (あれはなんだ?)」

 

「How should I know!? (知るか!?)」

 

メーヴェはまだドイツで少数生産されたばかりの自走気球だったので、テロリストたちもメーヴェの存在は知らず、しどろもどろしている。

 

「Shoot at the rabbit! (兎に角撃て!)」

 

テロリストたちはメーヴェと無人小型ボートに対して小銃で応戦してくる。

 

海上のボートに対しては上からの銃撃で優位な立ち位置であるが、上空のメーヴェに対しては不利みたいで、なかなか当たらない。

 

「ミーナ、奴ら撃ってきたぞ!」

 

「ああ、分かっとる」

 

任侠映画で聴き慣れた銃声に、白兵戦演習で使用している模擬弾と違い、当たれば死ぬかもしれない本物の銃の銃声は自然とミーナに緊張感を与えてくる。

 

「久しぶりに味わうスリルだ!!ミーナ!!」

 

「ドジるんじゃないぞ、レターナ!!」

 

ミーナは敵の銃弾がガスタンクに当たらないように必死に操縦する。

 

「こっちだって、このまま黙っちゃいないぞ!‥‥くらえ!!」

 

レターナはスコープ付きのKar98kを取り出し、テロリストたちに狙いを定め、狙撃していく。

 

勿論銃に装填されているのは、実弾ではなく模擬弾である。

 

例え、模擬弾でも当たり所によれば相手を失神させるくらいの威力はあった。

 

 

プラントの一角で盛大なドンパチが行われている間に潜入部隊は無事に人質を内火艇に収容し、べんてんに帰還する。

 

「全人質、収容完了!」

 

「よし!殴り込みだ!!」

 

人質を無事に救助出来たと福内からの報告を聞いて、真冬もプラントに殴り込みを命じ、べんてんはプラントに向け進撃する。

 

真霜が言ったように人質を救助できればテロリストに対して遠慮することはない。

 

 

「人質全て救助完了、べんてんがプラントへ進撃していきます」

 

「ならば、こちらは引き続きべんてん突入の援護に入る。主砲斉射!」

 

べんてんからの情報を聞き、テアは引き続き援護射撃をプラントに加える。

 

テロリストたちはメーヴェと学生艦に完全に目を奪われ、反対側にべんてんが接舷した事に気づいていない。

 

やはり、仲間の人数が少なかったのが仇になったようだ。

 

完全武装した突入部隊の中に何故か普段と同じ黒いブルーマーメイドの制服に黒マントを羽織った真冬の姿があった。

 

べんてんが接舷したプラントの搬入口には先程人質を救助した潜入部隊の一部がプラントに残っていた。

 

彼女らは真冬たち突入隊の道案内役として残っていたのだ。

 

「よし、続け!」

 

『ウッス!』

 

真冬は先陣をきって、プラントに突入していく。

 

防弾チョッキもヘルメットも着用せずに、銃で武装しているテロリストたちが待つプラントに突入していく真冬の姿に危険を指摘する者はおらず、おそらく普段から真冬はこのスタイルでテロリストや海賊を相手にしているのかもしれない。

 

しかし、この行為は大変危険であり、今までが大丈夫だったから、今回も大丈夫‥なんて保証はどこにもない。

 

いずれ、誰かがその危険性を指摘しなければ、真冬はいつか大怪我か殉職するかもしれない。

 

 

プラントに突入した真冬たちはプラントの機能を奪取するために管制室を目指す。

 

『うおっ!』

 

エレベーターから増援に来たテロリストたちは扉が開いた瞬間に飛びこんできた真冬に奇襲された。

 

後から真冬を追って来た突入隊の隊員たちは、エレベーターが何階に上がっているのかを確認し、急いで隣の階段を上がる。

 

やがて、エレベーターが五階に止まり、エレベーターの扉が開く。

 

「あっ‥‥」

 

遅れて五階に到着した突入隊の隊員たちが見たのは、エレベーター内で伸びているテロリストたちの姿でその内一人は顔をエレベーターの扉に挟まれながら伸びていた。

 

その光景を見た隊員たちは『ご愁傷様』と言った様子で真冬の後を追いかけた。

 

最後尾の隊員は手を合わせて合掌するくらい、真冬にボコボコにされたテロリストに対して同情してしまうくらいだった‥‥

 

植物栽培室に見張りで立っていたテロリストは物音に気づき、銃を構える。

 

