やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

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65話

 

 

横須賀に戻る途中、トイレットペーパーの在庫が無くなると言う不測の事態が起きた晴風とヒンデンブルク。

 

幸い近くに海上ショッピングモールが存在した。

 

そこで、両艦から買い出しのための選抜メンバーを選出し、買い出し組が四国沖にある海上ショッピングモールへと買い出しに行っている間、晴風のクラスメイトたちは、当直者以外は皆、思い思いの自由時間を過ごしていた。

 

そして、それはヒンデンブルクでも同じだった。

 

「マグロ~♪カツオ~♪マンボウさ~ん~♪~」

 

「さんま~♪ひらめ~♪トビウオさ~ん~♪~」

 

食堂で機関長のジークと将棋を指していたシュテルの姿は甲板にあり、隣には一緒に将棋を指していたジークの姿もあり、二人は、今度は釣りをしていた。

 

甲板の上に座り、海に釣り糸を垂らし、どこかの擬人化した特型駆逐艦が潮干狩りの際に歌っていたような歌を口ずさみながら、魚が来るのを待っている二人。

 

それから数十分後‥‥

 

魚は来ず、二人はジッと釣り糸を見ている。

すると、

 

「豆知識~」

 

ジークがいきなり、豆知識を披露してきた。

 

「なぁ、なぁ、シュテルン」

 

「ん?」

 

「枝豆は大豆やねんでぇ~」

 

「へぇ~‥‥っていうか、それぐらい知っているよ」

 

「‥‥ちゃうねん」

 

「えっ?」

 

「それは『豆知識』やのうて、『豆の知識』や、言うてほしかった‥‥」

 

「あぁ~‥‥ごめん‥‥っていうか分かりにくいボケだな」

 

ジークの分かりにくいボケに対してツッコミを入れるシュテルだった。

 

「そういえば、『痔』ってな、日本語のひらがなで、『ち』に点々を点けるやんか」

 

「あ、ああ‥そうだね」

 

すると、今度は痔について語りだしたジーク。

 

「でもな、普通『ち』に点々なんか使わへんよな?」

 

「そうか?鼻血の血もひらがなに直すと『ち』に点々をつけているぞ」

 

「でもな、この前、国語辞典で調べたら、『し』に点々になっとんたんよ」

 

「‥‥そうか」

 

「で、ついでにいろんな言葉を調べていたら、アザラシってな、漢字で海の豹って書くやんか‥‥」

 

「ああ、そうだな」

 

「やっぱり、ああ見えてもきっと凶暴なんやろうな」

 

「水族館や動物園のアザラシは兎も角、野生のアザラシはペンギンも襲って食べるからな」

 

「海と言えば、うち、一度でええから、イルカの背中に乗ってみたいなぁ~」

 

「まぁ、水族館のショーでは定番だしな。あれは確かに面白そうだ」

 

「そうやろう?でな、イルカって漢字で書くと、海の豚って書くやんか」

 

「そうだな」

 

「でな、豚は豚でも、なんで海に居るのに、河の豚って書いてフグって読むんやろう?」

 

「そうだね‥‥あっ、そういえばイルカと言えば、諸説あるけど、イルカは海に住んでいるけど、たまに溺れることがあるらしい」

 

「そうなんや」

 

「あと、かつお節って世界一固い食品としてギネスに認定されているらしいよ」

 

「そうなんや‥‥他には?」

 

「えっと、詳しいメカニズムは分かっていないが、普段は水中で生活をするマンボウは、たまに海面に横になって浮かんでいることがあって、これをマンボウの昼寝って言うらしい」

 

「へぇ~」

 

未だに魚がかからない釣り糸を垂らしながら、シュテルが魚に関する雑学を披露していると、

 

「釣れますか?」

 

そこにウルスラがやってきた。

 

「全然、あまりにも退屈だから、ジークと雑学を語っていた」

 

「雑学‥ですか‥‥どんな雑学なんですか?」

 

「痔について語ってたんや」

 

「ちょっ、ジーク、それってどっちの!?『し』に点々?それとも『ち』に点々!?」

 

「痔?艦長か機関長は痔なんですか?なんなら、診察しますけど?」

 

