どうにもならない、そんな時…なんだけどさぁ!   作:#任意の文字列

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やっと一区切り。長かった…

ウルトラマンガイア7話『地球の洗濯』、あれですね。石室コマンダーの何か持ってる感が半端ないですね。篆書体の文字の件とか、我夢の言葉から種をまくの答えを出したところとか。そして我夢に対してのあの質問、そして笑顔。うーんこれは元ウルトラマン!不気味!
また梶尾リーダーが笑みとハンドサインを我夢に送ったのもポイント高い。我夢も本気で心配したり戻ってきた梶尾リーダーに安堵したり、こうやって認め合っていったわけですね。
そして自然コントロールマシーン初登場。デザインはどれも好みだけど、手足が全くないテンカイが一番マシンっぽくて好き。こうやって滅びの数がたくさんあるのがガイアのいい所。最終的にこれには人がかかわっていることが示唆されましたが、まあ藤宮みたいなのもいますしこれは納得。我夢も答えに詰まってましたからね。

結局闇のネタに踊らされっぱなしになってしまう二次創作者の屑


新たなる巨人・Epilogue

「―よし!それじゃ、そろそろ行くか!」

「わかりました」「いつでもいいわよ」「うん、行こう」

 

 ヘッケランの号令に、すでに準備を終えた自分たちが応える。念のため行われた最後の確認が終わり、自分たちはとうとう、『ティガの地』を出発する運びとなった。

 あの戦いが終わり、元に戻った自分たちは無事仲間たちと合流することが出来た。『フォーサイト』の皆とともにいた『蒼の薔薇』のメンバーたちは、ラキュースさんと共に戻ってきた自分を見て自分の正体を察したらしく、自分も隠しても無駄な気がしたので後で自分がガイアであることは話してしまった。因みにその時聞いた話では自分はテラノイドが現れた後一言二言ラキュースさんと会話した後すぐに飛んでいって、そこからガイアが現れたとのことで、割と怪しかったらしい。今回の変身直前の記憶がうろ覚えなのはわかっていたが、そんなわかりやすい真似をしていたとは。普段はもっと慎重にやるはずなのに。反省しなくては。

 そんなことがあった後、自分たちはとりあえず一休みし、村の中や崩れた遺跡の中から出来る限り荷物を引っ張り出すと、ようやく本来の目的地へと出発できるようになった。戦いは終わったが、旅行は途中なのでこれからもうひと踏ん張りである。

 それと、旅行の続きをするにあたって、意外な事実が判明した。

 

「あらアルシェ、もう準備はいいの?」

「ええ、ラキュースさん。こちらは準備できました」

「そう。私たちも準備万端だから。それじゃ、行きましょうか」

「はい!」

 

 待ち合わせ場所にてラキュースさんに声を掛けられ、準備が出来た旨を伝えると、彼女も笑顔で答えてくれた。彼女のそばには『蒼の薔薇』のメンバーが勢ぞろいしており、こちらも準備万端といった様子だ。

 そんな彼女を見ていると、ふとある事を思い出す。『フォーサイト』と『蒼の薔薇』に共通した、とある意外な事実を。

 

「それにしても驚きました。まさか、目的地が一緒だったなんて」

「そうね、私たちも噂だけは知っていて、行くのは初めてなのだけど…あなたたちの目的地がそこなのは、私も驚いたわ。どこで知ったの?」

「えっと、リーダーのコネ、みたいなもので…」

「ふぅん…ターマイトさん、顔が利くのね」

 

 ラキュースさんはふむふむと頷きつつ、そんなことを口にする。…怪獣ビジネスは一応身バレが怖い領域の商売になってしまっているので、こちらの正体は明かせないのだ。ごめんなさいと心の中でつぶやきつつ、彼女が納得した用薄を見せてくれたことに対しひそかに感謝した。

