やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

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36話

 

夏休みにイギリス、ダートマス校にて行われた体験入学に参加したシュテル。

道中、ドーバー海峡にて海賊の襲撃を受けた。

何とか海賊の危機を脱して、無事にダートマスにたどり着くもそのダートマスの街では切り裂きジャックの再来を思わせる連続殺人事件が起きていた。

当初は、例え連続殺人事件が起きても自分には関係ないと思っていたシュテル。

世界でもトップレベルのダートマス校の授業についていくのがやっとの毎日を過ごしていく中、ようやくやってきた休日にて、交換留学の際、交流を持ったカレン、セラスと共に繫華街へと出かけた時、シュテルたちは件の連続殺人事件の被害者と遭遇した。

まさか、こんな間近で殺人事件の現場を目の当たりにするとは思ってもみなかった。

こうして直に事件現場を目の当たりにすると、今のダートマスが危ない街になっているのだと嫌でも自覚させられた。

この日は大事をとって犯人が出ると言う暗くなる前に寮へと帰った。

そして、その日の夜、シュテルは万が一のことを考え、銃の手入れを行う。

銃の手入れが終わった時、

 

「キャァァァァー!!」

 

外から悲鳴が聞こえてきた。

 

「っ!?」

 

悲鳴を聞いてシュテルは、ハッと顔をあげると、駆け出し窓から外へと出る。

 

「ちょっと、シュテルン!?」

 

「どこに行くの!?」

 

シュテルの行動を見て、カレンとセラスは唖然として見ていた。

そのシュテルは正門の前で助けを求めている女生徒を見つけると、正門の鉄格子をよじ登り、

 

「うわぁぁぁぁー!!」

 

手入れをしたばかりのルガーP08を不審者に向けて乱射しながら、降りた。

 

突然上から銃を乱射してきた乱入者に不審者も驚き、慌てて後ろへと後退する。

そして懐へ手を入れると、忍ばせていた単発式の拳銃、トンプソン・コンテンダーを取り出し、シュテルへと発砲する。

犯人が撃った弾丸はシュテルが手に持っているルガーP08に当たる。

 

「くっ‥‥」

 

手に持っていたルガーP08に強烈な衝撃が走ったと思ったら、シュテルの手からルガーP08が弾き飛ばされる。

相手(シュテル)の銃を弾き飛ばした不審者はナイフを手にシュテルへと迫ってくる。

当然、シュテルも不審者の行動に気づいていたので、腰にぶら下げていたサーベルを鞘から抜く。

 

ガキーン!!

 

シュテルのサーベルと不審者のコンバットナイフがぶつかりあり、金属質な音が響く。

 

「くっ‥‥このっ‥‥」

 

「なんだ‥‥?お前は‥‥?」

 

(このナイフ‥‥血がついている‥‥)

 

不審者のナイフをサーベルで受け止めている中、チラッ不審者の背後を見ると、道路に倒れている人が見えた。

 

(この血‥まさか‥‥)

 

シュテルはこのナイフについている血が道路に倒れている人の血ではないかと思った。

 

「俺の楽しみを邪魔‥するな!!」

 

「ぐっ‥‥」

 

声から察するにこのナイフを振りかざしている不審者が男だと判別できた。

しかもかなり力が強い。

だんだんと押され気味になってきたシュテル。

このままではサーベルも弾き飛ばされてしまうかもしれない。

その時、

 

ダーン!!

 

一発の銃声があたりに響く。

銃声と共に不審者は再び後ろへと飛ぶ。

そして間髪入れずに銃声が再び鳴り響く。

しかも弾丸が飛んできたのはダートマス校の寮の方角からだ。

シュテルが後ろを振り向くと、バルコニーにはリー・エンフィールド小銃を構えたセラスの姿があった。

彼女はバルコニーから不審者を狙撃してきたのだ。

 

「ちっ‥‥」

 

これ以上シュテルと斬り合いをしているとセラスが撃つ銃弾にやられると思った不審者はそのまま夜の闇の中へと消えていった。

 

「ハァ‥‥ハァ‥‥ハァ‥‥」

 

