仮面ライダーエグゼイド Fatal Death Game SAO(停止中)   作:パラドファン

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これまでのEvent

 転移時独特の浮遊感も過ぎ、目の前の光が晴れるとエムとキリトの目の前に映る景色は第七十六層《アークソフィア》のものだ。

 

「アークソフィア……戻ってこれたんだな」

 

「うん、そうみたいだね」

 

 安堵の息を吐く二人だが、突如と爆音が二人の耳に届く。

 

『聞こえているなら返事をしろォォォ!!宝条永夢ゥゥ!!!』

 

 鼓膜が破れるのではないかというほどの絶叫に、思わず耳を庇う二人だが、耳を塞いでも絶えず声が耳に届くので、エムは声の主の名を叫んだ。

 

「何ですか!? 黎斗さん!!」

 

 すると、反応が返ってきたことに驚いたのか、一瞬間を置いた後にまた黎斗の声が響いた。

 

『ようやく返事をしたかぁ! この私を無視するとはいい度胸だなぁ!! ブゥハハハハ!!』

 

『あーも! うるせぇよ、神!! 見つかったんだから黙れ!』

 

 どうやら共に貴利矢もいたらしく、苦情の声が二人の耳にも届く。

 

『この私に黙れだとぉ!? 九条貴利矢ぁぁ!!』

 

『だいたいずっと叫ばれたら迷惑なんだよ!』

 

 そのまま始まる二人の口喧嘩。

 あまり聞いていたいものではないが、耳を塞いだところで垂れ流されてくるのが現状。

 結果、キリトとエムの二人は転移門の前で困り果てるという良く解らない状況に置かれることとなる。

 

『この私がバグの影響で繋がらなくなった回線を回復して連絡を取ったのに返事をしない永夢が悪い!!』

 

『だから、声がうるせぇって言ってんだよ! もっとボリューム下げろ!』

 

『この私に指図するなぁぁぁぁ!!』

 

 どんどんヒートアップし、収集がつかなくなり始めるが、ここでようやく救いの手が出た。

 

『二人共うるさい! やっと連絡繋がったんだから喧嘩は後!』

 

 甲高い声はポッピーか。

 状況の分からぬキリトははてな顔だが、エムはポッピーの登場に最早泣きそうである。

 

『エム! 大丈夫?』

 

「あ、うん。ポッピーの方は……大変そうだネ」

 

『うん……。落ち着いたらまた連絡入れるね』

 

「が、頑張って……」

 

 そこで、回線は途切れたようで、以降呼びかけても返事はなかった。

 

「キリト君! エムさん!」

 

「「アスナ(さん)」」

 

 慌てた様子のアスナがキリトとエムの元に駆け寄ってきていた。

 

「二人共心配したよ……連絡しても反応ないし、死んじゃったかもって」

 

「そんな心配しなくても、生命の碑を見れば……」

 

「キリト君、今は生命の碑は」

 

「あっ、今は見れないんだった……」

 

 七十五層の攻略後に起こったシステムエラーで、七十六層以前の層には行くことができなくなっていた。

 エムからの指摘で気付いたキリトは、アスナが今にも泣きそうな顔をしている理由にも気付く。そこへ――

 

「「キリト君(さん)! エムさん!」」

 

 アスナに遅ればせながら、リーファとシリカも駆けつけて来た。

 

「いったい何処に行ってたの!?」

 

「良かったです。二人が無事で……」

 

 どうやらみんな心配してくれていたようだ。

 リーファは口調こそ怒り気味だが、その顔は安堵に満ちているし、シリカの方は言わずもがなだ。

 

「二人とも無事で良かったです!」

 

 そんな二人の背後からユイが飛び出し、エムに抱き付いてきた。

 経緯もあってかエムにも良く懐くユイであったが、キリトの方に行かないのは何故か。

 疑問に思い、エムがキリトの方を見れば――アスナに泣き付かれていた。

 

「……ただいま、ユイちゃん」

 

 それならばしょうがない。と、エムはユイの頭を軽く撫でてやる。

 そして甘い雰囲気の二人を捨て置いて、エム達はたまり場兼宿であるエギルの店へと向かう。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 旧五十層の店から、門構えを変え新たに酒場兼宿兼雑貨屋としてエギルが開いた店に着いたエム達。