「いや、違うから!!私もジークもボ○ギノールのお世話になるような事態にはなってないから!!」

 

シュテルは慌ててウルスラに自分たちが痔ではないと否定した。

 

ショッピングモールへの買い出し組が戻るまで、晴風とヒンデンブルクではのんびりと平和な時間が訪れていた。

 

しかし、平和時間が訪れていたのは晴風とヒンデンブルクだけではなかった。

 

海上ショッピングモールを挟んだちょうど、反対側には真雪の要請を受けた横須賀女子の明石、間宮、浜風、舞風が停泊していた。

 

行方不明となった学生艦の内、晴風が一番近いと予測されたので、ブルーマーメイドと共に捜索と補給にきたのだが、突如、ブルーマーメイドの平賀監察官より、哨戒活動の中止と現状待機を命じられたのだ。

 

そこで、明石艦長の杉本珊瑚は間宮へと訪問した。

 

間宮のタラップの傍の甲板には横須賀女子の制服を纏った眼鏡をかけた一人の女生徒が居た。

 

「やぁ、間宮艦長」

 

杉本はその女生徒に声をかける。

彼女は間宮艦長の藤田優衣だった。

 

「話は聞いている?」

 

「聞いている。ブルーマーメイドと一緒に行方不明の学生艦の捜索‥‥可能であれば補給でしょう?今一番近くに居るとされているのが、晴風ってこともね」

 

「うん、まぁ、その話もあるけど、さっきウチのが信号を送ったでしょう?ヨ・ウ・カ・ン・ヲ・ク・レ~、カ・ス・テ・ラ・ヲ・ク・レ~って」

 

杉本は藤田に手旗信号で先程、間宮にお菓子を要請した旨を確認する。

 

「はいはい、そっちも聞いています。ちゃんと明石に届けるから」

 

「いや~助かるよ~お菓子があると士気が上がるからねぇ~」

 

杉本はちゃんと要請が受け入れられていることにホッとする。

ユーリあたりがいれば、きっと杉本の言葉に同意するだろう。

 

「こっちもそういってもらえると作り甲斐があるわ」

 

「お礼に間宮の修理するところ、あったら直すけど?」

 

「大丈夫よ。まだ出航したばかりだし」

 

「そう‥‥まぁ、念のため、各部の点検だけはしてあげるよ」

 

藤田は特に壊れている所はないと言うが、念のため、明石の総点検だけは受けることにした。

すると、杉本はなにかに気づき、藤田に近づくと、彼女の匂いを嗅ぐ。

 

「スンスン‥‥」

 

「な、なに?急に‥‥どうしたのよ‥‥?」

 

「いやぁ~流石、間宮は衛生管理も特別にしっかりしているから、いい匂いがすると思って‥‥」

 

杉本は藤田の匂いを嗅ぎ、

 

「あれだねー、石鹸と洗剤とスイーツな香りが渦巻いているね」

 

「‥‥ちょっと待って、それって本当にいい匂いなの?」

 

杉本の表現からはいい匂いどころか、なんか匂いに酔いそうな匂いだ。

 

「というか、二人だけの時は名前でいいわよ。わざわざ艦長って呼ばなくても‥‥」

 

藤田は二人っきりの時は、別に自分の事を「間宮艦長」と呼ばなくてもいいと杉本に言う。

 

「えぇ~せっかく、艦長になれたんだし、今のうちに呼ばれ慣れておきなって~それとも、名前で呼ばれたいの?」

 

「別にそういう訳じゃないけど‥‥まだちょっと慣れていないのよ」

 

そして、杉本と藤田は間宮の甲板に腰を下ろした。

 

「その点、私は入学前から艦長になる気満々だったから呼ばれたい放題だね」

 

「まぁ、珊瑚はねぇ‥‥もともと、会った頃からそうだったし‥‥っていうか、その自覚があるなら、靴のかかとを潰して歩く癖、直しさないよ。示しがつかないわよ」

 

「前代未聞でしょう?そんな艦長」

 

「開き直らないの!!」

 

シュテルにクリス、ユーリ、ジークたち‥‥

 

ミーナにテア、

 

明乃にもえか、

 

が居るように杉本には藤田‥‥仲の良い友人が互いに互いを支えていたのだった。

ただ、艦長と言うには個性が強い気もする。

 

