やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

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今回は異世界へ転生した八幡の視点です。


6話

~???side~

 

 

ジリリリリ‥‥

 

カーテンの隙間から朝日の光が差し込み、目覚まし時計のアラーム音が部屋中に鳴り響く。

 

「うっ、う~ん‥‥」

 

ベッドから目覚まし時計を止めようと、毛布の間から白く小さな手が伸びる。

やがて、その手は目覚まし時計に触れると、鳴り響くアラームを止める。

 

「ふぁぁぁぁ~」

 

ベッドから起き上がったのは一人の少女。

彼女は寝ぼけ眼を擦りながらベッドから出て、洗面所へと行き、そこで顔を洗う。

顔を洗い終えた栗毛色の髪にショートヘアーの髪型、青い瞳の釣り目の少女は洗面所の鏡に映る自分の姿をジッと見る。

 

(久しぶりに懐かしい夢を見たな‥‥)

 

彼女は昨夜見た夢を思い出す。

 

(あの女神さまには本当に感謝だな)

 

そして思わずフッと小さく口元を緩めた。

鏡には前世とは全く異なる容姿の自分の姿が映し出されていた。

 

「シュテル、もう起きたの?」

 

下から彼女を呼ぶ声がする。

 

「うん」

 

「じゃあ、はやくいらっしゃい。朝ご飯出来ているわよ」

 

「はーい」

 

彼女は‥シュテル・H(八幡)・ラングレー・碇は洗面所から朝食が用意されている台所へと向かった。

 

 

~比企谷八幡 改め シュテル・H(八幡)・ラングレー・碇side~

 

 

前世で何もかも絶望し、自殺した俺は、エリスと言う女神の力でこの異世界へと転生した。

なお、異世界へ転生する際、特典を一つ選べると言う事で俺は性別と容姿を変えてこの世界へと転生した。

その影響なのか、俺は日本ではなくドイツで生まれた。

一応、前世の俺の故郷だから、この世界の日本について気になって調べてみると、

エリスの説明通り、この世界ではあの有名な坂本龍馬は暗殺されず、日本は日露戦争後の講和条約によって中国大陸への足掛かりを失い、さらに石油やメタンハイドレートの採掘に端を発する急激な地盤沈下で平野部のほとんどが海に沈んだらしい。

国土が縮小したことで陸軍の規模は必然的に縮小し、反対に海軍が増強されると同時に海上都市の整備が急激に進みアメリカとイギリスが極東開発の拠点として日本との同盟を重視したことによってこの流れはさらに加速、坂本龍馬の貿易会社、坂本商会を通じて資金や先端技術が導入され、日本は海洋大国として劇的な発展を遂げた。

そして、この世界では一時、日本とアメリカの関係が悪化はしたが、ロシアの仲介により、第二次世界大戦は起きておらず、日本は多くの優秀な人材と艦船、船舶を失わずに済んだ。

一方で、今の俺の故郷であるドイツの方はと言うと、

此方では第一次世界大戦に相当する欧州動乱が勃発。

日英同盟を理由に日本は動乱へ参戦した前世と異なり、この後世では日本が動乱に参戦する事はなかったが、アメリカを含むヨーロッパの国々がことごとく戦火に巻き込まれて動乱は長期化した。

さらに休戦後も講和会議が戦後処理を巡って紛糾し、講和に多大な労力と時間を費やしたためにヨーロッパ大陸諸国は軒並み疲弊する。

ただ、前世と違いドイツ、オーストリア=ハンガリー帝国、トルコのオスマン帝国、ブルガリアの同盟軍はアメリカ、イギリス、フランス、ロシアを中心とする連合軍に負けておらず、引き分けの形である休戦へと持ち込んだ事。

後の歴史で世界を狂気と破壊、殺戮の世界へと変貌させたドイツの独裁者、アドルフ・ヒトラーはこの世界では、前世の歴史ではなれなかった画家となっており、戦禍で疲弊したドイツにはカリスマ的な指導者は現れなかった。

