スマホの機種変更したら、ネタ帳が諸々消えた黝 証呂です。
令和になりましたね。なっちゃいましたね。更新間に合わせたかったんですけど、間に合いませんでしたね。
ハッハッハッ!
第6話、グダグダっとどうぞ!
浮遊感の先にあったのは、地面と激突した時の衝撃だった。
背中から地面に落ちた夜々は小さく唸りゆっくり身体を起こすと、ワープホールを落ちた先では周囲が赤く燃え盛っていた。今来たばかりの夜々だが、熱のせいで早くも汗をかく。
「ここは…火災エリア?」
正式名は火災ゾーンである。
そして燃え盛る炎のほかに、夜々は多くの人影を確認した。それは彼女を取り囲むように並んでおり、落ちてきた夜々を見て歓喜の声をあげた。
「お。獲物とーちゃーく!」
「ギャハハハ‼︎運のねぇ奴!」
「中々可愛いじゃねぇか。次が来るまでマワそうぜ?」
下劣にもそんな言葉を口にするチンピラたち。全員もれなく
「一番乗り〜」
「あ、ズリィぞ!」
「ギャハハハ‼︎」
異形系の個性と思われる大男が、夜々にダイブするように飛び掛かってくる。
ーーー ズンッ ーーー
大の字の態勢のまま夜々に覆い被さると、重く鈍い音が聞こえた。
早くも1人始末してしまったと思ったのか、周りの
「はえぇよバカ!」
「ちょっと退け。まだ生きてるかも知れね」
「………………」
その声に応えるように大男が動き出す。そして………
「ドワァァァ‼︎」
「グヘッ⁉︎」
「ーーーッ‼︎」
その男は吹き飛び、三人の
「おい! どうした………ハッ‼︎」
気づいた時には眼前に拳があった。
減速することなく振り抜かれ、
「うち今日の授業………楽しみやったんやけど?」
イラついた様子で夜々が言う。ツノは依然として淡く光り、眉間にはシワを寄せる。
「テメェ‼︎…ウゴォ……ォ……ォゥ…」
激情した別の
「お、お前………なんてことを………」
「
「見てるだけでも痛ぇんだよ‼︎」
夜々は足を下ろし、まだ攻撃してないのに何故…と、首をかしげる。
だがそれも束の間、夜々は開き直り臨戦態勢に入る。
「まぁ有効打ならなんでもえぇ」
ー
ーー
ーーー
「なんだ………コレ………」
同じく火災ゾーン。遅れて飛ばされた男子生徒、尾白 猿夫は、飛ばされた先で異様な光景を目の当たりにする。
本来なら自分を待ち受けていたのであろう
「おろ? …えっと……あー」
「酒井さん…コレは一体………?」
先に飛ばされた夜々がそこに姿を現わす。
少しだけ息を切らしながら歩み寄り、尾白の名前を思い出そうと頭を回転させる。しかしそれも諦め、尾白の疑問を察してそちらを先に答える。
「うちがやった。この辺の輩は制圧したで」
「制圧………なにで?」
「金的で」
「金的で………」
引き気味で復唱する尾白に、夜々は軽くパシッと額を叩く。
「惚けとる場合かー! 情報交換しようや。うちが飛ばされた後どうなったん?」
「え? えっと、他のみんなも飛ばされたと思う。多分散り散りに…」
「どのくらい?」
「クラスの大半は飛ばされたんじゃないかな?」
「ん〜、そかぁ」
どこの訛りかわからないが、そんな口調で生返事して唸るように考え込む。
「こいつら…何が目的なんだろう」
「オールマイト殺す言うとったな。あ、でもここに伏せてるのはチンピラばかりやったで?」
思い出したように言って、夜々は自分のツノを指差す。
「途中で十升モード切れてもうたけど、素で十分やった」
「オールマイトを殺す手段は、おそらく他にあるんだろうね。とても想像できないけど………他に何か聞きたいことはあるか?」
尾白がそう言うと、夜々は苦笑いを浮かべる。
「…大変申し訳ないんやけど………お名前のほう…」
「………尾白だよ。尾白 猿夫。個性は見ての通り尻尾」
「尻尾!」
「酒井さん、離してくれるかな」
「ちゃんと手入れしてるん? あんまモコモコせえへん」
「酒井さん、ちゃんとしてくれ」
「ちゃんとしとるよぉ! ただ物事考えるのに癒しが欲しくなって………お詫びに呼び捨てでうちのこと呼んでええよ」
元々呼び捨てだろうがなんだろうが気にしないくせに、彼女は意味不明の等価交換(?)を勝手に成立させた。
「はぁ………君はみんなが心配じゃないのか?」
「心配はしとるよ。ただ大丈夫そうやから」
「………根拠は?」
「まずココ、火災エリア…ここにいたのは炎操作、発火、耐熱性のある異形系。このエリアで有利に戦える…少なくとも炎を物ともしない個性持ちやった」
