やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~ 作:ステルス兄貴
クラスメイトから勧められた心理テストの結果、『真面目系クズ』と言う結果にショックを受けた晴風航海長の知床鈴。
しかし、この結果について、鈴はこれまでの人生を振り返って、『当たっている』と言うことで、ますますショックを受ける。
そんな中、晴風にやってきたシュテルが甲板上で項垂れている鈴を見つけ、声をかける。
鈴は心理テストの結果とこれまでの自分の逃げ逃げ人生をシュテルに伝える。
彼女の言う『逃げる』と言うことに前世のことを思い出し、名前を伏せて、鈴に自分の前世の人生を伝える。
前世の‥‥比企谷八幡の頃に比べると、今の自分の人生も、鈴の周りも仲間が居ることにありがたみを感じ、シュテルはそのまま、晴風で行われるミーナの歓迎会に参加した。
その頃、近くの海では‥‥
東舞鶴海洋高校の教員艦が、この近くを航行している横須賀女子所属の駿河を発見した。
駿河も横須賀女子新入生の遠洋航海で行方不明になっている学生艦の一隻だった。
やがて、肉眼でも駿河を確認できる距離へ近づく。
「駿河、安定して航行中ですね」
東舞鶴海洋高校教員艦、あおつき の艦橋にて、副長の教官が艦長である東舞鶴海洋高校の教頭に話しかける。
確認したところ、駿河は船体に大きな損傷を受けている様子もなく、別段変わった様子もなく、航行している。
駿河の様子を見る限り、一体何故、ビーコンを切り、学校に連絡をいれないのか不思議なくらいだ。
「皆、無事ならば良いが‥‥」
例え、違う学校の生徒たちであっても、教育者であることから駿河の乗員たちを心配する教頭。
同じ頃、駿河の艦橋に立て籠もっていたもえかたちも東舞鶴海洋高校の教員艦隊の接近に気づく。
「か、艦長!!見て下さい!!救援です!!」
双眼鏡で周囲を見渡していた吉田親子が東舞鶴海洋高校の教員艦隊の救援を視認し、もえかに伝えた。
「えっ!?」
もえかは、急いで双眼鏡で確認する。
すると、確かにもえかの視線の先には東舞鶴海洋高校の教員艦の艦隊の姿があった。
「助かった!!」
「これで私たち、助かるんだ!!」
救援が来た事にもえか、吉田と共に艦橋に立てこもっている角田夏美、小林亜依子も喜んでいた。
もえかたちが艦橋に立てこもっている理由‥‥
それは、新入生の西之島新島に集結前日の夜まで遡る。
横須賀女子の新入生たちが西之島新島を目指し、いよいよ明日には新入生たちの学生艦が駿河の艦橋では、艦長であるもえかが明日の演習の最終確認をしていた。
「明日から他のクラスと合流ですね」
海図を見ながら明日の演習の確認のため、もえかと共に艦橋に上がっていた小林がもえかに声をかける。
小林は航海科ではなく、主計科給養員であるが、演習中に消費する物資や食事のメニューの事で、艦橋に上がっていたのだ。
「そうだね。みんな怪我の無いようにしないとね」
「はい」
海図から小林に笑みを浮かべながら言うもえか。
「ん?左60度、距離10000に同航の貨物船発見」
見張りを行っていた吉田が近くに貨物船が航行しているのを見つけ、報告する。
「動向に注意して、操舵室にも連絡」
「了解」
もえかが、貨物船の動きに注意するように言うと、吉田が操舵室に内線電話をいれる。
「もしもし‥‥あれ?」
受話器を耳にあてながら、吉田は眉を顰める。
