どうにもならない、そんな時…なんだけどさぁ!   作:#任意の文字列

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言い忘れていましたが、感想欄で時折出現する闇のネタはフリー素材なので、気に入ったものがあれば持って行ってくださって構いません。皆で持って行ってウルトラマン小説もっと流行らせましょう。え?気に入られるものなんてあるわけない?そっかぁ…

ウルトラマンガイア6話『あざ笑う眼』、今やアイドル怪獣の一画たる怪獣、ガンQの初陣回でした。やっぱり、山中に現れた眼だけのガンQ、笑い声も相まってかなり不気味。この正体不明な感じをたっぷり含んだ怪獣が、実は戦国時代の呪術師の力によるものだと言う事実は今聞いてもたまげますね。さらにその後ギンガSで感動モノの主役に抜擢されるなんてほんと想像付かない…
人間関係ですが、この辺りの敦子はかなりキツめ。彼女は極度のシスコンという設定があり、そのため我夢を子ども扱いする場面も多いのですが、それが後々嫉妬でボールペンへし折るまでになるんだから…あとチーム・ファルコンが今回で全員きちんと顔出ししましたが、この時点ですでに生き急いでる感すごい…改めてガイア、よく作りこんでいるなぁと思います。

主役にテコ入れを行ってしまう二次創作者の屑…おっと失礼。ここから先はまだ皆さんには、未来の出来事…


新たなる巨人・急 前編

「ぐ…ぐお…っ」

 

 瓦礫を押しのけ、アインズは何とか立ち上がる。全身に広がる痛みは、これまで彼が今の彼として生きてきた中で一番の痛みだった。

 

「どう、なっている…!」

 

 痛みをこらえ、周囲を見渡す。周囲は完全に破壊され、人っ子一人いない。上を見上げれば、はるか向こうに夜空が見える。どうやらここを破壊した存在は、それだけでは飽き足らず外に出たらしい。

 回復の準備を行いつつ、どうしてそうなったのか、混乱する頭を落ち着かせるため、アインズは想起した。

 

『ここ、か』

 

 アインズはまず既に対峙していた村人たちを一人残らず「処理」した後、その後も迫りくる村人たちを「処理」しつつ、彼らがやってくる方向へと向かっていった。その結果、彼は地下の遺跡、そのまた更に地下の特別な空間にたどり着いていた。そこは高さは何十メートルもありそうな大きな筒状の空間の中に、足場が組まれているような場所だった。

 足場の方に降り立ったアインズが周囲を確認していると、横に巨大な物体が屹立しているのを確認した。

 

『…なるほど、これが巨人像か』

 

 そこにあったのは、胸元から上をのぞかせた、かつてサラマンドラと戦っていたウルトラマンに似た石像。これが話に聞いていた復元された巨人像であることは、彼にもすぐ理解できた。つぶさに観察すれば、それが頭から足まで完成されており、これならば復活するかもしれないということが伺える。

 アインズが石像を見ていると、突然前方が光り出し、直後苦痛に苦しむような人々の叫びが聞こえた。

 

『…これは!』

 

 アインズが見てみれば、彼の頭上には檻のようなものが設置されており、そこに人が入れられており、さらにそこから光が走っているのがわかった。彼らは『フォーサイト』や『蒼の薔薇』同様捕えられた者達であり、ギジェラをやるという村人たちの口約束にまんまと乗せられ、そのままうまくここまで誘導されてきたのだ。もちろんアインズがそこまで知る由もないのだが、この光景はこの光こそアルシェが言っていた巨人像復活のためのものでは、と彼に考えさせるには十分だった。

 彼が驚愕に包まれていると、正面から青い服を身にまとった男が現れる。アインズは知らないが、彼が村長だった。

 

『な、何故ここにアンデットが…貴様、何者だ!?』

『…これは失礼した。我が名は、アインズ・ウール・ゴウン』

『…アインズ?』

 

 驚いた様子で名を聞かれ、アインズがとりあえず返事をするも、その名前を聞いたとたん、村長の様子が変わる。それと同時に、檻の中からの絶叫は止まり、光は消えた。

 その直後、村長は先ほどまでの要津はどこへやら、いきなり笑い出した。

 

『…何がおかしい』

『いや、理解したのだ!貴様が我らの文明が最後に予見した、外から来る王であると!名は、アインズ・ウール・ゴウン!はは、やはり、我らの文明はこの世を支配するにふさわしいのだ!!』

