他の小説家の皆様に期待してください。
戦闘は今回はしませんのでご了承を
「明日、引っ越しを行いますので、準備をお願いいたします」
『は?』
サクラの言葉に全員が異口同音で間の抜けた声を漏らした後、怒気を籠めて会話になる。
「サクラ――――。それはどういうことだ?聞いてないぞ」
「いま、言いました」
「だから、なぜ明日なのかと聞いているんだ」
サクラは質問を聞くと少し考えるように机に頬杖を着いた後に、説明口調で喋り始めた。
「ええと、少し前にディエゴ様とンドゥール様に三勢力に奇襲をかけたことは一応、お話ししましたよね?」
サクラの言葉に部屋に居る全員が無言で首を下に下げる。サクラは全員の反応を見ると話を続ける。
「わたしは元からあるテロ組織に所属している違う派閥のバックアップを任されていまして、その功績を称えられて本拠地の移転を許可されました」
「――――――。なぁサクラ、その派閥というのはどのくらいあるんだ?」
サクラに質問したのはDIOだった。英語かは分からないが難しい文字列の並んだ本に目を通しながら『どうでもいい』と言わんばかりに足を組んでゆっくりとページを捲って読んでいた。
サクラは「ええと……」と呟くと思いだすように頭に手を置き少し時間を空けたあと話を再開した。
「確か10~15ほどあったはずですが……他にも色々とありますので……詳しくお話しすると長くなりますので」
「そうか」
DIOは返事をするとまた読書を再開して部屋が静粛に包まれる。
「このボロ屋ともお別れで、明日からは別の拠点にて行動します」
「仕事はどうなる?」
吉影が爪を切りながら質問する。サクラは目を閉じて、ゆっくりと目を開ける。
「心配は無用です、一応空間魔術で別拠点とこの拠点をなんとか繋ぎますので仕事に支障はありません」
吉影はサクラの言葉を聞くと安堵の息を吐くとまた部屋の中は無言になり、誰かのあくびの声が漏れるとサクラは言葉を残して部屋に去っていった。
「それでは、必要最低限の物だけ準備しておいてくださいね。わたしはまだ色々と準備がありますので……」
サクラがいなくなると大統領は日課のニュースを点けて政治環境などを見たりするのだった。ちなみにニュースに小さく『行方不明者がこの数か月で数倍に増えている』と書いてあった。
大統領はそれを見て「近いな」とだけ呟いた。
☆ ☆ ☆
不思議な禍々しい空をディアボロは豪華な装飾のされた窓から眺めていた。他の面子は数名探索と称して観光気分に浸っていることだろう。
引っ越しは意外とスンナリと終わった。
サクラが用意した転移魔法円を怪しく思いながら乗ると魔法円が光りだし気が付くと煌びやかな装飾のされたどこかの城と思われる部屋に転移していた。
一面の壁に巨大な魔方陣が書いてある以外は豪華な部屋という印象を与える落ち着きのある部屋だった。
ここに来てサクラが忠告したのは『先住民が居るのでこちらからは戦闘をしかけるな』ということだけだった。それに対してカーズが「むこうから仕掛けてきたら?」と質問するとサクラは、その場合は自由にして構わないとのこと。
「あなたが新しくきた人かにゃ~~?」
プッチと別れて行動していたDIOに馬鹿にしたような態度で接する女性が居た。DIOは女性を尻目にポケットから手を出した。
「………君は?」
「人の名前を聞くときは自分からって親から聞かなかった?」
「――――――!……ッ」