 さて、自分たちに共通した意外な事実とは、実は最終的な目的地が同じだったという事。これが判明した時は、この後どうするのかを訪ねてきたラキュースさんも、それに応答した自分たちも驚いたものだ。なんでも、ラキュースさんはここで光の巨人の事を調べたのち、次なる目的地にあの隠れ里らしい所をセットして、いろいろ溜まっていた疲れを取ろうと考えていたらしい。ちなみに、ラキュースさんは目的地を決めた理由を自分の仲間にいろいろあったからその慰労みたいなものだ、なんて言っていたが、後で『蒼の薔薇』のメンバーから、いろいろため込んでいたのはラキュースさんで、そっちの疲れを取る事の方が大きいみたいなことを言われた。その事実を聞いた時、同時にその慰労の必要がないくらいラキュースさんが明るくなったことを感謝されて、少しこそばゆい思いをしたのは、記憶に新しい。

 そういうことを含め、ラキュースさんが元気になったのはいいことだった。そんな彼女を見ると、自然と笑顔になり、それを見た彼女もまた、笑顔を向けてくれた。

 

「…なあ、ロバー。リーダー俺だよな?これもう俺がしゃべっちゃいけない奴か?」

「え!?いや、そんなことはないと思いますが…?」

「好感度の差じゃない?あの二人の間で何かあったようだし…ここはアルシェに任せておきましょ?」

 

 …自分たちを見たヘッケラン達が、後ろで何か言っている。うん、ごめんなさいリーダー。心配しなくても自分たちのリーダーはあなただけだよ、と心の中で詫びを入れ、戻ろうとす『ガシッ』…なんか腕をつかまれた。

 

「…あの、ラキュースさん。なんで、自分をつかむんですか?」

「あら?一緒に行くのだから、離れる必要はないでしょう?何か問題があるのかしら」

「…いえ、ないです」

「なら、いいじゃない。いい、のだけれど…」

 

 ラキュースさんは見事な笑顔でそう言い放つが、なんか、こう…なんだろう?言語化できない、何かの圧のようなものを彼女から感じるのは気のせいだろうか?自分が悩んでいると、彼女も彼女で何か悩んでいた様子だったが、突然「そうよ!」と手をたたいた。…手は離れたが、仲間たちの元に行ける空気ではない、気がする。

 

「アルシェ、お願いがあるのだけれど…私に対する敬語を、やめてもらえないかしら」

「え?それは、どうして…」

「あなた、あの時言ったでしょ?自分と私は、同じなんだって、離れても一緒にいてくれるって…そういう相手とは、私出来るだけ対等でありたいのよ。おかしいかしら、この気持ち」

「いえ…そんなこと、ないと思います…」

「なら、これからは…とりあえず、あそこにいるあなたの大切な仲間みたいに接してね?アルシェ」

「わかり…ううん、わか、った」

「よろしい」

 

 ラキュースさんはそう言って、再び満足そうに笑う。その笑顔は生気に満ち溢れており、思わず引き込まれてしまいそうな、見事な大輪の花で…いやいや。そうじゃない。何か今結構重要なことが決定された気がするのだが、気のせいか?…気のせいだろう、と思いたい。

 

「…あ、ありのまま起こったことを話す…鬼ボスが会いたかった人物と会話していたと思ったら、いつの間にかティアと同じ道を歩もうとしていた…な… 何を言ってるのかわからないと思うが、私も何をされたのかわからなかった…」

「いや落ち着けティナ。多分そんなんじゃねぇだろ。多分」

「バカな、ライバルだと…しかも鬼ボスって…なんか純情そうだからいけると思ってたのに…!」

「お前も落ち着け…いやその前に、ティアはもう少し節度を持ちな」

 

 なんか後ろでガガーランさんたちが妙な会話している気がするが、聞こえない。聞こえないったら、聞こえないのだ。

 そんな会話を交えつつ、とりあえず出発した。

 

「うっ…うううっ…!」

 

 皆で目的地に向かい歩き始めしばらくたった後、後ろの方から誰かがすすり泣くような声が聞こえた。…いや、実は、出発してから時折聞こえている。それに、誰が泣いているのかもわかっている。

 ラキュースさんに引っ張られ先頭を行く自分がその方向に首を向けると、そこにはすすり泣くイビルアイさんと、そばでまたかよ…みたいな顔をしつつ話しかけようとしているガガーランさんの姿があった。

 

「…なあ、イビルアイ。いい加減に泣き止んだらどうだ?終わったことをくよくよしたってしょうがねぇだろ」

「う、うるさい!私はまだ終わってない!」

「いやそういうのじゃねぇって…まあ、あのモモン様についていけなかったのは、今回は本当に仕方ねえと思うぜ?なんか纏っている空気変だったろ」

「そ、そうか…?い、いや私が悔んでいるのはそこではない…私はこの間お前についていくことが出来たことを教えてもらったのに、そのことをすっかり忘れていた私自身が、悔しくて、残念で…!ああ、モモンさまぁ…!」

「…自業自得じゃねえか。猶更質が悪い…」

 

 ガガーランさんは心底呆れた様子で、イビルアイさんは心底残念そうな様子で話している。なんというか、イビルアイさんが復活するまでまだ時間が掛かりそうだ。

 それにしても…モモン?

