ダンジョンに死の恐怖がいるのは間違っているだろうか。(仮)   作:TE

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あけましておめでとうございます!

久しぶりの更新です。

遅くなってしまい申し訳ありません。


第38話~遠征開始~

第38話~遠征開始~

 

「ふっ、くわあああっ~」

 

俺、ハセヲは珍しく遅めの起床で、だらしなく欠伸をしている。

そんな状態のまま、俺は顔を洗うためにキッチン兼洗面台へと向かうが、その途中である光景を目にした。

 

「・・・ヘスティア、何やってんだ?」

「え?あっ・・・」

 

ヘスティアがカップの容器と取っ手部分を接着剤でくっ付けようとしていた。

こいつ、カップを壊しやがったな?

 

「ち、違うんだハセヲ君!これは不吉にも急に割れてしまったのであって、僕が割ったんじゃない!!」

「神様には嘘が通用しないからって神様が嘘をついて言い訳じゃねえんだぞ?」

「本当なんだってば!?」

 

涙目になって弁解するヘスティアは俺に詰め寄って必死の様子だ。

ヘスティアをからかうのはこの辺にしておこう。

 

「分かった、分かった。怪我はしてないか?」

「う、うん。大丈夫。本当に僕が割ったんじゃないからね!」

「シンジテル、シンジテル」

「全く心が籠っていない返事なのに、その言葉は嘘じゃない・・・」

 

納得のいかない表情で俺を見るヘスティア。

まあ、ヘスティアが割ったなら粉々になっているだろうからな。

 

「なんか失礼なことを考えられているような気がする・・・。まあ、いいや。ハセヲ君。とりあえずこれを見てほしい。今朝更新したベル君のステイタスだ」

 

ヘスティアから一枚の紙、ベルのステイタスが書かれている紙を渡された。

そのステイタスと言うと―――

 

~~~

ベル・クラネル

 

Lv.1

力 :A 819 →SH 1142

耐久:C 635 →SI 1060

器用:A 861 →SH 1118

敏捷:S 953 →SG 1279

魔力:I 0 →S 993

 

《魔法》

【ファイアボルト】

 

《スキル》

憧憬一途(リアリス・フレーゼ)

 

~~~

 

 

―――といった具合だ。

 

「ベルに念願のスキルが発現したんだな。兎のように飛び跳ねながら喜ぶ姿が目に浮かぶ」

「ちがああああうっ!!ボクが見てほしいのは能力値の方!それにスキルはもっと前から発現しているよ!」

「能力値?特にこれと言っておかしな事はないが?」

「・・・そうだった。ハセヲ君もレベル1の時はこれ以上だったから特に何も思わないのか・・・」

 

頭を抱えるヘスティアだが、俺はベルのスキルについて気になった。

ずっと前から発現しているって事は俺やベルにその事を教えなかったって事なんだろう。

 

「どうしてベルにスキルの事を内緒にしていたんだ?」

「【憧憬一途(リアリス・フレーゼ)】はハセヲ君と同じで見たことがないレアスキルなんだ。ハセヲ君は兎も角、ベル君は隠し事が下手だから言わないようにしたんだよ。念の為にハセヲ君にもね」

 

なるほどね。

確かにあいつは嘘が吐けないからな・・・。

 

「ベルがランクアップするのも時間の問題って訳だな」

「そうなるね。ベル君がランクアップしたらハセヲ君のランクアップの事もギルドに報告するけどいいよね?」

「ああ。大丈夫だ」

 

もしベルがランクアップしたら世界最速記録となるだろう。

まあ、俺も常識的に考えると異常な速さだし、なんなら俺の方が速くランクアップしている。

報告してないから公式的にはベルよりも半月くらい遅い計算になるだろうけどな。

 

「ボクの子供たちはどうしてこう常識はずれなことばっかりするんだろうねー。退屈はしないけど、不安でしょうがないよ」

「全くだな。ベルには困ったものだ」

「関係ないように言っているけど、ハセヲ君がその筆頭なんだからね!?」

 

そんな感じのお喋りをしながら、俺はヘスティアにステイタスの更新をお願いした。

 

今日が遠征出発の日。

集合時間まであとわずか。

今のようにヘスティアと過ごすのが最後になると思うと寂しいものがある。

まあ、いつになるかは分からないが、帰ってくるんだ。

しんみりしていても仕方ない。

 

「ハセヲ君。ステイタスの更新が出来たよ・・・」

「ん?おう」

 

俺はヘスティアからステイタスを写した紙をもらってその内容を確認した。

 

 

 

~~~

ハセヲ

 

Lv.2

力 :E 443 → SI 1055

耐久:F 365 → SI 1021

器用:D 571 → SH 1187

敏捷:E 401 → SI 1023

魔力:E 497 → SI 1091

覚醒:I

 

《魔法》

変化なし

 

《スキル》

変化なし

 

~~~

 

 