DIOは一瞬手で彼女を殴りそうになるが理性で押し止めて舌打ちをすると彼女を無視して進んでいく。
「………無視はどうかと思うわよ?お姉さんとしては……」
「用が無いならどいてくれないか?」
女性がDIOの前方の前方に立ち通せんぼするとDIOはうっとおしそうに適当にあしらう。
「名前くらい教えてくれてもいいんじゃないの?」
「―――――。DIOだ」
女性に押し負けたようにDIOは自分の名前を名乗る。女性は納得したように声を漏らすと確認するように名前を呼んだ。
「ディオね……」
「……違う」
「え?」
DIOは何かを思い出すように女性の言葉を否定すると少しだけ説明する。
「
「それって何かこだわりでもあったりする?」
「………深い意味は無い。ただ私の名前はDIOだ、それ以上でもそれ以下でもない」
「変な人……」
女性は呟くとDIOは仕返しをするように意図を返す。確かにDIOの姿は妙である、黄色と緑の二色を基本とした服装に頭にハートのアクセサリーを着けており足に履く靴は魔女の靴のようにトンガリ靴なのだから。
「それなら君も妙な姿だ。日本のワフクを着て頭に猫の耳が着いている。それに尻尾まで見えてるぞ」
「にゃはは~~♪それはお互い様ってことで」
女性はごまかすように手の指をチョロチョロと動かす仕草を見せると踵を返して去ろうとする。するとDIOが声をかける。
「待てよ……」
「ん~?」
女性は上機嫌に振り返ると女性の尾がユラリと揺れる。
「僕だって名乗ったんだ……君も名乗るべきなんじゃあないか?それとも親から聞かなかったのか?」
「………黒歌」
「………クロカ……日本人か」
女性は少し悩むと名前を早口で名乗った。
(そういえばサクラの部屋にあったな……はぐれ悪魔だったか?確か賞金が賭けられていたが……賞金額が高かったな……)
DIOは少し前にサクラの部屋に入っていた。そして手配書の写真を目撃していたのだ。その時の記憶が今更蘇った。
「DIOはどこかの派閥に入ってるのかにゃ?」
自分の派閥の名前はサクラから聞いていた。別に名乗っても問題はないだろう。
「――――――――
「え?それって……」
黒歌が訊いた瞬間DIOの姿が目の前から消えた。黒歌が驚愕していると背後から「また会おう」とDIOの声がし、黒歌が振り向くとDIOが曲がり角を曲がっていく姿が目に入った。
(今……何をしたの?ぜんぜん見えなかった………)
ドドドドドドドド
黒歌はDIOの行った行動が見えずに一滴の冷や汗を流す。
(
☆ ☆ ☆
一方カーズは黒いターバンを纏って廊下を歩いていた。
だがその黒いターバンには数滴の赤いシミが着いていた。サクラの忠告を無視して殺していた。否、無視したのではなく自然と殺してしまったと言ったほうが正しい。
廊下をカーズが歩いていると悪魔が二人組で廊下にて話をしながら歩いてきた。カーズの対向線から、歩いてきた。
その悪魔たちはカーズに道を譲れと図々しくも話しかけてきたがカーズはそのまま直進しその悪魔にぶつかった。そして喰らった。
悪魔の二人組は、右半身だけの悪魔と左半身だけの悪魔の『二人』になりバランスを保てずに廊下に転倒した。
その時のカーズの心境としては、殺してしまったというより、勝手に死んだという考えだった。
するとまた誰かにぶつかった。ズルリという感覚と共に皮が、肉が、骨が、カーズの栄養となり満たされていく。
違和感がカーズをとどめた。
(なんだ?この感覚は……吸血鬼よりも……重く……カロリーが高い?)
