どうにもならない、そんな時…なんだけどさぁ! 作:#任意の文字列
やっぱキャラクター増えると動かすのがメッッッチャしんどい…しんどくない?
「…ありがとうな」
「…?」
目の前を行く女戦士―ガガーランさんが、自分に語り掛けてくる。その前方には先頭を行くラキュースさんら『蒼の薔薇』の面々が、近くには『フォーサイト』の皆がいる。夜の平原を歩く面々も、大所帯になったものだ。
そんなことを考えていると、ガガーランさんが先ほどの続きを話してくる。
「ラキュースなんだが、最近いろいろと思いつめてることが多くてな…だが、あいつもあんたらがこうして俺たちについてきてもらったのは悪かったと思ってるし、感謝もしているんだ。そこは、俺からも伝えさせてくれ」
「いえ、自分も、皆さんの行く場所にも興味がわきましたから…礼なら、リーダーたちに言ってください」
「…いや、俺らも一日過ごせる場所のあてが出来たし、こっちも感謝している。『ティガの地』だっけか?アルシェが興味あるなら俺たちも気になるし、気にすることはないぜ」
「そうか…ワーカーって聞いた時は不安になったが、あんたらは案外話せるもんだな」
「ま、もとは冒険者だし…正直どうしようもなさそうな同業者もいるにはいるんだがな」
「…それに、自分から言わせてもらえば冒険者もすごいです。前も王国のアダマンタイト級冒険者…モモンさんに突然「モモン!?」えっえっ」
モモンさんの名前を出すと、突然前方を歩いていた仮面の少女―イビルアイさんが飛び掛かってきた。い、いったい何事だ。王国の冒険者という生物は、自分に詰め寄らないと気が済まない生き物なのか。
そんな自分の考えを知ってか知らずか、そっくりな二人の少女―ティアさんとティナさんが自分の首元に引っ付いてきたイビルアイさんを引っ張る。
「ごめんアルシェ、イビルアイは漆黒の英雄モモンさんに惚れている」
「そのくせ前が見えなくなってしまってこの間もうっかり付いて行く機会を逃がした。イビルアイはドジっ子」
「う、うるさい!それよりも、お前モモンさまに会ったのか!?ど、どんな様子だったんだ!?」
「えっえっえっと…モモンさんは、突然自分の事を訪ねて王国から来てくれて、怪獣の話を聞いてくれた…真剣に聞いてくれたし、英雄らしくてすごくいい人、でした、よ…?」
「そ、そうか!やっぱりモモンさまは…!アルシェ、モモンさまがわざわざ訪ねてくるなんてきっとすごいことなんだぞ!良かったなぁ!こっちからも頼りにさせてもらうぞ!」
「は、はぁ…」
嬉しそうに背中をたたいてくるイビルアイさんに、思わず苦笑いしてしまう。後ろを見ると、ヘッケラン達もなんだが呆然としていた。それはそうだろう。王国のアダマンタイト級冒険者チーム『蒼の薔薇』のメンバーがこんな様子では、驚きもするというものだ。
そう、彼女達こそ、自分が会いたいと思っていた冒険者たち、『蒼の薔薇』だったのだ。これには正直驚いた。自分はアグルを追う中で彼女らがアグルの現れた近くにて目撃されていると聞いて、なんとなく会ってみたいと思っていたのだが、それが労せず叶ってしまった。迷子になれなっかったら多分会えなかっただろうから、ヘッケランには感謝しなければならない。ありがとうヘッケラン。もちろんスフィア合成獣には感謝しない。貴方の存在はノーサンキューである。
そんなことを考えてながら進んでいると、やがて前方に明かりが見えてみた。
「…そろそろね。あそこが、『ティガの地』唯一の村らしいわ」
先頭を行くラキュースさんもまた、それを確認できたらしい。自分の気も、引き締まった。
「ようこそおいでくださいました」
―そして、村についた自分たちを待っていたのは、青いローブに身を包んだ初老の男性であった。彼は、この村の村長さんらしい。
「初めまして、我々はアダマンタイト級冒険者の『蒼の薔薇』です。こちらには…『光の巨人』について調べたいことがありまして。伝説についての調査をするためここに来ました」
「おお、やはりそうですか。最近はこの『ティガの地』の遺跡を見たいという方が多くて…わかりました、今日はもう遅いので村の者に寝床を手配させましょう。こちらにいらっしゃる皆さんは、全員アダマンタイト級冒険者なのですかな?」
