National Socialism again   作:YJSN

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試作兵器の運用試験

住民の避難が完了し、国防軍と後衛部隊は壁の内側へと撤退した。

 

前線の撤退通知である鐘も鳴ったはず

 

これで全員が回収できた

 

 

 

と思った

 

 

 

壁の中で、不自然な点に気が付いた。

 

訓練兵の奴ら 主に中衛部隊の連中がいなかった。

 

他を当たって探したがどこにもいなかった。

 

 

 

 

「...もしかして...。」

 

まだ壁の外に取り残されている可能性が出てきた。

 

そうとするとまずい。

 

アルミンにぃにだっているし...。

 

生憎国防軍や親衛隊はあの超大型巨人の出現に備えて壁の防衛任務に就いてる。

 

贅沢は言えない。ぼく1人で行こう。

 

(それと...。)

 

「ちょっと、そこの親衛隊員、アレ 持ってるよね?

 

貸して。」

 

そう言うと彼は無言でその小型の銀色のアタッシュケースを差し出してくる。

 

「よしっ...じゃぁ、いってくるよ。壁の中のことは任せたよ。」

 

ぼくはそれを片手に再び壁をよじ登っていく。

 

「おっ、おい!お前!どこに行く気だ!おい!!」

 

そう周りの駐屯兵達はいうがぼくは構わず壁の上まで登りきり、

 

大きく足を出して向こう側へと飛ぶ。彼らの元へと急ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時速88kmで航行していると、ある一角に人集りが出来ているのが見えた。

 

アタッシュケースを壊さない様に気を付けながら近づいてみる。

 

 

 

 

ガザァァァァァァ

 

 

 

そして着地...できた。今度は失敗しなかった。

 

その代わり屋根の瓦が数個犠牲になった擦り音が聞こえたが。

 

周りを改めて見返してみると、やはり訓練兵の連中だった。

 

周りからは少しだけ注目を浴びたが、彼らは再びその目を下に向け、絶望の中に瀕していた。

 

「...ぇっと...なんだこれ...。」

 

ぼくは状況があまり掴めなかった。

 

着いたら早々みんな顔を暗くしてお迎えしてくれてる。

 

逃げもせずに。

 

「えっと...なんでみんなこんなところにいるの?」

 

そう聞いてみるが 誰も答えない。

 

ぼくの格好は正規軍である駐屯兵の物とは違うため少し目立つが親衛隊の設立の情報などはすでに国中に広まっているため、

 

またその実態も得体の知れないものとして知られているためあまり気にかけられることはなかった。

 

駐屯兵へのせめてもの援護兵のようなものだと認識されているだろう。

 

「うぅーん...あっ。」

 

困っている中、ふと向こうを見てみると、お目当の人が居た。

 

「アルミンにぃに〜っ!」

 

強く足で地面を蹴って彼の元まで行く。

 

「アルミンにぃに、どうしたの?なんで壁内に行かなかったの?」

 

そう聞けども、彼は何も答えない。

 

まだ絶望しているのかな...?

 

そう思ったが、左の方に固まってる集団のうちの1人 金髪の男が

 

「...見りゃわかるだろ。ガス切れ寸前なんだ、みんな。

 

だが補給所は見ての通り、巨人がうじゃうじゃいやがる。

 

だからこんなことになってんだよ。」

 

と、彼らの目には絶望などは映らず、常にその一身に生存をかけた目で語ってくる。

 

「...ふぅーん...そういえば君らはガスに頼ってたもんね...。」

 

立体機動装置の要である高濃度の圧縮されたガスが必要不可欠だったということか。

 

肝心のそれが今にも切れそうなヤバイ状態。

 

 

 

そうやって思案していると、

 

 

 

 

 

ガァァァァァァ

 

 

 

 

そう立体機動装置の独特な駆動音と共に1人の兵士が降り立ってきた。

 

「アルミン...。」

 

そう言いながらその兵士はぼくの目の前にいる子に話しかける。

 

「今度は誰... 」

 

そうぼくは言おうと顔を上げると、

 

「...どいて...。」

 

「...久しぶりだね、えっと...ミカサ、だっけ。」

 

左手に持つファイルを見ながらいつもエレン、アルミンと一緒に居た子供だと確認する。

 

なぜかぼくとの仲はあまり良くない。

 

ぼく何かしたっけ...?