それは今までカーズが食してきた吸血鬼よりもズッシリとした感覚でまるで食べるのにも苦労している庶民が好きなだけバイキングの料理を食べまくって腹が破裂しそうというような、そんな感覚だ。
カーズが違和感に気付き背後を振り返ると一つの生物がいた。
「お前……何?」
その生物は左半身を失っているのにも関わらず恐怖も苦痛も感じずに無感情でカーズに話しかける。その生物の体はまるで自分と同じように、いやそれ以上か、左半身だけの体を再生させて断面から新たなナニカを作り出し体を作り直していく。
そして元の右半身を完全に再生させるともう一度カーズに冷淡とも言える声色で話しかけた。
「お前、何?」
カーズは髪の先からほんの一瞬だけ電気のようなモノを発生させると舌で自分の唇を舐めるとたった一言呟いた。
「世界を統べるため全てを超越した究極……太陽すらも克服した全てを欲した……。そのために仲間も犠牲にした。貴様ァ……このカーズの名を知らぬだと……?」
「カーズ……興味が湧いた。こっちへ」
その生物はそれだけ呟くと冷たい感情の無い笑みを浮かべると一つの部屋に入っていく。
その生物はその生物は幼い少女の姿形をしているが本来の姿は違う。カーズはその生物に興味を持つと何も言わずその生物の後を歩いて行った。
☆ ☆ ☆
時というものはすぐに過ぎていく。今、この時は今から過去になっている。そして今はさっきから未来に存在する。
時ほど考えておもしろいものは無いと思う。
時という概念を見つけた人物はそれほど時の流れに敏感だったのだろう。
気がつけば数日が過ぎていた。少し変わった日常も今ではいつも通りの日常に変化していた。
☆ ☆ ☆
視界の脇に、小さな山が映った。
横になっていたから分からなかったが、ベッドの側にはこれでもかとばかりに様々な物がうず高く積み上げられていた。
金銀財宝、剣に絵画に壷に本に皿に甲冑に、石像までデンと置いてあった。
「起きたか、黒歌」
「寝ちゃってた?」
「ああ、熟睡だったよ。起こしても寝言が返ってくるだけだった」
顔がほんのりとした温もりで包まれる。寝顔を見られた。
ガチャリとドアノブの引き戸が開かれる。
確かDIOの友達だった気がする。神父服を纏った姿には警戒心を抱かずにはいられないのは悪魔となってしまった自分を恨むべきなのだろう。
「なんだ、朝まで居たのか」
「ええ、少し話をしてたら……ね」
神父は手で十字架を切る。日常風景なのだろうが悪魔の自分にとっては苦でしかない。
「サクラが呼んでいたよ、朝食だ」
「そうか」
DIOは服掛けに掛けてある上着を手に取ると身に纏ってベッドから立ち上がる。190㎝はあろう体からすれば自分の体は小さいものなのだろう。DIOは自分に「また今度……」と呟くと部屋を後にしていった。
昨日DIOと話をして少し楽になった気がする。
今日の夜も話せるだろうか。
話せるのなら話がしたい。いつでもいいから、なんでもいいから。
話がしたい。
彼と話をしていると落ち着くのだ。まるで自分の両親と話すように……まるで自分の犯してきた罪に汚れた自分の心が救われるかのように思えるのだ。
なぜ、こんな気持ちになるかは分からない。
だが言える。私、黒歌はDIOに魅かれてきている。
彼のためなら命を捨てても構わないとときどき思う。
☆ ☆ ☆
「リリン殿、お久しぶりです」
「ン~?サクラちんか~。どうかしたの~こんなおじいちゃんに何か用かい?」
老人の真底からバカにした態度にサクラは一つの小瓶を取り出して机の上に置き言った。
「師匠の命を受けここにはせ参じました。リゼヴィム様、我らインフェルノ・ヘヴン。あなたの首をいつか頂戴し、師匠の墓前に供えます」
サクラの言葉を聞くと老人はクツクツと鍋の煮えるような笑いを浮かべると小指を立てて突き出した。
「指切りしようか、おじいちゃんと」
「ええ」
サクラは笑みを浮かべると小指を立てて老人と小指を絡めた。
『指切りげんまん、ウソ吐いたら、針千本飲ます、指切った』
サクラは老人と別れると机上にあったチェス盤の上の『戦車』の駒を動かした。
「3-C、チェックです」
「参った」
老人はケラケラと笑うと両手を軽く上げて降参の意を示した。
ニーベルングの指環という楽劇がありましてその登場人物の中に『ロスヴァイセ』ってオーディンの娘が居る。
原作者って元ネタとかって明かしてましたっけ?
明かしてなかったら色々と……ネ。