やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

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29話

 

『ヴィルヘルムスハーフェン海洋学校とダートマス海洋学校の合同訓練プログラムの親善試合を始める。全艦指定の位置についたら、試合を開始する』

 

シュテル達、ヒンデンブルクの生徒らはヴィルヘルムスハーフェン校ではなく、キール校所属なので、今回のダートマス校との親善試合にはほぼ無関係なのだが、シュテルの実力を見る為、ヴィルヘルムスハーフェン校学長のケルシュティンは今回の親善試合にシュテル達、ヒンデンブルクを参加させた。

 

ヴィルヘルムスハーフェン校、ダートマス校、両校の親善試合が始まり、各校の学生艦が開始位置へと着くと、

 

『それでは、試合開始!!』

 

親善試合が始まる。

 

「フッド、レパルス、先行していきます!!」

 

プリンス・オブ・ウェールズの艦橋で、艦長のブリジットは艦長席に座り、優雅に紅茶を飲みながら、眼前の戦場を見て、周りからの報告に耳を傾ける。

 

「やはり、ロドニーが居る分、こちらの速力は落とさなければなりませんね」

 

キャリーが後ろを航行するロドニーに合わせて航行しているので、プリンス・オブ・ウェールズの戦艦ながらも28ノットと言う高速を出せない事に悔しそうに呟く。

 

「まぁいいではありませんか、王者は王者らしく、堂々と、そして悠々とするものですわよ、キャビアちゃん」

 

「はぁ‥‥」

 

「では、開戦の合図といきますか‥‥全艦、ドイツ艦との距離を詰め、砲撃用意」

 

「了解」

 

フッド、レパルス、プリンス・オブ・ウェールズ、ロドニーの主砲が右舷へと旋回し、その方向をドイツ艦隊へと向ける。

 

「とは言え、この距離がある中では命中弾は、あまり期待出来ないでしょうけど‥‥」

 

「そうね。でも、こうして正々堂々と開幕の合図を撃つ‥‥実にエレガントじゃない?」

 

「そうですね、ブリジット様」

 

「砲撃準備完了!!」

 

「さあ、開戦の合図を高々とあげましょう!!‥‥砲撃開始」

 

「砲撃開始!!」

 

プリンス・オブ・ウェールズの主砲が火を噴くのを皮切りに、

 

「撃ちます!Fire!」

 

「ぶっ潰せ!!」

 

「ほ、砲撃開始‥‥」

 

ダートマス校の学生艦の主砲が一斉に火を噴く。

砲弾はドイツ側の先頭を航行しているビスマルクとその後ろを航行しているヒンデンブルクへと向かっていく。

 

「流石に開戦初弾の命中は、あまり期待出来ませんが、此方側の一斉射撃で精神的な揺さぶりはかけられるかと思いますけど‥‥」

 

ドイツ側へ飛んで行く砲弾を見ながらキャリーが呟く。

 

「うーん、これでビスマルクとヒンデンブルクの両方‥‥それか片方だけでも当たってくれればいいんだけどなぁ~」

 

ブリジットは唇に手を添えてビスマルク、ヒンデンブルクの両方、またはそのどちらかに命中弾を与えたいと言う。

すると、ブリジットの希望通り、

 

ドォン!!

 

ドイツ艦隊の先頭を航行していたビスマルクに開幕いきなりの命中弾を与えた。

 

「先頭、ビスマルクの後部に数発に命中!!」

 

「やりましたね、ブリジット様」

 

「ええ、幸先のいいスタートをきれたわ」

 

ビスマルクに命中弾を与えたことに満足そうなブリジットだった。

偶然のまぐれとはいえ、戦果は戦果である。

開戦当初で、ドイツ艦隊の中で厄介なビスマルクを中破させた事で士気は上がっていた。

 

一方、開幕射撃でいきなりビスマルクが被弾したドイツ側の方は混乱と士気の低下が見られる。

 

「三番、四番砲塔起動不能!!」

 

「駆動力系反応なし!!」

 

ビスマルクの艦橋には被弾による被害報告が次々と入る。

 

「ちょっと!たかが模擬弾頭ごときで、何で駆動力までやられているのよ!?」

 

ビアンカは伝令のクラスメイトに砲塔の他に模擬弾頭を食らっただけで機関まで不良になったことに声をあげる。

 

「おそらく衝撃の影響で接触不良がおきたものかと‥‥」

 