「ん?どうかした?」
吉田の様子を見て、もえかが声をかける。
「‥‥艦長。操舵室、応答ありません」
「えっ?」
「何かあったのかな?」
「まさか、居眠りでもしているのかな?」
内線電話をかけても応答しない操舵室に違和感を覚えると、突如、駿河の第一砲塔が旋回し、突如貨物船を砲撃し始めた。
幸い砲弾は貨物船を外し、貨物船は急ぎ退避行動に入った。
『っ!?』
突然の貨物船への砲撃に艦橋に居た三人は唖然とした。
「な、何をやっているの!?」
「砲を勝手に打つなんて‥‥」
「射撃指揮所!応答して!!」
もえかが伝声管で射撃指揮所を呼び出すが、此方も操舵室同様応答がない。
しかし、砲撃をしたのだから、砲術科のクラスメイトはいる筈だ。
間違えて射撃ボタンを押した‥‥いや、そんなヒューマンエラーはあり得ない。
駿河の砲身には砲弾が装填されていなかったはずだ。
例え、間違えて発射ボタンを押したとしても砲弾が飛び出るなんてありえない。
となると、明確に貨物船を砲撃しようとする意志があった。
そこで、もえかは、吉田と共に射撃指揮所、操舵室へ様子を見るために艦橋を降りた。
射撃指揮所へと向かっていると、通路の向こうからまるで何かから逃げているかのように走って来るクラスメイト、角田がやって来た。
「艦長!!」
角田はもえかに飛びついて涙を流す。
「みんなが‥‥みんなが‥‥!」
「お、落ち着いて。一体何が‥‥」
「ん?艦長、アレ!!」
吉田が、角田が逃げて来た通路の先を指さすとそこには大勢のクラスメイトの姿があった。
ただ、其処に居るクラスメイトたちの様子は何か変で皆無口無表情で立っている。
その中には本来勤務シフトが有る筈のクラスメイトの姿もある。
「ひぃっ‥‥」
角田はそんなクラスメイトたちの姿を見て怯える。
吉田もクラスメイトたちの異変に気づいたみたいで、顔を引き攣らせている。
「み、みんな、どうしたの?何があったの?」
もえかは恐る恐るクラスメイトたちに声をかけるが、やはり彼女たちは無口無表情のまま‥‥
昼間の航海の時と比べてクラスメイトたちの様子があまりにも違いすぎる。
すると、クラスメイトたちは無口無表情のままゆっくりと、もえかたちに近づいてくる。
それはまるでホラー映画のワンシーン、ゾンビたちの行進の様にも見えた。
「っ!?逃げて!!」
変貌したクラスメイトたちの様子から、危機感を感じたもえかは角田の手を掴んで、急いで艦橋へと引き返した。
そして、角田を艦橋へ向かわせ、小林に事態の説明とバリケードを構築する為に応援に来てもらうように伝令役にした後、もえかと吉田は二人が戻って来るまでにラッタルのハッチを閉め、モップの柄とロープを使い、ラッタルのハッチを開かないように固定した。
次いで、消火斧(ファイヤーアックス)にて、エレベーターのワイヤを切り、エレベーターを落して使用不能にした。
「どうしたんです?」
角田が小林を呼んで、もえかたちの下にやってくると、
「詳しい説明は後でするから急いで他のラッタルのハッチを全部閉鎖して!!その他の艦橋に入れそうな箇所も全部!!」
もえかは小林にラッタルや扉を封鎖するように伝え、四人はバリケードを設置し、ラッタル、扉を封鎖した。
艦橋へと戻った皆の顔色は悪く、
何でこんな事になったのか?
みんな一体どうしてしまったのか?
自分たちはこれからどなるのか?
いずれは他のクラスメイトたちみたいになってしまうのか?
