やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

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64話

横須賀に戻る途中、艦内でトイレットペーパーが無くなるという不測の事態が起きた晴風とヒンデンブルク。

そこで、トイレットペーパーを調達するため、四国沖にある海上ショッピングモールへと買い出しに出かけた選抜メンバーたち。

遠回りやらなんらやして、時刻は既にお昼時‥‥

クリスとしてはさっさとトイレットペーパーを買って艦に戻りたいが、晴風のメンバーとしては久しぶりに晴風の外に出れたと言うことから、もう少しこの時間を楽しみたい様子。

それに晴風同様、不測の事態でシュペーから離艦したミーナの為にケーキを焼きたいという伊良子の願いを明乃は受けいれており、トイレットペーパーの他にケーキの食材も購入することになった。

買い出し組はショッピングモールのフードコートでお昼を食べた。

 

「それじゃあ、私は卵と生クリームと苺を買ってきます!!‥‥文句はないよね?媛萌ちゃん?」

 

伊良子がいい笑みを浮かべながら、和住に訊ねる。

 

「は、はい‥‥どうぞ、思う存分買い物を楽しんでください」

 

伊良子の買い物に空しく承諾する和住。

 

「まぁ、本人も反省している様だから、許してあげたら?」

 

クリスが苦笑しながら、伊良子に言う。

 

「すっかり頭が上がらなくなっているね」

 

「仕方なかろう。余計な事をする時間はないと言いながら、当人がホームセンターコーナーで一時間も費やしたのだから」

 

ショッピングモールに来た際、和住の目にホームセンターコーナーが目に入った。

そこには、沢山の工具が販売されており、晴風で応急員を務めている和住はフラフラと吸い寄せられるかの様にホームセンターコーナーへと向かった。

当然、購入する予算がないから、見るだけで終わったのだが、購入することが出来ないからこそ、『もし、これがあったら‥‥』などと、想像してしまい、ホームセンターコーナーから動けずにいた。

ここへ来る前は、『余計な買い物はダメ』 『余計な事をする時間はない』と言っていたのだが、その当の本人がホームセンターコーナーで、一時間も時間を無駄に潰してしまったのだから、立つ瀬がなかった。

だからこそ、ミーナの歓迎会用のケーキの食材を買うという伊良子の言葉にぐぅの音も出ない和住だった。

 

「好きなもの見ていると時間忘れちゃうよね」

 

明乃が和住を弁護するかのように言う。

 

「まぁ、その気持ちは分からないでもないかな」

 

「そうそう、私もそうだけど、クリスやシュテルンも同じだし‥‥」

 

クリスとユーリもその和住の行動や明乃が言った事には理解を示す。

ただ、今自分たちが置かれている状況下では、一時間のロスはまずい。

 

「さて、それじゃあ行こう。これ以上時間は無駄に出来ないし」

 

フードコートでの食事を終えた買い出し組は、ケーキの材料とトイレットペーパーを買う為、食料品コーナー及び日用雑貨コーナーに向かう。

その際、

 

「‥‥ユーリ」

 

「ん?」

 

「気づいている?」

 

「ああ、後ろから私たちを尾行している人たちの事?」

 

「そう‥‥」

 

クリスは小声でユーリに話しかける。

そして、顔は向けないが、目線をそっと後ろへと向ける。

ユーリは視線も向けず、気づかないふりをしながら歩いている。

 

「尾行しているのは、ブルーマーメイドの人たちだね」

 

「ええ‥‥あんな白い目立つ制服で尾行して、気づかないと思っているのかな?」

 

「まぁ、実際に晴風のメンバーは気づいていないみたいだけど?」

 

「そこは、ミーナ教官に感謝だね。あの人神出鬼没で出るから、結構周りの気配に集中しないと、背後を取られるからね」

 

明乃たちはブルーマーメイドの尾行に気づいていないがクリスとユーリは気づいていた。

相手のブルーマーメイドの隊員たちも相手は女子高生だから大丈夫だろうという慢心があったのかもしれないが、隊員たちの誤算は、キール校のミーナ教官の教えを受けていたユーリとクリスの存在だった。

ミーナ教官の教えで、去年の夏休み、ユーリは宿を強襲してきた警官隊の摘発から逃れることが出来たのだ。

そもそも、何故、ここにブルーマーメイドの隊員たちが居て、買い出し組を尾行しているのか?

