ダンジョンに死の恐怖がいるのは間違っているだろうか。(仮) 作:TE
書くペースが週一くらいになってしまい申し訳ないです。
でも今のところはこれが限界かと思われます、、、
では本編をどうぞ。
第33話~手掛かりと嘘~
「と言うわけで俺はロキ・ファミリアに遠征の同行依頼をされた」
「なん、だってえええぇぇぇ!?」
俺、ハセヲは生存報告をしたら
その報告にヘスティアはかなり驚いていた。
「そんな依頼を受ける必要はないよ、ハセヲ君!というか受けるなんてボクが許さないぞ!」
「報酬として二千万ヴァリス払うと言われたけど?」
「それでもだ!お金でボクが許すと思っているのかい、君は!!」
思ってはいないが、予想以上にお怒りなところは意外だなと思ってる。
ちなみにロキには保留にしてもらった。
遠征の3日前までには返事をくれとの事だから約4日の考える時間があるわけだ。
正直言って俺はかなり迷っている。
ダンジョンの深層へと行ける絶好のチャンスだが、自由行動など出来るとは思えないので元の世界に帰る為の手掛かりを探す事は出来ないだろう。
なら、ソロで潜って探した方が良いんじゃないかと思ったりもしている。
「それにだ!遠征なんて行ったらその間ハセヲ君と会えないって事じゃないか!ボクはそんなの嫌だよ!」
「そんな子供っぽい理由・・・」
「子供っぽいが何さ!おりゃあっ!」
「お、おい・・・?」
ヘスティアが急に抱きついて来て俺の胸の中へと顔を埋めた。
そして、見上げてくるヘスティアと目が合う。
その目は、涙で潤んでいた。
「ハセヲ君が元の世界に帰ってしまう時が来たら、君とはもう二度と会えなくなる。ならその時まで精一杯甘えたって良いじゃないか・・・」
「・・・・・・」
確かにいずれ俺は元の世界に帰る。
そうなれば、ここで出会ってきた奴らとは永遠に会えないだろう。
ヘスティアにとって俺は初めての眷属で家族だ。
そんな人間と死ではない別れで二度と会えないなんて、そんなの悲しすぎるだろう。
でも、これは仕方のない事なんだ。
だから、ヘスティアの言う通りで多少は甘えさせるくらい良いのかもしれない。
そう思ったら俺の手は自然とヘスティアの頭の上に置かれていた。
「ヘスティア・・・」
「・・・ハセヲ君。君の手は暖かいね」
とても気持ち良さそうで幸せそうな顔になるヘスティアに俺は引き続き、頭を撫で―――。
「・・・ハセヲ君?どうしてさっきまで優しく撫でてたのにアイアンクローのように痛くううううううっ!?」
「せいっ!!」
「うおわあああああああっ!?ぐぴゃ!?」
―――ようと思ったが気が変わり、アイアンクローをしてベッドへと投げつけた。
そして、ヘスティアがベッドの上に落ちたと同時にベルが入ってきた。
「ただいま帰りました!神様!ハセヲさん!」
「お、おう。お帰り」
「あれ?神様寝ちゃってるんですか?」
変な角度で落ちたから気絶しているんだと思うが、どうしてそうなったのか聞かれそうなので黙っておくことにしよう。
「それより、なんか嬉しそうじゃねえか、ベル。何か良いことでもあったか?」
「え?えっとですね・・・。実は今日、アイズ・ヴァレンシュタインさんに会っちゃいまして・・・。色々とお話することが出来たんです!」
そういえばアイズもベルに会ったと話していたな。
ベルと違ってとても恥ずかしそうにしていたけど・・・。
「それでですね!成り行きで修行を付けてくれる事になったんです!とても楽しみですよ!!」
「へえ・・・」
修行するって話は聞いてないな。
もしかして
でも、考えてみれば他ファミリアの人間に修行を付けるなんて普通はありえないか。
「あ、でも、神様には内緒でお願いしますね?バレたら怒られそうですし・・・」
「分かった。しっかりしごかれて強くなって来いよ」
「ありがとうございます、ハセヲさん!もちろんです!!頑張りますよ!!」
明日からの修行に燃えるベルを横目に俺はとりあえず、気絶したヘスティアの看病をする為に動いた。
ヘスティアが目を覚ましたらとても怒られたが、お詫びとして頭を撫でたり、抱きしめてやったらすぐに許してくれた。
そんなこんなで翌日。
俺はリューとの修行を終わらせた後、ギルドへとやってきた。
依頼提示版を眺めている所だが、今のところ金に困っている訳ではないので受けるつもりはない。
それではどうしてこんな所にいるのかというと時間潰しだ。
ギルドの玄関である奴と待ち合わせとなっているのだが、まだ時間に余裕があるのでこうしてどんな依頼があるのか眺めてる。
「ん?これは・・・」
【捕獲依頼】
18階層で新種生物を発見したが、凄い速さで逃げられ、追い詰めても煙を出して消えてしまいます。
どうかこの生物を捕まえ引き渡してくれないでしょうか?
