やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

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68話

新入生の演習にて、集合地点に遅刻した晴風は、突如教員艦、猿島の攻撃を受けた。

しかも猿島が撃ってきたのは、模擬弾ではなく、実弾。

晴風艦長の岬明乃は乗員の生命確保と自艦防衛の為、模擬魚雷を猿島に撃ちこみ、その場から逃走した。

模擬魚雷を受けた筈の猿島は何故か沈没してしまい、晴風は反乱者として指名手配を受ける羽目となった。

指名手配を受ける中、明乃は学校へ戻る方針を立て、神奈川県、横須賀にある母校を目指した。

その過程で、ドイツから留学に来ていたシュペーと遭遇し、またもや猿島の時と同じくいきなり砲撃を受けた。

だがその時、同じくドイツ、キール校からの留学艦、ヒンデンブルクと合流し、横須賀を目指す。

この時の戦闘で、シュペーから脱出してきた同艦副長のミーナを晴風は救助した。

しかし、晴風の叛乱容疑が消えたわけではなく、ヒンデンブルクと合流し、横須賀に戻る途中、東舞鶴海洋学校所属の潜水艦、伊201の襲撃を受けるも、ヒンデンブルクが搭載していた墳進魚雷にてこの危機を脱した。

シュペーとの戦闘で救助されたミーナの話では、シュペーでも何か異常事態が起こっている様子だった。

 

横須賀に戻っている途中、ヒンデンブルク、晴風にて、トイレットペーパーが不足する事態となり、四国沖にある海上ショッピングモールへと買い出しに行くと、晴風を捜索しているブルーマーメイドと遭遇。

そこで、出会ったブルーマーメイドの隊員、平賀倫子から晴風の叛乱容疑が撤回されたことを聞いた。

それでも、明乃にはまだもう一つの不安が存在した。

晴風が横須賀に戻っている最中、明乃の親友、知名もえかが艦長を務めている学生艦、駿河からSOSが入ってきた。

そのことから、駿河でもシュペー同様、何か異常事態が起きたのは明白である。

クラスメイトの安全を考慮すれば、このまま横須賀に戻ったほうがいい。

だが、親友の行方も気になる。

そんな中、学校から駿河をはじめとする行方不明となっている学生艦が多数存在しており、学校側から行方不明になった学生艦の捜索が依頼された。

親友が行方不明となっている中、明乃にとって、それはまさに天祐ともいえる依頼内容だった。

また明乃だけではなく、シュペー副長のミーナ、ヒンデンブルク艦長のシュテルにとってもそれは同じことが言えた。

四国沖で、晴風が明石の補修・補強を受けている中、ヒンデンブルクは間宮からの補給を受けていた。

 

「これが今回の補給目録です。確認をお願いします」

 

「どうも」

 

ヒンデンブルク艦長のシュテルは間宮からの補給目録を確認していると、間宮艦長の藤田優衣はシュテルの顔をジッと見ていた。

当然、その視線にシュテルは気づいており、

 

「ん?なにか?」

 

目録から視線を逸らし、藤田を見つめ、彼女が何故、自分を見ているのかを問う。

 

「うーん‥‥貴女の顔、どこかで見たような気が‥‥」

 

「えっ?」

 

藤田はシュテルをどこかで見たと言う。

しかし、シュテルは藤田とは今回が初顔合わせの筈で、会ったことがあると言われても困惑する。

 

「いや、でも私たち、今回が初顔合わせですよね?」

 

「その筈なんですけど‥‥うーん‥‥でも、やっぱり貴女の顔、どこかで‥‥」

 

藤田もこうしてシュテルと顔を合わせるのは、初めてなのだが、やはりどこかで出会ったと言う。

 

「あっ、もしかしてこの前、見たDVDじゃない?」

 

間宮の乗員の一人がシュテルと藤田に声をかける。

 

「あっ、そうだ!!DVDよ!!」

 

藤田も声を上げて、どこでシュテルの顔を見たのか、思い出した。

 

「DVD?」

 

