別に投稿してる別作品はスランプなんですけどね。
USJ事件。
そう簡潔に事件は名付けられ、USJ中に散っていた
どれもチンピラのようで、最も危険視するべき3人に逃げられたのをヒーローたちは悔やんでいた。
そしてその事件に巻き込まれた1-Aの生徒たちは、大小の怪我こそしたが全員無事に生還した。
怪我人は保健室に運ばれ、リカバリーガールの個性で治癒される。唯一、夜々だけは病院に搬送するべきだと判断されたが、判断し終えた頃には失血を除いた怪我はほぼほぼ消えていた。
それもあって夜々は入院せずに検査だけで済んだらしい。
逆に入院した者は生徒の中にはおらず、前線で一人踏み止まっていたイレイザーヘッドと、自らの個性で自分にダメージを与えてしまった13号が入院する羽目になった。
今回の事件で最も負傷した者は間違いなくイレイザーだろう。
「………うぅ〜クラクラする………」
そして翌日。
USJ事件のこともあって臨時休校となった今日、夜々は目覚め一番にそう呟いた。
頭に手を置き深呼吸して、その後にゆっくりと身体を起こした。
そして昨日のことを思い出し、自責の念に駆られてナーバスになる。
「あぁ…バーサークしてもうた。大戦犯や………間違えてオールマイト殴るとか…」
もちろんその件に関して謝罪しようとしたが、保健室から病院に向かう前に探すも会えず終いになってしまっていた。その原因が活動限界により
帰宅後に「謝罪したい」との旨を学校に伝えると、本人の承諾を得てからメアドを交換したのは彼女にとって嬉しい誤算だった。
「自分だけ良い思いして良いのか」と、また自責の念を感じながら謝罪メールを送ると、逆に励ましの文と共に元気にサムズアップした自分の写真を添付して送られてきたという。
「直接あったときに、再度謝らせてもらお…」
最後に「迷惑かもしれへんけど…」と付け足して立ち上がり、壁を支えに台所へ向かう。
貧血時にお世話になるアイテムを手に取る為だ。
しかし運の悪い事にストックを切らしている事を彼女は知ることになる。
冷蔵庫を開けては膝をつき、その場で座り込んで冷蔵庫の戸を閉める。
そしてその場で仰向けに倒れた。
「あぁー最悪………床気持ちー」
ヒンヤリとしたフローリングの上で、床に頬を擦りつける。
ちなみにこのアパートの間取りは、キッチンとダイニング…そして寝室として使っている畳張りの部屋だけで、トイレや洗面所は玄関へ続く廊下の途中にある。
ー ピンポーン ー
「………………」
あからさまに嫌な顔をしてから立ち上がり、夜々は玄関へと向かった。
扉の覗き穴で相手を確認してから、夜々は扉を開けた。
「よ、よっちゃん。具合大丈夫?」
やって来たのは幼馴染の出久だった。
「えっと…まだ貧血かもと思ってお見舞いに………良かったらこれ」
そう言って差し出されたビニール袋の中身は、ゼリー飲料の詰め合わせだった。大半は栄養チャージ系と鉄分補給ゼリー…それを受け取るや否や、夜々は早速1つを口に含み飲み込んだ。
「プハァー。好き!」
「ヘっ⁉︎あ、いや、えっと………」
「このゼリー飲料によくお世話になってるんよ。ただストック切らしててな。助かったわー」
「あ、好きってそういう………」
理解したのか、1人でテンパった緑谷は顔を赤くする。
「ん? 好きって言ったのは出久に対してやで?」
「ファッ⁉︎」
爆発の個性を持っていないにも関わらず、ボンっ! と音を立てて更に顔を赤くする。頭からは湯気が登っている。
「はぁ〜可愛いかよ」
「からかわないでよ、よっちゃん‼︎」
子犬を眺めるような眼差しで緑谷を見つめると、彼は両手を前に出して顔を隠し、視認拒否を身体で訴える。
「とりあえずありがとなぁ。茶でも飲んでき」
