やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~ 作:ステルス兄貴
ヒンデンブルククラスとシュペークラスとの間で行われた白兵戦訓練は、訓練中の学生たちをテロリストか海賊と間違えた真冬の乱入により、一時中断する事態となった。
その後、真冬は本来の予定である横須賀女子へと向かい真冬との会談を終えると彼女にドイツからの留学生たちと自らが艦長を務めるべんてんの乗員たちとの間で白兵戦訓練を行いたいと提案してきた。
一方、真冬の乱入により白兵戦訓練の一時中断を余儀なくされたドイツからの留学生たちは‥‥
「どうする?仕切り直す?」
「さすがにこの状態から始めるのは無理があるからね‥‥」
この中断した状態からまた訓練開始はさすがに白けるし、中断前は優位だったのに再開することで不利になる状況になる者も居るかもしれない。
ならば、仕切り直して最初からやり直すのがベストだろう。
「じゃあ、装備の点検と負傷者の治療し、水分補給の後で仕切り直しで訓練再開にしようか?」
方針を立てた後、ヒンデンブルククラス、シュペークラスの学生がそれぞれの艦に戻ろうとした時、
「碇艦長、クロイツェル艦長、横須賀女子の宗谷校長から電話です」
メイリンがシュテルとテアに真冬から電話が入ったと伝えてくる。
「校長から?なんだろう?」
「やっぱり、訓練をやめなさいって連絡かな?」
「まぁ、真冬さんが乱入してきたからね」
真雪から電話が来たということでシュテルとテアは真冬の乱入の件を伝えたので、訓練の中止を要請してきたのかもしれないと思い、直接顔を合わせることのできるテレビ電話に出る。
「はい、なんでしょう?」
モニター画面の向こう側には横須賀女子の校長室に居る真雪と真冬の姿が映し出されている。
「先程は、訓練中なのに娘のせいで台無しにしてごめんなさい」
真雪は真冬の頭を手で強引に下げさせて二人に謝る。
「い、いえ‥‥」
「幸い負傷者は出ていませんし‥‥」
「本当にごめんなさい。それで実は真冬が、今回貴女たちが行っている白兵戦訓練をべんてんの乗員との間でやりたいって言ってきたのだけれど‥‥」
真雪はシュテルとテアの二人に真冬がシュテルたちドイツからの留学生組と真冬が艦長を務めるべんてんの乗員との間で白兵戦訓練をしたいという提案をしてきたことを二人に伝える。
「えっ?真冬さんが!?」
「ええ‥‥」
「べんてんの乗員ってことはブルーマーメイドの隊員たちと言うことですよね?」
「そうね」
(べんてんの乗員と言うことはあの時の海上テロ事件の際、プラントをテロリストから奪還した人たちだよな‥‥)
(この人と白兵戦訓練‥‥我が艦の乗員やシュテルがあんな目に遭うかもしれないということか?)
