やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

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はいふり世界では、日本は日露戦争以降、大きな戦争をしていないので、日中戦争、太平洋戦争を経験していないので、この世界における中国大陸の情勢も、もしかしたら、異なっているかもしれません。

今回のはいふり世界における中国大陸での設定はあくまでも作者の想像です。



54話

日本への留学の為、日本の神奈川県、横須賀を目指すヒンデンブルク。

途中の寄港地、セイロン島にて日本の映画、二百三高地を見たが、戦闘模写などはあまりにもリアル過ぎてドン引きするクラスメイトや顔色を悪くするクラスメイトもいたが、その後も日本の歴史に関係する『八甲田山』 『日本海海戦』 を見るクラスメイトも居た。

また、二百三高地の影響で戦争映画はNOと言うクラスメイトの為にユーリとクリスがシュテル経由で手に入れた日本アニメや日本の特撮モノのDVDの上映も行われた。

 

セイロン島に次ぐ寄港地、シンガポールにて寄港、補給をしたヒンデンブルはこの後、南シナ海、東シナ海を通り、いよいよ日本に到着する。

しかし、その前にある南シナ海は警戒しなければならない。

 

この後世の日本は日露戦争以降、大きな戦争に関与していない。

当然、前世(史実)で起きた日中戦争、太平洋戦争をこの世界の日本は経験していない‥‥と言うよりもその戦争自体が起きていない。

そして、その歴史の誤差は、大陸にて大きな影響を与えていた。

 

1616年に満洲において建国された清王朝も日清戦争をきっかけに、これまで大陸で建国された王朝同様に衰退していき、1912年1月1日、中国の南京で中華民国が樹立され、清朝最後の皇帝、宣統帝(溥儀)は2月12日、正式に皇帝の座を退位し、ここに清王朝は276年の歴史に幕を閉じ、完全に滅亡した。

それから1930年代後半から1940年代にかけて、毛沢東率いる共産党と蔣介石率いる国民党は互いに大陸の新たなる覇者となるべく内戦を行った。

前世(史実)では、日本軍が大陸への利権を求め進撃し、共産党、国民党共に、共通の敵である日本軍を倒すため、和解して日本軍と戦った。

そして、第二次世界大戦後、大陸の覇権は毛沢東率いる共産党が勝ち取り、蒋介石らの国民党は台湾へと追いやられた。

しかし、この後世では両者の共通の敵であった日本軍は大陸に存在せず、そのため、大陸は長年にわたり共産党と国民党との間で激しい内戦が続いた。

その結果、大陸の地図は前世と異なり、北京を首都とする中華人民共和国、台湾を含む南の地を領地とし、南京に首都を置く中華民国の南北に二分された形となった。

それは朝鮮半島の南北化を巨大化させたような図柄だった。

その朝鮮半島もこの後世では前世と同じく北朝鮮と韓国の南北に分かれている。

そして、南シナ海は中華人民共和国と中華民国がそれぞれ領有権を主張していざこざが絶えない海域となっていた。

しかもその海域には中華人民共和国と中華民国それぞれの海軍軍人くずれが海賊となって海を荒らしまわっている。

これも大陸における長年に渡る内戦によって生じた負の遺産と言うべき事態だ。

ブルーマーメイド、ホワイトドルフィンは国際組織なので、領海に関係なく活動できるが、ブルーマーメイド、ホワイトドルフィン共にこの南シナ海における治安維持には手を焼いている。

実際に中華人民共和国と中華民国は領海を無視して活動しているブルーマーメイド、ホワイトドルフィンの事を疎ましく思っている節があり、両国の政府および海軍は共にブルーマーメイド、ホワイトドルフィンに対して非協力的で、これが南シナ海の治安維持改善の足を引っ張っている。

そんな南シナ海の海域にヒンデンブルクはこれから入る。

一応、ブルーマーメイドから知らされている安全航路を航行するが、常にブルーマーメイドとホワイトドルフィンが絶え間なく警戒しているわけではないし、地中海の時と異なり、ブルーマーメイドが護衛をしているわけではない。

