やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~ 作:ステルス兄貴
フッドの艦長はきんいろモザイクから、九条カレン、副長はHELLSINGからセラス・ヴィクトリアとなっています。
ヴィルヘルムスハーフェン校とイギリスのダートマス校との親善試合を翌日に控えた夜、二○○○に明日の親善試合に参加する学生艦の艦長と副長の面々が港に集まる。
(アレが巡洋戦艦フッドか‥‥確かにデカいな‥‥)
フッドのスペックはデータと写真で見たシュテルであったが、こうして実際に目で見てみるとフッドがいかに巨艦であるかを改めて見せつけられる。
艦種は巡洋戦艦ながら、その大きさは各国の巡洋戦艦を上回る大きさであり、それはまさに超弩級戦艦と言っても過言ではなかった。
そして、ブリジットが乗艦するプリンス・オブ・ウェールズはフッドよりも大きさは小さく、主砲の口径は若干劣るが、四連装の主砲は武骨なデザインであり、戦艦としての威厳を十分に放っていた。
集まった艦長、副長の中で、一番最後に来たのはシュペーのテアとミーナであった。
「おーい、こっちだぞ」
レンが二人に声をかけて、集合場所を教える。
「お前らが最後だぞ」
レンはニっと笑みを浮かべながらテアとミーナがラストであると告げる。
「別に遅刻はしていないだろう」
ミーナが時間に遅れた訳ではないのだから問題はないだろうと反論する。
(あれ?でも、ヴュルテンベルクの副長も来ていない様な気がするが‥‥)
ミーナはまだヴュルテンベルクの副長が来ていないと思っていたのだが、
「あっ、そうだ、紹介するよ。ウチの副長のジルケだ」
レンの後ろから眼鏡をかけた女生徒がひょっこりと現れる。
「あれっ!?いたのか!?」
てっきり、まだ来ていないと思っていたヴュルテンベルクの副長は既に来ていた事に驚くミーナ。
すると、ジルケはもうこういったことは慣れているのか、悟りきった顔で、
「影‥‥薄いので‥‥」
とポツリと呟いた。
(前世の俺だったら、羨んでいたな‥‥)
シュテルはジルケの影の薄さに関して、比企谷八幡だったら、きっと羨んでいたに違いないと思う。
前世の自分にはステルス機能があると自負していたが、あくまでもそれは自負であり、完全ではなく、ある特定の人物に関しては全く機能していなかった。
ジルケの場合ももしかしたら、そのケースにあたるかもしれないが、今のシュテルはそう言ったステルス機能に必要性を感じてはいなかった。
「揃った様ですね。では、早速挨拶と自己紹介を始めましょう」
マイヤーが進行役となり、ヴィルヘルムスハーフェン校とダートマス校の顔合わせが始まる。
「初めまして、私はダートマス校のエバンスです」
まず、挨拶をしたのは今回、ダートマス校の生徒達の引率者として来たダートマス校の教頭、サシャ・エバンスだった。
そして、エバンスがダートマス校の生徒達の紹介を始める。
「では、生徒達の紹介をしましょう。プリンス・オブ・ウェールズの艦長、副長の‥‥」
「ブリジットとキャビアちゃんです」
ブリジットが自分の名前と共にキャリーの紹介をするが、彼女の事を普段の呼び名であるキャビアと紹介する。
「ピアレットです!」
キャリーは即座に自分の名を訂正する。
「んー‥‥」
そんなブリジットをミーナはジッと見る。
(どう見ても普通の人にしか見えない‥‥どこが天才なんだ‥‥?)
