仮面ライダーエグゼイド Fatal Death Game SAO(停止中) 作:パラドファン
フェイタルバレット編のラストバトルの元になります。
本編では内容を変更させるつもりです。
特別回
スゲームエリア~
「絶対に勝つ! 皆で帰るんだっ!!」
コウガが強く宣言し、皆もそれに頷く。
「果たして君達は魔王である僕に勝てるのかなぁ!!?」
ナーヴギアを装着し、死のゲーム《ソードアート・オンライン》の再現となったこのラストバトル。
自分、そして仲間の運命が懸かった決して負けられない戦いだということ――それはこの場にいる全員がわかっていた。
「彼らの運命は僕達が変える!」
エムは目の前の仲間の命を救うため、やはり強く宣言した。
「いくよ! キリト君!」
「ああ!任せろ!」
そしてエムとキリト達はラスボスである《ザ・ゲームマスター》に向かっていく。
「コウガ君! 君はイツキのもとへ向かうんだ! 此処は僕達に任せて!」
「でも……」
「いいから向かうんだ!」
エムは、コウガに全ての決着を託した。
「わかった!絶対に帰ろう!」
託されたコウガは、イツキがいる場所目掛けてUFGを放ち、飛んでいった。
「キリト君、僕たちはこいつを倒そう!」
「ああ!」
それを見送ったエムとキリトは、共に高揚感からくる笑みを浮かべ、手を差し出す。
「「超キョウリョクプレイでクリアしてやるぜっ!!」」
その手を叩き合わせ、エムとキリトは目の前のエネミー《ザ・ゲームマスター》に向かっていった。
そしてコウガ達を救う為に集まった仲間たちもそれに続く。
コウガは、魔王を自称するイツキの前に立つ。
「イツキ……何でこんなことを……」
「僕は魔王だと言っただろ。魔王は欲しいものはどんな手を使ってでも手に入れる」
イツキは本当の魔王のように高揚と笑みを浮かべ、悦に浸るような邪悪な表情も見せる。
「……そのために、クレハとツェリスカを巻き込んだのか……!」
――大切な幼馴染みで、自分をこの世界に誘《いざな》ってくれたクレハ。
――GGOにログインして間もない自分を助けてくれたツェリスカ。
二人への様々な想いが溢れ、今にも決壊しそうなコウガは苦し気に叫ぶ。
「そうだよ! 人間不信に陥った君を僕だけの物にするためにね!」
イツキは開き直ったのかのように狂喜な笑みを浮かべ、叫び返す。
「僕は魔王だ……。魔王は魔王らしく、その務めを果たさせてもらうよ!」
イツキは装備しているスナイパーライフルを構えて、コウガ目掛けて放った。
それを間一髪の所で回避し、コウガは自分の装備している光剣《マサムネG9》を右手に構え、左手に拳銃を構えた。
「そうだ……。君は勇者らしく魔王である僕にかかってきなよ」
「僕は……イツキ、君を止める!」
――全ての運命を掛けたラストバトルが始まった。
「レーザーだ!避けろ!」
キリトが叫び、同時に足元に複数現れた球体からレーザーが放たれる。何人かがそれを受けてしまい麻痺状態になってしまった。カバーに入ろうとするが、ザ・ゲームマスターは新たにエネミーを生み出して、その行く手を阻もうとする。
「邪魔するなぁぁ!」
エムはエネミーに向けて装備しているアサルトライフルを撃ち込む。放たれた銃弾はエネミーをクリティカルダメージで倒した。だがザ・ゲームマスターは既に新たにエネミーを呼び出していて、キリト達もそれに苦戦しているようだった。
「くッ……このままじゃキリがない」
エムがこの状況を打開する策に悩み始めたその時、耳をつんざくような声が響いてきた。
『ブゥハハハァァァァァァァ!!!!!!!』
「まさか.……く、黎斗さん!?」
『苦戦しているようだなぁ!!永夢ゥゥ!!!』
「いったい何なんですか! 今それどころじゃ……」
こんな時にと、エムが内心嘆息気味でいると、突然目の前にゲーマドライバーとムテキのガシャット一式が転送されてきた。