伝令のクラスメイトはどうして模擬弾頭でビスマルクの機関が不良になったのかの原因をビアンカに伝える。

 

「出力、動力共に低下!!」

 

「前進できません!!」

 

ビスマルク被害が次々と入る中、艦長のクローナの不機嫌のボルテージは上がって行き、歯ぎしりをし、

 

「開幕早々やってくれるじゃない!!」

 

声を荒げ、地団駄を踏む。

そんな不機嫌なクローナにビアンカはビクッと体を震わせる。

 

「泣いて懺悔しても許さないわよ‥‥」

 

クローナの背後からは暗黒魔界の黒い瘴気のようなモノが見えた気がした。

そんな彼女にビアンカ達はドン引きし、ほとんど感情を露わにしないザスキアでさえ、冷や汗をかいている。

 

「体制を立て直すぞ!!応急修理班は修理を急げ!!」

 

「りょ、了解」

 

クローナはビスマルクの修理を急がせる。

先頭を航行していたビスマルクが被弾した事で後続のヒンデンブルク、シュペー、ヴュルテンベルクは主舵をきってビスマルクとの衝突を回避する。

ビスマルクの現状はヒンデンブルク以下の味方にも伝えられる。

 

「ビスマルクとの通信が回復しました」

 

「被害は?」

 

「乗員に怪我は無い様で、ベロナ艦長も無事みたいです」

 

「ああ、そう‥‥」

 

(ああ言う奴こそ、しぶとく生き延びるからな‥‥)

 

シュテルはクローナが無傷だと言う報告を聞いて、善人は早死にし、悪党は長生きすると言うジンクスが当たっていると実感する。

 

「あと、指示が来ています」

 

クローナは自艦意外にヒンデンブルク、シュペー、ヴュルテンベルクにも指示を出していた。

 

「‥‥なんて言ってきている?」

 

(どうせ、碌な事じゃないだろう‥‥)

 

こういう場合、一時的でも旗艦・指揮権の移譲をするものだが、プライドが無駄に高く、負けを認めない雪ノ下と同じ性格のクローナならば、そんな指示は出さないだろう。

故にシュテルはクローナの指示はきっと碌な指示ではないだろうと思った。

 

「えっと‥‥『ビスマルクはこれより、修理に入る。修理中、ビスマルクを守れ、下僕共』‥‥です」

 

「‥‥」

 

(バカか、アイツは‥‥)

 

シュテルの思惑通り、クローナの「ビスマルクの修理中、ヒンデンブルク、シュペー、ヴュルテンベルクはビスマルクを守れ」という命令は三艦をこの場に留まらせル事になる。

それはつまり、無傷の三艦もダートマス校の射撃の標的になれと言う事だ。

そうなれば、ドイツ側は反撃することなく、何もすることなく敗北するかもしれない。

味方の士気を下げるどころか、無意識ながらもコールド負けを指示したクローナに呆れるシュテル。

 

「ビスマルクを修理と言うが、どこまで回復出来る事やら‥‥」

 

シュテルは黒煙を吹いて停止しているビスマルクを見て呟く。

 

「見たところ、後方の三番、四番砲塔は使用不能‥‥」

 

被弾箇所の後部砲塔はもう使えないと推測するシュテル。

 

「ダートマス校の戦艦群相手にビスマルク無しの戦力では少々荷が重いですね」

 

クリスが現有の中で一番の火力を有するヒンデンブルクでもダートマス校の戦艦四隻の相手はキツイと言う。

 

「機関にも損害が出ているみたいで、修理と言うのは恐らく主砲ではなく機関のほうでしょう」

 

メイリンがビスマルクからの通信と現状を見て、修理するのは砲塔ではなく機関ではないかと言う。

 

「だろうな‥‥」

 

これで主砲の修理の為、足を止めているのであれば、真正のバカであり、テアが譲ったとはいえ、本当にビスマルクの艦長職を務める程の成績を出したのかさえ怪しいモノだ。

 

「とは言え、此処で足止めをしてはただの標的です」

 

「分かっている」

 

シュテルも現状が決してドイツ側が有利とは言えないことぐらい分かっているし正直、クローナの命令があまりにも馬鹿馬鹿しいとさえ思っている。

しかし、考える間もなく、ダートマス校の戦艦群は砲撃を続ける。

水平線の向こうから再び轟音が響く。

 

「敵艦隊、次弾発射!!」

 

