National Socialism again 作:YJSN
かれこれ歩き始めてから二、三時間が経った。
が、未だに何も建造物らしき物や人などは見かけない。
「しっかし...人っ子一人いないってのはどうゆうことかな...。」
この世界は僕らがいた世界とは違う。それを改めて認識した。
あの図体だけ馬鹿デカイクソのような劣等人種がいる時点で相違点がある。
それに、見た所ぼくを食べようとしていた。ただの生存本能に囚われたゴミと同然だ。
「この世界の人々は絶滅したのかなんなのか。あの巨体の人種に。」
それでは私の言語を介する者はいない。同志も募えずただただ親衛隊員と共に亡霊のように彷徨うだけになってしまう。
「...それだけは嫌だ...。」
我々と、かつての 先の大戦の敗者であった我々と同様の同志がいるはずだ。あの劣等人種共に自分と同じように捕食されようとしている同志が。
同志のために、何一つ諦めることなく再び国家社会主義 " Natinal Socialism " をこの世界に広めるのだ。
国家社会主義は必然的に広がるのではない。能動的、受動的な人種の多い国家ではまず生まれない。
だからこそ我らがいる。
より強力で、より強固な優等人種によって導き出された法則を広めるのだ。
そう強い想い " 意志の勝利 " を馳せながら、足を進める。
ザァー...
ザァー......
そうして更に一時間後、雨が降ってきた。濡れるのは慣れたことなので放っておく。
それよりも大切なことは、森らしきところが見えてきた。
ズンッ...
ズンッ...
それに大きな地響き...奴らの物と思われる音が多くなってきた。人の声らしきものも微かに聞こえる。
「...行くか...。Shutrm Krupp。」
そう親衛隊に言うと、ぼくは走り出す。
強く地面を蹴り、常任ではまず登れない太く大きな木々を飛び飛びで渡っていき、時速88kmの中親衛隊も同じようにしてついてくる。
段々と音のする方向へと近づくと、今度は剣の切れる音から悲鳴に変わりつつあった。
______ぁ...ぁぁぁ...________!!
_______ぇ...た...けて...__________!!!!
闘争の開始から絶望の終焉へと向かって行くのがわかる。
ぼく自身も味わったもの。
1945年4月29日に大戦を生き残れず無残に切り裂かれた日のこと。
...その話は今は置いておこう。
そう心を入れ替えて、彼ら、腰に何かをつけて宙を飛び回っている連中を観察する。
一見あのデカブツに対抗できているように見えるが、その機動戦は大雑把であり、奴らがたとえ生存本能に囚われたとしても反応できるレベルの遅い機動戦 いや、自らを消耗させるためだけの遅滞戦術にしか見えなかった。
みるみるうちに犠牲者は増えていき、奴らが捕食して行く速度も速くなった。
「くっ...撤退!!撤退だ!!!!」
そう司令が飛ぶと、現場の者たちは一斉に馬に飛び乗り、逃げ出した。
「...この武器はなんなんだ...?」
そう死体の一つから装備を剥ぎ取る。
ボンベにワイヤー...ショットトラップかなんかか...?
と、頭を傾げる。
先ほど彼らは短剣を使っていた。後進的な時代遅れのものだと思ったんだが、どうやらこの機械だけは凄まじく高度だ。それこそ、一次大戦レベルにまでは発達している。
このワイヤーの引っ掛けが木々や家、障害物に捕まり、ボンベのガスで前進すると言うことだろう。
我らが親衛隊の機動戦には及びはしないものの、完成すれば国防軍にでも導入して歩兵機動戦という夢を成功させてみたいな。
そんな興味が湧いて出てきて、ぼくは彼らをつけることにした。後ろの親衛隊員はぼくの駒に過ぎない。返答を待つ必要もない。
ぼくの生存に大いに役立ってもらうことが彼らなりの本望だろう。
そう思いながら、ぼくは彼らの後を追う。ぼくらの周りには黒い空間の歪みを生まれさせて、奴らからは見えないように。直ぐ後ろをつける。