「いや、俺たちは違いますよ…俺たち4人は旅行者でして、ちょっと一晩泊めさせてもらえないかなーって…」
「おやそれは珍しい…では、そちらの方々は別という事に致しましょう。ささ、どうぞ村へ」
ラキュースとヘッケランが村長さんに応対しているが、どうも突然やってきた自分たちも受け入れてくれるあたり、この村は余所者に寛容なのかもしれない。村長さんに導かれ、とりあえず村の中に入っていく。村とは言うが、道はきちんと舗装されているし、夜間なのに明かりはしっかりしている。結構進んだ村なのかも。
しかし、それはそれとして聞き逃せない言葉があったので、それについては聞き出しておこう。
「…あの、すみません。『光の巨人』…てなんですか」
「ああ、巨人ですか。この村、と言うよりも『ティガの地』はとても古い時代から受け継がれてきた場所でして。我々この村の住人は古き時代の人々の子孫とされていますが…言い伝えによればその古き時代この土地を守ってきた者たちが『光の巨人』なのです。ほら、あちらをご覧ください」
村長さんが、おそらく広場らしき場所を指さす。そこには、10mくらいのヒトガタの像が立っていた。明かりにしっかり照らされたそれは、よく目を凝らしてみると木でできていることがわかる。
「これは遺跡の中にあった巨人の石像の残骸と…それに加え村に伝わる書物に描かれていた巨人の絵を参考に、作り出したものです。実際にこの巨人がこの地を守っていたのかは我々にもわかりませんが、『光の巨人』とはだいたいこんなものだったのではないかと考えられています」
「へぇ~…なんだかウルトラマンに似てるのね。アルシェもそう思わない?…アルシェ?」
イミーナが自分に話かけてくるが、自分は驚きのあまり声が出ない。自分の目は、その木製の巨人のレプリカに釘付けとなっていた。
そのフォルムには、見覚えがある。削られた形状の頭部、その額にはクリスタルらしきもの。木製なのでいまいち判別がつかないが、その掘り具合から体の色は実は三色だったのであろうことが伺える。胸元には二筋のラインが刻まれた帯状のものと、特徴的な形のカラータイマーがある。その巨人の名を、自分は知っている。
「…ウルトラマンティガ?」
気がつけば、自分はその名を呟いていた。
「…なるほど、あれはマジのウルトラマンなのか」
自分たちにあてがわれた空き家の中で、対面に座るヘッケランが神妙そうに呟く。隣にいるロバーテイクもイミーナも、真剣な表情だ。
あのティガの像を見た後、自分たちは今晩泊まる場所としてあてがわれた空き家に到着した。空き家とは言うが手入れは行き届いており、村長さん曰く最近増えた遺跡目当ての旅人を泊めるためにしっかり整備しているらしい。『蒼の薔薇』のみんなの分の空き家も別にあったので、どうもこういう所には本気で力を入れているらしい。変な村だ。すれ違った村の人も、みんな村長さんみたいな青い服着てたし。あの青い服どこかで見たような気がするのだが、どこで見たのだろうか。
…いけない。今はヘッケランに応えてあげないと。意識をヘッケラン達に集中する。
「うん。あの巨人の名はウルトラマンティガ。自分の知るティガは超古代の戦士で、古の時代から人々を脅威から守っていた」
「ふむ…その内容ですと、あの村長さんの言っていた話の内容とも合致しますね。この世界にいるウルトラマンは、アルシェのガイアと、まだ見ぬアグル以外にもいた、と言う事なのでしょうか」
「なんだか意外なところで複雑な話になってきたわね…ちなみにアルシェ、その超古代ってどのくらい昔の話なのかしら」
「3000万年前」
「…え」
「3000万年前」
大事な事なので二度言ったところ、皆唖然としてしまった。まあ、3000万年前なんて想像もつかないだろうし当然かも。自分にも無理だ。
「…ちなみに、ティガがいた地球での3000万年前について、ティガの存在が判明する前は人類はいないと言われていた」
「そりゃあ…ダメだ、話のスケールがデカすぎてわけがわからん…俺たちの世界でも3000万年前は人なんていねーんじゃねーの…?」
「でもこの『ティガの地』もありますからね…この世界の3000万年前にも人、いたんでしょうかね…」
「生き証人とかゼロでしょ…ていうか、『ティガの地』ってのも何か特別な意味があったりする?」
