上鳴の上位互換TSキャラがヒーローになる話   作:レベルアッパー

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登校

 

 

 

 

 

おそらく今日か明日に入試の結果が届くはずだ。入試の書類にもそう書いてあったし。

 

あの巨大ロボットを撃ち抜き、気を失っていた。目が覚めたのは雄英高校の保健室、リカバリーガールという保健の先生に介抱してもらっていた。

 

リカバリーガールの個性で気を失っている間にある程度直してくれたらしい。らしいというのも、特にひどかった両足と右腕は包帯でグルグル巻きにされており患部を、見れなかったからだ。

 

「全く、どうしてこうも自分の体を傷つけるのかねぇ……」

 

とリカバリーガールは言っていた。あの感じからすると、他にも体を傷つけていた人がいたのかもしれない。

リカバリーガールがいうには、傷は残らないそうだ。

 

そんなこんなで帰宅、その後風呂に入って速攻で眠りについた。

 

ちなみに、風呂場で傷を確認した時にはアザくらいになっていたので、治癒系の個性はすごいと思いながら瞼を閉じた。

 

 

 

翌日、入試テストの筆記試験の自己採点も終え、いつも通り学校へ通う日々を送った。

 

そしてついに雄英高等学校と印字された封筒が家に届いた。

 

母は仕事場に泊まり込み、父は海外に単身赴任。両親は共働きなので、一人っきりの家を走り抜けて急いで自室の椅子に座る。机に封筒をおいて一度深呼吸をする。

 

いざ、封筒を開けてみれば中には一回り小さな封筒と書類、そして拳ほどの大きさの中央が窪んだUFOのような機械が入っていた。

 

(確かこれは、この前発表された新型の投影機だった気がする)

 

そんなことを考えながら投影機を机の上に置くと

 

『わーたーしーが投影された!!』

 

「うわ、オールマイトだ!」

 

そこには黄色のスーツを見に纏ったナンバーワンヒーロー、オールマイトが映し出されていた。その肉体、風貌。ただの映像であるはずなのにとてつもない迫力があった。

 

どうやら今年から雄英高校の教師として働くことになったらしい。そのことのお知らせとともに今回こうして結果発表をしているとのこと。

 

『結果から発表しよう……合格さ!!筆記試験は申し分なし!実技試験はなんと98 P(ポイント)!今年の首席は君さ、上鳴少女!!』

 

「やっっった!!」

 

思わずガッツポーズを取るも、話にまだ続きがあるかもしれないことに気がつくとオールマイトの次の言葉を待った。

 

『筆記試験についてはこちらから伝えることは何一つないさ。実技試験についてだね。今回の試験で我々が見ていたのはただの実力、ロボット()の撃破数によるポイントのみにあらず!審査員による救助活動に対して与えられるレスキューポイント!君の98Pのウチの実に28 P(ポイント)!惜しかったね、あと二点で雄英初の3桁だったんだがね……とはいえ、先ほどの伝えた通り首席での合格だ、雄英で君を待つ!!』

 

そう言い切ると映像は消えた。

 

「受かったんだ……私…………」

 

 

 

「やったぁぁああ!」

 

 

 

電子の叫び声が一人だけの家に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「似合ってるわよ」

 

「えへへ」

 

電子の母、充鈴(みすず)。乾電池程度を充電できる程度の電気を生み出すことのできる個性《充電》を持ち、子供を産んでから研究したいことがあると大学に入った女性。因みに大学は卒業しており、今は研究員として働いている。

 

家から遠く離れた学園都市というところで働いているのだが、娘の合格の知らせを聞くや否や、溜まった有給を使うため有給届けを上司に叩きつけると飛行機で帰ってきたのだ。

 

その日の晩御飯は回らない寿司だった。

 

「行ってきます」

 

「ええ、行ってらっしゃい」

 

そう言って、電子は玄関のドアを開けて、新しい一歩を踏み出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっきいわねぇ……」

 

電子の目の前には壁と言われても差し支えないほど大きなドアがそびえ立っていた。

 

国立雄英高等学校ヒーロー科1年A組に在籍することになった電子。時間に余裕を持って登校したわけだが、教室に入ろうと思ったら前述にもあるように大きなドアがあった。

 

「そっか、個性で大っきい体の人でも入れるようにか」

 

ドアに手をかけたところで

 

(こういうのは第一印象が大事か……)

 

いや、自然体で行こう。変に取り繕っても後で絶対バレるしそのほうが面倒だ。

 

「よし」

 

がらがらがら

 

室内を見てみると早めに来たおかげか半分くらいしか来ていなかった。

 

「えーと」

 

事前に送付されていた資料で座席を確認する。座席は出席番号順になっており、電子の席は廊下側から2列目の前から2番目の席だった。

 

スクールバックを机の横にかけると取り敢えず落ち着くために椅子に座る。

 

「上鳴、さん?」

 

ふと左隣から声をかけられた。

 

横を見ると見覚えのある細い管が見えた。それは耳たぶまで続いていた。

 

そう、実技試験中にロボットに後ろから襲われそうになっていたところを助けた女子生徒だった。

 

「受かってたんだね!あ、私は上鳴電子!」

 

「あの時は本当にありがとう!うちは耳郎響香!あー、同い年だしタメ口でも大丈夫?」

 

「全然大丈夫だよ。むしろそっちでお願いしたいくらい。これからよろしくね〜」

 

「ありがと〜」

 

耳たぶ少女改め、響香はうれしそうにはにかんだ。

 

「自己採点何点だった?」とか「ヒーロー科って、何やるんだろうね」とか話してやいる間に次々と生徒が集まって来た。

 

特に教室に着くなり机に足乗っけて踏ん反り返っている彼。それを見るやすぐに注意に入る真面目な男子。の二人がうるさかった。こう、初めての高校生活で緊張とかないのだろうか。

 

最後に入って来たのは緑のもじゃもじゃヘアーにそばかすの男子生徒とショートボブの髪をした女子生徒。

 

いや、よく見たら最初にあげた三人。

 

(入試試験当日に怒鳴ったり怒鳴られたり見ればわかるのをいちいち確認したりしてた三人だ。)

 

そんなことを考えていると

 

「お友達ごっこがしたいなら他所へ行け……ここはヒーロー科だぞ」

 

声のした方を見る。緑髪とショートボブが立っていた教室の入り口、そこにあったのは小汚い人相をした男性が入った寝袋だ。男性はそのまま懐からウィダー的なゼリー飲料を取り出すと一瞬で飲み干した。

 

全員に席に着くように促すと、寝袋から出てきて教壇に立った。

 

「はい、静かになるまで時間がかかりました。時間は有限……君たちは合理性に欠くね。あぁ、担任の相澤消太だ。よろしくね」

 

これが……担任?

 

雄英高校の教師はプロヒーローと聞いたのだが、こんな格好のヒーローを電子は知らない。

 

「早速だがこれ着てグラウンドに出ろ」

 

もぞもぞと寝袋を漁るとその中から雄英の体育着を取り出した。

 

まさか先生の、男性の人の人肌で暖められたものはないよな、と思いながら机の横を見れば体育着が入った袋が掛けてあった。

 

それを確認すると安心するとともにため息をついた。

 

他の生徒が先生に質問していたが、入学式等は無し。行動は合理的に。とのこと。

 

何をするのか伝えられてはいないが、取り敢えず更衣室に急ぐことにした。

 

 

 

 

 

 







読んでくださりありがとうございます。

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