 

「あー! やっと戻ってきたわね!」

 

「……言ったでしょ、その辺で暴れまわって戻ってくるって」

 

 そんな彼らを迎えたのは、怒る声と対して冷ややかな声。

 ちなみに怒る声の方がリズで、冷ややかな声がシノンのものだ。

 

「アハハ……」

 

 実際に暴れまわってきたのは事実。

 反論する余地なく、エムは苦笑いだ。

 

「皆も心配し過ぎなのよ」

 

 吐き捨てるようにいうシノン。

 長い付き合いではないのに、ここまで読まれているあたり単純だなぁ……と、認めざるを得ないエムだった。

 

「た、ただいま……」

 

 と、後ろからキリトの弱弱しい声が。

 それがリズの怒りを呷ったか、怒声が店内に響き渡る。

 

「キリト! エム! あんたらいったい何処に行っていたのよ!」

 

 その迫力は凄まじく、歴戦の戦士であるはずのエムは元より、数々の修羅場をくぐったキリトも委縮する程。

 一先ず、リズの怒りの矛を収めさせるために

 

「そ、それは不可抗力で……」

 

 意外と、シノンが眉を吊り上げる。

 

「そうなの……?」

 

 そんなシノンの問いに答えうように、おずおずとキリトが口を開く。

 

「……実際、エムの言った通り不可抗力だったんだ。迷宮区を探索していたら急に転移させられて……」

 

「それって、いきなりって事?」

 

 話を聞いたリーファが疑問の声を上げ、対しエムが疑問に答える。

 

「うん。それで隠しエリア……っていうのかな? そんな所に転移して、一応様子見して……戻ってきたんだ」

 

「……そんなエリアが未発見の状態で見つかるって、あるのかしら? ユイちゃんは何かわかる?」

 

 根本の疑問をアスナがユイに問いかける。

 SAOの全システムを統括するカーディナル由来のプログラムのユイならば、多少なりとゲームのシステム的内情にも詳しかろうと、皆ユイの答えに注目し、答えを待つ。

 

「アインクラッドに様々な事情で一般のプレイヤーには公開されていないエリアがあります。ゲーム開始時にそれらエリアは封鎖されたのですが、現在は謎のシステムエラーの影響でカーディナルシステムが不安定になっています。それを考慮するとないとは言い切れません」

 

「成る程ね。ありがとうユイちゃん」

 

 完全ではないものの、考察のはかどる有益な情報をもたらしたユイ。

 が、当人はアスナに頭を撫でられながらもシュンと落ち込んだ様子を見せる。

 

「いえ……現在の稼働情報がもう少し詳しくわかればいいのですが……」

 

 そんなユイに、キリトは優しく微笑みかける。

 

「今の説明でも充分だよ。ユイ」

 

「パパのお役に立てたなら、嬉しいです」

 

 微笑みを受けて、ユイはキリトに同じく微笑みを返す。

 親子団欒……素晴らしいものだが、とエムは最後に話を畳むべく総括に入る。

 

「ホロウ・エリアについては、色々調査が必要だね……。とりあえず僕の方は色々とバックアップについてくれてる人に調べて貰うよ。何かわかったら、皆にも報告する」

 

そう言うとふとシノンが思い付いたようにエムを見つめる

 

「どうしたの……シノン?」

 

「バックアップって聞いて思い出したんだけど、エムを呼んでいたあの奇声は何?」

 

シノンの疑問を聞きはっとしたようにエムに視線が集まる

 

「確かになんかエムって叫んでいたわね」

 

「それにうるさくて耳が痛くなりそうでした……」

 

「えっと……ごめんなさい。うちの身内が迷惑を……」

 

エムはとてつもなく落ち込んだような表情を浮かべ申し訳なさそう謝罪し場が静まり返る。

 

そしてその状況をどうにかしようとリズがユイちゃんに訊ねる。

 

 

 

 

 

「……ねぇ、ユイちゃん。そのエリアには見つかっていない素材とか有ったりするの?」

 

 ふと、リズがユイに尋ねた。

 

「その可能性は十分にあると思います」

 

