やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

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平塚先生の視点、そして八幡がいよいよ決断を下します。


5話

 

 

~平塚静side~

 

修学旅行の後、比企谷がどうも奉仕部の活動をサボっているようだ。

ある日の放課後、まだ部活のある時間帯にもかかわらず、下校している姿を見たからだ。

その時は、何か用があるのかと思い、声をかけなかったが、翌日も、そのまた翌日もまだ部活のある時間帯に下校している姿を見かけた。

そこで、私は放課後、下駄箱の前で奴を待ち伏せし、

 

「待て、比企谷」

 

「なんですか?」

 

比企谷を引き留めた。

 

「貴様、ここしばらく部室に顔を出していないそうではないか」

 

「俺はもう部活を辞めるつもりなのであそこには行きませんよ」

 

何を勝手な事を言っているんだ?コイツは?

元々コイツの捻くれた孤独体質を改善してやるために奉仕部へと入れてやったと言うのに、まだその改善が出来ていないのに辞めるだと?

そんな勝手な事が認められるわけがないだろう。

 

「そんな事は認めん、さっさと部活に行くんだ。第一、君の更正はまだ終わっていない。行かないと言うのであれば力づくでも連れて行くぞ」

 

これ以上、グダグダ言うのであれば、私の拳が火を吹くことなる。

この前の合コンで失敗したからな、手加減は出来ないぞ。

比企谷も観念したのか、部室へと向かっていた。

それから暫くして、私の下に現生徒会長である城廻めぐりが一人の下級生の女子生徒を連れてきた。

それによると、下級生の女子生徒、一色いろは は、今度の生徒会選挙に無理矢理、生徒会長に推薦されてしまったらしい。

一色の担任に相談した所、その担任の教師は「みんなの力でクラスから生徒会長を!」などと勝手に盛り上がっており、一色の事などまるで眼中にない様子だった。

どうもあの担任教師の中ではすでに感動の物語が出来上がっているようで、『自分に自信のない生徒が教師やクラスの皆に支えられて生徒会長になる』、みたいな青臭いサクセスストーリーを勝手に作り上げているみたいだ。

やれやれ、自分勝手な教師だ。

あんなのが同じ教育者であると思うと全く恥ずかしい。

ああいう、輩こそ虐めを見て見ぬふりをするクズな教師の典型だな。

恐らく生徒指導の私が言ったところで、「一色は私のクラスの生徒だ。余計な事をするな」とでも言うだろう。

ならばこそ、此処は奉仕部の出番であろう。

それにこれは奉仕部の絆を深めるチャンスでもある。

奉仕部が一丸となって一色を説得、

一色は心機一転、会長職に意欲を見せるようになる。

そして奉仕部の三人の絆は更に深まる。

いいぞ、これこそ青春のいい思い出になるだろう。

そこで、私は城廻と一色を連れて奉仕部の部室へと向かう。

 

「邪魔するぞ」

 

すると、其処には雪ノ下と由比ヶ浜は居たが比企谷の姿は無かった。

 

「む?比企谷はどうした?」

 

「ヒッキー、今日は学校に来ていません」

 

「ちっ、アイツ、次に学校に来た時、覚えていろ‥‥」

 

まったく、あれほど言ったにも関わらず、またサボるとはどうしようもない奴だ。

しかも部活だけではなく、学校自体をサボるとは‥‥

学生の本分をなんだと思っているんだ?

今度会った時には問答無用で私の衝撃ブリットをぶち込んで強制的に部室へと連れて行こう。

これは決して体罰ではなく、私からの愛のムチだ。

 

「それで、今日は何の用ですか?先生が来たと言う事は何か依頼でしょうか?」

 

「ああ、次の生徒会選挙絡みでな。一色、城廻、入ってきていいぞ」

 

今は比企谷の事より、一色の依頼の解決が先だ。

城廻と一色が雪ノ下と由比ヶ浜の二人に今回の依頼内容を伝えると、解決策としてなんと雪ノ下が代わりに生徒会選挙に生徒会長として立候補すると言う。

そして、由比ヶ浜も同じ生徒会の書記に立候補すると言う。

奉仕部の部員三人の内、二人が生徒会の役員となると、部員は比企谷一人になってしまう。

生徒会の仕事の中にもこれまでと同じ、奉仕部の仕事も組み込むようだが、それだと比企谷の孤独体質の改善いよる更生が止まってしまうのではないだろうか?