それは、買い出し組がこのショッピングモールについた時まで時間を遡る。

 

晴風捜索の命令を受けていたブルーマーメイドの平賀倫子は寒川高乃、志度琴海の三人で、真霜からの情報を頼りにオーシャンモール四国沖店にいた。

 

「宗谷監督官の情報によれば、晴風は、この付近の海域に潜んでいる筈‥‥」

 

平賀はタブレット端末に表示されている電子海図で晴風の予想航路から、晴風がこの四国沖のどこかに居ると読んでいた。

 

「では、間宮と明石、浜風、舞風にこの近海の哨戒を依頼しますか?」

 

寒川が平賀に同じく晴風の捜索と補給の為に連れてきた横須賀女子所属の明石、間宮、そして護衛の浜風、舞風の四隻に周辺の捜索を依頼するかと訊ねる。

 

「そうね、そうしてもらって。ただし、日没まで周辺を捜索して晴風を発見できないようであれば、ここへ戻ってくるように伝えて」

 

「了解です」

 

晴風がこの四国沖に居るというのはあくまでも予想であり、確実にいるとは限らない。

もし、日没まで晴風を見つけることが出来なければ、予測は外れていたと言うことでまた新たに捜索の範囲を設定しなければならない。

制限時間と集合場所を決め、横須賀女子の学生艦に周辺海域の捜索を依頼する。

 

「私達も哨戒艇にて哨戒を行います。哨戒艇の準備を‥‥」

 

「はっ!!」

 

平賀は学生艦の他に、自分たちも周辺海域を捜索するため、志度に哨戒艇の準備を命じる。

哨戒艇に乗るため、桟橋へと向かうと、その途中で高校生ぐらいの女子たちの集団を平賀は見かけた。

 

「‥‥」

 

「どうしました?平賀監察官」

 

「今、晴風の乗員らしき生徒を見かけたわ」

 

クリスとユーリの顔までは、覚えていないが、捜索をしている晴風の乗員の顔写真は横須賀女子経由でブルーマーメイドの方にも回っており、平賀たちも当然その顔写真を見ている。

だからこそ、さきほど見かけた高校生たちが晴風の乗員かもしれないという可能性が生じた。

 

「えっ?本当ですか?」

 

「ええ、後を追うわよ。学生艦にはしばらく待機を命じて」

 

「はっ!!」

 

こうして、平賀たちは尾行を始めた。

ただ、相手は制服ではなく私服の為、完全たる確証がない。

しばらく尾行して、彼女たちが、晴風の乗員であることを突き止めなければならなかった。

これが、ブルーマーメイドの隊員たちが、買い出し組を尾行している理由だった。

 

クリスとユーリ以外、平賀たちの尾行には気づいていない晴風の乗員。

食品コーナーへ向かっている最中、

 

「美波さんは何か見たいものとかある?」

 

明乃は美波にショッピングモール内で何か見てみたい物、寄ってみたいコーナーは無いかと訊ねる。

和住はホームセンターコーナーを見て、伊良子は食品コーナーをこれから見るので、美波も、もしかしたらどこか見てみたいコーナーがあるかもしれないと明乃はそう思ったのだ。

 

「‥‥よく、分からない。今まで研究ばかりで、皆で買い物とかあんまり経験が無かったからな」

 

美波は、もともとインドア派であり、あんまり外出しなかったせいか、こういうところに来たのは、本人も初めての様だ。

 

「そうなんだ‥‥ねぇねぇ、研究ってどんな事をするの?」

 

明乃は、美波がどんな研究をしているのか訊ねると、

 

「聞きたいか?」

 

