やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

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次回で長かった劇場版も終了です。


136話

海上で起きた二つの海上テロ事件‥‥

 

その内、プラントを占拠したテロリストたちはべんてんの艦長、宗谷真冬らの活躍により鎮圧され、プラント内に囚われていた人質たちは無事に救助され、テロリストたちは全員捕縛された。

 

残るは同じテログループが占拠したアメリカの海上要塞のみとなる。

 

戦艦を中心とする宗谷真霜を司令官とする混成艦隊は海上要塞へ遠距離での主砲一斉射をかけるが、海上要塞もレーダーで混成艦隊の存在を探知すると針路をずらし、主砲弾の直撃を躱した。

 

戦艦部隊からの一斉射は晴風でも見えていた。

 

巨艦からの主砲の一斉射はまさに怪物の咆哮のような迫力がある。

 

しかし、晴風は安全圏にいたので、着弾の確認は出来ない。

 

「安全圏にいたら弾着は見えないか~」

 

「残念」

 

トリガーハッピーである西崎と立石は着弾の瞬間を肉眼で確認できないことに残念がる。

 

「此処は安全圏内だから、私は安心!安心!」

 

残念がる立石と西崎とはうらはらに鈴は敵弾も味方の流れ弾もこない安全な海域にいる事に物凄く安堵する。

 

 

駿河 艦橋

 

「距離を詰めた方が良いかしら?」

 

真霜は命中弾を与えるにはもう少し距離を縮めた方がいいかと提案するが、

 

「大丈夫です」

 

もえかはこの距離でも当てられると確信があるのか時計を見る。

 

「弾着!」

 

もえかの予想‥‥と言うより、もえかの計算通り、砲弾は海上要塞のゲートに見事に命中した。

 

「メーヴェより入電、目標のゲートに命中!」

 

命中弾の報告を受け、もえかは真霜に微笑む。

 

「やるわね」

 

真霜はもえかの計算能力を褒める。

 

「突入艦隊に連絡」

 

そして、真霜は要塞鎮圧のため、待機していたホワイトドルフィン艦隊に海上要塞への突入を命じる。

 

後は、ホワイトドルフィン艦隊が要塞内部に突入できればプラント同様、このテロ事件は解決するだろう。

 

しかし、シュテルには一抹の不安があった。

 

ヒンデンブルク 艦橋

 

「要塞のゲートに命中弾。ホワイトドルフィン艦隊進撃していきます」

 

「‥‥通信長」

 

「はい」

 

「ホワイトドルフィン艦隊に通信。『要塞に武装の可能性あり、注意されたし』と‥‥」

 

「了解」

 

シュテルは進撃するホワイトドルフィン艦隊に対して、海上要塞がテロリストたちの手によって再武装化されている可能性を指摘した。

 

「ユーリ、主砲にはまだ主砲弾を装填しておいて」

 

「ん?わ、わかった」

 

シュテルは海上要塞が自分の予測通り、テロリストたちの手によって再武装化されていたら、この戦いはまだ続くと思い、主砲には弾を装填させた。

 

シュテルが一抹の不安を抱いているのと同じく、晴風の通信室では八木が先程捉えた謎のノイズの解析を行っていた。

 

「あっ‥‥」

 

そして、ようやく解析が終わると急いで艦橋に知らせる。

 

「艦長!プラント陥落直後にごく短時間だけど不審な電波探知!」

 

「ブルマー関連じゃなくて?」

 

当初は、プラント陥落後に送られた電波なので、ブルーマーメイドが真霜にプラント陥落の連絡を行ったモノだと思ったが、

 

「周波数が違います」

 

不審な電波はブルーマーメイドが使用している周波数ではない電波なので、八木はこの電波はブルーマーメイドが発した電波ではないと断言出来た。

 

「旗艦へ報告!」

 

明乃はこの事実を急いで真霜へと伝える。

 

その間にもホワイトドルフィン艦隊は海上要塞に接近して行く。

 

 

駿河 艦橋

 

「ホワイトドルフィンが突入を開始しました」

 

「晴風から入電!プラント陥落直後、内容不明の不審電波ありとの事、ヒンデンブルクもホワイトドルフィン艦隊へ警告の通信を送っています」

 

晴風からの不審電波傍受の報告が入り、ヒンデンブルクがホワイトドルフィン艦隊に警告文を発している。

 