「っ!?」

 

ビスマルクに当てたのだから次はビスマルク同様、ドイツ側の中で厄介な存在のヒンデンブルクを狙って来るだろう。

 

「総員何かに掴まれ!!対ショック姿勢!!」

 

シュテルが艦橋要員に大声で伝えた直後にヒンデンブルクの周りに沢山の水柱が上がる。

 

「くっ‥‥被害は!?」

 

「今回は何とか全弾逸れました‥‥しかし‥‥」

 

「ああ、いつビスマルクの二の舞になっても可笑しくはない」

 

クローナの命令でおり、この海域で止まっていると、味方の被害が増すばかりであった。

 

 

「次弾は全弾外れました」

 

プリンス・オブ・ウェールズの艦橋から第二斉射の結果をキャリーがブリジットに報告する。

 

「まぁ、最初のビスマルクへの砲撃がラッキーだったと言う事でしょう‥‥さあ、ヴィルヘルムスハーフェン校の皆さんはどうでるのかしら?」

 

ブリジットはクスッと笑みを浮かべた。

 

 

(これ以上、味方に被害を出すわけにはいかないな‥‥)

 

「これより、本艦はイギリス艦隊へ接近する。後続のシュペーとヴュルテンベルクにもその旨を伝達」

 

シュテルは、やはりクローナの命令はあまりにも無茶がある為、彼女の命令を蹴る決断をした。

 

「シュペーとヴュルテンベルクにも続くように‥‥ですか?」

 

「あくまで、提案だ。ビスマルクの機関が直るまで此方に注意を逸らせる。幸い、連中の次の目標は本艦だからな‥‥もし、それでベロナ艦長がギャアギャア騒ぐようならば‥‥」

 

「騒ぐようならば?」

 

「‥‥ビスマルクに魚雷を撃ち込め」

 

「えっ?」

 

メイリンもクリスも‥‥いや、艦橋に居た誰もがシュテルの言葉に固まった。

敵ではなく、味方の筈のビスマルクに魚雷を撃ち込めと言うのだから‥‥

 

「か、艦長、それは‥‥」

 

「無能な味方は有能な敵よりも厄介だ‥‥まして、負傷して足手纏いになる奴ならば尚更だ‥‥通信員、急ぎ三艦に通信!!まぁ、あくまでも命令ではなく、提案と言う形でだ‥‥」

 

シュテルはクローナが自分の提案を聞いてギャアギャア騒ぎ、このまま標的になるような命令を続行させるようであれば、ビスマルクに魚雷を撃ち込んで、ビスマルクを強制リタイアさせるつもりだった。

 

「りょ、了解」

 

通信員は急ぎ、シュテルの提案をビスマルク、シュペー、ヴュルテンベルクに伝えた。

 

「なるほど、確かにビスマルクの修理が終わるまで、此処に留まるのは危険だ。ダートマス校の戦艦を引き離すにはそれしかないか‥‥」

 

テアはシュテルからの提案を受け入れる。

勿論、レンも同様に受け入れた。

そして、シュテルから無能な味方と言う印象を抱かれたクローナはと言うと、

 

「死んだふりをしろですって!?」

 

シュテルの提案にクローナは思わず声をあげる。

 

「は、はい。他校の碇艦長からの提案‥‥というのは少々癪ですが、他艦をこのままこの海域に留まらせるよりも有効かと‥‥」

 

ビアンカがクローナに恐る恐るシュテルの提案は有効策であると言う。

 

「くっ、このビスマルクが死んだふりだと‥‥?他校の生徒の分際でこの私に‥‥ビスマルクの艦長たる私に提案だと‥‥畜生が!!」

 

クローナは握り拳を力一杯、ギュッと握り、歯をギリギリと鳴らし、苦虫を嚙み潰したように顔を歪める。

しかし、ビアンカの言う通り、ビスマルクの修理が終わるまで他の三艦をこのままこの海域に留まらせておくと、ビスマルクの修理が終った頃には他艦が損傷を受け、まともな勝負なんて出来ない可能性もある。

クローナはビスマルク以外の艦の事なんて感心もなければ、興味もない。

他艦がどうなろうと知った事ではないが、いざ勝負の時、駒がなければダートマス校の戦艦相手にビスマルク一隻では勝てない。

それぐらいの事はクローナでも分かっている。

故にクローナはシュテルの提案を受け入れざるを得なかった。

クローナは煙幕を展開させて、煙幕で船体を隠すと共に被害を大きく見せることにした。

 