『…何だと?貴様、何が言いたい…!』

『我らがこうして現代人を贄に光を集めてきたのも、すべてはこの日のため!この装置を使い、集めては蓄えてきたこの光―今こそ、この巨人像にすべて注ぎ込むとき!』

 

 村長はそう叫ぶと、近くにあったコンソールを操り、何かのスイッチを押す。すると、空間の周囲を囲っていた壁が、輝きと共に光を放ち出す。アインズが何かをするより早く、周囲の壁にあった突起から発射された光が、巨人の胸元に注ぎ込まれた。

 

『!貴様…!!』

『はは、ははははは!!さあ動け!我らが文明最大の防衛兵器!光の巨人よ!』

 

 そして、石像だったはずの巨人に色がつき、ウルトラマンの姿そのものに変貌した。そして巨人―テラノイドが行った最初の行動は、両腕を振り下ろし、動くもの―アインズと村長を、叩き潰すことだった。

 

『…え』

『な、にぃっ!?』

 

 村長は、あっけにとられ動かない。アインズもそれに気圧されつつもとっさに躱そうとするが、それもむなしく二人は叩き落されたのだった。

 

「…ああ、そうだった。…巨人の力が、あれほどとはな」

 

 自身に起こったことを完全に思い出したアインズは、この状況を引き起こした巨人の力に身震いする。嘗てはモモンガという名で活動していたユグドラシルでのステータスをそのままにこの世界にやってきた彼は、この世界では直接戦闘において向かう所敵なしだった。だが、今回は危うく死ぬかもしれないレベルのダメージを、寝起きの一撃で叩き込まれたのだ。恐れを抱かない方が無理な話であり、彼はこれまで以上に、自身の感情抑制に感謝していた。

 

「…さて、どうするか」

 

 回復を行い、アインズは考える。あの巨人は強い。このまま、一度体勢を立て直すのも手だろう。しかし、このまま逃げてはあの巨人の事は何もわからない。アルシェがいれば聞いたりしたのだが、どうも遺跡が派手に破壊されている今、彼女は無事なのかハッキリしない。一度引くにしても、ある程度は相手の情報を知っていた方がいいだろう、という思いが彼の中で勝っていた。

 結局、彼は外に出てみることに決めた。自分の姿を悟らせないよう、〈飛行(フライ)〉と〈時間停止(タイム・ストップ)〉を併用して飛翔する。遺跡があった山の山頂付近に到着し、〈時間停止(タイム・ストップ)〉を解除した後、彼は周囲を一瞥した。

 

「あれか…」

 

 そしてその結果、彼は村の外の平原に立つテラノイドを見つける。テラノイドは背後を見せ、何をするでもなくただそこに立っていた。その生物らしさを感じさせない姿は、アインズをしてただただ不気味でしかなかった。

 そして、テラノイドは不意に振り返る。振り返ってた巨人の目が、こちらを見ているような感覚が、アインズの背中を走った。

 そして、テラノイドはこちらに、と言うよりは遺跡に向かって、右腕を縦に、左腕を横に構え交差するという、アインズからしたら謎の構えを取った。―まずい、という予感が、彼の中で芽生える。あれは、まずい。何かはわからないが、放っておけばまずいことがおこる。そう考え、何かアクションを取ろうとするも、彼の今の位置からでは巨人に対し何もできないことを悟る。何もできず、ただ待つしかないのか、とアインズが嘆いたその時―

 

「デュワッ!!」

 

 ―光があふれ、掛け声とともに巨人が飛び出した。こちらの巨人なら、アインズも知っている。あの巨人は、かつてアインズの奥の手を受けつつ生き延びた怪獣を倒した者。この世界の人々を護り、巨大な怪獣を倒してきた救世主とうわさされる存在。アルシェから聞いた、その名は―

 

「―ウルトラマンガイア」

 

 アインズがつぶやくと同時に、勢いよく飛び出したガイアが、テラノイドの腰を捕えた。

 

 

 

 光線技を撃とうとしていたテラノイドの腰に、何とか飛びつくことに成功する。間に合ったことに、安堵を覚えた。

 テラノイドに飛びつき、自分はその勢いのまま相手を押し倒し、地面を転がっていく。途中でテラノイドを離すことで、奴にはさらに勢いをつけさせ、そのまま距離を取ることに成功した。

 勢いが死んだところで立ち上がり、テラノイドから目を離さない。テラノイドは回転が止まったのち、一拍おいて、何事もなかったかのように立ち上がった。これまで戦ったどのロボット怪獣よりも、機械的な、命を感じない挙動に、少しだけ戦慄を覚えた。