シュテルもテアも先の海上テロ事件の鎮圧に参戦していたのでべんてんの乗員の勇猛さは知っている。
テアなんて双眼鏡越しであるが、テロリストのリーダーが真冬の手によって子供には見せられないようなことをされているのを目撃している。
もし、真冬と白兵戦訓練を行えば自分を含めシュペークラスのクラスメイトやシュテルもあの様な目に遭うかもしれないと身震いする。
(経験はあちらが上ではあるが、訓練としての経験では正規のブルーマーメイドの隊員と戦えるのは貴重なことだが‥‥)
シュテルはプラント奪還に関しては参加していなかったのでテアが目撃したテロリストのリーダーの末路を当然知らない。
しかし、プラントを奪還したのはべんてんの乗員であることは事後報告で知っている。
そのプラントを奪還したべんてんの乗員と白兵戦訓練を出来るということは貴重な経験になるのではないかと言う思いもあった。
「この場では即答できかねないので、シュペー、ヒンデンブルク双方の乗員と話し合いってから結論を出すと言うことで良いでしょうか?」
シュテルはさすがに艦長二人の一存で決められない事なので、シュペークラス、ヒンデンブルククラスと話し合ってから結論を出すことにした。
「そうね。わかったわ」
真雪はシュテルの意見に理解を示しまずは両クラスの話し合いをすることにした。
「メイリン」
「はい」
「聞いての通りだ。一旦シュペークラスを含め全員をヒンデンブルクの講堂に集めてくれ」
「わかりました」
メイリンは放送をかけ、シュペークラスを含め全員をヒンデンブルクの講堂へ集合をかけた。
ヒンデンブルクの講堂に皆を集めたのはシュペーの講堂よりもヒンデンブルクの講堂の方が広く、ヒンデンブルククラス、シュペークラスの学生を全員入れることが出来るからだ。
ヒンデンブルクの講堂に集まったシュペー、ヒンデンブルクのクラスメイトたち。
壇上にてシュテルが皆の前で集合させた理由を話す。
「今回の白兵戦訓練にて、ブルーマーメイドの宗谷真冬さんの乱入と言うアクシデントにて訓練を一時中断することになった件について、先程横須賀女子の宗谷校長から謝罪の連絡が入った」
シュテルはまずは真冬の乱入と言うアクシデントについて真雪からの謝罪があったことを留学生組に伝える。
「その際に真冬さんらべんてんの乗員との白兵戦訓練を提案された」
そして、シュテルがべんてんの乗員との間で白兵戦訓練の提案を受けたことを伝えると講堂がざわつく。
「さすがに私とテアとの二人で返答を出来る案件ではないので、こうして皆に集まってもらったわけだ」
「みんなは今回の話、どう思うか意見を聞きたい」
テアが講堂に集まった学生たちに真冬からの提案をどう思うのか意見を求める。
「さすがに断ったからと言って成績や将来、ブルーマーメイドへの入隊試験に影響するとは思えないので、無理に受けなくても良いと思う。だが、正規のブルーマーメイドの隊員との間で白兵戦訓練を出来るいい機会だと私は思う」
シュテルは注意事項と自身の考えを先に述べた。
「うーん、シュテルンの言うことは最もだけど‥‥」
「相手はあの宗谷真冬さんだし‥‥」
確かにシュテルの言う通り、学生の内に正規のブルーマーメイドの隊員との白兵戦訓練を出来る貴重な機会であるが、その相手はあの海上テロ事件の際にプラントをテロリストたちから奪還した真冬率いるべんてんの乗員たち‥‥
強敵には違いないが、真冬のあの個性が強すぎて、彼女が艦長を務める艦の乗員全員が真冬と同じような性癖の持ち主なのではないかと不安視してしまう。
流石に学生相手なので本気を出さない。
もしくは、何かしらのハンデを持っての訓練だと予想される。
しかし、提案者の宗谷真冬を除くべんてんの乗員との間で白兵戦訓練‥‥
なんて条件は絶対に無理だろう。
様々な意見が飛ぶ中、最終的にやはり正規のブルーマーメイドの隊員との訓練は貴重な体験と言うことで今回の真冬の話を受けることにした。
今回の真冬の乱入の際、彼女に海へ落とされた学生の一部は真冬へのリベンジを誓っている者もいた。
ただし、話を受けるにあたってルールを決めることにした。