だが、海軍軍人くずれの海賊とは言え、使用している海賊船もさすがに戦艦を使用しているわけではない。

しかし、学生艦は旧軍の戦闘艦艇を使用している。

旧軍の戦闘艦とは言え、強力な戦力でもある学生艦は海賊にとって喉から手が出るほど欲しい艦‥‥

しかも、戦闘力は高いが、それを操る艦の乗員は皆、海へ駆け出したばかりの学生たち‥‥

海賊にとっては赤子の手をひねるほど、奪うのは簡単だ。

よって、ここを通る学生艦は海賊にとっては、鴨が葱を背負って来るのも同然だった。

学生艦にとっては、ここ南シナ海を航行する際は、細心の注意をしなければならなかった。

 

「もうすぐ南シナ海か‥‥」

 

シュテルが海図を見て、渋い顔となる。

 

「一応、ブルーマーメイドから通達があった安全航路を通っていますけど、油断はできませんね」

 

「ああ‥‥ここら辺の海賊は、金品はもちろんのこと、人の命、そして船でさえも奪う凶暴な海賊だ。いくら安全航路とは言え、警戒を怠るな。灯火管制も厳となせ」

 

「はい」

 

ヒンデンブルクは航海灯以外の明かりは極力消して、警戒を厳重にして南シナ海を航行していく。

 

(海賊とはもう、できれば学生の内には関わりたくないんだよなぁ~‥‥)

 

ドーバー海峡、地中海、これまでの生涯で二度も海賊が関係する事件と関わったシュテルであるが、この南シナ海に出没する海賊はこれまで遭遇してきた海賊よりも凶暴な連中‥‥

できるなら遭いたくはない連中だ。

ヒンデンブルクが南シナ海を航行している頃、近くの海域では‥‥

 

「やめろっ!!」

 

「きさまら、この船が坂本商会の船だと知っての仕業か!?」

 

「へぇ~そうだったのかい‥‥だがなぁ、どこの誰の船だろうと、俺たちにはかんけぇねぇ‥‥積荷は奪い、男は殺し、女は犯す‥‥それが俺たち海賊の流儀だ!!やっちまえ!!」

 

『おおおおー!!』

 

バン!!バン!!バン!!

 

「ぎゃぁー!!」

 

「わーっ!!」

 

南シナ海の一角にて、日本の貨客船が海賊に襲われた。

 

 

日本の貨客船が海賊に襲われた翌日の夜‥‥

 

「ん?あれは‥‥」

 

ヒンデンブルクが南シナ海を漂流している一隻の貨客船を見つけた。

 

「航海灯を完全に消している‥‥それに航行している様子が全くないな‥‥」

 

「海賊が出没する様な危険海域で航海灯も点けず、エンジンを停めるなんて妙だな‥‥」

 

「船名は分かりますか?」

 

「ちょっと、待ってください」

 

航海科の見張り員のクラスメイトが目を細めて、船首に書いてある船名を確認する。

 

「えっと‥‥『翔竜丸』と書いてあります」

 

「どこの所属か分かる?」

 

「少々お待ちください」

 

メイリンがタブレットで翔竜丸の所属を調べる。

 

「わかりました。日本の坂本商会所属の貨客船です」

 

「日本でも最も歴史のある一大貿易会社の船だな‥‥でも、それが何でこんなところに‥‥念のため、通信を送って注意を促してくれ」

 

「はい」

 

通信員が翔竜丸に通信を送るも相手からは応答が一切ない。

 

「艦長、翔竜丸からはなんの応答もありません」

 

「‥‥発光信号を送れ」

 

少々危険だが、ヒンデンブルクは翔竜丸に発光信号を送る。

しかし、その発光信号にも翔竜丸からの応答はなかった。

 

「‥‥発光信号にも応答ありません」

 

「あまりにも妙だな‥‥」

 

通信にも発光信号にも応えない。

 

「もしかして、何かあったのかもしれない‥‥」

 

「臨検‥‥しますか?」

 

「うーん‥‥本来なら、ブルーマーメイドに通報して待ちたいところだけど、もし本当にあの船で何かトラブルがあったら、一刻も早く救助しなければならないだろうし‥‥少々危険だけど、臨検するか‥‥」

