どうにもならない、そんな時…なんだけどさぁ! 作:#任意の文字列
オーバーロードの二次創作なのに至高の御方をここまで出さない二次創作者の屑
「―アルシェさん?」
「…あ、はい!」
自分に語り掛けてくる声で、思い出から現実に戻される。いけない、今は来客中だ。印象に残る戦いだったからとはいえ、思い出にふけっている場合ではない。
意識を、目の前で待つ漆黒の鎧の英雄に向け直す。英雄の表情は鎧で伺い知れないが、幸い雰囲気は穏やかなままだった。
「す、すみません…当時の事を、思い出してしまって…」
「ああ…ひょっとして、アルシェさんもあの砂漠の事をご存じで?」
「はい、一度だけ、この目で見ました…」
「…なるほど。確かに、あの砂漠は印象に残りますからね。かく言う私もこの目で確認した時には、少々背筋が凍ったものです。砂漠から怪獣が出てきたときはもっと驚きましたけどね」
どうやら、目の前の英雄もあの砂漠には圧倒されたらしい。それはそうだろう。生命を何も感じない砂漠が、森林地帯にぽつんと現れていたのだから、驚くのも当たり前だろう。
余談だが、あの砂漠の事について、『フォーサイト』の中で直接見たことがあるのは自分だけで、他の仲間達は実は見ていない。細胞片から復活することが出来るサラマンドラの残骸回収は、再生器官がすでに破壊されていたとしても危険だと自分が説得したため彼らは踏みとどまったのだが、そんな説得をしたのも自分にとってあの砂漠が異質に過ぎたため。自分は当時自らがガイアである事を知られていなかったため説得が難しかったが、それでもあの死の砂漠に皆を向かわせなかったのはよい判断だったと思っている。
…しかし、さっきから落ち着かない。これは、この人が原因だろう。目の前に座る英雄が。
「…それはそれと、モモンさん。敬語はやめていただけませんか?自分のような者相手に、貴方のようなアダマンタイト級の冒険者が敬語なんて使う必要ありませんから…」
「…しかし、今の私は貴方に教えてもらっている立場ですから。礼節はわきまえるつもりですよ」
「い、いえ!そんな、大したことは何も…それに、こんなことを言うのもおかしいんですけど、モモンさんにその様に話しかけられると、緊張してしまうというか…」
「…そうですか。では仕方ない」
溜息をつくような仕草とともに、英雄モモンは口調を変えてくれることに了承してくれた。ありがたい。そもそも自分のような一ワーカーにアダマンタイト級冒険者が敬語を使って話しかけてくること自体おかしな事だ。「教えてもらいに来たのですから」とか言われてもそれはそれ。英雄らしく器が広いという事はわかったが、自分にはつらい。これで少しは落ち着ける。
…そう、自分の目の前にいるのは、アダマンタイト級冒険者、漆黒のモモンだった。普段はリ・エスティーゼ王国の都市、エ・ランテルに拠点を置いている彼は、わざわざ帝国までやってきて自分の話を聞きに来たというのだ。
この日はゼットンを倒したその翌日で、『フォーサイト』の仲間たちがフェメール伯爵の依頼で墳墓に向かうワーカーチームの見送り兼視察のような事をしている中自分は休養を命じられた。そんなに心配かけたのだろうか?そんなわけで自分は一日暇を持て余す事になり、とりあえず『歌う林檎亭』に顔を出したのだが、そこで自分を探しにやってきたモモンさんとその従者ナーベさんと出会い、自分が了承する形で一対一で怪獣の事を教えることになったのだ。
モモンさん曰く、自分の事はなんか噂になっているらしい。「帝国には巨大なバケモノに詳しい嬢ちゃんがいるらしい。そいつはワーカーで、ある酒場でバケモノを怪獣だと言ってそいつがどんな奴かを詳しく言い聞かせてる」…というのがモモンさん達が聞いた噂だという。なんだそれ。確かに自分は怪獣ビジネス関係なく、『歌う林檎亭』でこの世界に現れた怪獣の事について語ってはいるが、まともに聞いてるのは仲間たちだけで、他の客はいつも「またやってるよ」みたいな感じでこちらの話を聞き流している様子だったのだが。結構皆聞いているのか?…少し恥ずかしい。自分の前世の記憶以外参考になるものがないので、結構つたない解説になっているのを自覚している分、余計に。
そんなことを考えていると、モモンさんは咳払いの後、話を前に進め始めた。