「どうだろう…自分が知る限り、ウルトラマンティガがいた地球においての『ティガの地』は、ティガを含む三体の巨人の石像と、それを隠す光のピラミッドがあった場所を指していた」
「…似てるなぁ」
まじかー…といった様子でのけぞるヘッケラン。他の皆も、驚きを隠せないでいる。かく言う自分も驚いている。まさか超古代の光の巨人についての情報が、こんなところで発掘されるなんて思ってもみなかった。しかも、ラキュースさんも村長さんも『光の巨人』についてどうこう言ってたし、村長さんなんか遺跡に巨人の残骸があるとか言っていた。どう考えても、それはティガと同じ時代を生きた光の巨人の石像だ。つまり、超古代の文明がこの世界にもあるという証拠。改めて、この世界の底知れなさに触れた気がする。
いろいろ思い悩んでいると、復帰に成功したらいいヘッケランが、こんなことを言い出した。
「…それで、どうする?この村と遺跡について、調べてみるか?」
「調べる、ですか?」
その言葉に、いち早くロバーテイクが反応する。イミーナも自分も、同じ感想を抱いていた。視線がそちらに向いたのを確認してか、ヘッケランが言葉を続ける。
「そうだ。ここまでウルトラマンに関係しそうな話を聞かされたら、怪獣ビジネスやってる俺たちとしては見過ごせない案件だろ。ワーカーとしても、超古代の遺跡なんて聞かされたら血が騒ぐってもんだし」
「そうですね…遺跡から他のウルトラマンの事がわかれば、ひょっとしたらアルシェも楽できるかもしれませんね。今も活動中のウルトラマンが他にいれば、の話ですが」
「その可能性は少ないと思うけど…でも私も賛成。探していた『蒼の薔薇』の人たちがなんでここに来たのか気になっていたし、ここに何があるのかは調べる必要性がありそう…アルシェは?」
「自分は…」
いつもの『フォーサイト』らしく、自分にも回ってくる。とはいえ、自分の答えはもう決まっていた。
「…自分も、調べてみたい。この世界に、自分以外のウルトラマンがいるなら、その姿を知りたい。この世界のティガの事を、もっと知りたいと思っている」
「…決まり、だな」
こうして今回の『フォーサイト』の行動方針が決まり、一日が過ぎていく。
―そして、翌日。
「…遺跡の調査に、同行したい?」
「ええ、我々は怪獣の事やウルトラマンの事についていろいろ調べてまして、その筋でこの遺跡にも興味がわいたんですよ。いきなりで申し訳ないのですが「いいですよ」我々にも…って早っ!」
「そういう事でしたら、構いません。実は遺跡に関しては調査自体は我々村の者たちで進めておりまして、見学みたいな形で開放しております。『蒼の薔薇』の皆さんと同じという形になると思いますが、よろしいですかな」
「え、ええ、よろしくお願いします…」
ずいぶん簡単に話が決まった。どうもこの村は余所者に対し開放的な場所らしい。結構珍しい気がする。遺跡も見学させているような口ぶりだったし、まさかとは思うが観光名所にでもしようというのだろうか?…ますます珍しい。武装はしても結構だというのも、これまた珍しい。
そういうわけで、自分たちは『蒼の薔薇』の人たちと合流し、遺跡の方へと向かう。『蒼の薔薇』の人たちに関しては、驚き半分、自分の顔をみて納得している者半分といった様子だった。…自分の噂や印象を払拭する活動、皆は賛同してくれるだろうか。今回に限ってはたぶん間違ってはないのだが、それはそれとして。
…それにしても、不思議な村だ。明るくなったので隅々まで見えるが、村はそれ自体は広いわけではなく、しかししっかり整備は行き届いているように見える。だが活気があるかと言われればそうではなく、妙に生活感を感じられないのはなぜだろう。道行く人々の数はそこまで多くないが、皆青い服を着ている。村長さんに聞いてみれば、なんでもこの村に代々伝わる由緒ある服なのだとか…やはりどこかで見た気がするが、思い出せない…
そんなことを考えていると、自分たちは村の奥にある遺跡らしき場所にたどり着いていた。そこには巨人―ウルトラマンでも入れそうな入口があり、村長さん曰くここの地下に遺跡があるらしい。村長さんに導かれ、自分たちは遺跡の地下へ続く階段を下りて行った。