腰を折って気絶している
「せやのに蛙の梅雨はんと氷使う轟はんは一緒に飛ばされへんかった。つまり相手はうちら生徒の個性までは把握しとらん。敵からしたら子供でも戦闘の意思ある未知の個性が20人。更に
「………………本当にちゃんと考えてたんだ」
「なんなんやお茶子はんといい! こんにゃろめ!」
尻尾を撫で回す夜々に、尾白は苦笑いを浮かべて止めるよう促す。
「反応薄いなぁ…性感帯だったりせえへんの?」
「でも君の言う通りだな。俺らは出口目指そう」
「無視かい…まぁ、誰か一人でも出れれば応援呼べるしなぁ。どこにいるかわからないみんな探すより、プロヒーローを呼ぶ方がええやろ。あとは一人で多数相手に踏ん張ってる相澤はんが気になるなぁ」
二人は火災ゾーンを離れ、USJの出入り口を目指して歩き始めた。
尾白が前を歩き、夜々がその後ろをついて行く形だ。もっとも、尾白の尻尾に興味が向き、抱きやすいから後ろにいるだけ。それ以外の理由は無い。
ー
ーー
ーーー
場所は代わってUSJのセントラル広場。
ここでは生徒たちに
「個性を消せる…素敵だけどなんてことはないね。圧倒的な力の前では、つまりただの無個性だもの」
そう呟くのは、顔を鷲掴みする手の形をしたマスクをつけた男。
その前には脳味噌と歯を剥き出しにした黒い大男がおり、その大男の手はイレイザーヘッドの頭を無造作に掴んでいた。
その手は彼の頭を掴んだまま、地面に叩きつけて小さなクレーターを作ったところだった。
そこに戦う姿は無い。両腕は曲がらない方に曲げられ、全身も同じように骨が折れているだろう。
そしてそれの光景を見つめる人影が水辺にあった。緑谷、蛙吹、峰田の3人だ。
彼らは水難ゾーンに飛ばされたが無事突破し、川のように伸びた水辺に潜み移動してきたのだろう。
自分たちの力は十分に
「
その名は手のマスクをつけた男の名前のようだ。
名前を呼ばれた死柄木は声のする方へ向く。
「黒霧、13号はやったのか?」
「はい。しかし散らし残した生徒に一名、逃げられてしまいました」
出入り口に陣取っていた黒霧と呼ばれた
「…は? はぁー…はぁぁーーー」
黒霧の失態にイラつきながら、ガリガリと首元を掻き毟る。
「黒霧お前…お前がワープゲートじゃなかったら粉々にしたよ……」
逃げた生徒は学校に行き、プロヒーローに救援を求めるだろう。
流石に何十人ものプロ相手では敵わない…そう考えたのかボソリと呟く。
「今回はゲームオーバーだ………帰ろっか」
この一言で潜んでいた3人は安心する。
だが気味が悪かった。これだけのことをしといて、あっさりと引き下がる。
死柄木は"ゲームオーバー"と言った。その言葉の通り、今日起きた一連の騒動がゲームだったように…クリアが出来ないから途中で電源を落とす子供のようにも見えた。
「けども…その前に平和の象徴としての矜持を少しでも………」
死柄木は水辺へと距離を詰め、蛙吹に向けて掌を伸ばす。
「へし折って帰ろう」
動けずにいた3人は反応に遅れた。
死柄木の個性は見たところ、"触れた物を崩壊させる"ことができる。一度だが、それでイレイザーヘッドの肘が崩れるのを緑谷は見ていた。
だからこそ想像してしまう。蛙吹が物理的に崩壊する様を………
「………………?」
「…本っ当かっこいいぜ! イレイザーヘッド‼︎」
しかし個性は不発に終わった。イレイザーヘッドの個性で抹消したため、死柄木の個性は発動しなかった。
大男に捕まれ全身の骨が砕けようとも生徒を守り続ける。それが相澤 消太という教師であり、イレイザーヘッドという名のヒーローである。
だが圧倒的な力の前では無意味だった。
再び頭を地面に叩き付けられ、手放し掛けていた意識が完全に飛んだ。死柄木の個性も戻り、再度、蛙吹が危機に晒される。
先ほど自分たちが相手にしていたチンピラとは違う。
それでもこの場の全員を助けるには、一瞬でも隙をつき、イレイザーヘッドを抱えて逃げなければならない。
「手っ…放せぇ‼︎」
まだ制御できないそのオーバーパワーを振りかざす緑谷。狙いは死柄木 弔。
その派手な力とは対照的に、緑谷は制御できるように強く意識する。
電子レンジに入れた卵が割れないように…地味なイメージだが少しずつ。
(割れない、割れない、割れない!)
