ダンジョンに死の恐怖がいるのは間違っているだろうか。(仮) 作:TE
今回はいつもより少し長めです。
そして、これで怪物祭編は終了です。
それでは本編をどうぞ!
第20話~仲間と特訓の成果~
俺、ハセヲは間一髪のところ花型のモンスターからレフィーヤを救い出すことが出来た。
今のはマジでやばかったな・・・。
「おいっ!意識があるなら首を動かせ!」
「・・・・・・」
俺の呼び声に弱々しく首を縦に振るレフィーヤ。
俺はスキルで
「
「んぐっ・・・」
レフィーヤは
これでしばらくすれば治るはずだ。
「よし。・・・お前らさっきからなに手こずってんだ!」
「この花固いんだよ!打撃はほぼ効いてないみたい!」
「私達、武器を持ってないから足止めが精一杯よ!」
だからさっきから素手で戦ってたのか。
だったら俺も参戦するしかないな。
「お前はここで休んでろ。いいな?」
「わ、私は大丈夫です!戦えます!」
「だが・・・」
少しでも動けるのであれば自力で退避してもらいたい所だが・・・。
「・・・分かった。無理はすんなよ」
「はい!」
俺はレフィーヤが参戦する事を承諾した。
今のレフィーヤはダメと言っても聞かず、勝手な行動を起こしてしまうだろう。
だったら、見えるところで動いてもらったほうが安心できる。
それに最強の助っ人も到着したようだしな。
「ごめんなさい。遅くなりました」
「アイズさん!」
他の場所でモンスターを倒していたアイズが参上。
レフィーヤが明るい表情になったと思ったら、すぐに眉間に皺を寄せている。
何か思う事があるのだろうが、今はそれを考えている場合ではない。
「アイズ!加勢は必要か?」
「大丈夫、です!」
アイズは俺の問いかけに答えながらモンスターへと突撃。
レイピアで花の根部分を切り裂いてあっという間にその場を沈めてしまう。
あれが、【剣姫】と呼ばれた冒険者の実力か・・・やっぱり強い。
俺がアイズの本当の実力を見てその強さを再認識していると、急に地面が揺れだした。
『シャアアアアアアアア!!』
そして、地面から花型モンスターが5体現れる。
あの1体だけじゃなかったのか!
「【
アイズがすぐにモンスターに斬りかかろうとした瞬間だった。
「あっ・・・」
「アイズさんのレイピアが折れた!?」
どうやら無理をさせすぎたようで、レイピアが根元から折れてしまう。
なんでこうもタイミングの悪いところでそうなるんだよ。
「くっ!さっきからアイズばっかり狙っているわね!」
「コラッ!こっちを向けー!!」
「っ!」
ティオネとティオナがさっきから攻撃を繰り出して気を引こうとしても何故かアイズにしか襲い掛からないモンスター達。
一体どうなっているんだ?
「そうか!魔法よ!アイズ!こいつら『魔力』に反応しているわ!」
魔力?
確かに、前線で戦っていたティオナとティオネは無傷なのに、魔術師のレフィーヤが怪我していたのはおかしいと思っていた。
アイズの【
「だったら・・・」
アイズは
負傷者であるレフィーヤからモンスターを遠ざける為だろう。
「っ!?」
その途中でアイズがいきなり上へと移動方向を変える。
いきなりどうしたかと思えば、その先の物陰に子供がいたのを俺の目で確認できた。
なんで、あんな所に居やがるんだよ!?
