ダンジョンに死の恐怖がいるのは間違っているだろうか。(仮)   作:TE

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書けましたので投稿します。

楽しんで読んで頂けたら幸いです!

よろしくお願いします!


第31話~最後の闘い~

第31話~最後の闘い~

 

膝を付き、今にも倒れそうなハセヲに驚くアスフィ。

 

アスフィの冷静な分析で、ハセヲが目に見えて消耗しているのが分かる。

ハセヲはレフィーヤの目の前で守るようにしている為、【武獣覚醒】を発動した後は食人花と戦っていない。

それなのにどうしてハセヲがそんなにも消耗してしまっているのか?

 

「やはり【武獣覚醒】というのは発動者にかなりの負担が・・・」

 

アスフィの言う通りで【武獣覚醒】による負担が原因だった。

 

本来なら三人で発動する【覚醒】。

それを10人以上で発動させてしまえはその負担が計り知れないものになるのは当然だった。

 

この【覚醒】には時間制限はない。

使う時間が長ければ長い程に発動者であるハセヲを苦しめるのだ。

そんな姿を身近で見ているレフィーヤは心を痛めながら詠唱を続ける。

 

「敵が密集!固まって突っ込んでくるぞ!」

 

一つとなった食人花はもはや巨大花を超える巨大なモンスターへとなっていた。

ここが正念場だとハセヲは思った。

 

「お前ら!!これを凌げば俺たちの勝ちだ!気合い入れろ!」

 

もう声を出すのも辛いはずなのに大声を出して盛り上げる。

その言葉に呼応するようにアスフィ達は『おおっ!!』と返事をしていた。

 

「【ディオ・グレイル】!!」

 

フィルヴィスの魔法障壁が固まって突っ込んできた食人花を止め、その横から固まっていなかった食人花が攻めてくる。

それをアスフィ達が対処していった。

 

レフィーヤの魔法が発動するまで残り十秒を切った。

誰もが勝利を確信した時だった。

 

「っ!」

 

地面の下から食人花の触手がレフィーヤを襲う。

レフィーヤの側にいるハセヲは膝をついており、反応が遅れて助けることが出来ない。

 

そして、多大な魔力を放とうとするレフィーヤは逃げる事も出来ない状態である。

誰もがやられたと思った時、ハセヲだけが笑っていた。

 

「頼んだぜ?キークス?」

「任せな!!」

 

そんな言葉と同時にレフィーヤを襲う触手全てが根本から爆散した。

唖然としたがすぐに我に戻った一同が視線を動かし、その先にいた男。

重傷から目を覚ましていたキークスの仕業だと理解する。

 

キークスの得意な投石でローブ集団の死体から火炎石を頂戴しており、それで触手を見事に当てて爆散させたのだ。

ただの石でも【武獣覚醒】によるステイタスならば問題なく潰すことが出来たであろう。

 

ともあれ、危機を脱する事が出来た。

ハセヲはキークスが意識をなくす直前に名前を聞けて良かったと安堵している。

 

そんなキークスの活躍もあって、とうとうレフィーヤの魔法が完成した。

 

「【レア・ラーヴァティン】!!」

 

レフィーヤの魔法が大量にいた食人花をあっという間に飲み込んで一掃してしまった。

それを確認できたハセヲは覚悟を決めて【武獣覚醒】を解く。

 

「〜〜〜っ!?」

 

【武獣覚醒】でパーティーが受けたダメージを肩代わりにするデメリットがやってきた。

ハセヲは声をあげないよう必死に我慢する。

 

「お、おい。大丈夫か?」

 

近くにいたキークスが声をかける。

ハセヲは大丈夫だと言ってやりたいところだったが、あまりのダメージに耐える事しか出来ない状態。

回復薬をアイテムボックスから取り出そうと思ってもダメージで精神が安定しない状態では無理だった。

 

「って、なんか揺れてないか!?」

 

キークスの言う通りで、ここ食料庫全体が揺れ始めた。

原因は、アイズやベートと戦っていたレヴィスが逃げる為に食料庫の中枢となる大柱を破壊したのだ。

このままでは、食料庫は崩壊しハセヲ達は生き埋めとなってしまうだろう。

 

「怪我人には手を!荷物は捨て置きなさい!脱出が最優先です!」

「おい、ハセヲ!脱出だ!行くぞ!」

 

アスフィの指示で団員たちはすぐに行動を開始する。

キークスがハセヲに肩を貸して脱出を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴様を生かしておく訳にはいかない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?放せ、キークス!!」

 

背筋に悪寒を感じたハセヲはキークスを押し飛ばす。

そして、ハセヲのすぐ目の前に手を振り上げたレヴィスがいた。

レヴィスは大柱を破壊して逃げたと思われていたが、気配を殺して身を潜めていたのだ。

 

ハセヲを殺すために。

 

「ぐあっ!?」

「ハセヲ!?」

(オリヴァス)の言っていた事は理解できないが、貴様は後に脅威になることは理解できた。ここで死んでもらう」

 

