やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~   作:ステルス兄貴

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今回はエリスの視点、葉山視点では彼の特典が判明し、最後は転生した雪ノ下の視点です。


8話

~エリスside~

 

私の名前はエリス‥‥幸運を司る女神で、とある異世界では最も信仰されている宗教「エリス教」のご神体とされているし、その世界の通貨にもなっている。

ある日、先輩女神のアクア様が転生者の特典として異世界へと連れて行かれてしまい、アクア様の仕事を受け継いで、死者に対して選択を与えて、死者を導いていた。

そんなある日、何時ものように一人の死者が私の下にやってきた。

その死者は当然死んでいるのだが、目がすでにゾンビの様な目をしていた。

彼の名前は比企谷八幡と言う日本の高校生だった。

死因は自殺‥‥

彼の事を調べてみると、八幡さんは本来、今日死ぬ予定ではなかった。

そこで自殺の原因を見てみると、神の私でも思わず同情してしまうほどの人生を送っていた。

そして私はいつも通り、彼に三つの選択肢を問う。

すると彼はあれだけの事があったので、一つ目の選択肢である前の世界には転生したくないと言う。

その気持ちは私でも分かる。

そして、彼は二つ目の選択肢である天国へ行きたいと希望したが、彼の死因は自殺‥事故であれば天国へと送くれるのだが、自殺であればどうしても天国へ行く前に賽の河原でのお勤めをしてもらわなければならない。

それを説明すると仕方ないので、彼は三つ目の選択肢である異世界転生を選択した。

でも、彼の生い立ちや自殺の原因を知ったからこそ、できれば彼にはもう一度、新たな人生を送り、幸せになってもらいたいと思った。

私は転生可能な異世界の候補を彼に伝える。

これがアクア様なら、他の異世界の説明や選択肢を与えず、私やアクア様がご神体と崇められているあの異世界へと案内していただろう。

まったくアクア様ったら、ちゃんとお仕事をして下さいよ。

死者の方にだって選択権はあるんですから‥‥

そして彼は前の世界の歴史とちょっと異なった海洋国家の世界を選択した。

後は特典を一つ選んでもらう事になったのだが、彼は過去の英雄の武器や自身に強力な能力を身に着ける訳でもなく、転生する世界では性別と容姿を変えてくれと言う願いだった。

彼はきっと怖かったのだろう。

次に転生する世界でも前の世界と同じ家庭環境に転生するのが‥‥

私自身、ついさっき彼の人生を記録として読んだが『酷い』の一言だ。

両親は半ば育児・教育を放棄し、妹のみに愛情を注ぐ。

その妹は兄を兄とは思わず、都合の良い道具か奴隷の様な扱いをしていた。

彼が捻くれてしまった根本的な原因は彼の家庭環境にあったのではないだろうか?

両親の愛情が注がれない事に対して彼はソレをいつの間にかコレが当然のモノなのだと受け入れてしまったのだが、こうして新たな人生を送れると言う機会に接した事で彼の中にある孤独による寂しさ、両親への愛情の飢えが表に出てきたのだろう。

私は彼の願いを叶えた。

彼を新たな世界では女の子にして容姿も前の世界とは全く異なる容姿に変えた。

すると、私にも予想外のイレギュラーが起きた。

てっきり、八幡さんはあの世界の比企谷夫妻の家に生まれるのかと思ったのだが、一つ目の転生同様、生まれ変わった八幡さんが生を受けたのは日本ではなくドイツのとある日系家庭の子として生を受ける事になった。

でも結果的にこのイレギュラーは八幡さんの為になったと思う。

八幡さん、今度は自殺なんてしないでくださいね。

私はこの後、ラングレー・碇夫妻の下に生まれてくるであろう八幡さんの祝福を祈るばかりだった。

でも、後に何故、八幡さんがあの世界の比企谷夫妻ではなく、ラングレー・碇夫妻の下に生まれたイレギュラーの原因が分かった。

 

 

~葉山隼人side~

 