と、不安が次々とこみ上げてくる。
「みんな、一体どうしちゃったんだろう‥‥?」
豹変したクラスメイトたちを見た吉田は、一体クラスメイトたちの身に何があったのか分からず、困惑している。
「わ、わかりません‥‥突然、数人が豹変して、それが次々と広がって‥‥」
角田の話では突如、クラスメイトの数人が豹変すると、それが次々に他のクラスメイトたちにもまるで病気が感染するかのように広がって、あのような状態になったのだともえかたちに伝える。
角田の話では、クラスメイトたちが叛乱を起こした訳でもなさそうだ。
しかし、駿河で異状事態が起きたことには変わらない。
「か、艦長!!」
「どうしたの?」
ジャイロコンパスを見ていた吉田が声を上げる。
「駿河が‥予定針路を離れています」
「なっ!?」
予定針路を離れ、迷走し始めた駿河。
操艦機能は奪われており、針路がズレたとなると、これでは西之島新島で待っている他の学生艦とも合流が出来ない。
他の学生艦や教員艦と合流出来れば、何とか今の事態を改善できたかもしれないのだが、それさえも出来なくなった。
「私たちどうなっちゃうんだろう‥‥」
角田が涙声で呟く。
「みんな、まずは落ち着いて、今自棄になって飛び出しても、勝てない‥今は落ち着いて、現状を確認して、必要な物の確保とか、成すべきことをしないと」
不安になっている吉田、角田、小林を鼓舞するもえか。
彼女だって、こんな事態になって不安だし、怖い。
でも、自分は艦長と言う立場から、不安がっているクラスメイトたちの前で、そんな姿を見せれば、クラスメイトたちはますます不安になる。
もえかは必死に自分を奮い立たせた。
そして、彼女は三人に次々と指示を飛ばしていく。
幸い艦橋には簡易なトイレと入浴の設備があり、排泄や身体を洗うことは可能だ。
問題はトイレットペーパーやボディソープ、シャンプー等の生活物資に水と食糧、そして外部へこの事を伝える無線機の確保。
そして、バリケードの強化となる資材の調達等が急務となった。
何かしらの使用制限は避けられそうにないが、四人で集められる備蓄では長期間の籠城には耐えられないだろう。
備蓄が尽きる前にこの事態を何とか解決しなければならなかった。
そんな艦橋ぐらしをしている中、ようやく救助が来てくれた。
彼女たちの期待は当然高かった‥‥
だが、喜ぶのも束の間、更なる事態が救援を阻む。
「艦長、あれを!?」
もえかが今度は、何事かと思い下を見ると、
「あっ!?」
何と、駿河の主砲が勝手に旋回しはじめて、次の瞬間‥‥
ズドーン!!
東舞鶴海洋高校の教員艦隊、目掛けて発砲したのだ。
「駿河発砲!?」
「何っ!?どういう事だ!?」
駿河からの砲撃に驚愕しながら、駿河が放った砲弾は、教員艦隊の一隻に命中した。
「四番艦から受信、『ワレ、機関部被弾!!航行不能!!』‥‥繰り返す!!『機関部被弾!!航行不能!!』」
駿河の攻撃を受け、幸い沈没は免れたが、機関に被弾し航行不能になる。
それを見た隣の教員艦が急いで駿河に向けて発光信号を送るが、
「発光信号を送っていますが応答ありません!!」
駿河は、教員艦からの発光信号には応答せず、航行を続けている。
横須賀女子、東舞鶴の教員艦は確かに誘導兵器、優秀なレーダーを搭載している強力な艦だ。
一方、学生が使用している艦は、旧海軍時代の艦を改造した艦‥‥
艦歴、装備技術においては教員艦が上だ。
しかし、教員艦はその運用方法から、戦艦ほどの大きさを持ち合わせておらず、甲板上にレーダーやアンテナを露出している。
そして、その戦闘形式は主に誘導兵器によるアウトレンジ戦法でその戦術の為、教員艦の防御力は巡洋艦並み。
反対に学生が使用している戦艦は、攻撃力、防御力は教員艦よりも上‥‥
故に遠距離ならば兎も角、近距離で戦艦からの砲撃を受けては、優秀なレーダー、誘導兵器を搭載している教員艦でも一撃で航行不能となってしまうのだ。
「我々を脅威と誤解しているのか!?二番艦は接近し音声にて呼びかけてくれ!!」
