ダンジョンに死の恐怖がいるのは間違っているだろうか。(仮) 作:TE
忙しいですが、寝る時間を削って投稿しました。
眠い、、、
では、本編をどうぞ!
第28話~劣勢・優勢・大番狂わせ~
「蒼天大車輪!!」
俺、ハセヲは大鎌のアーツでモンスターを一掃しながらダンジョンを突き進んでいる。
もちろん、ベートやレフィーヤにフィルヴィスも全く問題なさそうにモンスターを倒しながら進んでいた。
24階層のモンスターなど飽きるほど倒してきてる筈だから当然なんだろうけどな。
「今更だが、ハセヲはレベル1というのは嘘ではないのか?ステイタス云々もだが、初見のモンスターにも一度特徴を聞いただけで的確に対処して無駄がないのだが・・・」
「私もそう思っています。でも本人は頑なにレベル1と言ってますよ」
なんか後ろで陰口を言われてるがスルーしよう。
というか、あのエルフ2人は18階層から妙に仲良くなってないか?
「っ!ウィリディス、下がれ!」
レフィーヤ達の前に数体のモンスターが出現して襲い掛かってくる。
フィルヴィスがレフィーヤを下がらせて先行し、呪文を唱えながらモンスター達に突っ込んでいった。
「あれは【並行詠唱】か・・・」
リューから教わったが、魔法使いにも色々な戦闘スタイルがあるらしく、その一つの技術として有名なのが【並行詠唱】。
動きながら魔方陣を描き発動させるのだが、これがかなりの高等技術なのだとか。
「【ディオ・テュルソス】!!」
完成したフィルヴィスの魔法がモンスターを一掃し、これでようやく一息がつける状態になった。
高等技術を使ったにも関わらず余裕そうなフィルヴィスをレフィーヤが羨ましそうな表情で見つめているのが分かる。
「・・・てめえもあれくらい出来ればいいのにな」
「うう・・・」
そんなレフィーヤにベートが厳しいお言葉である。
相変わらずだなと思いながら見ているとフィルヴィスがベートに睨みつけていた。
「・・・火力特化の魔導士にそこまで求めるのは酷だ。真の局面で必要とされるのはウィリディスの力だろう?その彼女を守るのが我々の役目である筈だ。そうだろう、ハセヲ」
「え?あ、ああ。そうだな」
まさか俺に話を振ってくるとは思っていなかったので適当に答えてしまった。
確かにフィルヴィスの云う通りでもある。
だけど、それが正解であるのかどうかは別だろう。
「お前はそれでいいのか?自分の身も自分で守れねえで。馬鹿アマゾネスどもは甘やかしているみてえだが、魔法だけが取り柄だの抜かしている内はてめえは一生お荷物だ。お前は甘い」
そう言ってベートは先に行ってしまう。
俺は溜息を吐きながらその後を追ってベートの横についた。
「お前も損な役割してんな」
「うるせえ、黙れ、格下。殺すぞ」
「へいへい」
そんな話をしている内に俺たちはアイズが向かったであろう北の
だが、入り口のようなものは見当たらず、植物のような壁がそそり立つ場所だった。
本当にここで合っているのかと疑ったが間違いないようである。
「間違いねえ。アイズは此処を通っている。他の冒険者とも一緒のようだな」
「そうか。ベートの鼻は便利だな、流石犬」
「狼だ!犬と一緒にすんじゃねえ!殺されてえか!」
ベートの嗅覚は犬以上らしいから間違いないだろう。
アイズ達を追いかける為にレフィーヤが魔法で穴を開け、そこから中へと入っていく。
「この24階層にあんなものがあるなんて話は聞いたことがありません。
「ここからはより気を引き締めていかなければならないな」
レフィーヤとフィルヴィスの言葉に俺も気を引き締める。
この奥で一体何が起こっているのだろうか・・・。
「ん?なあ、ベート。この光ってる石。18階層にあった水晶じゃねえか?」
「・・・そうだな。恐らく目印として置いていったんだろうぜ」
「それじゃあこれを辿ればアイズさんが!」
レフィーヤの言う通り、アイズはこの先に居るはずだ。
だけど、なんだ?