もっとも今回の白兵戦訓練のために学生たちはルールを策定していたので真冬へのルールの提出にたいして時間はかからなかった。
「宗谷校長先生、お待たせしました」
結論が出たので、シュテルは再び真雪へテレビ電話をいれる。
「ヒンデンブルククラス、シュペークラスの全員で話し合った結果、真冬さんの提案を受けます」
シュテルは真雪と真冬に留学生組とべんてんの乗員との間で白兵戦訓練を行う旨を伝える。
「いいの?」
「はい、正規のブルーマーメイドの方たちと訓練ができる貴重な機会ですし‥‥」
留学生組が自分の提案を受けたことに真冬は真雪の死角でガッツポーズをとっていた。
「ただ今回、自分たちが訓練前にルールを定めていたようにブルーマーメイドの方たちとの訓練前に改めてルールを定め、共有したいと思っています」
「わかりました」
白兵戦訓練のルールを改めて決めるため、
「時間より早いけど、今回の訓練はこれで終わりにしようか?」
「そうだな」
真冬の乱入とべんてんの乗員との間で白兵戦訓練のルール策定のため、時間よりは早いが訓練を終了にして横須賀女子へと戻った。
横須賀女子へと戻ったシュテルとテアは早速、真冬が居る校長室へと向かった。
コン、コン
「どうぞ」
「「失礼します」」
校長室には真雪と真冬の二人が待っていた。
シュテルの手には今回の白兵戦訓練で決めたルールが纏められた書類があった。
その後、シュテル、テア、真冬の三人でルール策定や日程の調整作業に取り掛かった。
「‥‥では、ルールはこれで‥‥会場である‥は‥‥」
「それはこちらで用意する。地図も事前にそっちへ送っておく」
「ありがとうございます」
ルール策定や訓練の舞台の設置等の話し合いを終え、シュテルとテアは校長室を後にする。
「「失礼しました」」
横須賀女子校舎の通路を歩きながらシュテルは、
「まさか、学生同士での訓練がここまで話が大きくなるとは思わなかったな」
シュテルが今回の件についてポツリと呟く。
「うむ、そうだな」
テア自身も当初は学生同士の訓練だと思っていたのだが、シュテルの言う通りまさかここまで大きなことになるとは思ってもみなかった。
「じゃあ、この後は人質役のエキストラさんたちを集めますか」
「うむ」
今回の白兵戦訓練はあの海上テロ事件の時のようにブルーマーメイドチームは人質救出で留学生組はテロリストとしてべんてんの乗員たちと訓練を行う予定なのだ。
そのため、留学生組以外の学生に人質役をやってもらおうという訳なのだ。
二人はまず、交流がある晴風クラスから声をかけた。
「えーっ!!真冬姉さんたちと訓練!?」
真白はシュテルからべんてんの乗員との白兵戦訓練の話を聞いて驚きの声をあげる。
「大丈夫なんですか!?相手はあの真冬姉さんなんですよ!?」
あの海上テロ事件やつい先程の白兵戦訓練の乱入からも真冬の体力や戦闘能力の高さが窺える。
そんな真冬相手に白兵戦訓練を行うのだから真白が驚き、心配するのも当然だった。
「ま、まぁ、そこは戦術と腕、そして運かな?」
シュテルはたとえ相手が真冬としても彼女も地球人類であることは変わりないので、戦術と運で倒すことも可能だろうと言う。
「それで、今回の白兵戦訓練の内容があの時の海上テロ事件みたいに人質救出する内容なんだけど、もしよければ人質役をやってもらえないかとこうして声をかけたんだけど‥‥」
「人質役‥ですか?」
「うん。あっ、人質と言ってもほとんど座っているだけか、救助に来たブルーマーメイドの人たちの指示に従うだけで、危険なことはないから」
「は、はぁ~‥‥」
「なんか、面白そうだね」
「いや、面白そうって‥‥」
真白は真冬相手に訓練をするシュテルたちのことを心配していたが、明乃は今回の訓練内容を聞いて面白がっている。
「ねぇ、シロちゃん。折角だし参加してみない?」
そして、真白に人質役として訓練に参加してみないかと言う。
「えっ!?」
「だって、人質役でもブルーマーメイドの人たちと一緒に訓練できるんだよ」
「ま、まぁ‥そうなんですが‥‥」