レヴィスに殴り飛ばされた事によって一人にされてしまったハセヲ。

満身創痍のハセヲは立つのもやっとの状態だった。

 

「ハセヲ!今助け―――」

「来るな!!」

 

助けようと動き出そうとしたキークスやアイズ達をハセヲが止める。

 

「さっさと行け!俺一人を助けるために全滅するつもりか!!」

「っ!・・・分かりました。全員、直ちに脱出です!彼の想いを無駄にしてはいけない!」

 

ハセヲのその言葉を聞いてアスフィはそう指示を出した。

しかし、その指示に納得しない者がいた。

 

「俺は嫌です、アスフィさん!俺はハセヲに一度命を救われたんだ!このまま逃げれば男が廃る!」

 

それは意外にもアスフィと同じファミリアのキークスだった。

キークスにとってハセヲは自分だけでなく、ファミリアや想い人の命の恩人なのだ。

そんなハセヲを置いていくなんてとても出来なかったのだ。

 

「その彼からの願いです!キークス!貴方は彼の顔に泥を塗るつもりですか!!」

「ぐっ・・・」

 

キークスは心を揺るがしながらハセヲに視線を向けるとそのハセヲと視線があった。

その目には、一切の濁りや歪みを感じられない真っ直ぐなものだった。

俺に構うな、とキークスは勝手ながらそう感じてしまう。

 

「・・・分かり、ました」

 

キークスは己の無力さとハセヲの感謝を噛み締めながら脱出を再開した。

自己犠牲の英断にアスフィは心の中で感謝しながらその場を後にする。

 

「行くな、アイズ!」

「でも、ハセヲさんが―――」

「いくらお前でも怪物女を倒してから格下と脱出は無理だ!」

「それは・・・」

 

ベートの言う通りでアイズもレヴィスを倒してハセヲと共に脱出するにはあまりにも時間が足りないと感じている。

どうしようと考えている間にも刻々とタイムリミットが迫る。

 

「アイズ!!」

「っ!」

「俺の弟分に伝言を頼む!」

 

ハセヲの弟分。

つまりベルの事だと瞬時に理解したアイズ。

 

「『逃げるな!戦え!』。以上だ!」

「・・・分かりました」

「・・・ちっ、格下が・・・」

 

ハセヲの伝言を託されたアイズはベート達と共に脱出を始めた。

 

「レフィーヤ!ヘスティアにも伝言を頼む!」

「ハセヲ、さん・・・」

「『少し帰りが遅くなる』だ」

「・・・はい」

「ハセヲ、すまない・・・」

 

涙が溢れ出すレフィーヤと目尻に涙を貯めるフィルヴィス。

ハセヲのヘスティアへの伝言を胸に、ハセヲに謝罪をするフィルヴィスと共に脱出を開始した。

 

そして、崩れる食料庫の中で二人きりになったハセヲとレヴィス。

ハセヲは溜息を吐いて話し始めた。

 

「態々待ってくれるなんて意外と優しいんだな?」

「ふん。単なる気まぐれだ。覚悟は良いな?貴様には死んでもらおう」

「・・・嫌だね」

「なに?」

 

まさかの否定の言葉にレヴィスは眉間に皺を寄せる。

ハセヲは大剣を取り出して戦闘態勢に入った。

 

「俺は死ぬ訳にはいかない。俺にはやらなければならない事が、目的がある!」

 

大剣の刃が回転し始める。

その稼働音はまるで全てを切り裂かんと威嚇するような迫力を魅せる。

 

「・・・それなのにどうして他の冒険者を助けた?その目的とやらは他人の方を優先される。つまりその程度と言う訳なのだろう?」

「さあな。俺にも分からねえ。でも、これだけは言える」

 

レヴィスはハセヲから凄い気迫を感じ取った。

少し前まで瀕死に近い状態であったのにも関わらずである。

 

「目的を理由に逃げ出していれば俺はもう二度と前に進むことは出来ないと思ったんだ!」

「そうか・・・」

 

ここで二人の会話が終わる。

もう出入り口は瓦礫によって塞がれ、逃げることはもう不可能となった。

 

「行くぞ!!」

 

ハセヲとレヴィスの戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが、ヘスティア・ファミリアの拠点・・・」

 

食料庫の件から数日。

私、レフィーヤは、ヘスティア様がいるファミリアの拠点へとやってきています。

 

その理由はヘスティア様にある事を伝えに来たのです。

それは、『ヘスティア様の眷属であるハセヲさんが死亡した』と。

 

私達は食料庫から無事に脱出する事が出来ました。

しかし、ハセヲさんだけはレヴィスの邪魔があり、逃げ遅れてしまった。

それかレヴィスに殺されてしまったのかもしれない。

それを確認する手段は私達にはありませんでした。

 

だけど、あの崩壊する瓦礫の中を無事に済む訳がありません。

帰ってロキやフィン団長にリヴェリア様に、その時の状況を説明して判断を委ねてみても、そこからの帰還は絶望的だと判断された。

 

その日にロキがヘスティア様に事情を説明しにいこうとしてましたが、私はその役目を譲ってほしいと志願した。

 