動乱で疲弊したドイツは医療と技術大国の力を見せつけ、医学、産業機器、そして飛行船の建造と旅客事業で、長い時間をかけながら立て直した。

ヒトラーが独裁者になっていない事、

日本とアメリカ・イギリスの友好関係がおおむね良好に保たれた事、

欧州動乱においてヨーロッパ大陸諸国が疲弊したことで再び争う余力がなかった事、

これらの要素がこの世界における第二次世界大戦が起きなかった要因だった。

そして、欧州動乱では空飛ぶ乗り物として飛行船と気球が戦力として導入されたが、この世界ではライト兄弟は存在していないのか、それとも飛行機の製作には取り掛からなかったのかは不明だが飛行機、ヘリコプターと言う代物も概念も未だに存在していない。

もし、俺に飛行機に関する知識があれば、前の世界のライト兄弟のように、この世界の歴史に名を残せたかもしれないが、文系な俺の頭脳では残念ながら、飛行機やヘリコプターの原理は分からない。

俺が転生した世界の歴史は大体こんな感じだ。

 

そして、次に今の俺の周りを取り巻く環境‥‥俺の家族についてだ。

転生特典の影響の為か、俺は日本ではなくドイツに生まれたので、当然、俺の両親は前世の両親とは異なる人物だった。

親父の名前は碇・ラングレー・シンジ。

純粋な日本人であり、世界的に有名なチェリスト。

父方の祖父母は共に京都大学の研究者をやっている。

 

お袋の名前は、式波・アスカ・ラングレー・碇。 (旧姓 式波・アスカ・ラングレー)

ドイツ3/4、日本1/4の血を持つクォーターでミュンヘン大学の教授をしている。

母子家庭で生まれ育ち、母方の祖母は、父方の祖父母と同じ職場で働いているらしい。

そもそものなれそめは、母方の祖母がお袋を連れて日本へ仕事へと行き、親父が通っていた中学にお袋が転校してから、二人の交流が始まり、半ば腐れ縁のような感じでゴールインしたらしい。

 

前世と違い、性別も容姿も両親も、そして生まれた国も何もかもが違う事から、俺のこれまでの人生も前世の幼少時代の環境とは全然違う。

前世の俺の両親は旅行へ出かける時も外食へ行く時も俺は常に留守番で、連れて行くのは必ず妹の小町だけ‥‥

幼少の頃から、誕生日を祝ってもらったこともクリスマスにプレゼントをもらった記憶さえない。

小町の誕生日の時でさえ、俺は家族と一緒に小町の祝いの席に着くこともなければケーキを食べた事もない。

最初の内は寂しい思いや、どうして小町だけは連れて行って俺は連れて行ってもらえないのか、

どうして小町だけを祝って俺は誕生日を祝ってくれないのか、

どうして俺だけクリスマスプレゼントをくれないのか、

と言う思いはあったが、いつしかそれが当たり前の事なのだと諦め、それを受け入れていた。

でも、この後世の世界では違った。

親父は世界中で公演依頼がある程の有名チェリストであったが、休暇をとったら家族で旅行へ連れて行ってくれた。

お袋も大学の仕事で帰りが遅くなった時、

 

「今日は夕食作るの、面倒だから外に食べに行きましょう」

 

とズボラと言うか面倒くさがりな一面があるが、ちゃんと俺を食事へと連れて行ってくれる。

勿論、誕生日には家族全員で俺の事を祝ってくれたし、クリスマスにはプレゼントも貰った。

こういう点において、この世界の両親は前世の両親とは大違いだ。

 

 

「じゃあ、行ってきます」

 

「ええ、いってらっしゃい。気を付けてね」

 

「うん」

 

「あんまりスピードを出しちゃダメよ。それと左右確認はちゃんとして、安全運転をしなさい」

 

「分かっているよ」

 

俺は朝飯を食べ終え、小学校の制服へと着替え、学校へと向かう。

この世界に来た当初は女物の服に袖を通し、同じく女物の下着を身に着け、スカートを穿く事に違和感を覚えたが、流石に今ではもう慣れた。

庭にあるガレージで、俺は前世の通学手段であった自転車とは異なるこの世界での通学手段の乗り物に乗り、キーを差し込み、ギアを入れ、アクセルを踏み込み、スロットルを回す。

 

ドルン、ドルン、ドルン

 

ブロロロロ‥‥

 

後世における自転車に代わる俺の新たな愛車、ケッテンクラート。

この後世では前世と世界観は似ているが、免許制度においては全く異なる制度となっている。

だからこそ、まだ10歳になったばかりの俺でもこのケッテンクラートの免許が取れたのだ。

 