 ユイの回答は、実に曖昧でかつ期待の持てるものだった。

 鍛冶師として血が騒ぐのか、リズは期待を胸に心躍らせる。

 

「そっか、未知の素材……未知のスキルとかもあるのかしら……」

 

 そんなリズの言葉に煽られたか、皆からも並々ならぬ熱意の声が上がる。

 

「だったら、ピナのパワーアップも……」

 

「私も、短剣はどうも合わないから……いい武器を手に入れたい」

 

「あたしも、もっと……」

 

 そんな皆の様子に慌てるアスナ。

 

「ちょっと、皆……もしかして行くつもりなの!?」

 

 だが、そんなアスナの様子を余所にキリトは無邪気に笑む。

 

「いいじゃないか別に、俺たちだってちゃんと帰ってこれたんだから」

 

 そんなキリトに突っ込むのは、苦い顔のエム。

 

「……そういう問題じゃないと思うんだけどな、キリト君」

 

「いや、でも……皆のレベルなら、ホロウ・エリアでも十分に戦えるだろうし、そこで手に入るアイテムで皆を強化出来たら、この先の攻略だってグンと楽になるだろう?」

 

「そ、それは確かにそうね……」

 

 流されそうになるアスナ。

 実際に、キリトの言う通りホロウ・エリアには手強いモンスターが多い分、強いアイテムがあると予想される。

 

「なら、わたしも行くわ。キリト君だけを行かせるわけにはいかないもの」

 

 結局、妥協案で落ち着くアスナだった。

 

「……ありがとう。アスナが来てくれるなら、フィリアも喜ぶよ」

 

 キリトがフィリアの名を出した瞬間、辺りの雰囲気が一気に凍り付く。

 

「フィリア……?」

 

 リズはキリトが呼んだ名を反芻し、

 

「それって……」

 

「もしかして……」

 

 アスナとシリカは共にキリトを睨み、

 

「……キリト君?」

 

 リーファは呆然とキリトの名を呼び、

 

「パパ……その人って」

 

 ユイは冷めた目でキリトを見る。

 

「もしかしなくても……女の人、よね?」

 

 そして最後にシノンが、そうキリトに問いかける。

 

「ああ、よくわかったな。名前しか言ってないのに」

 

 キリトは、周りの雰囲気にも気付かずに呑気と意外気な顔をする。

 

「ほらねえーー!!」

 

 新たなライバルの出現に、アスナはもう絶叫するしかない。

 

「暴れまわってただけじゃなくて、女の子も口説いてたんだ」

 

 わざとらしくため息まで吐いて、呆れたように言うシノン。

 

「く、口説くとか、そういうんじゃないよ! なぁ、エム?」

 

 一身に関わること故に、キリトは全力で否定してエムに助けを求めるが……

 

「……ノーコメントで」

 

 否定はしきれない、エムは黙秘権を行使した。

 

「おい!?」

 

「どうせ、『力になってやりたいんだ』……とか言ってきたんでしょ」

 

「あぁ~……」

 

 シノンの慧眼に、エムは脱帽でもうため息しか漏れない。

 

「おい、エム!?」

 

「キリト君……わたしが泣くほど心配して必死に探していた時に女の子と……」

 

 涙目になるアスナ。

 

「待て待て! 不可抗力なんだよ!!」

 

 必死に言い訳を試みるキリトだが、と周囲の冷ややかな目は絶えない。

 

「また不可抗力、ね」

 

 責めるはシノン。キリトに冷々たる目が突き刺さる。

 

「向こうに飛ばされたらたまたまフィリアがいて、そこにスカル・リーパーとかが降ってきたから一緒に戦っただけだよ!」

 

「……うぅ、キリト君のバカ!」

 

 必死の言い訳、だがアスナには届かない。

 

「知ーらない」

 

 と、シノン。

 

「右に同じく」

 

 かける言葉も見つからず、エムは目を瞑る。

 

「おい!? エムは一緒に居たんだからちゃんと擁護してくれよ!」

 

「あはは! 自業自得ね」

 

 叫ぶキリトを笑うのはリズ。対してキリトは、頭を抱える。

 

「人を助けたんだから得はあっても、業なんかないだろ……」

 