「レフィーヤ!お前はあそこにいる子供の救助に向かえ!」
「えっ、でも・・・」
「時間がねえ!急げ!」
「あ、ハセヲさん!?」
俺はレフィーヤの言葉を無視して、屋根から屋根へと飛び移るようにしてアイズの方に向かう。
アイズの今の状況は最悪で、ティオナとティオネで1体ずつ相手をしているが、残り3体がアイズを襲っている。
しかも、地面へと追い込まれ、
「糞モンスター!こっちを見やがれ!」
「えっ!?」
「2体の花がハセヲの方に行ったわ。どうして!?」
ティオナとティオネが相手していたモンスター達が俺の方へと襲ってくる。
予想通りだ。
勿論、俺の罵倒でモンスターを怒らせたとかそういう訳じゃない。
俺が所持していた換金していない魔石(x99)が入った袋を取り出していたからだ。
魔力で反応するならば魔力を帯びている魔石にも反応するのではないかという推測が当ったようだ。
アイズを襲う3体は、アイズの魔力に夢中で誘き寄せる事は出来なかったが、ティオナとティオネの手が空いた。
「ティオナ!お前らはアイズを助けろ!この2体は俺が引き付けておく!」
「わ、分かった!」
「すぐに片付けるから無茶すんじゃないわよ!」
ティオナとティオネはアイズを助ける為にすぐに動き出した。
さて、俺は2体のモンスターを相手にしないといけない訳だが・・・。
「シャアアアアアアア!!」
「おっと!」
モンスター達が大きな口を開きながら俺に襲い掛かる。
俺は避けながら大鎌を取り出すと茎の部分に向かって思いっきり振り抜いた。
「シャアアアアアア!」
「ちっ!結構硬いじゃねえか!」
屋根から地面へと降り立った俺は舌打ちをしながら悪態を吐く。
大鎌は茎の半分くらいは斬れたのだが、俺の力が足りていないようで切断までは至らなかった。
しかも、モンスターを活発させる要因となってしまい、狂暴さ跳ね上がってしまう。
「なら、これでどうだ!」
「シャ!?」
「【初伝・鎧断】!」
大鎌から大剣へと切り替え、アーツを発動する。
モンスターの口の中へと大剣を突っ込んで上顎を切り裂き、止めに下顎に向かって思いっきり大剣を振り抜いた。
これで残りは1体。
だが、その残り1体の姿が見当たらなかった。
どこに行きやがった?
「・・・っ!?」
俺が気づいたときには既に遅かった。
モンスターは地面に潜っていて、俺の真下へと移動しており、地面から大きな口が現れた。
咄嗟に跳んで丸呑みは免れたが、モンスターの追撃がやってくる。
「ぐはっ!?」
大剣を盾にして追撃を防ぐがその勢いは殺せず、建物の壁へと追いやられ、背中を強打してしまう。
「この、やろう・・・」
「シャアアアアアアアア!!」
大剣などお構いなしに俺を食べようとするモンスター。
このままでは俺はモンスターに食べられて死んでしまう。
「・・・死?」
俺が?
こんなモンスターに敗れて食われる?
「・・・ふざけんな!」
俺はまだ何も取り戻していない。
だが、どうする?
俺がどうしようかと考えていると声が聞こえた。
「ハセヲおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「シャア!?」
「はあ、はあ、はあ・・・」
「ティ、ティオナ!?」
猛スピードでやってきたティオナがモンスターを横から蹴り上げる。
その時のティオナの顔がいつもの能天気な表情ではなく、獣のような仰々しい表情である。
「ハセヲ!無事!?」
「あ、ああ・・・」
「そっかぁ~。よかったぁ~」
俺の安否を確認して心底安心したのか、ティオナは一気に表情が砕け、いつもの能天気な笑顔を見せている。
って、のん気に話している場合じゃねえ!
「シャアアアアアアアアア!!」
「ちっ!」
「え?わあっ!?」
俺はティオナを抱き上げて横へ跳んでモンスターの不意打ちを避ける。
「ちょ、ちょっとハセヲ!今のくらい私なら避けれたよ!」
「ん?悪い。咄嗟でついやっちまった。嫌だったか?」
「べ、別に嫌じゃないんだけど・・・」
小さな声で言うティオナは顔を赤くしながら両手の人差し指の先を合わせている。
なんか急にしおらしくなったんだがどうしたんだ?
