やはり俺の転生生活は間違っていない。~転生先は蒼き人魚の世界~ 作:ステルス兄貴
中間テストが終わり、テスト休みとなり、シュテル、明乃、もえかの三人が図書室にて、報告書を提出するため、缶詰になっている中、晴風のクラスメイト、ヒンデンブルクのクラスメイトはテスト休みを満喫していた。
なお、シュテル、明乃以外にもあのRat事件の事後処理として、横須賀女子海洋学校、ブルーマーメイド及び国土保全委員会がラットと呼ばれる生命体が引き起こした事件の全容解明及び背後処理にあたっていた。
また、再度のパンデミックがあった場合の対策は美波が在学している海洋医大で編成された特別チームの手腕によりワクチンと対策が確立されつつあった。
そんな中、横須賀市街地にある雀荘では‥‥
「チー」
晴風の機関科のクラスメイトが麻雀をしていた。
勿論、未成年なので、お金はかけていない。
「うーん‥‥様子がおかしいぞぉ~‥‥」
駿河が自分の手牌に違和感を覚える。
「そりゃまぁ、おかしいでしょう‥手牌一枚足りてないし‥‥」
「えっ?えっとぉ~‥‥」
広田の指摘を受けて、駿河は自分の手牌の数を数える。
すると、手牌は全部で十二個しかなかった。
「ほん″とだぁ″ぁ″―――!!じゅ″-に″ま″い″しかな″い″よ″ぉ″ぉ”――――っ!!」
両手で頭を抱えながら手牌を一個取り忘れたことを絶叫する駿河。
「アホだな、お前」
「配牌の時、一枚取り忘れたんじゃないの~?‥‥やっとリーチね」
伊勢がリーチとなり、
「うぅ~‥‥ぽ、ポン!!」
駿河は邪魔ポンをするが、
「和了れないのに何でポンするの!?」
手牌が一個足りない時点で、既に駿河の負けは決まっているのに、無駄な足掻きをしたことに若狭がツッコム。
「ツモ。1000・2000」
そんな事をしている間に広田が上がりとなる。
「タンヤオツモドラ1…固いな~」
若狭が広田の上がりの手牌を見て、呟く。
「地味でお堅い女さ!!」
伊勢としたら、リーチだったのだが、一歩間に合わず、先に広田に上がられてしまい、悔しそうに言う。
「今度余計な事を言うと、口を縫い合わすぞ」
伊勢の言葉に広田はギロッと睨みながら物騒なセリフをはく。
そして、ビリだった駿河には罰ゲームが執行され、広田が駿河の額にデコピンを食らわせた。
なお、この時、他の機関科のクラスメイト‥‥機関長の柳原と機関助手の黒木は、ゴールデンウイークの時と同じく船舶のエンジン修理のバイトに出ていた。
機関科四人娘が麻雀をしていた雑居ビルの一階には和菓子がテナントに入っており、その和菓子屋では、伊良子と杵崎姉妹がバイトしており、あかねは和菓子を作りつつ、自身の考案したスイーツの研究もしていた。
和菓子屋でバイトしているので、和と洋の合作、甘納豆エクレアを作るも、ほまれからは、
「あっちゃんは攻めすぎよ」
と、言われた。
偶然、店に訪れた宇田と八木に試食を頼んだ時、宇田は自身が苦手とする甘納豆が入っているとは知らずにあかねが作った甘納豆エクレアを食べてしまい、一口食べた時、発作を起こしたみたいに痙攣を起こし、顔は脂汗まみれとなり、その場に倒れそうになった所を八木に抱えられ、彼女に水を飲ませてもらった。
西崎と立石は開店と同時に銭湯へと行き、朝風呂を堪能していた。
入浴後は瓶牛乳を飲みながら、休憩スペースにて将棋をした。
勝敗は、やはり、立石の連敗だった。
野間と等松、青木の三人は自然公園に居り、野間は何故か電波塔のてっぺんに居り、そこから風を一身に感じており、
