やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

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映画版はこれにて終わりましたが、最後の真白の活躍シーンが描けなく、彼女にはすまない形となってしまいましたが、この穴埋めはいたします。

映画版本編はこれで終わりましたが、次は後日談的な形にして、映画版を完全に締める予定です。


137話

二つの海上テロ事件の内、プラントは奪還され、残る海上要塞に関してもアメリカから齎された情報では、要塞は非武装なので、要塞の方もすぐに鎮圧されるだろうと思われた。

 

要塞鎮圧のため、戦艦を中心とする学生艦が要塞を砲撃し、ゲートに命中弾を与えた。

 

後はホワイトドルフィン艦隊が要塞内部に突入し、テロリストたちを逮捕するだけであった‥‥

 

しかし、非武装と思われた要塞は武装されており、要塞のゲートを目指して突入してきたホワイトドルフィン艦隊にむかって砲撃をしてきた。

 

しかも、破壊したゲートの破孔はホワイトドルフィン艦隊の艦艇ではとても突破できる程の大きさではなかった。

 

テロリストたちはここで日本政府に対して周辺の艦隊を全て撤収させ、プラントを再び自分たちの手に渡さなければ、このまま東京湾に突入し、東京を砲撃すると脅迫をしてきた。

 

この事態に海上安全整備局はホワイトドルフィン艦隊の艦艇では突破できなくとも学生艦の駆逐艦ならば突破できるだろうと真雪に対して遠回しに提案するも教育者として学生たちを危険な目に遭わせることは出来ないと真雪はあくまでも戦艦による遠距離砲撃にこだわる。

 

業を煮やした海上安全整備局は、真雪ではなく現地指揮官の真霜に駆逐艦による要塞内部への侵入を指示してきた。

 

真霜としても真雪同様、学生たちに危険な目とそんな重荷を背をわせたくはなかったが、時を同じくして、晴風艦長の明乃も晴風による要塞への侵入を考えていた。

 

そこで、真白が作戦を練り、艦隊旗艦である駿河に作戦実行の許可を求めた。

 

時間が無い中、真霜はやむを得ず晴風の要塞内部突入の許可を出した。

 

要塞内部の道案内役として、日本に来る前に一時的にあの要塞で働いていた経緯があるスーは晴風へと移乗した。

 

「おっ?」

 

晴風にターザンみたいな方法で移乗したスーの鼻腔が美味しそうな匂いを嗅ぎ分ける。

 

「アハッ!」

 

スーは何かを見つけた様に自分を出迎えた明乃と真白の後ろへと跳びあがる。

 

明乃と真白の二人は何かと思ったが、自分たちの背後にはあかねが立っており、スーは、あかねの前で、

 

「サッキノ良イ匂イ!」

 

スーは目を輝かせながらあかねに訊ねる。

 

あかねが持っていたプラ箱には昨日、自身が試作していた肉巻きミルフィーユかつおにぎりが入っていた。

 

トンカツ屋で働いていた時、他校の先輩方から太鼓判を押されたので、今日、あかねは戦闘配食としてクラスメイトたちに配っていたのだ。

 

肉をふんだんに使ったおにぎりなので、肉の匂いが強く、鼻の良いスーにはこの匂いを簡単に嗅ぎ分ける事が出来たのだ。

 

「私が作った肉巻きミルフィーユかつおにぎりなの。食べて、食べて!」

 

あかねはスーに肉巻きミルフィーユかつおにぎりを勧める。

 

「食ベル!食ベル!ハァ~アムっ!」

 

スーとしては当然、こんな美味しそうな匂いがするおにぎりを食べないと言う選択肢はなく、満面の笑みを浮かべて肉巻きミルフィーユかつおにぎりにかぶりついた。

 

 

ヒンデンブルク 艦橋

 

晴風が要塞内部への突入準備をしている中、駿河からヒンデンブルクへ通信が入った。

 

「艦長、駿河より通信です」

 

「ん?」

 

シュテルが駿河から送られた電文の内容が書かれた紙を受け取り、電文に目を通す。

 

「‥‥なるほど、これは確かにもかちゃんとミケちゃんでないと取れない作戦だな」

 

電文の内容を見てシュテルは納得する。

 

「通信長、尾張、三河、近江の三艦に通信を入れてくれ」

 

「はい」

 

電文を見た後、シュテルは尾張、三河、近江へと通信を入れた。

 

要塞突入への準備が整うと、晴風は天津風、時津風を率いて戦艦部隊からの隊列から離れる。

 

 

駿河 艦橋

 

「啄木鳥作戦開始!」

 

真霜が晴風による要塞突入作戦である啄木鳥作戦開始を命じる。

 

ホワイトドルフィン艦隊は三度要塞へと接近し、

 

「我々が、奴らの砲撃を引き付ける」

 