「えっ?」

 

やがて、シュテルが予測した通り、沈黙していた海上要塞がホワイトドルフィン艦隊に対して牙を向けようとしていた。

 

ヒンデンブルクからの警告文はホワイトドルフィン艦隊に受信される。

 

「艦長、ドイツのヒンデンブルクより入電、『要塞に武装の可能性あり、注意されたし』と‥‥」

 

「要塞が武装化されている?バカな、そんな情報、海上安全整備局からは聞いていないぞ」

 

「いかがいたしましょうか?」

 

「無視しろ、確たる確証もない情報に耳を傾ける暇はない。突入隊の準備は出来ているのだろうな?」

 

「はい、各艦とも準備は出来ています」

 

「よし、この要塞はなんとしてでも我々の手で落とすぞ!!」

 

プラントの方をブルーマーメイドの真冬が奪還したことで、ホワイトドルフィン側としては、この海上要塞を落とし、面目を保とうとしていた。

 

その為、ホワイトドルフィン艦隊はシュテルからの警告文も無視して、アメリカから齎された情報をそのまま送った海上安全整備局からの情報を信じた。

 

しかし、この決断を後々後悔することになる。

 

ホワイトドルフィン艦隊が海上要塞に近づいていくと、要塞のゲート上部から砲身の様なものが現れ、突入してくるホワイトドルフィン艦隊に向けて砲撃をしてきた。

 

「要塞から砲撃!」

 

「な、なにっ!?」

 

シュテルの予想通り、海上要塞は武装化されていた。

 

テロリストたちが大砲を持ち込んだのか?

 

それともアメリカが提示した情報が間違いだったか、非武装であると欺瞞情報を日本に伝えたかのどれかだろう。

 

予想だにしない海上要塞からの砲撃でホワイトドルフィン艦隊は、大混乱となる。

 

「面舵一杯!」

 

混乱状態になりながらもホワイトドルフィン艦隊は要塞の内部に侵入してしまえば、砲撃に晒されることはないので、ひたすらゲートを目指す。

 

「安全整備局へ連絡!要塞は稼動状態にあり、本艦は要塞へ突入を行う!」

 

「了解!要塞へ突入します!」

 

海上安全整備局へ現状を報告した後、要塞への突入を敢行するホワイトドルフィン艦隊であったが、またしても予想外な事態に遭遇する。

 

「ゲート入り口、推定幅十四メートル、高さ二十五メートル!」

 

「この艦での突入は不可能です!」

 

破壊したゲートの破孔では、ホワイトドルフィン艦隊の艦艇では大きすぎて要塞内部には入れなかった。

 

戦艦部隊に再び砲撃を要請し、ゲートを完全に破壊してもらうにしても自分たちはあまりにも要塞に接近しすぎた。

 

このままこの海域にとどまっていては味方の砲撃と要塞からの砲撃で全滅してしまう。

 

この時点で、ホワイトドルフィン艦隊の要塞への突入制圧は既に破綻していた。

 

「何ですって!?要塞から砲撃?」

 

ホワイトドルフィン艦隊からの情報はすぐに横須賀女子の真雪の下にも知らされた。

 

「武装は破壊したって、アメリカは言っていたわよね?」

 

「事前情報ではそうでしたが‥‥」

 

事前情報では、アメリカは確かにモスボール状態なので、海上要塞は非武装状態にあると日本政府に通達されていた。

 

真雪たちもその情報を信じ、テロリストたちはプラントをドッキングさせた後に要塞も武装化するモノだと思っていた。

 

「学生たちを行かせるんじゃなかったわ‥‥」

 

要塞が武装化されていると知っていたら教育者として学生たちを戦場になんて送らなかった。

 

(この件は、外務省を通じてアメリカに抗議すべき案件ね)

 

真雪はこの一件が終わったら、外務省を通じてアメリカにクレームを入れてやると意気込んだ。

 

「作戦が失敗しただと?」

 

真雪の下に現状の報告が来たように海上安全整備局にも要塞が武装化されていた情報は届いており、海上安全整備局側は真雪に作戦が失敗したのではないかと訊ねてきた。

 

「まだ失敗ではありません」

 

しかし、真雪は作戦が失敗し、終わった訳ではないと返答する。

 

