思いがけず大事な話になってしまったので、書き直すかも
しかし登場二艦目がほぼオリ艦って許されるのか
駆逐棲姫ベースだから許して
何でも島風
「……駆逐棲姫。お前は我々の鎮守府の捕虜クマ。吐き出す言葉と態度には細心の注意を払うクマ」
開け放たれたドア。
ちょうど仮ドックとして改造された部屋と廊下の敷居の上に立って、こちら……主に俺に向かって油断の無い視線を投げ掛けてくる駆逐せいきに対し、単装砲の砲口を突き付けて威圧的な言葉を発する球磨ちゃん。
弾なんか一発も入って無いっていうのに、なかなかのハッタリだ。
ツインテは定位置(不本意)である俺の頭の上で、能天気に俺の髪をいじりながら我関せずの構えだ。
しかし、部屋から溢れ出てきている湯気がモクモクと駆逐せいきを包んで、最高に気が散る。
空気読めよ湯気。
「………………」
対して、イキり球磨ちゃんに絶賛
中々に強気かつ反抗的な態度だ。
はた目には女子中学生がナマイキな女子小学生(高学年)を威圧しているの図である。
いや、そんな生やさしいモンでは無いんだろうけども。
「だんまりクマ? あまり反抗的な態度はオススメ出来ないクマ。……お前の救助は提督の指示クマ。お前にはまず一言、言うべきコトがあるはずクマ」
「………………そう」
あ、しゃべった。
声可愛いな深海棲艦。
「…………その軽巡洋艦はこう言ってるけれど……どうなのかしら?」
球磨ちゃんにイチベツもくれる事無くそう言って、じっ……、と俺を射ぬく色素の薄い澄んだ瞳。
「あ、ああ……」
それを受けた俺はと言うとだ。
うわ、深海棲艦もスゲェ美少女だなぁ……とか。
白に近い薄スミレ色の大きな瞳と、白く長いマツゲが人形みたい、とか。
お湯にしっとりと濡れ、先の方がうっすらと青紫に染まった長いツインテが超良いニオイしそう、とか。
コイツもやっぱり『駆逐』と言うだけあって、お胸が慎ましやかだなぁ、とか。
ざっくり開いた胸元に覗く鎖骨のラインペロペロしたいとか。
(めっちゃプルプルしてる………………っ!!)
その白く細い両腕でもって真新しい木製のドア枠にもたれ掛かり、しがみつくように
小鹿だ。
生まれたての小鹿だコレ。
NHKの動物番組で見たヤツだよコレ……!
「…………ど、どうなのかしら?」
「う、うん、その通りなんだけど……!」
取り敢えずその恥態から全力で目を反らそうとしつつ、震える声で何とか答える。
だ、ダメだ……!
笑うな……笑うんじゃない俺!
今は絶対そう言う場面じゃない……シリアスだ、シリアスパートだぞ……!
…………しかしスゲぇ震えてるな……両膝大爆笑じゃねぇか。
駆逐せいきちゃんも何でもない風を
ちょっと頬が赤い。
かわいい。
「ぷるぷるだー♪」
「おもしろーい」
「そんなあざといやつはこうだ♪」
「てい♪ てい♪」
妖精さん達が面白がって駆逐せいきの両脚に群がり、小さなお手々でペチペチとイジメている。
やめて差し上げなさい、それは俺の腹筋にキく。
「………………っ…………ぁんっ!?」
――――と、
妖精パンチが良いトコロに入ったのか、哀れ駆逐せいきちゃんはその鈴を転がすような可愛らしい声でもって、息子に優しくない悩ましい声を上げ、ガクっ、と膝を崩した。
「あっ……あっ……あぅ……!」
そしてそのまま柱に沿ってズルズルとへたり込む。
ぺたっ、と、おしりが床についた。
「ふぶっっふ……!」
いかん、何か出た。
「…………………………そ、そう。一先ずは、あなたの紳士的な対応に感謝するわ」
こ、コイツ、このまま続けるだと……!
もはやその毅然とした態度すら哀愁を誘う。
ちょっと頬が赤ぁなっとるがな。
球磨ちゃんが静かだと思ってチラッと見てみれば、
「…………っ…………!」
口元をギュッと固く引き結んで、若干
おお、耐えてる耐えてる……あんなに緊迫した空気を醸し出していた球磨ちゃんをココまで追い詰めるか。
深海棲艦侮り難し。
……あとイタズラ妖精ども、そろそろその拷問じみた追い討ちを控えたまえよ?