教頭は、駿河の生徒が、自分たちが駿河に攻撃を仕掛けてくると思い込んでいるのかと思い、すぐさま二番艦に発光信号だけでなく、音声信号にて駿河へと呼びかける様に指示を出した。
『駿河の生徒諸君!!我々は東舞鶴海洋高校の教員だ!!君たちを保護するために来ている!!速やかに停船し、こちらの指示に従い‥‥』
二番艦が音声信号を送るが、駿河は、応答せず、それどころか駿河の第二主砲が旋回し、音声信号を送る二番艦を砲撃してきた。
「防水作業急げ!!」
第二砲塔の攻撃で二番艦は艦首に浸水する被害を受けた。
「‥‥砲撃を止めさせよう。船体のどこかに穴を開けて浸水、艦を傾斜させれば、給弾機から弾の補給が出来なくなり、砲は仕えなくなる」
最初の砲撃から、既に二隻が被害を受け、更に駿河の砲撃は続き、これ以上砲撃を受ければ、味方の被害が増える一方だ。
そこで、駿河を攻撃し、浸水させて船体を傾斜させる事により砲塔を使用不能にさせる事にした。
「しかし、それでは学生が乗る艦を撃つことになりますが‥‥?」
副長の言う通り、それは、学生たちを攻撃する事と同じ事であった。
しかも艦橋に立てこもっているもえかたちもろともに‥‥
「砲を撃てなくしてから生徒たちを保護する」
しかし、それでもこれ以上の被害を出すわけにはいかず、駿河の乗員たちを救助するには攻撃するしかなかった。
「‥‥了解、対水上戦闘用意!!」
副長も遂に教頭の決断を了承し、対水上戦闘用意の号令を出す。
「対水上戦闘用意」
「主砲、配置よし」
対水上戦闘用意の号令の下、教員艦隊は戦闘準備をする。
「各部配置よし、非常閉鎖よし、対水上戦闘用意よし」
各艦、戦闘準備が完了する。
この間にも駿河の砲撃は続き、
「三番艦被弾!!」
その砲撃で今度は、三番艦が被弾した。
「対水上戦闘!!噴進魚雷、攻撃始め!!」
「噴進魚雷、発射始め!!」
艦隊旗艦、あおつきから一斉に噴進魚雷が発射された。
墳進魚雷は全弾、駿河の右舷に命中する。
「命中しました!!‥‥目標は‥‥速力変わらず、主砲動いています!!」
駿河への墳進魚雷命中を確認したものの、駿河は墳進魚雷命中に物ともせず、教員艦隊への砲撃を続ける。
「やはり、演習弾では無理か‥‥」
如何やら、先程発射した噴進魚雷の弾頭は、全て演習弾だった様だ。
学生が乗る艦に実弾を撃ちこむわけにはいかない。
とは言え、駿河と教員艦隊の戦闘は続く。
その戦闘をもえかたちは、駿河の艦橋で見ていた。
「東舞校の教員艦が‥‥!?」
「な、何で私たちの艦が東舞校の艦を‥‥?」
自分たちの艦が救助に来た筈の東舞鶴海洋高校の教員艦隊を砲撃しているのを見て、小林と吉田はショックを受ける。
「か、艦長‥‥」
そして、
「ど、如何して‥‥?」
もえかも自分の艦が東舞鶴海洋高校の教員艦隊を攻撃しているのにショックを受けていた。
(このままだと救助が不可能に‥‥でも、今の私たちには、何も出来ない‥‥一体、如何すればいいの‥‥)
今、東舞鶴海洋高校の教員艦隊が救助に来ているのに、自分たちの艦がその教員艦を攻撃している。
しかし、自分たちには、それを止める事も如何する事も出来ない。
如何すれば状況が良くなるのか、もえかは、考えながら、戦闘を見守るしかできなかった。
東舞鶴海洋高校の教員艦隊と駿河が盛大にドンパチをしている中、晴風では‥‥
「あ、あの‥‥」
「ん?」
「どうして、私の事を気にかけてくれたんですか?」
鈴はシュテルにどうして自分の事を気にかけてくれたのかを訊ねる。
「うーん‥‥知床さんが何か思い詰めていたのもあるけど、知床さんの声‥‥」
「私の声?」
「うん、知床さんの声がウチの砲雷長の声とそっくりなんだよ」
「えっ?私の声が!?そんなにそっくりなんですか?」
「うん、同じセリフを言われたら、どっちが言ったのか分からないと思う」
そんなに自分の声を似ている人物がいるなんて世界は狭いようで広い。
「でも、なんで知床さんは心理テストなんてやったの?」
「あっ、それはクラスの人が占いコーナーが載っている雑誌に心理テストがあったので‥‥」
「へぇ~‥‥占いか‥‥あっ、そう言えば占いと言えば、以前こんなことがあってさ‥‥」
