やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

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今回は事故死した奉仕部+葉山の視点です。


7話

 

 

此処で時系列は八幡が自殺し、異世界へと転生してから少し後に遡る。

八幡が居た前世の世界にて、クリスマスイベントの大失敗は総武高校の皆が忽ち知る事となり、生徒会‥特に生徒会長である雪ノ下には非難が集中し、それが元で雪ノ下は二学期の期末試験においてはこれまでの高校生活の中で最悪の成績を叩き出し、これまでキープしてきた主席の座を始めて他人に奪われた。

クリスマスイベントの大失敗、周囲からの心無い誹謗・中傷、そして成績不振、これらの出来事で雪ノ下は完全に精神的に参っていた。

補佐すべき葉山も親友である由比ヶ浜もどうやって彼女を元気づけられるか右往左往するだけで、彼女を立ち直らせる方法がまったく思いつかない。

そんなある日の放課後、生徒会の仕事を早々に済ませ、帰路についている中、三人の後ろから轟音が聞こえてきた。

振り返ると三人の目には自分達に向かって突っ込んで来るトラックの姿が目に映ったかと思うと、三人の視界は暗転した。

 

 

~奉仕部+葉山隼人side~

 

 

「うっ‥うーん‥‥」

 

「あっ、あれ?此処は何処‥‥?」

 

「確かついさっきまで僕達は通学路に居た筈じゃあ‥‥?」

 

三人が目を覚ますと其処はさっきまで自分達が居た通学路ではなく、妙な場所だった。

床は白と黒のチェック柄の床がどこまでも広がっている空間で、空は夜の様に真っ暗な場所だった。

空は真っ暗であるが、床の方はほのかに発光しており、薄暗いが決して不気味な明るさではなかった。

三人が辺りを見回していると、

 

「ようこそ、死後の世界へ‥雪ノ下雪乃さん、由比ヶ浜結衣さん、葉山隼人さん。残念ながらあなた方はつい、先程お亡くなりになりました」

突然、その場に響いた女性の声に驚きながらも三人は声がした方を見る。

そこには銀髪で修道女の様な恰好をした一人の美少女が椅子に腰かけていた。

三人が唖然としていると、

 

「どうやらまだ混乱されているようですね。まぁ、無理もありません。日本でのあなた方の人生は若くして幕を閉じてしまったのですから」

 

慈悲深い声で三人に状況説明をするが、

 

「死後の世界?私達が死んだ?貴女は何を言っているのかしら?妙な宗教勧誘の為に私達を攫ったのかしら?誘拐は犯罪よ」

 

「そ、そうだよ!!ゆきのんの言う通りだし!!大体、私達は死んでなんかいないもん!!」

 

「そうだ!!この通り、僕達はピンピンしているじゃないか!?」

 

とリアリストの雪ノ下は自分達が死んだと言う少女の言葉を否定し、由比ヶ浜と葉山もそれに同調した。

 

「さあ、さっさと私達を解放しなさい。さもないと警察に通報するわよ」

 

そう言って雪ノ下はポケットの中にある携帯を取り出そうとしたが、ポケットの中には何もなかった。

由比ヶ浜や葉山も同じようで二人ともポケットに入れていた筈の携帯が無くなっていた。

今、思えば下校の時に自分らが手に持っていたり、肩にかけていた通学鞄もいつの間にか無くなっていた。

 

「私達の荷物まで奪ったの!?」

 

「さっさと返せし!!」

 

「そうだ、今ならまだ軽い罪で済むぞ!」

 

雪ノ下と由比ヶ浜は荷物を返せと声を揃えて言い、葉山は今ならまだ軽い罪で済むぞと警告する。

そんな三人の様子を見て少女は呆れた様子。

 

「ですから、あなた方は死亡したと言っているでしょう!?大体誘拐したのに手足を縛らずにそのままの状態で放置するなんておかしいじゃありませんか!!それでも納得できないと言うのであれば、あなた方が死んだと言う証拠をお見せしましょう!!」

 

少女がパチンと指を鳴らすと、空中に映画のスクリーンの様なモノが現れる。

そしてそのスクリーンには総武高校の生徒会室で仕事をしている雪ノ下、由比ヶ浜、葉山の三人の姿が映し出される。

 

「あら?誘拐魔以前にストーカーだったみたいね」

 

雪ノ下はスクリーンに映っている自分達の姿を見て少女に対して見下すような目で見る。

そんな雪ノ下の態度に少女もムッとした様子で、言い返す。

 