 

ショッピングモールでの買い出し組はモールで行われている福引券会場へとやって来た。

 

「あっ、見て!!一等はトイレットペーパー一年分だって!!」

 

「なんか微妙な一等だな‥‥」

 

福引の一等の景品が今、自分たちが欲するトイレットペーパー‥‥しかも一年分。

一年分はいらないが、ここから横須賀までの距離ならば、持てる分だけでも十分な量だ。

 

「でも、狙ったように一等を狙えるかな?」

 

「参加賞のポケットティッシュ一個じゃあ、焼け石に水以下だもんねぇ~」

 

「あっ、でも、私よく福引で一等があたることがあるから、ダイジョブだよ」

 

明乃は昔から幸運体質でこういう福引では結構上位の賞を当てていた。

 

(確かに彼女には神のご加護の値が異常に高い‥‥なんか、神に愛されているって感じね‥‥)

 

クリスは明乃をジッと見てそんな風に思っていた。

 

「ねぇ、クリス」

 

「ん?」

 

「トイレットペーパーを持って、逃げ切れるかな?ブルーマーメイドの人たち、だんだんと近づいてきているよ」

 

「‥‥いざとなったら、私たちで対処しないとね‥‥」

 

「犯罪にならないかな‥‥?」

 

クリスはいざとなれば、明乃たちを逃がすために自分たちで、今、尾行をしているブルーマーメイドの隊員たちに対処するつもりでいた。

 

クリスとユーリがブルーマーメイドの隊員たちの対処を話している中、明乃が福引のハンドルを回す。

 

落ちてきた玉の色は‥‥

 

「トイレットペーパー、一年分おめでとうございま~す!!」

 

やはり、ここでも明乃の幸運体質は発揮され、彼女はお目当てのトイレットペーパーを引き当てた。

 

「やった~!!」

 

「艦長‥じゃなくて岬さん凄~い!!」

 

「何て運の良い‥抽選券一枚しか貰えなかったのに‥‥」

 

明乃本人から聞いてはいたが、こうして改めて彼女の幸運体質を見ると、やはり驚く。

 

「良かったね。トイレットペーパーまだ買わなくて」

 

「でも一年分なんて如何やって、持って帰るんだ?」

 

クリスとユーリが居るとはいえ、トイレットペーパー一年分はあまりにも数が多い。

 

「ご自宅までお送りしますよ」

 

どうやってトイレットペーパーを艦まで持ち帰るか考えていると、店員が宅配も可能だと言いう。

 

『えっ?』

 

店員の話を聞き、晴風組は円陣を組む。

 

「如何しよう?‥‥船まで送って貰えないし‥‥」

 

「持てるだけ持って帰ろうよ~」

 

もったいないが、買い出し組のメンバーが持てる分だけのトイレットペーパーを直接手で持って帰ることになった。

 

両手にトイレットペーパーを持ち、無料シャトルバスの駅まで戻ろうと歩いていると‥‥

 

「ん!?」

 

買い出し組の前に平賀たち、ブルーマーメイドの隊員が立ちはだかる。

 

「貴女たち、晴風の乗員ね!?」

 

『うえっ!?』

 

突然、ブルーマーメイドの隊員たちが自分たちの前に現れ、しかも正体がバレていた。

この事態に、

 

「戦略的撤退よ~!!」

 

急いでトイレットペーパーを捨てて、その場から逃げる。

 

「ま、待って~皆!!」

 

明乃は一歩遅れて逃げる。

 

「待ちなさい!!」

 

平賀たちは急いで後を追いかける。

 

だが、急いで逃げた為、通行人の少年が逃げる和住を避けようとしたせいで地面に尻もちを着く。

 

「あっ!?」

 

明乃が地面に尻もちを着いた少年に気づき、

 

「大丈夫?」

 

立ち止まり、少年声をかけながら、彼を起こす。

しかし、これが大きなロスとなり、

 

「うっ、うぁぁぁ~!!」

 

明乃は、寒川と志度に取り押さえられてしまった。

 

「ああっ!!艦長!!」

 

伊良子が、明乃が捕まってしまったことに気づく。

すると、

 