 嘆くキリトを余所に、リズは一笑いしてスッキリしたのか清清しい笑みで皆に提案する。

 

「でもまあ、何かあっても《黒の剣士》様がいることだし、探索には行きましょうよ」

 

「同感ね。この世界にいつまでもいるわけにはいかないもの」

 

 コーヒーを一口、クールにシノンはリズの言葉に同意した。

 

「あ、あたしも行きたいです!」

 

 興奮気味に、シリカが手を上げる。

 それを抑えながら、エムが皆に向けて言う。

 

「まあ行くにせよ、もう少しこっちが落ち着いてからにしよう。まずは七十六層突破だ」

 

「突破はいいけど……二人は、もう今日攻略に出かけるのはダメよ」

 

 おお! と全員手を振り上げる寸前、アスナがキリトとエムに対して釘を刺す。

 

「「えっ、なんで……?」」

 

 これには戦闘狂の二人、思わず声が揃う。

 

「さっき《スカル・リーパー》と戦ったって言ってたでしょ? 当然ね」

 

 馬鹿を見るような目で、シノン。

 

「いやでも、HPは全快してるし……」

 

「パパ! 今日はママの側にいてあげてください」

 

 尚も行こうとするキリトに、むすっと怒るユイ。

 

「……そうだな。じゃあ、明日からにしよう」

 

 基本的に女性陣に勝てないキリトだが、やはりと最愛の娘であるユイにも勝てないようだ。

 

「せんせーも、ですよ!」

 

「……医者の不養生は良くないからね、そうするよ」

 

 エムもエムで、やはりユイには勝てない。

 

「じゃあ、キリト君はちゃんと部屋で休む! ……ほら」

 

「ちょ、アスナ……引っ張らなくても、ちゃんと部屋行くから……」

 

「だーめ、信用なりません」

 

「ええ……」

 

 キリトはアスナに引っ張られて二階の奥に消えていく。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 女性陣の質問攻めでヘトヘトなエムは、休めと言われたはずなのに逆に疲れて、椅子に座ろうと……その時だ。

 

『ブゥハハハハハ!!宝条永夢ぅぅぅ!!!』

 

 再び黎斗による奇声が耳に届き、座り損ねて床に転がる。

 

「いてて……何ですか!? 黎斗さん」

 

 疲れもあって、イラつきながら返事をするエム。

 

『今回は返事をするの早かったなァ……褒めてやろう!』

 

 上から目線の黎斗の声の背後で、ポッピーのため息が聞こえる。

 

「はぁ……さっきまで謎のエリアに飛ばされてて、連絡手段が無かったんですよ」

 

 ため息が移ったか、エムは苛立ちを吐き出して冷静に返す。

 

『何だと……? 永夢、今SAO内部で何が起きているのか詳しく説明しろ』

 

 どうやら、黎斗の興味は《ホロウ・エリア》に飛んだようだ。

 

「わかりました。黎斗さん」

 

 エムは少々ため息を混じらせながら返事をする。

 

 そして、思い返すのはつい先日。七十五層を踏破し、七十六層に足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 見えた景色は穏やかなもの。直前までの世界の運命をかけた戦いの場とは打って変わっての、穏やかなフィールドだった。

 しかし、フィールドの穏やかな様子と打って変わって、攻略組の皆の雰囲気はあまりいい物ではなかった。

 特に血盟騎士団の人たちは。でも、それは当然のことだった。

 自らが信じ、支えてきた団長のヒースクリフが実は茅場で、なんて話をすぐに飲み下せるような人間はこの中には一人もいないだろう。

 

 ――そんな時だ。

 

「おい、どういうこった!?」

 

 突如と、エギルさんが驚愕の声を上げた。

 振り向けば、ウインドウを開きながら固まっているのが見え、僕は慌てて声を掛ける。

 

「どうしたんですか!?」

 

「アイテムや、一部スキルが消えてやがる!」

 

「えっ……!?」

 

 慌てて確認する。

 確かに、一部アイテムやスキルが文字化けを起こして使用不可になっているようだった。

 

「なんで……」

 

 呆然と呟いていると、今度はクラインさんが驚愕の声を上げる。

 

「おい! 迷宮区までの道が消えてるぞ!?」

 