あのクリスマスイベントの失敗からずっと雪乃ちゃんは元気がない。

学校の彼方此方では雪乃ちゃんの陰口を叩く連中が日に日に増えている。

なんとかこの事態を打開しなければならないのだが、いい案が浮かばない。

例によって全部ヒキタニのせいにしたかったが、肝心のヒキタニの奴がここ最近、学校に来ないせいで、アイツのせいにもできない。

そんなある日、雪乃ちゃん、結衣、俺の三人で放課後に生徒会の仕事を終えて通学路を歩いて下校していると俺達目掛けて後ろからトラックが突っ込んできた。

そして、目の前が暗転したと思ったら、俺達三人は妙な空間に居た。

その空間にはエリスと名乗る自称女神が居り、いきなり俺達三人は死んだと言ってきた。

俺達は当然信じられるわけがなかったのだが、その女神が証拠として見せた事故の映像を見せられて俺達が死んだのだと認めざるを得なかった。

しかもエリスの話では本来、俺達は今日あそこで死ぬ予定では無かったのだが、ヒキタニの奴のせいで死んでしまった事も判明した。

ヒキタニの奴はどこまで人に迷惑をかければ気が済むんだ!?

あんな奴のせいで俺達の高校生活は滅茶苦茶にされただけではなく、文字通り人生までもが終わってしまったのだから‥‥

そしてエリスは死んだ俺達に三つの選択肢を選ぶように言ってきた。

一つ目の選択肢は前と同じ世界にもう一度生まれ変わる事、ただし記憶は失われ、どの家、どの国に生まれるのかは分からないどころか人間に生まれ変わるのかも分からないと言う。

その選択肢を雪乃ちゃんも結衣も却下した。

当然、俺も御免だ。

折角、イケメンで父親が弁護士、母親が医者のエリート家系に生まれてきたのに、今度はどの家に生まれるのか分からないなんて例え記憶がなくてもそんなのは嫌だ。

あのヒキタニの奴みたいに目が腐った根暗顔になって生まれるかもしれないんだからな。

しかも転生によっては人間で生まれてこない可能性だってあるのだからな。

 

二つ目の選択肢は天国へ行く事。

普通に聞くだけならばこの選択肢は中々だと思った。

ただし、エリスの説明では天国と言う所は俺達が思い描いている天国とはかけ離れた場所みたいだ。

折角の天国行きではあるが、つまらなそうなので却下。

当然雪乃ちゃんも結衣も却下した。

 

そして最後の選択肢、異世界への転生。

エリスは様々な転生候補の異世界を説明する。

色んな異世界があるその中で有名な三国志の武将が女子の世界‥‥これにはちょっと興味が沸いたがどうせ記憶を受け継いで転生するのであれば、雪乃ちゃんと同じ世界に転生したい。

雪乃ちゃんは昔からのリアリストだから魔法が存在する様なファンタジー系の異世界は候補から除外した。

そして決まった異世界はちょっと歴史が異なった海洋国家な世界。

その世界には雪ノ下家も葉山家もあり、俺達は前の世界同様、その世界のそれぞれの家に記憶を受け継いで転生できる様だった。

当然容姿も同じだ。

それならば、その世界一択だ。

転生してもイケメンでエリート家系、しかも記憶を受け継いで転生できるのだから文句はない。

そして異世界への転生に関しては一つ目の選択肢である前の世界の転生と異なり特典を一つ持って行けるらしい。

結衣は次の世界ではもう少し頭を良くしてもらいたいと言っていた。

あのバカには丁度いい願いだ。

ただ、その後で次に転生する世界が前の世界とほぼ同じ世界ならば、次の世界にもあのヒキタニの奴が存在するのではないかという指摘が浮かび上がった。

たしかに、雪ノ下家、葉山家、そして結衣の家があるのであれば、ヒキタニの家も存在し、当然そこにはヒキタニの奴も存在する可能性が高い。

次の世界でもヒキタニの奴が存在していたら、また俺や雪乃ちゃんの邪魔な存在になり得る。

雪乃ちゃんは大丈夫だと言っているが、危険な芽は刈れる内に刈っておかなければならない。

なんとかできないだろうか?