すると、反対側から真冬が飛び出してきて自分に向かって走ってくる。

 

彼はあわてて真冬に向けて銃を撃つが、真冬はジグザグに動きながら銃弾を躱し、時には棚に足をかけ、棚から棚へと跳び移りながらテロリストを翻弄させて相手との距離を詰めていく。

 

「ぐわっ!?」

 

そして、棚の支柱をつかみ遠心力をつけた蹴りをテロリストの後頭部にいれる。

 

遠心蹴りをくらったテロリストは最初に真冬がやってきた方向へと飛ばされ壁に激突し、そのまま一発KOとなる。

 

やがて、真冬の後を追ってきた突入隊も合流するが、彼女らは先程真冬が倒したテロリストを踏んづけて真冬と合流した。

 

「管制室は上です」

 

「よし続け!」

 

真冬は管制室を目指すが、

 

「艦長!こっち‥‥」

 

アドレナリンが分泌され興奮しているのか、制止する隊員の言葉を聞かずに反対方向へと行ってしまう。

 

『あっ‥‥』

 

真冬の猪突猛進な行動に呆れながらも放っておくわけにもいかず、

 

「潜入部隊だけ続け!!」

 

管制室の奪取は突入部隊にまかせ、自分たち潜入部隊は真冬の後を追った。

 

 

「what`s the situation? (状況はどうなっている?)」

 

プラントの管制室では、ようやくブルーマーメイドが内部に侵入している事態に気づき、状況確認がなされているが、人数が少数のため、未だに正確な情報が入ってこない。

 

彼らは既に人質が救出されていることも知らなかった。

 

「stop intruders at the plant! (プラント区画で侵入者を食い止めろ!)」

 

テロリストは何とかプラント区画で食い止め様とするが、

 

ギィ~‥‥

 

「ん!?」

 

リーダーは管制室の左扉が僅かに開いたのを見て確認しようとすると、

 

ドサッ

 

左扉からは仲間の一人が倒れ込んできた。

 

「ぬぉっ!?」

 

倒れ込んできた仲間に一瞬気を取られた時、反対の右扉からは銃を構えたブルーマーメイドの隊員たちがなだれ込んできた。

 

更には仲間を倒したと思われるブルーマーメイド隊員たちが左からも突入してくる。

 

次々になだれ込んでくるブルーマーメイド隊員たちの前にテロリストたちは次々と銃を捨て両手を上げて投降する。

 

残るはリーダーただ一人となるが、彼は未だに投降の意思を見せずに銃を構え左右のブルーマーメイド隊員たちを牽制する。

 

すると、管制室とは別方向に向かった真冬が、外から管制室の様子を見ると、

 

「とうっ!」

 

管制室目掛けてジャンプする。

 

「でやぁ!!」

 

そして、管制室の窓を突き破り、管制室内部に入ってきた。

 

「くっ‥‥」

 

リーダーは飛び込んできた真冬に銃撃をくわえる。

 

しかし真冬の姿は、彼女が羽織っていたマントで覆い隠される。

 

小銃の連射を受けた真冬のマントはたちまち引き裂かれるが、そこに真冬本人の姿はなく、

 

真冬の姿は、管制室の天井にあり、反動をつけ、勢いよくリーダーの喉元にクロスチョップを食らわせる。

 

上から勢いがついた真冬のクロスチョップをくらい、リーダーは吹き飛ばされ、その衝撃で手にしていた銃を落としてしまう。

 

真冬はその隙を見逃さず、リーダーが落とした小銃を拾うと、銃床でリーダーを殴りつける。

 

銃床で殴られ、リーダーは地べたを這いながら真冬から逃げ様とするが、

 

「根性ある奴が一人も‥根性!」

 

リーダーは真冬に捕まってしまい、今度は右手で鼻フックをかけられる。

 

「あ‥あ‥‥あが‥‥」

 

更には、左手で首を絞められた状態になり、

 

「へへっ」

 

真冬は不気味な笑いを浮かべると、

 

「くぁwせdrftgyふじこlp~!!!!」

 

リーダーの声にならない悲鳴がプラント中に響いた。

 

 

‥‥その光景をシュペーの艦橋から見ていたテアは唖然としながら、

 

「あれは子供には見せられんな‥‥」

 

真冬の手によってボコボコにされたテロリストのリーダーに同情するかのように呟いた。

 

「はぁ‥‥」

 

(艦長、一体何を見たんだろう?)