晴風による要塞突入の援護として要塞からの砲撃をひきつける。

 

駿河は要塞に向けて艦砲射撃を行うが、砲弾には特殊塗料液が入っており、駿河が放った砲弾の水柱は赤い色をしていた。

 

 

尾張 艦橋

 

「うん?」

 

尾張の艦橋でそれを見ていた能村は駿河の砲撃に違和感を覚える。

 

「駿河、照準ミスしとるん?」

 

あれだけ緻密に計算しつくされた駿河の砲撃が照準ミスをしていたのだ。

 

「いえ、あれを見て」

 

宮里は駿河の射撃が決してミスではないと能村に備え付けの双眼鏡で見てみるように促す。

 

能村が双眼鏡で見てみると、

 

「ありゃー!」

 

能村の眼前では、駿河が晴風のために特殊塗料液が入った染色弾を発射している光景が目に入った。

 

「艦長、ヒンデンブルクより通信です」

 

そんな中、尾張にヒンデンブルクより通信が入る。

 

「内容は?」

 

「はい、『駿河は晴風による要塞突入を援護し、その間の射撃統制は本艦(ヒンデンブルク)が代行を行う』‥‥以上です」

 

もえかはシュテルに駿河が晴風の道案内をするので、その間の要塞への艦砲射撃の指揮権を移譲する旨を先程の通信に入れていたのだった。

 

それを受け取ったシュテルは尾張、三河、近江の三艦に駿河に代わってヒンデンブルクが統制射撃を行う旨を通信で送ったのだ。

 

「まぁ、ここでごねても仕方ありません‥新たに命令が下されるまで、要塞への射撃はヒンデンブルクからの統制射撃を諸元とする!」

 

時間がないなかで、不満を零しては作戦の失敗につながるので、宮里はヒンデンブルクからの統制射撃に従う。

 

それは阿部も千葉も理解しており、特に不満をいう事は無かった。

 

 

ヒンデンブルク 艦橋

 

「ユーリ、お前さんの射撃の腕、特と他校の生徒たちに見せつけろ!!ただし、味方への誤射には十分注意しろ!」

 

「了解!!」

 

シュテルの檄を受け、やる気満々のユーリ。

 

「弾の補給は後でいくらでも出来る!!弾庫を空にするまで撃ちまくれ!!」

 

「副砲てぇー!!」

 

距離が最初よりも近づいたので、副砲も射程に入り主砲弾の補給の間、副砲も撃つヒンデンブルク。

 

ヒンデンブルク、尾張、三河、近江の四隻は引き続き、要塞への艦砲射撃を行った。

 

 

一方、駿河からの道案内砲撃で要塞への突入を決行している晴風では、要塞に近づきにつれ、味方からの砲撃による弾着距離が近くなっていた。

 

ヒンデンブルク、尾張、三河、近江の四隻からの艦砲射撃により、周囲は砲撃音と着弾音による轟音がまるで雷のように鳴り響く。

 

そして、着弾によって発生する衝撃波と水柱が晴風の船体を大きく揺さぶる。

 

「目標まで距離30‥水柱まで距離0.5‥くっ‥‥」

 

晴風の見張り台では、野間が道案内砲撃までの距離を艦橋に報告する。

 

晴風の中で一番の高所である見張り台にもかかわらず、海水が押し寄せる。

 

『うわっ!』

 

艦橋は、嵐に巻き込まれたかのように大きく揺れる。

 

「弾着が近すぎです!」

 

「艦長!」

 

激しい揺れの中、真白が如何するか明乃に問う。

 

しかし、この砲弾の雨と揺れを止める訳にはいかない。

 

要塞への攻撃を止めればすれだけ、要塞はプラントに近づいてしまう。

 

例え、回り道をするにしても回避しながらでは、それだけ時間をかけてしまう。

 

だが、強行突破すれば味方の砲撃に巻き込まれてしまうかもしれない。

 

明乃が思考を巡らせ現状打破の策を考えていると、一発の砲弾が晴風の前方に着弾する。

 

しかし、その砲弾には特殊塗料が弾頭に搭載されていたのか水柱が赤く、艦橋の窓に赤い海水が着いた。

 

その後も特殊塗料が入った染色弾は晴風の前方に着弾し、赤い水柱を立てる。

 

「おもか~じ!赤色の水柱、ヨーソロ!」

 

明乃は瞬時に何かを察し、命令を下す。

 

「了解!」

 

鈴は涙目になりながら舵輪を右へと回す。

 

明乃はもえかが自分たちを要塞へ導いてくれているのだと判断し、染色弾が弾着した方へと針路を取る。

 

染色弾が立てる赤い水柱が晴風の船体を隠し、晴風を要塞へと導く。

 

だが、流石に至近なので衝撃と赤い海水が容赦なく晴風に襲い掛かる。

 

「艦長!」

 