 

シュテルはこの海賊が出没しやすい海域で時間を潰すのは危険と思ったが、海上での救助は全ての船舶の務めだ。

それが例え学生艦であっても‥‥

 

「では、私が臨検の指揮を執ります」

 

クリスは自らが臨検の指揮を執ると言う。

 

「分かった‥‥ただし、装備する銃には模擬弾ではなく、実弾を装填せよ」

 

シュテルは臨検に参加するクラスメイトが装備する銃には普段使用している模擬弾ではなく、殺傷能力がある実弾を込めろと言う指示を出す。

 

「じ、実弾ですか‥‥?」

 

「そうだ‥‥向こうの船には何があるか分からない‥‥もしかしたら、海賊の罠と言う可能性もあるしね‥‥臨検員の安全を最優先してもらいたい」

 

「は、はい」

 

「通信長、ブルーマーメイドへの通信も忘れずにね」

 

「了解です」

 

臨検中も時間を無駄には出来ない。

ブルーマーメイドにも翔竜丸の現状を報告してこの海域に来てもらうことにした。

 

「‥‥」

 

臨検に参加するクラスメイトたちは、ルガーP08 4インチ、MP40のマガジンに実弾を込めていく。

初めて殺傷能力がある弾、そして実弾が装填された銃を持ち、緊張している面持ちだ。

場合によっては、人を殺すかもしれない。

その可能性が臨検に参加するクラスメイトたちに緊張を与えていた。

 

「では、艦長。行ってまいります」

 

「ああ、気をつけて‥‥」

 

臨検に参加するクラスメイトを乗せて内火艇は翔竜丸へと向かって行く。

 

(‥‥何事も無ければいいけど‥‥)

 

ヒンデンブルクの甲板から遠ざかっていく内火艇を見送るシュテルには、やはり一抹の不安があった。

 

 

翔竜丸に接近する内火艇

その翔竜丸はタラップも降ろされていないので、臨検員は甲板の手すりに縄梯子をかけて翔竜丸へと昇る。

翔竜丸へ上った臨検員はホルスターから銃を抜き、MP40を構えながら、翔竜丸の甲板や通路を進んでいく。

すると、

 

「うっ‥‥これはっ!!」

 

先頭を歩いていたクリスは突然、歩みを止める。

 

「副長?」

 

「どうかしたんですか?」

 

後ろからついてきたクラスメイトたちがクリスに近づき、その向こう側に何があるのかを確認しようとする。

 

「だ、ダメ!!来ちゃ!!」

 

クリスは止めようとするが、それは間に合わず、クラスメイトたちはその向こう側にあるモノを見てしまう。

 

「うっ‥‥」

 

「ぐっ‥‥」

 

「おぇぇぇ~‥‥」

 

クリスの向こう側にあったのはこの船の乗員や乗客の死体だった。

 

「‥‥」

 

死体を見て思わずその場で嘔吐する者も居た。

 

「ふ、副長‥‥」

 

「これって‥‥」

 

「ああ、海賊の仕業だ‥‥」

 

「ひどい‥‥」

 

「‥‥生存者を捜すぞ。通信員、ヒンデンブルクにも現状を報告」

 

「は、はい」

 

顔色を悪くしつつも通信員は通信機でヒンデンブルクに翔竜丸の現状を報告する。

 

「艦長、臨検に向かった副長から通信です」

 

「内容は?」

 

「はい。翔竜丸は海賊の襲撃を受けた様子で、甲板には乗員らしき人の死体が多数あったみたいです」

 

「‥‥」

 

シュテルは『人の死体』と言う言葉を聞いて、顔を歪める。

クラスメイトたちに人の死体を見せてしまう事態となってしまった。

できるのなら、自分一人で何とかしたかった。

しかし、現状は自分一人で何とか出来る現状ではなかった。

多数の人員が必要な事態だった。

 

「現在、副長たち臨検員は生存者の捜索にあたっています」

 