電波塔の下で等松は、
「マッチは陸に上がっても最高!!最高よ~!!」
そんな野間の姿をスマホで激写していた。
ただ、手を物凄く早く動かしていたので、ちゃんと野間の姿が撮れているのか分からない。
一方、青木は写真ではなく、野間の姿をスケッチブックにスケッチしていた。
青木は、野間が主役の漫画を仕上げて夏のビッグイベントでガッポリ稼ぐつもりだった。
この世界の日本は太平洋戦争を経験しておらず、GHQの占領政策を受けていないため、華族制度がまだ存在していた。
ただ、昔と違い、華族特権は随分と減ったが、それでも各華族の家には仕来りの様なモノは残っていた。
そして、万里小路の実家である万里小路家は華族の家系であり、その家の娘である彼女は、色々とやることがあり、万里小路はテスト休みを利用して、実家に帰省していた。
晴風水雷科の松永と姫路はアミューズメント施設のボーリング場に居た。
「そぉ~れぇ~!!」
松永がボーリングの玉を投げると、見事ストライクを叩きだす。
「外れないね~りっちゃん」
「ここのレーンコンディションは把握したからねぇ~」
次に姫路の番となる。
左右に一つずつピンが置いてある難しい状況。
「ふんっ!!」
姫路はそんな難しい中、ボーリングの玉を投げる。
彼女が投げた玉は右のピンに当たり、弾けると、左側のピンに当たり、全てのピンを倒すことが出来た。
「やるね~」
「でしょう~」
難しい状況の中、反動を利用してピン全てを倒した姫路に松永は称賛の声をあげる。
ボーリングをしている水雷科の横では砲術科のクラスメイトたちが、ダーツをしていた。
「流石水雷員‥‥恐ろしい角度で命中させるね」
小笠原が先程の姫路の投擲を見て、感心する。
「普通、あり得ないよ。アレ‥‥」
日置も姫路の当て方は常人離れしていると言う。
そして、小笠原がダーツを投げると、三発全て同じ的の箇所に当たる。
「やっぱ、ダーツじゃあ、光ちゃんには勝てないなぁ~」
「次ビリヤードやろうよ。台あるみたいだし」
武田がこの次はビリヤードをやろうと提案する。
「ここ輪投げないの?」
日置はこの施設に輪投げはないのかと言う。
どうやら、ダーツの成績は彼女がビリだったみたいだ。
「ないよね、普通」
「逆にあるとこ教えてほしいわ」
縁日じゃない限り、輪投げはアミューズメント施設には置いてはいない。
「うぅ~輪投げがないんじゃあ、陸にいるより船の方が楽しいかも」
どんだけ、彼女は輪投げが好きなのだろうか?
晴風応急員の和住は朝から横須賀市街地を走っていた。
そして、視線の先にある自販機の所で青木の姿を見つけた。
彼女はあの自然公園に居た後、野間、等松の二人と別れたのだろう。
「おっ?あれは‥‥おーい、モモー!!」
青木の姿を見つけた和住は彼女に声をかける。
「あぁ、ヒメちゃんお疲れっス」
「おっすー。何しているの?」
「創作意欲を刺激するものを求めて‥‥まぁ、散歩っスね。ヒメちゃんはランニングっスか?」
「うーん‥‥長いこと艦の上だったから、ちょっとね‥‥太った‥‥」
「あはは‥‥みんな言っているっスね」
和住は予定よりも長い実習で長いこと海上生活で運動不足が祟って、女子の悩み‥‥体重が増えたのだ。
その為、こうしてランニングをして減量を図っていたのだ。
青木の発言から、和住以外にも体重が増えているクラスメイトが他にも居るみたいだ。
「モモはどうなのさ?」
和住は、青木は太っていないのかと訊ねると、