 …

 …

 …

 …誰だっけ?

 

「…ねえ、アルシェ?どうかしたの?」

「ふぇ!?あ、や、なんでも、ないです…」

「…?何かあったなら、言ってちょうだいね。私とあなたの仲だもの」

「は、はい、わかり「敬語」…わかった。ありがとう、ラキュース」

「…うん!それでよろしい」

 

 気が付くと、ラキュースさんが心配そうな顔でこちらを覗き込んでいた。慌てて返事をしたが、自分はそんなに変だったか?つい敬語が出てしまったが、これはまあぼちぼち直していこう。急には難しい。

 そして、モモンさんだ。うん、もう思い出した。さっき何故か思い出せなかったが、どうしたんだろう自分。疲れているのだろうか?ラキュースさんから聞いた目的地の隠れ里は、慰労にはぴったりだし、すぐに行きたいところである。

 さて、モモンさんだが、ゼルガノイドを倒した後自分たちが一休みしようかといったところで、彼はナーベさんと共にこちらの方にやってきた。なんでも彼はテラノイドの出現に巻き込まれ遺跡に生き埋めにされかけたとかで、その後は何とか脱出し、テラノイド戦及びゼルガノイド戦の一部始終を見終わった後、ナーベさんと合流してこちらを見つけたとのこと。その後彼は、まだほかに用があるとかで、自分たちとの会話もそこそこに、一泊した自分たちと別れて出発してしまったのだ。自分がガイアである事を言ったのは村で一泊した後だし、合流した時にもこちらにウルトラマンの正体についての言及がなかったので、バレてないのだろう。仲間外れにして悪かったと考えるべきか、ウルトラマンの正体がバレることは面倒に繋がるからできるだけ自分とラキュースさんの事は知られない方が良い、よってよかったと考えるべきか、よくわからない。まあ、過ぎたことはしょうがないし、彼の事はまた会った時に考えるとしよう。

 そんな感じでしばらく考え事をしていると、ラキュースさんはまだ自分の方を見ているのに気が付く。いたって真面目そうな彼女は、自分が何か反応するよりも早く口を開いた。

 

「ねえ、アルシェ」

「はい、ラキュースさ…ううん、ラキュース」

「…ありがとう」

 

 そういうラキュースさ…ラキュースの表情は、笑顔で、だけど少しだけ悲しそうな表情だった。まるで迷惑かけたとか、悔しいとか、そんな様子で。その表情を少し意外に思っていると、彼女はそのままの表情で言葉を続けていた。

 

「今回の戦いは、ハッキリ言ってあなたがいなかったら私は死んでいたと思う。私だけじゃない、みんなも…私はウルトラマンと向き合うことが出来ないまま、死んでいたでしょうね」

「…そんな、こと」

「そんなこと、あるわよ。正直に言うと、今もあなたがいなければ、ウルトラマンになれる自信なんてない。飛び立てない私に、あなたが翼をくれた。だから今、私はこうして生きている。今回の事は、感謝してもしきれない。改めてありがとう、アルシェ」

「…いえ、こちらこそ、礼を言わなくてはならない」

「…え?」

 

 自分の言葉に、きょとんとした顔を見せるラキュース。しかし、実際自分も礼を言わないといけない位の出来事があったのだ。だから、そちらから感謝されるだけ、と言うのは違うと思う。

 そんなことを考えつつ、自分は背後に両手を回す。そこには、何もない―はずだったのだが、自分がそこにあると念じると、そこにはまだ慣れないハンドルの感触がある。つるりとしたクリスタルの感触がある。それを正面に持ってくれば、自分の目の前には『ルーブジャイロ』と『ルーブクリスタル』の姿がある。また懐を少し触ってみると、そこにも『オーブリングNEO』の存在をしっかりと感じることが出来る。それらは自分の手の上で、あの戦いで得たものは夢ではないと、しっかり主張していた。