「うりゃぁぁー!!」

 

ユーリが寒川にドロップキックをかまし、

 

「はっ!!」

 

クリスが志度に足掛けをする。

当然のクリスとユーリの攻撃を受けて、寒川と志度は地面に尻餅をつく。

 

「今のうちに!!」

 

「う、うん」

 

寒川と志度の二人を倒し、クリスが明乃の手を引いて、再び逃走する買い出し組。

 

「あっ!?」

 

平賀はまさか、学生がブルーマーメイド隊員に反撃するとは思ってもおらず、クリスとユーリの反撃を見て、唖然としてしまうが、すぐに再起して、

 

「お、追うわよ!!」

 

「は、はい‥‥」

 

「いったぁ~‥‥」

 

お尻をさすりながら、寒川と志度は起き上がり、買い出し組を追いかけようとするが、既に買い出し組は人ごみの中に消えてしまった。

 

「くっ‥‥」

 

平賀は悔しそうに苦虫を嚙み潰したように顔を歪めた。

 

 

「ハァ‥ハァ‥‥ま、まさかブルーマーメイドの人が来るなんて‥‥」

 

「しかも私たちの事を捕まえようとしていたよ!?」

 

「私たちやっぱり、犯罪者として認定されていたんじゃあ‥‥」

 

「絶体絶命‥‥」

 

晴風の買い出し組が平賀たちの出現にやはり、自分たちは横須賀に戻っても犯罪者として扱われるのではないかと不安になっていた。

 

「まぁ、とにかく、今はこの事態を切り抜ける方が先でしょう?」

 

クリスはひとまずここは、無事にショッピングモールを脱出して艦に戻ることが先決だ。

 

「でも、どうやって‥‥?」

 

「これだと、水上バスの停留所も抑えられているかも‥‥」

 

「その辺は帽子や眼鏡、髪型を変えてなんとかするしかないね。でも、一番面倒なのが‥‥」

 

「ブルーマーメイドの人‥‥」

 

「その辺は何とかするから、貴女たちはしばらくここで待っていて」

 

「えっ?何とかするって‥‥」

 

「相手はプロですよ」

 

「一応、これがあるから、やるだけやってみるよ」

 

クリスとユーリは懐からワルサーPPK/Sを取り出す。

 

「拳銃!?」

 

「それって本物!?」

 

日本の日常生活ではお目にかからないモノを見て、ギョッとする晴風買い出し組。

 

「銃自体は本物だけど、入っている弾は訓練弾だから、弾が当たっても死にはしないよ」

 

「でも、目に当たったら、失明はするかも」

 

『えっ?』

 

クリスの訓練弾だから『死にはしない』の言葉にホッとするが、ユーリの発言に再びその場の空気が凍る。

 

「ユーリ、サイレンサーは持ってきている?」

 

「もち、流石に銃声が鳴るとやばいからね」

 

ユーリはカバンからサイレンサーを取り出し、銃口に装着する。

 

「それじゃあ、行ってくるから」

 

「は、はい」

 

晴風の買い出し組は心配そうにクリスとユーリを見送る。

 

「それじゃあ、私は二人を相手にするから、ユーリはあのおっぱいがデカい人の相手をよろしく」

 

「あれ?てっきり、クリスがあの人の相手をするかと思ったけど?」

 

「いくら、ユーリでも二人を相手にするのは無理があるでしょう」

 

「確かに‥‥」

 

それから二人は行動に移す。

 

わざと平賀たちの前に姿を見せる。

 

当然、平賀たちは二人を追いかけるが、途中で二手に分かれて逃げる。

 

平賀は寒川と志度の二人に片方を追わせ、自分ももう片方を追いかける。

 

そして、平賀は人気のない場所へと誘い出される。

 

平賀は警戒しながら、進んで行くと、

 

パシュン!!

 

「くっ‥‥」

 

平賀の至近距離に訓練弾が命中する。

 

ユーリの射撃は精密であるが、相手もプロのブルーマーメイドの隊員。

 

体を最小限の動きで、ユーリの射撃を避けて近づいてくる。

 

そして、蹴りでユーリが手に持っていたワルサーを蹴り飛ばす。

 

「ちぃっ‥‥」

 

武器を手放してしまい、そこから格闘戦となる。

 

しかし、プロの相手との格闘戦ではユーリの方が、分が悪い。

 

徐々に追い詰められていくユーリ。

 

そして、平賀はユーリを無効化させるため、懐からテ―ザー銃を取り出し、その銃口をユーリに向けるが、

 

パシュン!!