「これは可笑しなことを言いますね。では、あなた方は生徒会室に居た時、カメラを回していた人物を無視して仕事をしていたのですか?このアングルはどう見ても隠し撮りは不可能な位置じゃないですか」

 

「‥‥」

 

少女の切り返しに雪ノ下はただ睨むだけだった。

確かに少女の言う通り、この映像のアングルはどう見ても隠し撮りの位置とは異なり、自分達の周りにビデオカメラを回している人物がうろちょろしていたら嫌でも気づく様なアングルで撮影されていた。

その間にも映像は続き、三人は生徒会室を後にして、下校していく。

通学路を三人で歩いて下校していると、後ろからトラックが突っ込んできた。

三人は突然の事態に身動きする事が出来ず、ただ立ち尽くすだけ‥‥

そして、ガシャーンと大きな音と共にグシャと言う肉をすり潰す様な鈍い音もした。

やがて、トラックが完全に止まると運転席から運転手が降りてくる。

その足元は千鳥足であり、人を轢いてしまって動揺している様子には見えない。

 

「うぃ~やべぇ~歩道にツッコんじまったぁ~しかもなんか轢いちまったみたいだけど、なんだぁ?野良犬でも轢いちまったかぁ~?」

 

その運転手の言動から、運転手は酒に酔っている様にも見える。

実際にその運転手の顔は妙に赤い。

そして、自分が轢いてしまった雪ノ下達の姿を見て、

 

「っ!?や、やべぇ!!ひ、人を轢いちまった!!」

 

此処に来て運転手は人を三人も轢いてしまった事に気づいた。

そして、運転手は急いで運転席に戻るとトラックをバックさせ、歩道からトラックを車道へと移動させると警察や救急車を呼ぶこともなくその場から急いで逃げ去って行った。

通学路には原型を辛うじてとどめている状態の雪ノ下、由比ヶ浜、葉山の三人の死体だけが残されていた。

三人の姿は、手足は変な方向に曲がり、腸からは臓器と骨が飛び出ており、道端には三人の血で血だまりが出来ていた。

 

「「「うっ‥‥」」」

 

三人は自分達の死体を見て、顔を青くし、思わず手で口元を抑える。

 

「な、なによ‥アレ?」

 

「僕達が‥死んだ‥‥?」

 

「そ、そんな‥‥」

 

やがて、事故現場には警察や消防の救急車、野次馬が来て、辺りは騒然となる。

そして、三人の死体は警察の手によって死体袋に入れられてその場から警察署へと運ばていった。

 

「これで分かってもらえましたか?あなた方は飲酒運転のトラックに撥ねられてお亡くなりになったのです。この続きもありますが、ご覧になりますか?」

 

「いえ、結構よ」

 

「‥‥」

 

スクリーンに映し出されていた映像はとても作られた映像の様には見えず、三人は自分達が死んだと言う現実を受け入れた。

そして、雪ノ下はこれ以上自分の死んだ姿を見たくはないのかこれ以上の映像は見たくないと言う。

ただ、葉山だけは何か言いたげな顔をしていたが、人の顔色を常に窺う彼はこの時は何も言わなかった。

 

「それにしても何なのアレ!?あの親父、マジ信じられない!!人を轢いて殺したのにその場から逃げるなんて!!」

 

一方、由比ヶ浜は自分達を轢き逃げしたトラックの運転手に対して憤慨していた。

雪ノ下も同じ様な感じでスクリーンを睨んでいた。

 

「まぁ、その後あの運転手は警察に逮捕されました。後の裁判では飲酒運転と死亡ひき逃げで危険運転致死傷罪が適用され、懲役十七年の刑を受けましたから少しは皆さんの不満も解消できたのではないでしょうか?」

 

(でも、由比ヶ浜さん‥貴女も一年前、八幡さんが貴女の愛犬を助けたのに、貴女は救急車を呼ぶこともなく、彼の手から愛犬を取り、その場から逃げ去って行きましたよね?しかもそのお礼を一年も経ってから伝えましたし、その間、彼の事を『キモイ』と罵倒していましたよね?貴女にそんな事を言う資格があるんですか?)