「要塞の武装が生きていて、内部に突入できなければ如何やって止めるんだ?」

 

そんな真雪の意見に海上安全整備局側はこの先、どんな作戦を取るのかと回答を求める。

 

「戦艦による砲撃で‥‥」

 

真雪は内部への突入が不可能であるならば、砲撃で要塞を破壊する案を唱える。

 

だが、海上安全整備局は、

 

「直ぐ近くに内部に入れる艦が有るんじゃないか?」

 

ホワイトドルフィン艦隊の艦艇が内部に入れないのであれば、ホワイトドルフィン艦隊の艦艇よりも小型の艦で要塞内部へ侵入できるのではないかと訊ねる。

 

「それは学生の艦の事ですか?」

 

確かに海上安全整備局の言うホワイトドルフィン艦隊の艦艇よりも小型の艦と言えば、随伴している晴風を始めとする陽炎型駆逐艦ぐらいだ。

 

「私は特に何も言っていない」

 

海上安全整備局はホワイトドルフィンの代わりにこの陽炎型駆逐艦を内部に突入させてはどうかと遠回しで言ってきたのだ。

 

そして、学生艦を要塞内部突入させるかは真雪の判断に任せると言った様子で通信をきった。

 

「はぁ~‥‥」

 

真雪は深いため息を吐き、あくまでも戦艦による砲撃で要塞を仕留めるように通達をした。

 

海上要塞が武装化されており、思わぬ反撃を受けているホワイトドルフィン艦隊を見て、真霜は驚愕するが、シュテルは予想の範囲内だったので、冷静に状況を見つめていた。

 

 

 

ヒンデンブルク 艦橋

 

 

「通信長」

 

「はい」

 

「メーヴェに打電、『例の策を実行し、ホワイトドルフィン艦隊の撤退を援護せよ』と‥‥」

 

「了解」

 

シュテルはこのままではホワイトドルフィン艦隊は要塞内部に突入出来ないので、撤退するしかないが、その撤退する間もホワイトドルフィン艦隊は要塞からの砲撃に晒されることになるので、メーヴェに対してホワイトドルフィン艦隊の撤退を援護するように通信を送らせる。

 

 

「副長、ヒンデンブルクから、『例の策を実行し、ホワイトドルフィン艦隊の撤退を援護せよ』と、通信です」

 

「了解、ちょっと針路をずれて風上に機首を向けるわ。メイリン、準備は?」

 

「出来ています」

 

メイリンは後部座席に乗っていた大きな布袋を抱いて答える。

 

 

「レーダーに異常発生」

 

「はじまったな‥‥」

 

ヒンデンブルクのレーダー画面がまるで雲がかかったかのようにホワイトアウトしていく。

 

しかし、これはレーダーが故障したわけでもなく、あのRatが艦内に存在している訳でもなく、シュテルがメーヴェに指示した策が発動したのだ。

 

 

「袋の口を調節して‥慌てずゆっくり、量を調節しながら、アルミ箔を風に乗せる‥っと‥‥」

 

メイリンは後部座席から周囲にアルミ箔をばら撒く。

 

このアルミ箔の乱反射で要塞と混成艦隊のレーダーを共に一時的ながらも使用不能とし、この隙にホワイトドルフィン艦隊には撤退してもらった。

 

 

駿河 艦橋

 

「最悪ね‥‥」

 

要塞のまさかの武装化、ホワイトドルフィン艦隊の撤退、真雪からの要塞への全面攻撃命令。

 

プラントの奪還と比べ、事態は最悪な状態なのだと真霜は痛感する。

 

「距離を詰めます」

 

もえかは距離を詰めて要塞に対して砲撃を行うことを提案する。

 

「向こうも撃ってくるわよ」

 

「メーヴェが敵のレーダーを一時的に使用不能にしてくれました。その間にできるだけ砲弾を叩き込みます」

 

互いにレーダーが使用不能となっているのであれば、今の内に距離を詰めて、砲弾を叩き込み、要塞の武装、機関を破壊できれば御の字である。

 

それに距離測定に関してはレーダーが使用不可でも混成艦隊側はメーヴェと言う空からの目があるので、テロリスト側よりは幾分有利である。

 

もえかは海上要塞への集中砲撃を命じる。

 

 

晴風 艦橋

 

「‥‥だ、そうです」

 