 

(…いや、飲まれるな自分)

 

 相手は異質だが、ウルトラマンの力だけを持った怪物、テラノイド。一度も油断できない相手だと、気を引き締める。

 …ところで、変身する前の記憶が朧げなのだが、これはどうしたことだろう。確か自分は、ギジェラにやられたのであろうヘッケランを励まして、それで…その後の事が、妙に思い出せない。そもそも、ヘッケランをどうやって立ち直らせたんだっけ?確かあの時は、自分がヘッケラン達に初めて会った時の事、ウルトラマンの力を手に入れて途方に暮れていた時の事を思い出して…

 

(…いけない、集中集中)

 

 変なところに向かいそうになっていた意識を、戦場に引き戻す。いけない、今自分は相手を油断ならない奴としたばかりだろう。思い出せない記憶があったって今気を取られてどうする。思い出すのは後でいいし、そのあと思い出せなかったのならその記憶はそれまでのことなのだ。気を取り直し、改めて相手を見た。

 やはり相手はテラノイド、こちらを見る目には生気を感じない。だが、こちらを敵として見ているのは確か。攻撃力が高いことは想定できるし、ここは速攻でカタをつけるべきだろう。

 そう考え、自分はなんとなくで出した構え―右腕を無造作に相手に向ける、最初のアグルの構えで、相手を睨みつけた。そのまま横にスライドすると、テラノイドは体を自分に合わせて向けなおした。…よし。このまま、皆のいない方向に誘導できれば。そう考え、ゆっくりと相手の周囲を囲むように動いた。

 そして、自分の動きでテラノイドの向きが変わり、テラノイドの正面から完全に遺跡が消えたことを確認したその時、テラノイドが機械的な動作で、再び十字を組んでこちらを狙った。

 

「ジュワ」

「!オアァァァァァ…!」

 

 テラノイドの正面に組まれた十字から、必殺の『ソルジェント光線』が放たれる。飛来する光線が直撃すれば、こちらもただでは済まないだろう。だから、こちらから迎え撃つ。

 光線が放たれた瞬間、右腕を頭に添えて体を反らし、青い光が頭部から出たのを確認すると、そのまま頭をテラノイドに向かって振り下ろす。

 

「デュオッ!!」

 

 『ソルジェント光線』が直撃する寸前で、自分が繰り出した『フォトンクラッシャー』が激突する。どうやら相手は一定量の光線を撃ち続けているだけらしく、最初からそれなりに力を込めた自分の技の方が、じりじりと押しているのが見て取れる。このまま押し切らんと、自分の技にさらに意識を集中する。

 

「デュワッ!」

 

 ガイアの咆哮と共に、『フォトンクラッシャー』に込められた光の量がさらに勢いを増し、テラノイドの光線を一気に押し流す。テラノイドはそれに対し、何らリアクションを取ることなく、力負けし光線を撃った状態のまま、自分の技を弱点たるカラータイマー付近に浴びた。

 

「グワァ…」

 

 わずかなうめき声とともに、テラノイドはなすすべもなく吹き飛ばされる。かなりの距離を飛ばされたテラノイドは、着地後地面を数回転がり、うつぶせに倒れる。テラノイドは、体をよじらせるも、どうやらダメージが大きいのか、すぐには立てないらしい。そのまま動けないテラノイドに対し、細心の注意を払いつつ接近、とどめを刺さんと動こうとしたところで―突然、緑色の光の槍が、自分目掛けて降り注いだ。

 

「デュオッ…!」

 

 それを何とか回避し、再び距離を取るとともに、自分を攻撃してきた存在を探す。そして、その存在はすぐ近くにいた。

 

(…スフィア!)

 

 そこにいたのは、この近くに現れたと聞いていた宇宙球体スフィアの群れだった。自分の前方から上を取っているスフィアは、こちらを見ているのか、不気味な音と共に滞空している。驚いた、サンダーダランビアになってアグルに撃破されたと聞いていたが、他にもいたとは。

 スフィアはそのまま滞空しているが、果たして目的は何なのか。考える。スフィアと言えば、融合能力、そしてスフィア合成獣だろう。この場にいる存在で、彼らが融合できるものは何か。ここは平原であり、大質量を持つのは、自分と、前方にいる…

 

(…まずい!)