「ではアルシェ君に改めて聞こう。私はある日、例の砂漠にて怪獣…サラマンドラだったか?とにかくそいつが地面から出現したのを確認した。…質問を繰り返すが、サラマンドラという怪獣は土とか砂の中を進むとか、そういう能力はないのだな?」
「はい、自分の知るサラマンドラに、地底怪獣の要素はないので…多分、サラマンドラはそこで眠っていたのをたたき起こされたのだと思います」
「そうか…私は、あの砂漠は何か超常の力が働いてできたのではないか、と考えている」
「…というと?」
「…推測にはなるが、あの砂漠は砂漠が成立した範囲内にいたすべてが…文字通り死んだから出来たのではないだろうか。つまり、あの砂漠の中では草木やそこに住むもの達は言うに及ばず、周辺の空気は死して消え失せ、地面も中まで乾ききって砂漠になったのだと。あくまで推測だがね」
「な、なるほど…?」
「その推測が、もし正解だったらと仮定する。…その環境下でも、怪獣とは生きていられるものなのかな?君の意見を聞きたい」
「…わかりました」
…さすがは英雄である。森の火を消しながらだったとはいえウルトラマンの体越しに見ても何一つわからなかった自分に比べ、そんな推論を立てられるとは。荒唐無稽な話にも聞こえるが、確かにそういう訳の分からないことが起きない限りあんな綺麗な砂漠になるとは思えない。ウルトラマンや怪獣、宇宙人の超常的な力を知っている以上、そんな現象を起こせる奴がいると言われれば自分は信じる。英雄ともあろうものが、何の根拠もなしにこんな話をするとは思えないし。
それはさておき、モモンさんの質問に答えないといけない。どう答えるべきか。
「…仮にモモンさんの言う通りの状況下なら、怪獣でも生き残るのは難しいと思います」
「…そうなのか?しかし、現にサラマンドラは…」
「はい、サラマンドラは生きて出現しました。…多分、サラマンドラが再生怪獣なのが、強く関わっているのだと思います」
「…再生怪獣?何かのカテゴリのようなものかな?」
「そんな感じです。…今回のサラマンドラは、弱点の喉さえ無事なら細胞の一片からでも復活できる程の再生能力を持っていると言われています。現に体を両断された程度なら、サラマンドラは復活したという事例もありますし、この能力が、砂漠からの出現に関わっていると自分は考えています」
「…そこまでいくと再生というより、蘇生のような力と言った方がよさそうだな…アルシェ君、君は先ほど再生怪獣と言ったが、ひょっとして他にもそういう怪獣がいるのか?出来る限りのことを教えてほしい」
再生怪獣の話に、モモンさんが食いつく。まあ、死んでも死なない化け物のような奴のことが気にならないわけがないか。怪獣が危険だとわかるように、しっかり教えておかなければ。
「そうですね…サラマンドラのような再生怪獣はギエロン星獣、マグネドン、ライブキングみたいな怪獣が該当します。彼らは皆、バラバラになっても復活するような怪獣なので、サラマンドラと同じようにあの砂漠でも現れることがあり得ると思います」
「…他にも、そういう怪獣はいるのか」
「はい、再生怪獣というか、復活する怪獣なら…シーリザーのような、腐乱死体から復活する怪獣もいますから」
「…何と」
「後は、砂漠でも現れそうな怪獣と言えば…ロボット怪獣ぐらいでしょうか」
「…ロボット?」
…ロボット怪獣の話をしようとした途端、再生怪獣の話に圧倒されていた感じのモモンさんの声に重さが増した気がした。モモンさんの表情を見ることは鎧のせいで叶わないが、目つきは鋭くなったような気がする。いったいどうしたんだろう?…やはり、ロボットの話はこの世界の人には難しいからだろうか。ヘッケラン達に宇宙怪獣や宇宙人の話をした時も、肝心の宇宙についてはちんぷんかんぷんだったようだし。ここは上手い事説明してあげないと。
「はい、ロボットというのは金属でできた、生物じゃないけど生物のように動く人形というか…すみません、自分でもうまく理解できてなくて…」
「…いや、構わない。しかしそのロボットとやらについても教えてくれるのが、君の
「…ええと、そんな感じです」
「そうか…」
…やはり、自分でもいまいち理解の及んでいないものに対する説明は難しい。この世界では例えに仕えるものが限られている分、特に。モモンさんは顎に手を当て、考える人のような姿勢になった。やはり、自分の説明の拙さが原因か。タレントの方については、納得していただけないと困るのだが。
