やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

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ようやく、はいふりキャラが登場です。


20話

 

キール海洋学校が高等部への進学と同時に学生艦へ乗艦して海洋実習が始まるのとは異なり、ドイツ、ニーダーザクセン州、ヴィルヘルムスハーフェンにある、ヴィルヘルムスハーフェン海洋学校では、高等部から乗艦する学生艦の選定は中等部の成績と高等部に進学して初めての中間考査の試験結果から決められる。

そのヴィルヘルムスハーフェン海洋学校の教官室にて、一人の女生徒が教官に何やら頼みごとをしていた。

 

「本当にこの艦への乗艦を希望するの?クロイツェルさん」

 

「‥‥はい。私が乗艦する艦はこの艦以外には考えられません」

 

「でも、貴女の成績ならば、本来はビスマルクの艦長になれるのに‥‥」

 

教官はクロイツェルと言う女生徒に対して残念そうに言う。

 

「あの艦は‥‥アドミラル・グラーフ・シュペーはかつて、私の母が艦長を務めた艦であり、友との約束がありますから‥‥ですから‥その‥‥お願いします」

 

元々寡黙で、あまり感情を表に出さない彼女が此処まで多弁で感情を出したのを初めて見る教官は彼女の意を組んで、

 

「そう‥分かったわ」

 

学生艦の選定で手心を加えた。

ビスマルクの艦長にはクロイツェル生徒がシュペーの艦長になった事から繰り上げとなり、別の生徒が就くことになった。

 

 

その頃、既に学生艦へ乗艦し、何度も海へと出ているキール海洋学校のシュテル達は、先日の潜水艦への補給物資を届けた後、大西洋を航海中に学校が帰朝指示を出して来たので、一度学校へと戻って来た。

 

「急な帰朝指示だけど、一体何だろう?」

 

クリスが突然の帰朝命令に首を傾げる。

ヒンデンブルク自体に何かトラブルがあった訳でもないし、学校で何かイベントをやると言う事も聞いていない。

 

「また、別の艦の補給任務とか?シュテルンは何か聞いてない?」

 

ユーリが先日の潜水艦への補給任務からまた今回も同じ様な事ではないかと言う。

 

「さあ‥‥でも、何か嫌な予感と言うか面倒な予感がする‥‥」

 

シュテルは今回の学校からの帰朝指示には何か面倒事がありそうでならなかった。

学校へ戻ったシュテルは学長室へ行くように言われ、シュテルはサーベルを腰にぶら下げて、艦長帽を被り、コートを羽織る正装した服装で学長室へと行く。

 

コンコン、と学長室のドアをノックすると、

 

「どうぞ」

 

と、中から返答の返答があり、それを聞いたシュテルは学長室のドアを開ける。

 

「失礼します。ヒンデンブルク艦長、シュテル・H・ラングレー・碇、参りました」

 

学長に敬礼し、挨拶をするシュテル。

 

「待っていましたよ、碇艦長」

 

「は、はい」

 

学長とは進学式でサーベルを下賜された以降、特に顔を合わせる事がなかったので、こうして個人的に呼ばれたのは初めてなので、思わず緊張してしまうシュテル。

 

「今回、貴女を呼んだのは他でもありません‥‥碇艦長」

 

「はい」

 

「今度、ヴィルヘルムスハーフェン校との交換留学があるのだけれど、その交換留学に貴女達、ヒンデンブルクのクラスをヴィルヘルムスハーフェン校へ交換留学させようと思っています」

 

「わ、私達がですか!?」

 

「ええ」

 

「で、でも、交換留学と言う事は、本来ですと、二年、三年の先輩がするのでは‥‥?」

 

「その通りです。向こうからは二年生のティルピッツの生徒達が此方に交換留学に来ます」

 

「では、何故、此方は一年の私達なのでしょう?」

 

「実は‥‥」

 

学長は何故、今度の交換留学で一年生であるシュテル達を交換先のヴィルヘルムスハーフェン校へ送る訳を話した。

 

先日、ベルリンにて、ドイツ中の高校の学長、校長が集まる会合が開かれた。

その席には当然、キール海洋学校の学長もヴィルヘルムスハーフェン海洋学校の学長も出席した。

会合が終わり、会場の通路にて、

 

「おや?アンネじゃないか」

 

「ん?」

 

キール海洋学校の学長、アンネローゼ・シュタインベルクは声をかけられた。

 