「私は艦でも陸でも大して行動範囲は変わらないっスから」
「このインドア派めぇ~‥‥」
青木は艦でも陸でもちゃんと体重管理が出来ているので、太っていないとのことだ。
「おや?あそこにいるのは美波さんとドイツ艦の医務長さんじゃないっスか?」
「えっ?あっ、本当だ!!」
二人の視線の先にはセグウェイミニに乗った美波とウルスラの姿があった。
ウルスラは、あのネズミの資料の制作と美波と共にワクチン開発に携わったことで、現在、美波の助手のような立場で、時間がある時は美波と共に海洋医大の研究室に詰めていた。
「おーい!!美波さん!!ウルスラさん!!」
和住と青木は美波とウルスラに手を振る。
声をかけられた美波とウルスラは二人に気づき手を振るが、二人の手前にある路地へと入る。
「なぜ逃げる!?」
「ネタのにおいがするっス!!」
「なんだ?」
「えっと‥‥何かご用でしょうか?」
和住と青木は美波とウルスラの二人を確保した。
「いや‥別に‥‥」
「何か用があった訳じゃあ‥‥」
「なら?何故、こうなる?」
「いや、二人が逃げるからつい‥‥」
「いえ、私たちは元々、こっちの方に用があったんで‥‥」
「お二人も散歩っスか?」
「いえ、ちょっとした所用で外に出ていました」
「これから、研究室に戻る所だ」
「お二人は艦を降りても色々と忙しそうっスね」
「せっかく、会ったんだし、どこかでお茶でもしていかない?」
和住はこうして、出会ったわけなのだし、どこかでお茶でも飲んで行かないかと誘う。
「いや、今忙しいって言ったじゃないっスか」
先程、美波が 『この後、研究室に戻る』 と言ったばかりなのに、二人をお茶に誘う和住に青木がツッコム。
「いや、それぐらいなら問題ない」
「今日は少し余裕がありますからね」
「やったー!!」
「それならいいッスけど‥‥」
今日は忙しいと言いつつも、多少時間は余裕があるのでこの後、和住と一緒にお茶をするくらいの時間はあると言う。
それを聞いて、喜ぶ和住。
「それじゃあ早速‥‥っと、その前にシャワー浴びたいかも‥‥」
さっきまでランニングをしていた和住は汗臭いので、シャワーを浴びたいと言う。
「もぉ~自分から提案したのにそりゃないっス」
出鼻をくじかれたことに青木が冷ややかな目で和住を見る。
「じゃあ、私たちは先に店に入って待っているっス」
青木は和住がシャワーを浴びている間、先に店に入って待っていると言うが、
「うーん‥‥あっ、いや、待てよ‥‥みんなでお風呂に入ればいいんじゃない!?」
和住はみんなで銭湯に行こうと提案する。
「「「は?」」」
和住の提案に面を食らう三人。
「いや、ほら話はお風呂屋さんでもできるし…汗も流せて一石二鳥じゃない?」
「こちらには二鳥はないが‥‥?」
「お茶が消えている分、マイナスな気がするっス」
美波と青木は和住の提案に消極的であるが、
「銭湯‥‥いいですね。行ってみたいです」
しかし、ウルスラは日本の銭湯に興味があるのか行きたいと言う。
「ほら、ドイツ艦の医務長さんは行きたいって言っているし」
「うーむ‥‥まぁ、それで応急長の気が済むなら、付き合うのも吝かではない‥‥」
「ほんとに!?」
「此処に居ても時間の無駄だしな」
「やったー!!」
「ヒメちゃん、良かったっスね」
「モモも行くでしょう?」
「もちろんっス、これをネタに漫画を描いてイベントで販売するっス!!」
「いや、それはやめて」
「冗談っスよ」
(ホントかな?)