そう考えている中、雪乃ちゃんの特典はなんと次の世界では陽乃さんの存在を無かった事にする事‥‥

つまり、次の世界では雪乃ちゃんが雪ノ下家の長女になると言う事だ。

雪乃ちゃんは昔から陽乃さんに対抗心と同時に苦手意識を持っていた。

俺自身も陽乃さんには苦手意識があった。

でも、それと同時に憧れもあった。

陽乃さんの仮面をつけた立ち回りはまさに完璧で、大学の皆も、社交界の連中もみんなが陽乃さんの仮面には気づかずに彼女を褒めたたえていた。

陽乃さんのそんな立ち居振る舞いはまさに俺が目指す理想の姿だった。

しかし、雪乃ちゃんはヒキタニの奴よりも陽乃さんの排除を優先した様だ。

そしてエリスは雪乃ちゃんの特典を叶えた。

これで次に転生する異世界には雪ノ下陽乃と言う存在は誰にも知られることなく永遠に消え去った。

人一人の存在を無かった事にできるのであれば、俺も‥‥

俺は雪乃ちゃんと結衣の二人に先に異世界へと行っているように伝えると、二人は先に異世界へと転生して行った。

 

「特典を選ぶのにもう少し時間がかかるようでしたら、そちらの隅で考えてもえらますか?」

 

エリスは俺の事を邪魔者扱いする。

まったく、それでも女神か?

 

「いや、その前に聞きたい事があるんですが‥‥」

 

俺はエリスにどうしても聞いてきたい事があった。

 

「なんでしょう?」

 

「僕達が死んだ後の出来事を見てみたい。その‥‥高校の皆の様子とかを‥‥」

 

雪乃ちゃんは見たがらなかったが、俺自身はどうしても気になった。

俺達が死んだ後の総武高校の様子を‥‥

きっと皆は悲しんでいるに違いない。

 

「分かりました」

 

エリスが再び指をパチンと鳴らすと、再び空には映画館にあるスクリーンの様なモノが映し出される。

其処には三学期の始業式の様子が映し出されていた。

そして最後に校長が俺達の死を伝えると、皆は驚きと悲しみに包まれていた。

そう、これだよ、コレ。

総武の王たる俺と生徒会長の雪乃ちゃんの死を皆が悲しんでくれている。

死んでも俺はこの光景を見る事が出来て満足だ。

これで皆の記憶に俺と雪乃ちゃんの事は永遠に刻まれることだろう。

王は死んでもその歴史に名を残すものだ。

そう思っていたら、数日後にはその悲しみが一変した。

海老名の奴が修学旅行の真実を全部暴露しやがった。

さらに戸部の奴も馬鹿正直に奉仕部へ依頼をした経緯をベラベラと全部話しやがった。

海老名は兎も角、戸部は考えなしに話した。

結衣と言い、戸部と言いコレだからバカは始末に負えない。

それに海老名の奴、何故こんな事をした!?

そう思っていたら、原因は、俺がグループを解散させた事、

優美子がグループを解散させた後に相模さん達に虐められている事が許せなかった事らしい。

ふざけるな!!

たかがそんな事の為に総武の王であり、死者でもある俺の名誉を傷つけたのか!?

祟れるものならこの馬鹿どもを祟ってやりたいが、今更どうしようもない事だった。

俺は総武の王から総武の卑怯者となり、逆にあの無理難題な依頼を自己犠牲で解決させたヒキタニの奴に同情の声が上がり始めていた。

なんで俺が卑怯者で、ヒキタニの様な奴があんなに同情されるんだ!?

可笑しいだろう!?

そして俺の悪評が紆余曲折している内に、噂には尾ひれがついて、俺が生徒会に居たせいであのクリスマスイベントが失敗した事になっていた。

前の世界で、俺の名は別の意味で総武高校に残す羽目になった。

 

「もういいです‥‥」

 

これ以上は見てられないし、俺は前の世界とはもう関係ない。

エリスにスクリーンを消す様に頼むとエリスはスクリーンを消した。

この時、一瞬ではあるが、エリスは俺の事を何だかバカにしたような目つきで見ていた。

なんだ!?その目つきは!?

お前は神だろう!?

神とは絶対中立な存在じゃないのか!?