ミーナは、やはり、ケルシュティンやキャリーの言う、艦橋に上がると別人になる、天才と言う言葉がどうしても信じられなかった。
「次にロドニーの艦長と副長の‥‥」
「あっ‥‥ええっと‥‥チェンバレンです‥‥双子です」
「二人はちょっと恥ずかしがり屋さんなの」
ロドニーの艦長と副長は同じ顔をしている女生徒だった。
二人は一卵性双生児みたいで、姉のマニ・チェンバレンが艦長を、妹のララ・チェンバレンが副長を務めていた。
妹のララは姉のマニの後ろから顔をのぞかせており、姉のマニもちょっと、おどおどした様子なので、ブリジットが言う通り、二人は恥ずかしがり屋なのだろう。
「へぇ~珍しいな」
「ホント、双子で同じ艦に乗艦しているなんて‥‥」
(でも、俺が言うのもなんだが、高校生で恥ずかしがり屋って大丈夫かな?これで変な内容の作文でも書いていたら、あの独身から難癖をつけられてあの隔離病棟(奉仕部)にぶち込まれていたぞ‥‥)
双子自体珍しい存在であり、その双子が同じ艦に乗っている事に珍しさを感じるミーナとシュテル。
それと同時に、もし彼女達が前世の総武高校に居たら、きっと平塚先生に目をつけられ、奉仕部に問答無用でぶち込まれていたと思った。
あのおどおどした様子では平塚先生の威圧の前には蛇に睨まれた蛙で、断る事なんて出来なかっただろう。
とは言え、二人は女生徒なので、雪ノ下からの罵倒、平塚先生からの鉄拳制裁はなかったかもしれない。
「次にフッドの艦長と副長の‥‥」
「ハァーイ!!フッド艦長の九条カレン、デース!!パパが日本人、ママがイギリス人デース!!」
「っ!?」
フッドの艦長だと名乗る九条カレンの声を聞いたシュテルは思わずビクッと体を震わせる。
(な、なんだ、このカレンって奴は‥‥?由比ヶ浜そっくりの声じゃねぇか‥‥)
カレンの声は口調に片言が混じるが、彼女の声は前世で愛犬を助けたにもかかわらず、一年以上の間、礼も言わず、常に自分の事を罵倒し、依頼は受けるが本人は何もせず、修学旅行で雪ノ下同様、自分が受けた依頼を半ば放棄していたにも関わらず、その依頼を解決した自分を拒絶したかつての部活仲間の女生徒と声が瓜二つだった。
ヒッキー、マジキモい!!
サイテー!!
死ねば!!
人の気持ち、もっと考えてよ
ヒッキーなんて、もう来てほしくないもんね
「‥‥」
シュテルの脳裏には前世で由比ヶ浜からの拒絶の言葉が繰り返し再生され、顔色が悪く、身体は小さく震えている。
「‥シュテルン?大丈夫?なんか、顔色が悪いみたいだけど‥‥?」
クリスが心配そうにシュテルに声をかける。
「だ、大丈夫‥ちょっと緊張しているだけだから‥‥」
「‥‥」
シュテルはそう言うが、クリスは何故、シュテルの顔色が悪いのか原因は当然思い当たる。
クリス自身もカレンの声を聞いて、顔や態度には見せなかったが、驚いていた。
(あのカレンって人の声、由比ヶ浜さん、そっくりですね‥‥でも、由比ヶ浜さんはこの世界の日本に転生している事は確認済みなので、あの人は由比ヶ浜さんの転生体ではないのですが、あそこまで声がそっくりな人は初めて見ました‥‥八幡さんの顔色が悪くなるのも分かりますが‥‥)
シュテルが八幡だった頃のトラウマを思いだし、顔色が悪くなっているのだろうとクリスはそう判断した。
「フッド副長のセラス・ビクトリアです」
カレンの次に挨拶をしたのはフッドの副長であるセラスと名乗るカレン同様金髪の女子生徒だった。
(この人の声はメイリンそっくり‥‥)
フッド艦長のカレンは由比ヶ浜そっくりの声だったが、フッド副長のセラスはヒンデンブルクの書記、メイリン・ホークの声とそっくりだった。
シュテルはまさか、由比ヶ浜と自分のクラスの書記の声とそっくりの人物に会うとは思わなかった。