「これはまあ、あれだ。俺のランクアップも間近だな」

「早すぎるよ・・・」

 

確かにそうだな。

その時はまたベルがランクアップするまで隠しておくしかない。

 

「それじゃあ行くか」

「・・・もう時間なんだね。気を付けていくんだよ?出来る限り戦闘はロキの眷属に任せるんだよ?」

「分かってる。無茶はしない」

 

無茶をする気はないが、無茶をしなければ倒せない敵が59階層にいる。

【死の恐怖】(チート)を使わなければ勝てない(バグ)が・・・。

 

 

「・・・ハセヲ君。しゃがんで」

「え?なんで?」

「いいから」

 

俺はヘスティアに言われた通りにしゃがむ。

下に向けていた視線を前に戻すとそこにあったのは、ヘスティアの大きなあれがあった。

ヘスティアが俺の頭を抱きしめる。

 

柔らかくて良い匂いが・・・。

って違う!

いきなり何しやがるんだ!?

 

「大人しくするんだ。あと少しだけで良いから、君の温もりを感じさせてくれ」

「・・・・・・」

 

ヘスティアの言葉に俺は黙って従う事にした。

あんな悲しそうな声で言われたら従うしかない。

 

「・・・ありがとう、ハセヲ君。もう大丈夫」

「そうか」

 

ヘスティアから解放された俺は立ち上がり、遠征の集合場所へ向かう為に歩き出した。

ドアの前まで行くと俺は振り返りヘスティアに言葉をかけた。

 

「行ってくる」

「うん!行ってらっしゃい!!」

 

満面の笑顔で見送ってくれるヘスティアに心を満たした俺はドアを開いて今度こそ遠征の集合場所へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バベル前中央広場。

集合時間の少し前にやってきたハセヲは腰を下すために適当な場所を探していた。

そんな時に一人の男性がハセヲに声をかけた。

 

「あっ、ハセヲさんっすね?待ってたっすよ」

「ん?あんたはロキ・ファミリアの・・・」

「『ラウル・ノールド』っす。ハセヲさんと顔を合わせる事はあったけどこうして話すのは初めてっすね。よろしくっす」

 

ロキ・ファミリアの第二級冒険者『ラウル』がへらへらした表情をしてハセヲにそう話しかける。

 

「あ、ああ。よろしく・・・。それで俺が受け持つ荷物はどれなんだ?」

「案内するっす。こっちすよ」

 

ラウルに案内されるとそこには沢山の野営グッズが置かれていた。

他にも木箱に入れられた様々な武器や防具に回復アイテムや食料など、遠征に必要な荷物が置かれている。

 

「野営グッズをメインに受け持ってほしいっす」

「分かった」

 

ハセヲはラウルに言われた通りに野営グッズをアイテムボックスに収納していく。

テントや料理器具に携帯家具など細かい物が多く、50種類収納できるアイテムボックスはほぼ埋められてしまった。

 

「これで全部か?」

「そ、そうっす。便利なスキルっすね!十数人で持つ荷物を一人で持てちゃうなんて凄すぎるっすよ!マジ助かったっす!」

 

荷物運びの負担がかなり減少した事に喜ぶラウルだが、ハセヲは少し納得が出来ていないようだ。

 

「別に良いんだがこの大量の荷物を他ファミリアの俺に預けて良いのか?最後には高級な回復薬も入れたが、ダンジョン内で逃げてそれらを売り払う事も可能だぜ?」

「うっ、それは・・・」

「ハセヲはそんな事しないから大丈夫!」

 

ハセヲの言葉にたじろぐラウルだったが、ハセヲの背後から元気な声と同時に軽い衝撃が襲う。

ハセヲが首だけを動かすとそこには笑みを浮かべるティオナがいた。

 

「ティオナ、急に背後から跳び付くな。つうか、何の根拠があってそんな事を言うんだよ」

「勘!!」

「勘っすか!?」

 

自信満々だがその答えが曖昧な事に驚くラウル。

ハセヲも呆れて溜息を吐くがティオナは笑って話し出した。

 

「誰かを裏切るような人を便利だからって遠征に呼ばないよ。それにハセヲがそんな人じゃないって私以外の人も知っているから大丈夫!」

「まあ、確かにその通りっすよね。ロキやフィン団長達からの話も高評価でしたし、泥酔したロキをわざわざ送り届けたりする面倒見の良い人がそんな事するわけないっすね」

 

盗みなどする訳がないのだが、そこまで高評価されると気まずく感じるハセヲは頭を掻きながら溜息を吐く。

 

「出発までまだ時間あるよな?俺は適当にぶらついてるぞ」

「わかったっす。でも、出発前にフィン団長から皆にお話があるっすからその時にまで戻ってくるっすよ」

「ああ」

「あ!私も行くー!」

 

時間潰しの為に散歩をするハセヲとティオナ。

最到達階層を目指すだけあってかなりの大所帯にハセヲは感心していた。

そんな中、一人の男性に目をかけたハセヲは声をかける事にした。

 