 

少女は自分達を轢いたあのトラックの運転手がどうなったのかを説明した。

それと同時に心の中で由比ヶ浜に対して毒づいていた。

そして、

 

「ですが本来の歴史ですと、あなた方の寿命はまだまだあったのですが、今回はイレギュラーな事が起こり、こうして不運な事故であなた方は命を落としてしまった訳ですが‥‥」

 

少女の言葉からは本来ならば自分達は今日、通学路で死ぬはずではなかった事を示唆する。

 

「ちょっと、それってどういう事なの!?」

 

「私達、本当は死ななかったって事!?」

 

「それじゃあ僕達は、本当は一体何歳まで生きる予定だったんです?」

 

三人は本当ならまだ生きていた筈なのに突然のイレギュラー‥歴史の改変によって死んでしまったのだが、本当は一体何歳まで生きる予定だったのかを少女に訊ねる。

 

「えっと‥ですね‥‥」

 

少女の手にはいつの間にか分厚い一冊の本が握られていた。

 

「雪ノ下雪乃さん‥貴女は本来ですと83歳まで生きる予定でした」

 

「83歳‥‥」

 

「由比ヶ浜結衣さん」

 

「はい」

 

名前を呼ばれ反射的に返答する由比ヶ浜。

 

「貴女は本来、94歳まで生きる予定でした。葉山隼人さん‥貴方は本来ですと78歳まで生きる予定でした」

 

少女は三人が本来死ぬ筈だった年齢を読み上げる。

どうやらあの本には人間の寿命が書かれている様だ。

 

「それなら、なんで僕達は今日、死んでしまったんだ!?イレギュラーって一体何なんですか!?」

 

葉山は突然命を奪われなければならなかったイレギュラーの原因を訊ねる。

 

「比企谷八幡」

 

「「「っ!?」」」

 

少女が口にした人物の名前を聞いて三人は固まる。

 

「あら?あのクズが何だって言うのかしら?」

 

「彼の存在が今回のイレギュラーに大きく関係しています‥‥本来の歴史ならば、総武高校の生徒会長は雪ノ下さん、貴女ではなく、一色いろはさんがなっていましたし、クリスマスのイベントも彼の協力により失敗してはいませんでした」

 

「あら?あんなクズがあの無能な連中を御せるとは思えないけど?」

 

「そ、そうだし!!ゆきのんが出来なかった事をヒッキーが出来る訳ないじゃん!!」

 

「あなた方が何を言っても今更手遅れですけどね‥‥あなた方の死亡原因はイレギュラーの修正力が働き今回の件が起こりました。そう、まるであの世界の全てをリセットするかのように‥‥」

 

(由比ヶ浜さん、貴女はこれまで奉仕部で何を見てきたんですか?奉仕部の依頼を解決してきたのは雪ノ下さんではなく、八幡さんが殆どだったと思いますが?)

 

少女はイレギュラーの原因を告げると共に、由比ヶ浜の言った雪ノ下が出来ない事を八幡が出来るわけがないと言う言葉に対して心の中で噛みついた。

 

「じゃあ、私達はヒッキーのせいで死んだって言うの!?」

 

「ヒキタニのヤロウ‥‥」

 

「あのクズが‥‥」

 

三人は八幡のせいで自分達は死んだのだと思いこの場に居ない八幡に対して憤慨する。

 

(元はと言えばあなた達の自業自得じゃないですか‥‥あなた方が八幡さんを否定し、拒絶しなければ彼は自殺をしなかったし、歴史が改変する事もなかったんですけどね‥‥)

 

そんな三人の様子を冷ややかな目で見る少女。

 

「では、本題に入ります。不幸にも事故死してしまったあなた方には三つの選択の中から一つを選んでもらいます」

 

少女は本を閉じ、三人に三つの選択肢を説明し始める。

 

「三つの選択?それはどんなモノなんですか?」

 

葉山が少女にどんな選択肢なのかを問う。

 

「一つ目はもう一度、前の世界で人生をやり直す。二つ目は天国へと行き、何もない所で何も変化のない日常を永遠に過ごす。三つ目は特典を一つ持って異世界へと転生し、その世界で新たに人生をやり直す‥‥この三つの選択です。あっ、申し遅れましたが、私の名前はエリス‥‥女神エリスです」

 

「あの‥それで、エリエリ、一つ目と三つ目の違いは何なんですか?」

 

由比ヶ浜は同じ転生でも一つ目と三つ目の違いがよく分からない様でエリスに質問をする。

 

「一つ目の転生はあなた方が住んでいた前の世界へもう一度転生します」

 

(エリエリって、一応私は神なんですけど‥‥)

 

エリスは由比ヶ浜のセンスのない渾名と神なのに敬わず、親しい友達にでも話しかける態度に心の中でイラッとする。

 

「それなら、またママやパパに会えるんですか!?」

 

「いえ、転生と言っても前の家の人間に転生はしません。何処か他所の家の子供として転生します。場合によっては国籍も異なるかもしれませんし、人ではないかもしれません。それに前世の記憶は消させていただきます」

 

「そんなっ!?」

 