「大丈夫‥絶対当たらないから‥もかちゃんを信用して、あの水柱の中へ突入して!」

 

明乃はもえかを信じ、引き続き赤い水柱の中を通り要塞を目指す様に指示を出す。

 

「うわっ‥うっ‥まさかこんな方法で‥‥」

 

要塞へと近づくにつれ、真白はまさかこんな奇策な方法で晴風の存在を隠しながら要塞への道案内をしてくるとは思わなかった。

 

 

駿河 艦橋

 

「高め5」

 

もえかが艦橋に備え付けの双眼鏡で砲術長に指示を出す。

 

「高め5」

 

もえかからの指示を受け、砲術長は射撃指揮所に命令を伝達し、その伝達通りの砲撃が行われ、晴風を要塞へと導いていく。

 

「染色弾で道案内なんて‥‥」

 

真霜も真白同様、染色弾で道案内をする方法に驚いていた。

 

晴風の右舷を航行し、ホワイトドルフィン艦隊同様、晴風の要塞への囮役を務めている天津風では、

 

「艦長、我々は囮として目立つ様に後退せよ、と‥‥」

 

天津風副長である山辺あゆみが艦長である高橋に駿河からの指令を伝える。

 

「くっ、本当は私が一番に突入したかったんだけど!」

 

晴風と同型の陽炎型駆逐艦である天津風も要塞に突入できるのかと言えば突入できたので、高橋としては要塞突入の役は自分がやりたかったと悔しがる。

 

そんな高橋に対して山辺は、

 

「あれを見てもそう思います?」

 

要塞突入のため、要塞に接近している晴風を指さす。

 

「うん?」

 

高橋が山辺の指さす方向を見ると、其処には、染色弾の水柱に突っ込みながら進む晴風の姿が有った。

 

染色弾が前方至近距離で着弾し、その水柱と衝撃で晴風の船体は大きく浮いている。

 

そして浮いた船体は引力に引かれ強く海面に叩きつけられる。

 

きっと物凄い衝撃が晴風を襲っているのだと思うと身震いする高橋。

 

「‥‥よし!囮で一番、目立つわよ!」

 

あんな状況では命がいくらあっても足りないと思った高橋は方針を一転して、従来の指示どおり囮として行動しながら後退する事に決めた。

 

「はい!そうしましょう」

 

山辺も晴風のような現状はやはり御免なのか、高橋に賛同した。

 

 

「要塞は目の前です!」

 

晴風はようやく要塞のゲート付近まで近づくことが出来た。

 

「野間さん退避を!」

 

「了解!」

 

明乃は野間に見張り台からの退避を命じた。

 

いくら晴風が破壊されたゲートから突入可能としても高さの関係から見張り台と要塞の天井部の高さがもし、釣り合わなかったら見張り台がもげる可能性があったからだ。

 

「万里小路さんも退避完了!」

 

同じく艦底部に居た万里小路も退避してもらった。

 

「艦内防水扉、閉鎖完了!」

 

浸水を最低限にするため、晴風の防水隔壁が閉じられる。

 

「皆捉まって!」

 

明乃は要塞突入の際の衝撃に備えるように声を上げる。

 

ここに来て要塞側も接近する晴風の存在に気づき、砲撃をしてきた。

 

しかし、あまりにも晴風との距離が近すぎたため、晴風の要塞侵入を防ぐことは出来なかった。

 

「どんぴしゃーっ!!」

 

晴風は要塞内部への侵入を果たした。

 

「両舷停止!後進いっぱい!急げ!」

 

破孔から要塞のさらに奥へ進むため、明乃は速度を落とすように機関を後進して距離を稼ごうとする。

 

しかし、車は急に止まれないように最大速力で要塞に向かっていた晴風は止まることなく、要塞の奥へと進み、やはりと言うか、見張り台と要塞の天井部の高さが釣り合わず、見張り台が要塞の天井部と接触し、見張り台が粉々になり、海面に落ちる。

 

「私の部屋がぁぁぁぁ―!!」

 

メインマストの上部にあった見張り台だけが、綺麗さっぱり無くなった現状を見て、マストにしがみついていた野間が絶叫を上げる。

 

見張り台は決して野間の部屋ではなく、ちゃんと居住区には彼女の船室があるのだが、見張り台は野間にとって一人でゆっくりできるまさにプライベートルームだったのだろう。

 

野間のプライベートルーム(見張り台)の破損と言う被害を出したが晴風は何とか要塞の内部への侵入を果たした。

 

後は動力源を破壊して要塞から脱出するだけだ。

 

 

駿河 艦橋

 

「砲弾で誘導するなんて、貴女たち無茶するわね」

 

「ミケちゃんなら絶対に大丈夫ですから」

 

明乃ともえかの信頼関係があったからこそ、出来た事だともえかは断言する。

 