「ハァ!?」

 

 キリト君が驚愕に叫ぶ。

 急ぎ確認するが、今さっき七十六層に上がるために使った迷宮区タワーの階段がなくなっていた。

 

「嘘だろ……おい……」

 

 呆然とエギルさんが呟く横で、どうにか思考を巡らせて僕は叫んだ。

 

「転移結晶は!」

 

「使えない……!!」

 

 ちょうど試していたらしいキリト君が憤りの叫びを上げる。

 落胆と絶望が攻略組を覆うが、それでもアスナさんは声を張る。

 

「皆、諦めないで! わたしたちが今ここで折れてしまったら、今までに命を懸けてきた人たちの犠牲が無駄になる……そんなこと、させちゃいけないわ!」

 

 声に、キリト君が続く。

 

「先に進まなきゃ俺たちに未来はない……俺は行く! 皆はどうする?」

 

 責任ある大人として、僕も二人の奮起の声に応えねばなるまい。

 

「皆さん! 嘆くのも、足が竦むのも……わかります」

 

 皆の顔を見る。一様に怯えたような、そんな表情だ。

 先ほど力強い言葉を残した二人でさえ、決意に満ちた表情を微妙に不安に歪めている。

 

「でも、僕たちの大半は責任ある大人です。今ここにいる二人、キリト君とアスナさんを支えていくためにも皆さんの力を貸してください」

 

 声に熱が乗り、続いて頭を下げる。

 

「お、俺たちは……」

 

「あと四分の一、それをこんな状況で……」

 

 耳に届く声は、戸惑いや不安の色を隠せないものが多い。

 それでも、勇気を振り絞って声を上げてくれる人がいる。

 

「へッ、こんなことでへばる俺様じゃねェ! 俺は行くぜ、キリト!」

 

 声を張るクラインさんは、ニヤリと笑う。

 

「クライン……」

 

「俺も、折角の商売のチャンスは逃せないな」

 

 続くように声を上げたエギルさんも、また同じくニヤリと笑う。

 

「エギルさん……」

 

 二人の声に、他の攻略組もメンバーも続いてこれからの参戦の意思を述べる。

 

「……皆、ありがとう」

 

 僕はただ、声に応えるようにもう一度頭を下げた。(お願いされました)

 

 

 

 

 

 改めて、七十六層の主街区を目指す攻略組のメンバーたち。

 ――と、その時だ。突如と僕の身体に異変が起きた。

 

「……!? これは?」

 

 意識がぶれるような、半身が削れるような、そんな感覚。

 

「おい、エムどうした?」

 

「大丈夫ですか? エムさん」

 

 キリト君とアスナさんに声を掛けられた直後、ぞわりと沸き立つ感覚とともに『何か』が僕の身体を離れた。

 

「……なんで、俺が? エム!」

 

 生身から発声された相棒の声。

 急ぎ声の方を見れば、そこにいたのはパラドだった。

 

「パラド……!」

 

 なんで……今まで分離できなかったのに。

 またゲームのバグの影響か、思考を巡らせてみるも大したことは浮かんでこない。

 なら、今はこのことを素直に喜ぼう。

 

「これからは、向こうでみたいにまた一緒だな」

 

「エムと一緒なら、心が躍るな!」

 

「ああ!」

 

 生身では二年ぶりとなる、手の打ち合わせ。

 パラドの言う様に心躍らせていると、呆然と問いかけてくるアスナさんの声が聞こえてきた。

 

「あの……エムさん?」

 

「はい?」

 

 状況の把握が出来ていないといった様子のアスナさん。

 

「その人は……いったい?」

 

「ああ、こうして会うのは初めてだからね。紹介するよ、僕の相棒のパラドだよ」

 

「よろしくな、アスナ」

 

 常の表情である口角を上げた笑みをパラドが向ければ、アスナさんは一瞬思案顔になった後にまた聞いてくる。

 

「えっと……パラドって、あの?」

 

 あの、とはブラザーズに変身した際にパラドが分裂したR側を担当していた件についてか。

 

「な、何でエムから出てきたんだ?」

 

「えっと、それは……」

 