妙な胸騒ぎを感じる。
「おい、てめえ等。そう簡単にはいかねえみてえだ・・・」
「っ!?あれは食人花!」
ベートが戦闘態勢に入ったと思ったら、怪物祭で戦った食人花が現れる。
それも前回の数とは比べ物にならない程に存在している。
「てめー等!こんな雑魚、とっととぶっ殺して先を急ぐぞ!」
「ああ!」
「はい!」
俺たちは食人花を最小限倒しながら奥へと向かうのであった。
24階層、北の食料庫。
そこでは壮大な戦闘が行われていた。
アイズと共に調査依頼を受けた『ヘルメス・ファミリア』の精鋭達と、謎のローブ集団に食人花を操る仮面の男との混戦状態にあった。
ローブ集団は各々が、刺激を与えると爆発する『火炎石』を身体に巻き付けながら特攻する『死兵』となってヘルメス・ファミリアの精鋭達を混乱させ、追い討ちをかけるように仮面の男が大量の食人花を操って襲いかかる。
この劣勢を覆すべく、ヘルメス・ファミリアの団長【
アスフィとキークスは仮面の男に重傷を負わされ、動きが取れない状態となってしまっていた。
「・・・キ、クス!キークス!!」
「が、っく・・・」
食人花に腹部を突き抜かれたキークスにアスフィが必死になって声をかける。
キークスはなんとか意識を残しているが、紙一重の状態である。
キークスはどうにかして手に持つアスフィ特製のハイポーションを渡すべく、力を振り絞る。
「それを、使いなさい!・・・私のこと・・・いい・・・です・・・は、やく!!」
アスフィも仮面の男に背中を刺されて重傷なのにキークスを優先させようとしている。
そんな優しい想い人をほっといて使う選択肢などキークスにはなかった。
「無駄な足掻きを・・・」
キークスの後ろには仮面の男がやってきていた。
トドメを刺すためにきたのであろう。
アスフィは必死に身体を動かそうとするが身体の言うことがきかない。
仮面の男はゆっくりと足を上げて、キークスの頭へと狙いを定めた。
「潰れ―――」
誰もが最悪な光景を予感させた。
「させるかよ!」
「―――がはっ!?」
それは一瞬の出来事だった。
その場にいた誰でもない声が聞こえたと同時に仮面の男は背中に強い衝撃が走り、吹き飛ばされてしまう。
そして、アスフィ達が入ってきた入り口からも轟音が鳴り響き、砂塵が舞った。
しかも、バラバラになった食人花が降り落ちてくる。
その場にいた全員が入り口へと視線を向けるとそこには、ベート、レフィーヤ、フィルヴィスの三人がいた。
「あア?なんだこいつ等?」
「わかりません。アイズさんもいないようです」
「ハセヲは・・・あそこにいたぞ。倒れている冒険者を介抱しているようだ」
「ちっ!あの格下が!嫌な予感するとか言って俺たちを囮にして先行しやがりやがって・・・後で絶対ぶん殴ってやる!」
状況がいまいち呑み込めない三人だったが、先行してこの戦場にいち早くたどり着いた男。
つまり、仮面の男を吹き飛ばした張本人がハセヲであった。
「おい!しっかりしろ!ハイポーションだ!」
ハセヲは重傷のキークスに回復薬を惜しみなく使う。
なんとか意識が残っていたキークスは手に持っている特製ハイポーションをハセヲに渡してアスフィを指さした。
もう言葉を発せられない状態のキークスの意思を読み取ったハセヲはキークスを抱えながらアスフィの下へ向かった。
「おい、あんた!これを使え!」
「私は、だいじょう・・・ぶ。だから、キークスに・・・」
「この男の願いだ!それにこの男にも俺のハイポーションを使ってるからしばらくは大丈夫だ!だから早く使え!」
アスフィはハセヲの横で抱えられているキークスの顔色を見て、良いとはとても言えないがすぐに死ぬ状態ではないと判断できた。
だから、アスフィはハセヲから特製ハイポーションを受け取り使用した。
「あんたらはアイズと同じ依頼を受けた冒険者パーティーでいいんだな?」
「え、ええ。貴方は一体なに者なの?」
「詳しい説明は俺が聞きたいところだが―――」
「【ヒュゼレイド・ファラーリカ】!!」
ハセヲが話している途中で特大の攻撃魔法が発動された。
特大の光の砲撃が食人花を殲滅していく。
その衝撃がハセヲ達の方へとやってきたが、ハセヲが大剣を突き刺し壁にすることで衝撃を防いだ。
「レフィーヤはあんな魔法も使えるのか。凄いな・・・」
「【
「まあ、そんなところだ。それより、あんたに聞きたいことが―――」
「よそ見してんじゃねえ、格下!」
「ぐはっ!?」
ハセヲがアスフィ達を介抱している間に気配を消して仮面の男が近づいてきていた。
仮面の男がハセヲに攻撃を仕掛けようとした所にベートが飛び蹴りで仮面の男を吹き飛ばす。
「悪い、助かった」
「けっ!てめえはとっととその邪魔者を連れてどっかにいきやがれ!このいけ好かねえ仮面野郎は俺がやる!!」
「冒険者が・・・次から次へと!!」
ベートと仮面の男の死闘が始まる中、ハセヲはベートの指示通り、戦闘出来ないだろうキークスとアスフィを抱えて運ぼうとする。