 

テアの後ろに控えていたローザはテアが一体何を見たのか少し気になった。

 

「ローザ、副長のメーヴェに帰還命令を通達」

 

「了解」

 

こうして、人質を全員無傷で救出し、プラントをテロリストの手から無事に奪還することが出来たが、真冬がリーダーから離れた時、彼は最後の力を振り絞ってベルトについている機械のボタンを押した。

 

ベルトについていた機械は何かの信号をどこかに送っていた‥‥

 

 

 

 

一方、海上要塞へと向かっている混成艦隊では‥‥

 

「では、艦長。行ってまいります」

 

ヒンデンブルクの艦橋では、飛行服に着替えたクリスとメイリンがシュテルに敬礼していた。

 

ヒンデンブルクのメーヴェには先行偵察をしてもらう為だった。

 

「うん。要塞には一応、武器は無いと言われているけど、十分に気をつけて」

 

「はい。困難な夜間発艦ですけど、何とかして見せます」

 

「メーヴェには先行偵察の他に引き続き、例の作戦を実行してもらいますが、準備の方は?」

 

「そちらも大丈夫です」

 

「‥‥では、作戦開始!!武運を」

 

シュテルがクリスとメイリンに返礼し、二人はメーヴェが用意されている後部甲板へとむかった。

 

後部甲板では、シュペー同様、甲板にライトを向けて、少しでもメーヴェを発艦しやすくする。

 

「準備はいい?メイリン」

 

「はい、大丈夫です」

 

クリスは後部座席に居るメイリンに声をかける。

 

後部座席にはメイリンの他に何かが入った袋もあった。

 

「メーヴェ、発艦準備完了!!」

 

ガス袋、機体に異常が無い事を確認し、発艦準備が整い、

 

「発艦!!」

 

プロペラの轟音を立てながら、メーヴェはヒンデンブルクから離れていく。

 

 

尾張 艦橋

 

「な、なんね!?あのけったいなモンは!?」

 

ヒンデンブルクから発艦したメーヴェを見て、能村は思わず声をあげる。

 

「ドイツで新開発された自走式気球だって、横須賀女子にドイツからの留学生が来ているから、その縁で横須賀女子にも何機か搬入されたみたいよ」

 

宮里はメーヴェの正体を能村に教える。

 

 

近江 艦橋

 

「へぇ~アレが、ドイツの最新の自走式気球かぁ~‥‥いいなぁ~アレ、うちの艦に欲しいくらいだ!」

 

阿部はメーヴェを見て、自艦にも欲しいとキラキラした目で夜空を飛んでいるメーヴェを見ている。

 

「亜澄社長、無理言わないでください。横須賀女子でも少数しか納入されていない最新の気球なんですから~」

 

河野は無理だと呆れながら言う。

 

 

三河 艦橋

 

「おぉー!!凄いな!?空をビュー!!って飛んでいるぞ!!」

 

阿部同様、千葉もメーヴェを見て、興奮したように声をあげている。

 

「あらあら、千葉さんったら子供みたいにはしゃいじゃって‥‥かわいいわ~」

 

野際はまるで母親のような表情で千葉を見ていた。

 

 

ヒンデンブルクから発艦したメーヴェは一路、艦隊が目指す相手、海上要塞を探す。

 

「見つけた!!海洋要塞だ!!」

 

メーヴェを操縦しながら、クリスは夜の海を航行する海上要塞を視認する。

 

「メイリン、旗艦に海上要塞の針路と艦隊までの距離を通達!!」

 

「了解!!」

 

メイリンは旗艦である駿河に海上要塞の現在位置、艦隊までの距離、そして海上要塞が航行している針路を無線で知らせる。

 

 

駿河 艦橋

 

「先行偵察に出たヒンデンブルク所属のメーヴェより入電!!要塞の針路、速力は、依然として変化なし!」

 

「射程内まで、あと十分です」

 

「予定通りなら、そろそろ内部に突入した頃ね」

 

真霜が懐中時計で時間を確認し、プラント奪還に動いている真冬たちの戦況を予測する。

 

真霜の元にはプラント奪還の報告はまだ届いていなかった。

 

「全艦に攻撃準備をさせますか?」

 

「ええ、要塞側に情報が伝わる前につまりプラント制圧後‥の直後に初弾発砲します」

 