一方、シュテルは、自分はDVDの撮影などしていないから、藤田の言ったことに首を傾げる。

 

「貴女、もしかしてダートマス校の演劇祭に出ていなかった?」

 

「えっ?ええ、去年の夏に‥‥」

 

「やっぱり!!どうりで、どこかで見たことあると思った!!」

 

藤田がシュテルを知っているのはそのDVDで見たことがあるらしく、そのDVDの内容が、去年の夏休みにダートマス校の体験入学の際に参加した演劇祭みたいだ。

 

「えっ?あれ、DVDになっていたの?」

 

シュテルとしてはあの演劇祭の内容がDVDになっていることを今知った。

 

「一般にはあまり流通していないけど、学校のイベント教材として、学校間では、販売しているみたいよ」

 

「そ、そうなんだ‥‥」

 

「ねぇ、よければそのDVD焼きまししてくれる?」

 

「ちょっ、クリス!?」

 

そこへ、クリスが藤田とシュテルの話を聞いていたみたいで、シュテルが出演したと言うダートマス校の演劇祭のDVDを焼きまししてくれと言う。

 

「いいわよ」

 

「ほんと!?ありがとう!!」

 

「えっ?いや、別にいいよ」

 

藤田はクリスにDVDを焼きましOKと言ってクリスは喜んでいたが、シュテルとしては恥ずかしいので、別に焼きまししなくてもいいと言うが、

 

「えぇ~折角、シュテルが出演しているんだし、皆に見てもらおうよ」

 

「いや、出演っていっても主役じゃないし、わき役だし‥‥」

 

「でも、ワンシーンをかたどっていましたよね?」

 

「ぬー‥‥」

 

大した手間ではなかったのか、DVDはすぐに焼きましされて、クリスに手渡された。

 

「あとで、皆で見ようね~♪、シュテルン」

 

「‥‥」

 

(とんだ、晒しモノだ‥‥)

 

シュテルは確実にDVDが上映されたら晒しモノになると確信した。

 

それから、晴風の補修・補強、そして補給が終わり、二艦は行方不明になった学生艦捜索の為、出航した。

 

 

 

 

四月十四日

 

アスンシオン島沖

 

 

真冬率いるブルーマーメイドの保安即応艦隊が行方不明になった学生艦を捜索しているように、他の海洋学校の教員艦も捜索に加わっていた。

そんな中、あの潜水艦、伊201の母校である東舞鶴海洋学校の教員艦が駿河を見つけた。

 

 

東舞鶴海洋学校所属 教員艦 あおつき 艦橋

 

「教官先生、哨戒船から入電です。発5分隊2号船宛旗艦 あおつき。横須賀女子海洋学校所属の駿河を発見。北緯19度41分東経145度0分で航行中。無線で呼びかけるも応答。ビーゴンの反応もなしで電装系の故障だと思います」

 

あおつきの副長が艦長でもある東舞校の教頭に駿河発見の報告を入れる。

 

「駿河の位置を横須賀女子海洋に伝えろ。まぁ見つかってよかった。随分と心配しただろ、生徒の身に安全を保障するのが我々教官の優先事項だからな。それにしても複数同時に学生艦が行方不明になるとは‥‥」

 

東舞校の教頭も今回の学生艦が行方不明になる事態に困惑している。

それと同時に例え自分たちの学校の生徒でなくとも、同じ志を持つ生徒たちの行方が分からなくなっていることに心を痛めていた。

 

「幸い伊201に乗艦していた我が校の生徒達は、全員無事に救出できましたが‥‥」

 

「うむ、横須賀女子所属の晴風は教員艦とも撃ち合いになったというし、一体何がこの海で起こっているんだ‥‥いや、何が起きたにせよ、直ちに駿河の保護に向かおう!!哨戒船を呼び戻せ!!」

 

「はっ!!」

 

こうして、東舞鶴男子海洋学校の教員艦八隻は、直ちに駿河を保護するために駿河が航行している海域へと向かった。

 

 

その頃、とある島の沖合では‥‥

 