「よく分からねえが、後は俺がやるから見てな」
「え?でも・・・」
「大丈夫だ。もうあんなへまはしねえ」
「う、うん!」
さあて、あんな大口叩いたんだ。
一瞬で終わらせてやる・・・。
「シャアアアアアア!!」
モンスターが性懲りもなく突っ込んでくる。
俺はそれをアーツで迎い撃つ。
「【天葬蓮華】!!」
大鎌で頭をすくい上げ、そのまま横回転して一閃。
モンスターの頭は八つ裂きとなり、消滅した。
「ふう・・・」
これで粗方モンスターは倒せただろう。
どうして、モンスターが脱走したのか気になるが、それは別の奴が調べるだろうから気にしないでおくか。
「ハセヲー!へーい!」
「・・・はあ」
片手を上げながら駆け寄ってくるティオナに俺は溜息を吐きながら片手を上げる。
パチンと音を上げながらハイタッチが成された。
まあ、こういうのもたまには悪くないな。
「うわああああああっ!?」
僕、ベル・クラネルは、
でも、中々会うことが出来ず、途中で神様と合流して屋台を回りながら探すも見つける事は叶わなかった。
何故なら、
無理矢理ではあったけど神様から遠ざける事に成功した僕は、大猿のモンスター『シルバーバック』に追い詰められている。
今もシルバーバックの攻撃を受けて吹き飛ばされた。
小刀を盾にしたけど、その衝撃の全てを防ぐ事は出来ない。
「はあ、はあ、はあ・・・」
ダメだ・・・。
勝てない。
地面に寝転がる僕は絶望と恐怖に染まっていく。
僕はこのまま死ぬのか?
死にたくない。
心底死にたくない。
顔を上げれば底には僕に止めを刺そうと腕を振り上げているシルバーバックがいる。
もうダメだ・・・。
・・・気がかりなのは、神様だ。
ちゃんと無事に逃げられただろうか?
そういえば、この状況あの時に似ている。
アイズ・ヴァレンシュタインさんに助けられた、あの時に・・・。
もうあんな奇跡は起こらない。
そもそも、今の僕の姿を見られたくない。
こんな惨めな姿・・・恥ずかしくて死にたくなりそうだ。
「ガアアアアアア!」
シルバーバックの凶悪な拳が振り下ろされる。
ごめんなさい。
神様、ハセヲさん。
僕はもう・・・。
『立て!ベル!』
「・・・あれ?」
ハセヲさんの声が聞こえたと思ったら、僕の少し離れた所に、拳を地面に突き刺しているシルバーバックの姿があった。
あの拳は確かに僕に向けられていた筈・・・。
「というか僕、何時の間に立ったんだ?」
「ガアアアアアアアッ!!」
動揺している僕にシルバーバックが凄い速さで襲い掛かってくる。
こ、今度こそやられる!?
僕は恐怖で腕を交差して目を瞑らせた。
『目を開けろ!相手の攻撃から目を放すな!』
「っ!?」
またハセヲさんの声が聞こえたと思ったら真っ暗だった僕の視界が明るくなり、顔の前で交差していた筈の両腕が下ろされていた。
シルバーバックの拳が僕に襲い掛かっている。
あれ?
でも―――。
「遅い?」
「ガッ!?ガアアアアアアアアッ!!」
シルバーバックの拳は幾度も空を切った。
何故ならば、その攻撃を僕は全部避けているからだ。
でも、どうして?
シルバーバックは11階層のモンスター。
8階層が限界の僕が敵う筈がないのに・・・。
「もしかして、僕の力は既にそこまで付いている・・・?」
ハセヲさんに無理矢理連れてこられた10階層での特訓は無駄ではなかったんだ。
怒鳴られながら必死に戦った全ては僕の中で生きているんだ。
そういえばあの時、オークを倒せない僕にハセヲさんは首を捻らせていた。
それに何か聞こうともしていたような・・・。
あの時はアイズ・ヴァレンシュタインさんが来て逃げちゃったけど・・・。
帰ったらハセヲさんにあの時何を聞こうとしたのか訪ねてみよう。
だから、僕は―――。
「お前を倒す!うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
小刀を両手で持ち、全ての力を込めて突撃する。
シルバーバックの攻撃を全て避けた僕は胸元へと小刀を突き立てた。
パキンッ
「え?」
僕は目の前で起こった事に目を疑った。
シルバーバックの胸元へと突き立てた小刀が粉々に砕け散ってしまったのだ。
「ええええええっ!?うがっ!?」
まさかの事態に驚いている間にシルバーバックの拳が炸裂。
横に飛んでダメージは最小限に済んだけど、このままじゃやばい。
小刀を失った事で僕の攻撃手段がなくなってしまったのだ。
いくら攻撃を避けれても相手にダメージを与えられなければ倒すことが出来ないじゃないか!?