実は、自分は怪獣の知識について、これをタレントによるものだとしている。つまり、自分は怪獣の情報を授けてもらうタレントを持っている、と表向きには説明しているのだ。実際には前世の記憶だが、流石にこれを馬鹿正直に話す勇気は自分になかったし、タレントは生まれた時に得る能力とも言われているから前世の記憶もタレントみたいなものだ。…そう言い聞かせているものの、仲間にもそう言い張っているのは心が痛む。生命力や魔力を見破るタレントも皆に伝えたことで仲間内での自分は二つのタレント持ちという事になっているが、それを信じてもらった分すごく心が痛い。何時か皆にも自分の前世の事を伝えれたらいいな、とは思っているものの、難しいのが現状だ。
さて、モモンさんはしばらくの間、何かを思案しているようだったが、やがて「まあいい」と考える構えを解いた。納得してもらえたのだろうか。
「…ロボットの事は一先ず置いておこう。アルシェ君、もっと他の怪獣についても教えてほしい。再生怪獣とか、ロボット怪獣とか」
「わかりました」
―そうして、何体かの怪獣の説明を置いたころ。「そろそろか」と言って、モモンさんは席を立ちあがった。
「すまないが、この後依頼があるのでここで失礼する。有意義な話が出来て、良かったと思う」
「いえ、こちらこそ…怪獣の話って、聞こうとしてくれる人が少ないので、自分としてもありがたいです」
「そうか…時に、私の受けた依頼というのはフェメール伯爵の依頼でね、君たちにも依頼として来ていたはずだが…君たちは参加しないのか?」
「…はい、自分の体調が優れなくて…申し訳ない、とは思っているんですけど…」
「いや、金に目がくらまず、仲間を気遣えるというのはいいことだ。依頼を断った君の仲間の判断は正しいよ。君の話も聞けなくなるからな」
「…?今、なんて?」
最後の方、モモンさんがなんて言ったのか上手く聞き取れなかった。しかしモモンさんは「なんでもない」と言い、言葉を続ける。
「…最後に質問がある。君は、『ユグドラシル』という単語に、聞き覚えがあるかな?」
「…ゆぐ、どらしる?」
「ああ…重要な質問だ、嘘偽りなく答えてほしい」
…モモンさんの様子が、少しおかしい。なんか、この質問と同時に、纏っているオーラのようなものが物凄く濃くなったように見える。強豪怪獣独特の雰囲気に比べればマシだが、飲まれそうで少し怖い。いったいこの質問に、モモンさんは何を求めているのだろうか?本気だというのは、わかるのだが…
…考えてもしょうがないし、質問に答えよう。しかし、ユグドラシル?て、なんだ?神話?世界樹?いやいや、それは前世での話であってこの世界での話とは関係ない。何か答えになりそうなものが喉元で引っかかっているような感触こそするのだが、皆目見当がつかないし、うーん…
「…すみません、わからないです」
「…そうか。なら、このことは忘れてくれ」
自分の質問に何かを感じたのか、モモンさんのオーラのようなものが霧散した。彼はどこか諦めた様子で、席を離れていく。そして『歌う林檎亭』外に出る直前、自分に語り掛けてきた。
「ではアルシェ君、また会おう。今度、他の怪獣の事についても教えてくれ」
そう言って、英雄モモンはこの店を去っていった。
―店を出て、まずは一息つく。とりあえず重要な情報が聞けて良かったと胸をなでおろすのと同時に、従者として付き従う彼女の姿が、モモンの目に入ってきた。
「モモンさん、終わりましたか」
「ああ、今しがたな。待たせたか?ナーベ」
「いえ、そのようなことは決して」
「そうか…では、行こうか」
そういって、漆黒のモモンとその従者ナーベは、目的地に向かって歩き出した。この調子なら依頼の場所には間に合うと確信して。
それにしても、とモモンは周囲を見渡し考える。やはり、この帝国は暗い場所だと。活気はあるものの、民の目はあまり明るいとは言えない。帝国の軍隊は専業兵士である騎士で構成されていると聞くが、その姿もあまり見かけない。見かけてもまばらで、疲れている上ピリピリしているようにも感じる。つついてみれば、すぐ爆発しそうなほどに。実際爆発するものが多いらしく、そのせいで今の帝国の治安はあまりよくないのだろうとモモンは踏んでいた。
