ダンジョンに死の恐怖がいるのは間違っているだろうか。(仮) 作:TE
遅くなって申し訳ないです!
第25話~魔法と潮時~
「ベルの奴、どこに行きやがった!」
ハセヲは焦った様子でダンジョンへ潜っている。
いつもは早朝からなのだが、今回は深夜からダンジョンに潜っている。
どうしてかというと、深夜にも関わらずダンジョンへ行ったであろうベルを探す為である。
そのことの発端は数時間前まで遡る。
―――数時間前、ハセヲとベルのステータス更新が行なわれていた。
最初はハセヲから行なわれて、
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ハセヲ
Lv.2
力 :H 106 → E 443
耐久:I 55 → F 365
器用:H 198 → D 571
敏捷:I 92 → E 401
魔力:H 162 → E 497
覚醒:I
《魔法》
変化なし
《スキル》
変化なし
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相変わらずの異様な成長速度に最早驚かないヘスティアは溜息を吐きながら写しの紙をハセヲに渡す。
その成長速度は、レアスキル【臥薪嘗胆】があった時よりも上がっているのだが、ヘスティアやハセヲは特に気にしていなかった。
そして、ベルのステイタス更新なのだが、ハセヲの成長速度よりも驚かれる内容だった。
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ベル・クラネル
Lv.1
力 :D 547 →A 819
耐久:F 303 →C 635
器用:D 556 →A 861
敏捷:B 700 →S 953
魔力:I 0 →I 0
《魔法》
【ファイアボルト】
《スキル》
変化なし
~~~
ベルもハセヲに負けず劣らずの成長速度なのだが、ある一項目が追加されている。
そう、魔法が発現したのだ。
スキルと魔法に憧れていたベルはとても喜んでいた。
だが、急な魔法の発現にヘスティアは戸惑い、原因を頭の中で考えるも結論に至る事は出来なかった。
魔法は明日の朝に試そうという話になったのだが、興奮が納まらないベルが明日まで待ちきれる訳がなく、ベルはハセヲとヘスティアが寝静まったのを見てから、ダンジョンへと向かってしまう。
そんな時、ハセヲがふと目を覚ますと、隣のベッドにいる筈のベルが居なかった事にすぐに気づいた。
察しの良いハセヲはベルが魔法を試しにダンジョンへ向かったんだと理解する。
それなら特段問題ないかと再び眠りの世界に戻ろうとするが、その途中でハセヲはある事を思い出す。
ベルは肝心な所で詰めが甘い。
嫌な予感がしたハセヲはすぐにベッドから飛び降りてベルの後を追うのであった。
―――時は戻り、魔法の試し撃ちに行っているベルを探すハセヲは隈なく回っているも、未だにベル見つけられていない。
深夜の時間帯に潜る冒険者など早々居ないためすぐに見つけられると思っていただけに焦りが見えるハセヲ。
そんな時、1人の冒険者を見つける。
後ろ姿からベルではないと分かるが、ベルを見かけている可能性がある為、その冒険者に声をかけた。
「おい、アンタ!聞きたいことがあるんだが、って、リヴェリア!?」
「むっ?ハセヲではないか。どうしたのだ?そんなに慌てて」
出会った冒険者はロキ・ファミリアの幹部にして副団長の1人『リヴェリア』だった。
そんな人物がどうしてこんな時間帯にダンジョンへいるのかは分からないが、ハセヲはとりあえず、ベルを見かけていないか確認する事にした。
「今、人を探しているんだ!俺より背が低くて白髪で兎みたいな少年なんだ!」
「ああ。その少年なら知っている」
「本当か!?どこにいる!?」
ハセヲは興奮のあまり凄い気迫でリヴェリアに詰め寄ってしまう。
そんな慌てた様子のハセヲに面食らいながらリヴェリアは落ち着かせるように促す。
「落ち着け、その少年なら無事だ。今はアイズが看病しているだろう」
「ど、どういう事だ?」
要領を得ない内容にハセヲはリヴェリアの話を聞くことにした。
「本当にすまなかった!」
俺、ハセヲはリヴェリアに頭を下げて謝罪をしている。
なぜならば、倒れて意識を失っていたベルを助けてもらったからだ。
しかも、その助けてもらった経緯が恥ずかし過ぎた。
俺が思った通りで、ベルはダンジョンで魔法を試していた。
当然だが、魔法を使うには勿論、魔力が必要となる。
その魔力を全て使い切ると意識を失ってしまう【
しかし、ベルは倒れてしまった。
こんな上層の雑魚しかいないところでだ。
それは何故なのか?
ベルの事だから魔法が使えたことが嬉しすぎて、後先考えずに乱射した挙句、
そんな所に偶々通りかかったリヴェリアとアイズに助けてもらった。
あまりにも情けない。
身内の恥ずかしい失態に俺はもう感謝の言葉ではなく、謝罪の言葉を述べることしか出来なかった。
「頭を上げてくれ、ハセヲ。困っている時はお互い様だ。それにお前は
「だが・・・」
「それにあの少年には、ベートの件で傷つけてしまった。その侘びでもある。アイズ自身、思う所もあるようだから、ハセヲがそこまで気に病む必要は無い」
「しかしだな・・・」
アイズの件はなんとなくわかるし、リヴェリアの言う通りな所もある。
だが、それはそれでリヴェリアには殆んど関係ない。
せめて、リヴェリアには何かお礼をしないと俺の気が済まないぞ。
「はあ・・・。ハセヲも中々の頑固者だな。なら今度、私と一杯付き合え」
「は?そんなので良いのか?」
俺が折れないと判断したリヴェリアは溜息を吐いた後、お礼としての内容を提案してきた。
その内容がまさかのお酒とは思わなかったが・・・。
「意外か?旧知の仲の者なら兎も角、最近の者達と飲む機会は遠征終わりの宴会くらいだ。ハセヲのように他ファミリアの人間で世間知らずとなら、もっと気軽に飲めるかとな」
「・・・なんで俺が世間知らずだと?」
リヴェリアとはそんな話した訳ではないのにそうだと思えるんだ?