美波はマッドサイエンティストの様な狂気じみた顔で自分がこれまでどんな研究をしてきたのか明乃に話そうとする。

 

「や、やっぱり遠慮しておこうかな‥‥」

 

美波の豹変ぶりから、聞いて話らないと本能的に直感した明乃は聞くのを止めた。

 

(個人的にはちょっと興味あるかな‥‥)

 

(このちびっ子、ウルスラの上位固体かな?‥‥ウルスラと会わせたら気が合いそうだけど、会話の内容は理解できないだろうな‥‥)

 

クリスは個人的には美波がどんな研究をしてきたのか、聞いてみたいと思い、ユーリは、ウルスラと美波はおそらく波長が合うのではないかと思った。

 

「ところで艦長」

 

美波が不意に明乃に声をかける。

 

「なに?」

 

「‥‥何故、手を繋いでいるんだ?」

 

明乃は美波の手を握って歩いている。

美波は何故、明乃が自分の手を握って歩いているのか気になっていたのだ。

もしかしたら、自分は子供扱いをされているのではないかと思ったのかもしれない。

 

「あっ!?あはははは‥‥ごめん、ごめん」

 

明乃は慌てて美波から手を離さす。

どうやら、明乃は無意識のうちに美波の手を握っていたみたいだ。

 

「こういう所歩いていると『はぐれないように』ってつい昔のクセで‥‥」

 

小学生時代‥‥両親を海難事故で亡くし、もえかと出会った施設時代‥‥いや、それ以前からどこかに出かけた際、明乃は一人にするとフラフラとどこかに行ってしまう迷子クセがあり、それを防止するために誰かと手をつないでいれば、一人でフラフラとどこかに行くことはない。

施設時代、明乃はもえかの手を握って外出先は過ごしていた。

今回もそのクセが出たのだ。

 

「自分がはぐれるのか‥‥」

 

美波は自分が子供扱いされたのではなく、問題は明乃自身にあったことに思わずツッコミをいれた。

もっとも、美波の手を繋いだのが、明乃ではなくテアだったら、身長からして二人とも小学生として見られていただろう。

とはいえ、美波は飛び級生であり、実年齢はまだ12歳なのであながち間違いではない。

やがて、伊良子のお目当てである食品コーナーにて、伊良子は同じ食材でも炊事員として目利きをして食材を吟味する。

伊良子が食材を買っている間もクリスとユーリは自分たちを尾行している平賀たちの動向を気にかけながら、尾行に気づかれたそぶりを見せずに買い物に付き合った。

 

「おぉーこれがジャパニーズ、食玩か‥‥」

 

「おまけ付きのお菓子なのに、結構精密に出来ているね」

 

「このガチャポンってやつも凄いねぇ~」

 

クリスとユーリはキャラクター菓子の食玩やガチャポンに興味津々な様子だった。

しかし、今は余計な買い物をするわけにはいかないので、見るだけで終わった。

 

「お待たせー!!ごめんねー!!」

 

そして、ようやくケーキの材料を購入した伊良子が戻ってきた。

 

「材料買えた?」

 

「うん、それでねぇ‥‥」

 

伊良子ある物をポケットから出す。

 

「じゃ~ん!一枚だけだけど抽選券貰っちゃった!!」

 

ケーキの材料を買ったついでにレジで伊良子は抽選券を貰った。

 

「これで一回福引ができるんだって」

 

ちょうとこのショッピングモールでは福引をしているみたいだった。

 

「何が当たるんだ?」

 

「それは分からないけど、商品券とか当たったら、フルーツとかも買って、豪華なケーキになるね!」

 

何が当たるのか、分からなかったが、もし当たるとすれば、商品券で追加のケーキの食材などを買いたいと伊良子は願うが、

 

「いや其処は、トイレットペーパーに使うでしょう」

 

和住が伊良子に突っ込む。

たしかにギリギリの予算内でトイレットペーパーの買い出しに来たのだから、商品券が当たれば、トイレットペーパーをもっとたくさん買うことが出来る。

晴風でも、ヒンデンブルクでもトイレットペーパーの使用用途はトイレ以外にも使用されているので、いくつあっても足りないぐらいなのだから‥‥

 