 

 スフィアの恐ろしいたくらみを理解し、それを阻止せんとスフィアに攻撃を仕掛けようとする。だがスフィアの反応は早く、彼らの放った光が、いち早く自分の行動を阻害した。

 そして、スフィアは行動を開始する。彼らが降下した先にあるのは、自分の攻撃で動けなくなった、テラノイドだった。

 

「デュ…」

 

 テラノイドもそれを理解したのか、あおむけになり、接近してきたスフィアに対して『ビームスライサー』に似た光弾を放つ。光弾はスフィアに直撃し、爆発させる―だが、スフィアは一体だけではない。迫りくるスフィアに対し、テラノイドは尚も抵抗を続けようとするが、それもむなしく、スフィアとの接触を許してしまった。

 テラノイドはスフィアにまず顔面にとりつかれ、必死にはがそうともがく。もがく様はこれまで見たことないくらいに生気に満ちたものだったが、スフィアはお構いなしに取り付いていく。全身をスフィアに侵され、次第にテラノイドの抵抗が収まると、スフィアは溶けていくようにテラノイドの全身を包み込んだ。そしてスフィアに包まれていた表面が固まり、ヒトガタのように変貌すると、そこにいたのはもはやテラノイドではなかった。

 彼は立ち上がり、自分の事を睨みつける。異形に敗北したその姿は、まさしく超合成獣人ゼルガノイドであった。

 

「ウアァァ…ズアァ!!」

 

 そしてゼルガノイドは、方向と共に光に包まれた右腕を突き出す。とっさにその延長線上から退避すると、自分が立っていた場所を、橙色の光弾が通過する。光弾はそのまま後ろに飛んでいき、遥か遠方の山らしき場所に着弾、爆発した。

 …まずい。考えられるシナリオの中で最悪の事態だ。まさか、テラノイドが現れたからってこうも安直にゼルガノイド出現につながるとは。おまけに、今回ゼルガノイドの素体となったテラノイドは、エネルギーをあまり使っていないし、そもそもエネルギーをどれだけ保有しているか見当もつかない。先ほどまでのテラノイドはあまり賢そうではなかったが、今度は知能の高いスフィアと融合したゼルガノイドが相手だ。先ほどみたく、すぐ光線を当てられるなんてことは起きないだろう。

 相手の危険性を踏まえ、今一度気を引き締める。これ以上の進撃を阻止せんと、自分はゼルガノイドに向かって駆けだした。

 

「デュワッ!」

 

 駆けだした勢いそのままに、飛び蹴りを叩き込む。光の巨人の全力を込めた一撃は、同じく光の巨人の力をもっていなされる。足を叩き落とされ、自分が着地した隙を逃さず、ゼルガノイドの裏拳が迫る。それを何とか受け止め、腕を押しつけ合う力比べの形となった。

 …やはり、信じられないパワーだ。怪力持ちならゼットンをはじめいろんな怪獣を見てきたが、その中でもこいつの力は格別だ。それに、可動域の面でも人型に近いため目を見張るものがある。

 腕で相手を抑え込んでいる隙に、相手の足に蹴りを叩き込む。だが、ぶよっとした不思議な感覚が広がり、あまり手ごたえを感じない。これは、全身を覆うスフィアの感触だろうか。肉弾戦はあまり有効打を取りにくいかもしれない。

 相手の体に理解を深めていると、突然相手の腕の力が強くなり、そのまま押し返される。ゼルガノイドは自分の硬直を見逃さず、すかさず懐に潜り込むと、腹部目掛けてストレートを放った。

 

(ぐぅ…!!)

 

 鈍い痛みと不快感が、全身に広がっていく。その衝撃で生じた吐き気を何とかこらえていると、ゼルガノイドはさらに自分に接近し、力の入らない腕を取ると、そのまま腹部に蹴りを加えた。そして掴んだ腕を軸に、自分の体を背後へと投げ飛ばした。

 

「グオッ…!」

 

 一瞬の浮遊感の後、背中から着地した。着地の衝撃でうめき声が漏れ、痛みが広がっていく。正面も後ろも痛いが、この程度ならなんてことはない。だが、この場でじっとしているのは、まずい。痛みをこらえ何とか起き上がると、それと同時に前転を行い、そのまま距離を取った。

 ゼルガノイドの存在を背後に感じながら、考える。一連の攻防で分かったのは、相手は強力なパワーを持ち、防御面でも部位によってはスフィアの防御があるという事。接近戦は、あまり良い選択ではないかもしれない。スプリームヴァージョンの怪力ならば対抗できるだろうが、今あいつはまだまだ元気だ。時間制限があるスプリームは、最後の手段に取っておきたい。