トトトトト‥‥

 

ガレージから庭へと出て庭先から公道へと移動し、学校へと行こうとした時、

 

「待って!!待って!!シュテルン、待って!!」

 

隣の家から癖毛の金色で長髪、青緑の瞳を持ち、目は半目開きのタレ目の子が片手を上げて走って来る。

そして、ソイツは俺のケッテンクラートの荷台に飛び乗る。

 

「もう、シュテルンったら、私が乗っていないのに先に行くなんて酷いよぉ~」

 

荷台に乗ったソイツは俺に愚痴る。

コイツの名前は、ユーリ・エーベルバッハ。

俺の隣に住んでいる同級生だ。

お隣さんで、しかも同級生と言う事で俺がこの世界に転生してからの付き合いだ。

非常にマイペースで何事にも楽観的な性格な奴で時にはそうした奔放さが予期せぬトラブルを招くこともあったが、由比ヶ浜とは違い無責任な事はしないし、他人に責任を丸投げもしないし、何かあるごとに「キモい!」と罵倒なんてしない。

だからこそ、憎めない奴なのだ。

前世での反省を含め、少しは自分の性格を見直してみようと思った俺の性格を変えてくれたのは雪ノ下でも由比ヶ浜でもなく、ユーリなのは確かだ。

しかし、そのきっかけを作ったのはあの二人かもしれないが、それでもユーリと比べると天と地の差がある。

アイツ等は常に罵倒するし、責任を丸投げしてくるし‥‥

 

 

「ユーリがいつも寝坊してギリギリだからじゃない。こっちまで遅刻の烙印を押されるのは御免だよ」

 

「でも、なんだかんだ言ってもこうして待っていてくれるシュテルンは優しいねぇ~」

 

「‥‥」

 

ユーリは荷台から手を伸ばし、俺の頭を撫でる。

 

「あれ?シュテルン、もしかして照れているの?」

 

「照れていない」

 

「まったくシュテルンはツンデレなんだから」

 

「だから‥‥あぁ~もう、いいや‥‥」

 

ケッテンクラートを運転しながら俺は決して自分はツンデレでは無いと言うが、ユーリ相手には水掛け論となり、泥沼化するからさっさと諦めた。

それからユーリと昨日のテレビとかの話題で会話をしながら学校を目指し、ケッテンクラートを転がしていると、

 

「おっ!?アレはクリスじゃない?」

 

「ん?」

 

俺とユーリの目の前には俺達と同じ学校の制服に身を包んだ銀髪ショートカットの後姿が見えた。

 

「確かに、アレはクリスだな」

 

「おーい、クリス!!」

 

ユーリは荷台から手を振って声をかける。

 

「ん?あっ、シュテルにユーリ、おーい!!」

 

俺とユーリに気づいたクリスは立ち止まり手を振る。

そして俺はクリスの前でケッテンクラートを止める。

クリス・フォン・エブナー。

コイツもユーリ同様、この後世における俺の友達だ。

明るくサバサバした性格の持ち主で時にはリーダーシップを発揮するしっかり者で俺やユーリを引っ張ってくれる。

ユーリに次いで、俺の性格の改変となった人物だ。

転生当初、俺の一人称は口で『俺』と言っていた。

それを無理矢理矯正したのは両親ではなく他ならぬクリスだった。

 

「女の子なんだから、『俺』なんて言葉使っちゃダメだよ」

 

と‥‥

クリスは家名にフォンがつく。

それはドイツでは貴族を指す事を意味しており、貴族の家系なので、クリスは一応、言葉遣いや礼儀作法には厳しい。

だからだろうか?怒らせると怖いメッチャ怖い!

それは前世における魔王こと、雪ノ下陽乃とタメが張れそうな位だ。

本来ならば身分が違うにも関わらず、貴族だからと言って雪ノ下のように上から目線な態度をとらないし、ユーリ同様、罵倒もしない。

まさに自由奔放なお嬢様‥そう言う所も雪ノ下さんに似ているが、クリスは人を駒やおもちゃのように扱わないし、持ち前の性格からか仮面なんて被らず常に素の自分をさらけ出している。