「あら、ケルン。久しぶりね」

 

アンネローゼに声をかけたのはヴィルヘルムスハーフェン校の学長、ケルシュティン・ロッテンベルクだった。

アンネローゼとケルシュティンの二人は学生時代、同じ学校の同期生だった。

二人は通路を歩きながら、今年入学する中等部の新入生、高等部へ進学する一年生について話していたが、ケルンシュティンが高等部に進学した一年生の一人、テア・クロイツェルについて話しだした。

元々テアの実家のクロイツェル家は貴族ではないが、音楽家の一家であり、海軍、ブルーマーメイドの優秀な人材を輩出してきた名門家であった。

実際、テアの父親は海軍大将で母親はブルーマーメイドのエリートである。

そのクロイツェル家の令嬢であるテアがヴィルヘルムスハーフェン校の中等部に入学した時にはキール校でも話題になった。

優秀な人材をヴィルヘルムスハーフェン校に取られたと‥‥

そして、ケルンシュティンがテアに対して期待をしている様子が見て取れたが、他校の生徒の自慢話をこうして延々と聞かされていてはアンネローゼにとってはあまり面白い話ではない。

そこで、アンネローゼは対抗するかの様にシュテルの話をケルンシュティンに話す。

すると、キールのシュテル、ヴィルヘルムスハーフェンのテア、どちらが優秀なのかこの際、白黒つけようと言う事になり、ちょうどこのあとに控えていたキールとヴィルヘルムスハーフェンの交換留学でシュテルをヴィルヘルムスハーフェン校へと送り、テアと競わせる事にした。

これが今回、一年生ながらシュテル達がヴィルヘルムスハーフェン校へ交換留学する経緯であった。

 

「碇さん‥貴女達にこの学校の思いを託します」

 

(いや、託すって‥‥何勝手に決めちゃっているの!?って言うか、俺、完全に巻き込まれただけだよね!?学長同士の生徒自慢に巻き込まれただけだよね!?向こうのテア・クロイツェルって奴も俺と同じく巻き込まれたクチだよね!?)

 

心の中で今回の交換留学に対してツッコミを入れたが、学長の頼みで既にこの話は交換留学先のヴィルヘルムスハーフェン校にも話がいっている筈なので、シュテルに拒否権はないだろうし、前世と異なり、こうして真正面から期待され、頼りにされていると言う事にシュテルは自分を必要とされているのだと自身の存在の証明をしてもらっているので、何とか期待に応えるつもりだった。

 

「わ、分かりました。全力を尽くします」

 

こうして、シュテル達、ヒンデンブルクはヴィルヘルムスハーフェン校へと交換留学することになった。

シュテルは今回、ヴィルヘルムスハーフェン校へ交換留学する旨をクラスメイト達へと伝える。

クラスメイト達は一年生にも関わらず、ヴィルヘルムスハーフェン校へ交換留学すると言う事実に戸惑いつつも自分達が優秀だからこそ今回の交換留学に選ばれたと慢心した部分もあったので、シュテルとクリスはそうした慢心の部分を引き締め、自分達はキールを代表してヴィルヘルムスハーフェン校へと行くのであるのだから、自分達の失敗や失態はキール校の品位にも関わる事を十分に理解してもらった。

その後、交換留学の予定を確認するミーティングへと移った。

そして、ヒンデンブルクが交換留学の為、ヴィルヘルムスハーフェン校へ赴く日となった。

キールを出港したヒンデンブルクはヴィルヘルムスハーフェン校へ直接行くわけでは無く、ヴィルヘルムスハーフェン校の高等部の方も今日が初めての海洋実習で、ヴィルヘルムスハーフェンから同校所有の海上フロートの基地へと向かう予定となっている。

なので、ヒンデンブルクもその海上フロートの基地へと向かい、そこでヴィルヘルムスハーフェン校の生徒達と合流する。

キール校の港湾地区にある桟橋にはヒンデンブルクの見送りの為、学長と授業が入っていない手空きの教官、吹奏楽部の部員らが集まっていた。

そして、吹奏楽部は『Muss i denn』を演奏し、ヒンデンブルクを見送る。

 

「いってらっしゃい!!」

 

「頑張って!!」

 

「気を付けてね!!」

 