神だからって人を見下しやがって‥‥

 

「なにか?」

 

俺はエリスに何か言いたい事でもあるのかと問うと、

 

「いえ、なんでもありません。それで、特典は何か決まりましたか?それともまだ時間がかかりそうですか?」

 

エリスは何か言う事もなく、特典について聞いてきた。

俺の願いはもう決まっている。

 

「俺の特典‥というか願いは次に転生する世界にヒキタニ‥いえ、比企谷八幡が存在しないようにしてくれ!!」

 

そうだ、危険な芽は今の内に摘んでおいた方が良い。

次の世界でもヒキタニの奴に滅茶苦茶にされるのは御免だ。

アイツが居なければ俺と雪乃ちゃんの転生生活もまさにバラ色だ。

結衣のヤツも居るが、あんなバカはヒキタニと比べたらどうにでもなる。

利用できる駒が確実に一つ消える事になるが、アイツは一度利用すれば、次も利用できると思い込んでしまう麻薬と同じ様なヤツであまりにも危険だ。

そもそも、次の世界では雪乃ちゃんも俺も前の世界の記憶を受け継いで転生するのだから、ヒキタニの奴は不要なんだ。

そうさ、あんな奴の力を借りなくても俺が雪乃ちゃんを守ってみせる。

それに俺がヒキタニの奴を次の世界に存在しないようにしたと知れば雪乃ちゃんもきっと俺に感謝してくれる筈だ。

 

「‥‥それが貴方の特典ですか?」

 

「はい、そうです」

 

「‥‥分かりました。では、その様に取り計らいます」

 

「お願いします」

 

前の世界同様、エリートな家系とイケメンな容姿‥あとはあの邪魔なヒキタニが居なければそれ以上望む物はない。

あのヒキタニの奴がいなければ次の世界でも簡単に雪乃ちゃんを手に入れる事は出来る。

特典を言った後、エリスが確認をすると、俺の足元に魔方陣が浮かび上がると目の前が眩い光に包まれた‥‥

 

 

~雪ノ下雪乃side~

 

私がこの世界に転生してから早、五年が経とうとしていた。

あの女神に頼んだ為、この世界に雪ノ下陽乃と言う人物は存在していない。

前の世界では、あのクズ同様何かと私の邪魔をして来る姉さん‥‥その姉がこの世界では存在しない。

改めて実感すると私は思わず声をあげて踊り出したくなる気分だった。

姉さん‥いえ、あの女が居たせいで私は周囲から雪ノ下陽乃の妹と言うカテゴリーから外されずに見られ、何かとあの女と比べられて、良い成績を出したら「流石、雪ノ下さんの妹さんだ」 ちょっとでも評価が悪いと、「雪ノ下さんの妹さんなのに‥‥」 と成功したらあの女の手柄になり、失敗した時だけ雪ノ下雪乃と言う個人に当てはめられてきた。

でも、この世界ではあの女は存在しない。

あの女が存在しないと言う事は私があの女と比べられる事もないし、あの女が私の障害になる事もない。

でも、あの女以外に私の障害になりうるあのクズがこの世界にも居るかもしれないが、それについてはちゃんと手を打ってある。

この世界では前の世界と異なり、日本本土のほとんどが海へと沈み、日本は海上国家として成り立っている。

海上フロートの建造には雪ノ下建設も行っており、雪ノ下家は前の世界よりも財力と権力があった。

ただ惜しむらくは雪ノ下家が華族じゃなかったことね。

第二次世界大戦が起きず、GHQの占領政策がなかったから、この世界の日本には形だけとは言え未だに華族制度が存在する。

何故雪ノ下家が華族ではないのかと私は心の中で華族になれなかった自分の家の先祖、華族に任命しなかったこの国の政府の無能さ対して呆れた。

雪ノ下家こそ、華族になるべく家柄だと言うのに‥‥

そしてこの世界に存在しているかもしれないあのクズへの対策‥‥まずはあのクズの所在の確認を私は都築を使って調べさせた。

前の世界よりも財力があるこっちの家なら、あのクズの家なんて簡単につぶせる。

小町さんやあのクズのご両親には悪いけど、あんなクズを家族に持った事が運の尽きよね。

さっさと家から追い出しておけば良かったモノを‥‥

それに小町さんもあのクリスマスイベントでは全然使えない事が判明している。

クズの妹も所詮はクズだった。

今の内にあのクズの家を潰しておけば、あのクズが高校に入れる筈が無いし、あのクズの行いによって傷つく人も居ない。

私の作る新しい世界にあのクズは不要なのよ。

そう思っていたのに、都築からの報告では、

 