シュテルは鈴にドイツであった出来事を話した。
それは、日本に来る前の事‥‥
ある日、雑誌に掲載されている占いを見ると、
「あっ、獅子座が十年に一度の最悪の日だって」
シュテルが占いの結果をユーリに伝える。
シュテルとユーリは同じ獅子座の生まれだった。
「そうなの?まぁ、あまり信じないけどね」
しかし、ユーリは対して気にしていない様子。
「えぇ?どうして?もしかしたら、私たち、今日命の危険を伴うかもしれないよ」
「そんなことないって‥‥」
ユーリはやはり気にしていない。
そこへ、
ブゥーン‥‥ピタッ
ユーリの口元にスズメバチが止まる。
「っ!?」
「‥‥」
突然のスズメバチの出現にシュテルは驚くが、ユーリは動じない。
すると、ユーリはスズメバチは口元に着けたまま、シュテルに近づいてくる。
「ちょっ、ユーリ、なんで、こっちに来るの‥‥?」
「‥‥」
ユーリはずっと無言のまま‥‥
すると、ユーリは周りの目も気にせずにシュテルにキスをした。
キスはスズメバチを通して行われたため回数的にはノーカウントである。
そして、スズメバチはシュテルとユーリのキスで圧死した。
「ちょっ‥‥ユーリ‥‥お前‥‥ふざけんなよ‥‥」
突然キスされドスが利いた声を上げるシュテル。
シュテルとしては、ファーストキスは戸塚に捧げたかったから、いきなりユーリにされてキレかけた。
「ご、ごめん‥‥パニくった‥‥」
シュテルとユーリの間に不穏な空気が流れている。
「‥‥」
そしてそれを横目から見ていたレヴィ。
「こ、航海長!?」
「れ、レヴィ!?」
レヴィの存在に気づくシュテルとユーリ。
「ちょっと待って、違うんだコレは!」
「いやいや誰にも言わないって‥‥」
「違うの!ハチがいたから!しょうがないでしょう!?」
シュテルが必死に弁解する。
「わかるでしょう!?」
「意味わからん」
すると、レヴィはポケットから財布を取り出し、二人にユーロ札を差し出す。
「何故金を払う!」
「そっちが意味わかんないよ!!」
「よかったじゃん、ハチでカバーされてファーストキスにはなってないと思うよ」
「「‥‥」」
シュテルとユーリの間に沈黙が走る。
「「状況わかってんなら先に言えよ!」」
ドスっ!!×2
「はぅっ!!」
シュテルとユーリはレヴィの鳩尾に拳を叩き込み、レヴィはその場に倒れる。
レヴィにとっても今日は厄日だったみたいだ。
「ハァ‥‥ハァ‥‥」
「やっぱり、今日は最悪の日なんじゃあ‥‥」
「そんな訳ないじゃん!!あんなのただの偶然だって!!」
ユーリはあくまでも占いを信じない。
そこへ、
ブゥーン‥‥ピタッ
またもやユーリの口元にスズメバチが飛んできた。
「だからなんで!?なんで、こっち来るの!?」
ユーリは再びシュテルの口でスズメバチを圧死させようとした。
すると、今度はクリスが居た。
「‥‥」
「「っ!?」」
クリスはは黙って鞄から殺虫スプレーを取り出して、無言で吹き掛けた。
その瞬間にシュテルとユーリの意見はリンクした。
「「(占いって怖いわぁ)」」
「‥‥って、ことがあったんだよ」
「へ、へぇ~‥‥そうなんですか‥‥」
シュテルは苦笑しながら言うが、鈴としてはリアクションに困る話だった。
シュテルの黒歴史?の暴露が終わった時、
「艦長の岬です。クラス全員急いで艦首付近の前甲板に集まって下さい以上!!」
明乃は艦内に一斉放送を流し、クラスメイトを集める。
突然の召集に何だろうと思いつつ、晴風の乗員たちは前甲板に集合する。
「何だ?急に全員に召集かけたりして?」
真白は、何故、急に全員に召集掛けたのか、明乃に訊ねると、
「あのね、みんな!!今から、ミーちゃんの歓迎会を始めま~す!!」
ミーナの歓迎会に晴風のクラスメイトたちは、ミーナに歓迎の拍手で迎える。
「えっ!?ワ、ワシの?」
突然、自分の歓迎会にミーナは驚く。
まさか、こんなサプライズが用意されていたなんて、夢にも思わなかった。
先程、杵崎姉妹の様子から、自分はてっきり晴風のみんなから嫌われているのかと思っていたからだ。