桟橋の教官達は手を振りながらヒンデンブルクの生徒達に声援を送る。

ヒンデンブルクの生徒達は手空きの者は甲板に出て手を振る。

シュテルも操艦を航海長のレヴィに任せ、ウィングに出て帽を振る。

ヒンデンブルクは声援と吹奏楽部の演奏を受け、キール校を出港していった。

 

ヒンデンブルクがキール校を出港してから少し経ったヴィルヘルムスハーフェン校の港湾地区でも一年生達がそれぞれの学生艦に乗艦し、海上フロートの基地への出港準備を整えていた。

 

「これより、学生艦による初の海洋実習を始める。各自、担当の艦に乗艦し、出航準備せよ!」

 

教官からの放送を聞き、ヴィルヘルムスハーフェン校の生徒達はそれぞれ自分達が割り振られた学生艦に乗艦していく。

その中で、ヴィルヘルムスハーフェン校の港湾地区に停泊する一隻の大型巡洋直接教育艦、ドイッチュラント級装甲艦の三番艦、アドミラル・グラーフ・シュペーでは、前甲板にアドミラル・グラーフ・シュペーの乗員が集まっていた。

 

「副長、皆揃ったか?」

 

「はい、艦長」

 

「よし、アドミラル・グラーフ・シュペー乗組員諸君。私は艦長のテア・クロイツェルだ。本日は諸君らと乗艦出来た事を嬉しく思う。我々は卒業までこの船で苦楽を共にし、お互いを支え合う一番の仲間となることだろう。だから、この船旅を最高なものにするために、皆の力を私にくれ‥‥さあ、錨を上げよ!!アドミラル・グラーフ・シュペー出航するぞ!!」

 

アドミラル・グラーフ・シュペー艦長のテア・クロイツェルは乗員に挨拶と檄を飛ばし、アドミラル・グラーフ・シュペーは出航した。

中等部の入学式の時、新入生代表挨拶をした時は『私から話す事は陸の上では特にない』の一言で済ませたテアだったが、ミーナ達との出会いで彼女もそれなりに成長したみたいだ。

 

その頃、ヴィルヘルムスハーフェン校の学生艦、そしてキール校のヒンデンブルクが目指している海上フロートの基地では、

 

「学長、ただいま、高等部一年生の学生艦、全艦が出航しました。それと交換留学相手のキール校のヒンデンブルクも出航したとの事です」

 

一足早くその基地へ到着していたヴィルヘルムスハーフェン校学長のケルンシュティンの元にヴィルヘルムスハーフェン校の学生艦、交換留学相手のキール校のヒンデンブルクがこの海上フロートの基地へ向かっている報告を受ける。

 

「たしか、一年の中にはあのクロイツェル家の娘が居るな‥‥」

 

「はい、アドミラル・グラーフ・シュペーの艦長を務めております」

 

「それにキール校のヒンデンブルク‥‥見せてもらおうか?アンネ‥‥貴女の言う自慢の生徒の実力を‥‥今年の一年の海洋実習は面白くなりそうね」

 

ケルンシュティンは眼前に広がる海を見ながら口元を緩め不敵な笑みを浮かべていた。

 

目的地の海上フロートの基地へはヴィルヘルムスハーフェン、キールから五日の行程だった。

ヴィルヘルムスハーフェンを出航した五日の朝、アドミラル・グラーフ・シュペーの食堂ではクラスメイト達が朝食をとっていた。

その中で、アドミラル・グラーフ・シュペー副長のヴィルヘルミーナ・ブラウンシュヴァイク・インゲノール・フリーデブルクは顔をほころばせながら朝食のおかずのブルストを食べていた。

 

「士官服を着ても中身は変わらないな」

 

そんなミーナを航海長のレターナ・ハーデガンは呆れた感じで言う。

ミーナとレターナは昔からの幼馴染だった。

 

「ちょっと食べ過ぎじゃないですか?」

 

書記のローザ・ヘレーネ・カールスは朝から食べ過ぎだと注意する。

 

「何を言う、この為に一日頑張れると言うモノだ」

 

「三食食べていますよね‥‥?」

 

ローザの口ぶりからミーナは食事では常にブルストを食べているみたいだ。

 

「朝から元気だな」

 

其処へ、艦長のテアも朝食の為、食堂へとやって来た。

 

「おはよう、諸君」

 

「艦長、おはようございます」

 

「艦長、お飲み物は何にしますか?」

 