 

「…今回自分が得たものは、とても大きい」

 

 そう言って、自分の手元に視線を移す。そこにあるのは『ルーブジャイロ』、ガイアの『ルーブクリスタル』、そして緑の結晶と『爆』の文字が輝く別のクリスタル。まさしく『ウルトラマンダイナ』の『ルーブクリスタル』だった。

 そう、自分が戦いの後確認したところ、このクリスタルが追加されていたのだ。なぜここにあるのかはよくわからないが、なんとなくだがテラノイドが関係しているような気がする。テラノイドがダイナと戦った存在だというのもあるが、それ以上に、このクリスタルの入手には彼が消滅して光になった時、自分たちの光と交わった事が深く関わっているような、そんな気がしてならないのだ。

 結局、テラノイド、そしてゼルガノイドとして人形にされ続けた光の巨人が何を思って消えたのか、本当のところはわからない。だが、少しでも分かり合えていたなら、そして悔いなく眠ってくれているなら、これほどうれしいことはない、と思う。

 さて、今回得たものと言えば、新たな変身アイテムは欠かせないだろう。自分たちに変化をもたらしたこれにより、自分たちがどうなるかはわからない。だが、これをくれた古代の巨人たちに恥じないためにも、使いこなす必要があるだろう。なにはともあれ、これらをくれた巨人たちには感謝である。

 だが、それ以上に大きなものを、自分は得た。その大きなもの、ラキュースの方を見ると、彼女はきょとんとした表情のままだった。自分はそんな彼女に対し、思いを込めて口を開く。

 

「今回の戦いで、自分はかけがえのない同胞を得た」

「…!!」

 

 ラキュースの足が止まる。彼女の表情を見るに、どうやら驚きで止まったらしい。みんなも止まってこちらを見ているが、まあ構わないだろう。そのまま、話を続ける。

 

「あなたというウルトラマンがいてくれて、本当にうれしかった。自分一人だけで全てを守るなんて、とても難しい…けど、アグルが、ラキュースがいるなら大丈夫。あなたとなら、自分はどんな戦いだって乗り越えられる。だから、ウルトラマンでいてくれてありがとう、ラキュース」

「アルシェ…!」

「…それに、自分も、大事なことに気が付くことが出来た」

 

 そう言って、視線を手元のルーブクリスタルに向ける。そこに輝くガイアの姿は、やはり頼りになる、力強さを感じさせるものだ。それを通じ、自分の中で起こった変化を再び見つめなおす。

 ウルトラマンが怖い、という感情を、自分は最初理解できなかった。ウルトラマンが怖いというその感情を、自分が持つウルトラマンの知識から否定しようとしていた。彼らは、怖くないと。

 …そうではない。ウルトラマンは、未知の存在だ。そもそも、自分の持つガイアの光でさえ自分が知る光と同じかなんてわからないのに、それをラキュースに怯えるなと言う方がおかしかったのだ。

 それに気が付いた今、自分もガイアの事が少し怖い。でもその怖さは、ガイアと、この世界のウルトラマンときちんと向き合えたからこその恐怖なのだ。何故その恐怖にたどり着けたのか、そのあたりの記憶があいまいなままだが、しかしこの感情に間違いはない、と胸を張って言える。だからこれからは、曇りなき目で見る。自分の光と正面から向き合っていくことを、自分はガイアの光に誓ったのだ。

 だから、と心に区切りをつけ、ラキュースの方を見た。

 

「だから、ありがとう。ラキュース…これからも、よろしく頼む。もう一人の、ウルトラマン」

 

 そう告げて、自分は精一杯の笑顔を、彼女のために作る。意識した笑顔が、どう届いたかはわからないが―彼女は一瞬驚いたような顔になって、そして満面の笑顔を見せてくれた。

 

「―ええ!こちらこそよろしく!私の大事な、ウルトラマン!」

 

 その笑顔は、何よりも明るく輝いていて、良き未来の到来を思わせてくれる。自分達の未来は、スフィアの襲来に超古代の存在の判明と、むしろ暗さを増したように見える。だが、今彼女の顔を見ているうちは、未来は明るいものだと、思える気がした。