 

「まて、比企谷はどうするんだ?」

 

そこで私は雪ノ下と由比ヶ浜に比企谷について訊ねると、

 

「あんなクズは要りません。私達二人だけで十分です。むしろ居るだけで邪魔なだけです」

 

「だよねぇ~ヒッキーなんて要らないよねぇ~」

 

「そ、そうか」

 

この二人と比企谷の間で一体何があったんだ?

あそこまで拒絶するとは‥‥

だがこれで一色の依頼は無事に解決できた。

だが、比企谷の方は‥‥

この状況では比企谷の更生の依頼はもはや無理だろう。

雪ノ下も由比ヶ浜も比企谷に対してかなりの嫌悪感を抱いている様だ。

本当にあのバカは二人に一体何をしたんだ?

しかし、こうなったのも恐らくは比企谷の捻くれた性格が招いた自業自得だろう。

あいつのことは残念だった‥‥比企谷の更生は失敗に終わったが、雪ノ下の孤独体質は何とか改善する事が出来た様だ。

雪ノ下はこうして立派に成長したと言うのに、まったく比企谷は本当にどうしようもない奴だ。

この後の人生もきっとアイツは苦労するだろうが、もうそこまでの面倒は見てられない。

自分で蒔いた種は自分で刈り取ってもらおう。

 

 

こうして一色の依頼は解決し、新たな生徒会長として雪ノ下、副会長に葉山、書記に由比ヶ浜が当選し、私は新たに生徒会の顧問となった。

新たな生徒会が発足してから少しして、雪ノ下と葉山が婚約したらしい。

くそっ、高校生のくせに!!

リア充め、砕け散れ!!

はぁ~早く結婚したい~

どこかに良い男がいないかなぁ~

イケメンで金持ちの若い男~

そんな中、近くの海浜総合高校から互いの生徒会と地域の交流を含めたクリスマスイベントの企画が持ち込まれた。

あちらの高校もつい最近、生徒会選挙があり、生徒会のメンバーが新しくなったらしい。

雪ノ下と葉山は恐らくクリスマスにきっと男女二人でしっぽりするかもしれない。

未成年の不純異性交遊は許さんし、それ以前に他校との交流は大事なことだ。

うん、これは決して雪ノ下と葉山の事が羨ましい訳ではない。

他校との交流を経験させる為の絶好の機会となるからだ。

そう思った私は海浜総合との合同クリスマスイベントの件を引き受ける事を向こうの高校に伝え、早速雪ノ下達に伝えに行った。

 

「海浜総合高校からクリスマスイベントの合同企画を持ちかけられてな、それで他校や地域との交流も兼ねて引き受けておいた」

 

「平塚先生、そう言う事は引き受ける前に、私達に同意を求めてくれませんか?」

 

「まぁ、良いじゃないか」

 

「はぁ~まぁ、受けてしまった物は仕方ありません。それでどうすれば?」

 

「うむ、今日の放課後にさっそく会議をしたいそうだから、会場である市内のコミュニティセンターの会議室へ行ってくれ」

 

「わかりました」

 

こうして雪ノ下達は海浜とのクリスマスイベントの為、放課後に市内のコミュニティセンターへと向かった。

雪ノ下は文化祭での実績もあるし、葉山も居るから大丈夫だろう。

あの二人がやるのだから、きっと素晴らしいクリスマスイベントとなるだろう。

そう思っていたのだが‥‥

クリスマスが近づいている中、突然雪ノ下達から準備が進んでいないから何とかしてくれと言われ、現場に来てみると、もうクリスマスまで時間が無いと言うのに準備は全く進んでおらず、それどころかイベントで何をやるのかさえも何一つ決まっていない。

コイツ等はこれまで一体何をしてきたんだ!?

この時間の無い中、アイツなら‥‥比企谷ならどんな手を使うだろうか?