「はぁ~‥‥家の家族も大概だと思っていたけど、この子たちも相当ね‥‥」

 

『来島の巴御前』と異名をもった現役時代の真雪、そして今現在、現役ブルーマーメイド隊員の真冬‥‥海賊やテロリスト相手にはかなりド派手にドンパチしてきた経緯がある。

 

ゴールデンウイークに起きた真白の誘拐事件は真冬のドンパチが引き金になった。

 

自分は主にデスクワーク専門なので、前線に出る機会は減っているが、それでも母や妹よりはド派手にドンパチをした経験はない。

 

しかし、もう一人の妹である真白もそのクラスメイトたちも自分の母や妹同様、突拍子もない無茶苦茶な行動をするものだと改めて思った。

 

 

ヒンデンブルク 艦橋

 

「晴風、無事に要塞内部に突入しました!!」

 

晴風が何とか要塞内部に突入した事が確認できた。

 

「砲撃中止」

 

シュテルは砲撃の中止命令を下す。

 

晴風が要塞内部に突入したことでこれ以上不用意に要塞を攻撃する訳にはいかなかった。

 

(後は頼んだよ、ミケちゃん‥‥)

 

後は要塞の内部に突入した晴風の奮闘を祈るしかなかった。

 

 

その頃、要塞内部に突入した晴風では‥‥

 

「前部マスト上部欠損!」

 

「電探反応ありません!」

 

「機関、舵、スクリュー異常なし!」

 

「全砲門異常なし、全力発揮可能!」

 

「炊飯器無事です!」

 

「聴音、避難完了です」

 

晴風艦橋には各部の被害状況の報告があがる。

 

「艦内状況確認終了。電探、ソナー使用不能、それ以外は問題なし」

 

晴風の被害はゲート突入の際に損傷した見張り台を含むメインマストとレーダー、そして艦底もぶつけたのか、ソナーも損傷したが、それ以外の損傷は無かった。

 

「前方見張りを厳に」

 

船の目と耳の機能が働かない以上、頼れるのは人の目と耳だけであり、明乃は前方への注意を厳とした。

 

「スーちゃん。道案内よろしく」

 

そして、スーに要塞内部の道案内を頼んだ。

 

「任セテ!コノママ、シバラク真っ直グ!」

 

スーの案内の下、暗い要塞内部の水路を航行する晴風。

 

今の所、テロリストとの接触や妨害は無い。

 

しかし、ここは既に敵の懐‥油断は出来ない。

 

「アノ先ハ、ドックニナッテイテ‥‥」

 

「何で外の砲とか生きていたんですかね?」

 

順調に水路を航行している時、納沙が非武装の筈の要塞が武装されていたことに疑問を持った。

 

「海賊が修理したのか?」

 

西崎は要塞内部に放置されていた砲塔をテロリストたちが修理したのかと思った。

 

「時々、外カラ来タ人ガ出入リシテタ」

 

スーは自分以外にもこの要塞に出入りしていた人たちが居たと言う。

 

もしかしたら、その出入りしていた人物が武器をこの要塞に持ち込んだか、要塞内部に放置されていた武器を修理した可能性がある。

 

しかし、スーは何処の誰が要塞に出入りしていたのかは分からない様子。

 

それについては後日、逮捕したテロリストたちの事情聴取で判明するかもしれない。

 

「じゃあ、ひょっとして中にも武装が‥‥ハッ!?」

 

外の砲が修理されており、要塞と言う構造から水路にも何かしらの武装が施されている可能性もあり、その内部の武装も当然、修理されている可能性もある。

 

真白のその言葉がフラグだったのか、突然、水路内に設置されていた探照灯が一斉に照らされる。

 

「やっぱり!?」

 

「面舵一杯!急げ!」

 

明乃はすぐに回避行動へと入る。

 

「はいぃぃ~!!」

 

鈴は勢いよく舵輪を右に回す。

 

その直後、水路内に設置された砲台から砲撃が開始される。

 

「反撃して!」

 

「うぃ」

 

明乃は立石に反撃するように指示する。

 

「弾かれた!」

 

「全然、当たらないよ!」

 

「回避が早すぎ」

 

「バキュンと当てたい!」

 

しかし、晴風の速力が早すぎて水路の砲台に命中弾を与えられない。

 

「ひぇぇぇ~!!」

 

敵の攻撃に脅えながら回避行動をする鈴。

 

「艦長!擁壁が邪魔で、此方の砲弾は当たりません!」

 

「上から撃ち込むしかないですね」

 

納沙は目を回しながら砲台に命中弾を与えるには砲台よりもさらに上らかでないと当たらないと言うが、現状の晴風では無茶な注文である。

 

「主砲の仰角を上げるのは?」

 

「天井、邪魔」

 

スペースが限られた空間での戦闘‥‥しかもこちらが下側では、やはり不利。

 