そのまま夜々の誘いでダイニングに上がり、軽く持て成しを受ける緑谷。するとそこでまたチャイムが鳴る。
誰だろうと思っていると、立ち上がる前に夜々のケータイが鳴る。
メールを受信したようだ。
内容は「開けろ」とだけ書かれていて、差出人は爆豪だった。
「………出久〜、少しフラフラするん。友達来たから代わりに開けてくれへん?」
「わかった」
善意から笑顔でそう言った緑谷はダイニングを出て玄関に向かう。
それを悪戯っぽい笑みを浮かべて見送り、今か今かと何かを待った。
そして玄関先から爆発音が聞こえた。
ー
ーー
ーーー
「なんでクソデクがいやがんだ⁉︎」
「クッ……お、お見舞いに来て、くれたんよ…フックックッ」
「笑ってんじゃねぇ鬼女ッ‼︎」
ダイニングに戻ってきた出久の後ろには、不機嫌な表情を隠さない爆豪が付いてきていた。前を歩く緑谷は汗をかきながら苦笑いを浮かべている。
「まぁそう怒らんといてな。出久〜お茶おかわり〜」
「はーい………………あれ? いつから僕は持て成す側に?」
ポットに入った茶を注ぎながら、出久は違和感に気付いた。だが一々突っかかる性格では無いので、コップに茶を最後まで注いでくれる。
ついでに食器棚からもう一つ持ってきて、緑谷は爆豪の前にそれを置いた。
「………ズズッ」
「不機嫌な割に飲むんやな」
「うるせぇ」
出久が出した茶を飲みながら、爆豪は夜々の顔を凝視する。
「まだ青いな。飯は?」
「昼? まだやけど」
「そうじゃねぇ、朝だ。ちゃんと食ったんだろうな? 食うもん食わねぇと、治るもんも治らねぇだろ」
夜々はあからさまに視線を逸らし、天井のシミを凝視する。
「なに目ぇ逸らしてんだオイ」
「実はの、疲れ果てて帰ったからすぐ寝て………昨日の夜も…」
「………あ゛?」
「…かっちゃ〜ん。うちより鬼みたいやね〜…なんちゃって………」
文字通りの鬼の形相に、流石の夜々も苦笑いを浮かべる。「あ、コレ本当に怒ってる」と直感したのだろう。
「…昨日の夜から何も食ってねぇと?」
「あ、コレ飲ん………食ったよ」
藁にもすがる思いで、出久か持ってきた空のゼリー飲料を指差す。
しかしそれは火に油を注ぐ行為で、爆豪の額に浮かぶ血管が切れたように見えた。
「…手ェ洗い殺してこい」
「ハイ」
上から見下すように低い声で言われ、夜々は即座に返事で返す。
そして爆豪は持ってきていたビニール袋を手にキッチンへ向かう。今更だが彼も見舞いに来た者で、袋の中には色々な食材が入っていた。
手を洗い終え戻ってきた頃には、爆豪がその食材を使って料理をしている。
「かっちゃんの手料理楽しみやわー」
「黙って座ってろ」
その時、完全に帰るタイミングを逃していた緑谷は、そろそろ帰ろうと思い始める。しかしそれを察知したのか、夜々に声をかけられる。
「………出久って昼食べた?」
「へ? いや、帰りの道中で適当に食べようと思ってたけど…」
「かっちゃん! 一人前追加!」
「ハァッ⁉︎ なんて俺がクソデクの面倒まで見なきゃなんねんだよ‼︎」
「頼むわ。一人で食べるのも味気ないし、3人で食べようや〜」
面倒くさそうな表情を浮かべて押し黙る爆豪だが、諦めたように舌打ちをする。
「チッ、米はあんだろうな?」
「あ、炊いてない」
「デク! パック米買ってこい!」
「う、うん!」
「鬼女! 菜箸!」
「シンクの引き出しにある。一番上のところ」
ー
ーー
ーーー
「ご馳走さまでした」
「お粗末」ボソッ
「凄いや。とっても美味しかったよ」
「あ? んなもん聞いてねえよボケ! 食ったんならとっとと働けッ‼︎」
爆豪の手料理を食べ終えて一息つく3人だったが、緑谷は使い終わった食器をシンクへと運び皿洗いを始める。