そして遺跡の中に入ると、そこは下に遺跡の本体であろう街らしき残骸を一望できる丘のようになっている場所にたどり着いた。ご丁寧に丘からは遺跡の外周を取り囲むような道が伸び、落下防止用なのか柵まである。階段といい、これも後付けだと思うのだが、一体何のためにこんなものを作ったのか…本当に観光地化する予定なのか?そう考えると今までの光景はその観光地化によるものにも見えてくるが…
…考えてもよくわからないし、とりあえず遺跡の中を見てみる。自分以外の皆も、柵から乗り出す形で遺跡らしい街の残骸を眺めていた。
「…すごい、これが、『ティガの地』の遺跡…」
「はい、今よりはるかに大昔の時代、我らの祖は『大いなる闇』の襲来に対し、地下にこもり街を造って暮らしたとされています。これらの残骸は、その彼らが暮らしていたとされる街の跡なのです」
「なるほど…なあ村長さん、『大いなる闇』、ってのはなんだ?」
「…さあ、そこまでは。ただ、闇は『光の巨人』でどうにかなるものではなかった、と言われていますし、一方でかつてとある巨人の力で退けられたとも言われております」
「へぇ、そんなものが…」
ラキュースさんとヘッケランに対し、村長さんが相対している。『大いなる闇』は自分も物凄く気になるが、どうもわからないらしい。仕方がないので、自分もしっかり街を見てみることにする。
…街そのものはめちゃめちゃ広く、たぶん村はこの遺跡の天井部分にあるのだろう。そして街の残骸に交じり、人の残骸らしいものが見える。アレが、『光の巨人』なのだろう。皆はその風景に、それぞれ思うところがあったようで、息をのんで遺跡を見ている。だが、自分は別な意味で気が気でなかった。
(…似ている。ルルイエに)
この地下に広がる遺跡は、ティガの世界に存在した超古代遺跡ルルイエ、その内部の巨人たちが眠っていた場所に酷似していた。超古代遺跡ルルイエには、光の巨人と超古代文明の残骸が残されていたほかに、封印された闇の巨人達と、超古代の闇そのものが眠っていた。ではここには、何が眠っているのだろう。それを解明しない事には、最悪の状況には対処しきれない。超古代の闇は、ウルトラマン一人でどうこうできるものではないはずだから。
そういうことを考えていたからだろう、自分は声を掛けられるまで、村長さんの接近に気付かなかった。
「…巨人に、興味がおありですかな?」
「え…あ、はい」
「なるほど、熱心に見られていましたから、そうなのではと思っていました」
どうやら、村長さんは自分が動かなかったのを巨人を凝視していたからだと思ったらしい。まあ、間違いではない。巨人を見ていたのも、興味はあるのも事実だから。
どうも巨人に興味がある自分に気分を良くしたのか、村長さんは言葉を続ける。
「ここにいる巨人像は、みなこの地で戦い散った光の巨人と言われています。ほとんどは砕けておりますが…現在、この下に作った特別な空間で、まだ綺麗な巨人の残骸をかき集め、組み合わせることによりできる新たな巨人像を村の者総出で作っております」
「…それは、なぜ?」
「…我らの村に必要だから、といった理由ですな。完全に近い巨人を、この目で見てみたいのです…そういえば、『ティガの地』の言い伝えによれば、巨人像にはいずれ光が宿り、蘇ると言われております。我らこの村の者はその復活の時までこの地を守る使命があったのだ、とも…もしかしたら、我らの石像に光が宿り、蘇る日があるやもしれません。そうなれば、この世を護る新たなる光の巨人の伝説が、始まることで「それは違う」…ふむ?」
…気がつけば、自分は村長さんの言葉を否定していた。村長さんは驚いているが、構わない。自分はそのまま、村長さんを否定する言葉をつづけた。
「…光の巨人、ウルトラマンになるというのは、そんなに簡単な事じゃない。光があれば巨人が蘇る、なんてことはあり得ない」
「…それは、どうしてですかな」
「ウルトラマンに必要なのは、心。光だけの、心の宿っていない巨人は偽りでしかない。闇に堕ちた心に突き動かされる巨人は、闇でしかない。巨人の復活には、巨人に対する心がいる。だから、そんな簡単には、ことは進まない」
「…なるほど、そうですか」
村長さんは少しだけ声の調子を落として答える。願望を真正面から否定する自分の言葉で気分を悪くしたのかもしれない。自分も、ここまで言う必要はなかったのかもしれない。