カレンは片言なので、由比ヶ浜とは発音で区別はつくが、メイリンとセラスは目をつむって同じ台詞を言われたらどちらが言ったのか区別がつかない程だ。
シュテルはカレンの声を聞いて前世のトラウマが蘇り、顔色を悪くしたが、クリスはセラスの姿を見て、メイリンの声に似ていた事に反応しつつも、何故かセラスの事を睨んでいた。
「‥‥クリス、どうかしたの?」
クリスの様子に気づいたシュテルがクリスに声をかけるが、クリスはシュテルの声に気づかずにブツブツと何かを呟いている。
耳を澄ませてみると、
「何、あの胸‥‥高校生で何あのサイズ‥‥そう言えば、ユーリもここ最近、胸がきつくなったとか言っていたけど、金髪?金髪は皆、胸がデカい訳?」
クリスが不機嫌そうにセラスを見ていたのはセラスの胸が高校生では平均以上の大きさを誇る巨乳だったからだ。
「‥‥」
こうなったクリスに余計な事を言うと、自分に飛び火する可能性があるので、触らぬ神に祟りなしである。
クリスが闇落ちした天使の様になった事に気づいたマイヤーでさえ、クリスに声をかける事無く、無視を決めこんでいる始末だった。
「え、えっと、次はレパルスの艦長と副長――――」
最後にレパルスの艦長と副長が紹介される。
「‥‥」
レパルスの艦長もテア同様、身長は小さくしかも無口無表情、白金のショートヘア。
第一印象はイギリス版テアみたいな感じだった。
「艦長のグレニア・リオンで、私は副長のドロシー・ウィリアムズです」
無口な艦長に代わって副長のドロシーが艦長と自分の名前をドイツの面々に紹介する。
(テア並みに小さい艦長だな‥‥)
ミーナもグレニアの身長が小さく、テアの様だと言う印象を受ける。
イギリス組の紹介が終わったので、ドイツ側が自己紹介の番となり、
「よろしく‥‥」
ミーナがニコッと笑みを浮かべて、自己紹介をしようとしたら、
「ぶっ潰す!!」
『!!?』
グレニアがいきなり、言葉を発したと思ったら、いきなりでかい声で宣戦布告の様な言葉を発してきた。
それに対して、ミーナはもとより、テア、そして味方であるチェンバレン姉妹もビクッと体を震わせて驚いた。
「わわっごめんね」
いきなり、宣戦布告をしたグレニアを羽交い絞めにしてちょっと距離をとり、謝るドロシー。
(凶暴そうだ‥‥)
(狂犬だな、ありゃ‥‥)
ミーナもシュテルもグレニアは身長からイギリス版のテアかと思ったが、その中身はテアとは異なり、凶暴な狂犬だった。
グレニアの宣戦布告と言うアクシデントがあったが、ドイツ組は自己紹介を始め、シュペー、ヴュルテンベルク、ビスマルクの艦長、副長の自己紹介が終わり、最後はシュテル達の番となる。
「ヒンデンブルク艦長のシュテル・H・ラングレー・碇です。キール校所属ですが、現在は交換留学の為、ヴィルヘルムスハーフェン校へ来ております」
「同じく、ヒンデンブルク副長のクリス・フォン・エブナーです」
シュテルとクリスがイギリス組に挨拶をすると、
「イカリ?貴女も日本人のママかパパが居るデスカ?」
カレンがシュテルの苗字の中に日本人の苗字が混じっていた事に気づき、訊ねてきた。
「う、うん‥‥ち、父が日本人‥‥」
「really!?」
自分と同じく父親が日本人と言う事に驚くカレン。
「う、うん‥‥碇・ラングレー・シンジ‥‥結婚しているから名前の中にラングレーが入っているけど、父親は純粋な日本人」
「Oh、あの世界的に有名なチェリストのイカリさんですね!?」
「う、うん‥そう‥‥」
「Oh、私、あの人の演奏、大好きです!!まさか、この場にあの人の娘さんがいるなんて感激です!!」
テア同様、カレンもシュテルの父、シンジのファンだったみたいで、感極まってシュテルに抱き付く。