「こ、これは……」
『私の才能を持ってすれば容易い!! 私からの恵みをありがたく受けとるといい!!』
「はい!ありがとうございます!」
手の平返しだが、有難いものは有難い。
早速とゲーマドライバーを腰に巻き、マキシマムとムテキガシャットの起動スイッチを押す。
『マキシマムマイティX! ハイパームテキ!』
「彼らの運命は……俺が変える!!!」
『マキシマムガシャット!』
「ハイパー大変身!!!」
『パッカーン! ムーテーキー!! 輝け~流星の如く! 黄金の最強ゲーマー! ハイパームテキエグゼイド!!!』
エフェクト光がエムの身体を包み込み、それが晴れた時、エムはもうひとつの姿《仮面ライダーエグゼイド ムテキゲーマー》に変身した。
『ガシャコンキースラッシャー!』
「ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!!!」
エム――改めエグゼイドは手元に召喚した武器を取り、目の前にいる《ザ・ゲームマスター》にそう宣言した。
『ズキュ・キュ・キューン!』
ガシャコンキースラッシャーをガンモードにして《ザ・ゲームマスター》目掛けてエネルギー弾を放った。
「何なのあの姿……」
「あんなもの実装した覚えはないわ……」
「いったいどうなってやがる……」
エグゼイドの姿を初めて見たクレハとツェリスカ、ジョーは驚きを隠せないようだった。だが、そんなことは関係ないとばかりにエムは《ザ・ゲームマスター》に向かって、突撃する。
「タゲは俺が取るから任せろ!」
《ザ・ゲームマスター》とエグゼイド ムテキゲーマーの最終決戦が今、新たに始まろうとしていた。
――そしてコウガとイツキの戦いも続いていた。
イツキは驚異的速度でコウガを狙い撃ち、コウガはその銃弾を回避するか光剣で防ぐかのギリギリの戦いが続いていた。
「いつまでこの攻撃に耐えられるかなぁ!?」
イツキは狂気的に笑いながら、ライフルを撃ち続ける。
それを避けるコウガだが、イツキの狙いの速度は速く、バレットラインがあるとは言え回避、防ぐのは容易ではなかった。
(このままじゃ、いずれ攻撃を受ける……こうなったら!)
コウガは起死回生を狙って、光剣を構えながらイツキ目指し真っ直ぐ向かって走り出した。
「そう来るか……なら!」
イツキは真っ直ぐ向かい来るコウガに目掛けてスナイパーライフルを構えた。
狙うまでもなくスナイパーライフルの必中距離のために、バレットラインが見えてからでは絶対に回避出来ない。だが、コウガはキリトに光剣での戦い方を教えてもらった時に言われた事を思い出していた。
『バレットラインを見て避けるんじゃない相手の目を見て避けるんだ』
キリト曰く《ザ・シード》共通のシステムで攻撃する際には狙った位置に目も追従するらしく、それを見れば何処に攻撃が来るか分かるらしい。
コウガはその練習をしたが目を見て避ける事は出来なかった。しかし、この状況では相手の目を見て避けるしかなく、一か八かの賭けだった。コウガは神経をスナイパーライフルを構えるイツキのスコープ越しの目に集中する。
「――終わりだ」
イツキの勝ちを確信した冷静な声が響き、スナイパーライフルから銃弾が放たれ、コウガに命中するかと思われた――が、コウガに命中することなく銃弾は光剣によって防がれた。
「何ッ!?」
イツキは必中距離である筈の銃弾を防がれたことに驚愕した。
そしてコウガはその隙に一気に接近しイツキに斬りかかるが、イツキはスナイパーライフルを盾代わりに投げ捨て、続いて腰に装備してたいたハンドガンでコウガを撃った。そしてコウガは間一髪の所を光剣で防いだが、一部が光剣の掴に当たってしまい、それによりコウガの光剣《マサムネG9》はお釈迦となる。
互いに装備しているのはハンドガン一つだけとなる。コウガは両手に、イツキは左手にハンドガンを構え、正対する。