「じゃあ、一つ目の選択肢は却下ね」

 

「そうだね」

 

前世の記憶を消し、更にはどこか別の家、別の国の人間になると言う選択は無いと言い切る雪ノ下と葉山。

 

「それに例え記憶がなくともあのクズや私達を殺した犯人、それに私をバカにした無能な人間がいる世界なんて今更未練なんてないし、同じ空気を吸うのさえ、吐き気がするわ」

 

「そうですか‥‥」

 

雪ノ下の一つ目の選択肢を却下する理由をエリスは相変わらず冷ややかな目で見て聞いていた。

 

「じゃあ、二つ目の天国なんてどうかな?ゆきのん、隼人君」

 

「そうね‥まずは天国がどんな所なのか教えてもらえるかしら?」

 

「天国と言っても、あなた方が思っている様な所ではありません。テレビ、漫画、ゲームと言った娯楽は何もなく、何もないただ真っ白な世界で、過去の英雄や偉人達の自慢話につき合わされるような所ですね。あっ、でも魂だけの存在なので食べる事も排泄する事もありませんし、体臭や口臭などもしないので、お風呂に入る必要も歯を磨く必要もありません」

 

「なにそれ?本当にそこ、天国なの?」

 

エリスの説明を聞いて由比ヶ浜は自分のイメージしていた天国と大分かけ離れている事にちょっと引いている。

なお、雪ノ下達の場合、イレギュラーとは言え、八幡の時とは異なり自殺ではないので、天国を選択した場合、賽の河原行きは免除となり天国へ行ける事となっていた。

しかし、

 

「なら、二つ目の選択肢も却下ね」

 

雪ノ下達は天国の実態を聞いて、天国行きも却下した。

 

「残るは最後の選択肢か‥‥」

 

「異世界への転生‥だったかしら?」

 

「それで、異世界への転生って一体何なんですか?」

 

「文字通り、異世界‥あなた方が居た世界と異なる世界へ転生し、その新しい世界で新たな人生を送ると言う事です。その場合、一つ目の転生と異なり、特典を一つ持って転生する事が出来ます。なお、転生したい世界も選べますし、基本的に、前世の記憶も性別も容姿も引き継げます」

 

「それなら一緒の異世界に行こうよ、ゆきのん」

 

「そ、そうね‥三つの選択肢の中でそれが一番マシみたいだし」

 

「じゃあ、僕も異世界転生にしようかな?」

 

三人は三つ目の選択、異世界への転生を選んだ。

 

「では、まず最初に転生する異世界を選んでください」

 

エリスは三人に転生候補の異世界を説明する。

前任の女神がよく死者を転生させていた魔王軍がその世界の住人の生活を脅かしている魔法が存在するファンタジーの世界、

世界観は前世と同じであるが、魔法が存在する魔法少女の世界、

巨大ロボットが存在する世界、

天災が作ったマルチフォームスーツがある世界、

ポケットに入るモンスターが存在する世界、

第二次世界大戦中の払い下げ戦車が国際的な競技になっている世界、

スクールアイドルと呼ばれる学校のアイドルとなり、大会のトップを目指す世界、

学生が八割の都市が存在し、その都市で超能力を開発する世界、

パンデミックにより平和な日常が一転し、周りがゾンビだらけとなった世界、

三国志に似た世界だけど、有名な武将が女の子な世界、

願い事が叶う七つの球が存在する世界、

 

エリスは三人に転生候補の異世界の説明をする。

そして最後に本来の歴史とはちょっと異なる海洋国家の世界、

 

エリスから転生予定の異世界候補を聞いて、三国志に似た世界だけど、有名な武将が女の子な世界‥上手く立ち回ればハーレムと聞いて葉山は食指がちょっと動いた。

 

「どの世界を選んでもいいんですか?」

 

「はい。どの世界でもご自由に選んでください」

 

「う~ん、どれにしようかな~」

 

「なるべく前の世界に似た世界が良いわね‥‥」

 

雪ノ下と由比ヶ浜はまるでショッピングをするようなノリでこれから自分達が転生する異世界を選び始める。

しかし、リアリストな雪ノ下は魔法や超能力、モンスターとかが存在する世界に対しては苦手意識の様なモノがあった。

その為、彼女が選ぶのは比較的に前世と似た世界ばかり‥‥

葉山は雪ノ下が行く世界ならば一緒に行くつもりなので、特に意見は出していない。

 

「この‥最後の異世界‥歴史がちょっと異なった世界なんてどう?ほんのちょっとの歴史なら、前の世界とほとんど変わらないかもしれないし‥‥」

 