本人曰く、『貴族と言っても弱小貴族だから』と言ってあまり気にはしていない様だ‥‥

そんな彼女と俺、ユーリの三人は幼少時代からよくつるんで遊んでいた。

まさか、この俺が幼少の時代から友達と呼べる奴とつるんで遊んでいるなんて前世では考えられない。

こうした経験から、前世の奉仕部と違って俺はこの二人となら前世では得られなかった『本物』を手に入れられるかもしれないと思っていた。

でも、クリスの奴と初めて出会った時、俺はクリスと初対面の気がしなかった。

クリスとは何処かで会った気がしたのだが、それが思い出せない。

しかし、クリスと何処かで会ったにしても俺はこの二人を信じている。

この二人との出会いがもう一度、俺に人を信じてみようと言う気を持たせてくれた。

 

「よっ、と‥‥」

 

クリスはユーリ同様、ケッテンクラートの荷台の上に乗る。

クリスが荷台に乗った事を確認した後、俺はケッテンクラートを再び動かす。

このスタイルが俺達の通学風景だ。

 

「ねぇ、二人はこの後の進路、どうするの?」

 

「「ん?」」

 

「進学先よ」

 

「「あぁー」」

 

クリスは俺とユーリに進学先を聞いてきた。

ここドイツにおいては10歳より始まる中等教育の中では大きく二つに分かれる。

一つは普通の中学への進学ともう一つの進学先として海洋学校への進学がある。

普通の中学へはエレベーター式で何もせずに進学できる。

日本同様、私立中学と言う進学もあるが‥‥

反対に海洋学校は誰でも入れるわけではなく、成績上位者のみしか入れない。

その海洋学校はドイツには名門校が二つある。

ヴィルヘルムスハーフェン校とキール校の二つだ。

 

「そう言えば、お母さんが言ってたなぁ~」

 

ユーリが思い出す様に呟く。

進学先なんだから忘れるなよ。

ひょっとすると一生を左右するかもしれない選択なんだからさ。

一応、俺もクリスもユーリも海洋学校への受験条件はクリアしている。

故に何処を選ぶのかは本人の自由だ。

ユーリが由比ヶ浜と違うのは人間性と共に学力も違うのだ。

 

「私はキールへ行こうと思う」

 

エリスが転生前、必ずこの世界のある出来事に関係すると言っていた。

この世界は海運業が盛んな世界‥‥

となると、俺はこの後世では海運に関係する学校、仕事に関わる事になるのだろう。

その為か、俺は知らず知らずのうちに海に魅了されていた。

前世での俺の終焉の地も海だったしな‥‥

一般企業である海運業の他に国防を担う海軍、そして海上交通の発達によりその航路の安全を守る女性の花型職業であるブルーマーメイド。

いずれにしても海軍、ブルーマーメイドになるにしてもその為の登龍門が海洋学校を出なければならない。

でも、俺の両親は海の仕事とは無関係な仕事をしている。

親父は音楽家、お袋は学者‥‥ついでに言えば祖父母も学者肌な家系だ。

故に当然俺も将来は音楽家か学者になるべきなのだろうか?

進路調査の時、俺はお袋に相談をした。

そしたら、

 

「あんたバカァ?あんたの人生はあんただけのモノなんだから、あんたが信じて、やりたい事をやりなさい。私達、親はそんなあんたの夢を叶える為に精一杯、援助はするから‥でも、人様の迷惑になることや犯罪行為だけはだめよ」

 

「う、うん」

 

お袋はそう言って俺の頭を優しく撫でてくれた。

 

「でも、一つ、覚えておきなさい。他人と違う生き方はそれなりにしんどいわよ。何が起きても他人のせいには出来ないんだからね」

 

「うん。分かっているよ」

 