「了解しました。再確認しますが、本艦がドイツのヒンデンブルクや他の上級生も指揮下に置くので問題ありませんね?」

 

「ええ、それは既に通達済みよ」

 

 

「ユーリ、そろそろ戦闘海域だ。主砲と副砲に砲弾を装填しておいて」

 

「了解。第一から第四主砲、砲弾装填。弾種、対艦用徹甲弾」

 

ユーリは主砲制御室に砲弾装填を指示する。

 

「第一から第四主砲、砲弾装填。弾種、対艦用徹甲弾」

 

砲術制御室ではユーリからの指令を復唱し、砲弾の装填作業を行い、ヒンデンブルクの第一から第四主砲には対艦用徹甲弾が装填された。

 

「続いて、第一、第三、第五副砲に砲弾装填。弾種、徹甲榴弾」

 

「了解、第一、第三、第五副砲へ砲弾装填。弾種、徹甲榴弾」

 

主砲に続き、副砲にも砲弾が装填される。

 

ヒンデンブルクが海上要塞との戦闘に備え砲弾を装填しているように各尾張級の戦艦も主砲に砲弾を装填し始めた。

 

そんな中、

 

「ん?ノイズ‥‥?」

 

晴風の通信室では、八木が何かの通信を傍受した。

 

しかし、通信は電文ではなくノイズだった。

 

電波障害が起こるような海域ではなく、Rat事件の際にもあのRatが電子機器を不調にするノイズを発していた事から気になった八木は解析を始めた。

 

「要塞って見える?」

 

その頃、晴風の射撃指揮所では、武田が測距儀を覗いている小笠原に目標とする海上要塞が視認出来るかを訊ねる。

 

「全然。水平線の向こうだもん」

 

小笠原はまだ海上要塞は見えないと答える。

 

「えーっ、それってどのくらい?」

 

日置が小笠原の言う水平線の向こうとは具体的にどれくらいの距離なのか正確な距離を訊ねる。

 

「現在の位置関係は、大体、フルマラソンの距離くらいかな?」

 

小笠原は現在位置から海上要塞までの距離をフルマラソンの距離に例える。

 

「42.195km?」

 

「それって横須賀から横浜より遠いんじゃない?」

 

「多分、品川の向こう」

 

「晴風の主砲は、水平線のちょい先までしか届かないのに‥‥」

 

流石に駆逐艦である晴風の主砲は四十キロ以上先には届かない。

 

「大和級は其処まで届くんでしょう?バキュンだね」

 

「でも、その肝心の大和級が港口で閉塞されちゃったからね」

 

「でも、四十センチ砲でもそれなりの威力だし、大丈夫でしょう」

 

三人は例え大和級の四十六センチ砲ではなく、尾張級、ヒンデンブルクの四十センチ砲でも十分な威力があると水平線を見ながら話していた。

 

それからしばらくして‥‥

 

「艦長!プラント制圧完了の報告です」

 

べんてんから人質を全員救出し、プラントに居たテロリストたちを制圧、無事にプラントを奪還した報告が混成艦隊に齎される。

 

「作戦の第一段階は無事に終了か‥‥」

 

ヒンデンブルクの艦橋にもプラント奪還の知らせは届き、シュテルは作戦の一つは終わったと呟く。

 

「ええ、今度はこちらの番ですね」

 

レヴィが舵を握りながら言う。

 

「ああ‥‥戦闘用意!!第一から第四主砲砲撃用意!!」

 

四隻の尾張級、そしてヒンデンブルクの主砲が旋回し始める。

 

「遠距離‥‥」

 

「くぅ~!見えない位置からの超長距離射撃、あれぞ大型艦の夢だね!!」

 

戦艦だからこそ出来る遠距離からの砲撃。

 

砲撃準備をしている戦艦群を見て興奮する立石と西崎だった。

 

ただ遠距離へ砲弾を飛ばすことが出来ても当たらなければ意味がない。

 

もちろんレーダー射撃と言う手もあるが精密射撃だと、やはり弾着観測が必要になる。

 

その弾着観測は、クリスが操縦するメーヴェがこなしており、通信員として搭乗したメイリンが混成艦隊へとリアルタイムで海上要塞との距離を通信で送っていた。

 

「攻撃始め!」

 

真霜が攻撃命令を下す。

 