「ほう‥‥」

 

試合の様子をケルシュティンとエバンスは海上フロート基地の屋上から双眼鏡、望遠鏡で観戦していた。

そして、ケルシュティンはビスマルクの行動を見て一言呟く。

 

「ククク‥‥二次災害に見立ててビスマルクを置き修復を待つか‥‥面白い作戦をとったな」

 

「経験の浅い学生にしては判断も早い。良い生徒が育っていますね」

 

エバンスはクローナの判断を褒めた。

 

「さあ、これであなたの所の生徒はどう出るか‥‥時間稼ぎだと気づくかな?」

 

「残念ながら私にはもう分かっています」

 

「!」

 

エバンスには次にブリジットがどんな手を取るのか既に読めているみたいだった。

 

「私がダートマス校に赴任して30余年‥‥ここまで多くの生徒を教えてきても彼女よりも優れた生徒は見たことがありません。ブリジットは最高の指揮官ですよ。フフ‥‥」

 

エバンスは微笑みながらブリジットを褒めた。

 

偽装黒煙を上げたビスマルクを見てシュテルは機関室へ電話を入れる。

 

「機関長」

 

「はいな」

 

「重油を異常燃焼させて黒煙を出して」

 

「重油を異常燃焼させる?」

 

シュテルは機関長のジークに燃料である重油を異常燃焼させるように伝える。

 

「黒煙を出してビスマルクを少しでも隠してやるんだよ」

 

「了解や」

 

シュテルのオーダーを聞いたジークはシュテルのオーダーどおり、重油を異常燃焼させて、黒煙を排出させた。

 

「煙幕弾、発射!!目標、ビスマルク上空」

 

続いてシュテルはビスマルクの周囲に煙幕弾を撃ち込み、ビスマルクを包み込む煙幕の量を増やしてやった。

もっともビスマルクの周囲にまた一斉射を受ければ、煙幕なんて吹き飛ばされてしまうだろうが、気休めにはなるだろう。

とは言え、こんな時間稼ぎなんてケルシュティンやエバンスが言った通りブリジットには当にお見通しだろう。

 

「う~ん‥‥むこうは時間稼ぎしているかな~」

 

案の定、ブリジットは愛用の単眼鏡でビスマルク周辺を見て、ドイツ側がビスマルクの修理が終わるまで時間稼ぎをしようとしている事に簡単に気づいた。

 

「さすが、ブリジット様、見事な洞察力ですね」

 

「そんな事ないよ。一目見れば分かるわ。ヒンデンブルクが煙幕弾をビスマルクに向けて撃っていたし、煙突からは異常な量の排煙をだしていたからね‥‥それにこれぐらいの騙し討ちは何度も経験しているから‥‥」

 

ブリジットはフッと自嘲めいた笑みを浮かべながら言う。

世界でもトップレベルの海洋学校であるダートマス校はその主席の座を狙う為、日々騙し討ち、裏切りなど、策謀渦巻いているのだろうか?

 

「さあて、どうしようかな~‥‥う~ん‥‥」

 

ブリジットは顎に手を当てて次の手を考える。

そんな中、キャリーはブリジットの紅茶カップが空だと気づく、

 

「あら?カップが空に‥‥ブリジット様。紅茶、もう一杯淹れますか?」

 

「ん?ああ、そうだね。アールグレイの一級品を‥‥いつもありがとう。キャビアちゃん」

 

「いえ、これが私の役目ですから」

 

キャリーは満足そうに微笑み、ブリジットの為に美味しい紅茶を淹れる為にプリンス・オブ・ウェールズの艦橋に隣接するキッチンへと行き、紅茶を淹れ始める。

 

(そう、ブリジット様が万全の状態で指揮できるようサポートするのが私の役目。この方が居るだけで私たちの艦が行く先を迷う事は無い‥‥)

 

(莫大な知識と最良の選択‥‥それが‥‥)

 

キャリーがポットからカップに紅茶を淹れた時、

 

「キャビアちゃん」

 

ブリジットがキャリーの背後に居り、手でキャリーの頬を撫で、

 

「キャビアちゃんの髪の匂い‥‥落ち着くなぁ~‥‥」

 

キャリーの髪に顔を近づけ、彼女の髪の匂いを嗅ぐ。

そして、

 