お袋とそんなやりとりをして俺はドイツの海洋学校にあるヴィルヘルムスハーフェン校とキール校の内、キール校の方を選んだ。

ヴィルヘルムスハーフェン校が決してレベルが低いとかレベルが高すぎて行けないと言う訳ではない。

まして前世のように自宅から近いとかでもない。

そもそも、海洋学校は寮生活だ。

次に小等部の嫌な奴が行くわけでもない。

キールは、ヴィルヘルムスハーフェンより北部にあり、夏は快適であるが、冬季の時期が長く非常に寒く風が強く吹き、天気はほぼ曇り空が続く。

ヴィルヘルムスハーフェンはキールよりわずかに南部にある為、環境的にはヴィルヘルムスハーフェン校の方がいいかもしれない。

それでも俺は敢えてキールの方を選んだ。

海の天候は常に穏やかではない。

荒れた海の中でいかにその難局を無事に乗り切るか。

そう言った環境を体験するにはキールの方が良いと思った。

軍にしろ、ブルーマーメイドにしろ、海では一分一秒でも迅速な行動が求められる。

それは例え荒天の状況下でもだ。

むしろ、荒天状況下ならば尚更である。

それにキールよりもやや南部にあるヴィルヘルムスハーフェンにはキールよりも貴族の子弟が多く通う。

全ての貴族がそうではないが、クリスの話では貴族の中では選民思想が未だに抜けない輩もいる。

そう言う輩はどうも苦手だ。

やはり、前世の事を俺は引きづっているのだな‥‥

そして、もう一つ、俺が海運業に関わりたい理由は、海運に携わればいずれ日本に行く機会があるかもしれない。

そして日本にはこの世界の戸塚がいるかもしれない。

前世では俺と戸塚は同性だったが、この後世では俺は女‥‥つまり、戸塚と堂々と交際する事が出来る。

そう思うと日本へ行くのが楽しみだ。

親父やお袋に頼んで連れて行ってもらっても良いんだが、この世界では飛行機がないから、ドイツから日本までの道のりは遠く、両親の仕事上、長期間の旅行は出来ない。

こういう所は前世と違い不便を感じる。

あっ、でも戸塚が居るとしたら、もしかしてもう一人の俺‥‥この世界の俺がいるかもしれない。

この世界でも俺は小、中学校時代、虐められ、幼少の頃から両親に虐げられ、高校に入ったら平塚先生に無理矢理奉仕部へ放り込まれ、雪ノ下と由比ヶ浜に罵倒され続け、葉山に利用され、小町からは信じてもらえずに拒絶され、最終的に自殺するのだろうか?

でも、この世界の俺は俺じゃない‥‥この世界の俺がどんな生き方をするのかはこの世界の俺でないと分からない。

俺が日本に居るかもしれない戸塚とこの世界の俺の事を想っていると、

 

「じゃあ、私もキールに行こうかな?」

 

「私も!!」

 

クリスとユーリも俺と一緒にキールへと着いて来てくれると言う。

 

「えっ!?あっ、いや、でも‥‥本当にいいの?クリスやユーリだって自分の人生を選ぶ権利はあるよ。私が行くから、自分もって‥‥」

 

「何、水臭い事を言っているの!?」

 

「ちょっ、クリス、運転中!!私、今、運転中!!」

 

クリスが運転中の俺の背後から抱き付く。

 

「ふぅ~‥‥危うく事故る所だった‥‥」

 

「それにブルマーになるにしても海洋学校は絶対に行かないとダメじゃん、それなら知り合いが居る学校の方がいいじゃん」

 

「おぉ、ユーリ、いい事言うね」

 

「だって、そうじゃないと勉強とか教えてくれる人がいないし‥‥」

 

「それが本音か‥‥」

 

「まぁ、ユーリらしいと言えば、ユーリらしいけどね」

 

クリスはユーリがキールへと着いて来てくれる理由を聞いて苦笑する。

俺自身も口元が緩くなっている。

 

「あれ?シュテル、今笑った?」

 

「‥‥ええ、二人が来てくれるならやっぱり心強いからね」

 

「「‥‥」」

 

俺がそう言うと二人はピタッと固まる。

一体どうしたんだ?

 

「シュテルンが‥‥」

 

「素直に人を褒めるなんて‥‥明日は嵐かな?」

 

「ちょっ、それは酷くない!?」

 

まったく、人が珍しく素直に褒めたのに‥‥

 

それから俺達はキール海洋学校に入る為、三人で受験勉強をした。

互いの家に泊まり込み、教え合ったり、一緒に夜食を食べ、お泊りをしたりと受験勉強ながらも楽しかった。

前世で総武高校を受験する時は常に一人で精々、塾の先生に質問する程度で孤独な受験だったが、今の俺にはクリスとユーリが居る。

二人が居るなら、俺はこの世界で『本物』を見つける事が出来るかもしれないと言う思いが強まった。




転生した世界での八幡の両親はエヴァンゲリオンのあの二人。
そして友人二人は、このすばと少女終末旅行の登場キャラです。
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