「あわわわわ‥‥」
由比ヶ浜と同じ声の人物から抱き付かれて赤面しつつ驚くシュテル。
前世では絶対にありえない事だ。
「ちょっ、何やっているんですか!?」
クリスが慌てて駈け寄り、シュテルからカレンを引き剥がす。
「シュテルン、大丈夫!?」
「だ、大丈夫‥‥」
前世のトラウマの切っ掛けとなった人物と同じ声を持つ人に抱き付かれ、シュテルが気分を壊したのではないかと心配するクリス。
シュテルは多少、息を切らしているが、過呼吸までとはいかないので、何とか持ちこたえた。
(はぁ~、情けない‥‥いつまでも前世のアイツらの幻影に悩まされるなんてなぁ‥‥この世界にも、もしかしたらこの世界のアイツらが存在するかもしれないんだから、いつまでも引きずっている訳にはいかないよな‥‥)
シュテルはこの世界の戸塚に会うのであれば、当然、この世界の雪ノ下、由比ヶ浜、葉山の三人と出会う可能性があり、由比ヶ浜の声に似ている人物と出会い、抱き付かれただけで此処まで動揺してはいざ、この世界のあの三人に出会ったら、過呼吸発作を起こして倒れてしまうかもしれない。
日本へ行く前にこのトラウマを克服する必要があるシュテルだった。
(今回のこの親善試合で、フッドを倒し、このトラウマをなんとか克服するぞ‥‥)
その為、今回の親善試合にて由比ヶ浜と声がそっくりなカレンを倒し、由比ヶ浜へのトラウマを克服しようとするシュテルだった。
「それでは挨拶は終わりましたね。明日は日頃の成果を出し合う様、健闘を祈ります‥‥と、その前に一つ伝え忘れていました」
マイヤーが顔合わせを〆る前に、もう一つ、連絡事項を伝える。
「代々この親善試合では勝者の中から、活躍が目覚ましい生徒に対して、両校から記念の勲章が与えられます」
と、この親善試合のMVPの生徒にはヴィルヘルムスハーフェン校とダートマス校の両校から、勲章が贈られると言う。
「大変、名誉あるものなので、両校の歴史に名を刻む事になるでしょう。さて、此処まででの中で、何か質問はありますか?」
マイヤーは今度こそ、〆る直前に、生徒達に質問はないかと訊ねる。
「は~い」
すると、クローナが手を上げる。
何か質問がある様だ。
「何か?」
「旗艦は勝手に決めていいんですか?」
クローナは艦隊の旗艦は学校側が決めるのか、それとも参加する生徒達の中で勝手に決めて良いのかを質問する。
「構いません。勲章を狙うのであれば、その方が、効率がいいでしょう」
マイヤーは、艦隊旗艦は生徒達で勝手に決めて良いと言う。
プライベートが高く、目立ちたがりなクローナは恐らく自らが艦長を務めるビスマルクを旗艦にするつもりだろう。
それに関しては、別にシュテルもテアもレンも文句を言うつもりはない。
むしろ、三人は旗艦なんて柄ではないと言うか、シュテルとテアの場合は面倒で目立つことは極力避けたかった。
だが、マイヤーの言う、「効率がいい」と言う部分に何か引っかかりを感じる。
「貴女はいいのですか?我関さずと言う顔をしていますが」
「興味ないので」
マイヤーはテアに対して訊ねる。
テアは勲章にも旗艦にも興味が無さそうであり、やはりシュテル同様、どちらにも興味がないと言う。
ただ、この後のマイヤーの言葉でテアにしては珍しくやる気になる。
「そうですか、それは残念ですね‥‥この勲章は貴女の母親も獲られたものなんですが‥‥」
テアの目が一瞬見開いて、興味があるように見えたが、すぐにいつものポーカーフェイスに戻り、口では、
「‥‥母は関係ありません」
とあくまでも普段の姿勢を貫いた。
「‥‥はぁ~そうですか‥‥まぁ、私にはビスマルクではなく、シュペーを選んだことも理解に苦しみます」