「うん、決めた!!」

 

「えっ?」

 

「まずはビスマルクを粉々のスクラップにしちゃおう~♪」

 

無邪気な笑みを浮かべ、ビスマルクを仕留める事を宣言した。

 

「う~ん‥‥おかしい‥‥ダートマス校の艦が釣られてこない」

 

シュテルは双眼鏡でダートマス校の戦艦の動きを窺っていたが、ダートマス校の戦艦群はヒンデンブルク、シュペー、ヴュルテンベルクを追ってこない。

 

「あの航路ですと、ダートマス校の狙いはビスマルクかと‥‥」

 

メイリンがタブレットでダートマス校の戦艦の動きから連中の狙いはヒンデンブルク、シュペー、ヴュルテンベルクよりも傷ついたビスマルクを仕留めるつもりの様だ。

 

『時間稼ぎがバレたのか?』

 

レンが通信でテアとシュテルに訊ねてくる。

 

『どうやらそのようだ』

 

「やむを得ない‥‥距離を詰めて、砲撃戦を挑みましょう」

 

シュテルがダートマス校の戦艦が釣られなかったのでは仕方がないので、ビスマルクへと接近するダートマス校の戦艦のビスマルクへの攻撃を阻止する為、接近戦を仕掛けることにした。

 

「機関最大船速!!」

 

「各砲塔、戦闘用意!!」

 

ドイツ戦艦はダートマス校の戦艦へと近づき、

 

「ダートマス校の戦艦群、射程圏内に補足!!」

 

「ファイエル!!」

 

主砲の発射命令を下す。

ヒンデンブルクの40.6cm砲が火を噴き、続いてシュペー、ヴュルテンベルクも主砲を撃つ。

当然、ダートマス校の戦艦群も反撃して来る。

 

「ダートマス校の戦艦群も攻撃してきます!!」

 

「着弾、今!!」

 

「怯むな!!次弾装填!!」

 

ヒンデンブルク、シュペー、ヴュルテンベルクの周りにはいくつもの水柱が立つ。

 

「うひゃあ‥‥近いですね」

 

ジルケがヴュルテンベルクの至近距離で出来た水柱に驚く。

 

「面白くなってきた!!」

 

一方、レンは両校の学生艦同士の砲撃を目の当たりにして目を輝かせて興奮している。

 

「ん?艦長!!」

 

すると、ミーナがダートマス校の戦艦群を見て、違和感を覚えテアに声をかける。

 

「どうした?副長」

 

「艦隊の中にプリンス・オブ・ウェールズが居ません!!」

 

「なっ!?プリンス・オブ・ウェールズはどこだ!?」

 

ミーナに言われ、テアは慌てて双眼鏡を覗き、プリンス・オブ・ウェールズを探す。

 

「あっちです」

 

「っ!?」

 

プリンス・オブ・ウェールズを見つけたのはシュペー見張り員のエリーザだった。

 

「他艦とは別コースをとっています」

 

プリンス・オブ・ウェールズはフッド、レパルス、ロドニーとは別行動をとり、ロドニーはフッド、レパルスとの合流を図っている。

 

「艦隊戦で‥しかも旗艦だけで単独行動をとるとは‥‥」

 

艦隊戦でしかも旗艦だけが単独行動をとっても他のダートマス校の戦艦群は一糸乱れない。

こうした艦隊運動を見ると、ダートマス校のレベルの高さが伺える。

 

「狙いはあくまでもビスマルク狙い!!」

 

ブリジットは他のドイツ艦はフッドらに任せ、プリンス・オブ・ウェールズはヴィルヘルムスハーフェン校のシンボルとも言えるビスマルクを確執に狙う。

 

「クククク‥‥」

 

接近して来るプリンス・オブ・ウェールズに対して、クローナは口元を歪め薄気味悪い笑みを浮かべる。

 

「わざわざ旗艦一隻だけでくるなんて、願ったりかなったりだわ。修理はどれくらい終わっているの?」

 

「艦首の向きを変える程度なら‥‥あと、第三砲塔も射撃可能です」

 

ビアンカがクローナにビスマルクの修理状況を伝える。

 

「それだけで十分よ‥‥さあて‥‥ビスマルクの本当の恐ろしさを教えてあげるわ。おいで、王子様~♪」

 

クローナは手につけていた白手袋を嚙みしめ、プリンス・オブ・ウェールズとの戦闘に備えた。

 

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