「待って。私は残ります」
「はあ?ハイポーションで多少は怪我が治っているかもしれねえが・・・」
「あの仮面の男は普通ではありません。戦況が覆った今、私が戦線から離脱する訳にはいかないのです。貴方には申し訳ありませんが、キークスを私の仲間の下に連れて行ってください」
「・・・ちっ。分かった。だけど、一つだけ聞かせろ。お前の名は?」
「・・・アスフィ、です」
急に名前を聞いてくるハセヲに疑問を抱くが考える暇はないので、アスフィはすぐに答える事にした。
それを聞いて頷いたハセヲはキークスを抱えなおして、ヘルメス・ファミリアがいる場所へと向かう。
途中で食人花やローブ集団に邪魔されるが見事にかわしてあっという間にヘルメス・ファミリアの下へとハセヲはたどり着く。
「キークス!!」
一人の垂れた犬耳の少女『ルルネ』が慌てた様子でハセヲの下へとやってきた。
「ハイポーションを何本か使ってなんとか一命を取り留めてる。応急処置は―――」
「ありがとう!」
ハセヲが話している途中なのにルルネがハセヲの手を握って涙ながらに感謝の言葉をいいだした。
「本当に、本当にありがとう・・・」
「・・・ああ。後はお前に任せた。俺はあの気味が悪いローブ集団を相手すればいいな?」
「え?でも、狼人の援護をした方がいいんじゃ・・・」
「俺が手を出すと後で絶対に怒られる。それに気絶した奴を守りながらこいつらを防ぐことが出来るか?」
ハセヲの云う通りで、負傷者を守りながらローブ集団を相手する余裕が今のヘルメス・ファミリアにはない。
今、ルルネがハセヲと話しているこの瞬間でさえ、かなり厳しい状態である。
「・・・分かった。お願いするよ」
「ああ。ちなみにお前の名前は?」
「え?ルルネ、だけど・・・」
「よし、ルルネ!奴らをさっさと片付けるぞ!」
「う、うん!」
「まずはド派手なのを食らわせてやる!!」
ハセヲはローブ集団の上空へと飛ぶと大鎌を取り出すと、そのまま敵陣の中央へと着地した。
「そいつも我らの敵だ!殺せえええええ!」
ローブ集団が一斉にハセヲに襲い掛かった。
ハセヲは全く慌てた様子はなく、むしろ冷静に敵を引き付けるように意識をしていた。
そして―――
「【
大鎌の最大アーツが炸裂する。
最後に地面から出現する四つの巨大な魔力刃がローブ集団を次々となぎ倒していく。
魔力刃が消えた後、ハセヲの無双が始まった。
「おらおらおらおら!!」
「す、すげえ・・・。あいつは一体何ものなんだ?第一級冒険者なら知らない訳がないのに・・・」
ハセヲが入ったことで戦況は一気に覆った。
そして、仮面の男と戦うベート達も間もなく、終盤へとさしかかる。
「【アルクス・レイ】!!」
「上出来だ!死ねえええええ!!」
「ぐおおおおおおおおっ!!??」
ベートとレフィーヤの連携技が炸裂し、仮面の男を吹き飛ばした。
戦況はハセヲ達の参入で劣勢から見事に覆す。
「今だ!アスフィと合流しよう!」
ヘルメス・ファミリアの精鋭達は急いで団長のアスフィの下へと向かう。
仮面の男の隙を作る際にダメージを負ったので心配しているのだ。
「アスフィ!傷口が開きかけてる!?残りのハイポーションを早く!!」
「・・・キークスの方はどうです?」
「大丈夫だよ!銀髪の兄ちゃんのおかげで一命は取り留めたよ!」
「そうですか・・・彼に感謝を言う前にまずは状況を確認しましょう」
「肩貸すよ」
アスフィ達は速足でベート達の下へと向かい、着いてすぐに目の前の光景に目を疑った。
「化け物ですか・・・」
仲間の肩に掴まってようやく歩ける状態のアスフィがそう悪態を吐いた。
ベートとレフィーヤの全力連携攻撃は間違いなく、その場にいるメンバーで最大の攻撃だった。
それなのに、その攻撃を受けた仮面の男が平然と歩いてくる姿を見ればアスフィがそうしてしまうのも頷ける。
「・・・惜しかったが、『彼女』に愛された体がこの程度で朽ちるわけがない」
驚くべき耐久力なのだが、それ以上にベート達を驚かせたのは、ついさっきベート達が負わせたはずの傷が癒えていくその治癒力であった。
仮面の男は本当に人間なのかと思い始めたとき、アスフィが驚愕の表情へと変わる。
それは仮面の男の仮面がベート達の攻撃により破壊され、素顔が顕わになったからで、明らかになった人物がありえなかったのだ。
「・・・【
「ヴェンデッタ・・・?あっ!?」
どこか聞き覚えのある名前に思考を巡らせたレフィーヤはすぐにその名前がなんなのか思い出す。
『オリヴァス・アクト』は、過去に『27階層の悪夢』と呼ばれる事件の首謀者で、最後はモンスターの餌食となって死亡となっている。
アスフィ達が驚愕するのも当然である。
今、目の前にいるのは数年前に死んだ筈の人間なのだから・・・。
如何でしたでしょうか?
キークス君、死亡回避させました。
自分、死亡フラグとか回避させたくなる人種なんですよね。
不快に思った読者様がいましたらすみません。
早く更新出来るように頑張ります!