「福引きの賞品と言えば豪華旅行券!」

 

和住は豪華旅行券が当たれば良いと思っていた。

確かに福引の特賞は国内、海外の旅行券であることが多い。

 

「そんなのを当てて如何するんだ?」

 

美波はこの状況下では、仮に特賞が当たったとしても旅行に行ける余裕などなく、当てても意味がないと言う。

 

「金券ショップに売ればお金にできる。そうすればトイレットペーパー代が浮く」

 

和住は特賞の旅行券が当たったら、ここの金券ショップで現金に替えると言う。

まぁ、確かに売れば和住の言う通り、現金に換金できる。

しかし、それは福引に当たればの話だ。

 

「うわー夢がない」

 

「捕らぬ狸の皮算用」

 

確かに和住の言うことは現実的で夢がないし、そもそも手に入るか如何か分からない物を当てにして計画を立てるあたりは美波の言う通りだった。

 

「それで、どうするの?もう、トイレットペーパーを買って艦に帰る?」

 

クリスがあとはトイレットペーパーを買うだけなので、トイレットペーパーを買って艦に戻るかを訊ねる。

ただ、その前に自分たちを尾行しているブルーマーメイドを撒く必要がある。

このままでは送り狼で、彼女たちを晴風とヒンデンブルクに案内することになる。

 

「うーん‥せっかくだし、やっていこう」

 

明乃は折角の福引券なのだから、やっていこうと言う。

晴風のメンバーにブルーマーメイドが尾行していることを伝えてもいいのだが、ここで教えて相手にバレても面倒なので、もう少し様子を見ることにした。

 

買い出し組がショッピングモールで買い物をしている頃、晴風の甲板では‥‥

 

「暇だ~‥‥ルナ、何か面白い話して」

 

 

広田は、駿河に何か暇つぶしに面白い話をするよう言う。

 

「何!?その無茶ぶり!?」

 

行き成り、面白い話をしろと言われ、驚愕する駿河。

しかし、話題を振られたので、うーん‥‥と考えつつも、話題が浮かんだ。

 

「そうだな~‥‥じゃあ落語を一つ」

 

考えた結果、思わず落語を話す。

 

「えっ?落語!?」

 

「うそっ、ルナが落語を?」

 

「テレビで見たのかしら?」

 

駿河が落語を話すのが珍しいのか、三人は、ギョッと驚く。

 

「えっとね~」

 

とは言え、駿河は話を続ける。

 

「高いお皿で餌をあげていると猫が二両で売れる話なんだけど‥‥」

 

「いきなり、オチから言うな!」

 

いきなりオチから話す駿河に広田がツッコム。

 

「だって、其処以外忘れちゃったんだもん‥‥っていうか、皆知っている話だったの?」

 

「忘れたのに話そうとしたのね」

 

「まぁ、それなりに有名な話だからねぇ~‥‥」

 

如何やら、駿河が言う話は、三人とも知っている話だったので止める。

 

「そーだ!!この前スーパーに行った時の話なんだけど‥‥」

 

話を切り替え、この前、駿河が買い物でスーパーに行った時の事を話す。

 

「お魚売っているコーナーに塩鮭があったのね、でもその中に何と甘口が有ったんだよ!!プロでも有るんだね~塩と砂糖間違える事っていう面白い話」

 

「いや甘口って、そう言う意味じゃないから」

 

「アハハハ‥‥面白いわーこの子!!」

 

駿河の面白い話に若狭は呆れ、広田は面白がって笑う。

 

そんな時、

 

「何の話しているの?」

 

「ほっちゃん!!あっちゃん!!」

 

そこへ、先程まで甲板にて洗濯物を干していた杵﨑姉妹が訪ねてきた。

 

「まぁ、何でもない話だよ」

 

「そうそうルナが可愛いねって話」

 

「そうだったの?」

 

「でも甘口の間違いはちゃんと教えた方が良いと思うわ、この子の将来の為にも‥‥」

 