和住は本当に青木が言っている事が冗談なのか不安になった。
こうして四人は銭湯に向かった。
銭湯の番台で入浴料金を払う。
なお、財布を持っていなかった美波とウルスラの料金は和住が払い、青木は自腹だった。
脱衣所にて、青木と和住は普段の入浴と同じく、服を脱ぐ。
しかし、美波とウルスラはなかなか服を脱ごうとしない。
「あれ?みなみちゃん脱がないの?」
和住はなかなか服を脱がない美波に服を脱がないのかと訊ねる。
「じっと見るな。服が脱ぎにくい」
「あっ、そっか、ゴメン、ゴメン」
美波は服を脱がない理由を和住に話す。
そして、ウルスラの方は‥‥
「あ、あの‥‥」
「あっ、私の事は気にしなくていいっス」
青木は既に服を脱いでおり、身体にバスタオルを巻いている状態で、
「えっ?でも‥‥」
青木はウルスラの事をジッと見ていた。
青木はミーナが晴風に居た時、ミーナと一緒にお風呂に入る機会がなかったことから、外人の身体というモノに興味があったのだ。
「ほら、モモ。ドイツ艦の医務長さんも困っているから‥‥」
和住は青木の背中を押して、浴室へと向かう。
「じゃあ、私たち先に行っているっス」
「二人とも、早く来てねー」
「承知」
「ええ‥‥」
二人はそのまま浴室へと入っていく。
「「‥‥」」
(このまま帰ってもいい気がしてきた‥‥)
美波はこのまま服を脱ぐことなく、研究室に戻ってもいい気がしてきたが、助手のウルスラは銭湯に入りたがっているのみたいなので、帰るのは止めて、風呂に入ることにした。
「あっ、こっち、こっち」
美波とウルスラに気づいた和住が声をかける。
「みなみちゃん、背中を洗ってあげる」
和住は美波の背中を洗ってあげると誘う。
「じゃあ、私は医務長さんの背中を洗ってあげるっス」
「自分で出来る」
「わ、私も‥‥」
和住と青木は美波とウルスラの背中を洗ってあげると言うが、二人は自分で洗えると言う。
「まぁ、まぁ、折角一緒に入っているんだし」
「そうっスよ。日本の言葉に『裸の付き合い』って言葉もあるッスよ」
そう言って、和住は美波の背中を、青木はウルスラの背中を洗う。
「痒い所はないですか~」
「皆無」
「医務長さん白くて、綺麗な肌っスね‥‥」
「えっ?そう?」
「はい。やっぱ、外国の人は、私たち日本人とは一味違うっスねぇ~」
青木がウルスラの背中を洗い終え、ふと隣の美波と和住を見ると、
「ふむ‥‥こうしてみると、二人ともどことなく似ているっスね~‥‥なんだか本当の姉妹みたいッス」
「モモ‥‥眼鏡外しているでしょう?」
髪の毛を下ろしている和住と美波が似ていると言う青木だが、和住は眼鏡を外しているので、よく見えていないだけだろうと言う。
「いやいや、みなみちゃんはまだ成長期だから可能性があるけど‥‥ヒメちゃんは年上としてどうにかならなかったっスか?」
「うるさいよ!!」
青木は和住の胸の無さを指摘してきた。
「‥‥」
ウルスラも自分の胸を見る。
彼女の胸もクリスや姉同様、慎ましい方である。
「くっ‥‥」
ユーリやミーナの胸を思い出し、人知れず顔を歪めるウルスラだった。
髪と身体を洗い終えた四人は、湯船に入る。
湯船に入っていると、
「そういえば、みなみさんに聞いてみたいことがあったスよ」
「?」
青木が美波に話しかける。
「みなみさんは何で晴風に乗ることになったっスか?」
青木は大学に飛び級している美波が何故、高校の学生艦に乗艦したのかを訊ねる。
「あぁ~私もそれは気になっていた。自分で言うのもなんだけど、晴風クラスって他の艦のクラスに比べると優秀とは言えないじゃん。みなみちゃんなら、もっと上のクラスかと思っていたから‥‥」
実際に飛び級して大学に通っているぐらいの秀才なのだから、晴風よりも、もっと上のクラスに配属されていてもおかしくはなかった。
「ふむ、私が艦に乗ったのは海洋実習の単位が必要だったからだ。他の者とは目的が違う。単位がもらえるなら、イカダでもよかった」
美波は確かに飛び級した秀才であったが、中学も高校もショートカットしたので、海洋実習を経験しておらず、海洋実習の単位を取得していなかったので、今回、横須賀女子の新入生の海洋実習の単位を獲得するため、一時的に横須賀女子へ出向という形で、晴風に乗艦したのだ。
「「「‥‥」」」
「‥‥とにかく、晴風に乗ったのは偶然だ」
(あっ、今の冗談だったスね)
(みなみさんが言うと、冗談に聞こえない)
「そうだったんだー」
青木は『イカダでもよかった』と言う例えは美波なりの冗談だと思った。
しかし、和住は冗談に聞こえなかった。
「でも、みなみちゃんが乗っていたから今回の事件も解決したみたいだし、不幸中の幸いってやつかなー」