「ブルーマーメイドかホワイトドルフィンの到着は?この海域なら近くに居るだろう?」

 

「それが、到着まであと40分かかるみたいです」

 

「くっ‥‥」

 

SOSが入っていないと言うことは翔竜丸はSOSを出す前に、海賊に襲撃されたのだろう。

翔竜丸がいつ海賊に襲われたのか不明‥‥

もしかしたら、この近くに海賊が潜んでいる可能性もある。

しかし、生存者がいるかもしれない中、臨検員を撤収させてこの場から去るのは船乗りとして出来ない。

ブルーマーメイドが来るまで海賊が来ないことを祈るしかなかった。

その頃、生存者を捜しているクリスたちは、船内を警戒しながら進む。

しかし、通路にも部屋にも人の死体ばかり‥‥

女性の死体には性的暴行を受けた痕跡もあった。

そんな中、

 

「副長!!来てください!!」

 

別働の班のクラスメイトが声を上げる。

 

「どうした!?」

 

クリスが急いで声がした方へと向かうと、

 

「この人、まだ生きています!!」

 

そこには、やはり性的暴行を受けたであろう女性が居たが、その人はまだ生きていた。

 

「救命処置を!!それとヒンデンブルクにも連絡!!」

 

「はい!!」

 

クリスは急いで応急処置と共に生存者発見の報をヒンデンブルクに報告する。

 

その頃、ヒンデンブルク周辺の海では‥‥

 

「フフフフ‥‥まさか、ドイツの戦艦が釣れるとはなぁ‥‥てっきり、ブルーマーメイドの小娘どもかホワイトドルフィンのガキどもかと思っていたが、これは予想外の大物だ‥‥いいか、野郎ども、船はもちろんのこと、乳臭い小娘どもの処女も奪ってやれ!!」

 

『おぉぉぉぉぉー!!』

 

翔竜丸はあくまでも囮で、海賊たちの狙いは翔竜丸を救助しに来たブルーマーメイド、ホワイトドルフィンの艦船だったが、その両者が来る前にヒンデンブルクが来てしまった。

海賊たちは狙いをヒンデンブルクへと変更した。

 

「レーダーに反応!!」

 

「ブルーマーメイドか!?」

 

「いえ、違います!!これは‥‥」

 

CICの電探員が報告する前に、

 

ヒュ~‥‥

 

空気を切り裂く、聞きなれた音がした。

そして、

 

ドーン!!

 

ヒンデンブルクの近くで、水柱が立つ。

 

「くっ、また海賊かよ‥‥」

 

シュテルは海賊の襲撃に顔を歪める。

ヒンデンブルクに一隻の寧海級巡洋艦が接近してくる。

 

「応戦用意!!総員戦闘態勢!!」

 

ヒンデンブルクの艦内に警報が鳴り響く。

 

「海賊船、左舷11時方向より接近!!」

 

「主砲、左舷に向けろ!!」

 

「射撃用意よし!!」

 

「撃て!!」

 

ヒンデンブルクの第一、第二主砲が海賊船に火を吹く。

 

一方、クリスたち臨検員の方にも海賊襲撃の知らせが届く。

 

「副長、ヒンデンブルクに海賊船が!!」

 

「生存者の収容作業を急げ!!」

 

結局生存者は先程見つけた女性一人だけだった。

クリスは内火艇に生存者の収容を急がせ、ヒンデンブルクの様子を見るため、首からかけていた双眼鏡で見る。

すると、ヒンデンブルクの右舷側からヒンデンブルクに近づく小舟の群衆が見えた。

 

「っ!?あれはっ!?」

 

驚愕のあまり、クリスは双眼鏡から一度目を離すが、確認のため、もう一度双眼鏡でヒンデンブルクの右舷側を見る。

しかし、それはクリスの見間違えではなかった。

 

「違う‥‥シュテルン、相手はその海賊船じゃない‥‥あの海賊船も罠だ‥‥!!通信員!!」

 

クリスは顔色を青くして、急いで通信員を呼んで、ヒンデンブルクに状況を知らせる。

 

「第二斉射!!撃て!!」

 