真雪からは戦艦による艦砲射撃により、要塞を無力化する命令が混成艦隊に通達され、晴風も当然その情報を受信した。

 

「現在の要塞の位置と予想針路は?」

 

真白が納沙に海上要塞の位置と予想針路を問う。

 

「此方です」

 

納沙が海上要塞についての詳細が書かれているタブレットを真白に見せる。

 

「不味いな‥六時間以内に到達可能な距離に、幅十四メートル以下の艦はありません!」

 

「それって‥‥」

 

「ホワイトドルフィンもブルーマーメイドもどちらもです」

 

ブルーマーメイドは未だに横須賀の港口に閉塞されたままで、現状のホワイトドルフィン艦隊の艦艇では、なんとか命中弾を当てて破壊したゲートからでは突入は不可能。

 

学生艦である戦艦は論外‥‥

 

「今のままだと五時間でプラントに合流‥そうなった場合、再び奪い返されると思います」

 

砲撃を続けていれば、もしかしたら要塞を止める事も出来るかもしれないが、もしそれが出来なかった場合、折角奪い返したプラントを再びテロリストたちに奪われてしまう可能性もある。

 

「プラント、逃げちゃえば良いのに‥‥」

 

海上要塞の目的がプラントの強奪ならば、その目標であるプラントがどこかに逃げてくれれば時間は稼げるのかもしれないが、

 

「何所に逃げても、要塞の速度なら追いつかれますよ」

 

「えぇ~‥‥」

 

艦艇ほどの速力が出なくとも民間海上施設とモスボール状態だったとはいえ、軍事海上施設‥速力差は海上要塞の方が上であり、真冬が今頃この事態を聞いてプラントを移動させている頃だろうが、それでも速力の差は埋められない。

 

折角奪還したプラントをテロリストに再び奪われるくらいなら、奪われないようにシュペーを始めとする金剛型戦艦の艦砲射撃で破壊した方がマシなのかもしれないが、日本政府からはプラントの破棄及び破壊命令は下されていないので、現状プラントは無駄だと分かりながらも退避行動とし、要塞は破壊せよとの命令が続行中なのだ。

 

「囮だったのかな‥‥?武装が使える状態で、もし要塞が東京湾に入ったら‥‥」

 

明乃はプラントのドッキングさえあくまでも囮であり、テロリストたちの真の目的が武装された海上要塞による東京湾からの東京攻撃が真の目的なのではないかと推測する。

 

それならば、テロリストたちが日本政府に対して何の要求もしてこなかった事にも頷ける。

 

目的は金ではなく、東京の壊滅と政府機能のマヒ‥‥

 

「そうなったら首都圏は火の海です!」

 

「今、湾内にあの要塞を止められる艦はありません。此処で‥我々で止めるしか‥‥」

 

納沙は最悪の事態を想定し、真白は現状、確実に要塞を止め、テロリストたちの野望を止めるにはこの海域で要塞を仕留めるしか方法が無い。

 

だが、如何やって止めるのか?

 

安全策と言えば、真雪の命令通り、戦艦部隊の艦砲射撃しかないが、それでも確実性がない。

 

確実なのはやはり、要塞の内部に入り、動力源を破壊するしかない。

 

「この晴風なら中に入れる」

 

明乃は海上安全整備局の役人が遠回しに真雪へ言ったように晴風の大きさならば、破壊されたゲートからでも侵入できると気づく。

 

「確かに最大幅は10.8mですが‥正気ですか?」

 

晴風の大きさならば確かに破壊されたゲートに入り込むことは出来る。

 

しかし、そのゲートに近づくには要塞の攻撃にさらされる。

 

もし、命中すれば旧海軍の駆逐艦サイズしかない晴風なんて一撃で木端微塵になる。

 

そんなリスクのある行動に真白は明乃に対して本当にやるのかを問う。

 

「分かんない‥でも、私たちがやれるなら‥‥」

 

「‥はぁ~‥‥艦長なら、そう言うと思っていました」

 

約半年ながらも明乃の性格は理解しているつもりだったので、明乃であるならば、きっと晴風による要塞内部への突入を言ってくるだろうと予測していた真白。

 

「シロちゃん!」

 

「五分待ってください。作戦を検討します」

 

真白は急ぎ晴風突入の作戦案を練り始める。

 