「だぁぁぁ~もぉぉぉ~何か打ち上げるの、無いんか!!」

 

 西崎が噴進弾みたいに打ち上げ式の砲撃方法はないのかと叫ぶ。

 

「それだ!」

 

明乃は西崎の発言を聞いて、何かを思い付き、

 

「爆雷準備!」

 

本来は対潜水艦兵器の爆雷の発射準備を指示する。

 

「爆雷!?」

 

「艦長、目標は潜水艦ではありません!!」

 

この場に潜水艦なんて居ないのに、何故爆雷なんて準備するのか疑問に思う納沙と真白。

 

「ヒメちゃん、モモちゃん、爆雷用意!タマちゃんお願い!」

 

「うぃ」

 

明乃は説明している時間も惜しいのか、立石らに爆雷の発射を急がせる。

 

確かにこの状況でのんびりと説明しているヒマなんてない。

 

「投射距離と飛行秒時は?」

 

後部甲板の爆雷投射機の付近では和住と青木が爆雷の発射準備をしていた。

 

「単射で210mの7.2秒っス!」

 

「一番、上がった時がそれだから、えっと‥仰角は50度」

 

「天井の高さから割り出すと‥‥計算できました。一杯一杯で旋回してください!」

 

「了解!」

 

後部甲板の和住らが導き出した仰角に合うように鈴は舵を左に思いっきり回す。

 

「まだっスか!?」

 

青木が爆雷の発射レバーに手を置いた状態で発射命令を待っている。

 

「まだ!?」

 

和住もまだなのかと声を上げる。

 

「もう少し‥‥よーい‥‥てぇーっ!」

 

等松がタイミングを見計らい発射命令を出す。

 

青木が発射レバーを引き、一発の爆雷が投射された。

 

投射された爆雷は、敵の砲座の上まで上がると、

 

「ひぃーはぁーラム!!」

 

続いて、立石が機銃で打ち上がった爆雷を狙い撃つと、砲塔の砲付近で機銃弾が命中し、砲塔は大爆発を起こす。

 

『大成功!!』

 

砲塔を使用不能に出来た事に和住らは声を上げて喜ぶ。

 

「前方開口部に突入!」

 

障害物である水路内の砲塔を潰し、明乃は、そのまま開口部に突入を命じる。

 

「りょ、了解」

 

砲塔を潰した晴風は更に要塞の奥へと進む。

 

「スーちゃん、この先の水路は?」

 

「シバラク直線、水深モ十分ニアル」

 

「サトちゃん、内部の事前情報との違いをスーちゃんと至急確認して!」

 

「了解ぞな」

 

武装の件もあり、アメリカ、海上安全整備局から齎された情報の信憑性が低いので、ここはスーからの情報が最も信じられた。

 

水路を進んでいると、

 

「左右に砲座!」

 

またもや水路には武装が施されており、今度はバルカン砲が左右に設置されていた。

 

バルカン砲は容赦なく、晴風に銃撃を加える。

 

もし、ホワイトドルフィンがスキッパー隊で要塞内に突入していたら、どれだけの犠牲が出たのか分からない。

 

もしかしたら、全滅していた可能性もある。

 

駆逐艦とはいえ、艦橋には装甲板が施されていたので、晴風にとって致命傷にはならず、

 

「ぐぁぁぁぁー!魚雷、撃ちたい!」

 

西崎は銃撃されている中で魚雷を撃ちたいと叫び、

 

「狭いから避けられないよぉ~!!」

 

鈴は涙目で叫ぶ。

 

「左‥‥」

 

西崎と鈴が叫んでいる中、立石は冷静にバルカン砲の位置を確認し、砲撃する。

 

一基は潰すも銃座はいくつもある。

 

そんな中、

 

「最適航路のプロットと想定砲座位置、確認終了ぞな!」

 

「ガンバッタ!」

 

勝田とスーがようやく航路設定を終える。

 

「サトちゃん、スーちゃん、偉い!リンちゃん!プロット済み航路に従って航行!」

 

「はい‥‥」

 

明乃は、直ぐに鈴に確認した最適航路を進むよう命じる。

 

「ココちゃん!万里小路さんを呼んで!」

 

「はい」

 

明乃は艦橋に万里小路を呼び出し、彼女に銃座が動く機械音を探知させ、立石が銃座を砲撃する連携プレーで針路上の銃座を破壊して行く。

 

「次、右で機械音‥距離4.0」

 

「一番砲、20度、仰角15度に備え‥射距離4.0‥‥てぇっ!」

 

「成程!見えないなら別な手段を使えば良いと‥‥」

 

真白は明乃の戦術に感心する。

 

テロリストたちもまさか、こんなチートみたいな学生が居たとは予想外だろう。

 

「目標までの距離8.0」

 