「…脳無」
「スマッシュ‼︎」
緑谷が突き出した拳が風圧を発生させる。
その拳は力強く前へと突き出されたが、前のように腕が壊れるような事はなかった。力の制御がうまくいった証拠である。
「え……」
制御したという事は、手加減したということ。
死柄木の命令に反応したのか、脳が剥き出しの大男が緑谷の拳を平然と受け止めていた。
どうやらこの大男は脳無と言うらしい。
「良い動きするなぁ…スマッシュってオールマイトのフォロワーかい?」
イレイザーヘッドを掴む手とは逆の手で、脳無は緑谷の腕を掴む。
大人の腕を小枝のようにヘシ折るほどの怪力だ。並大抵の力では振りほどけず蛙吹も舌を伸ばして助けようするが、緑谷の身体に巻き付いただけで引き剥がす力は彼女にはない。
さらにそんな彼女に死柄木は掌を近づける。
「おどれらぁぁぁあ‼︎‼︎」
そこに聞こえたのは少女の咆哮。
そして飛んできたのは………尾白 猿夫だった。
「カハッ………ッ⁉︎」
「尾白ォォォォオ‼︎」
文字通り飛んできた尾白は回転し、遠心力を加えた尻尾を死柄木の鳩尾に打ち付ける。
その登場に峰田は泣いて喜ぶが、緑谷は先に聞こえた咆哮の方に目を向けた。
「よっちゃん⁉︎」
「十升モード‼︎」
強化された夜々の拳が脳無の顎を打ち上げる。
脳が揺れたのか、脳無は両手を開いた。即座に夜々はイレイザーヘッドを抱き抱えて距離を取り、緑谷は蛙吹が伸ばし巻きつけていた舌で回収しされた。
「尾白ォオ‼︎酒井ィ‼︎オイラもうダメかとおぼでぁぁぁあ‼︎」
「落ち着きぃ。あと汚い」
抱きつこうとする峰田を、夜々は両手がイレイザーで塞がっているので足で押さえる。
「みんな逃げぇ。うちが時間稼ぐ」
「酒井! なにバカなこと言ってんだ!」
イレイザーヘッドを尾白に手渡すと、尾白からそう咎められる。
「尾白ちゃんの言う通り、ダメよ夜々ちゃん。その脳無っていう
「なら尚更のこと………逆に聞くけど、オールマイト級の
「それは………」
「でもよっちゃん「でもやあらへん‼︎」…ッ‼︎」
夜々の渇にたじろぐクラスメイト。
「最近の子供って凄いな。恥ずかしくなってくるぜ………脳無、邪魔した鬼女と尻尾のガキを殺せ」
「俺もか………マジかよ」
「早よ行けッ‼︎」
脳無が命令に従い動き出す前に、夜々は叫びながら鬼砲を脳無に放つ。
極太のレーザーは脳無を飲み込んで尚、その後ろへと真っ直ぐに伸びる。しかしそのレーザーの中に立つ大柄な影は身じろぎ一つしなかった。
「ッ……行こうみんな!」
「おい緑谷⁉︎」
「庇いながら戦うのは無理だ。僕らはイレイザーヘッドを安全な場所に………」
「黒霧! 逃すな‼︎」
背を向け走り出した緑谷たちを見て、死柄木が黒霧に指示をする。
すぐさまワープホールを作り捕らえようとする黒霧だが、彼の上に爆発物が落ちてくる。
「死ぃねぇぇぇえ‼︎‼︎」
ーーー Booom!‼︎ ーーー
「グゥッ⁉︎」
爆風に怯んだ黒霧は、落ちてきた少年に組み伏される。その手は小さく爆破しており、脅しに十分な音と光を発していた。
「ケロッ⁉︎ あれは爆豪ちゃん⁉︎」
「行こう‼︎」
爆豪の登場に驚く一同だが、緑谷の言葉で再び走り始めた。
「"危ない"つった時に見抜いてんだよ‼︎ 実体が無かったら"危ない"っつう発想自体ねぇはずだからなァ‼︎」
「あーーー、クソ…何テメェまでやられてんだよ黒霧ぃ!」
「勝己! 手ェ触れんな‼︎」
「わぁってるよ‼︎」
爆豪に伸ばした死柄木の手を警戒し、掌を向けて爆破し近づけさせない。