その間も戦艦部隊は海上要塞へ砲撃を加える。

 

距離が縮まっていることで、要塞に多数の命中弾を出すも、決定打は与えられず、要塞は未だに動いている。

 

「これ程の攻撃でも駄目か?」

 

「こうなれば、スキッパー部隊の突入を進言します」

 

ホワイトドルフィン艦隊の旗艦の艦橋では進展の無い現状に焦りが漂い、危険ながらもスキッパー隊の要塞内部への突入を海上安全整備局へ求めるべきなのではないかと言う意見も出た。

 

確かにスキッパー隊ならば、十分に破孔からの侵入はたやすいが、危険度はかなり高い。

 

だが、何の進展もないなか、ただ時間を無駄に潰すより危険を冒してでも要塞を何とか止めなければならない。

 

「そうだな‥要塞砲の次弾装填までは三十秒‥それを使えば‥‥よろしい!ぎりぎりまで接近させろ!」

 

「了解!」

 

ホワイトドルフィン艦隊はスキッパー隊の要塞突入を決意し、再び要塞に接近する。

 

しかし、レーダー射撃が不可能な中、要塞に立て籠もるテロリストたちは必中距離に接近してきたホワイトドルフィン艦隊への攻撃を苛烈させる。

 

ホワイトドルフィン艦隊には被弾する艦も出始める。

 

「全速退避!」

 

海上要塞からの容赦ない砲撃に、ホワイトドルフィン艦隊は再び転舵し、撤退行動に入る。

 

「これでは接近もできん!」

 

ホワイトドルフィン艦隊の艦艇ですら、これ以上の要塞への接近は危険なのだ。

 

艦艇よりも小さいスキッパー隊では要塞に辿り着く前に敵弾に命中弾を受けなくとも至近弾で生じた波で転覆する。

 

 

「まずいなぁ~‥‥チャフの効果もそろそろ切れるかも‥‥」

 

空から弾着観測をしていたクリスはアルミ箔が海に落ち始めている事を確認する。

 

アルミ箔が全て海に落ちれば、要塞のレーダー機能も回復し、戦艦部隊へのレーダー射撃が可能となる。

 

そうなると、時間と言う制限がある混成艦隊側が不利になる。

 

そんな中、真白が要塞突入の作戦案を練り終え、駿河へと上申する。

 

「晴風が作戦計画を上甲してきたわ」

 

「ミケちゃんが?」

 

「ええ、晴風で突入して、動力部を破壊するって」

 

「あっ‥‥なら、打つ手は一つですね」

 

晴風からの上申を受けたもえかはある作戦を思い付く。

 

「何をする気?」

 

「簡単です。我々が撃って、撃って、撃ちまくって、その間に晴風を中に突入させます」

 

もえかの作戦はシンプルに戦艦部隊が囮役となり、その隙に晴風を要塞内部に突入させると言うのだ。

 

「ホワイトドルフィン艦隊でも近づけなかったのに?」

 

真霜の言う通り、学生ではなく本職のホワイトドルフィン艦隊が出来なかった事を今度は、晴風一隻で行おうと言うのだ。

 

「私とミケちゃんなら大丈夫です」

 

「‥‥」

 

「‥‥」

 

もえかには晴風を要塞内部に突入させる絶対の自信があるみたいだ。

 

しばしの間、真霜ともえかの目が見つめ合う。

 

もえかの言動に対して真霜は、

 

「はぁ~‥貴女も一度言い出したら、引き下がらないタイプなのね。仕方ないわ‥確かに政府からも、学生を使ってでも止めろと命令が来ているの。だけど私としては、安全を十分に考慮して、作戦を立ててほしい」

 

もえかの作戦を採用する。

 

日本政府は真雪を通さず現地指揮官の真霜に直接学生艦を使ってでも要塞を止めろと命令をしてきた。

 

真雪を通しての命令を通達すれば、あの真雪の事だ、何が何でも学生艦を使用して出の要塞突入を却下していただろう。

 

その真雪を通さずに直接真霜に命令をしてきたという事は、政府としての本音は、学生艦に乗る学生が、何人死傷しようが、政府としては関係なく、いかなる犠牲が出ても要塞を何とかしろ、ただし、学生が死傷した際の責任ついては政府は一切関係なく指揮官である真雪と真霜の二人が責任をとれ‥‥そんな言葉が見え隠れしているように思える。