「戦闘右魚雷戦!」

 

「やった!出番だ!でっかいの使っちゃって!」

 

ようやく出番が来た西崎のテンションはまさに最高潮となる。

 

そして、明石から貰った例の36インチ魚雷の発射準備を命じる。

 

「えっ、あれ使うんだ‥‥」

 

「発射管に入らないよ」

 

36インチ魚雷は晴風に設置されている通常の魚雷発射管にセットできない。

 

だが、

 

「こんな事もあろうかとっス!」

 

「一応レール、敷いておいだけど!」

 

青木と和住は36インチ魚雷用に特設のレール式発射管を作って設置していた。

 

「コノ先動力用ゲート、距離600」

 

「それを破壊すれば止まる筈!」

 

「速度このまま、通路から出た瞬間に取り舵一杯!」

 

「了解!」

 

目的地の動力源まであと少しの地点まで晴風は進出していた。

 

「魚雷発射位置まであと15秒‥10‥9‥8‥7‥6‥5‥4‥‥」

 

勝田がカウントダウンを始める。

 

「取り舵一杯!」

 

発射四秒前で明乃は左に舵を切るように指示する。

 

「取り舵一杯!」

 

鈴は、左に大きく舵を切る。

 

「3‥2‥1‥0!」

 

「よーい‥てぇっ!」

 

晴風から36インチ魚雷が発射された。

 

「衝撃に備え!」

 

36インチ魚雷は、そのまま目標に命中した。

 

爆発の衝撃で晴風は横波を受けるが、転覆することはなかった。

 

この爆発は要塞外の戦艦部隊にも探知された。

 

要塞はこれで止まったかと思われたが、

 

「まだ‥動いている」

 

要塞はまだ動いており、稼働している要塞を見てもかえは驚愕の表情を浮かべた。

 

「シュテルン、こうなれば噴進弾を全弾撃ち込んで、あのデカブツの足を止める?」

 

ユーリが噴進弾の使用許可を求める。

 

「使うにしても晴風が外に出てこなければ使えない‥‥晴風と連絡は?」

 

「ダメです、交信を試みたのですが、ノイズばかりで‥‥」

 

シュテルは厳しい表情で要塞を見ていた。

 

 

「まるで神殿だな‥‥」

 

真白は要塞の動力部を見て呟く。

 

要塞の動力部には柱みたいなものがまるで動力炉を守みたいに立塞がっていた。

 

「スーちゃん、此処は知ってる?」

 

「ウウン」

 

テロリストたちもスーを動力部まで見せてはいなかった。

 

「砲撃許可します」

 

「うぃ」

 

いずれにしても動力部を潰さなければならないので、明乃は立石に砲撃命令を下す。

 

だが、柱が邪魔をして動力部を破壊することが出来ない。

 

しかもこの柱はかなり頑丈で晴風の主砲では破壊することも出来ない。

 

「柱が邪魔で砲弾が通らない!」

 

「まずいな‥‥」

 

「『枯れ木も山の賑わいじゃがの‥柱も要塞の賑わい、かのう』」

 

納沙が恒例の一人芝居を始める。

 

「柱‥‥『柱に食いつぶされる訳にはいかんけぇ!!』」

 

何故か、今回は真白も納沙の一人芝居に付き合う。

 

「『おうよ!』」

 

「ハッ‥‥!?」

 

真白は何故、納沙の一人芝居に付き合ってしまったのか自分でも分からなかった。

 

「魚雷が自由に曲がれば良いのに‥‥」

 

鈴は魚雷が意思を持つように真っすぐではなく、目標に向かって曲がったりしたら良いのにと呟く。

 

「それだ!」

 

「えっ?」

 

明乃は鈴の言葉を聞いて、また策を思い付き、

 

「ココちゃん!美波さん呼んで!」

 

今度は艦橋に美波を呼び出す。

 

「怪我人か!?」

 

医務員である自分が艦橋に呼び出されたのだから、誰か怪我をしたのかと思いミニセグウェイに乗った美波が慌てて艦橋に飛び込んできた。

 

すると、美波は山下と内田に両腕を掴まれ、強制的にミニセグウェイから降ろされる。

 

「美波さん、これ貸して!」

 

明乃は美波にミニセグウェイを貸してくれと言う。

 

「えっ?それっ、私の兎走烏飛24号!」

 

この事態に美波のミニセグウェイこと、兎走烏飛24号で何をするのか明乃以外のこの場に皆が疑問に思ったが、それはすぐに判明した。

 

「完成だ!」

 

「題して、超ダブルクロス号っス!」

 

美波の兎走烏飛24号改め、超ダブルクロス号はミニセグウェイの上に魚雷を乗せ、さらに命中を100%にするため、カメラモニターとラジコンの誘導装置が取り付けられた手作りの誘導魚雷となった。

 