「すまんなぁ2人とも」
「別にいいよ。このくらい」
「ケッ………」
笑って答える緑谷と、照れ隠しなのか頬杖をついてテレビを見る爆豪。
緑谷は皿洗いを続け、爆豪はリモコンを手を取り勝手につける。すると丁度、USJ事件の事がニュースになっていた。昨日の今日だし、当然といえば当然だろう。
「昨日の
顔色が比較的に良くなったのを見かねて爆豪が尋ねる。察した夜々は飲んでいた茶を置いて口を開く。
「百升モードのことか? もう少し副作用はマシやと思っとったんやけどな………」
「またああなられると面倒くせぇ。説明しろや」
失態を思い出し、目に見えてしょげる夜々。そんな彼女には気を遣わず、爆豪は単刀直入に尋ねる。
「うちの個性は知っての通り"鬼人"。経口摂取したアルコールを力に還元することなんや。その摂取するアルコールで一番適してるのが自分の血………副作用はもちろん失血や」
洗いながらも耳を傾け、緑谷は「やっぱり…」と1人呟く。
「百升モードは常人なら気絶するほど量の血を失うんやけど、うちら鬼の末裔はその程度で堕ちたりせえへん………はずなんやけど、うちはまだ未熟やったん。本当は親にも止められてたんよ………」
「アルコールっつったな。法には触れねぇのか?」
「個性上の問題やから触れないんやけど、疑われ検査されるたびに説明せなあかん………その説明を聞いてくれなければ、ウチってアウトなんよねぇ………常に血管にアルコール度数100%超えの常識はずれが流れてん」
「ふーん」
爆豪は、聞いといて興味なさそうに相槌をうつ。
「百升は使いもんになんのか?」
「そのうちな。オカンも使っとるし、代々伝わる個性の鍛え方も知っとる」
「そのうちじゃねぇ。間に合うのか? もうすぐだろ」
「もうすぐ………?」
「あ! 体育祭‼︎」
黙っていた緑谷が思い出したように声を上げる。
体育祭といえば、年に一度の学校行事。それもヒーロー科ともなれば、自分を世界に売り込むチャンスである。
現在オリンピックは、"個性"が生まれた事によって種目の記録に個人差が大きく出て衰退してしまっている。そしてあろうことか、ビッグネームである雄英高校の体育祭こそがオリンピックの代わりになるビッグイベントなのだ。
学校の行事と甘く見ているが、ヒーローの卵を見に数多くの現役ヒーローが見に来て、さも当然のようにテレビ中継も生でされている。
ヒーローを目指す者としては無視できない行事である。
「言っとくが、俺は
挑発的な笑みを浮かべる彼は、本気でNo.1ヒーローを目指している。
好敵手とより強い状態で戦いたい。そして自分の糧とする。そんな野心と欲望を持っているのが爆豪 勝己だ。
「上等…」
そして夜々も自分を高める為の踏み台を欲していた。性格が全く違うように見えて、2人の勝利への飢えは同格だった。
「………………」
そして彼もその飢えは負けていない。だが緑谷は自身の抱えている問題が解決しておらず、まだ2人と同じ土俵には上がれてはいない。彼本人がそう自覚している。
『緑谷少年。USJで初めて個性を制御できたそうじゃないか。ハッキリ言おう。あれは全体でいう5%だ』
「5%………」
「なんやって?」
USJ事件後にオールマイトに言われた事を思い出す緑谷はふと呟き、その呟きが気になったのか夜々が話しかける。
そして彼の不安気な表情から彼女は察する。
「ははーん。個性の事やな? まだ
屋内対人訓練をした日の放課後、緑谷は秘密の一部を2人に打ち明けている。爆豪は冗談と思っているようだが、夜々は真面目に受け入れていた。
「USJで脳無を殴った時に制御には成功したんだ。たったの5%だったけど………それが今の僕の身体が耐えれる限界らしいんだ」