「……ほれ、お前ら散れ散れ。か、かわいそうだろうが、俺の人格まで疑われるだろ、ヤメレ」
「はーい」
「てっしゅー♪」
怒りながら笑いを堪えるといった球磨ちゃんの顔を見て、何とか意識を切り替えることに成功した俺がそう号令を掛けると、小さな悪魔達は「わー♪」と一斉に俺の足元まで戻ってきた。
「しゅうりかんりょうです」
「かんぺきなしあがりでした」
「ていとくはもっとわれわれをほめるべきです♪」
「べきなのですよ♪」
そして始まるペチペチ。
妖精さんはどんな時でも自由だ。
お前らのスカスカな脳ミソが羨ましいぜ。
「あー……そうだな。ほれ、良くやったぞー、飴ちゃんをくれてやろう」
取り敢えずその場にかがみ込んで、ポケットに入れておいたあめ玉を一つずつ、妖精さん達の口に放り込む。
こんな時には必ずちゃっかり混ざっているツインテ共々、小さな頭を撫でくりまわしてやった。
ご苦労ご苦労、今回も良い仕事だったぞ妖精さん。
いささか修理失敗してる感もあるけど元気そうだから良し。
コンゴトモヨロシク。
「うりうり……おい、指まで噛むな! ……と、なんだ、駆逐せいきさんとやら」
全身をキラキラさせて俺の手のひらに頭をグリグリと擦り付けてくる妖精さん達から目を上げ、へたり込んだまま目を白黒させている駆逐せいきに呼び掛ける。
「……なにかしら」
あくまで凛とした態度を崩す気は無いらしい。
見知らぬ場所に拉致され、武装解除もされて、おっかない球磨ちゃんに砲口を突きつけられているというのに、なかなかに胆が座っている。
……いや、俺に威厳が無さすぎるだけかもしれない。
しょぼい提督でゴメンな球磨ちゃん……。
気を取り直して駆逐せいきに話しかける。
「実際はだいたいはコイツらのお陰なんで、お礼ならコイツらにも言ってやってくれ……ますか?」
「…………っふぅ……提督、敬語は必要無いクマ。コイツは捕虜で、立場はこちらが上だクマ」
落ち着きを取り戻したらしい球磨ちゃんにピシャリと注意される。
先生厳しいです。
「言ってね」
今度は妙にフレンドリーになった。
コミュ
すると駆逐せいきは、チラッ、と視線を俺に群がる妖精さん達に向け、次にまた俺を見て、ふぅ……と小さく溜め息をついた。
小学生(みたいな深海棲艦)にまであきれられてる俺カッコワルイ。
そして、
「……ええ、そうね。誇りある英国淑女として、妖精さん達にも感謝致しますわ」
改めて妖精さん達を見つめ、幾らか
「……ありがとう」
「ゆあうぇるかむ」
「どうってことないぜ」
「べ、べつにあんたのためにやったわけじゃないんだからね♪」
「ていとくがどうしてもっていったからなのです」
「かんちがいしないでよね///」
そんなタワけたコトを抜かしながら、『満更でもない』を全身で表現する妖精さんズ。
ドヤ顔でふんぞり返っている。
あと、どうしてもなんて言ってねーよ。
「へぇ……」
「……何かしら?」
思わず声を漏らした俺に、駆逐せいきが僅かに首をかしげる。
「ああいや、球磨……あ、この怖い顔してる子ね。球磨に聞いてたのとずいぶん印象が違ったからさ」
そう言うと、駆逐せいきは初めてその視線を一瞬チラッとだけ球磨ちゃんに向け、僅かにあざけりの混じった声色で、
「……そう。その変な語尾の軽巡洋艦が私たちについてどんな紹介をしてくれたのかは……まあ、聞かなくてもおおよそ見当がつきますわね」
と、不快げに吐き捨てた。
「っ……! 口を慎むクマっ!」
「あっ、く、球磨っ!」
球磨ちゃんはサッと顔を薄く紅潮させ、俺が止める間もなく右腕の単装砲の砲口をゴリッと駆逐せいきの額に突きつけた。
「オマエは自分の立場が解ってるクマ? 提督の命令一つで頭が吹っ飛ぶクマ」
しねぇよそんな命令!?