再びヒンデンブルクの第一、第二主砲が火を吹く。

そこへ、

 

「艦長!!副長から通信です!!」

 

「副長から?‥‥もしもし‥‥」

 

シュテルが受話器を取ると、

 

「シュテルン!!その海賊船は囮よ!!本命はヒンデンブルクの右舷側から来ているわ!!」

 

「右舷側?‥‥CIC、本艦の右舷側に艦船反応はあるか?」

 

「右舷側からですか?‥‥いえ、何もありません」

 

「何もないって‥‥」

 

「海賊は小型のボートで近づいているの!!」

 

「わかった。右舷、探照灯照射!!同時に右舷側の副砲、高角砲、機銃すべて撃ち方用意!!」

 

シュテルはクリスの通信を受け、右舷側へ探照灯を照らし、右舷側の兵装の発射準備を行う。

探照灯が照らされる少し前、ヒンデンブルクの右舷側から海賊たちは木造の小舟にエンジンを取り付けただけの粗末な小舟でヒンデンブルクに接近していた。

小舟であることと木造であることがレーダー電波の反射を鈍らせていた。

 

「よーし、もうすぐだ!!」

 

「まっていろよ、ドイツの子猫ちゃんたち‥‥俺のムスコで、極楽へ行かせてやるぜ‥‥」

 

「なるべく殺さないようにしろよ。高値で売れる商品にもなるからな」

 

海賊たちはニヤニヤと下品な笑みと下世話な会話をしながら、ヒンデンブルクに近づいている。

しかもそのヒンデンブルクは、自分たちの母船に目がいっており、まだ自分たちの存在に気づいていない。

このまま、一気に接近し、強襲して船を奪い、乗員を乱暴し、場合によってはその命を奪うか、外国に売り飛ばす算段だ。

しかし、

 

バシャ!!

 

ガチャ!!

 

突如として自分たちの目の前が真っ白になる。

 

「うわっ!!」

 

「まぶしっ!!」

 

「や、やべぇ!!」

 

海賊たちは目の前が真っ白になった原因はヒンデンブルクが自分たちに探照灯を照射してきたのだと判断した。

しかし、時は既に遅かった。

 

「海賊の別動隊を確認!!」

 

「悪党どもに慈悲も容赦もするな!!連中をすべて薙ぎ払え!!」

 

シュテルは心を鬼にして接近してきた海賊たちへ攻撃命令を下す。

 

バババババババ‥‥

 

ドォン!!ドォン!!

 

ダダダダダダダダ‥‥

 

木造の小舟では、ヒンデンブルクの副砲、高角砲はもとより、機銃でさえ十分な脅威となる。

小舟の海賊たちは砲弾から逃れるため、次々と海へと飛び込む。

しかし、全員が無事に逃れたわけではなく、そのほとんどがヒンデンブルクの副砲弾、高角砲弾、機銃弾の餌食となっていく。

主砲も海賊の母船に対して、なおも砲戦を続行する。

海賊の母船は小舟での強襲に失敗したのを確認すると、海に落ちた仲間の救助もせずに撤退行動に移り、やがて、水平線の彼方へと逃げていく。

 

「主砲、砲撃中止!!」

 

シュテルは主砲の砲撃命令を中止する。

海賊の母船に逃げられたのは痛かったが、自分たちのやるべき事は海賊の捕縛ではなく、日本を目指すこと‥‥

 

右舷側の海賊の小舟をすべて沈めたが海には海賊の生き残りが漂流している。

 

「‥‥救命いかだを投下しろ」

 

「艦長!?」

 

シュテルは海に救命いかだの投下を命じる。

その命令に艦橋員は思わず、ギョッとした顔になる。

 

「ですが、艦長、相手は凶暴な海賊ですよ‥‥」

 

「わかっている‥‥しかし、今は漂流者だ‥‥」

 