そう、帝国が活気に満ちていたのは過去の話。鮮血帝ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスによる改革断行は帝国に新たな風を吹き込んだが、その後出現した怪獣の被害により、その風は逆風となってしまった。怪獣は王国や法国にも現れているため、実際は全ての国が等しく弱まっているのだが、帝国は特に被害が大きいと聞く。軍が怪獣に負け続け、その怪獣は謎の巨人―いつの間にかウルトラマンと呼ばれるようになった存在により駆逐される。人々を救うウルトラマンの存在に感謝の声が上がる一方で、怪獣を倒せない帝国に対する民の不満はたまる一方。それでも現在の帝国の活気を考えてみれば、エル=ニクス帝は頑張っている方だろう。民からすればそんなこと知ったことではないとか言いそうなのが容易に想像できるあたりが、悲しいところか。
活気はあっても余裕はない国。それが、モモンから見た帝国の姿であった。
そんなことをモモンが考えていると、彼に従者のナーベが話しかけてくる。
「モモンさん、アルシェ・イーブ・リイル・フルトとかいう輩はいかがでしたか」
「…輩はよせ。彼女は思った以上に話の出来る少女だったよ。与太話をしているかのように聞いたが、実際の彼女は自己評価は低そうだが理知的に見えた。タレントとやらに関しても、妄想を話してるようにも見えなかったし真実から大きく外れたことを言ってるようにも思えない。今のところ彼女の話はある程度信頼できるとみていいだろう」
「そうですか。それはなによりです」
「そうだな…そもそも彼女の話を聞きつけてきてくれたのはナーベ、お前だ。そのことは、お前に感謝せねばな」
「!勿体なきお言葉…ありがとうございます」
モモンの言葉に喜びを隠しきれないナーベ。その様子からは、彼女が単なる従者ではないことが読み取れる。
そう、ナーベは従者などではない。その正体は『プレアデス』というナザリック地下大墳墓における6人の戦闘メイドに属するメイドの一人であり、本名はナーベラル・ガンマ。そして彼女と同じく英雄モモンという姿もまた仮の姿に過ぎない。彼の真の姿は死者の大魔法使い・オーバーロード。名はアインズ・ウール・ゴウン、ナザリック地下大墳墓の頂点に立つ、至高の存在と崇められし者である。
彼らはそもそもこの世界の住人ではない。何らかの理由で拠点であるナザリック地下大墳墓ごとこの世界にやってきた彼らは、ある目的をもって行動を始めた。アインズが英雄モモンとして活動しているのも、その目的を達成するための行動の一環である。
こうして帝国に来たのも基本的には同じ理由だ。違いがあるとすれば、それは理由の内怪獣に関する情報収集の割合が多いという事。少なくともアインズは、怪獣に関する情報が喉から手が出るほど欲しかった。
(それにしても、サラマンドラ…だっけ?そいつの他にも似たような奴がいたってわかったのはデカいな…本格的に対策考えないと)
アインズは一人、心の中で方針を考える。彼にとって、アルシェがもたらした情報は非常に興味深く、大きい。何といっても自分が切り札と認識している技を受けても何とかなる怪獣が他にもいるというのは、彼に大きな戦慄をもたらすのに十分だった。恐らく話を聞いてビビッてしまったのはアルシェにも気づかれただろうが、彼女がそこにツッコミを入れなくて助かった、とアインズは思っていた。
…そもそも、彼がアルシェに話を聞きに行ったのは、彼の大技がサラマンドラにも効力を及ぼした疑いがあり、その上でサラマンドラが出現したからである。ある日、アインズはとある理由であの砂漠があった場所で戦闘になり、そこで自分の切り札とも呼べる技を行使したのだ。
『The goal of all life is death/あらゆる生あるものの目指すところは死である』このスキルはアインズが苦労の末手に入れた特殊スキルであり、100時間に一度しか使えないという制限がついている。その分効果は強力で、発動後12秒たてばあらゆる耐性を無視して対象を即死させることが出来るというものだ。実際に彼がこの世界で使用したところ、普段は即死どころか死ぬこともない無機物、空気、地面といった存在まで死んでしまった。あの一帯だけ砂漠になったのはこれが原因である。