「千葉に比企谷八幡と言う男子はおらず、比企谷家という家も存在しない」

 

と言うモノだった。

私は都築にちゃんと探したのかを問うと、役所を含め信頼できるありとあらゆる伝手を使って調べたが、結果は変わらず、千葉に比企谷家は存在していなかった。

もしかして、幼少の頃、あのクズは千葉に居なかったのかもしれない。

こんな事なら前の世界でもう少しあのクズの出生を詳しく聞いておくべきだった。

そこで私は更に千葉以外の近県にも捜索の幅を広げようとしたが、流石に県外となると都築も不審に思ったのか私に何故、比企谷八幡と言う人物を探すのかを訊ねてきた。

まだ面識のない男を必死に探す私の行為は確かに不審だ。

都築に無理を言えば何とかなるかもしれないが、両親の耳に入ったら厄介だ。

私は一時、あのクズの捜索を断念しなければならなかった。

そして、前の世界と同じく私の実家の会社の顧問弁護士は葉山君の実家である葉山家だった。

両親は前の世界同様、私と葉山君の家との繋がりを強くするために将来、私と葉山君との結婚を見据えていた。

当然、葉山君は前の世界の記憶を受け継いでいた。

ある日、家で行われたパーティーで私は葉山君と再会した。

 

「やあ、雪乃ちゃん」

 

葉山君は前の世界同様、人当たりの良い笑みを浮かべて私に声をかける。

 

「あら?葉山君。貴方も無事にこの世界に転生したみたいね」

 

「ああ。こうしてまた雪乃ちゃんと出会えて嬉しいよ」

 

「それで、貴方は一体何をあの女神に願ったのかしら?」

 

「僕達の将来に関係する事だよ」

 

「?」

 

彼は一体何を願ったのかしら?

 

「それでヒキタニの事だけど‥‥」

 

「あのクズの名前を出すのは止めてちょうだい。吐き気がするわ」

 

「ごめん。でも、もうアイツの事で悩む心配はないよ」

 

「どういう事?」

 

「僕の願った特典‥それはヒキタニの奴がこの世界に存在しない事だよ」

 

「えっ?」

 

「もう、僕達の事を邪魔する存在はこの世界には居ないって事さ」

 

「そう、一応、礼は言っておくわね‥‥ありがとう」

 

なんと葉山君の願いは私と同じ様な願いで、あのクズはこの世界に存在しない様にする事だった。

なるほど、だからあれほど探してもあのクズの家が存在しなかった訳ね。

でも、葉山君のおかげであのクズの事を気にする必要は無くなった。

それは大きな収穫だった。

 

そして小学校に進学する直前、私は両親にアメリカへの留学を希望した。

前の世界では、葉山君のファンの女子からの陰湿な嫌がらせ、そして葉山君の裏切りがあった‥‥

例えこの世界がちょっと前の世界と異なり、葉山君が前世の記憶を引き継いでいると言ってもこの世界でもそれが絶対に起きないとは言い切れない。

私同様、葉山君も前の世界の記憶を受け継いでいるから、私が小学校時代にいじめを受けている原因を知っている。

その為、彼が虐めを防いでくれるとは思うが、どうも彼は人の目を気にする八方美人な所があるから、記憶を引き継いでいるとは言えそれでも不安材料であることに変わりはない。

由比ヶ浜さんがいれば心強いのだけど、生憎と由比ヶ浜さんは小学校、中学校は別の学区の学校なので、一緒に居る事は出来ない。

そこで、私は小学生時代の虐めと葉山君の裏切りを未然に防ぐため、私は両親に「将来の為、アメリカへ行き、今の内に見聞や知識を広めたい」と言ったら、両親は素直に私のアメリカへの留学を簡単に許してくれた。

葉山君は寂しそうだったけど、葉山君への不安がどうしても払拭できない。

それにどうせ高校になれば由比ヶ浜さんともまた会えるのだから、何も寂しくはない。

そして私は前の世界とは違う高校生活を夢に描きながらアメリカへと旅立った。

 




葉山の特典により、八幡は比企谷家ではなく、ラングレー・碇家に転生していました。
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