 真面目に答えると長いので、要所をかいつまんで説明する。

 と言えども、パラドの件に触れるとライダークロニクル事件の子細を語ることになるので、多少なりと長い説明になった。

 アスナさんは一先ずと納得してくれたが、キリト君の方は終始首を傾げたきりだ。

 

 

 

 そうして、パラドも交えて七十六層の主街区《アークソフィア》にたどり着いた攻略組一同。

 一応、転移門を解放して下層への転移を試したものの見事に失敗し、流れでそのまま解散となる。

 皆、ショックから足取りは重いが、それでも有志のメンバーが街の周囲のマッピングを買って出てくれたし、クラインさんとエギルさんに至っては新しい店を探してくると駆け出していった。

 僕はというと、キリト君とアスナさんらとともにバグの影響がないか手持ちのアイテムやスキル等のチェックをしていた。

 

「――見て! キリト君!」

 

 と、アスナさんがキリト君を呼んだ。

 気になったので僕もアスナさんの方によると、ウインドウを可視化して僕たちに見せてきた。

 

「このアイテムよ」

 

 示してくるのは、文字化けして使えなくなったであろうアイテム群の中で唯一光るもの。

 しかし、文字化けしている故に何のアイテムかは見当がつかない。

 

「文字化けしてて読めないな? 一応オブジェクト化してみるか……」

 

 言って、キリト君は早速とアイテムストレージを開いてそのアイテムを選択した。

 光とともに出現したのは、涙を模した大きなクリスタル。見覚えのあるそれを見て、アスナさんが声を漏らす。

 

「これって……」

 

「あ、ああ……ユイのクリスタルだ」

 

 言葉に詰まるキリト君。

 理由はわかる。もし何かの拍子でユイちゃんのデータが消えるような憂き目にあられては困るどころの騒ぎではないからだ。

 

「……やってみるか」

 

 だが、やがて決意したかのように呟くと、掌に載るクリスタルを二度タップした。

 すぐに光が溢れ出し、クリスタルがキリト君の手を離れる。

 

「…………」

 

 三人の間に緊張が走る。

 浮かび上がったクリスタルはさらに光を増し、爆発的な閃光に思わず一瞬目を逸らす。

 

「……また、会えましたね」

 

 鈴音のような声が耳に届いた。

 驚きに、すぐに逸らした視線を戻せば――

 

「「「ユイ(ちゃん)!」」」

 

 空に浮かぶ白いワンピース姿の女の子――ユイちゃんが、涙を浮かべながらキリト君とアスナさんの胸に飛び込んだ。

 幾数名か同じくと残っていた周囲からなんだなんだと視線が飛んでくるが、お構いなしに親子三人は抱き合う。

 

「……おかえり、ユイちゃん」

 

 ふと、万感の思いに溢れ、漏れた言葉。

 それが耳に届いたのか、ユイちゃんはキリト君とアスナさんに一度軽く頭を下げると、今度は僕に抱き付いてきた。

 

「ただいまです。せんせー!」

 

 何だか泣きそうになる。

 それを誤魔化すように、僕はユイちゃんの頭を軽く撫でた。

 

 

 

 

 

 その後は――

 

「リズ、もう君は七十五層以下には戻れないんだ」

 

「――え?」

 

 僕たちを心配してくれたのだろう。

 流しておいたバグの影響による不具合で七十六層に上がったが最後、七十五層以下には戻れないという情報に眼もくれずに、リズが駆けつけてくれた。

 

「上級鍛冶スキルも消失して、三百万コルをはたいて買った店も……人生、終わった?」

 

 壊れた人形のように、何度も「店が……」と繰り返すリズの姿は、見ていてとても痛ましかった。

 

 

 

 さらに――

 

「最前線で事件があったって聞いて、エムさんたちが心配で……いてもたってもいられなくて」

 

 同じく、シリカちゃんも僕たちを心配して駆け付けてくれた。

 幼いながらも儚げな表情のシリカちゃん。そんな彼女に伝えるには忍びないが、残酷な事実を伝えなければならない。

 

「シリカちゃん、聞いて欲しいことがあるんだ」

 

「はい?」

 

「七十六層は一度上がってきてしまうと、もう下の層には行けなくなるんだ……」

 

「え……ええっ!?」

 