「そうっスね」
「私もそう思います。まさか、あの場でミナミさんと出会えるとは思ってもみませんでしたから、少なくともイカダよりは良かったんじゃないですか?」
「‥‥否定はしない‥‥私も、晴風に乗れてよかった‥とは思っている」
「みなみちゃんがデレた」
「これは中々レアっスね」
「ミナミさんの意外な一面を見れました」
「も、もう上がるぞ」
美波は照れ隠しで湯船から出ていく。
脱衣所にて、和住が美波の髪の毛をドライヤーで髪を乾かし、
「みなみちゃん、コーヒー牛乳でよかった?」
「うむ、感謝する」
美波にコーヒー牛乳を渡し、和住自身は瓶牛乳を腰に手を当てて飲む。
「ぷはぁ――――っ!お風呂上りはこれで、決まりでぃ!」
「マロンちゃんみたいっスね」
和住の言動が柳原と被って見えた。
美波は両手でコーヒー牛乳の瓶を持ち、チビチビとコーヒー牛乳を飲む。
「ん?なんだ?」
その様子を和住がジッと見ている。
「天才はお風呂上りの牛乳も腰に手を当てずに飲むんだなぁ~‥‥」
「なんでもかんでも天才に結び付けるのはどうかと思うっス」
和住の言葉にツッコム青木だった。
夕方、横須賀のどぶ板通りにあるレストランにて、晴風の航海科メンバー、鈴、内田、勝田、山下が夕食をとっていた。
航海科メンバーは横須賀カレーを食べながら楽しそうに談笑している。
「そう言えば、ドイツ艦の砲雷長さんの声って航海長とそっくりだよね」
「あぁ、赤道祭で初めて会ったけど、ホントそっくりでビックリした」
山下と内田が鈴とユーリの声がそっくりだと言う話題を出した。
「知床さんも驚いたんじゃない?」
勝田が鈴自身に聞いてみる。
「う、うん。事前に碇艦長から聞いていたけど、実際に会って私もビックリした」
航海科メンバーが鈴とユーリの声が似ている事を話題にしていると、
「最近、シュテルン、付き合いが悪くない?」
店の出入り口から鈴の声がしてきた。
航海科のメンバーがギョッとして店の出入り口を見ると、件のユーリとクリスが入ってきた。
「まぁ、まぁ、シュテルンも艦長としての立場から何かと忙しいみたいだし‥‥」
「でも、夜は寮に戻っているわけだし、ちょっと、話ぐらいは出来る筈じゃん」
クリスがユーリを宥めるも、最近、シュテル一緒の時間が取れないことに愚痴っている。
「ホントに、鈴ちゃんの声だね」
「う、うん‥‥」
改めて生のユーリの声を聞いて、益々鈴とユーリの声が似ていると思った。
「およ?そこに居るのは‥‥」
すると、二人は航海科メンバーに気づいた。
「みなさんも夕食?」
「は、はい」
「そうです」
「あっ、もし、よろしければ、一緒にどうです?」
内田がクリスとユーリを同じテーブルに誘う。
「えっ?いいの?」
「はい、私たちも色々とお話をしたいですから」
「それじゃあ、失礼して‥‥」
クリスとユーリは、航海科メンバーと相席させてもらった。
メニュー表を見て、クリスは無難に航海科メンバーと同じ横須賀カレーを頼み、ユーリは、
「えっと、このホット激辛スペシャルカレーを下さい」
「「「「えっ?」」」」
航海科メンバーは、ユーリが注文したカレーを聞いて唖然とする。
「だ、大丈夫ですか?」
「なんか、聞いた話ですけど、そのカレー、マジでヤバいぐらい辛いみたいですよ」
「まぁ、ユーリなら、大丈夫じゃない?」
鈴と勝田は食べられるのかと心配するが、クリスは大丈夫じゃないかと楽観視していた。
やがて、ユーリが注文したカレーがくる。
「うわぁ、湯気だけでも目が痛い」
「辛いと言うよりも怖いぞな」
「ルゥーも普通のカレーの色じゃなくて、真っ赤っかだし‥‥」
「本当に大丈夫なんですか?」
航海科メンバーの心配を他所にユーリはスプーンにカレーを掬うとそれを口に運ぶ。
四人はドキドキしながらユーリの反応を伺うが、彼女は平然とした様子で二杯目を口に運ぶ。
「あ、あれ?なんか平気そう‥‥」
「噂は間違っていたのかな?」
「食べてみるかい?」
ユーリは、四人の一口食べてみるかと訊ねる。
四人はユーリが平然とした様子で食べている事と興味本位から一口分けてもらう。
パクっ×4
ユーリから分けてもらったカレーを食べる四人。
すると、カレーを口に運んだ姿勢から無言になる四人。
顔はみるみるうちに真っ赤になり、
「「「「うぎゃぁぁぁぁー!!」」」」
漫画・アニメならば口から火を吹いているかのようなリアクションをとる。
そして、コップに入っていた水を飲み干すも、それでは全然足りない為、店の人にお冷の追加を頼んだ。
「大げさだなぁ~」
カレーの辛さに四人が苦しんでいる間もユーリは平然とした様子でカレーを食べていた。
((((な、なんでこの人は平気なんだろう?))))
