ハイスクールD×D 漆黒の意志    作:ケンシロー

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「マッシモ・ヴォルペって出せる?」

A出せます

「ヴァニラ・アイスは出せる?」

A出ることは確定済みです。


次回からが本編です。
本格アンチが入ります。


Killer Queen

「………」

 

 女性に警戒の意を見せられている大統領は何も言わずに女性と向き合う。女性は学生服を着ておりおそらく成人はしていないだろう。特徴的な灼眼を細くして大統領を睨む。

 

「…………君は人を呼ばないのかね?それともこの国でこのような殺人は日常茶飯事だったりするわけか?」

 

 大統領は自分の身分などを明かそうとはせずに、女学生に質問をする。大統領は現在も腹部から血を流している男子学生を尻目に女学生を見つめる。女学生は警戒を解かずに返答する。

 

「いいえ……この国では殺人は立派な犯罪よ……」

「そうか……ならなぜ人を呼ばない?この状況からしたらどう見ても私が犯人に見えるはずだが……?」

 

 大統領は動揺も何も見せずに言葉を並べていく。

 

「なら、人を呼ぼうかしら……?」

「好きにするがいい……」

 

 お互いに相手の腹を探り合っている。相手が自分に攻撃をしないという保証がない以上迂闊な行動は危険だからだ。お互いに証明が欲しい……。ましてや大統領はこの世界に来て約2日目だ……。今自分の身分を明かすのは実にまずい。

 

「お話にならないな……」

 

 根比べで先に値をあげたのは大統領だった。

 

「自己紹介だけさせてもらおう……私の名前はファニー・ヴァレンタイン……わけ合ってこの国に滞在させてもらっている。それ以外は話す気はない……」

「…………」

 

 大統領は自分の名前を明かすがそれだけでは証明にはならないため女学生は警戒を解かない。大統領が地面に散らばった新聞紙を拾おうと動くと女学生の体が目を見開き、ビクリと縦に揺れるがすぐに元に戻り警戒態勢になる。

 

「まぁ、驚くな……私はこの新聞が拾いたいだけだ。君に被害は与えない……約束しよう……」

「………」

 

 大統領はそれだけ言うと散らばった新聞を数枚拾うと女学生の瞳を見つめる。彼女の目には『妙な動きをしようものなら殺す』といった心が現れていた。

 

「……なぁ、私も名前を名乗ったんだ、君も名前を名乗るべきなんじゃあないか?それとも君の育った国ではそういう風に育てられなかったのか?」

 

 『育った国』と聞いたのは彼女の髪の色で判断したからだ。大統領はこの国のことを知るために少し外を出歩いていた。この国の人間の髪の色は基本を黒とした者ばかりだった。居たとしても茶髪か金髪だけだった。前世でも自分の暮らしていた国民の髪色が赤というのは見なかった。

 女学生はゆっくりと自己紹介を始めていく。

 

「……リアス・グレモリーよ……駒王学園に通っているわ……」

「駒王学園………ン、あの馬鹿にでかい建物のことか……」

 

 大統領は脳裏に昼間に見かけた巨大な建物を思い浮かべながら話を続ける。

 

「それなら……グレモリー……そこの少年はどうするつもりだ?」

「ッ!?」

 

 率直な質問だった。リアスは大統領と対面する前にまずあの血まみれの男子学生が目に入ったはずなのだ。だが彼女は通常の女性の反応はしなかった。一言も悲鳴や嗚咽の声も漏らさなかった。これは実におかしい。このような光景を『見慣れても』いなければ、絶対に悲鳴や嗚咽は口から漏れ出るはずなのだ。

 

「答えられないということは……先ほどの堕天使の仲間と解釈し、正当防衛と称して君を地に叩きつけるが……」

「………」

 

 リアスは口ごもっている。本来なら弁論していたのだが大統領を見ており反応が遅れたのだ。大統領には普通の人間とは違う一際輝く何かがあった。

 大統領はリアスの姿を見ると新聞紙を持った手を動かす。その動きにリアスは反射的に魔力を放ってしまった。大統領はそれよりも早く体を包んで消えた。

 

 

 

「………ッハァ……ハァ……」

 

 大統領の姿が消えるとリアスは今まで溜めていた未知の恐怖を口から吐き出す。そして足りなくなった安心感を吸い込む。

 恐怖心が消えたリアスは男子学生に治療を施し、戦闘の痕跡を消すと男子学生を連れ公園から出ていった。

 

「……サクラに訊きたいことが増えたな」

 