四国沖の海上ショッピングモールから行方不明になった学生艦の捜索の為、南下したヒンデンブルクと晴風はとある島の沖合で、休止していた。

晴風にエンジントラブルが起きた為だった。

エンジンに関しては晴風機関長の榊原麻侖と機関助手の黒木洋美が修理をしており、その他のクラスメイトたちは短いながらも南の海でのひと時を楽しんでいた。

 

水着に着替えて、海水浴を楽しむ者。

 

甲板でのんびりと日光浴をする者。

 

「ひぁ~マチ~!!」

 

そんな中、マチコはパラセイリングをし、和住、青木、等松がスキッパーで海上を走り、波しぶきとそのスピードの快感を浴びている時、

 

「イルカだ!?」

 

「生イルカっす!!」

 

近くにイルカの群れが通り掛かり、青木が興奮しながらその姿をスマホで撮る。

 

「こら!!準備運動をせずに!!」

 

晴風の甲板では、真白が準備運動をせずに海へと飛び込む生徒たちに注意を促す。

 

「そのまま飛び込むのは、止めて下さい!!」

 

「イルカ~!!イルカ~!!」

 

明乃が水着を着ずに海へ飛び込むのを真白が取り押さえて、止めている。

よほど、イルカが見たかったのだろう。

しかし、水着も着ずに、制服姿のままで海へ飛び込むのは危ない。

 

「対象まで距離5.0‥‥全長は、2m30cmってとこ、バン!!」

 

「バキュンとくる感じ!!」

 

「102、10度旋回!!」

 

砲術科のクラスメイトたちは海を泳いでいるイルカの群れに対して、照準遊びをする。

 

「はぁ~こんなにのんびりしていて、良いのか?」

 

真白は行方不明になった学生艦が多数いる中、自分たちだけこんなにのんびりしていて、良いのか気が進まなかった。

 

「入学式から此処までずっと、皆緊張の連続だったし、ちょっとぐらい羽を伸ばしても良いんじゃないかな?」

 

入学式から此処まで晴風の生徒たちは、緊張の連続が続いていた。

遅刻して集合地点に行けば、猿島からいきなり、攻撃を受け、その後は反乱者に仕立て上げられて入港を拒否、ドイツの留学生艦、シュペーからもいきなり攻撃され、ヒンデンブルクが護衛してくれたとはいえ、伊201からも攻撃を受けてと、新入生にしてはあまりにも波瀾万丈な航海だった。

 

「伸ばし過ぎだろう!!」

 

「皆、ホッとしているんだよ!!私たちが反乱したわけじゃないって、分かって貰えたみたいだから」

 

「ま、まぁ、それもそうかもしれないが‥‥」

 

明乃が言っていることも最もであったことから、真白は、それ以上は強く言わなかった。

それに今後は、行方不明になった同級生たちの捜索と言う重要な任務が控えているのだから、休めるうちは休んでもらい、今のうちに英気を養ってもたい。

 

「明石と間宮は、もう着いたかな?」

 

「えっ?」

 

「駿河のところに‥‥」

 

真白が問う中、明乃は、明石と間宮が無事に駿河と合流できたのだろうか、気になっていた。

とはいえ、間宮・明石も駿河の現在位置を知らないので、二艦が駿河を見つけたのかは分からない。

 

そんな中、隣では、

 

「えっと、今月の運勢は‥‥」

 

「あっ!?さそり座は‥‥9位‥‥」

 

機関科の四人は、雑誌の占いコーナーで自分の星座の運勢をそれぞれ確認していた。

 

「おうし座は11位‥‥」

 

若狭は自分の星座が12星座の内、ブービーであったことに顔を歪める。

 

「ビリじゃないから良いんじゃない?」

 

駿河が12位‥ビリじゃなかっただけ、マシではないかとフォローをいれる。

 

「‥‥ちなみにふたご座は何位だ?」

 

真白が気になって、自分の星座の順位を訊ねる。

 

「‥‥12位‥‥特に水辺では、運気が下がりますって‥‥」

 

「‥‥」

 

真白にとってなんだかお決まりな展開だった。

その時、

 

バシャ!!