 ありがとう、ラキュース。そう礼を述べる自分の心は、とっても暖かかった。

 

「―それにしても、ラキュースが闇の巨人じゃなくてよかった」

「…闇?」

 

 それから少し経って、しばらく歩いたところで、何気なくつぶやいた言葉に、ラキュースが反応した。…そういえば、自分は闇の巨人についてきちんと話をしたことはあっただろうか?せっかくだし、彼女にも教えてあげよう。

 

「ラキュース、闇の巨人と言うのは、文字通り闇に堕ちたウルトラマンの事を指す」

「闇に…堕ちた?」

「そう。元は光の側にいた者たちが、闇の力に魅了され、その誘惑に負けて道を踏み外す…そうして、闇の巨人は生まれる」

「闇の…力?」

「そうして生まれた闇の巨人は、どれも強大で恐ろしい存在。だから、あまりお目にかかりたくない存在でもある。ラキュースが闇に負ける、なんてことがなくて本当によかった」

「そう…闇に…負ける…」

 

 ラキュースは自分が聞き取れないくらいの小さな声で何かを呟きつつ、真剣な表情で何か考え込んで込んでいる様子だった。ふむ、ここまで熱心に聞いてもらえるのはやはりうれしい。もしかしたら詳しく聞いてくるかもしれないし、ここは彼女の期待に応える準備をしておこう。

 果たして彼女は、自分の肩をガッとつかむと、何故か鬼気迫る様子で、予想通りの事を聞いてきたのだった。

 

「―ねえアルシェ?闇の巨人の事、もう少し詳しく教えてくださるかしら」

 

 ―後日。

 月夜の晩、ラキュースが自身の持つ大剣と対峙し、「くっ!私を邪悪に堕とし、闇の巨人としようなどと…そうはさせない!」などとつぶやくようになったこと。

 部屋で一人、「ははは、貴様は闇の巨人となり、我が眷属としてその身を捧げる運命なのだ!暗黒の根源たる魔剣の誘惑に身を任せるがいい!」「そんなこと!私は、この光を燻らせたりはしない!我らに授けられし光の器達よ!我に星の加護を!」と二人分のセリフを変身アイテムを交えて喋るようになったこと。

 これらはまた、別のお話―

 

 

 

「ふぃ~…ああ、疲れた…」

 

 自分の部屋に入って早々そんなことを呟くと、アインズはまっすぐに自分のベッドに飛び込んだ。枕に正面から顔を突っ込み、一息つく。今はまだ日が出ており、平時ならこんなことをするわけもないのだが、今日のアインズはとにかくこうしたかった。それだけ、今回の事件は彼にとって大きな出来事だったのだ。

 

「…そういえば、帝国の偉い人が来るんだっけ」

 

 枕に顔を埋めつつ、予定を思い出す。報告によれば、帝国に送り込んだ自身の部下による皇帝のあぶり出しは成功しており、それにより皇帝直々にこのナザリック地下大墳墓に足を踏み入れる運びとなっていた。アインズはそのことを考えると気が遠くなったような感覚に襲われたが、すぐに皇帝が来るのは数日後だと思いだす。準備は十分間に合う事を再確認し、アインズはほっと一息ついた。

 

「…いや、一息ついてる場合じゃないだろ」

 

 思わず気を抜きそうになった自分を、アインズは叱咤する。仰向けになり、天蓋を見つめつつ、今回の出来事を思い返していた。

 結論からすれば、ウルトラマンはあまりにも強い。アインズはそう考える。自分を叩き落したテラノイド―巨人の事だと教えてもらった―は、その際アインズに大した注意を払っていたようには見えなかったが、それでも彼の受けたダメージは絶大だった。

 それだけならいい。応急処置を終え、外で観戦してみれば、テラノイドはゼルガノイドという化け物になりさらに強力そうな見た目になって、ウルトラマンを吹き飛ばす。その後、新しいウルトラマンが現れ、そのウルトラマンもゼルガノイドにやられたと思ったら突如あちこちから光が噴出した。それに慌てていると、それらがウルトラマン達に注がれるのが見えた。そして、光が止んだ後のウルトラマンは、光線を連発し、そして一際でかい化け物みたいな光線でゼルガノイドを吹き飛ばしたのだった。これが、アインズが見たすべてである。