「これなら全然怖くない!」

 

納沙のタブレットには超ダブルクロス号のカメラが捉えた映像が映し出される。

 

「艦長!水深が浅くなってきています」

 

「何で?」

 

「原因は分かりませんが、このままでは座礁します」

 

恐らくテロリストたちが晴風の動向を見て、このまま座礁させて動きを封じようと水深の調整装置を作動させたのだろう。

 

「リンちゃんは手が離せないからサトちゃん、操艦よろしく!」

 

「了解ぞな!」

 

鈴は超ダブルクロス号の操縦があるので、晴風の操艦を明乃は勝田に頼んだ。

 

晴風は艦尾を動力部の陸地へと向ける。

 

「目標見えました」

 

「攻撃始め!」

 

鈴は超ダブルクロス号を発進させる。

 

動力部に向けて全速で向かっていく超ダブルクロス号。

 

「無線の届くぎりぎりまで後退」

 

「両舷停止!両舷後進減速!」

 

「マロンちゃん!爆発と同時に全速後退の準備!」

 

「合点でぃ!皆正念場だ!」

 

『了解!』

 

「フッフッフッ…ハイパードリフトターン!」

 

鈴は怪しい笑みと目つきで超ダブルクロス号をドリフトさせながら動力部へと走らせる。

 

「突っ込め!!」

 

「リンちゃんにも撃て、撃て魂が有ったよ!」

 

「うぃ」

 

やがて、超ダブルクロス号が動力部に特攻し爆発が起きる。

 

「後進一杯!」

 

明乃は要塞から撤退するため、機関を後進にかける。

 

動力部では誘爆が続き、もはや要塞の運命は決した様子だった。

 

そして、その爆発は外から出も確認ができた。

 

 

ヒンデンブルク 艦橋

 

「要塞内部より、爆発らしき轟音を確認!」

 

「速度も徐々に低下し始めています!」

 

「どうやら、晴風は要塞の動力部を破壊することに成功したみたいですね」

 

「ああ‥‥通信長」

 

「はい」

 

「旗艦に打電して、『ワレ、晴風の出迎えに向かう』と‥‥」

 

「はい」

 

シュテルは例え要塞の動力が破壊され、動かなくなっても砲台はまだ生きていると考え、ゲートを出た晴風がゲート付近の砲台の攻撃にさらされると思い、晴風が出てくる前にゲート付近の砲台は破壊してしまおうと思ったのだ。

 

 

駿河 艦橋

 

「あれは!」

 

ヒンデンブルク同様、駿河からも要塞の変化が確認できた。

 

「要塞、速度低下しています!」

 

「やったわ!」

 

「はい!」

 

要塞の速度が落ちた事で晴風が動力部を破壊したのだと判断した真霜ともえか。

 

「艦長、ヒンデンブルクより通信です」

 

「内容は?」

 

「はい、『ワレ、晴風の出迎えに向かう』‥です」

 

「‥‥わかりました。許可します」

 

もえかはシュテルに何か思惑があるのだろうと判断し、ヒンデンブルクの戦列離脱を許可した。

 

 

ヒンデンブルク 艦橋

 

「艦長、駿河より戦列離脱の許可がおりました」

 

「よし、航海長、針路を要塞のゲートへ‥‥戦闘状態のまま要塞に接近、生きている砲塔を全て破壊する!」

 

「了解」

 

ヒンデンブルクは戦艦部隊の戦列を離れ、要塞へと向かった。

 

 

要塞の動力が完全に停止したのは内部に居る晴風でも確認できた。

 

「機関音停止!」

 

「速度低下中!」

 

「要塞、停止した模様!」

 

「うっしゃ!!」

 

『イエーイ!』

 

鈴がこれまで見た事のないテンションで納沙、西崎、立石らをハイタッチを交わして喜んでいる。

 

「やりましたよ、艦長!」

 

「うん、やったよ!」

 

明乃も当然喜んでいるが、新たな危機が晴風に迫っていた。

 

「艦長!水位が急速に低下中!」

 

テロリストたちが動力部周辺の水位を浅くしていた事と、動力部の爆発が周囲にも広がりつつあり、崩壊が始まったのだ。

 

「壊レル!」

 

「やり過ぎ‥ましたね‥‥」

 

納沙が冷や汗を流しながら周囲を見て呟く。

 

「要塞崩壊まで、およそ60秒!」

 

晴風は、全速で出口に向かう。

 

「出口が塞がっています!」

 

しかし、瓦礫により出口が塞がれてしまった。

 

このままでは天井から降り注ぐ瓦礫に晴風が押し潰されてしまう。

 

「艦長!」

 

「信号弾用意!」

 

明乃は、信号弾で外にいる戦艦部隊への支援砲撃を要請する。

 

「10度、仰角50度に備え!信号弾用意!」

 