 

「うわっ!!」

 

砲術科メンバーが遊んでいた水鉄砲の流れ水が真白の顔に当たる。

 

「あっ!?」

 

「ごめん、ごめん」

 

「‥‥ついてない」

 

真白は、つくづく自分の運が付いていない事に悔やむ。

 

「すごっ!?当たっている!!」

 

占いが当たった事に駿河は驚いた。

 

「あっ、心理テストもあるよ。宗谷さん、やってみる?」

 

伊勢が占いコーナーの隣に書かれていた心理テストを真白に薦めるが、

 

「やらん!!」

 

真白はこれ以上、自分に不運なことを口走ったり、知ったりすると、それが現実のものになりそうなので、心理テストを受けるのを止めた。

彼女の判断はある意味正しかったのかもしれない。

 

「それじゃあ、知床さんやってみる?」

 

「私!?」

 

真白が心理テストをやらないといったので、広田がたまたま近くに居た鈴に真白の代わりに心理テストを受けてみるかと訊ねた。

そこで鈴は、物は試しとその心理テストを受けてみた。

晴風の生徒が海水浴を楽しんでいる中、ヒンデンブルクでも似たような光景が広がっていた。

クリス、ユーリ、ジークたちは、藤田から焼きまししてもらったDVDを見ている。

その他にも釣りをする者、甲板で日光浴をする者、自室で休む者、スキッパーで、海上を走る者など、当直者を除くクラスメイトたちが思い思いの時間を過ごしていた。

そんな中、シュテルは当直者に一声かけた後、晴風へと赴いていた。

クリスたちとDVDを見て、晒し者になるつもりはサラサラないし、明乃やミーナのことが気になっていたしちょうどよかった。

なお、シュテルの他にウルスラも例のネズミの対ウィルスの抗体を作るため、美波の下に来ていた。

 

(ミーナさんとはあの時のチェスの決着でもつけようかな‥‥)

 

(あぁ~それにしても暑い‥‥)

 

そう思って、晴風のタラップを上がった。

そして、シュテルはまだ四月だが、南下したことにより周りの温度が上がり、上着とコートの両方の着用がきつかったのか、上着とコートを脱いだ状態だった。

 

 

その頃、横須賀では‥‥

 

横須賀市内にあるとある病院の病室‥‥

そこには横須賀女子海洋学校の教官で、新入生の海洋演習の監督教官を務めていた古庄薫が入院していた。

猿島で救助されていた彼女は意識不明の状態で救助されたが、先日意識を取り戻した。

ブルーマーメイドは、今回の騒動の発端ともいえる西之島新島の演習で一体何があったのか?

何故、晴風を攻撃したのか?

何故、模擬弾頭の魚雷を受けて沈没したのか?

何故、晴風を攻撃し、さらに濡れ衣を着せたのか?

未だに入院中であるが、一刻も早く真相解明の為、古庄には無理をさせることになったが、古庄自身は事情聴取を拒否することはなかった。

 

「晴風の反乱を最初に報告したのは貴女ですよね?何故反乱と断定を?」

 

古庄の病室にはブルーマーメイドの隊員がおり、彼女に事情聴取をしていた。

 

「晴風が実習の集合時刻に遅れて当該海域に到着し、その際こちらから砲撃を行いました。晴風は魚雷で反撃し本艦に命中。これを反乱とみなし報告しました」

 

「次に遅刻程度で先制攻撃を行った理由は?晴風が遅刻する事は、既に通信で受けていた筈ですよね?」

 

今度は、何故、遅刻程度で先制攻撃を行ったのか聞かれる。

そもそも、晴風は遅刻が確定した時点で、猿島へ遅刻する旨を通信で送っており、古庄もその件を聞いて了承していた。

 

「しかも、使用した砲弾は模擬弾頭ではなく、火薬が詰まった実弾‥‥一歩間違えれば、貴女は新入生が乗艦している晴風を撃沈していたかもしれないんですよ!?それについてはどう思っていたのですか?」