俺までハッタリに巻き込むのヤメテ!
「ざ、残忍……残酷……冷酷。非道で、悪辣で、正義も無ければ感情のカケラも持ち合わせない、話の通じない醜いバケモノ……そ、そんなトコロかしら?」
「口を閉じるクマ!」
「っ……」
砲口を額に突きつけられたまま、それでも気丈に続ける駆逐せいきに対し、球磨ちゃんは更に強く単装砲を押し付けて怒鳴った。
流石に恐怖を感じていない訳では無いのだろう。
駆逐せいきは額に突きつけられた冷たい
「ぱーんするです?」
「きれいなかおをふっとばすです?」
「しょす? しょす?」
「わくわく♪」
「するかぁ!? っ…………ゴホン。し、しないとも……今のところは」
調子に乗ってきゃいきゃい囃し立てる妖精さんどもに思わず突っ込んで、慌ててそれっぽいコトを匂わせてごまかす。
せっかく球磨ちゃんが能天気な俺の分まで厳しい態度で尋問してくれているのに、提督の俺がその努力をフイにする訳にはいかない。
俺は非情な軍人なのだ。
今だけはそう自分に言い聞かせて、出来る限りの厳しい声で続けた。
「く、球磨。お前にも色々言いたいコトはあるだろうけど、まずはその砲塔を下ろせ。俺はソイツを痛め付ける為に助けたんじゃないんだ」
「…………」
「…………頼む」
「…………………………クマ……」
内心で猛烈に謝りながらそうお願いすると、球磨ちゃんはたっぷりと十秒間は黙った後、表情に辛そうな色をにじませながら、ゆっくりと駆逐せいきの額から砲口を離した。
場の緊張が、僅かに緩む。
「…………ふぅ」
思わず漏れた溜め息に、駆逐せいきの小さな溜め息が重なったのに気づく。
……すげぇ緊張した。
心臓痛い。
「ぱーんしないのかぁ」
「よかったなくちくせーき」
「とみせかけて」
「からのー?」
「……提督、ちょっと妖精さん達を黙らせられないクマ?」
「やめーや! ……止めなさい」
コイツらはいっつも弛んでんなぁもお!
流石の球磨ちゃんも若干呆れ顔だ。
最初っからやらないの解ってるからってコヤツらはまったく。
「……感謝するわ、
「ああ、うん……うむ。そう思うんなら、あんまり部下を挑発しないでくれな? 仲間が沈んでるんだ。お互い思うところはあるだろうけど、ここは戦場じゃない。口でも砲でも戦闘は禁止だ。分かるな?」
ボソッ、と小さく感謝を告げる駆逐せいきにそれだけ念押しする。
しどろもどろにはなってないだろうが、我ながら威厳もへったくれも無いなぁ……。
「…………やっぱり、似てる……」
駆逐せいきが、うつむいて小さく何かを呟いた。
「ん? 今何か……」
「……わかったわ、お若い
そう言って、依然ペタりとへたり込んだまま真っ直ぐに俺を見上げて続ける駆逐せいき。
「それで……あなたは、一体なぜ、私を……敵である深海棲艦を助けて下さったのかしら?」
「何故ってそりゃ……」
質問に答えようとして、言いよどむ。
見れば、球磨ちゃんやツインテら妖精さん達まで俺の顔色を伺っている様子だ。
何でも何も、助けてと言われたから助けたようなモンなんだけど……そんな答えダメっすよね、威厳ある提督的に考えて。
しかし考えてもみて欲しい。
目の前で助けを求める死にかけの女の子がいて、それを無視できる一般人なんていないと思う。
その女の子が例え敵であっても、あるいは女の子でなくて小太りのオッサンであっても……普通助けるんじゃないだろうか。
「あー……それはその、き、聞きたいことが……そう、君ら深海棲艦に、聞きたいことがあっ――――」
そう、苦し紛れの理由を口にしようとした俺を、
「おまえがたすけをもとめたからです」
ツインテが、ハッキリした声で遮った。
「――――ったからで……あ! おい、ツインテ!」
「おまえがたすけてほしそうにしてたから、ていとくがたすけもがもが」
「しーっ! しーっ!! ツインテ、今シリアスシーン! 空気読めや!