こういう時こそ、アイツの捻くれた性格や思考がこの事態を打開する奇想天外な発想を生むかもしれない。

例え、それが出来なくても比企谷ならばこの状況下で自分を犠牲にして解決するかもしれない。

あの文化祭のスローガンを決めた時の様に‥‥

本来ならば、比企谷一人が傷つくのを見るのは辛いが、今の雪ノ下達は私が顧問を務めている総武高校を代表する生徒会役員‥雪ノ下達の失敗は総武高校の品位にも進学校と言うブランドにも傷がつく。

勿論、生徒会顧問である私の評価にもだ。

反対に比企谷は普通の学生‥‥どちらを守るか結果は火を見るよりも明らかだ。

それに比企谷と雪ノ下、由比ヶ浜は元がつくとは言え、奉仕部の繋がりがあったのだから、手伝うのは当然の事だ。

奉仕部はなくなっても三人の絆がなくなった訳じゃないのだからな。

私は比企谷の力を借りようと提案したが雪ノ下と由比ヶ浜は険しい顔をした。

 

「あんなクズの力なんて借りなくても‥‥」

 

「そうですよ。私達の力でなんとか‥‥」

 

「僕達だけで何とか出来ます」

 

「何とかできる状況なのかね?」

 

「「「‥‥」」」

 

雪ノ下も由比ヶ浜も葉山も口では比企谷の力なんて借りなくても大丈夫とは言っているが、内心では分かっている筈だ。

もうどうしようもない事を‥‥

 

「わ、分かりました。非常に不愉快で、誠に遺憾ではありますが、此処は比企谷君にも参加させる権利をあげましょう」

 

「本当にいいの?ゆきのん」

 

「由比ヶ浜さん、こうなっては仕方がないわ」

 

「うん、此処は仕方がないよ」

 

「う、うん‥‥」

 

と、比企谷の力を借りることにした。

しかし、その肝心の比企谷はここ最近、学校をサボっており、携帯にも家の電話にも出なかった。

 

「くそっ、アイツ学校もサボり、携帯にも出ん!!どこで何をしているんだ!?」

 

「とことん使えないクズね」

 

「それなら、小町ちゃんに手伝ってもらうのはどうかな?小町ちゃんならきっとヒッキーなんかより役に立つよ」

 

由比ヶ浜の提案で比企谷の妹の力を借りる事になったが、彼女でもこの事態を打開する事は出来ずに結局イベントは何も決まらないまま中止となった。

しかも海浜の連中は今回のイベントの失敗の責任を全て此方側へ丸投げしてきた。

ちょっと待て!!

そもそもこの企画の発端と合同の提案はお前達海浜の方じゃないか!?

それをイベントが失敗した責任だけを全て此方に押し付けるなんて卑怯で恥ずかしいとは思わないのか!?

全く其方に責任がないのであれば、こんな事態には陥っていない筈だ!!

しかし、由比ヶ浜が議事録を全くとっていなかった事が不味かった。

しかも海浜が書いた議事録の内容は雪ノ下達が言うには海浜に有利になる様に捏造された内容だと言う。

コイツ等はどこまで性根が腐った連中なんだ。

こんな奴等が生徒を代表する生徒会役員だと!?

コイツ等が他校の生徒と言う事でその腐った性根を叩きのめす事が出来ないのが非情に残念だ。

腸が煮えくり返る思いを表に出さず、今回の一件に関して全て総武側にあるわけではないと弁護をしたが、結局、議事録が有るか無いかの差でイベント失敗の責任は私達、総武側が追う事になった。

クリスマスイベントの失敗は海浜から総武へと伝わり、私は監督不行きで校長と教頭から大目玉を喰らう事になった。

給料とボーナスの大幅なカットに年始年末も報告書と始末書の提出で休みが全部パァだ‥‥

くっ、これでは酒代と婚活費用が賄えぬではないか!!

休みも潰れ、婚活する時間も潰された。

くそっ、こうなったのも全部比企谷が雪ノ下達を助けなかったせいだ。

三学期の始業式の時には覚えていろよ!!

私は年始年末、誰も居ない職員室で一人、比企谷に対する怒りを抱きながら書類仕事をする羽目になった。

そして、三学期の始業式で校長から衝撃的な話があった。

冬休みの直前、雪ノ下、由比ヶ浜、葉山の三人が事故死していた。

ま、まさか、あの三人が死ぬなんて‥‥

私自身もショックが隠せなかった。

 

 

 

 