四人は平然とした様子でカレーを食べているユーリを見て、そう思った。
舌のビリビリするような刺激を大量の水で冷やすも、舌が痺れて残りの自分たちのカレーの味がわからないまま、航海科メンバーの夕食が終わる。
舌の調子が悪いのでデザートのアイスを頼み待っていると、店にあるテレビではニュース番組を映していた。
『では、中継が繋がっているので、現地に繋いでみましょう。現場の栗林さん』
画面はスタジオから中継現場へと繋がる。
『あーあーあえいうえおあお‥‥』
すると、中継が繋がっているのに、リポーターは中継せず、発声練習をしている。
『栗林さん?栗林さん?』
『えっ?あっ、は、はい!!栗林の現場です!!あっ、違った!!現場の栗林です!!』
中継が繋がっているのを知らず発生練習をしていた中、中継が繋がっていることを知り、テンパっていたのか、セリフを間違えるリポーター。
「この栗林って人もなんか二人と声が似ているよね?」
「えっ?そうかな?」
「似ているかな?」
ユーリと鈴はそんなに自分とテレビ画面に映るリポーターの声が似ているか?と首を傾げる。
「でも、なんか親近感があるなぁ~」
しかし、鈴は画面の中でオロオロしながらも中継しているリポーターに親近感が湧く。
不器用ながらも必死に仕事をしている姿勢には共感できるのだ。
明乃やシュテル、そして晴風のクラスメイトたちと出会い、あの航海を体験し、鈴自身も精神面で入学当時と比べると成長していたのだった。
そして、デザートのアイスが来たのだが、デザートでもユーリは晴風の航海科メンバーの度肝を抜く注文をして、バケツパフェなる巨大な容器にアイス、クリーム、フルーツ、ウェハースがてんこ盛りになっているパフェを頼み、それを食べていた。
「あ、あれだけ食べてよく太らないなぁ~」
鈴はバケツパフェを食べているユーリの体重に疑問を感じていた。
「ええ、それが不思議なのよねぇ~体内に入ると、縮小されて養分、全部があの胸に蓄積されているんじゃないの?」
そこを、クリスが補うかのようにユーリは不思議といくら食べても太らないことを鈴に教える。
ただ、ユーリの胸に関して発言しているとき、クリスの顔は歪んでいた。
「航海長も隠れ巨乳だから、ドイツ艦の砲雷長さんみたいにいけるかもよ」
山下が冗談半分に鈴もバケツパフェを完食できるのではないかと言うと、
「貴女もか!?」
「ぴぎゃっ!?」
鈴が隠れ巨乳だと知り、クリスは思わず、鬼のような形相で鈴を睨んだ。
クリスの鬼のような形相に前に鈴は当然、涙目となった。
胸に関する話でクリスの機嫌が一時、著しく悪くなったが、その後はそれぞれの艦の出来事やクラスメイトの話で盛り上がったメンバーたちであった。
航海科メンバーも一個上ということで、あまり交流のない留学生組とのこの時間を楽しく過ごすことができた。
OVAでは、晴風航海科メンバーは、どぶ板通りのレストランで夕食を摂る際、晴風クラスが解散するかもしれないと言うことから、お通夜の様な雰囲気でしたが、この作品の世界では、晴風は沈没していないので、和気藹々とした空気となっております。