「ハッ!」
耳だけ傾けて鼻で笑う爆豪に対し、夜々は親身に相談役として会話を続ける。
「じゃあ身体鍛えていけば制御できる上限を増えるんやな」
「そうなるね」
「んー、そや! 出久も来たらどうや?」
「………?」
「来たら………って、何処に?」
「オカンの実家!」
ー
ーー
ーーー
「「「「「相澤先生復帰早ッ⁉︎」」」」」
臨時休校の翌日。1-Aの教壇には、包帯をグルグル巻きにされたミイラ男が立っていた。そのミイラの正体は相澤なのだが、全身を重症を抱えて2日で仕事に戻るとは普通ではない。
それを指摘すると相澤は「婆さんの世話になった」とだけ答える。
「俺の安否は良い。それよりも新たな戦いが始まろうとしている…」
そんな姿になっても変わらない眼光で黙らせ、張り付く空気の中で口を開いた。
「“雄英体育祭”が迫っている」
「「「「「クソ学校ぽいのきたぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎」」」」」
生徒たちのテンションは上がり、まだ先の事なのに気合が入っている。もちろん全員がそうではなく、USJ事件明けなのを気にする者もいる。
そしてそれに対する相澤の返答はこうだった。
「逆だ。これで体育祭を中止にすれば、
そんな訳で雄英体育祭が問題なく行われる事を知った夜々は、ホームルームが終わってから幼馴染の元に駆け寄る。
「やるみたいやな」
「だね」
「………おう」
もちろんその幼馴染というのは、緑谷と爆豪である。
2人に話しかけた理由はもちろん昨日話した誘いについてだ。
「予定としては週末の金曜の放課後に向かうことになる。んで、土日使ってむこうで修行するつもりや」
つまりは修行に誘ったのだ。緑谷はともかく、何故爆豪にもこの話をするのかというと、彼も夜々があの後誘ったからである。
実はあの後、テレビを見ていた爆豪が途端にソワソワし始めたのだ。それを見て笑いを堪える夜々はたっぷり焦らしてから爆豪にも修行の誘いを持ちかけたのだ。
すると………
「行く」
………まさかの即答に夜々は笑いを堪えられなくなり、あまりのわかりやすさに緑谷も思わず吹いてしまっていた。
そんな出来事が昨日あったのだ。
「じゃあ金曜の放課後に駅で………」
「お、なんの話してんの? 旅行?」
そこに上鳴 電気をはじめに、クラスメイトが集まってくる。
「へぇー修行ね。正直酒井家の修行って気になるな」
「鬼の修行…ひとまず辛そう」
「まさに鬼門………」
「で、2人にはちょっとコレを見てもらいたいんやけど………」
そこで夜々はスクールバッグから1枚の紙をそれぞれに手渡す。
その紙の一番上には「当家での修行に参加する際には以下の要項を確認の上、同意の意を示すサインをお願いします」と書かれていた。
「あ? 契約書………?」
「ひとまず読むね」
1.負傷及び命の危険に関して、当家は一切の責任を負いません。
「いきなり重いのキターーーッ⁉︎」
「外野、五月蝿いわい」
2.当家で行う修行内容の口外を一切禁じます。
「ヤベェ、めっちゃ気になる」
3.当家の指示には必ず従って下さい
「え、怖っ」
4.以上を破った際には、当家への出入り及び接触の一切を禁じます。
「………………」
そして契約書の最後には、同意の意を示すサインの記入欄がある。
「やめとけよ緑谷ー、オイラ怖えよ」
「爆豪もよしとけよ。酒井には悪いけど、かなり怪しいぞ」
「私むしろ俄然気になるな〜。行っちゃダメ?」
「俺も行きてぇ」
「あーうるさいうるさい。悪いんやけどこれは、うちが2人に誘った事や。まずはコッチの話を終わらせてからにしとくれ!」
そう言ってから2人に視線を向け改めて尋ねる。