伊良子と杵崎姉妹が歓迎用のケーキを運んで来る。
「今火を点けるからね~」
そして、伊良子がケーキの上に刺さっているロウソクに火を点ける。
「も、もしかして、コソコソしていたのは‥‥!?」
ミーナはあの杵崎姉妹の挙動不審な行動に合点がいった。
「じゃあ私たちの新しい仲間のミーナさんから一言!」
「えぇ~。晴風乗員諸君。全くこの晴風というのは変な船じゃ‥‥じゃ、じゃが‥‥こんな風にワシを歓迎してくれるとは‥‥晴風乗員諸君‥‥ワシはこの手厚い歓迎にド感謝する!」
ミーナは感謝の言葉を述べてケーキの上に立つロウソクの火を消す。
「はい!じゃあみんなでケーキを食べようね」
こうしてミーナの歓迎会が始まった。
ミーナの歓迎会が始まり、クラスメイトたちはそこで出されたケーキに舌鼓をうっている中、
「ねぇ、ミーナちゃんは何で自分の事を『ワシ』っていうの?」
和住がミーナの一人称に関して、今まで疑問に思っていたのだろう。
此処で彼女に質問をした。
「ああ、私もそれ、気になった。確か去年までは『私』だったのに‥‥」
シュテルもミーナの一人称が変わった事も気になっていたので、会話に参加して、一人称が変わった理由を聞く。
「ん?おかしいか?日本の映画を見て覚えたんじゃが‥‥?」
それによると、ミーナの一人称が変わったのは、日本映画の影響だった。
「仁義がない感じの映画ですね。『あんたは儂らが漕いどる船じゃないの。船が勝手に進める言うなら、進んでみぃや!』」
納沙がサングラスを取り出し、恒例の一人芝居をする。
すると、
「『ささらもさらにしちゃれー!』じゃな」
ミーナもそれに乗る。
「しかし、上手いなぁ~このケーキ」
ミーナが再びケーキに口を着けていると、
「これ記念品」
「貰って」
そして、杵﨑姉妹からは紅白の達磨がプレゼントされたミーナ。
「お、おう‥ダンケシェーン‥‥」
ミーナは紅白の達磨にちょっと引きながらも折角のプレゼントと言う事で杵﨑姉妹から紅白の達磨を受け取った。
「ミーナさん、もしかしてあの映画シリーズ全部見たんですか?」
「見たぞ」
紅白の達磨を受け取った後、先程のセリフを知っていたことから、納沙は自分が好きな任侠映画をミーナが知っているのかと思い、訊ねてみると、ミーナは納沙が知っている任侠映画を見ていた。
「私、四作目が好きで!!」
「おおぉ!!あれかあれはええのぅ~」
納沙は晴風でやっと話が合う人物が見つかり嬉しそうだった。
ミーナと納沙が任侠映画の話で盛り上がっている中、シュテルはミーナの一人称が変わった理由も分かったし、二人が好きな任侠映画は知らなかったので、一人でケーキを食べていた。
「うーん‥‥」
そんなシュテルの姿を明乃は遠巻きから見ていた。
「どうしたんですか?岬さん」
そんな明乃に鈴が声をかける。
「あっ、うん‥‥あのドイツ艦の艦長さん、どこかで会ったような気が‥‥」
明乃はシュテルと何処かで会った気がしてならなかった。
しかし、明確にいつ、どこで、シュテルと出会ったのか思い出せなかった。
「それなら、直接聞いてみたらどうですか?」
鈴は、気になるようならば、シュテルに聞いてみればいいと言うが、
「あっ、いや‥‥もし、間違っていたら失礼だし‥‥」
明乃はもし、自分の記憶違いだったら失礼なので、消極的だった。
(別そんなこと気にするとは思えないけどな‥‥)
鈴はさきほど、シュテルと話したが、そんなことで怒るようなシュテルではないと思った。
実際にシュテルと明乃は昔、会っているのだから‥‥
そんな中、明乃は、おもむろにポケットから懐中時計を出して、中に貼ってある写真を見る。
「可愛い」
「んっ?」
鈴がそれに気づく。
「それって、艦長‥岬さんの子供の頃の?」
「うん。小学校の卒業式の写真。ずっと一緒だったの‥‥」
「それって、駿河の艦長さん?」
鈴が写真に写っているもえかに注目する。
「そう‥‥」
明乃が行方不明になっているもえかの事を思っているその時、
ピィーン
スピーカーがハウリングし、
「艦長!!学校から緊急電です!!」
八木が学校からの緊急伝を伝えた。