「かんじわからなもがもが……♪」
「お前ツインテオマエまたツマラン口答えしおってからに……!」
頭の上からひっぺがしたツインテの口を慌てて塞ぐ。
コラっ、嬉しそうにするな!
手のひらをナメるな!
俺がそうやって最早手遅れ感が否めない努力をしていると、
「……その妖精さんの言う通りクマ」
「く、球磨!?」
球磨ちゃんからの、まさかの肯定であった。
「オマエが覚えてるかは知らんクマが……オマエはボロボロの死にかけで岩礁に打ち上げられて、情けない声で助けを求めてたクマ。哨戒中だった提督がそれを見つけたクマ」
「…………私は深海棲艦よ。私がどれくらい意識を失ってたかは知らないけれど、つい先日の海戦でも――――」
「承知の上クマ」
「…………」
静かに淡々と自身が『敵』である事を口にする駆逐せいきは、球磨ちゃんが不満げにピシャリと言い返すのを聞いて黙りこんだ。
「その海戦には球磨も参戦してたクマ。仲間も……大切な仲間も一杯沈められたクマ。この提督はそれを知った上で……さっきオマエが言ったような事を球磨に説明されてなお、それでも深海棲艦であるオマエを捕虜として保護したクマ」
「……なんで」
「ここは戦場じゃない」
「…………」
再び黙り込む駆逐せいきに、球磨ちゃんが何かをこらえるように静かに続ける。
「ここはもう戦場じゃない……提督はそう言ったクマ。戦争は個人の意思でなく、戦闘は上官の命令によって行われるモノであって、私闘はただの暴力である……と言っても、オマエら深海棲艦には理解出来ないクマか?」
「…………そんな、事――――」
「球磨は納得出来なかったクマ」
「…………」
「でも、理解はしてたクマ。そんなコトは軍人にとって常識中の常識で……いや、球磨は……本当の意味で、理解、してなかったクマ」
球磨ちゃんはまるで自分に言い聞かせるように、一言一言、ゆっくりと言葉を口にする。
それに黙って耳を傾ける駆逐せいき。
ウズウズする妖精さん達。
……ステイ。
待て。
待てだぞ?
「オマエは球磨の……球磨達の仇クマ。守るべき人類の敵クマ。恨みがない訳ないクマ……でもオマエは球磨の仇じゃないんだクマ」
「…………?」
球磨ちゃんの禅問答のような
俺にも何が何だか……。
「悪いのは戦争なんだクマ」
「!」
ピクッ、と肩を震わせる駆逐せいき。
妖精さん達までちょっと静かに事を見守っている。
鈍い俺にも、やっと球磨ちゃんの言いたいコトが分かってきた。
「球磨は……深海棲艦と戦ってたつもりだったクマ。平和の為とか、仲間の為とか言っていながら……球磨は、球磨達は
そう言った球磨ちゃんは、どこか泣きそうにも見える顔で悲しそうに艤装をつけた右腕を下ろした。
「本来、戦争に個人的な感情が入る余地なんてないクマ。恨みだとか、仇だとか……なるほど、確かにそんなのただの喧嘩で、ただの見苦しい殺しあいクマね。球磨は兵器としては失格クマ。まったく戦後の日本は教育ができてるクマ……こんな若い提督に諭されてやっと気づくなんて、コレじゃ本当にただの幼い小娘クマ」
溜め息をつく球磨ちゃん。
「……だから、助けを求めるオマエを助けたのは、戦争のルールに則った、至極当然の行動クマ。飛び交う砲弾の責任は、球磨でもオマエでもなく、戦争指導者同士の責任クマ。球磨はオマエに恨みがあると思ってたクマが、オマエを恨む理由なんて無かったんだクマ」
そう言って、右腕の艤装を確かめる様に撫で、続ける。
「徹甲弾を揚弾、装填するのは球磨クマ。尾栓を閉め、発砲電路も自分で開くクマ。方位盤と照準双眼鏡を覗いて、砲塔を回して仰角だって整えるクマ。照準を合わせて、引き金に指を添わせる所までは球磨の仕事クマ」
「でも、そこまでなんだクマ」
球磨ちゃんの独白を、静かに見守る。