「チッ、脳無‼︎ 先に爆発小僧を…」
「
夜々の拳は脳無の腹部に突き刺さる。しかし、脳無はピクリとも動かない。
「ッ⁉︎」
「ハハッ…脳無は対オールマイト用に作られた先生の最高傑作だ。増強系個性にショック吸収と超再生能力………その程度のパンチじゃどうにもなんねぇよ。脳無、やっぱその女を先にやれ」
頭部くらい包めるサイズの拳が夜々の身体を殴り抜く。
抵抗もできず、夜々は宙を舞い壁面に突っ込んだ。
「酒井ッ‼︎…チッ」
一瞬気をそらしてしまった爆豪の隙をつき、死柄木が攻撃を仕掛け黒霧は脱出する。
「お手数お掛けしました。死柄木 弔」
「これ以上ヘマすんなよ。やれ、脳無」
脳無は爆豪に向けて豪腕を振り上げるが、今度はその腕が凍りつく。ただ怪力の所為もあって、凍りついた腕は一瞬の硬直の後に問題なく振り下ろされた。
「あぁ…あぁーーー。何だよ次から次と………」
「テメェ。半分野郎ッ!」
脳無の足元から氷の道が伸びていた。それに触れてから足を伝い腕が凍ったのだ。その道を辿った先には轟の姿があった。
個性は半冷半熱…この氷の道もそうだし、相手を凍らせたのも彼の個性だ。
「大丈夫か。爆豪」
「ざっけんな‼︎ 余裕だわ‼︎」
今にも噛みつきそうな形相で怒鳴る爆豪と、澄ました表情でたった今登場した轟は
「途中で緑谷たちと会った。誰か外に出たらしい………応援が来るまで 耐えるぞ」
「俺に指図すんな、クソがッ‼︎」
次々と入る妨害に死柄木は苛立っていたが、深呼吸を挟んで切り替える。そして笑う。
「ホント凄いな。まるで小さなヒーローだ…自分が助けるんだって本気で思ってやがる。本気で脳無に勝てると思ってやがる………脳無、さっさとそいつらを殺せ。雄英に消えない傷をつけろ」
自分の首筋をポリポリと掻きながら、再度脳無に指示を出す。
野心家の爆豪であったが、自分より強くなくとも轟を雑魚認定はしていない。
轟も爆豪を甘くは見ていないし、先程は砕かれたがより分厚く重ねれば、凍らせて相手を捕縛できると考えていた。
………だがそう上手くいくわけがない。
「ガッ⁉︎」
「爆豪ッ‼︎」
脳無の腕が爆豪の腹を捉えかける。持ち前の反射神経で後方へ飛んで威力を軽減した爆豪だが、ダメージが消しきれてないのは見てわかる。両手を爆破させ爆速で下がったにも関わらず、肋骨にヒビは確実に入っているだろう。
轟は自分の前に個性で氷壁を築くがたったの一撃で粉砕される。直撃は免れたが砕けた氷塊が轟を襲い吹き飛ばされる。
咄嗟に腕でガードするが、したところで腕に多大なダメージを受けるだけだった。
「ハハ………ハハハハハ‼︎ 忘れたか? 対オールマイト用に作られた脳無だ。氷と爆竹でどうにかなるわけがない。当然と言えば当然か………」
死柄木は育てたゲームのキャラを遠回しに自慢するように言った。
夜々が飛ばされてからまだ3分も経っていないが、すでに二人は深手を負っている。
口には出さないがレベルが違うことを理解する。だが諦めはしない。焦った様子で打開策を考える。
「ハハ………ハ?」
死柄木の乾いた笑い声が途絶え、その横を赤いレーザーが通り過ぎた。地面は焼き抉れ、直撃を免れても火傷を疑う熱さだ。
「ウ…今のは………酒井、なのか?」
轟が視線を向けた先には、先程飛ばされた夜々が居た。ただ様子がおかしかった。
足はフラつき、目は何処と無く虚ろだ。
「
夜々
「沽券の為に言うとくけど、尾白はんが自分で「俺を投げろ!」言うたんやで?」
「
夜々
「それは知らん」