 要するに、アインズは自分を何気なしに叩き落すバケモノみたいな巨人を見た後、その巨人より強いウルトラマンたちがさらに強くなったように見えたのだ。混乱してもしょうがなかった。

 ちなみにその一部始終を見た後、アインズは何とかある場所にて合流したナーベと共に『フォーサイト』と『蒼の薔薇』との最低限の情報交換をした後、そそくさとナザリックに戻ってきた。正直、ほかの事に思考を割く余裕が、当時の彼にはなかったのだ。故に、彼の記憶には、戦うウルトラマンの姿くらいしか残っていない。巨人が現れてから、アインズは巨人の事しか目に入らなかった。

 

(…さて、どうするか)

 

 巨人が強いという事実を改めて噛み締め、アインズは考える。

 ウルトラマンは、想定を超えて強かった。実際にその眼で目撃したことで、アインズの中でのウルトラマンの脅威度は鰻上りだった。これでは、ワールドエネミークラスかそれ以上か。なんにせよ、ナザリックの総力をもってしても、現状あのウルトラマン達と敵対するのは賢くない。それくらいの事は、彼にも十分理解できた。

 …そういえば、とアインズはある事を思い出す。かつて皆がそろっていた頃のギルド『アインズ・ウール・ゴウン』にて、その前身となったクラン『九人の自殺点(ナインズ・オウン・ゴール)』にもいた仲間の一人が、巨大生物が出て巨大ヒーローと戦うという話を好んでおり、その話を時々していたのだ。アインズは残念ながら、そんな話があったことは覚えていても、内容までは思い出せなかった。しかし今その話の詳細を思い出せたら、現状とっても役に立てることが出来たのでは、と何と無く考えていた。

 

(いや、そんなこと考えたってしょうがないだろ)

 

 自身の愚考を一蹴する。相手は未知の怪物で、フィクションの事が役に立つなんて限度がある。そんなことは頭から消し去りつつ、アインズは思考を続ける。

 

(…いっそ、どこかに籠るか?)

 

 そして、アインズの思考がある答えを導き出す。敵うかどうかもわからない強大な存在がいる中、自分の子供同然であるナザリックの配下達を危険にさらす必要はない。どこか深い場所に潜って、やり過ごしてしまう。自分たちが行動を再開するのは、すべての危険が去ってからだ。慎重な彼は、この考えに至り―

 

「…ダメだな」

 

 ―すぐに、破棄する。

 

「そんなことをしたって、怪獣もウルトラマンも消える保証はどこにもない」

 

 だから、そんなことをしたって意味がない。それが、アインズが籠るという選択肢を捨てた理由だった。彼がモモンとしてアルシェに聞いた話では、怪獣には地下深くに潜むものがそれなりにいるらしい。なら、今も危険だが潜った所で意味がない。空も海も怪獣はいると聞く以上、何処にも逃げ場がないという事実を、アインズは噛み締めざるを得なかった。

 それに、動きが読めない怪獣やウルトラマンが何かの間違いで自分たちの家を荒らす可能性がある以上、迎え撃つ必要性はどんな選択肢をとっても消えたりはしない。ならば、籠るという選択肢はこれ以上ない悪手であると、アインズは最終的にそう判断した。

 なら、どうすればいいか。その問いに対し、アインズは、既に答えを用意していた。

 

「戦力、増強だな」

 

 導き出した答えを口にする。どのみち戦力が必要なのは変わらないのはわかる。そして、自分の実力と今回受けたダメージを鑑みるに、現状の戦力では怪獣やウルトラマン相手にはまるで足りないのもわかる。ならば答えは一つ、戦力を増やすしかないと、アインズは考えたのだ。

 そしてその答えを出すのと共に、アインズの瞳はある存在を映し出していた。彼が今、この世界で最も強いと思う存在―

 

「ウルトラマンが、欲しい」

 

 ―ウルトラマンの姿を。

 

「ウルトラマンは、作れる。今回の事件で一番の収穫はその事だ。何がウルトラマンに必要なのかも、知ることが出来たのは大きかったな」

 