人質役で真冬やブルーマーメイドの人たちと直接戦う訳ではないが、間接的にブルーマーメイドの人たちと一緒に訓練に参加することが出来るので、これは真白や明乃にとってもある意味で貴重な体験となるだろう。
そういった面もあり、明乃は今回の訓練に参加することに積極的だったのだ。
明乃の誘いもあり、真白は人質役であるが今回の訓練に明乃と共に参加することにした。
その後もシュテルとテアは晴風クラスの生徒に声をかけ、
「宗谷さんが参加するなら私も参加するわ!!」
「クロちゃんがやるなら当然、あたしもやるぜ!!」
「姐さん、手を貸しますぜ」
と、晴風クラスのクラスメイトのほとんどが参加することになった。
まぁ、もともとイベント好きな彼女たちの性格を考えると高確率で参加するだろうと思っていた。
次にシュテルはもえかにも声をかけた。
やはり、もえかもブルーマーメイドの人たちと一緒に訓練できるということで参加してくれた。
晴風クラスやもえかの他にシュテルはみほにも声をかけた。
「西住さん」
「あっ、碇さん」
「ちょっといいかな?」
「うん、いいけど」
「実は西住さんに手伝ってもらいたいことがあって‥‥」
「えっ?何かな?」
「実は‥‥」
シュテルはべんてんの乗員との白兵戦訓練の話をして、訓練内容から人質役のエキストラを募集していることをみほに伝えた。
「えっ?ブルーマーメイドの人たちと一緒に訓練?」
「うん、そう‥‥それで知り合いの一年生の学生にも声をかけたんだけど、一年生だけではなく、同じ学年である西住さんにも声をかけたんだけど‥‥」
「いいよ!!私も参加する!!」
「そ、そう?ありがとう」
みほは目を輝かせながら訓練に参加する旨を伝えた。
「西住殿が参加するのであれば私も参加いたします!!」
そして、みほが参加するということで同じクラスメイトであり、西住殿の忠犬である秋山も当然参加した。
人質役の参加者の名前を手帳に記入し、ある程度の人数となり、次は作戦を練ることにした留学生組。
「今回の訓練の舞台の地図は先程、宗谷真冬さんから送られてきました」
「ありがとうメイリン。さっそくプリントアウトして」
「はい」
メイリンは早速送られてきた訓練会場の地図をプリントアウトし、留学生組は作戦案を練り始めた。
「やはり、ブルーマーメイドのキーマンとなるのが‥‥」
「宗谷真冬か‥‥」
「私たち、ヒンデンブルククラスはプラント奪還に参加していなかったけど、やっぱりあの人は凄かったの?」
「ああ、すごかった‥‥あれはとても子供には見せられないくらいにな‥‥」
「えっ?」
テアの発言を聞いて固まるシュテル。
(もしかして、今回の訓練を引き受けたのは間違いだったか‥‥)
ここでシュテルは今回のべんてんの乗員たちとの訓練はやるべきではなかったのかもしれないと思い始めた。
しかし、ここまできてやっぱり中止では後味が悪いし、流石に学生相手に真冬もテアが言うような、『子供には見せられない』 様なことはしないだろうと思いたかった。
「テアがそう言うくらいだから、やはり少人数の時、真冬さんと出会ったら‥‥」
「ああ、防衛ラインを下げてでも交戦は避けた方がいい」
「真冬さんを倒さなければ我々の勝利はないか‥‥」
留学生組はいかに真冬を倒すかを念頭にルールを見直しながら訓練のための作戦を練った。
一方、その対戦相手である真冬も自艦に戻り乗員たちにドイツからの留学生組との間で白兵戦訓練をすることを伝えた。
「‥‥って、訳で今度、ドイツから横須賀女子に留学している学生たちと白兵戦訓練を行うことになった!!」
『ええっー!!』
真冬の宣言にべんてんの乗員たちは思わず声をあげる。
「ん?なんだ?そのリアクションは?」
「で、でも相手は学生ですよ!?」
「しかも他国の‥‥」
べんてんの乗員たちは相手が学生と言うことで日夜テロリストや海賊相手に白兵戦をしている自分たちとでは相手にならないという空気が漂っている。
「お前ら、あいつ等をそこらの学生だと思ってナメてかかると痛い目に遭うぞ‥‥」
真冬の脳裏に自分が気づかぬ間に自身のブラジャーを掠め取ったクリスの姿が過る。