だが、自分にとって村長さんの言葉はそれだけ不穏だったのだ。人造的な巨人のレプリカなど、偽りの巨人、闇の巨人の再現そのものではないか。村長さんの言うレプリカはひょっとしたら復活する心配なんてない大したことのない像なのかもしれないが、もし蘇るようなことがあれば、ほかのウルトラマンたちがいた世界でそうだったように、この世界に牙をむくことだってあり得るはずだ。それは避けなければならない。自分が村長さんを否定したのは、無意識的にそういう事を思い出していたからであろう。巨人が光で蘇る、と簡単に言ってくれたのが引っ掛かったというのもあるが。
村長さんはしばらく自分の顔をじっと見つめた後、遺跡を見る自分たちの後ろへと回る。
「…では皆さま。せっかくですので、この残骸となった巨人像を再現した新たなる像を、お見せしたいと思います。こちらについてきてくだされ」
そう自分たちに告げると、彼は後ろにあった階段で地下に降りていく。ヘッケラン達もそれについていく。…自分も、巨人像がどんなものなのか、この目で見ておかなくてはならない。そう考え、皆に続こうとする。
その時、自分を見つめる瞳と目が合う。ラキュースさんは、こちらをじっと見つめたまま動こうとしない。距離も近いし、先程の話を聞いていたのだろうか?
ラキュースさんはしばらく自分の事を無言で見つめ―自分の手を取ると、村長さんについて行こうとするヘッケランの背中に語り掛けた。
「ねえ、ヘッケランさん…ちょっと、アルシェさんを、お借りしてもよろしいかしら?」
―そうして、自分たちは一度遺跡を出ることになった。ラキュースさんの表情は真剣極まりなく、必死さが手に取るように理解できた。その様子にヘッケランも自分も断ることはできず、自分はラキュースさんに連れ出されることになったのだ。
連れ出されたのは、村の外。入り口近くの平原で、人はいない。村が広くないので遺跡からここまで時間はかからなかったが、どうしてここまで連れて来られたんだろう?
疑問に思っていると、ラキュースさんは自分に語り掛けてきた。
「…ごめんなさい。先ほどのあなたと村長さんの話を聞いていると、いてもたってもいられなくなって…人払いのために、ここまで連れてきたこと、まずはお詫びするわ」
「い、いえ、別に…でも、いいんですか?」
「?何が?」
「あの、イビルアイさん、そこにいますけど…」
「…え!?」
ラキュースさんが驚いた様子で、自分の指した方向を見る。すると、物陰に隠れていたイビルアイさんが、ばつが悪い様子で物陰から出てきた。この人だけ、こっそりついてきたようだが、特に隠れる様子もなかったのですぐわかった。しかし、一体なんでついてきたんだろう。ラキュースさんは自分を借りる際、一対一で話したい、なんて言ってた気がするが。
考え事をしている間に、ラキュースさんはイビルアイさんに詰問している。
「…イビルアイ、どうしてついてきたのかしら。私は彼女と、一対一で話がしたかったのだけど」
「私としてもそれだけならかまわないさ…だが、例の件でお前の事はリグリットからよく見ておけと言われている。今日のお前なんてそこのアルシェとかいう奴にもバレる程度の私の尾行に気づかないほどだったろう」
「う…」
「…それに、私も確かめたいことがある」
「?それはどういう…」
ラキュースさんの問いかけに応えることなく、イビルアイさんは自分との距離を詰める。息遣いの感じられそうな、でも相手は仮面なのでわからない位の距離まで詰めた後、彼女は自分の顔を見つめた。
そして、「やはりな」と言って彼女は自分を見つめ続ける。なにやら、得心が言ったような雰囲気なのだが…
「…あの、自分に、なにか…」
「…今、はっきりした。お前からはラキュースと同じ気配がする。モモンさまからは感じられなかった、あの不思議な気配だ」
「…え」
「そして、その気配を薄くだが感じた場所がある…お前の気配は、あの巨人の残骸にも似ている」
「…な」
その言葉を聞いて、一瞬頭の中が、真っ白になる。今なんて言った。自分と、あの遺跡の巨人たちの気配が、同じに見えたのか。あの巨人たちは、光の巨人。それと同じ気配を感じたという事は…彼女は、自分の中のウルトラマンガイアを、感じている。
…まて、ならば、先程の言葉はどういう意味だ?ラキュースさんからも同じ気配?なら、彼女は?