特徴は、身体全身紫色でぬいぐるみのような大きさ。
頭には光球を浮かばせている。
「チムー」という特徴的な鳴き声をします。
依頼主:ヘルメス・ファミリア団長アスフィ
「・・・いや、まさか・・・」
凄く心覚えがある新種生物の特徴に動揺する俺は依頼書を取って空いている席に座った。
これって、『あれ』だよな?
この世界でもいるのか?
いや、でも新種と書いてあるし・・・。
「ハセヲ君?どうしたの?」
「うおっ!?」
俺が考えている所に誰かが後ろから声をかけてきやがった。
いきなりの事だったので声を上げながら振り向くとそこにはエイナがいた。
「そ、そんなに驚かなくてもいいんじゃない?というか、待ち合わせの時間もう過ぎてるんだけど?」
「え?あ、ああ。もうそんな時間か」
どうやら考え事をしていたらかなりの時間が経っていたようだ。
そして、待ち合わせをしていたのはエイナだった。
この前ちょっとした約束でスイーツバイキングを御馳走すると約束していて、それを今日果たそうということになったんだ。
なので、今のエイナの服装は見慣れたギルド服ではなく私服であった。
「それは依頼書よね?何か気になるのでもあったの?」
「ああ。これなんだが、いつ頃依頼されたか分かるか?」
「ヘルメス・ファミリアの【
なるほどね・・・。
俺も蹴った事はあるが捕まえた記憶はない、というか捕まえようと思ったこともなかったな。
「この依頼を受けるの?」
「いや・・・でも話は聞いてみたいと思う」
「そう。それじゃあ、行きましょうか。ヘルメス・ファミリアの拠点へ」
「は?」
エイナの言葉に俺は思わず変な言葉を出してしまう。
そんな俺の様子に溜息を吐いてエイナが話し出した。
「ハセヲ君。今すぐにでも会って話を聞きに行きたいって顔をしてたわよ?それにそんな顔でスイーツバイキングなんて行きたくないもの」
「わ、悪い・・・」
「いいの、いいの。ほら、行きましょう!」
歩き出すエイナの後を追うように俺も歩き出した。
少しでも帰るための情報が得られれば良いんだが・・・。
「いきなり訪ねてきて悪いな、アスフィ」
「構いませんよ、ハセヲ。貴方には大きな貸しがありますからね」
ヘルメス・ファミリアの拠点へやってきたハセヲ達はアスフィとすぐに会う事が出来た。
本来ならば多忙なアスフィと対談など滅多にできない事なのだが、ファミリアの恩人とも言えるハセヲは別だった。
作業机に山ほど積まれた資料にハセヲとエイナは凄く驚いている。
「早速なんだが、最近依頼を出していた捕獲対象について聞きたいことが―――」
「あの生物を知っているのですか!?」
急に立ち上がって声を荒げるアスフィ。
さらに作業机を強く叩いたせいで山ほど積まれた資料が崩れてしまう。
そんな珍しい様子のアスフィに唖然としていると、自らの行動に気づいた彼女は軽く咳き込み、椅子へと座る。
「失礼しました。お恥ずかしい話。私はあの生物をありとあらゆる手を使って捕獲を試みたのですが全て失敗に終わってしまったのでつい・・・」
「そ、そうか・・・」
「ど、どうしてそこまでして、その生物を捕獲しようとしているのですか?」
「・・・目的はあの生物の頭の上にある光球です。あれには魔力とは違う大きなエネルギーを感知しました。あれを解析すれば何かの役に立つと思うのです」
「・・・そうなのか。その生物の写真とかないのか?」
「こちらに」
アスフィがハセヲに封筒を渡す。
それを受け取ったハセヲは中身を取り出すと写真が入っており、それを見たハセヲは内心でやっぱりと確信した。
その写真に写っている生物は『チムチム』だった。
TheWorldに存在するキャラクターで、アスフィが言っていた光球『チム玉』を落とし、それを集めて様々な仕掛けを動かしたりする事が出来る。
重要キャラクターと言ってもいい存在。
「こいつを見つけたのはいつだ?」
「例の一件で【剣姫】と合流する前ね。18階層についてリヴィラに向かう途中で木の上から落ちてきたの」
TheWorldでも木を蹴ってチムチムを落としたりもしてたのでハセヲは納得するがエイナはまた違うところに引っかかった。