「うん、そうだね」

 

「じゃあ、その世界にしようか」

 

三人は転生する異世界を決めた。

それは奇しくも八幡が転生した世界と同じ世界だった。

 

「では、次に皆さん、異世界へ転生するにあたって特典を一つ決めてください」

 

「質問」

 

特典を決めるにあたって由比ヶ浜が質問をする。

 

「その特典ってどんなモノでもいいんですか?」

 

「はい。過去の英雄が持っていた武器や道具を持って行く事も出来ますし、自分に何らかの特殊な能力を持たせることもできます」

 

「それじゃあ私、前の世界じゃ、バカだったから今度の世界じゃもう少し頭を良くして」

 

由比ヶ浜の願いは次の世界ではもう少し頭を良くしてくれと言う。

 

「分かりました。では、雪ノ下さんと葉山さんの特典はなんですか?」

 

エリスは残る二人に特典を訊ねる。

 

「転生する世界では、私達は前の世界と同じ家に生まれるのかしら?」

 

「ええ、この世界はあなた方の世界と似た世界なので、基本はそうですね」

 

「じゃあ、次の世界にもヒキタニも居る可能性があるって事か!?」

 

「えっ!?ヒッキーが!?」

 

「‥‥」

 

「どうしようぉ~次の世界にもヒッキーが居るなんて‥‥」

 

由比ヶ浜は転生する世界にも八幡が居るかもしれないと言う事実に顔を顰める。

 

「こんな事なら、お願いでヒッキーが居ない事にして貰ったらよかった‥ねぇ、エリエリ、さっきの願い取り消して‥‥」

 

「一度決まった特典を無しにする事は出来ません」

 

「そんなぁ~」

 

由比ヶ浜の願いを速攻で却下するエリス。

 

「大丈夫よ、由比ヶ浜さん。例え次の世界にあのクズが居ても早々に私が何とかするから、高校であのクズと出会う事はないわ」

 

雪ノ下は次に転生する世界が前の世界と似た世界ならば、次の世界も自分の実家はきっと金持ちの家であると判断し、その実家の権力を使って八幡を排除するつもりだった。

 

「ありがとう!!ゆきのん!!」

 

由比ヶ浜は雪ノ下に抱き付く。

 

「じゃあ、私の特典は、転生する世界に前の世界の私の姉‥雪ノ下陽乃が存在しないようにして」

 

「えっ!?」

 

自分の姉の存在を消した雪ノ下に驚く葉山。

 

「どうしたの?葉山君?」

 

「えっ!?あっ、いや、君は本当にそれでいいのかい?」

 

「構わないわ。貴方だって、姉さんには随分と酷い目に遭って来たじゃない?」

 

「ま、まぁ‥そうだけど‥‥」

 

「なら、いいじゃない。邪魔な存在を合法的に消す事が出来るんだから」

 

「‥‥」

 

葉山は雪ノ下の願いに微妙な顔していた。

 

「それで、貴女の言う特典とやらで人一人の存在を消す事って出来るのかしら?」

 

「ええ、出来ますよ」

 

「じゃあ、改めて私の特典は次の世界で雪ノ下陽乃の存在を消してください」

 

「分かりました。では、最後に貴方ですよ、葉山隼人さん」

 

「‥雪乃ちゃん、結衣、先に行ってくれ、僕は後から行くから」

 

「えっ?どうして?」

 

葉山は雪ノ下と由比ヶ浜の二人に、先に行ってくれと言う。

そんな葉山の態度に由比ヶ浜は首を傾げる。

 

「じ、実はまだ特典を何にするか決まらなくて‥‥時間がかかるかもしれないからさ」

 

「決断が遅いと優柔不断と思われるわよ」

 

「でもこういうのは一生に一度しかないし、じっくりと時間をかけて決めたくて‥‥」

 

「分かった。先に行っているね、隼人君。ゆきのん、行こう」

 

「ええ、それじゃあ、葉山君。私達は先に行っているから」

 

「あ、ああ‥‥」

 

雪ノ下と由比ヶ浜の足元が光り出して魔方陣が出現すると、二人の姿は光と共に消えた。

無事に異世界へ転生した様だ。

 

「特典を選ぶのにもう少し時間がかかるようでしたら、そちらの隅で考えてもえらますか?」

 

エリスは残された葉山に特典を選ぶのに時間がかかるようならば、邪魔なので、隅っこで考えろと言う。

 

「いや、その前に聞きたい事がある」

 

と、葉山はエリスにある事を訊ねた。

 




あの世界に転生したのは八幡だけではありませんでした‥‥
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