「主砲、射撃用意よし!」

 

「もうちょっと‥もうちょっと‥‥てぇーっ!」

 

晴風から放たれた信号弾は崩壊し始めている要塞の天井部を突き抜け、外の戦艦部隊へと支援砲撃を知らせる合図として確認できた。

 

 

駿河 艦橋

 

「信号弾、上がりました。晴風です!」

 

「全艦統制射撃準備!」

 

もえかはすぐにヒンデンブルクを除く戦艦部隊に統制射撃準備を命じて支援砲撃を行うが、

 

「駄目です!破壊出来ていません!」

 

ゲートの破壊には至らなかった。

 

「次発装填完了まで30秒!」

 

次の砲弾を撃つまであと三十秒もかかる。

 

「ミケちゃん‥‥」

 

もえかは悲痛な表情で崩壊し始めている要塞を見る。

 

 

ヒンデンブルク 艦橋

 

「通信長、晴風と通信は!?」

 

「まってください‥‥多少、ノイズが入りますが、なんとか出来ます!」

 

晴風が出口付近まで来たこと、要塞が動力部を破壊され機能を失った事で晴風と交信が可能となった。

 

「よし、『ゲートの瓦礫はこちらで対処する!晴風はこのまま全速でゲートへ迎え』と伝えて!ユーリ!!」

 

「はい!!」

 

「現時刻をもって、兵器自由を発動する!!噴進弾、発射用意!!航海員は時間と現在位置を日誌に記入!!」

 

『了解!!』

 

シュテルの指示を受けて、ユーリたちは直ちにシュテルの命令の為に行動へと移る。

 

 

晴風 艦橋

 

「艦長、ヒンデンブルクから通信です」

 

「シューちゃんから!?何て言っているの!?」

 

「『ゲートの瓦礫はこちらで対処する!晴風はこのまま全速でゲートへ迎え』‥です!!」

 

「ヒンデンブルクが近くまで来ているのか!?」

 

「マロンちゃん、機関を全速でお願い!!」

 

「あいよ!!」

 

「リンちゃん、このままゲートまで向かって!!」

 

「は、はい!!」

 

明乃はシュテルを信じてゲートまで全速で突っ走る。

 

 

ヒンデンブルク CIC

 

「諸元入力完了」

 

「目標、海上要塞ゲート!!」

 

「前甲板、垂直発射口、開口!!」

 

「噴進弾発射準備よし!!」

 

「噴進弾発射!!」

 

轟音と煙を上げ、ヒンデンブルクの艦首部にある垂直発射口から噴進弾が発射された。

 

(頼むぞ、迷わず行ってくれ‥‥)

 

艦橋から要塞に向かっていく噴進弾を見て、見事命中してくれと祈るシュテルだった。

 

 

尾張 艦橋

 

「な、なんね!?アレ!?」

 

「噴進魚雷かしら?」

 

ヒンデンブルクから発射された噴進弾を見て仰天する能村と宮里。

 

教員艦やブルーマーメイド、ホワイトドルフィンが採用している噴進魚雷かと思ったが、ヒンデンブルクから発射された飛翔体は海には潜らず、そのまま空中を飛翔しながら要塞へと向かっていく。

 

 

近江 艦橋

 

「な、なんだ!?ありゃ!?空を飛んでいるぞ!!」

 

「そうですねぇ~‥‥少なくとも噴進魚雷‥ではないみたいですねぇ~」

 

近江の艦橋でも千葉は目を飛び出さんばかりに驚いており、その横では野際が普段と変わらないペースで噴進弾を見て首を傾げていた。

 

 

三河 艦橋

 

「おぉぉーあんなモノ、見たことないぞ!!」

 

「そうですね。飛行船よりも早く飛ぶ気球やあの空飛ぶ噴進魚雷‥‥ドイツの技術力は凄いですね」

 

「なぁ、専務。アレ、ウチの艦に積めないか?」

 

阿部が興奮しながら噴進弾を指さし、三河に搭載できないかと訊ねる。

 

「搭載するにしても艦を改装しなければなりませんし、そもそもアレが何なのかさえ分からないんですから無理ですよ」

 

河野は阿部にメーヴェ同様、噴進弾も三河に搭載するのは無理だと言う。

 

 

ヒンデンブルクから発射された噴進弾はゲートの瓦礫に向かって一直線に跳び、瓦礫と噴進弾の弾頭が当たると大爆発を起こす。

 

ゲートを塞ぐ障害物が取り除かれ、晴風はそのまま開いた出口から脱出し、無事に生還を果たした。

 

テロリストたちも要塞が崩壊し始めているのを見て、要塞を放棄し、脱出したのだが、待ち受けていたホワイトドルフィン艦隊の手によって逮捕された。

 

こうして、長い一日が終わり、海上テロ事件も終息したのだった‥‥

 


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