にも関わらず、怪獣はアインズがスキルを使ったその夜に出現した。それも地面の中から。これには念のため砂漠を監視していたアインズも驚いた。なんせあの技は地面の下まで砂漠にしており、その分そこにいた生き物も殺していたはずなのだから。結局怪獣は何故かしばらく砂漠にとどまり、やって来たウルトラマンが撃破したが、怪獣の驚異は十分伝わっていた。
だからこそ彼はこの理不尽を受けて今まで遭遇していなかった怪獣への警戒度を大きく引き上げ、同時に情報を収集しだした。近年出没しだしたらしい怪獣に関する情報は非常に少なく、調査は難航したものの根気強く調査を進めていき、やっと帝国にいるワーカー、アルシェ・イーブ・リイル・フルトにたどり着き、藁にもすがる思いで接触したのであった。故に彼女がマトモそうで詳しい情報をくれたことに、アインズは心の底から感謝している。…本当は怪獣を探して実験してみたかったのだが、ナザリック地下大墳墓の総力を挙げても怪獣は見つからないか見つかってもウルトラマンに倒されてしまうかのどちらかだったこと、また仮に怪獣を見つけてもアインズ自身のスキルが効かなかったことから見返りが少ない上危険かもしれないという可能性が浮かび上がったことから立ち消えとなった経緯がある。ウルトラマンについても、ほぼ同じ。むしろ遭遇した怪獣をほぼ確実に撃破していることから、危険度はこちらが上ではと考えている。人々を救っているらしいがそれはそれ、だ。
(そもそも、ユグドラシルの中でも強い方の即死受けても復活するなんて反則だろ…あのスキル手に入れるの結構苦労したのに…ていうかそんな奴すら倒せるウルトラマンって一体…これもアルシェちゃんに聞いてみればよかったかなぁ)
…因みに、アインズはサラマンドラという怪獣がウルトラマンを二人相手に取れる怪獣だという事は知らない。弱点を突かなければウルトラマンも苦戦するということも知らないが、知らない故に彼にとってのウルトラマンの評価は上昇していった。
そしてアルシェの事を思い出したおかげで、アインズの中である考えが再び浮かび上がってきた。
(しかし、いきなりロボットの話されたときは驚いたな…あの子はタレントって言ってたけど、やっぱりユグドラシルと関係あるんじゃ…いやでも怪獣とかよくわかんないし)
アインズはいろいろ思案するも、答えは出ない。やはり、一度だけの会話では得られたものは少ないと感じていた。
アインズにとって、ロボットというのはそう珍しくはない。彼は元々西暦2138年で生きてきた人間である。紆余曲折あって現在は骸骨の体になっているものの、それ以前の彼にとってロボットとは身近な単語であった。
しかし、この世界にはロボットという概念は存在しない。少なくともアインズの観測範囲内でそのようなものが確認されたことは一度もない。だが、その単語をアルシェという少女は何気なしに口にした。故にモモンガは彼女をユグドラシルから来た者―同じ場所からやってきた同胞ではと考えたのである。彼は怪獣を知らないので、怪獣の話をするアルシェに未知を感じた故確信には至っていないのだが。とにかくアインズの中でのアルシェの重要度は、彼が想定していた以上に跳ね上がっていた。
(…うん、やっぱりまた話を聞きに行こう。ウルトラマンや怪獣の事はもっと知らないといけないし、彼女自身の事も調べないといけないからな)
かくしてアインズは方針を決定する。アルシェ・イーブ・リイル・フルトとの接触を積極的に行い、情報収集する。現状怪獣の事であてになりそうなのが彼女だけなので、取り扱いは十分慎重に、かつ友好的に行うと。それを決めてしまえば、しばらく思い悩んでいたアインスの頭の中も少しだけすっきりした。
そしてアインズはそこで思考をやめ、帝国に来た別の目的の方に集中しだす。自分たちの目標の達成のため、まず最初の生贄となるワーカー共にの顔を見るため、彼は目的地へと歩き出した。
―余談だが。
後日アインズはモモンとして怪獣の事を聞きに行き、そこでアルシェの口から宇宙だの異次元だの宇宙人だの、これまた怪しい単語が飛び出し、
その単語からまた怪しく思うもとりあえず話を聞き、そこで久しく触れてなかったかつての故郷の要素に触れ、
気がつけばその要素の事に触れるため話を聞きに行くようになり、やがて二人はちょっとした茶飲み友達になるのは、
別の話―…?