 

ただ、現状膠着状態に近いこの状況下‥しかも晴風から要塞突入の上申が来て、さらにもえかにも晴風を要塞内部に突入させる自信があるみたいだったので、晴風の安全を優先として作戦を許可したのだ。

 

「分かっています。後は要塞の中を‥‥」

 

要塞への突入に関しては自信があるが、流石に要塞の内部構造に詳しい情報が欲しい所だった。

 

もえかの『要塞の中』と言う単語を聞きつけたスーが、

 

「ソレ、私、シッテイル!!」

 

要塞の内部構造を知っていると言う。

 

「はぁ~‥そうだったわね」

 

元々、スーがこの場に居るのは彼女が日本に来る前に要塞で一時的に仕事をしていたと言う経緯があることから連れてきたのだ。

 

そんな中、

 

「要塞から通信です!」

 

例の要塞から混成艦隊に向けて通信が入ってきた。

 

真霜は通信内容を確認する。

 

「何と?」

 

「予想通りよ。『近隣の艦を引き揚げてプラントを引き渡せ』 『そうでなければ東京湾に突入する』と‥‥」

 

ここでやっとテロリストたちは要求をしてきた。

 

しかもその内容は明乃が予測した通り、プラントを自分たちの手に引き渡さなければ、東京湾へと突入し、そこから東京を攻撃するというモノだった。

 

「最悪‥ですね」

 

もえかがテロリストたちからの要求を聞いて現状のレベルが最悪だという事を改めて認識する。

 

ただ、テロリストたちにプラントを引き渡せば、今後彼らがテロ行為を行うだろうし、仮にプラントを引き渡したとして彼らが東京湾に突入してこないと言い切れない。

 

「ええ、こうなった以上、作戦を承認します」

 

もはや意見を四の五の言っている状況ではなくなった。

 

真霜は晴風を要塞内部に突入させる作戦をとるように言う。

 

「それと、あの子を晴風に送って」

 

ついでにスーも道案内役として晴風に送るようにも言う。

 

「了解、晴風に連絡。それとヒンデンブルクにも‥‥」

 

もえかは真霜が晴風からの上申を許可した事とヒンデンブルクにも通信を送った。

 

 

晴風、艦橋

 

「『作戦を了承する』だそうです!」

 

晴風に真霜が上申を許可した事が伝えられる。

 

その直後、

 

ガコーン!!

 

晴風に金属性のフックが打ち込まれ、ワイヤに滑車がつけられ、スーが晴風に移乗してくる。

 

「「えっ!?」」

 

そのあまりにもダイナミックな移乗方法に明乃と真白は思わず声をあげる。

 

「アハハハハ‥‥」

 

しかし、スー本人は怖がる様子もなく、むしろ笑いながら晴風に近づいてくる。

 

晴風に来たスーは両足で艦橋の窓につけ、とまると、甲板に飛び降りる。

 

「「おおおー!!」」

 

スーのターザンみたいな動きに明乃も真白も驚愕しっぱなしだ。

 

「スーちゃん!」

 

「何しに来た!?」

 

明乃と真白は急いで艦橋を下りて甲板に行くとスーの下に向かう。

 

「手伝イニ来タ!スー、要塞ノ中、シッテイル!」

 

スーが二人に晴風への移乗目的を伝える。

 

「えっ!?本当に!?」

 

スーの移乗目的を聞いた明乃は驚く。

 

「それは助かるが、良いのか?」

 

真白はスーに対して、本当に一緒に付いてくるのか問う。

 

晴風はこれから要塞内部に突入する。

 

それはつまり、要塞砲の射定圏内へと近づくことになる。

 

それに要塞の内部にももしかしたら武装が施されているかもしれない。

 

安全の保障は無く、むしろ駿河に居た方がはるかに安全だ。

 

その安全を蹴ってまでスーは晴風に来たのだ。

 

「当然。モウ、ファミリーヨ!」

 

 しかし、スーは明乃たちと‥‥晴風と共に要塞内部へ行く事を決めていた。

 

まぁ、その覚悟が無ければ最初から晴風には来ない。

 

こうして、晴風は要塞内部へ‥‥

 

そして、混成艦隊は晴風の要塞内部への突入支援のための準備に取り掛かった。

 

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