三学期の始めに、クリスマスイベントの失敗も関連し、生徒会長を含む、三人が事故死した事で、学校内では調査が行われた。

その結果、平塚教諭のこれまでの行いの問題点が浮き彫りとなった。

奉仕部と言う非公認の部活を勝手に設立し、空き教室を放課後、勝手に使用した事、

更にその非公認の部活動の部費を当時の生徒会から捻出する様に脅してその部費を密かに横領していた事、

八幡を始めとし、生徒へ対する暴力行為

同じく八幡を奉仕部へと強制入部させた事、

今回のクリスマスイベント同様、文化祭の実行委員会での監督不行き‥‥

更に確認された八幡に対するいじめ

雪ノ下に対する陰湿ないやがらせ

それらの事実も確認された。

そして、それらのいじめ問題に対して生徒指導にも関わらずその対応を全くしていなかった事、

また、比企谷八幡が修学旅行後に失踪している事も判明した。

生徒が失踪しているのに何の対処もしていなかった事も問題視され、数々の総武高校の不祥事がマスコミに嗅ぎつけられ、学校には連日マスコミがおしかけ、職員室では保護者からの電話が鳴り響く事態となった。

学校側はこれらの不祥事の責任を全て平塚教諭へと押し付けた。

その結果、平塚教諭には懲戒免職処分が言い渡され、彼女は教職と言う仕事を失った。

 

 

 

 

八幡が自殺をし、彼の周囲の人間にもそれぞれ影響が出る事になる中、時系列は比企谷八幡が自殺した日へと遡る。

 

 

~???side~

 

 

「それで、八幡さん。どの選択にしますか?」

 

エリスは俺にどの道を選択するかを聞いてきた。

 

「俺は‥‥」

 

三つの選択肢を聞き、俺が下した決断は‥‥

 

「三つ目の異世界への転生でお願いします」

 

あの黒歴史がある前の世界にまた戻るのは嫌だ。

戸塚に会えなくなるのは悲しいが、それ以前にもう二度と会いたくない奴等の方が多いし、588年も不眠不休で仕事をするのも嫌だ。

そうなれば、一番マシなのが三つ目の異世界への転生だった。

 

「それで、転生する異世界ってどんな世界なんですか?」

 

「いろんな世界があります。もっとも、私の前任者の女神の先輩は一つの世界にしか説明せずに、その異世界へ死者を転生させていましたけど‥‥」

 

おいおい、前任者さんよ、それって職務怠慢なんじゃないか?

俺の前の死者がその前任者を異世界へ連れて行ってくれてホント良かったぜ。

下手したら俺もその世界一択するしかなかったじゃないか‥‥

 

「では、説明しますね。まずはその前任者の女神が多くの転生者を送り込んでいた世界は、八幡さんの世界で言うファンタジーな世界ですね。魔法や魔物が存在する世界で、文化レベルは中世のヨーロッパ並みです。そして、その世界には魔王軍がいて沢山の人が魔王軍の手によって亡くなり、その世界の人口が減り、前任者の女神はその世界の人口減少の歯止めと魔王の討伐の為、転生者を送り込んでいた様です」

 

こぇー!!

その世界、こぇー!!

いや、マジで俺の前の死者がその前任者を異世界へ連れて行ってくれて助かったぜ‥‥

何処かの誰か知らないが、ありがとう!!

 

「次は魔法少女の世界です。世界観は八幡さんのいた世界とほぼ同じですね」

 

魔法少女か‥‥

プリティーでキュアキュアな世界やリリカルでマジカルな世界なのか?

いや、万が一、一見可愛いマスコットで人語を喋る動物みたいなキャラが「僕と契約して魔法少女になってよ」な世界だとバットエンドしか思い浮かばない。

 

「次は宇宙進出した人類が居る世界なのですが、宇宙に進出した人類と地球人類とで戦争が起きて、巨大なロボットで戦う世界です」

 

宇宙戦争なんて一発でも攻撃を喰らったら、その時点で終わりじゃねぇか!!

 

「次に同じロボット系の世界でセカンドインパクトと呼ばれる大災害が起きた後、『使徒』と呼ばれる天使と戦う世界です‥‥あんなもの、天使でもなんでもないですけどね‥‥」

 

いや、その世界もなんか死亡フラグがビンビンに感じる世界なんですけど‥‥

 

「次にある一人の天災が生み出した宇宙開発用のマルチフォームスーツが登場する世界です。ただ、その世界の人間達は使い方を間違えているみたいで、しかもそのマルチフォームスーツを動かせるのは女性限定となっています」

 

なんだ?その欠陥品は!?