――そしてエム達の《ザ・ゲームマスター》との戦いはいよいよ決着がつこうとしていた。
HPを減じたゲームマスターは、一気に上昇して口許にエネルギーを貯める。
「あんなの受けたら一溜まりもないわ……」
「私達ここまでなの……」
《ザ・ゲームマスター》が溜めている強力なエネルギーを前に、心の折れかけている者もいたが、まだ諦めていない者がいた。
「諦めるな! あのエネミーの顔目掛けて撃つんだ!!」
――キリトだ。SAOを生き残ってクリアした者だからこそ、まだ諦めていなかったのだ。
キリトの声は全員の胸の内を揺さぶり、一斉に《ザ・ゲームマスター》がエネルギーを溜めている顔目掛けて撃ち出した。
だが、惜しくも怯ませることは叶わず、《ザ・ゲームマスター》はフィールド全体に巨大なレーザーを放とうとする。その様子を見て、さすがの誰もが諦めていたが『彼』だけは「まだだ」と足掻く。
「変えられない運命なんてない! 俺が皆の運命を変えてみせる!!!」
エムはそう叫び上空にいる《ザ・ゲームマスター》に向かって飛び出した。
「エム!!」
『エム(さん)!!』
今まさに放たれようとしているレーザーを目の前にしながら、ドライバー上部にあるガシャットのスイッチを押した。
『キメワザ! HYPER CRITICAL SPARKING!!!』
武器を放り捨て、独特の構えで右足にエネルギーを貯める。
そして、同じタイミングで共にエネルギーを貯め終え、エグゼイドは飛び出し蹴りの体勢に入る。
「行っけェ――――!!!」
《ザ・ゲームマスター》もレーザーを放ち、エグゼイドの黄金の煌めきを放つキックが衝突し互いに拮抗する。
「俺は……命を諦めない! 運命は俺が変える!!!」
「行っけェ――――エム!!」
「頑張って!!エムさん!!」
『負けるな!エム(さん)!!』
フィールドにいる皆はエムを信じ、叫ぶ。
そして、その叫びはエムに力を与え《ザ・ゲームマスター》のレーザーを押し返し始めた。
「うおぉぉぉ!!!」
そしてレーザーを打ち破り《ザ・ゲームマスター》にエグゼイドのキメワザがヒットする。
そしてキメワザが命中した《ザ・ゲームマスター》にHIT!の文字がいくつも浮かび上がりHIT!の文字によって被われ次第にGREAT!になり最後にPERFECT!の文字が大きく浮かび上がった。
『究極の一発!! 完全勝利!!!』
音声が響き渡り《ザ・ゲームマスター》はポリゴン片となり消滅した。
エムとキリト達は勝利の喜びを分かち合おうとした瞬間、警告音と共に女性の合成音声が響き渡る。
『システムの重大違反確認 システム権限を停止します』
そして全員光に包まれ始め消えていった。
――《ザ・ゲームマスター》との決着が付く少し前
イツキとコウガ互いにハンドガンを構え、正対する中でイツキはふと気付いた。
「その銃は……!?」
「イツキが僕にくれた銃だよ」
「持っていてくれてたんだね……。はぁ~魔王の企みは大失敗だったよ……」
イツキは額に手を当て、落胆した様な声と表情で言った。
コウガは、これを機と銃を下ろしてイツキに向かい叫ぶ。
「イツキ……僕は君の事は大切な仲間だと思っている、だから……!!」
「もう遅いよ……魔王を倒すのは勇者の務めだ」
イツキはコウガの話を冷淡に遮り、銃を構えた。
――だが、コウガはそれでも銃を構えない。
「君が務めを果たせないなら……僕が!」
イツキが銃をコウガに向けた直後、
『システムの重大違反確認 システム権限を停止します。』
警告音と共にシステムアナウンスが響き出した。
「時間切れ……か」
「イツキ!」
「……また、会いに来るよ。現実世界か仮想世界かわからないけど……だって、君が仮想世界に来た理由を聞いてないからね」
それだけを言い残し、イツキは消え、その数秒後コウガの視界は真っ白に染まった。