「自惚れている訳ではないのだが、私はオラリオだけではなく、世界中に名を知られている。私と初めてあった時の素振りでそうなんじゃないかと思った」
そういえば、リヴェリアは数少ないレベル6の第一級冒険者。
ロキ・ファミリアの副団長と、そんな奴を知らないとなれば、そんな風に思われても仕方ないか。
だが、なんか妙に探られているような気もする。
「・・・俺は色々と訳ありなんでな。話すつもりはねえけど」
「そうか」
「・・・それだけ?」
「ん?そうだが、それがどうした?」
いやいやいや。
そんな不思議そうに聞き返してくんなよ!
「あんた、俺を何かしらで疑ってんだろ?普通もっと質問しに来るだろ?」
「ああ、そういうことか。そもそも、疑わしい者が自分からそんな事を言ってくる筈がないだろ」
「それはまあ・・・」
「それに、ロキやティオナはハセヲの事を気に入っている。普段はあれだが、あれで人を見る目はあるから問題ないだろう」
それだけで判断して良いものなのか?
まあ、こいつらに後ろめたい隠し事なんて何もないから良いのだけど・・・。
「それに私もお前を気に入っている。仲間の為にベートと戦ったあの姿は見事だったぞ」
「・・・そりゃあどうも」
「最後にベートを倒したとき、お前の身体に赤い紋様が浮かび上がったが、何かのスキルか?」
「らしい。あれ以来一度も使えてない・・・あっ」
やべっ!
口が滑った!?
「ハセヲは意外と抜けている所があるのだな」
「・・・誰にも言うんじゃねえぞ?」
「それは、お酒の席で話し合おうじゃないか」
「ちっ・・・」
見事に一杯食わされた俺は先に歩くリヴェリアの後ろを付いて行きながら舌打ちを吐いた。
こいつは意外にも強かなんだと思いながら俺は、その酒の席でどうリヴェリアを説得するかを考えるのであった。
「その後にベルが魔法を覚えたのは
「ええ!?グ、
とある居酒屋の一席でハセヲとリリルカは談笑していた。
しかも、つい最近のベルの失態について話している。
「そうだ。知らずに読んだとはいえ、高級品だ。もし持ち主に弁償を求められたら零細なファミリアのうちが払える訳がねえ」
「は、はい・・・」
「それで、ヘスティアは誰にもばれないように処分しようとしたんだが、ベルがそれを必死に止めていてな。その時にヘスティアが『世界は神より気まぐれなんだぞ!』という名言を生み出してよ。思わず笑っちまったぜ」
リリルカとしては全く笑えない話である。
普通ならもっと動揺してもいい筈なのだがハセヲにはそうの様子は見えない。
「それで結局どうなったのですか?」
「結局は【豊穣の女主人】の女将から、
「そ、そうなんですね・・・」
なんとも豪快な女将であると思ったリリルカ。
つい最近、恐ろしい目に遭わされたエルフのメイドの関係者だと知ればすぐに納得するだろう。
「さて、そろそろ本題に入るか」
そんなハセヲの切り出しにリリルカの緊張が走った。
「例のリリを嵌めると言ってきた冒険者から連絡があった。どうやら、あいつらはリリがダンジョンで1人になった時を狙うそうだぞ」
「そうですか・・・。今日、ベル様にも男性の冒険者と一緒にいて様子がおかしかったです。ハセヲ様と同じようにリリを嵌める勧誘をされていたのだと思います・・・」
リリルカを狙う冒険者達の情報を聞いて本人は暗い表情をしている。
「まあ、ベルの事だからそんな誘いは断っているだろ」
「そうだと思いますが・・・」
「・・・怖いか?ベルに裏切られるのは」
「・・・はい」
リリルカはベルとの冒険がとても居心地が良かった。
今までの冒険者と違うベルにリリルカはだんだんと惹かれて行ったのである。
しかし、リリルカの心の奥底にあったのは、冒険者の闇への恐怖。
冒険者は、サポーターであるリリルカをいつも蔑ろにし、虐め、奪ってきた。
同じ冒険者であるベルにもそんな事をされてしまう事がリリルカは怖いのである。
「ベルにもそうなんだな・・・。ん?じゃあ俺はどうなんだ?」
「ハセヲ様ですか?あー・・・どうなんでしょう?」
同じ通りであるならばハセヲも恐怖の対象となる筈なのに、今の今まで付き合いが続いている。
どうやらリリルカもよく分かっていないようである。
「俺が知るか。まあ、一度は裏切るかもしれないから覚悟しとけ」
「分かりました。か弱いリリはびくびくしながらその時を待ってます」
「待つのかよ。そこは逃げとけっつーの」
お互い冗談だと分かっているからか軽口でそんな話をしていく。
ハセヲはお酒を飲み干すとお金をテーブルに置いて立ち上がった。
「まあ、とりあえず用心しておけよ」
「はい。ハセヲ様、ありがとうございます」
頭を下げるリリルカを見てハセヲはその場を後にした。
ハセヲの姿が見えなくなったのを確認してリリルカは呟いた。
「もう、潮時なのですね・・・」
そんな悲しい呟きは誰にも届く事はないのであった。
如何でしたでしょうか?
ぱっと見、ステイタス上昇がやばく見えますけど、書いていない合間に更新してますので、気にしすぎないようにお願いします。
ちなみに私は書いてる時にかなり動揺しました笑笑
次はもっと早く更新出来るように頑張ります!