しかも天才の部分の言葉がなんか違う言葉に聞こえたぞ。

 

「次は、世界は一度、核の炎に包まれ、文明は荒廃し、暴力が世界を支配する世界で‥‥」

 

却下

 

「七人の魔術師がサーヴァントと呼ばれる過去の英雄を呼び出して互いに戦い合う世界で‥‥」

 

これも却下

生き残れる気もしねぇし、勝てる気がしねぇ‥‥

 

「モンスターを捕獲できるボールでモンスターを捕獲し、そのモンスターを育成し、共に旅をしながらモンスターとの絆を深め、大会に出る為のバッジ、そしてモンスターを集める世界」

 

うーん、なかなか良さそうだけど、最後まで聞いておくか‥‥

 

その後エリスからいろんな世界の説明を受けた。

 

第二次世界大戦中の払い下げ戦車を使用しての国際的な競技がある世界。

 

プロデューサーになってアイドルと絆を深め、そのアイドルをプロデュースして一流のアイドルにする世界。

 

スクールアイドルと呼ばれる学校のアイドルとなり、大会のトップを目指す世界。

 

住んでいる人の八割が学生の都市が存在し、その都市で超能力を開発する世界。

 

普段の平和な日常が一転、パンデミックが起こり、辺りはゾンビだらけ、学校に住みながら生き残りをかけたサバイバル生活の世界。

 

三国志に似た世界だけど、有名な武将が女の子な世界。

 

ブリタニアと言われる強国に日本は滅ぼされ、反逆の為に戦う世界。

 

願い事が叶う七つの球が存在する世界。

 

自分の行く先や周りでは常に殺人事件が起こり、その事件を解決する世界。

 

 

「最後にこれもまた八幡さんの居た世界と似た世界なのですが、二度目の大きな世界大戦‥第二次世界大戦がなく、また飛行機が存在しない世界で、海運業が盛んな世界です。どの世界も状況が様々ですが、共通するのはその世界の主な出来事には必ず関係すると言う事です」

 

どの世界を選択しても巻き込まれるのか‥‥

転生候補の異世界の説明を受け、後は転生する異世界と特典を一つ選ぶだけである。

説明を聞いて絶対に行かないと決めた世界もあれば、興味も沸いた世界もあった。

その中で俺が選んだのは‥‥

 

「じゃあ、最後の世界にして下さい」

 

「最後の世界‥‥海運業が盛んな世界ですね?」

 

「はい」

 

確かに興味のある世界はいくつかあったが、俺が選んだ世界は戦争がなかった世界‥‥

平和が一番だ。

 

「では、次に特典を一つ選んでください」

 

「その特典ってどんなモノなんですか?」

 

「過去の英雄が使用した道具は勿論、自分自身に特殊な能力をつける事も出来ますよ」

 

「‥‥」

 

特典と聞いて俺は考える。

 

「あの、転生した時、性別や容姿とかって今のままなんですか?」

 

「基本的にはそうですね」

 

「‥‥」

 

転生してもこの容姿‥‥

それを聞いて俺は再び考える。

俺が前の世界であんな目にあったのは一体何が原因だ?

確かに俺自身の性格や態度にも問題はあった。

だが、その根本となった原因はなんだ?

両親が小町至上主義になったのも、雪ノ下や由比ヶ浜が俺に普段当たり前のように罵倒をしてくるのも‥‥

葉山が俺を利用したのも‥‥

平塚先生が俺を殴るのも‥‥

小中校時代いじめられたのも‥‥

それが切っ掛けで人を信じられず、捻くれたのもこの腐り目になったのも、全ては俺が男として生まれたのが原因なんじゃないか?

転生してもこの容姿だとまた同じことの繰り返しかもしれない。

それならば‥‥

 

「決まりました。特典」

 

「なんですか?」

 

「転生する世界では、俺の性別と容姿を変えて転生させてください!!」

 

「えっ?性別に容姿を‥ですか?」

 

「はい」

 

「特典は可能な限り、何でも叶えられるのに‥‥本当にそれでいいんですか?」

 

「はい、お願いします」

 

「‥‥わかりました‥‥では、その特典でいきますね‥‥どうか、次の世界では自殺なんて馬鹿な真似はしないでくださいね‥‥神のご加護と祝福が貴方にあらんことを‥‥」

 

足元に突如浮かび上がった魔法陣が美しく輝きだす。

目が眩むほどの光の中でエリスは慈愛に満ちた顔で俺を見送った。

 




次回からやっと、はいふりの世界へと行きます。
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