「引き金を引くのは、指揮官の意志クマ。もっと言うなら、指揮官の意志は、指導者の意志クマ。球磨は、ニンゲンの身体に引っ張られて……そんな、当たり前のコトすら忘れてたクマ」
「…………情けない話ね」
「……言い返す言葉も無いクマ」
かたくなに球磨ちゃんを見ないようにしていた駆逐せいきが、いつの間にかじっと球磨ちゃんを見つめていた。
その瞳からは何故か、敵意やあざけりと言った感情が薄れているように感じる。
「だから、球磨は……球磨もオマエに聞きたかったクマ。オマエらの戦争を。その理由を……球磨達が戦う意味を。深海棲艦とは、対話なんて出来ないと思ってたし、実際この戦いの初期に失敗してるとは聞いてたクマ。感情なんて無いと思ってたクマ」
「……それなら――――」
「でもオマエは助けを求めてたクマ。苦しんでたクマ。…………泣いてたクマ」
「……!?」
初めて、駆逐せいきが戸惑うような表情を見せた。
サッと頬に淡い朱が差し、思わずといった風に目元に手をやる。
「……痛くて怖くて涙を流して、情けなく助けを求めるバケモノなんて聞いたコトも無いクマ……だからオマエはバケモノじゃないかも知れないって思ったクマ。だから提督に従ったクマ」
バケモノ、の所で一瞬身を固くした駆逐せいきだったが、続く言葉に緊張を解いた。
球磨ちゃん……本当は球磨ちゃんが一番辛いんだろうに、俺なんかの無責任な言葉でこんなに一生懸命考えてくれて……責任を感じるぞ。
ちょっと胃がキリキリしてまいりました。
「まあ、実際この提督はオマエがあんまりにもかわいそうだったから後先考えずに助けたってのが正直な所だと思うクマ。別に大層な理由なんて期待するだけ無駄クマ」
「ちょっとぉ!?」
球磨ちゃんだい無し!
それ言っちゃったら色々台無しだよ!?
俺スッゴク行儀良くしてたじゃん!?
「だからそういってるです」
「かんしゃしろー♪」
「くまおはなしながい」
「いまきたさんぎょう」
「くまぽえむ」
「…………本当に黙ってて欲しいクマ」
弛緩した空気に即座に反応して、赤くなった球磨ちゃんに群がってほっぺたをつつき回す妖精さんズ。
オメーらはホント容赦ねーな。
「……ぷっ……ふふ…………そう」
突然聞こえた心底おかしそうな声に顔を向けて見れば、ずっと気を張り詰めていた様子だった駆逐せいきが、口元に手を当てて微笑んでいた。
「…………言って置くクマが、結局オマエが捕虜であるコトも、球磨達がオマエを警戒してるコトも変わらないクマよ? 尋問の結果
完全と言っていい程に敵意を霧散させてしまった駆逐せいきに、若干毒気を抜かれてしまった様子の球磨ちゃんが呆れた様に釘を刺す。
「ええ、勿論分かっているわ。……ふぅ、それでは
そう言って、横座りのまま、ピンと背筋を伸ばす駆逐せいき。
「ご質問をどうぞ、
その凛とした態度に少し気圧されつつも、俺は呆けた頭を何とか回転させて質問の言葉を探す。
「かれしいるー?」
「すりーさいずは?」
「このみのたいぷは?」
「なっとうにねぎいれるたいぷ?」
「ていとくはあげないよ?」
「キミらは黙ろうねー……そうだなぁ……」
何が嬉しいのか一斉にきゃいきゃい騒ぎだすツインテ達を適当にあしらいつつ……直ぐに一つ目の質問を見つけた。
まあ、まずはコレだろう。
「こほん……名前だな。キミの名前を、教えて貰えるかな?」
駆逐せいき……と言うのは、名前ではないだろう。
あと、『せいき』ってどんな字なの、と聞くのは諦めた。
できる提督は空気が読めるのだ。
「! そうね、自己紹介がまだだったわ。では、改めて……」
駆逐せいきは、一瞬呆けたように目を見開いたあと、どこか嬉しそうにそう言って、俺の目を菫色の瞳で真っ直ぐに見つめて答えた。
「私は誇り高き
駆逐せいき――駆逐艦エンカウンターはそう言って、
全身をキラキラと輝かせながら、ニッコリと微笑んだ。