「ハセヲ君。例の一件って?」
「え?あー・・・ちょっと色々あってな?」
『例の一件』とはつい最近ハセヲが死にかけた依頼の事であるが、出来ればその話はしたくないので、適当な話で誤魔化そうと決めるハセヲ。
「ロキに依頼を受けて24階層に行ったんだ。別の依頼でアスフィとも合流したんだよ」
「ハセヲ君。24階層って初耳なんだけど?ちゃんと報告するって約束したわよね?」
「いや、今日言おうとしたんだって、マジで!」
「本当かしら・・・」
焦るハセヲを見て怪しむエイナ。
とりあえず、エイナが階層の事に頭が言っているようで内心安心したハセヲはアスフィに声をかける。
「そ、それで、こいつを捕まえる目的はなんなんだ?」
「頭の上にある光球よ。あれには魔力ではない特殊な何かを感じたの。だからそれを調べて何かの役に立てないかと思って」
「そうか。じゃあ、最悪はこのチム・・・光球を持ってくればいいのか?」
チムチム本体は特に力の生物であるのでハセヲはそう尋ねると、アスフィの眉間に皺が出来る。
「いいえ。捕獲です」
「・・・でも、光球が目的なんだろ?」
「捕獲です。異論は認めません」
「なん―――」
「捕獲です」
「あ、はい・・・」
捕獲に拘るアスフィ。
理由を尋ねても無駄だろうなと感じたハセヲはそれ以上聞くことはなかった。
「さてと、寄り道をしちまって悪かった。スイーツバイキングの店に行こう」
「ええ・・・」
私、エイナ・チュールはギルドの受付兼冒険者達のアドバイザーをしている。
その担当冒険者の一人であるハセヲ君とお出かけをしているわ。
一応言っておくが、これはデートではなく、お出かけ。
彼は今までで一番私を悩ませている冒険者なのだ。
今回のお出かけだって、私に迷惑をかけたからそのお詫び。
初対面で座学を真面目に聞いてた時は優秀な子だと思ってたんだけど、いざダンジョンに潜れば、初日で三日間帰ってこないわ、一人で五人パーティー以上の成果を出すわ、知らない間に到達階層を増やしていくわ、とかなりの問題児だった。
最近は落ち着いてきた思ったんだけど、ついさっき到達階層を24階層まで増やしていた。
彼は本当にレベル1なのかしら?
レベル2どころかレベル3であっても私は不思議じゃないと思うし、驚かない自信があるわ。
でも最初のハセヲ君の印象はかなり恐かった。
近づく敵味方問わず全てを傷つけてしまうんじゃないかと不安にもなった。
でも、少しして雰囲気が変わり、彼の周りには色んな人が集まっていた。
さっきのヘルメス・ファミリアの方々のようにハセヲ君の交流関係はかなり広くなっている。
今のハセヲ君なら心配はないと思っているんだけど、違和感を感じた私は思い切って話しかける事にした。
「ハセヲ君、ちょっと聞きたい事があるのだけどいい?」
「・・・んだよ?」
「もしかしてなんだけど、ハセヲ君はあの新種生物の事を知っているんじゃない?」
私の言葉にハセヲ君の足が止まり、振り向いて私を見る。
そんなハセヲ君が少し恐く感じた。
「・・・なんでそう思うんだよ?」
「なんかいつものハセヲ君と様子が違うからもしかしたらって・・・」
「俺はいつも通りさ。見覚えがあるなって程度のもんだよ」
ハセヲ君はそう言うが多分嘘だと思う。
何で分かるのかと言うならば、受付で沢山の人と話しているからだ。
その時に見栄を張った嘘や後ろめたい嘘など冒険者から沢山の嘘を聞いてきた。
でも今のハセヲ君の嘘は違う。
理由は分からないけど私の為の嘘なんだと感じた。
「そう・・・。それじゃあ、行きましょうか。お預けされて私とてもお腹がすいちゃった。ちゃんとエスコートしてよね、ハセヲ」
「へいへい」
私が手を出すとハセヲ君は優しく手を握り、優しく目的のお店へとエスコートしてくれる。
ここで嘘と言っても何も変わらない。
なら、私はいつも通りに接しよう。
ハセヲ君もそっちの方が良い筈だから。
謎の新種生物とはなんなんだ!?
てな訳で色々とぶっ込んでいく予定ですのでよろしくお願い致します。