自分が思考の渦に囚われている中、しばらく自分の顔を見つめていたイビルアイさんは、やがて気が済んだのか、「まあいい」と言って後ろに下がった。
「お前が何者か、なんて言いたくないなら言わなくていい。私が言えた義理ではないし、ラキュースの用が済んでないのに答えにくそうな事を聞くのが間違いだ。悪かったな、忘れてくれ」
「は、はぁ…」
「…ラキュースも、すまなかった。私はもう退散しようか?」
「…いえ、ここにいても、構わないわ…アルシェさん」
「はい…あ、自分の事は、アルシェで構いませんよ」
「…そう。なら、アルシェ。貴方に、見てもらいたいものがあるの」
ラキュースさんはそう言うと、右の籠手を外す。よく見ると妙に大きい籠手の下には、黒い帯でぐるぐる巻きにされた何かが腕に装着されていた。ラキュースさんはその帯を外し、隠されていたものを白日の下にさらす。
そして、現れた物体は、自分を驚愕させるに十分なシロモノだった。驚きで言葉も出ない自分に対し、ラキュースさんは腕に装着された物体を掲げ、告白する。
「これは、私を光に変えるもの。…私は、ウルトラマンよ」
彼女の言葉と共に、腕に装着された物体―『アグレイター』の結晶体に、青い光が現れたような気がした。
時系列ですが、「アルシェたちが旅立った」あたりが「アウラとマーレがドラゴン乗って帝国に行った」あたりとしています。とりあえずアルシェたちはナザリック勢が帝都で起こした騒ぎをこの時点では知りませんし、関与もできません。ウルトラマンがドラゴンどうにかしちゃったら、その時点でナザリック敵対ルートになりかねないので…
~用語解説~
『宇宙球体スフィア』
集団レ○パー(大嘘)。ウルトラマンダイナにて、番組の全体を通じ人類の脅威として存在した宇宙生命体。知能は高い、何体にも分離・再合体する、物体と融合し怪獣化するなどやりたい放題だが、本体は惑星並みの大きさを持つトンデモだった。本体撃破には釣り球と勝負球が必要なので一人で倒すのはたぶんムリ。前述のとおり物体と融合することができ、融合によって現れた怪獣は『スフィア合成獣』と呼ばれる。『スフィア合成獣』はだいたいが亜空間バリアと呼ばれる便利な技を持つ。
『超合成獣サンダーダランビア』
変電所怪獣。ウルトラマンギンガ第1話「星の降る町」にてスパークドールズ状態から実態化した、超合成獣ネオダランビアの亜種。状態のいいネオダランビアの着ぐるみがたまたま見つかり、それが改造されてデビューしたという話はそこそこ有名。今回はスフィアが希少鉱石の鉱山と合体することで偶発的に生まれ、亜空間バリアまで装備済みとオリ要素多め。だがあまり余裕のないアグルV2にぼこぼこにされてしまった。許せ。しかし、ギンガ以降の新世代ヒーローズを見てみると、やっぱ初回であれだけキビキビ動けるヒカルがとんでもない才能の持ち主だってことがよくわかりますね…
『ウルトラマンアグル』
ついに登場した、青い海の光の巨人。この世界ではガイア同様最初からV2仕様。変身者はラキュース・アルベイン・デイル・アインドラ。ガイアと違い、どうも周囲が見えていないような戦い方なのだが…?
『リキデイター、フォトンスクリュー』
ウルトラマンアグル、およびアグルV2の必殺技。後者はアグルV2のみ使える。
リキデイターは両手を縦に大きく広げて光球を作り出し、握り拳を合わせて敵に撃ち出す技。連射可能で、アルギュロス戦ではチームライトニングにお構いなしで連発しまくり、梶尾リーダーたちを殺しかけた。またガイアを羽交い絞めにしているボクラグに発射したりと、周囲を鑑みない藤宮の戦い方をよく表す技でもある。またV2になったガイアも使用可能で、クインメザードの撃破などに使われた。
フォトンスクリューは光を球体の形に集約し、それを回転させて撃ち出す必殺技。形を見るに、多分リキデイターの進化系。V2としての初戦であるΣズイグル戦で初披露。他にはOVAでガイアとの合体技に使用され、ガグゾムを撃破した。
リキデイターは防がれたものの、バリアの有無を確認できたので勝利には貢献している。劇中フォトンスクリューの、というかV2の活躍はもうちょっとどうにかならんかったのかなぁ…という作者の思いもあって、今回はフォトンスクリューでフィニッシュとなった。
『アルシェの噂』
怪獣は出てくる、でも怪獣ってよくわからん…と言う日々が続くのであれば、真実かどうか関係なくこういうことをすれば人々の目に留まる。そういうものでは?