「よう、ベート」

「・・・チッ!てめえか。本当に来やがったようだな。ビビッて来ねえと思ったぜ」

「俺は基本戦わないからな。ビビる必要なんてねえんだよ。ベートこそ久しぶりの最下層にビビったりしてんじゃねえだろうな?」

「誰がビビるか!この格下!てめえが武器を持つ時なんて一度も来ねえからな!」

「ああ。そうなる事を祈ってるよ」

 

ハセヲがそう言うとベートは舌打ちを吐きながらその場からどこかに行ってしまった。

 

「なんかベートってハセヲと会うと必ず喧嘩するよね。どうして?」

「いや、これは喧嘩じゃねえよ。これは俺とベートの挨拶のようなもんだ」

「男同士の友情ってやつ?いつの間にそんな仲良くなったの?」

「そういう事でもねえが、まあ似たようなもんだ」

「ふーん?」

 

ハセヲの言う事が良く分かっていないティオナ。

そんな二人がまた歩いていると、二人の女性がハセヲの目に入った。

二人の女性もハセヲに気づいたようで一人の女性が手を振ってハセヲを呼ぶ。

 

「おーい!ハセヲ!」

「アイズの隣にいるハセヲを呼ぶ子はハセヲの知り合い?」

「ああ。とりあえず行ってみるか」

 

ハセヲとティオナはアイズ達がいる方へと向かい、ハセヲを呼んだ女性が駆け寄ってきた。

 

「ハセヲも遠征に行くんだってな!また頑張りすぎて死にかけんなよ?」

「分かってるつーの。ルルネはどうしてここにいるんだ?お前も遠征に参加するのか?」

 

ハセヲを呼んだのはヘルメス・ファミリアのルルネで、ハセヲの質問に彼女は首を思いっきり振って否定する。

 

「そんな訳ないじゃん!深層なんて命がいくつあっても足りないよ!私は剣姫やハセヲに渡したいものがあってきたんだ」

「アイズだけじゃなくて俺にも?」

「私が愛用している携帯食とアスフィ特製の回復薬だ。大事に使ってくれよ?」

「ああ。ありがとな」

「へへっ、こんなんじゃ前の件のひと欠片分しか恩を返せてないから気にすんな。それじゃ、遠征から帰ったら一杯やろうな!じゃあな!」

 

ハセヲに携帯食と回復薬を渡したルルネは手を振りながら去っていった。

側にいたアイズとティオナも準備があるからと離れていきハセヲ一人になった。

ハセヲは適当に時間を潰すために歩き出そうとしたとき、誰かに手首を捕まれる。

 

「は、ハセヲ!やっと見つけた!」

「や、ヤマト?」

 

ハセヲの手首を掴んでいたのはヤマト・(みこと)だった。

いきなりの事で驚くハセヲはとりあえず(みこと)の息が整うのを待つ。

 

「で、どうしてお前がここにいんだ?」

「ハセヲが遠征に行くと聞いたのでな。こ、これを餞別に持って行け」

 

(みこと)が持っていた風呂敷に包んだものをハセヲに渡す。

 

「何が入ってるんだ?ほんのりと温かいが?」

「に、握り飯だ。3個入っている。付合せに沢庵も入れたぞ」

「へえ。1個食べていいか?ちょうど小腹が空いてたんだ」

「えっ!?か、構わないが・・・」

 

(みこと)から許可をもらったハセヲは風呂敷から握り飯を一個取り出した。

野球ボールくらいな握り飯をハセヲは大きく口を開けてかぶりついた。

 

「おっ?具は梅干しだな。俺の好きな具材だ」

「ほ、本当か!?オラリオには珍しい食べ物だから不安であったのだが喜んでもらえて良かった!」

「沢庵も美味いし、これで味噌汁でもあったら最高だな」

「ハセヲは味噌汁も知っているのか!」

 

オラリオではあまり知られていない東方の料理名を言うハセヲに(みこと)は唖然とした様子である。

 

「おう。前に食べたことがあってな」

「そうだったのか。すまないが流石に味噌汁は用意出来なかった」

「気にすんな。帰ったら御馳走してくれ」

「あ、ああ!了解した!最高の味噌汁を御馳走する。だから無事に帰ってきてくれ」

 

そう言って(みこと)は去っていき、それから少ししてフィンの弁舌が始まった。

 

『全員この地上の光に誓ってもらう!必ず生きて帰ると!!』

 

その言葉に沢山の人と帰る約束をしたハセヲは改めて気合いを入れなおす。

 

『遠征隊、出発だ!!』

 

ハセヲの初めての遠征が始まった。




今年初の更新いかがでしたでしょうか?

楽しんで頂けたら幸いです。

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ご協力してくれた皆様本当にありがとうございます!
まだ募集してるんで、おふざけなネタでももちろん構わないので案を頂けたら幸いです!
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