伊勢は駿河の未来を考えて間違いはここでちゃんと訂正しておかないと追々困るだろうと言う。

 

「育児に悩む母か?」

 

そんな伊勢の態度に若狭がツッコミを入れる。

 

「じゃあ代表して、ほっちゃん、あっちゃんに伝えてもらいましょう」

 

「えっ!?何が?」

 

「何を?」

 

何の話なのか、杵崎姉妹の頭の上に?マークが浮かぶ。

その後、杵崎姉妹に先の話の事を説明する。

 

「甘口は甘い訳ではない‥‥よし、覚えた!!」

 

そして、杵崎姉妹からの説明を聞いて駿河の知識力が上がった。

 

「ルナは、理解力は結構高いんだよね~~」

 

「やればできる子~~」

 

『偉い!!偉い!!』

 

駿河の知識力が上がったのを四人は、褒める。

 

「とりあえず、これでカレーに砂糖入れて甘口カレー、何て未来は起こらなくなったわね」

 

それに比べて、広田は、皮肉を言う。

 

「大丈夫、大丈夫!私そんなに料理しないし!」

 

「おーっと、根底から覆す解決策」

 

何とも無責任の解決策だ。

 

「そうだ!?」

 

ほまれは、ある事を思い出す。

 

「そろそろおやつにしようと思っていたんだけど、一緒にどう?」

 

如何やら、杵﨑姉妹は、おやつを一緒に食べようと、機関員四人組を誘いに来たのだ。

 

「おぉ~良いね~」

 

「わ~い!!」

 

おやつを一緒に食べるのに四人は、大喜びで賛同する。

 

「機関長も呼ぶ?機関室で寝ていると思うけど‥‥」

 

若狭は、機関室で鼾をかきながら寝ている柳原も誘おうとしたが

 

「あぁー寝ているなら起こさない方が良いかな~~」

 

ほまれがそれを止める。

しかし、後で四人が杵崎姉妹のお手製のおやつを食べたことを知っても機嫌が悪くなりそうだ。

 

「何で?」

 

何故、柳原を起こしては、いけないのか理由を聞く。

 

「マロンちゃん寝起きがあんまり良くないから‥‥」

 

「機嫌悪いの?」

 

「う~ん‥‥そうじゃなくて、起こした人を巻き込んで二度寝しちゃうんだよ」

 

「前にお泊り会した時は大変だったんだよ‥‥」

 

如何やら、杵崎姉妹の説明によると柳原は、相当、寝起きが変な方向で悪い様だ。

起こしに来た人を抱き枕にして寝るなんて‥‥

その為、経験がある杵崎姉妹はあえて起こさない様に止めたのだ。

 

((((可愛い‥‥))))

 

柳原の寝起きの悪さを聞いて、広田と若狭は、想像しただけでも、柳原のその姿が可愛いと思った。

その後、機関員四人組は、杵﨑姉妹に誘われ、おやつにする事にした。

 

杵﨑姉妹からおやつに御呼ばれされ、機関員四人組は、女子会の様に集まり、更に艦首でマチコと写真を取っていた青木と等松も集まる。

ただ、マチコは仕事の為か、その場には居なかった。

 

「杏仁豆腐作ったから食べて」

 

「どうぞ!!」

 

杵﨑姉妹が作って来た杏仁豆腐が振舞われ、皆は、おやつを食べる。

そんな中、駿河がこれからの事についての不安を口にする。

 

「学校に帰ったら私たち怒られるのかな~?」

 

駿河は、今度の事で帰港したら、校長の真雪に怒られると思いおもわず溜息を吐く。

 

「まさか停学とか退学にならないよね~?」

 

広田の方は、今度の事で晴風の生徒全員が停学または退学の処罰が下されるかと不安になる。

成績が底辺ながらも、苦労して入学した高校なのだ。

訳の分からない事件に巻き込まれて退学ではあまりにも理不尽だ。

 

「ブルマーに成れないとか?」

 