 そう言うアインズの脳裏には、燃料たる光とするための生贄、肉体たる石像の製造に必要ないくつもの巨人像の残骸…ウルトラマンをこしらえるのに必要であると考えられる要素が、浮かび上がっている。これらの要素は、アルシェにレクチャーしてもらった際の情報やこの目で実際に見てきた遺跡の状態などから導き出されたもので、またこれらに関して、生贄作りに必要な装置の情報を調べて使えそうなところは遺跡から持ち出すとか、あの崩れた遺跡を発掘するとか、用意する手段も同時に思考されていた。彼には、ウルトラマンを手にする気が十二分にあった。

 そう、ウルトラマンが驚異なら、ウルトラマンをぶつければいい。怪獣だって、ウルトラマンなら倒せる。彼はその事実をすでに自分の眼で目撃していた。

 それに、最も必要になりそうな要素はすでに彼の手の内にある。アインズはそのことを思い出し、まずそこから行動を起こそうとベッドから降り立った。

 

「ナーベラルには、苦労を掛けた。こっそりと、できる限り村人どもを捕まえておけなど…だが喜べナーベラル。お前の働きが報われるぞ」

 

 自身のために動いてくれたナーベ、否ナーベラル・ガンマにアインズは心の底から感謝する。実際ナーベラルは彼の言いつけをよく守ってくれた。特に怪獣又はウルトラマン出現時はナザリックに応援を要請することなくまず自分の方に連絡しろ、という命令を聞いていてくれたのは大きい。彼女がその通り動いてくれたお陰で、桁外れの力を持つウルトラマン共の戦いに無用な戦力を投入せずにすんだのだから。アインズが遺跡の崩落に巻き込まれた際、ナーベラルは彼の安否を確認した後血相変えて飛び込んできたのだが、それはご愛敬だろうとアインズは考える。

 そして、村人たちはそのほとんどがすでにこのナザリックに捕らえられていた。これについては、自分たちがあんな手段で害された時点でテラノイドがいなくてもそうするつもりであったし、またアインズが迫りくる村人に己の真の姿をさらしたのはこのためにあった。すなわち魔術をフルに使えるようにすることで状態異常などを駆使し村人を捕縛、遠くに行ったと見せかけて隠れさせたナーベラルに回収させる。そうして捕まえた村人をナザリックに転移させる…というのが、彼の立てた計画だった。最低限殺せることを確認するために生贄とした数人の村人と、自分と共に叩き落された村長が失われたのは痛いが、それはしょうがないとアインズは割り切っている。なにせすでにかなりの数の村人が、彼の手の内にいるのだから。ならばあとは残った奴から彼らがウルトラマンを作った方法を聞き出せばいい。その為にはなんだってすると、彼はすでに決心していた。

 

「守ってみせるぞ、俺たちのナザリックは、すべて…!!」

 

 アインズは固い決心と共に、部屋を後にする。ウルトラマンを作り、配下にするために、彼は全力を注がんと動き始めた。

 その道がいなかるものを招くことになるか―当のアインズも、そしてウルトラマンも、今は、誰も知らないのだった。




ラキュースですが、別に双子忍者が危惧しているようなことはありません。これまで長い間自分を蝕んでいた苦しみを和らげてくれた故の安心感というか、ウルトラマン同士である事から来る同族意識というか、そういう思いをアルシェに抱いているだけです。ホントだってば。
…え?他に解説すべきことがあるだろって?…それはほら、その内ね?

~用語解説~
『敬語』
主に人物間の社会的な関係を表すために使われる表現。対等って言ってたし、いらないっていうのは普通じゃない?仲間みたいなものだし。しかし、異世界ファンタジーで敬語って単語をそのまま使っていいのか…?