 

別方向から訓練弾が飛んできて手に持っていたテ―ザー銃を弾き飛ばされてしまう。

 

「大丈夫?ユーリ」

 

「あっ、クリス‥‥そっちは終わったの?」

 

「ええ‥‥」

 

(人間が神に勝てるわけがないしね‥‥)

 

ユーリと平賀が戦っている場所へクリスが駆け付ける。

 

「ま、まさか、あの二人が‥‥」

 

「あぁ~大丈夫、殺してはいないよ。二人とも人気のない路地裏でお昼寝中‥‥だから‥‥貴女には色々聞かないとねぇ~‥‥」

 

クリスは口を三日月の様な形に歪め怪しい笑みを浮かべる。

 

「ひぃっ‥‥」

 

(あっ、やべぇ‥‥クリス、変なスイッチが入っちゃった‥‥)

 

クリスが日ごろ、胸の大きさにコンプレックスを抱いていることをユーリは当然知っている。

 

だからこそ、爆乳の平賀相手には容赦しないだろうと思った。

 

(な、なんなの?この子‥‥本当に高校生?)

 

平賀はクリスが放つオーラに思わず悲鳴を上げ、思わず後ずさる。

 

「大丈夫、大丈夫、素直に話してくれれば、何もしないわ‥‥でも、嘘をつくようなら‥‥最悪、お嫁にいけない身体になるかもねぇ~‥‥」

 

手をゴキっ、ゴキっ、と鳴らしながら、ゆっくりと平賀に近づく。

 

平賀は完全に蛇に睨まれた蛙となり、その場から動けなくなる。

 

「さあ、話してもらうわよ。ブルーマーメイドは晴風に冤罪を何故着せたのか‥‥嘘だと思ったら、容赦なく、神の鉄槌を下すわよ」

 

(クリス、完全にヤバいぐらい、ぶっ飛んでいる‥‥神の鉄槌って、これが中二ってやつか?)

 

「ま、待って、私は宗谷真霜監督官の指示で晴風の捜索と救助に‥‥」

 

「だったら、なんで、岬明乃をまるで犯罪者を捕まえるように扱った?あの場で、声を普通にかければ、少しは状況が変わったのに‥‥」

 

「そ、それは、貴女たちが逃げるから‥‥」

 

「そもそも、晴風側の事情を一切聞かずに、一方的に犯罪者に仕立て上げたのは貴女たちじゃない」

 

「わかっています。でも、それは一部の者たちで、宗谷監察官は晴風の無実を訴えています!宗谷校長も捜索と共に補給と補修の為の間宮と明石を派遣しました!!」

 

平賀はクリスの様子から、下手に嘘をついたら何をされるのか分からないので、正直に話す。

 

クリスは当然、平賀が言っていることが嘘ではないと分かっていた。

 

しかし、クリスの平賀の胸に対する嫉妬はおさまらず、ユーリ自身も見ていて平賀が可哀想になるぐらい、彼女はクリスから恐怖を植え付けられた。

 

結局、最後は平賀が真霜に連絡を取り、なんとか信じてもらった。

 

ただ、クリスは平賀に個人的なお仕置きが出来ずに残念そうだった。

 

その後、路地裏で倒れていた寒川と志度を起こし、明乃たちと合流した。

 

そこで、平賀の口から、晴風の安全を確約されたことを伝えられ、晴風の買い出し組はホッとした様子。

 

補給艦である間宮、明石もこの近くで停泊していると言うことで、それらの艦艇も晴風の下へと向かい、補給と補修することになった。

 

太陽がだんだんと水平線の彼方に沈んだ頃、

 

海は少し荒れてきた。

 

「漂流物漁っている場合じゃなくなってきたねぇ~」

 

「気持ち悪い~」

 

昼間からずっと漂流物を漁っていた姫路と松永であったが荒れてきた海の中で、漂流物を拾う作業をしており、船酔いを催した様子。

 