そして、まさかの真冬からのこの発言でべんてんの乗員たちは思わず固唾を飲む。
真冬にここまで言わせるのだからきっとすごい学生たちなのだろうと思わせる辺り、べんてんにおける彼女のカリスマ性が窺える。
「いいか、いくら訓練だからと言って決してナメてかからず、全力で行くぞ!!」
『応!!』
まさかのクリスの行動により、べんてんの士気をあげてしまったのだった。
こうして留学生組もべんてんも訓練当日まで自主的に訓練や作戦の策定を行った。
そして、訓練当日‥‥
横須賀女子の港湾区画には一隻の豪華客船が停泊していた。
この客船は今回の訓練の舞台であり、真冬が訓練のために手配した船だった。
そのほかにも港湾区画には横須賀女子の教官らも見学のためのテントが設置されている。
真霜たちブルーマーメイド関係者の姿もある。
「真冬も学生相手によくやるわね‥‥あのテロ事件であれだけ暴れたのにまだ暴れ足りないのかしら?」
真冬から今回の訓練の話を聞いた時、真霜はべんてんの乗員同様、あの真冬率いるべんてんの乗員相手に学生たちでは話にならず、訓練はすぐに終わるだろうと思っていた。
「真冬姐さん相手にどこまで頑張れるかしらね?」
「怪我無く終わってくれればいいけど‥‥」
福内や平賀も真霜と同じく訓練はすぐに終わると思っている。
舞台となる客船には、まず人質役のエキストラとなった学生たちが古庄教官の案内の下、乗船した。
「まずは、ブルーマーメイドの宗谷真冬艦長からメッセージがあります。『今回の訓練で人質役のエキストラを引き受けてもらい、感謝する。今回の訓練内容は客船がテロリストたちに占拠されたケースで、我々ブルーマーメイドは人質となった諸君らを救出する。そのため、人質役の諸君らには乗客として振舞ってもらいたいので、更衣室で用意した衣装に着替えてもらいたい‥‥』以上です」
真冬のメッセージを聞いて、
用意された衣装の部分に反応する学生が多かった。
「皆さんも先の海上テロ事件でべんてんの乗員たちによるプラント奪還と人質の救出を行ったことを知っているだろうと思う。今回の訓練もそれと同じに近い形にするため、皆さんには乗客として振舞ってもらいます」
古庄教官が人質役の学生たちを更衣室へと案内し、そこに用意されていた衣装に着替えるように伝える。
更衣室にはワンピースやパーティードレスの服が用意されていた。
しかし、靴に関してはヒールが高い靴は動く際に転倒してしまう可能性もあるので、靴だけは学生靴のままである。
人質役の学生たちは制服から用意されていた服に着替える。
「あの姉は形から入るタイプなんだから‥‥」
真冬の行動に呆れながらも真白は着替える。
着替え終わった真白はその名の通り白いワンピース姿となる。
「宗谷さん、とっても素敵よ」
「あ、ありがとう。黒木さん」
真白のワンピースを褒めた黒木は黒いワンピースを身に纏っていた。
「西住殿!!とっても似合っているであります!!」
「あっ、うん。ありがとう優花里さん。優花里さんもよく似合っているよ」
みほは白いゴスロリ風のドレスを着ており、秋山は‥‥
「うーん、私としては何やら複雑であります」
レディーススーツを身に纏っており、まさに男装の麗人みたいだった。
着替えが終わった学生たちは客船のロビーに集まり、次の指示を待つ。
「着替えが終わったみたいね。この後は訓練が始まるまで、皆さんにはレストランで待機してもらいます」
『はい!!』
ロビーからレストランへ移動する学生たち。
「なんかワクワクするね。これからテロリストたちが襲撃してくるわけだし」
「訓練とは言え、そんな悠長な‥‥」
明乃はこれから起こる訓練にワクワクしている様子であるが、真白はこの後、テロリストに扮する留学生たちが襲い掛かってくるとなると例え知っていても不安になる。
レストランにはバイキング形式で軽食やスイーツも用意されており、
『ご自由にお取りください』
と言う看板もあり、学生たちは訓練が始まるまで用意された軽食とスイーツを食べ始める。
学生たちはこれが訓練だと忘れかけたそのころ‥‥
ダーン!!