「そういえば、特訓の時に言われたっけ。『詰めが甘い』って・・・」
まさにその通りだ。
ハセヲさんの溜息する姿が目に浮かぶよ・・・。
「ベル君!無事かい!?」
「え!?か、神様!?」
な、なんで逃がした筈の神様がここにいるんだ!?
「くっ!すみません、神様!?」
「え?うひゃあ!?」
シルバーバックが神様に狙いをつけたのを感じて僕は神様を抱えてその場から走り出した。
「ど、どうして来たんですか!?僕のした意味が何も・・・!」
「おいおい。ベル君。ボクが1人で逃げ出せる訳ないじゃないか。それに約束してくれたろ?ボクを1人にしないって」
「っ!」
確かにした。
僕は神様との約束を破ろうとしてしまってたのか・・・。
「でも、僕が死んだってハセヲさんが居ます。だから―――」
「ふんっ!!」
「いふぁふぁふぁふぁ!?」
いきなり神様が僕の両頬を抓りだした。
とても痛くて涙が出てきてしまう。
「冗談だろうと本気だろうとそんな事を言わないでくれ、ベル君。君もボクのかけがえのない家族だ!代わりなんてどこにもいない!!唯一の子なんだ!!!」
「す、すみません。神様、僕・・・」
「それに、ハセヲ君はいずれボク達の前から居なくなる。君まで居なくなったら、ボクは本当に一人になってしまうんだ」
「え?それって―――」
神様の悲しそうな表情に僕が話しかけようとした瞬間だった。
「ガアアアアアアアアッ!!」
「くっ!?先回りされた!?」
後ろから音が聞こえないと思ったら屋上から追って来てたなんて・・・。
「ベル君。さっきの話の続きが聞きたいなら奴を倒すんだ!」
「で、でも神様!僕にはあいつにダメージを与える手段がないんです!このままではジリ貧でその内やられちゃいます!」
「なら君にその手段を与えよう!」
神様が僕と会った時から持っていた物を僕に渡してくれる。
布を取り、顕になったのは黒い小刀だった。
「これは【
「僕専用の武器・・・」
僕が驚きで唖然としていると神様は僕から降りて話し出した。
「その武器があれば君は絶対にあんなモンスターに負けはしない。そもそも君はあれ以上の化け物の背中を追いかけているんだろう?」
「っ!?」
そうだ。
神様の言う通りだ。
アイズ・ヴァレンシュタインさんやハセヲさん。
あの人達の隣で歩く為にも、僕はこんな所で躓いている場合じゃないんだ!
「さあ、行くんだ!」
「はい!神様!!」
僕は【
「ガアアアアアアッ!!」
「うおおおおおおおおおおおおっ!!」
【
パキンッ
さっきも聞いた何かが弾ける音。
でも僕は不思議と不安はなかった。
何故なら、神様が与えてくれた【
その証拠にシルバーバックがだんだん灰へと変わっていく。
さっきの音は刀身ではなく、シルバーバックの魔石が破壊された音だった。
「う、うおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
そして、シルバーバックは完全に灰となり、僕の前から姿を消した。
それを実感した僕は興奮の余り雄叫びを上げていた。
如何でしたでしょうか?
原作とは少し違う流れとなってますが、どうでしょう?
違和感なく楽しんで読んで頂けたでしょうか?
原作通りなら次はリリルカ編ですね。
どうなるかはまだ未定となりますです。
次はもう少し早く投稿出来るように頑張ります。
と言うわけで、お気に入り登録や感想・評価をお待ちしております!
どうぞ、よろしくお願い致します!