私はハセヲさんからヘスティア様に伝言を頼まれたんです。

『少し帰りが遅くなる』という叶わない伝言を・・・。

 

私の気持ちを汲んでくれたロキはなんとか歩けるくらいに回復してから行くようにと命じられたので、その通りにして今に至ります。

 

正直、ハセヲさんの死に、ロキもショックを受けているようでした。

ロキがハセヲさんに依頼をお願いしたという責任もあるのでしょうが、それだけじゃない感情もあるような印象です。

 

フィン団長も『惜しい若者を亡くした』と言い、リヴェリア様は『そうか・・・』の一言でしたが寂しそうな表情でした。

一緒にいたアイズさんやベートさんも雰囲気が暗いです。

 

そして、ファミリアで一番ハセヲさんと仲が良かったティオナさんにもその話を伝えましたが、『ハセヲは絶対に生きてるよ!間違いない!えっ?なんでそう思うかって?女の勘!』と言い切っていた。

それから、ティオナさんの姿を見かけなくなった。

ティオネさん曰く、ハセヲを迎えに行くって言って拠点から抜け出してしまったらしい。

現在、ティオナさんの捜索隊を編成中です。

 

アスフィさん達も悔しい気持ちがあり、別れ際には涙を流す人もいました。

ハセヲさんに命を救われた人もいましたから・・・。

 

フィルヴィスさんは落ち込む私に励ましの言葉をかけてくれていましたが、彼女も気持ちは私と同じ筈なのに申し訳ない事をしてしまいました。

 

出会って間もないハセヲさんにここまでの沢山の人々の心に影響を与えていた。

そんな人がどうして死んでしまうのだろうか・・・。

 

「・・・行こう」

 

ここで延々に考えても事実は何も変わらない。

後悔はあれど覚悟は決まっていた私は拠点である教会の中へと足を踏み込んだ。

 

「あれ?君はドレスを選んだ時にいたエルフ君じゃないか!」

「へ、ヘスティア様!?」

 

―――と同時にヘスティア様と出くわしてしまう。

覚悟は決まったけど急すぎないでしょうか!?

 

「どうしたんだい?こんなボクの子に何か用かい?」

「え?あ、いえ、ヘスティア様にお話がありまして・・・」

「そうなのかい?じゃあ、立ち話もなんだから上がりなよ!君なら大歓迎さ!」

「あ、ありがとう、ございます?」

 

私は元気なヘスティア様の勢いに流されるがままに教会の地下へ続く階段を降り、そこの部屋へと案内された。

 

ん?

ヘスティア様はどうしてこんなにも元気なのだろう?

眷属であるハセヲさんが死んだっていうのに・・・。

 

もしかして、死んだ事を知らない?

いや、そんな筈はない。

神様と眷属は神の恩恵(ファルナ)によってリンクされている。

死んでリンクが切断されれば嫌でも気づく筈・・・。

 

「さて!ボクにお話とはなんだい?」

 

真っ直ぐな瞳で私にそう言ってくるヘスティア様。

もしかして、私に気を遣ってくれているのでしょうか?

 

眷属であるハセヲさんが死んでしまった原因の一人である私に・・・。。

ああ・・・なんて寛大な御方なのでしょう・・・。

 

「あ、あの!ハセヲさんについてなのですが!!」

 

私はどんな仕置きでも甘んじて受けようと改めて覚悟を決めて話を切り出した―――その時だった。

 

「ハセヲ君について?彼ならちょうどいるけど大丈夫かい?」

「呼んだか?」

「あっ、レフィーヤ!来てたんだ!ヤッホー!」

「・・・・・・・・・・・・え?」

 

ひょこっと、奥の部屋の入り口から姿を現したのはハセヲさんだった。

しかも、遅れて顔を出し挨拶してきたのは行方不明中のティオナさんである。

 

え?ハセヲさん?

死んだ筈のハセヲさんがどうしてここに?

まさか幽霊?

 

「おーい?レフィーヤ?」

 

いやでも、ティオナさんがいるのは・・・。

もしかして、ハセヲさんが死んだ事がショックで自殺して・・・幽霊となって一緒になれたとか・・・?

 

まさか、本当に・・・幽霊?

 

「・・・き」

「き?」

「キ?」

「木?」

 

 

 

「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!??」

 

 

 

私の叫び声が部屋中に響き渡り、私はそこで意識をなくした。




如何でしたでしょうか?

えっ?ってなるような感じで書けてたでしょうか?

そう感じながら読んで頂けたら嬉しいです(^ ^)

基本シリアスは好きじゃないので、出来る限りハッピーエンド目指して書いていきたいと思いますのでよろしくお願いします!



お気に入り登録や感想、評価をしてくれた読者様。
本当にありがとうございます!
誤字報告もしてくれたりと本当に感謝です。

お気に入り登録は2,000以上
感想・評価ももうすぐ100を超えます。
話数も30をこえて自分にしては意外と長続きしている作品となりました。

皆様のご期待に添える作品になるように精一杯頑張りますのでよろしくお願いします。
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