アドミラル・グラーフ・シュペーの厨房長のエルフリーデ・ルフトがテアに飲み物を聞く。

 

「紅茶にしてくれ」

 

「はい」

 

「もうすぐ目的地ですね」

 

「初航海もあっという間だったなぁ‥‥」

 

「五日で三千キロです」

 

「手応えはないがな」

 

「当たり前よ、授業でしてよ。初航海でそんな難しい課題なんて出ませんわ」

 

「リーゼロッテ」

 

皮肉めいた言葉を投げかけたのはアドミラル・グラーフ・シュペー砲術長のリーゼロッテ・フォン・アルノーだった。

 

「艦長に対してその口のきき方はなんだ?」

 

「あらあら、レターナさんも先ほどしていましてよ」

 

「ぐぬぬ~」

 

リーゼロッテの態度に納得いかないミーナはリーゼロッテを睨みつける。

そこへ、

 

「こらこら、喧嘩はダメだぞ~」

 

医務長のマリーア・ローフが見張り員のエリーザ・アウグスタ・レーマンを抱きながらやって来た。

 

「もう私達は同じ艦に乗る仲間なんだから。そ・れ・と・も‥保健室で注射の練習相手になってくれる?」

 

「「っ!?」」

 

マリーアの目が笑っていない笑みの前にミーナもリーゼロッテも怯んだ。

 

「す、すまなかった‥‥それよりもエリーザが苦しそうだが‥‥?」

 

マリーアに抱きしめられているエリーザの顔色がなんだか青い。

 

「え!?朝食を抜こうとしていたから、無理に連れて来たんだけど、具合悪かったの?ごめんね」

 

「「いや、胸のせいだ」」

 

エリーザの顔色が悪かったのは、マリーアの大きな胸とチョークスリーパーを掛けられていた為だった。

ミーナとリーゼロッテはマリーアに対してツッコミを入れる。

 

「くっ、朝っぱらから格差社会をまじまじと‥‥」

 

マリーア達のそんなやり取りを見て、主計科のアレクサンドラ・ティエレは何だか不機嫌だった。

彼女はちょっと胸の大きさがつつましい大きさで、大きな胸のマリーアに対して思わず殴り掛かりたい衝動が沸き出ていた。

きっと胸の大きさに悩んでいるクリスとはいい友達になれるかもしれない。

そんなサンドラに、

 

「小さい方がいいじゃないですか」

 

「喧嘩売っているのか?」

 

機関科のレオナ・ベックナーが胸は小さい方が良いと言う。

 

「そんなことないです!!サンドラちゃんなら和装が絶対似合いますもの!!」

 

「オタクが…」

 

レオナはジャパニーズカルチャーが大好きな少女だった。

そこへ、

 

「はふぅ~‥‥夜間任務‥つかれたよぉ~‥‥」

 

機関長のロミルダ・ハンネ・カールスが眠そうな顔をしてやって来た。

 

「疲れているなら、座っていろ、朝食を取って来てやる」

 

「ロミーちゃんはゆっくりしていてね」

 

サンドラとレオナはロミーの為に朝食を取りに行く。

 

「わーい、ありがとう!」

 

そんな二人の級友の行為に満面の笑みを浮かべ礼を言うロミー。

 

「ちょろいなーちょっと可愛い子ぶったらすぐ優しくしてくれるんだもん‥‥って顔をしているぞ」

 

「してないもん!!」

 

エリーザがロミーの顔を見てアフレコをしながら呟く。

しかし、ロミーはそれを直ぐに否定した。

そんなクラスメイトのやり取りの中、ミーナはテアに朝食を食べさせる。

静かな、普段と同じ朝の風景が広がる中、突如‥‥

 

『はっはははっは!!アドミラル・シュペーの諸君、おはよう実にいい朝だね』

 

と外から大声が聞こえてきた。

 

「この声は‥‥」

 

ミーナ、テア、レターナ、リーゼロッテ、ローザの五人は急いで甲板へと出た。

すると其処に居たのは‥‥

 

 

 

 

キールを出航したヒンデンブルクも間もなく合流地点であるヴィルヘルムスハーフェン校所有の海上フロートの基地の近海まで来ていた。

 

「艦長、前方に二隻の艦が居ます」

 

「艦種は?」

 

「ビスマルク級とドイッチュラント級の二隻です」

 

「ビスマルク級のティルピッツはキール校に向かっているので、ヴィルヘルムスハーフェン校所属のビスマルクと思われます」

 