 なら、光線技はどうか。思い出されるのは、かつてウルトラマンダイナのソルジェント光線が直撃した際見せたスフィアの防御。ゼルガノイドはダイナの一度目の光線を、胸元に受けるも、そこにいたスフィアで防御したのだ。だが、続く二度目の光線は顔面から胸元にかけて受け続けて爆発したし、それより前にガッツイーグルのトルネードサンダーでひるんだりしている。ここから考えると、ゼルガノイドの防御能力には場所によって差が生じる可能性があることがうかがえる。なら、そこを試すべきだろう。まず狙うは、顔面からか。

 決意と共に立ち上がり、ゼルガノイドの方に振り向く。ゼルガノイドは自分の背後…よりも、すこしズレた場所に立っている。相手を確認するとともに、自分は光線技の準備をしようと狙いを定め―後ろに、とあるものを発見した。

 

(…しまった!)

 

 それが見えたことに、驚愕するとともにしてやられたことを察する。ゼルガノイドの後方には、遺跡の残骸―皆が近くにいるだろう場所が見えた。これでは、光線は撃てない。

 そして自分がその状況下に驚き、少しの間硬直したのを、ゼルガノイドは見逃さなかった。奴はテラノイドの時とは打って変わってパワフルな動きで十字を組み、こちらに狙いを定める。自分が気がついた時には、すべてが遅かった。

 

「ダァ!!」

 

 そして、ゼルガノイドの腕より『ソルジェント光線』が発射される。なすすべのない自分の体に、光線は吸い込まれるように飛んでいき、着弾、そして爆ぜた。

 ―すべてが、灼けた気がした。

 

 

 

(…くそっ!!)

 

 怪物―ゼルガノイドの放った光が、ガイアに直撃する。叫びながら吹き飛ばされるガイアを見て、ヘッケランは歯噛みした。

 

(俺には…アルシェと共に戦う事さえできないのか!)

 

 慟哭する。仲間の傷つく姿は、ヘッケランにとっていつも耐え難いものだ。それが自分には手の出せない状況であればなおさらで、今回は先ほどアルシェと会話した事がさらにヘッケランの心を追い詰めていた。

 彼ら『フォーサイト』と『蒼の薔薇』の一団は現在、なんとか遺跡より脱出し、村の建物の上に登り、ガイアと怪物の戦いを見つめていた。そのことも、ヘッケランにさらなる追い討ちをかけてくる。ヘッケランは、先ほどガイアが怪物越しにこちらを見て、動きを止めたのを目撃している。あれは、おそらく何か飛び道具を使おうとして、それが自分たちのいる場所に当たる事可能性があったから止めたのだ。ガイアのすさまじい力をある程度見てきたヘッケランには、自分以上にガイアを知るアルシェならそうすることが、容易に塑像できた。

 それらの事実にヘッケランがやりきれなさを感じていると、突然背後から声を掛けられた。

 

「…ねえ、ターマイトさん。ちょっと、いいかしら」

「なんだ―アインドラの嬢ちゃん」

 

 ラキュースからの問いかけに、ヘッケランの答えは若干乱暴なものになった。それに気がついたヘッケランが、心の中で舌打ちをしつつ詫びを入れようとするが、気にしている様子のないラキュースが、先に続けた。

 

「…聞きたい、ことがあるの」

「…なんだ。アルシェじゃないから、答えられるかは…」

「いえ、大丈夫…あの化け物の事を聞きたいわけではないから」

「…?じゃあ、何だってんだ?」

 

 状況にそぐわない物言いにヘッケランは訝しむ。その顔を見つめ、ラキュースは口を開いた。

 

「…ガイアは、何故戦うの?」

「…は?」

 

 意味が、分からない。何を聞いているんだ―ヘッケランの頭の中に渦巻いた言葉は、ラキュースの顔を見ることで収まった。彼女の顔は深刻そうで、悲しそうで、悔しそうで―いろいろな感情が渦巻いているのを、見て取れたから。

 ヘッケランはラキュースの顔を見て、しばらく黙考し、そして口を開いた。

 

「…俺は、ガイアが…人間だってことを知っている。それが誰なのかも、知っている。それをおいそれと話すわけにはいかねえけどな」

「…大丈夫よ」

「…そうか。なら続けるぜ。そいつが、一度大負けしてケガした時があってな、その時、俺は聞いたんだよ。―なんで、そこまでして戦うんだって」

 