『ウルトラマンダイナ』
究極の爆発力!熱い闘いを見ろ!!ティガの出現と活躍から7年後の2017年(!?)、宇宙に進出した人類の前に現れた新たなる光の巨人。変身するアスカ・シンは後先考えない熱血漢だったが、今ではすっかり落ち着いた雰囲気に。何でも何百年もウルトラマンやってる体でのキャラ付けとのことなので、ひょっとしたらウルトラマン歴大分長いのかも。様々な宇宙を旅する、未来へ進むウルトラマン。アスカは皆が来るのを待っているという話、すっごく好き。ダイナも、ウルトラマン単体で見るなら平成三部作の中で一番のお気に入りです。

『闇の巨人』
いわゆる悪のウルトラマンと呼ばれる者たちの中で、特に劇場版ティガに出てきた四人の巨人の事を指す。また、ネクサスに登場するウルティノイドも指すことがある。前者に話を戻すと、元々は光の側だった巨人たちが、ベリアル様同様闇の力の誘惑に負け、闇堕ちして生まれたとされる。その実力はかなりのもので、ユザレの手によりティガが光を取り戻すまで止められるものはいなかったほど。闇に堕ちたウルトラマンはベリアル様の例から見てもかなり強い故に、ウルトラマンの闇堕ちを、アルシェはとても危惧している。そんな真っ当な思いから出た言葉であったのだが、厨二病まっさかりの女性のハートには、闇のワードは刺激が強すぎた模様。

『ギルド:アインズ・ウール・ゴウン』
『クラン:九人の自殺点』
かかわりが深いので同時に解説。ギルド:アインズ・ウール・ゴウンとはアインズ様の所属しているギルド。ギルドの長はモモンガ様、つまりアインズ様。構成メンバー全員が異形種で、悪のロールプレイを徹して活動していたギルドであり、大手掲示板サイトではDQN扱いされていた。アインズ様はこのギルドの事をすさまじく大事な思い出としており、ギルドの運営を一人だけで頑張ったり、全てのギルドメンバーの姿を模写できるNPCを作ったりした。クラン:九人の自殺点はその前身となったクランで、異形種狩りするプレイヤーを逆に狩るという自警団的な働きをしていた。その時のリーダーはたっち・みー。実は特撮物が大好きである。

『ナーベラルの動向』
用語ではないがここで解説。彼女はモモンにいざという時のために外で待機しろと命じられた…と見せかけてこっそり移動してアインズ様が状態異常などを駆使し無力化した村人たちを運び出していた。途中アインズ様が遺跡の崩落に巻き込まれたりそれにより血相変えて瓦礫の中を探したりするなどのアクシデントもあったが、最終的にはアインズ様の言いつけをきちんと守って仕事を終了している。なおその他ナザリックの面々については、怪獣やウルトラマン関連の問題に近づけたくないというアインズ様の意向により、この問題では基本動かないように取り計らわれていた。

『村人』
ティガの地に唯一存在する村の住人達。ティガの地の噂を流して人々を誘い込み、それらを光の巨人への生贄としてささげてきた。その正体はかつてこの地に生きていた古代人の生き残りの一派であり、ギジェラの害から身を護るため全身をサイボーグ化している。長い眠りについていたがウルトラマンガイア出現に際し復活。光の巨人に並々ならぬ執念を持つ村長の元、自分たちの巨人を作りださんと動き出した。実は光の巨人が人と合体する事は知っていたのだが、不確かな人に任せるよりも自分たちの手で制御できる人造の巨人を求めてしまった。現在生き残りは人知れずナザリック地下大墳墓に拘束されており、そこで死なない程度に丁重な扱いを受けつつ尋問が行われる予定。



くぅ~疲れま以下略。これにて「新たなる巨人」終了です。お疲れ様でした。
元はアグルの話ぐらいやらないとと思って着手した話ですが、いろいろ詰め込んだ結果長くなってしまった。反省。でも異世界ウルトラマン問題提起とそこに少しだけ触ることが出来たのでそこは満足しています。あとラキュース。正直変なキャラ付けしてすまんかったと反省はするものの、後悔はしていないのです。すまぬ。
因みに個人的な野望として、「ガイアとアグルの主要な必殺技は使っておきたい」と言うのがありました。今回の話でそこは達成、できたかな?クァンタムストリームは、失敗するまでがクァンタムストリームと言う事で。なお結果はオーブリングNEO。なぜこうなったし。どれもこれも直立形態のホロボロス戦がかっこよかったのが悪い。だからオーブリングNEOはもっと輝いてもええんやで。個人的ウルトラアイテムランキングでかなり上位なんだしさ…あ、もちろんルーブは好きです。
次回は未定です。ぼんやりとですが続きの構想が浮かんできているのでボチボチやっていく所存。それではみなさま、また会う日まで。さようなら~
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