テアが高等部進学時、乗艦する学生艦でビスマルクではなく、敢えてシュペーの艦長にして欲しいと頼んだ時、担任の教官はテアにしては珍しく必死に頼み込んできたので、担任の教官はテアの頼みを聞いたのだが、その時マイヤーは反対していた。
だが、面白そうだと学長のケルシュティンの一言で即決され、マイヤーの反対意見は却下された。
「才能ある者がそれを発揮しないのは罪です」
マイヤーはまるでテアの存在を否定するかのような口調で言う。
「‥‥」
テアはマイヤーの言葉を黙って聞き、クローナは苦虫を嚙み潰したように顔を歪める。
マイヤーが語った先程の話はいわば暴露話であり、散々、テアやシュペーをバカにして来たにもかかわらず、本来のビスマルクの艦長はクローナではなく、テアであり、クローナはテアの行為で今の地位に着けたのだと、ミーナ、レン、ジルケ、シュテル、クリスに教えた様なモノだ。
クローナにとっては知られたくない事情だったのだろう。
プライドの高い彼女にとってはビスマルクの艦長の座を譲られたと言う事実は屈辱だったのだろう。
(彼女と雪ノ下とは御同類だな‥‥)
シュテルは、やはりクローナと雪ノ下は似ていると改めて思った。
しかし、同族嫌悪と言う言葉がある通り、例え、クローナと雪ノ下が似ていても二人が友人になれるかと言われれば恐らく『NO』であろう。
二人が対峙したらきっと、皮肉と罵倒の応酬が繰り広げられるだろう。
個人的にはどちらが勝つのかちょっと気になるので、見てみたいものだ。
「少し、言い過ぎましたね。これにて解散します」
マイヤーは今度こそ顔合わせを〆た。
しかし、シュテルにはマイヤーがテアのやる気を少しでも引き出そうとしか思えなかった。
「あっ、ベロナ艦長」
解散し、皆がその場から去ろうとした際、クローナは不機嫌そうな様子で去ろうとするがシュテルが呼び止めた。
「なに?」
副長のザスキアは無口無表情で何を考えているのか分からないが、知られたくない事実を暴露され、顔も口調も不機嫌だ。
「一応、この後、艦長会議をするので、嫌でも出てくださいな、行き当たりばったりで勝てる相手ではない事は承知の筈ですよ。出たくなければ出なくても結構、その時は、我々は会議で決めた作戦通りの行動をとりますので‥‥」
「チィッ」
クローナは舌打ちをした。
「シュテーゲマン艦長もよろしいですか?」
「あ、ああ」
レンも艦長会議をする事に反対はしなかった。
テアとは事前に艦長会議を開くことを話しているので、この後艦長会議を開くことを知っており、反対することもなかった。
シュテルがクローナ、レンに話しかけている頃、クリスはブリジットに話しかけていた。
「あの‥‥」
「ん?なに?」
「どうしても気になることがありまして‥‥」
ミーナはクリスがブリジットに探りを入れるのかと思った。
それはキャリーも同じようで、クリスを少し警戒している。
しかし、クリスの口から意外な質問が飛び出す。
「乙女と戦車を題材にした日本アニメがあるのですが、その中でイギリス被れな学校の生徒の台詞の中で、『どんな走りをしようとも、我が校の戦車は一滴たりとも紅茶をこぼしたりはしないわ』って言葉があるんですが、イギリスの海洋学校の方もそうなんですか?」
「「‥‥」」
クリスの質問に唖然とするミーナとキャリー。
反対にブリジットは律儀にクリスの質問に対して答える。
「勿論、戦車だろうと艦だろうと同じですわ。そのキャラクターの台詞を借りるのであれば、『どんな天候だろうと、砲弾が降る時だろうとも、我が校の学生艦は一滴たりとも紅茶をこぼしたりはしないわ』」
「おぉぉー」
クリスは生粋のイギリス人から格言を言われ、ちょっと感動している様子だった。