書記のメイリンがタブレットでヴィルヘルムスハーフェン校所属の学生艦を調べ、前方を航行するビスマルク級がヴィルヘルムスハーフェン校のビスマルクだと判断する。

すると、

 

『はっはははっは!!アドミラル・シュペーの諸君、おはよう実にいい朝だね』

 

ビスマルクから大声が聞こえてきた。

 

「なんだ?」

 

突然ビスマルクから大声が聞こえてきたので、シュテルは慌ててウィングに出て双眼鏡で前方の二隻を見る。

ビスマルクの乗員が朝っぱらからマイクを使いすぐ隣を航行しているシュペーに話しかけていた。

その二隻では、次の様なやり取りが行われていた。

 

「さあ、このビスマルクに道を明け渡しなさい」

 

「勝手に横を通ればいいだろう!!クローナ!!」

 

「‥‥」

 

ミーナはビスマルクの艦長、クローナ・ゼバスティアン・ベロナに向かって叫ぶ。

クローナとミーナは中等部に入った時に出会ったが、テアとクローナは昔からの知り合いで、クローナは何故かテアを昔から目の敵にしていた。

 

「えぇーそれじゃあ、つまらないでしょう。豆戦艦で遊ばないと」

 

「帰れ!!暇人!!」

 

「豆っていちいち嫌味な奴ね」

 

ミーナはもとより、リーゼロッテもあまりクローナにはいい印象を持ってはいなかった。

 

「あらあら、嫌われたものね」

 

「そんなことありません。きっとクローナ様を羨んでいるんですよ。ザスキアもそう思うでしょう?」

 

「‥‥」

 

クローナの取り巻きのビアンカ・フォスはクローナを持ち上げ、同じくザスキア・ラウデールも口にしはしないが首を縦に振り、賛同する。

 

「やっぱり?」

 

ビアンカとザスキアに言われ、ミーナ達が自分を羨んでいると思い込むクローナ。

 

「さあ、成績下位の艦は隅に寄りなさい!!この学年主席に与えられるビスマルクの邪魔よ!!」

 

ビスマルクは強引に幅寄せをしてシュペーの航路へ強引に割り込んで来る。

テアは冷静にビスマルクとの衝突を避ける為、左舷へと舵を切るように指示を出し、ビスマルクはシュペーの横を通り過ぎて行った。

 

そのやりとりを後ろから見ていたシュテル達は、

 

「呆れた‥‥」

 

「ホント、バカみたい‥‥」

 

「新しい玩具を自慢する子供みたいですね」

 

「強引に割り込んでもし、衝突でもしたら実習も何もあったものじゃないのに‥‥」

 

「あんなのがヴィルヘルムスハーフェン校の主席?」

 

と、ビスマルクの‥クローナの行動に呆れていた。

 

(雪ノ下でもあんな行動はとらないぞ‥‥あれが、学長が話していたヴィルヘルムスハーフェン校の主席、テア・クロイツェルなのか?)

 

アンネローゼからヴィルヘルムスハーフェン校の主席生徒の名前を聞いていたが、顔は知らないシュテルは、先程ビスマルクの乗員が言っていた『学年主席』と言う単語からあの迷惑な放送をして、買ってもらったばかりの玩具を見せびらかして、他者に自慢するお子様の様な行動をしているのがテア・クロイツェルだと思っていた。

 

「反対にシュペーの艦長は冷静に事を運んだな」

 

シュテルは反対にシュペーの行動に関しては褒めた。

 

(雪ノ下がシュペーの艦長だったら今頃、衝突事故を引き起こしていたな)

 

シュペーはビスマルクとの衝突事故を防ぐため、ビスマルク側の挑発には乗らず、自艦の安全を第一に考え航路をビスマルクに譲った。

まさに冷静な大人の対応だった。

もし、シュペーの艦長が雪ノ下だったら、負けず嫌いな雪ノ下の事だ、梃子でも航路を譲らずにビスマルクと衝突事故を引き起こしていただろう。

とは言え、あの状況では強引に幅寄せをして航路へ割り込んできたビスマルク側に過失があると判断されるだろうが‥‥

 

「なんだか、大変な事が起こりそう‥‥」

 

他校の‥‥ビスマルクとシュペーのやり取りを見て、この交換留学でも何やら色々と起こりそうな気がしたシュテルであった。

 

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