『人工生命M1号、遊星怪人セミ女、知的恐球アルゴス』
それぞれウルトラQ、ウルトラQ dark fantasy、ネオ・ウルトラQに登場する、作者厳選の知恵者達。実際この世界にいるのかは不明。M1号がウルトラマンXであんなポジションになるだなんて、ウルトラQ放送当時からXでの再登場時まで想像できた人いるのかな?
『ラキュース・アルベイン・デイル・アインドラ』
リ・エスティーゼ王国に拠点を構えるアダマンタイト級冒険者チームのリーダー。、厨二病で有名…有名?この世界では光に選ばれ、ウルトラマンアグルとなった。最近思いつめることが多いらしく、あまり余裕がない様子。ここら辺の話は、また次回で!
『蒼の薔薇』
リ・エスティーゼ王国に拠点を構えるアダマンタイト級冒険者チーム。リーダーはラキュース。王国でのアダマンタイト級冒険者チームは、彼女ら以外には『朱の雫』と我らがモモンさま率いる『漆黒』が存在する。この世界においては、『フォーサイト』が有する怪獣に関する知識などはないため殆ど原作通り。違いは、最近ラキュースに元気がないため皆心配していること、後は引退したある人物も含めラキュースがアグルである事を知っていること。
『ガガーラン』
屈強な女戦士。ムキムキ。童貞食い。
『ティア』
双子(ホントは三つ子)の忍の一人。青いレズ。
『ティナ』
双子(ホントは三つ子)の忍の一人。赤いショタコン。
『イビルアイ』
かつて「国堕とし」と恐れられた伝説の吸血鬼。吐かせればオーバーロードの伏線などの半分がわかるほどの物知り。モモンさま大好き。
『ティガの地』
ティガありますよ!ウルトラマンティガにて、巨人像を守護していた光のピラミッドがあった場所。場所はなんと東北。何故ルルイエから日本に…教えて偉い人!この世界では、光の巨人にまつわる遺跡がある場所として噂になっていた。
『光の巨人』
ウルトラマンの別名。ウルトラマンティガの世界、すなわちネオフロンティアスペースの地球では3000万年前存在した超古代の文明を守護していた。宇宙から来たらしい。この世界にも、かつては多数が存在していた模様。
『ウルトラマンティガ』
ウルトラマンはさらに進化!敵の特徴に合わせて3タイプに変身する超マルチ戦士!3000万年前の超古代の戦士で地球の守護神とされている…のだが、実は元闇の巨人だったりする。変身するダイゴ役の人がV6の長野博というのは有名で、それゆえにダイゴが変身するティガはなかなか客演の機会がない。それでも「人は誰でも光になれる」と言わんばかりに、様々な形で客演してくれてるので自分的にはこれはこれであり。この世界では古代の絵に描かれていたらしく、その再現が行われているが、実在していたかは不明。
『3000万年前』
地球ではまだ類人猿もいない時代。オバロ世界でも取り扱われてない(と思われる)時代の話なのでやりたい放題だぜ!(クズ)
『闇』
ヤバいの。ウルトラシリーズ屈指のヤバさを誇るクトゥルフ的存在。作者の頭の中にも常駐している。
『巨人像』
光の巨人が地球を去った時、残された器。大体壊されている。てかなんで闇っぽいのしか復活しないのん…?これをつなぎ合わせて新たなる巨人像を作るなんて、厄ネタ中の厄ネタである。この世界にも残骸が多数存在している上、復元が進んでいるらしい。
ウルトラマンがもし現代社会(ぼくらの世界ではない)に現れたらどうなるのか?その辺りは、『オーブ』『ジード』『ルーブ』などで描かれたと思います。では、ファンタジーの世界にウルトラマンが現れたら、そこに住む人々はどう思うのか?現代人ではなくファンタジー世界の住人が、ウルトラマンになったらどうなるのか?そのあたり踏み込んでみたのが、「新たなる巨人」となります。詳しくは次回。
あ、次回は10月10日水曜18時、いつもの時間に投稿予定です。