不審者は完全に消えるまでこの場を動けずにいたシュテルはたった今まで命の危険ギリギリのことをしていたのだと自覚し、呼吸が荒い。

イタリアでマフィアを相手にした時、ドーバー海峡で海賊を相手にした時よりも恐怖を感じた。

それは目の前で人が死に刃物で自分も殺される寸前まで追い詰められたことだった。

イタリアの時は、まだ銃を持っておらず、銃で撃たれるということ、撃たれた時の痛みがどれくらいのものなのかなんて想像できなかった。

故にそこまでの恐怖は感じなかった。

しかし、今回は刃物と言う身近な凶器そして、今まさに人が殺された事実がなお、恐怖を増加させる。

 

「シュテルン!!」

 

「どうした!?何があった!?」

 

やがて、騒ぎを聞きつけ、守衛やカレンたち生徒が集まってきた。

 

「け、警察と救急車を‥‥早く‥‥」

 

シュテルは集まってきた守衛と生徒に事情を話して警察と救急車を呼んでもらった。

 

 

翌日、ダートマス校の空気は酷く重かった。

 

あの不審者に襲われた生徒の内、刺された生徒は懸命の処置もむなしく亡くなった。

そして、もう一人の生徒は友人が目の前で殺されたことと、自分も殺されそうになったことに大変ショックを受け、寮の部屋に引きこもって寝込んでいる。

ダートマス校周辺には多くの制服警官の姿もあり、またマスコミや野次馬の姿も見える。

ただでさえ、例の殺人鬼で話題が持ちきりなのに、世界でもトップレベルの海洋学校の生徒がダートマスを賑わせている連続殺人犯の手によって殺されたということで、マスコミは群がり、周辺の住民も不安となっている。

生徒たちは皆、寮の自室か食堂にいるのだが、顔色が悪い。

この日の講義は急遽、中止となったが外出は禁止というお達しが下った。

大勢の生徒が悲痛な表情を浮かべている中、

 

「くそっお!!」

 

怒りを露わにしている生徒が一人いた。

交換留学にて、ヴィルヘルムスハーフェン校へ来たレパルスの艦長、グレニアだった。

不審者に殺された生徒はレパルスクラスの生徒だった。

艦長として自分のクラスメイトが無残にも殺された‥‥

その無念は同じ艦長としてシュテルにはグレニアの悔しさが分かる。

 

そんな中、地元の警察署の刑事たちが事情聴取のため、ダートマス校を訪れた。

 

「警部、見てくださいよ。女子高ですよ、女子高!!男性禁制のまさに乙女の園!!仕事と言う名目でもなければ、絶対に入れない場所ですよ!!警官やっていてよかったですよ!!」

 

若い刑事は普段は入れないダートマス校を見てテンションが高い。

 

「不謹慎だぞ」

 

若い刑事の隣に居るもう一人の刑事はあきれる感じで言う。

 

「警部だってここの捜査に志願していたじゃないですか」

 

「ここに俺の娘が通っているからだよ」

 

もう一人の刑事‥‥警部の方は自分の娘がこのダートマス校に通っていたので、親心なのかこの捜査の参加に志願したようだ。

 

「えっ?マジっすか!?」

 

「おう。マジだ」

 

「警部の娘さんってここの生徒だったんですか‥‥」

 

若い刑事の方は上司の娘がダートマス校に通っていることに意外性を感じていた。

 

二人の刑事が寮の中に入ると、重苦しい空気が漂っていた。

同期生が殺されたことがショックだったのか?

それとも殺された生徒と同じクラスだったのか、すすりないている生徒の姿がチラホラ見える。

管理人の案内のもと、事件関係者が居る部屋へ行くとそこにはシュテルとセラスの姿があった。

 

「セラス」

 

「お父さん」

 

警部の言う娘はセラスの事だったみたいだ。

 

「まさか、お前がこの事件に関係しているとは‥‥もしかして、襲われた生徒ってお前じゃないよな!?」

 

警部‥もとい、セラスのお父さんは彼女の両肩をガシッと抱きしめ、セラスに訊ねる。

 

「わ、私じゃないよ‥‥」

 

セラスは自分の父親の態度に引いている。

父親としては娘を心配しているのだろうけど、あまりにもオーバーリアクションだった。

 

「それじゃあ、君か?」

 

セラスの父親はシュテルが襲われたのかと訊ねる。

 

「いえ、この方は重要参考人です。警部」

 

制服警官がセラスの父親にシュテルの事を説明する。

 

「被害者は?」

 