 

「そ、それは‥‥」

 

「他の猿島の乗員は、全て艦長である貴女が命令したと証言しています」

 

「‥‥命令したことは。よく覚えています‥‥ですが、何故そう言う判断に至ったか自分でも不明なのです‥‥」

 

晴風が遅刻する事は事前に連絡を受けていたので、知っていた。

それなのにどうして晴風に対して砲撃した。

しかも模擬弾ではなく、実弾を用いて‥‥

これは明らかに教育の域を超えており、殺人未遂と言われても反論は出来ない。

しかし、古庄は何故、あの時、晴風に対して実弾射撃を行い、反撃された際、晴風に濡れ衣を着せる行為をしたのか分からなかった。

 

「本当に分からないんですか?」

 

取り調べをしているブルーマーメイドの隊員は古庄の証言に懐疑的だ。

確かに傍から見れば、古庄の話は『信じろ』と言われても信じがたい。

そこへ、

 

コン、コン、コン、

 

病室のドアがノックされ、真霜が入ってきた。

 

「ご苦労様、差し入れを持って来たわ。」

 

「はっ!!恐れ入ります。」

 

「私も古庄教官から話を聞きたいのだけど、少し良いかしら?」

 

「はい」

 

真霜は古庄から話を聞く為、しばらく二人だけにして欲しいと頼み、ブルーマーメイドの隊員もそれを受け入れて退室する。

 

「大丈夫ですか?古庄先輩。救助が来るまでの間、海を漂流していたって、聞きましたけど‥‥?」

 

「後輩に心配かけるなんて情けないわね。ありがとう大丈夫よ」

 

「すみません、調書が完成するまでは、此処に居てもらう事になります」

 

真霜は、古庄に調書が完成するまで病室に軟禁される事を告げる。

 

「これ食べて下さい」

 

真霜は持って来た差し入れの品を古庄に渡す。

 

「ありがとう」

 

古庄は、それを受け取る。

 

「生徒に向かって発砲したのに、何故そんな事をしたのか思い出せないなんて自分で自分に腹が立つわ」

 

古庄は、先程の事情聴取と同じ、自分が海洋学校の教官として、あるまじき行為をしたと自覚しているのだが、何故そんな事をしたのか思いだせない事に自分自身に対して腹が立っていた。

生徒を守らなければならない教官と言う立場なのに、知れば知るほど、本当にコレを自分がやったのかと言うぐらい、報告書に書かれている自分の行為はあまりにも愚劣である。

だからこそ、まだ意識が戻ったばかりなのに古庄はこうして積極的に事情聴取に応じているのだ。

 

「先輩だけじゃありません。サルベージした猿島の戦術情報処理システムもログが消えていました」

 

真霜は古庄に猿島のコンピューターの履歴が書かれている報告書を手渡す。

 

「ログ消失、13時20分から艦は機能を喪失していたとみられる、か‥‥」

 

報告書を見るのを終え、真霜に返した古庄は、

 

「晴風は本当に大丈夫?」

 

晴風の安否を訊ねる。

 

「はい。晴風と接触した間宮・明石からの報告からは乗員全員に特に異常はなく、今はドイツ・キール校の学生艦が晴風を護衛しているみたいです」

 

「そう‥彼女たちには大変な迷惑を掛けたわ」

 

記憶が曖昧だったが、自分の行いが、無実の学生たちに濡れ衣を着せてしまった事に深く後悔する古庄だった。

もし、償えるのであれば当然償うし、今回の件の責任を取れと言われたら、勿論、教官の職を辞める覚悟を古庄は持っていた。

 

その時、

 

You get mail‥‥

 

突然、真霜のスマホに一通のメールが入った。

 

「あっ!?先輩、ちょっとすいません」

 

真霜は、一言断りを入れてからメールの内容を確かめる。

メール差出人は、真雪からで内容は、東舞鶴学校経由で駿河を発見する通知だった。

 