広田の言葉を聞いて、伊勢は、ブルーマーメイドを略語で言う。

 

「ブルマー?」

 

行き成り略語で言った為、駿河には、ブルーマーメイドの言葉を略したのが分からなかった。

 

「ブルーマーメイド」

 

そこで伊勢は、駿河に今度は正式名称で言う。

 

「無い、無い‥‥だって宗谷さん校長の娘さん何だって」

 

若狭は、真白が真雪の娘だから、真白がいる限り、晴風のクラスには処罰が下される事はないと思った。

しかし、真雪は確かに真白の母親であるが、ちゃんと公私は分ける人間なので、もし、晴風の方に問題があるのであれば、娘が居ようとも容赦はしないだろう。

 

「えっ!?本当!!」

 

「ああ、校長も宗谷だ!?宗谷真雪‥‥宗谷さん、真白だよね?」

 

真白が横須賀女子の校長である真雪の娘だと知って、二人は驚く。

 

そんな中、

 

『ん?』

 

ミーナに艦内を案内していた真白と黒木が偶然、そこに居合わせて、たまたま彼女たちの会話を聞いてしまう。

 

「真雪にましろかぁ、雪は白いもんね~」

 

「えぇ~でも校長の娘さんなのに、うちのクラス?駿河とかじゃないんだ?」

 

若狭は、真白が真雪の娘なのに何故、成績優秀の戦艦駿河ではなく、成績不良の晴風に配属されたのか、気になる様子。

まさか、真白が入試で大ポカをしたことを若狭たちは知らなかった。

 

「うっ!?」

 

若狭の言葉を聞いて、真白は落ち込む。

だが、そんな真白を見て黒木が、

 

「余計なお喋りは止めなさい!!」

 

と余りに余計なお喋りをするクラスメイトたちにやめる様に声を荒げる。

更にミーナも、

 

「この噂好きのドグサレ野郎共!!修理する箇所がいくらでもあるだろ!!取り掛かれ!!」

 

と、渇を入れた。

 

『は、はい~!!』

 

ミーナの一喝を受け、持ち場へと慌てて戻って行った。

 

「気にしないでね、宗谷さん」

 

クラスメイトたちが去った後、落ち込む真白を黒木は、慰めようとする。

 

「‥‥」

 

だが、さっきのクラスメイトたちのお喋りを聞いて、真白は落ち込んでいた。

真白が落ち込んでいるその頃、

 

「あぁ~!?Abyssの箱だ!?」

 

甲板で漂流物を拾っていた姫路と松永が通販会社のロゴが書かれた箱を見つけ、二人は、その箱を引き揚げる。

 

「通販の箱なんだから、雑誌とか入ってないかな~?‥‥あれ?」

 

中に何が入っているのか、ウキウキしながら箱の蓋を開けてみると、其処には蓋が開いた飼育箱があり、中から、ハムスターの様なネズミが飛び出して、甲板を走り去っていった。

 

「な、なんだ?‥‥あれ‥‥」

 

「さあ?」

 

いきなりのことで事態が把握できなかった姫路と松永。

ちょうどその頃、機銃座で昼寝をしていた五十六が、甲板を走るネズミの姿を見つける

ネズミを見た瞬間、普段の鈍足な動きからは信じられない速さ‥‥まるで、野生の本能に目覚めたかの様に、五十六はそのマウスを追いかけて行った。

そして、ネズミは、偶々その場にいた、真白、黒木、ミーナの足元を通過した。

 

「ネズミ?」

 

ミーナが足元を見て、真白が左を向くと、ネズミを追いかけていた五十六が突進してきた。

 

「うわぁ!?‥‥ぐはっ!?」

 

驚きの余り、尻もちをつく真白、更に追い打ちをかけるかのように五十六が真白の腹に乗り飛び越えていった。

 

「宗谷さん大丈夫?」

 

黒木が真白に心配して声を掛ける。

 

「まったく、猫なんか乗せるから~!!」

 

真白は、つくづく自分の運の無さに悔やむのだった。

 

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