「寝込んでいます。ものすごいショックを受け、詳しい事情を聞くことはちょっと‥‥」

 

案内をした管理人が助かった被害者の現状を説明する。

 

「いつもの通り、門限の時間が過ぎたから正門を閉めてしまったせいで‥‥」

 

管理人は正門を閉めたせいで生徒が殺されてしまったのだとひどく落ち込んでいた。

 

「いえ、そんなことはありませんよ。殺された生徒は門よりもだいぶ前で刺されていましたし、もう一人の生徒も開いていた勝手口の存在を忘れていましたし‥‥まぁ、パニックに陥った人はそこまで頭が回らないので、仕方ありませんけど‥‥」

 

セラスが管理人を弁護する。

そして、シュテルに対しての事情聴取が始まった。

 

「それで、君はその襲われている生徒を守るため、犯人と斬り合ったと‥‥」

 

「は、はい」

 

「今回は助かったからよかったものを‥‥一歩間違えたら、君も殺されていたかもしれないんだぞ」

 

「す、すみません‥‥」

 

あまり危険なことをするなとセラスの父親から注意をうけるシュテル。

しかし、シュテル自身、こんなハードな人生を望んではいない。

 

「それで、犯人の特徴は?」

 

「えっと‥‥シルクハットを目深にかぶって、マントを着ていました。顔は‥‥夜の闇とシルクハットのせいでよく見えませんでした‥‥でも、声から男と言うことしか‥‥それと体つきと力からして、年齢は三十代半ばから四十代前半って印象を受けました」

 

シュテルはサーベルで犯人のナイフを受け止めた時、犯人と急接近した時の印象を伝える。

 

「うーん‥‥決定打とは言えないな‥‥」

 

「そうですね。これまでの報告とあまりかわりませんね‥‥」

 

「す、すみません。お役に立てなくて‥‥」

 

「い、いや、君のせいじゃないよ。気にすることはない」

 

しかし、シュテルの情報はすでに警察の方でも掴んでいたみたいで、あまり役立たなかった。

シュテルたちが警察からの事情聴取を受けている頃、

 

「くそっ!!どこのどいつだ‥‥あんなふざけたことをしやがって‥‥」

 

「か、艦長、落ち着いてください」

 

グレニアはまだ怒りを露わにして、レパルス副長のドロシーは彼女をなだめるが、焼け石に水で、グレニアの怒りは収まりそうになかった。

彼女は地団駄を踏み、時折物に八つ当たりをして悔しさを体現している。

 

「‥‥」

 

警察の事情聴取を終えたシュテルは終始不機嫌で犯人を殺す勢いなグレニアの姿を見つけた。

 

(まさかと思うけど‥‥自分で犯人を捜すつもりじゃないだろうな‥‥)

 

シュテルはグレニアの様子を見て、犯人に殺された生徒の仇討ちでもしようかと思っているのではないかと危惧した。

相手は既に多くの女性の命を奪っている殺人鬼‥‥

昨夜、対峙したシュテル自身、殺されるのではないかとさえ思った。

仲間を殺されたグレニアには冷静な判断が出来ていない。

このままでは彼女自身も殺人鬼の餌食になってしまうかもしれない。

 

(はぁ~なんで、自分から厄介ごとに首を突っ込もうとしているんだろう?)

 

そう思いつつもグレニアの事が心配になったシュテルは、彼女の行動が気になったので陰から彼女の行動を監視した。

案の定、彼女は夜、皆が寝静まった深夜、人知れずにベッドから起きると、寝間着から動きやすい私服へと着替え、辺りを警戒しながら、寮の外へと出ていく。

 

「よっ‥と‥‥まっていろ、イカレ野郎‥‥あいつの仇は必ず討ってやる‥‥」

 

正門の鉄格子をよじ登り、外へと出て、殺人鬼に対する怒りと決意を口にした時、

 

「何処へ行くんだぁ?」 (裏声)

 

「ひっぃ!?」

 

突如、グレニアのすぐ近くで不気味な声がした。

彼女は体をビクッと震わせ、その声がした方を見る。

すると、そこには紺色のフード付きトレーナーを着てジーンズを履き、ジト目でグレニアを見るシュテルの姿があった。

 

「お、おまえ、確かドイツの‥‥」

 

「こんな時間に何をしているの?」

 