「命云々は多分爺さんの茶目っ気や。せやけどどうする? 来る来ないは自由やで?」
「………参加すりゃ確実に強くなれんだな?」
「そりゃ勿論。うちの爺さんと婆さんの手腕を舐めちゃあかんよ」
「………………………」
静まり返った教室で、関係ない者たちも2人の返事を待つ。
そして2人は少しの静寂ののちに、自分の名前を記入した。
「「上等」」
ー
ーー
ーーー
「夜々ちゃーん。私も行きたい行きたい!」
「すまんな芦戸はん。定員オーバーや」
「それはそうとコレは………どうするか」
「早く帰って自主練したいんだけど………」
時は流れ放課後。
「なんでこんなおるん?」
「すっかり有名になっちゃったね!」
面倒くさそうな夜々と楽しそうに笑う芦戸…その多帰ろうとする1-Aメンバーの前には教室の入り口があり、そこは他のクラスの者達で溢れかえっていた。
集まった人達の皆が皆、教室の中を覗き込んでいる。
体育祭の敵情視察か、USJ事件を乗り越えた者たちを見に来たのか、理由は不明だが全員が興味を持って見てるのは確かだ。
「意味ねぇ事してねぇでどけやモブ共‼︎」
「流石かっちゃん。そこに痺れん憧れん」
見物客たちに怒号を浴びせる爆豪の肩を叩く夜々だが、爆豪は気にせず続ける。その結果、余計な敵を作ってしまうのは必然的だった。
「随分と偉そうだな…ヒーロー科はみんなこんな奴なのか? 正直、幻滅だな」
気怠そうな1人の男子生徒がそう言って立ち塞がる。爆豪もそれに気に入らなそうに睨み付け、両者共に道を譲ろうとしない。
「……知ってるか? ヒーロー科落ちた奴の中には、そのまま俺みたいに普通科に行った奴がいるんだ。けど、今度の体育祭のリザルト次第ではヒーロー科への“編入”が可能なんだ」
それは遠回しに「お前たちを引き摺り下ろして俺が這い上がる」と言っているようだった。
「はぁ………出久、途中まで帰ろ」
ただ早く帰りたいだけの夜々は、爆豪を止めるのを諦めて帰ろうとする。
「そっちは敵情視察だと思ってるかもしれなけど……俺は足下掬われるぞって……“宣戦布告”で来たつもりだ」
「ハッ! 意味ねぇ事してねぇで“モブ”はモブらしくしてろ‼︎」
そんな口論に背中を向けていると………
「ちょっとまてぇ‼︎隣りのB組のもんだけどよぉ⁉︎さっきのモブ発言きいてたぞぉ‼︎ 偉く調子に乗ってんじゃねぇか‼︎」
「お………」
人の隙間を縫って出ようとした夜々の正面から、そう言って男子生徒が勢いよくやってくる。聞いたところ隣のクラスの生徒らしいが、彼が勢いよくくる事で人混みが動き、夜々は1-Aの方に押し戻される。
「帰して〜」
人混みに流されながら助けを求める夜々だが、下駄箱に着くまで10分かかったという。
靴を履き替えるその姿は若干やつれ、先ほどよりも疲れが見える。隣にいる緑谷に愚痴り、緑谷がそれをなだめていた。そしていつのまにか爆豪がいて、自然と一緒に帰路に着いた。
「………………」
そんな彼らの背中を盗み見る影が一つあった。
雄英の学生服を着ているが背中に穴が空いており、その穴からは鴉のような黒い翼が生えている。
「………………………」ギリッ
機嫌は悪そうだが仲睦まじく帰るその姿を見て、翼を携えた男は歯をくいしばり恨めしそうに睨みつけていた。
相澤
「痛ッ………流石に完治とはいかないか」
ー ピンポーン ー
相澤
「…こんな時間に誰だ? まぁいい」
ー ガチャ ー
酒姫
「大丈夫か‼︎ 生きとるか⁉︎ 儂じゃ‼︎ 早く治るようにと酒を…」
ー バタン ー
相澤
「………寝るか」
翌日。鬼殺しが3本入ったビニール袋が玄関に掛けてあった。
次から閑話の修行回です。体育祭を楽しみにしてた方は申し訳ない。