救命いかだには、エンジンが着いていない。

漂流の中で強襲に必要な武器や道具も失われている筈。

それでもなお、ヒンデンブルクを諦めずに強襲してくるのであれば、もう一度、連中に機銃斉射をするまでだ。

ヒンデンブルクのクラスメイトたちは渋々と言った様子で救命いかだを海へと投げ入れる。

シュテルの思惑通り、海に投下された救命いかだに群がる海賊の生き残り‥‥

その中で彼らは既に戦意を失っており、ヒンデンブルクを狙うことはなかった。

やがて、ブルーマーメイドの艦が到着する。

 

「ブルーマーメイド、甲龍・紫煙(シェンロン・スィーエ)艦長の凰乱音(ふぁんらんいん)よ」

 

「ドイツ、キール校所属、ヒンデンブルク艦長のシュテル・H(八幡)・ラングレー・碇です」

 

ブルーマーメイドの艦の艦長、凰乱音と邂逅を果たし、シュテルは現状を説明し、クリスが助けた翔竜丸の生存者の収容と海上を漂流している海賊たちの捕縛を頼んだ。

海賊たちにとって、狙っていたブルーマーメイドの艦に捕縛者として乗艦することになったのは、皮肉としか言えなかった。

 

「後日、ブルーマーメイドから詳しい事情聴取をするかもしれません」

 

乱音の方もこれから捕縛した海賊を連行し、生存者を病院に搬送しなければならない。

よって後日、今回の件について詳しい事情聴取をとることをシュテルに告げる。

 

「わかりました。本艦は今後、神奈川の横須賀、横須賀女子海洋学校に入港予定となっております」

 

シュテルは、乱音にヒンデンブルクの今後の予定を教えた後、クリスたち臨検員たちを収容して、横須賀を目指す。

 

「副長‥‥みんな‥‥今回の件‥‥お疲れ様です‥‥そして、すまなかった」

 

シュテルは深々とクリスたち臨検員に頭を下げる。

 

「艦長?」

 

「まだ学生のみんなに人が死んでいる所へと送ってしまった事で、みんなの心に傷をつけた‥‥申し訳ない‥‥」

 

「い、いえ‥‥そんな‥‥」

 

「そうですよ‥‥」

 

艦長のシュテルに深々と頭を下げられ、逆に恐縮してしまう。

自分たちもブルーマーメイドを目指すのであれば、いつかはこうした場面に遭遇する。

それが自分たちには少し早まっただけだ。

見方を変えれば、むしろ学生の内に人の生死を経験できたのだ。

ブルーマーメイドになって、いざその場面で躊躇しては他の隊員の足を引っ張ることになる。

実戦の場で、そうなるよりはマシである。

日本の目の前である南シナ海でもまさかの海賊の襲撃を受けながらもヒンデンブルクは日本を目指す。

目的地である日本までもうすぐだった‥‥

 

 

その目的の日本、千葉の総武高校では、一年の終わりに来年度へのクラス分けのためのテストが行われ、その結果が春休み中に知らされた。

そのテスト結果にて、葉山と由比ヶ浜は、雪ノ下とは違うクラスになってしまった。

結果を見て、葉山も由比ヶ浜も残念がっていたが、前世と同じく雪ノ下とクラスが異なる事から、この後世でも前世と同じ歴史をたどっているのだと思い込んでいた。

その違いが判明するのも、もう間もなくのことだった‥‥

 




今回のゲストはインフィニット・ストラトス‐アーキタイプ・ブレイカーの登場キャラクターである凰鈴音の従妹、凰乱音です。


はいふり世界のでは史実ではワシントン軍縮会議で廃艦や戦艦から空母に転用、設計のみの計画で終わった艦が実際に何隻か存在しており、双葉社から販売した超精密3DCGシリーズの八八艦体にて、もし、実際に存在していたらと言う設定で外見がCG で描かれています。

ただし、それは建造当時のイメージした姿であり、その後も実際に存在した艦同様、近代化改修された筈なので、長門級、金剛級、伊勢級、扶桑級を参考に作ってみました。


尾張級戦艦 同型艦 尾張 駿河 近江 三河


【挿絵表示】


天城級巡洋戦艦 同型艦 天城 赤城 高雄 愛宕


【挿絵表示】


加賀級戦艦 同型艦 加賀 土佐


【挿絵表示】
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