「そ、それは‥‥そういうお前こそ、なんでここにいるんだよ!?」

 

「貴女が夜、寮を抜け出すのを見つけたから‥‥」

 

「くっ‥教官や管理人にチクるのか?」

 

「チクりはしないけど、貴女を止めに来た。相手は凶悪な殺人鬼なのよ。貴女一人で見つけられると思っているの?仮に見つけとしても捕まえられるの?逆に殺されるのがオチよ。やめておきなさい。ここは警察に任せて‥‥」

 

シュテルはグレニアを止めようとするが、

 

「うるせぇ!!」

 

グレニアはシュテルの説得を一喝する。

 

「あんたにあたしの気持ちがわかるか!!大体、あんただって艦長なんだろう!?艦長なのに、自分の艦の仲間が殺されたのに、『平然としていろ』って言うのか!?」

 

「だから、それは警察に‥‥」

 

「その警察が無能だから、これまで大勢の犠牲者が出ているんじゃねぇか!!あいつらがもっと早くに殺人鬼を捕まえていれば、あいつが殺されることはなかったんだ‥‥」

 

「‥‥」

 

グレニアは殺人鬼を早期逮捕できなかったことに対して、警察不信となっていた。

 

「はぁ~‥‥わかった。もう止めないよ‥‥」

 

グレニアの決心は固く、仮に教官に言って処分を受けたとしても彼女は退学覚悟でこの殺人鬼を追いかけるだろうと思った。

 

「でも、丸腰で探すつもり?」

 

「ん?」

 

見たところか、グレニアは銃もナイフも持っているようには見えない。

銃とナイフで武装し、夜な夜な女性を殺しまわっている殺人鬼を探すにはあまりにも無防備だ。

そこで、シュテルはルガーP08の入ったホルスターをグレニアに手渡す。

 

「奴の主な武器はナイフだけど、単発式の拳銃も持っていた‥‥あんたの気が済むまで、それは貸してやる」

 

「お、おう‥すまない」

 

シュテルが言っているのも理にかなっているのだと思ったグレニアは素直にシュテルから銃を受け取る。

 

「ただし‥私も行く」

 

そして、シュテルは銃を貸す代わりに自分もグレニアと共に殺人犯を探すという条件を出した。

 

「えっ?」

 

「殺人鬼の捜索なんて、本来なら止めるべきなんだけど、あなたは止まらないし、止められない‥‥そんなあなたを一人で、殺人鬼の捜索をさせるなんて出来ないからね」

 

「で、でもそうなると、あんたが丸腰なんじゃ‥‥」

 

「私にはコレ(サーベル)があるから大丈夫‥さて、さっさと探しに行こう‥‥時間は限られているんだし」

 

「お、おう」

 

こうしてシュテルとグレニアは夜のダートマスの街へ殺人鬼ないし、殺人鬼の手掛かりを探しに行った。

 

(ったく、こんなだだっ広い所で連続殺人事件なんてやるなよなぁ~)

 

夜のダートマスをさまよっている中、シュテルは殺人鬼に対して心の中で愚痴をこぼした。

 

「くそっ、どこにいやがる‥‥」

 

巡回する警官の目を躱しながら夜のダートマスの街で殺人鬼を探すシュテルとグレニア。

だが、この日ダートマスの街で例の殺人鬼による殺人は起きなかった。

殺人鬼も毎日殺人を起こしているわけではなかった。

ただ、シュテルとグレニアも情報不足だったため、これには気づかなかった。

それにグレニア自身も少々頭に血が上っているためより一層気づいていなかった。

 

「そろそろ、戻らないとやばいね‥‥あたりが明るくなり始めた‥‥」

 

シュテルが今日の捜索は打ち切ろうと提案する。

 

「まだだ‥‥まだ‥‥」

 

「これ以上、明るくなると、警官の目にも触れやすくなるし、寮に戻る際も誰かに見つかるかもしれない。そうなれば、次からは捜索しにくくなる‥‥」

 

「くっ‥‥」

 

シュテルの忠告を聞いてグレニアは渋々と言った様子で、今日の捜索を取りやめた。

 

朝食までの短い時間、シュテルは着替えることもなく、ベッドの中に倒れこんだ。

フカフカのベッドのおかげか、すぐに睡魔が襲い、寝ることが出来たが、やはり短い睡眠時間だったので、完全に寝不足となった。

しかし、例の殺人事件のせいで、しばらくの間、講義は見合わせとなり、しばらくは寮や図書室などでの自習となっている。

シュテルとしては好都合で、しばしの間寝ることにしたのだが、

 