 

ミカサはそのままアルミンに近寄って、

 

「アルミン、怪我はない?大丈夫なの...?」

 

そう聞くと、彼は小さく頷いた。

 

ミカサは屈むのをやめ、立ち上がると、

 

 

 

 

「...エレンはどこ? アルミン。」

 

 

 

そう問いかける が、答えは帰ってこない。

 

 

 

「アルミン...?」

 

 

そう再度問いかけると、

 

彼はその涙で濡れた顔を上げて、

 

最悪の状態であることを伝えた。

 

それがわかったのか、ミカサはその目を途端に暗くし、暗黙の中彼の死を悟ったのだった。

 

 

 

 

その後、アルミンは第34班の戦死を報告した。

 

ぼくは特に何ら感慨もせずにぶっきらぼうに、

 

「...アルミン、それは本当?」

 

そう聞くと、彼は頷いた。

 

「第34班...一名除き戦死と...わかった。」

 

そう左手に持つファイルに書き込みながらぼくは適当にあしらう。

 

それ以外、することもないのだから。

 

ぼくは仕事を一旦終えると一度向こう側で手に持ってるアタッシュケースの作業を続けさせてもらおうとここから少し距離を取る。

 

彼のことはミカサに任せよう。

 

 

 

 

 

 

 

そうして少し作業を続けていると、なぜかミカサが何かを言い始めた。

 

よく聞いてなかったので詳細は知らないけど、

私は強いとか君達は腕も上がらないとか言い出した。

 

待ってくれ、あと少しで、

 

グッグッ

 

ピンを押し込みながら時間を請うていると、

 

カチャンッ

 

そう上手くハマった音が聞こえて、安堵する。

 

そしてアタッシュケースの中身を取り出すと...

 

「やっとだよ...少し厳重にしすぎじゃないか...。」

 

そう言いながらそれを取り出す。

 

周りの兵士はいつの間にかなぜか物凄い闘争心で溢れており、補給所に行ったけど。

 

本当に何があったのか。

 

ぼくは気にも止めずにアタッシュケースを放り投げて中身を全部服の内ポケットに入れる。

 

これは一年程前から試作していた中身の物質は言えないけど、所謂毒ガスだ。

 

皮膚を焼き切り、溶解する液体を周囲に噴射し、細胞の再生活動を停止させる最も危険なモノだった。

 

今回はそれをスモークグレネードと同様の様にして使う。

 

あいつら劣等人種に対して効果があるのかどうかを確かめるために。

 

彼らが補給所に行くならぼくもそれを補助する。

 

彼らの生存を助ける。

 

それがぼくの任務だし。

 

ぼくはそう思い、強く地面を蹴り、彼らにも劣らない速度で航行し始める。

 

そしてぼくは懐のアブナイモノを劣等人種共に吹きかけるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果から言えば良かった。悪くはない。

 

道中ミカサがガス切れを起こすことがあったがぼくは訓練兵の中でも優秀なるジャンという奴についていきながら、例の毒ガスを使用した。

 

効果は絶大的で、殺傷目的ではなかったため視覚や指など少しの損傷だったがそれでも我々が流れるには十分な効果であった。

 

もちろん、後ろから来る奴らにその周辺に触れるなよとは言っておいた。

 

家屋や地面ですらジュッという音と共に溶けて行くのが見えたし、使えるのはほんの一握りの場面だけだなと思いながらぼくは補給所に向かう。

 

 

 

 

 

 




ミカサ姉貴の演説カットしてしまった(手抜き並感)


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