 ヘッケランは思い出す。それは、白い怪物―シビルジャッジメンターギャラクトロンと呼ばれた怪獣とガイアが戦い、敗れた時の話だ。彼はその時、仲間と共にアルシェを探しており、ガイアが敗れ倒れたその場所にアルシェが倒れていたのを見つけたのだ。そして彼女が目覚めた後、いくつかの問いかけを行い、ついに彼女の口から自分はガイアであると聞きだしたのだ。

 その時、ヘッケランは一つの事を思った。なぜ、戦うのだと。誰かに頼まれたわけでもなく、誰かがアルシェ個人に感謝してくれるわけでもない。そんな孤独な戦いを、どうして続けていたのかと。英雄と呼ばれるべき戦いをして、しかし英雄と呼ばれることはないのに、どうしてと。当時のヘッケランは、あるいはイミーナもロバーテイクも、アルシェの戦いに気づいてやれなかったことを悔やんでおり、それを止めようと思っていたのだ。だが、彼女の返事、そして覚悟を見て―最終的にヘッケラン達は折れ、代わりに彼女を応援するということになったのだった。

 それら当時の事を思い出しつつ、ヘッケランはアルシェの言葉を紡いだ。

 

「悲鳴を上げる人がいるから、だってよ」

「…それは、どういう?」

「アル…ガイアは、こう言ったんだ。自分が戦うのは、英雄とか、そういうのになりたいんじゃなくて、悲鳴を上げる人がいいるからだって。その人たちのために戦って、みんなを守りたいから、戦うんだって―そんなことを、本気で言いやがったんだぜ?」

「…そう、崇高な方なのね」

 

 ラキュースはその言葉を、噛み締めるように呟く。だが、その言葉はヘッケランには看過できなかった。

 

「…そんなんじゃねぇよ。崇高な理念、みたいなもんをあいつは抱いてない」

「…え?」

「あいつはな、それが当たり前のことだって、やりたいだけなんだって言っててな…あいつは、気弱だけど賢くて、人とは変わった視点を持ってて、頼りがいがあって―優しいんだ。誰かのために戦うって、当たり前に、普通の事のように思ってるんだ。それが俺たちと違う世界から来たんじゃないかってくらいに、眩しくて―ワーカーなんて、似合わない位にな」

「…そう、だから、彼女は戦えるのね。戦うための、強い理由があるから」

「…?」

 

 何かを悟ったような言葉と共に、ラキュースの表情が引き締まる。その決意に満ちた顔にヘッケランは少し戸惑うが、ラキュースは彼に目もくれず、自分の右腕の、目立たないが少し大きめの籠手の表面を外し、中に仕舞っていたものを取り出した。

 それを見た時、ヘッケランに電流が走る。彼は、そのアイテムが何なのか、アルシェから聞いていたのだ。そして周囲の者達も、ヘッケランとラキュースの会話を見ていたのか、彼女の方を見て、一様に驚いていた。ある者達はそれが存在することに対し、ある者達はそれを彼女が手に取ったことに対し。

 皆が絶句する中、一番先に硬直が解けたヘッケランが、ラキュースに問いかける。

 

「嬢ちゃん…あんた」

「…ウルトラマンよ…アグルよ」

 

 だが、問いかけが聞こえてないかのように、ラキュースは続ける。彼女は出てきたアイテム―『アグレイター』を手に取ると、それを眺めながら語り掛けた。

 

「何故、戦う?…何の、ため、なの…?」

 

 ラキュースはそこまで語り掛けると、『アグレイター』を右手首に装着する。そして腕をだらんと下げ―『アグレイター』の結晶体が点滅し、翼が開いた。彼女はそれを、正面に構える。『アグレイター』が反転し、大きく翼を広げる。

 そしてラキュースは、教えてもらった光の名を、あらんばかりの声で叫ぶ。

 

アグルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!

 

 そして、『アグレイター』の翼から青い光が飛び出し、彼女を包み込んでいく。皆が驚愕で動けない中、青い光となったラキュースは飛び出し―そこから、青い光の巨人、ウルトラマンアグルが出現した。 




後編は10月20日土曜18時ちょうどに投稿予定。ちょいと長くなってます。
皆もウルトラマンチャンネルにてウルトラマンガイア7話『地球の洗濯』を見よう!
円谷プロ公式ツイッターもお忘れなく。
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