「先輩すいません。ちょっと急用が出来たので、失礼します。あっ、それ食べてくださいね」

 

真霜は、駿河発見の報告を受け、急ぎ海上安全整備局へと戻ろうと病室を後にする。

真霜が病室を後にした後、古庄は彼女からの差し入れの箱を開く。

中に入っていたのは、プリンでその上にイルカの絵がかいてあった。

 

 

横須賀のとある病院の病室でこのようなやり取りがあった頃、晴風の通路では‥‥

 

「んぅ~‥‥ちょっと、小さいのぉ~」

 

ミーナは他のクラスメイト同様、海水浴か日光浴でもするつもりだったのか横須賀女子海洋学校のスクール水着を着ていた。

なお、ミーナの水着は真白から予備の水着を貸して貰って着たのだが、どうも胸のサイズが合わない様だった。

機関科の伊勢の水着ならばもしかしたら、入ったかもしれない。

ミーナが胸の部分を気にしていると、そこへ杵﨑姉妹が通り掛かる。

杵崎姉妹はミーナの姿を見ると、手に持っていた何かをサッと背中に隠した。

 

「やあ、主計課は遊びに行かんのか?」

 

しかし、ミーナは杵崎姉妹の行為には気づかず、気さくに杵崎姉妹に声をかける。

 

「うっ、うん、後で行くよ!!」

 

「それじゃあ、また後でね!!」

 

二人は、まるでミーナを避けるかのように急ぎ足でその場から去って行った。

 

「ワシ、避けられとるのかな?」

 

杵崎姉妹の行動からもしかしたら、余所者の自分は晴風のクラスメイトたちから嫌われているのかもしれないと思いながら首を傾げるミーナだった。

そんなミーナを訪ねてきたシュテルは晴風の甲板に座り、項垂れている一人の乗員を見つけた。

項垂れていたのは、晴風航海長、知床鈴だった。

何故、鈴が項垂れているのか?

それは、シュテルが晴風に来る少し前まで時間を遡る。

 

鈴は、機関科のクラスメイトたちから心理テストを受けてみないかと言われて、それを受けたのだ。

 

「じゃあ、最初の質問ね」

 

「は、はい」

 

「うーんと、『初対面の人に、よく「しっかりしている」と言われる?』」

 

「え、えっと‥‥」

 

質問され、鈴はちょっと考え込みながらも質問に答える。

 

「じゃあ、次の質問、『根に持ちやすいタイプだ』」

 

「うーん‥‥」

 

「三つ目の質問ね、『自分が困ったとき、助けてくれそうな友達はいる』」

 

「と、友達‥‥?そ、それは‥‥」

 

こうして、鈴は雑誌に書かれている心理テストの質問に答えていく。

そして、最後の質問を終え、その結果が導き出された。

 

「えっと、知床さんの性格は‥‥」

 

「わ、私の性格は‥‥」

 

広田は鈴の心理テストの結果を口にした。

それを聞いて、鈴はかなりのショックを受けて、甲板の上に座り項垂れていたのだ。

 

「どうかしたの?」

 

そんな鈴に声をかける者が居た。

鈴が顔を上げてみると、そこには、自分たちの艦長と同じ、茶色の髪に、黒いズボンを履き、腰にはサーベルをぶら下げ、ワイシャツに黒ネクタイ、母校である横須賀女子とは異なる艦長帽を被った、猫の様な蒼い釣り目をした女生徒が居た。

 




2020年、1月18日にハイスクール・フリートの映画が上映予定。

文化祭&体育祭の内容みたいで、その他にも呉、舞鶴、佐世保の大和級戦艦が登場。

すでに大和、信濃、紀伊の艦長、副長の立ち絵と中の人も公開中。

今から楽しみです。

ただ、漫画版の設定ですと、横須賀、呉、舞鶴、佐世保の各海洋学校の受験はローテーション制と言う設定でしたが、それですと大和級の乗員の学年がダブったり、生徒の数が少ない学校も出るのではないかと言う疑問がありますね。

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