 大統領は地に落ちた新聞紙と地面の『隙間』から現れると疑念を口にする。

 大統領は本当なら隙あらばリアス・グレモリーを殺していた。だが殺さなかったのにはわけがある。

 サクラに迷惑が掛かるやもしれないからだ。今の大統領はサクラに手綱を握られている身であり派手に動くことは危険である。サクラの簡潔な説明では堕天使や悪魔は組織を形成しているはずだ。組織とサクラのパーティでは差があるはずだ。自分が居るとしても相手の戦力が分からない以上は迂闊に動くのだけは避けたかった。

 大統領は公園に散らばった新聞紙を放置し、サクラたちと共に暮らす『荒木邸』へ戻るのだった。公園に残ったのは男子生徒の少々の血液と散らばった新聞紙だけだった。

 

 ☆ ☆ ☆

 

 荒木邸に戻りリビングへ向かうとサクラが出迎える。

 

「おや……?ファニー様、意外とお早いですね……わたしはもう少しかかるかと思いました」

「……サクラ、君に訊きたいことがあってね……」

 

 サクラは大統領の言葉を聞くと「夕食の際にお話しします」と言い、台所に入って行った。

 リビングにはDIOとプッチ、吉影、ディアボロ、カーズがトランプをしていた。するとカーズがトランプをテーブルの中央に投げる。

 

「このような下等なゲームでこのカーズが負けるだと……」

「その下等なゲームに負けた貴様は下等生物というわけだな」

「リベンジだ!今度こそは徹底的に叩きのめしてやる!」

 

 カーズがトランプに負け苦渋を飲んでいるときにディアボロが挑発を入れる。するとカーズが逆上しリベンジを申し込む。カーズのIQ400という面目が立たない。

 

「ババ抜きは運が勝敗を分けると思うんだが……」

「プッチ……運も実力の内と言うだろう……」

「……なるほど」

 

 DIOとプッチは何かを話している。

 サクラはその光景を尻目にうっすらと笑みを浮かべて台所の収納棚から包丁を取り出して、料理を作り出すのだった。

 

 ☆ ☆ ☆

 

 全員が帰宅するとサクラの作った料理を囲んでサクラの説明会が始まった。

 

「さて……今日はファニー様が質問があるそうですから……どうぞ、ファニー様」

「では、訊かせてもらおう、昨夜、君は堕天使に天使、悪魔が敵対関係にあると言ったな」

「はい、申し上げました」

「今日、私は堕天使が人間を殺害するところを目撃した……」

「……ッ」

 

 サクラは苦虫を噛んだような顔をする

 

「そして、攻撃を受けた……この世界では三勢力と人間はどのような関係にあるんだ?」

 

 大統領の質問にサクラはいつも通りのニコニコとした顔に戻すと返答しだす。

 

「それでは堕天使からお教えしましょう。まずこの世界の堕天使は人間の持つ神器(セイクリッド・ギア)の研究を行っています」

神器(セイクリッド・ギア)?」

 

 聞き覚えの無い単語に全員が疑問を持つ。

 

神器(セイクリッド・ギア)……それは人間の血を持つ生物に与えられる、いわば能力のような物です。炎を操る能力、鉄を作り出す能力、視力が良くなる能力……その人によって様々ですが堕天使は人間が力を持つのが嫌いなのです。自分に恐怖を与えるものを全て始末する。それが堕天使から人間への行動です」

「…………」

 

 ディアボロが少し眉を下げるがサクラは話を続けていく。

 

「次は悪魔です、悪魔は己の力が欲しいために人間を自分の奴隷にしています。そしてその奴隷を『レーティングゲーム』と呼ばれるもので戦わせて娯楽に勤しんでいる……と言ったところです」

 

 サクラは生き生きとした表情で説明していく。その姿には悪感すら覚える。

 

「最後に天使です、天使は人間には攻撃的ではありませんが協力関係にもありません、ただ人間の信者を集めて自分たちの幸せと安全を確保しておこうとするだけの生物です、人間の信者たちは『無き空想』に祈りを捧げています。……三勢力の簡単な説明はこれだけでしょう」

 

 サクラの夕食の入っていた皿はもう半分ほどしか夕食が入っていなかった。話がもう少しできると踏んだサクラはどんどん話を進めていく。

 

「ファニー様の件はわたしのミスでした。数日後、一応ですが皆様に認識阻害の魔術をかけたいと思います」

 

 サクラは頭を下げると手に持ったフォークを手の上で一回転させると目を全員に一回り向けると口を緩める。

 