「ヒンデンブルク及び尾張型全艦にて、統制射撃を行う!」

 

「了解!旗艦駿河よりヒンデンブルク及び尾張型各艦に通達。要塞に対して統制射撃を行う」

 

『了解!旗艦の諸元にて攻撃を行う!』

 

「砲術長、目標要塞。位置はヒンデンブルク所属のメーヴェからのデータを使用。交互打方!」

 

もえかは遠距離砲撃に伴い、メーヴェから送られてきた諸元データを元に照準を元に交互打方を指示する。

 

「了解‥射撃用意よし!」

 

ヒンデンブルク及び尾張級の四艦は、メーヴェからのデータを元に海上要塞に照準を合わせる。

 

「各艦に通達。駿河。攻撃準備完了!」

 

「ヒンデンブルク射撃用意良し!」

 

「尾張、攻撃準備完了」

 

「三河、射撃用意完了」

 

「近江、攻撃用意良し」

 

戦艦群の主砲が攻撃準備完了し、

 

「打ち方始め!」

 

もえかが射撃命令を出すと、物凄い轟音と共に戦艦群は海上要塞に向けて主砲弾を一斉射した。

 

「次弾装填!装薬装填急げ!」

 

この一斉射であの海上要塞を仕留め切れるとはとても思えず、ユーリは主砲に次の弾を込めるように指示を出す。

 

去年、ダートマス校とヴィルヘルムスハーフェン校との交流試合にて、ダートマス校のブリジットがビスマルクの主砲の装填速度と射撃速度に苦戦させられたように大砲技術に関しては日本よりもドイツに一日の長があり、四隻の尾張級に比べ、ヒンデンブルクの装填速度は早かった。

 

「メーヴェより入電。初弾全弾近!」

 

「流石に初弾命中は難しいだら」

 

下手な鉄砲も数撃ちゃ当たると言う言葉があるように五隻の戦艦からの砲撃ならば一発ぐらいは当たるかと思いきや、どの砲弾も海上要塞の至近距離だったようで命中弾はなく、初弾が外れた事に能村は悔しがる。

 

「メーヴェより続報。目標は、此方の発砲直後に約5度、外方変針。旧針路のままであれば、初弾は莢叉」

 

海上要塞の方でも当然、五隻の戦艦が接近すればレーダーで探知することが出来、遠距離射撃が可能となった距離に近づいた時、針路をずらした様だ。

 

もし、要塞が針路をずらさずに進んでいたら莢叉する計算になっていた。

 

「変針しなければ初弾莢叉ですか?」

 

「ふうん、中々、駿河の艦長は大した腕の持ち主みたいね!」

 

「どえらいもんだねえ!」

 

もえかの命中計算に驚く宮里と能村だった。

 

五隻の戦艦はメーヴェからの修正諸元データを元に再び要塞に向け第二次一斉射を行う。

 

プラントが奪還されたことにより、もうプラントとドッキングされることはないだろうが、あのまま海上要塞を放置する訳にもいかない。

 

もう一つの作戦の方はまだ開始されたばかりであった‥‥

 




劇場版名探偵コナンではコナン君が人間離れした動きを見せますが、ハイスクールフリート劇場版本編でもプラント奪還の際、真冬は管制室下の通路からジャンプで管制室の窓を蹴破って入りましたが、映像から見てもかなりの高さをジャンプしたように見えましたね。

銃撃されている時もマントを囮に管制室の天井までジャンプしていますが、それもかなりの高さに思えました。


各海洋学校に校章のエンブレムがあるので、シュテルが通うキール海洋学校のエンブレムも作ってみました。


【挿絵表示】


ヴィルヘルムスハーフェン海洋学校のエンブレムが月夜にハープを引く人魚で、キール海洋学校はUボートクラスもあるので、群狼戦術と架空の動物をかけて三日月に人狼にしていました。


校章のエンブレムの他に各学生艦にも所属を示すエンブレムもあるので、ヒンデンブルクのエンブレムも作りました。


【挿絵表示】


呉の大和がシロナガスクジラ 横須賀の武蔵がザトウクジラかナガスクジラ 舞鶴の信濃がイッカク 佐世保の紀伊がマッコウクジラ 晴風がカモメ 天津風がトンビ 明石がタコ 間宮が国旗を意識した弁当でしたので、ヒンデンブルクは鯱にしてみました。
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