二人の周りには、漁った漂流物が山ほど置かれていた。

 

艦橋では、

 

「艦長たちはまだか!?」

 

真白が怒鳴りながら艦橋に戻って来た。

 

「まだですねぇ~」

 

買い出しに出かけたのは、昼前なのにもう時刻は夕方‥‥

あまりにも遅い。

 

「何呑気に買い物しているんだ~?」

 

帰りが遅い買い出し組に呆れる真白。

 

そこへ、

 

「ぬう~」

 

五十六が艦橋に突然やって来て、

 

「ん?ひっ!?」

 

真白は、何かと思い五十六の方を向くと思わず変な声をあげ、ドン引きする。

 

その訳は、五十六があるモノを口の咥えていたのだ。

 

それは、昼間、通販会社の箱から逃げたあのハムスターに似たネズミだった。

 

五十六はネズミを生け捕りにして、まるで艦橋の皆に自慢するかの様に見せた。

 

「かわ‥‥いい‥‥」

 

立石は五十六が生け捕りにしたマウスを見て、可愛いと頬を赤く染め、五十六が床に置いたネズミを手に取る。

 

「ぬぉぉぉ~!!」

 

すると五十六がまるで『俺の獲物を横取りするな!!』と言っているかの様にネズミを取り替えそうとするが、

 

「こら、こら、」

 

西崎が五十六を抱えてしまい、五十六はネズミを取り返すことが出来なかった。

 

ネズミは自らを手のひらに乗せてくれた志摩の頬に自らの頬を寄せる。

 

その様子から、このネズミは結構人懐っこい性格みたいだった。

 

「人懐っこいですねぇ~」

 

「生き物は、持ち込み禁止だろう!?」

 

「飼い主が見つかるまで預かっておきましょうか?」

 

五十六の件もあり、このネズミも晴風のクラスメイトの誰かのペットかと思われた。

しかし、このネズミ‥‥ネズミと言うにはあまりにも毛皮がハムスターにそっくりな色だったので、艦橋メンバーはこの生き物がハムスターだと思っていたのだ。

 

その頃、ヒンデンブルクでは、

 

「遅いですね、副長と砲雷長」

 

メイリンが艦橋の時計を見ながら、心配そうにクリスとユーリの帰りが遅いと言う。

 

「うん‥‥」

 

シュテルも艦橋に上がっており、確かに夕方になった今でも戻らない二人の事を心配している。

 

「何かあったのでしょうか?」

 

「‥‥」

 

イタリアやイギリスの経験から何かあったのではないかと不安になるシュテル。

その頃、CICでは、

 

「ん?」

 

当直の監視員が水上レーダーにこちらに接近してくる艦影を捉えた。

 

「CIC、艦橋。水上レーダーに反応!!右60度!!距離200に艦船らしき反応、四隻確認!!」

 

CICからの報告を受け、艦橋に居たメンバーが双眼鏡で右方向を見る。

 

そこには横須賀女子所属の明石、間宮、そして晴風と同型の駆逐艦二隻の姿があった。

 

「所属を確認!!」

 

「は、はい」

 

メイリンが急いで、接近中の艦船の所属を確認する。

 

「‥‥確認できました!!横須賀女子所属の明石、間宮、浜風、舞風です!!」

 

「どうしますか?」

 

「総員配置!!突発の事態に備える!!ただし、こちらからは発砲を許さず‥だ!!」

 

「大丈夫でしょうか?」

 

「まぁ、見たところ、戦闘艦は浜風と舞風だけ、しかもクラスは駆逐艦クラス‥‥教員艦やブルーマーメイドの姿は見られない‥‥だとしたら、むこうも戦艦である本艦にいきなり発砲することはないだろう」

 

シュテルは、相手は二隻居るとはいえ、向こうは駆逐艦であり、こちらは戦艦、しかも浜風、舞風の同型である晴風も居る。

 

猿島やシュペーのようなことはないだろうと思いつつも万が一を考えて、乗員を配置につかせた。

 




浜ちゃんが司会のクイズ番組、『トリニクって何の肉!?』で、『大豆は何の豆?』って出されたら、間違える平成生まれが一人は居そう‥‥
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