「今日はこの家に住んでおられる皆様に『己の命』について教えたいと思います。まず皆様は一度死んでおられます、それは分かっておられますでしょうか?」

「そのことは昨夜聞いた」

「なら、詳しくお話します。この世界に連れて来た際、皆様の命には魂があっても肉体がありませんでしたからこちらが適当に肉体を用意し、魂を埋め込む形になりました。結果、皆様の体は完成してはおりません。皆様の体は少しですがもとの世界よりも劣化していると考えてください」

 

 『身体の劣化』という言葉に身覚えのあるプッチとDIOが眉を一瞬動かす。他の面子はそのような感覚が無かったらしく自分の腕などを見ている。

 

「詳しいことが訊きたいのでしたらわたしの部屋に来てください。その時にお話しします。まだ時間は残されております少しずつ……少しずつ皆様で交流を深め、協力関係を結んでくださることを願っております」

 

 サクラはそれだけ言うと食器を台所の流し台へ持っていき戻ってくる。そして一礼すると二階の自室へ戻って行った。残された者たちは少しの疑問を感じながら流し台に食べ終わった料理の食べカスの付いた食器を置いて各自自由行動に移るのだった。

 

 ☆ ☆ ☆

 

 あっという間に数日が過ぎていた。結局のところ未だにテロリストらしい活動は行っていなかった。

 ただ変わったことと言えば吉良吉影は仕事を得たということだろう。サクラの話だと前世と生き方が変わる可能性もあり得るため前世と同じような仕事に着いて普段どおりに生きてストレスを最小限にしてほしいとのこと。

 サクラのその言葉は吉影にとっては吉報だった。前世でストレスを最大まで溜め続けることとなった吉影にとってはその言葉は救いの手だった。

 サクラの手配によって前世と同じような会社に新入社員として入社した。最初の内は騒がしかったが目立つような行動は一切せずに数日が過ぎるとあっという間に吉影も社員の一員だった。雑務ばかりを受け責任を受ける仕事は一切受けない。

 今日も書類を隣町に届けるという仕事を受けていた。そして少し気晴らしに公園で懐の冷たい温もりを感じながら歩いていると青年とぶつかってしまった。懐に隠していた『女の手』が一瞬だが表に出た。すぐに吉影は手を隠した。吉影は青年を見るが青年は「すいません」と謝るだけで何も見ていないようだった。そして何か不安などの感情が見えた。

 

「君、一人かい?」

「……そうですけど」

「悩みでも抱えてるんじゃあないか?顔がつらそうだぞ?私で良ければ聞いてやるぞ」

「………聞いてもらえますか?」

 

 吉影からしてみれば『なんとなく』聞いてやりたい気分だった。青年からしてみれば自分のこの『ムカムカ』とした気分を誰かに話して少しでも自分の苦悩を和らげたかったのだ。

 吉影と青年は近くにあったベンチに座って話をしていく。

 少し省略するが青年の話だと悪党の手伝いをさせられている女の子がいるとのこと。

 

「俺、昨日知り合いの女の子のこと守れなかったんです。俺は……ッ」

「ようするに君はその女の子を守りたかったんだろう?」

「……はい」

「なぜだ?」

 

 吉影の鋭い質問が青年の心に刺さる。

 

「え?」

「そんなことをしてナンになる?自分の身を挺してまで赤の他人を助ける必要なんてないだろう?」

「でも!彼女は嫌がっていたんです!」

 

 確かに彼女は嫌がっていた。彼女は聖女と言っても良いほど善人だった。悪人にはなれない女といっても良かった。

 

「それでもだ……その子は自ら悪と付き合う道を選んだんだ。それはタダのワガママに過ぎない。自分の選んだ道を自分で放り出すなど、それはただの傲慢だ。シスターとしては失格だ。シスターは神に忠誠を誓い神の言葉のみを信じる。自分の考えと神の教えを平行させてはならない」

「………そんなの人の生き方じゃありませんよ!」

 

 吉影の言葉に青年がベンチから立ち上がって反論する。彼女は間違っていないと言わんばかりに。

 

「だから、神を信じたんだろうな。まだそのシスターは壊れていないんだろう?悪に染まっていないのだったら君が救ってやればいい……できないのなら――――――」

 

 吉影は書類を持ち立ち上がり、青年の横を通り過ぎていく。

 

「―――――捨てて、壊れて、新しい自分を見つければいいさ」

 

 吉影はそのまま隣町に書類を届けて仕事場に戻るのだった。残された青年がどうなったかは知らない。

 サクラの話だとシスターと再会したらしいがそれ以上のことは知らないとのこと。




アーシアってイッセーと会わなかったら壊れてたと思います。
本当に人殺しも何も思わない悪になってたでしょうね。


「君は『引力』を信じるか?」
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