最後の文ですが、実際にそうなったかどうかは誰にもわかりません。というか作者にもわかりません。もしかしたらあり得たかもしれない未来、といった程度に見ていただければ結構です。
~用語解説~
『アインズ・ウール・ゴウン』
説明いる?おそらくこれの読者ならだれでも知ってる至高の御方。この世界でも原作同様の動きを取っているが、未知の巨大生物たる怪獣を警戒しており、シャルティア戦の後、つまりサラマンドラの出現以降さらに慎重になった。サラマンドラに関しては自身の切り札が効かなかった疑惑のあるバケモノといった認識を持っており、それを倒したウルトラマンも、人々を救うらしいとはいえ結局はバケモノなのではと考えている。そのため怪獣の情報を求めており、その過程でアルシェに会いたい!となった。アルシェの情報をつかむまでにこの世界での怪獣の情報はとても少ないという現実に直面したため実は結構焦らされている。因みにアインズ様はアルシェを『重要そうな情報をくれる貴重な人物』と『自分のいた世界から来た可能性のある人物』の二つで捉えており、一方アルシェの方からは最初は肝心とモモンとして礼を尽くした結果流石は英雄!すごい!…と敬われることに成功している。
『再生怪獣』
二通り意味があり、『再生能力持ちの怪獣』と『復活再生させられた怪獣』に分かれる。今回アルシェが取り扱ったのは前者。この世界では復活できるくらいの強い再生能力は蘇生と同じとして扱われるためますます脅威に…と思われるかもしれないが、倒し方は変わらないためそこまで強さに変化はなかったりする。
『再生怪獣ギエロン星獣、磁力怪獣マグネドン、再生怪獣ライブキング』
サラマンドラのようなバラバラ状態からでも復活できる怪獣、と言う事でアルシェが列挙した怪獣。マグネドンは地球に磁力がある限りは何度でも再生することができるとかいうチート能力持ちだし、ライブキングも第2話登場の怪獣にしては強すぎである。ギエロン星獣は背景がただただ悲しい。悲しい故に、ジードでは再生能力が大きくフィーチャーされたが、まあ2クールしかないジードでギエロン星獣の背景の話するのはぶっちゃけ無理でしょ…
『ゾンビ怪獣シーリザー』
見てくれからしてゾンビな怪獣。ウルトラマンティガ第5話「怪獣が出てきた日」にて登場。海岸に漂着した腐乱死体が撤去作業中地面に落下したショックで復活。体が柔らかく、ミサイルやガスタンクを吸収した。エネルギー源は天然ガス。一体どうやって復活したのかは不明。再生したデッパラスもそうだが、こういう死体から復活した怪獣はグロテスクな見た目に独特の魅力があって大変すばらしいと思う今日この頃。皆はどんな怪獣が好き?
『ロボット怪獣』
文字通り、ロボットの怪獣。宇宙ロボットキングジョー、スペースリセッターグローカールーク、シビルジャッジメンターギャラクトロンなどがあげられる。この世界のアルシェはヘッケラン達この世界の住人によくロボットや宇宙の話をするので気にしてなかったが、アインズ様からしたらこれまでこの世界の住人だと思っていた相手からこの世界からかけ離れて自分の元いた世界に関わりそうなロボットという単語を使われたものだからとんだサプライズである。
『国について』
この世界では存在する国こそ原典と変わりはないが、怪獣の影響で皆等しく弱っている。その中でも帝国は怪獣出現の頻度が多く、ウルトラマンが怪獣をやっつけてくれるとはいえ被害が大きくなり、結果軍も民も疲弊しているのが現状。ウルトラマン人気は高く、同時に怪獣を倒せない軍および皇帝への不満は募る一方。それでも鮮血帝はうまくやってる方なので活気はある。同時に帝国よりは被害の少ない王国は腐っているし、法国も通常運転、ほかの国も同様。怪獣がいようがいまいが、芽が出てくるものは出てくるし、腐るものは腐るのである。
アインズ様これであってたかな…ここのアインズ様に違和感を感じられた方はこの世界では怪獣及びウルトラマンへの警戒心が強くその辺りの要素が行動に影響を及ぼしているため、といった感じに補完していただくか、あるいは納得せず作者に容赦なく石をぶつけてください。
それでは、機会があればまたどこかでお会いしましょう。さようなら~