「おい、フランクフルト!!」

 

朝食後、もう一度ベッドに戻ろうとしたら、シュテルの部屋にグレニアが訪ねてきた。

 

「ん?なに?まさか、今から寮を抜け出て殺人鬼を探しに行くなんて言わないよね?」

 

「ちげぇよ、それに奴は昼間、殺人を起こさないからな」

 

「それじゃあ、何しに?私は少し寝たいんだけど‥‥」

 

「昼間は昼間でやることがあるだろう!!」

 

「勉強とか?」

 

「そんなもん、あとでいいんだよ!!あとで!!」

 

「じゃあ、何を?」

 

「情報収集だ!!」

 

「‥‥」

 

グレニアは殺人事件の情報を集め、犯人捜しの手掛かりをつかむという。

 

(警察でも犯人の手掛かりをつかめていないのに、素人の私たちでできるのかな?)

 

そう思いつつも今のグレニアに何を言っても無駄なので、シュテルは彼女に付き合うことにした。

ダートマス校の図書室ならば、生徒に貸し出されているパソコンがあるので、それを使ってこれまでの事件の概要から入る。

とはいえ、シュテルが思った通り、警察でも手掛かりがつかめていないのに、高校生である自分たちが犯人の手掛かりをつかめるはずもなかった。

それでも、シュテルはこの事件の情報をいくつか得ることはできた。

やはり、犯行日時は夜ということは共通しているが、一回の犯行の後、次の犯行まで幾日かの間がある。

被害者の体の一部が切り取られ、持ち帰られている。

死体は死後、すぐの者がいれば、死後、数日経過している者もいる。

 

「共通しているのが、犯行が夜行われていること、被害者が全員女性だということ、凶器は鋭利な刃物と言うこと以外ないな‥‥」

 

「一貫性があるようでない‥‥犯行と犯行の間の日時もバラバラ‥‥こういう犯罪を起こす犯人は規則性を持つと思ったんだけどな‥‥」

 

「じゃあ、殺人鬼は複数いるってことか?」

 

「そこまではまだわからないけど、犯行と犯行の間の日時にばらつきがあるのは犯人に何かしらの理由はあると思うんだけど‥‥」

 

「理由?」

 

「まぁ、犯罪を起こしているのも人間だからね」

 

「ちっ、あたしはコイツを人間だなんて思いたくもねぇよ」

 

ここまで残忍な犯行を行ってきている犯人を正直、同じ人間だと思いたくないと言うグレニア。

 

「うーん‥‥一般に出回っている情報だけじゃ、決め手にかける‥‥ヴィクトリアさんのお父さんから話を聞けたらいいんだけどね‥‥」

 

「ヴィクトリアって?フッドの副長のセラス・ヴィクトリアか?」

 

同じ同期生なので、グレニアもセラスの事は知っていた。

交換留学の時も一緒に来ていたので、当然と言えば当然である。

 

「ええ。彼女のお父さんが警察官で、この事件の捜査を担当しているのよ。先日、会って事情聴取を受けたから」

 

「そうか、なら話が早い!!」

 

「ん?」

 

「あのホルスタインの親父が警官でこの事件を捜査しているなら、あたしらが知らない情報を持っているかもしれないだろう」

 

「ほ、ホルスタインって‥‥」

 

同期生をホルスタイン扱いするグレニア。

まぁ、確かにセラスは背も高いし、胸も大きい。

身長も胸の大きさも小さなグレニアにとって、セラスは嫉妬の対象なのだろう。

 

「えっ?でも、ちょっとまって、まさかヴィクトリアさんを巻き込むつもり?」

 

「巻き込むつもりはないさ、あのホルスタインにちょっと親父から事件の情報を吐かしてもらうだけだ」

 

グレニアはセラスを使って彼女の父親から事件の情報‥まだ表立っていない犯人に関する情報を得ようと言うのだ。

ニヤッと邪悪そうな笑みを浮かべてグレニアはセラスの下へと向かう。

 

「えっ!?ちょっ、ちょっと待ってよ!!」

 

そんなグレニアを慌てて追いかけるシュテルだった。

 

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