レストランに一発の銃声が鳴り響くと共に、
「動くな!!」
「全員、レストラン中央に集まれ!!そして、両手を頭の上におけ!!」
迷彩服にヘルメット、ガスマスクを装備し、ブーツを履き、手にはドイツ製の銃やライフルで武装したテロリストたちが雪崩れ込んできた。
訓練だと知っていながらもテロリストに扮する留学生たちの姿は本物のテロリストそっくりの迫力があった。
「もたもたするな!!早くしろ!!」
「変な動きをすれば撃つぞ!!」
「この船は我々が占拠した!!お前たちは人質だ!!大人しくしていろ!!」
テロリストに扮した留学生たちはレストランの中央に人質役の学生たちを集める。
「まずは、襲撃は無事に完了ってところかな?」
ガスマスクを取るシュテル。
訓練開始の第一段階としてレストランに居た学生たちを人質にとることに成功する。
「別動隊は?」
「作戦通り、船首、船体中央、船尾に銃座を設置しています」
「うん‥例の仕込み部隊の方は?」
「今、準備中です。人質を移動させている間に仕込みます」
「よし。では、早速移動させよう」
「了解」
シュテルは次に人質役の学生たちを船底部の倉庫へ移送した。
その際もテロリスト役に徹して、銃を突き付けていた。
「さて、これで準備完了か‥‥こういう時って映画とかだとテロリストは犯行声明を出すけど、訓練とは言え出した方がいいのかな?」
シュテルは犯行声明を出した方がいいのかと思い、クリスに聞いてみる。
「うーん、どうだろう?でも、ブルーマーメイドに客船が占拠されたことを知らせるためにやっぱりやった方がいいかもしれないね」
クリスは犯行声明を出した方が良いと言う。
「テア、やってみる?犯行声明」
「いや、私はいい」
「じゃあ、ミーナさんは?よく、ヤクザ映画見ているし」
「任侠とテロは別物じゃ!!それに艦長を差し置いてワシが目立つなんて‥‥」
(こういう時、ココが居ればな)
納沙が居ればきっと犯行声明を出す役に立候補していただろう。
しかし、その納沙は人質役で今は倉庫に閉じ込められている。
「じゃあ、私がやるか‥‥」
(確か、前の世界のネット界隈でシュ〇ちゃんの映画で有名なワンシーンがあったはず‥‥それをアレンジするか)
シュテルは前世の記憶からあるアクション映画のワンシーンを使うことにした。
「こんなこともあろうかと、ちゃんとカメラを用意しておきました」
メイリンがビデオカメラを用意していた。
「それ、バッテリーは十分?」
「はい、大丈夫です。映像を撮った後に教官たちのパソコンに転送しますね」
「うん。よろしく」
そして犯行声明の撮影が始まる。
「これはぁ、我ら真紅のジ〇ードの声明である。お前らは女や子供たちを殺したんだ‥‥我々の町に海から砲弾をばら撒いた。そのお前らが、我々を、『テ ロ リ ス ト』と呼ぶぅ!!だが今、迫害された者たちの手に、敵に反撃する強力な武器が与えられた。良く聞け、青人魚どもよ。ペルシャ湾全域から全ての艦艇を撤退させろ!即刻ぅ!そして永遠になぁ!真紅のジ〇ードは要求が通るまで日本の主要都市を毎週、ひ と つ ず つ !破壊していくことを宣言する。そして!!要求が入れられない時は、我らは迷うことなく、日本の主要な都市へのばぁくだん攻勢を開始するだろう!週に一つぅ!」
シュテルの犯行声明を録画し、それをパソコンに取り込み、テントの教官たちとブルーマーメイド隊員らのパソコンに転送された。
「さて、犯行声明を送られたことで、客船占拠事件がブルーマーメイドにも知れ渡った‥‥さあ、諸君‥‥戦争の時間だ‥‥」
こうして、留学生組と真冬たちべんてんの乗員たちの間の白兵戦訓練が始まった。
飛行機がないはいふり世界では、飛行機が登場するトゥルーライズは存在しない映画なので、はいふり世界の人はあの名言集を当然知らないので、シュテルが今回行った犯行声明が映画のセリフと知っているのはクリスと転生者だけでしょう。