 驚き、目を剥くシリカちゃん。

 

「そんな……あたし、中層プレイヤーだからこの階層のモンスターには全然歯が……」

 

「……とりあえず、僕たちのところで何とかなるように手配するよ」

 

「重ね重ね、本当にごめんなさい!」

 

「いいよ、心配してきてくれたんだし」

 

 こうして、リズとシリカちゃんは一先ずとエギルさんの店預かりとなった。

 

 

 

 

 

 ――そして、異変はこの後も続く。

 

「……お兄ちゃん?」

 

「――へ?」

 

 妖精が現れたというクエスト依頼を受けた、僕とキリト君にアスナさん。

 そうして、やってきた森の奥にいた妖精がいきなりキリト君に対して「お兄ちゃん」発言、驚かないわけがない。

 

「ほ、本当に……スグなのか……?」

 

「当たり前じゃない!」

 

「って言われてもなぁ……」

 

「なによ、信じられないわけ?」

 

「いや、スグはこんなに胸大きくないだろ」

 

 何を言い出すか、キリト君がスグと呼びかけた妖精の胸を指し、言う。

 当然、引っぱたかれるまでがオチだが、それでもキリト君は疑念を解かない。

 

「いてて……でも、SAOに途中参加なんてありえるのか?」

 

「まぁ……確かに」

 

 言わんとし難いことは解る。

 もしだったら、脳をスキャンされてNPCに仮想の人格データを埋め込んだと言われた方がまだ説明がつく。

 

「じゃ、じゃあこういうのはどうかな?」

 

 と、アスナさんが無邪気そうに手を上げた。

 

「はい?」

 

「彼女がキリト君の妹さんなら、家族しか知らないような秘密を聞けばいいんじゃないかな?」

 

 悪戯っぽい笑みを浮かべるアスナさん。

 単に訊きたいだけだろうが、面白そうなのでそのまま僕も了承する。

 

「あ、名案ですね、それ」

 

「じゃあ、なにかキリト君のとっておきの秘密ってない?」

 

 アスナさんが聞けば、彼女も先ほどの仕返しか悪戯っぽい笑みを浮かべる。

 

「それじゃあ……うーんとね。 あ、そうだ、お兄ちゃんが小学四年の授業参観の日に……」

 

 と、そこでキリト君が慌てて彼女の口を塞ごうとする。

 

「待て待て、わかった! れっきとしたウチの妹だ! だから俺の黒歴史を掘り返さないでくれぇ!!」

 

 が、それでも彼女は話を続ける。

 

「お母さんが見に来るからってはしゃいじゃったらしくて、教室で……」

 

「やめてくれぇ!!」

 

 こうして、キリト君の実の妹であるリーファさんもSAOにやって来てしまったのである。

 

 

 

 ――そして、さらに。

 

「お兄ちゃん、あれ」

 

 早速リーファさんをアークソフィアに連れ帰り、転移門広場までたどり着いたその時だ。

 

「あそこ、空がなんか光ってるんだけど……」

 

 リーファさんが指差す先、確かに空が光っていた。

 

「……本当だ、何だあれ?」

 

「テレポートの光とは、ちょっと違うね」

 

「うん、色が少し違うよね。それに、あんな空高く転移するなんてないし」

 

「だよな……でも、街中でなんかイベントが起こるわけでもなし」

 

 四人でやんややんやと言い合っていると、空を見ていたリーファさんが叫んだ。

 

「お兄ちゃん、見て!!」

 

 慌てた様子に急ぎ、仰ぎ見れば変色していた空からプレイヤーが転移してきていた。

 

「マズい!?」

 

 示し合わせるまでもなく、叫んだキリト君とともに限界の速度で駆ける。

 その間も、プレイヤーはどんどんと地面に近づいていく。

 一応、安全圏内なのでダメージはないが衝撃は伝わる上に、プレイヤーには意識がなさそうだ。

  

「間に合え!」

 

 キリト君が叫ぶ。

 と、脳内から声が響いてきた。

 

(俺が行く)

 

「パラド!?」

 

 反応する間もなく、体内から粒子が飛び出して、一気にプレイヤーの真下で身体を形成する。

 

「よっと」

 

 そうしてパラドが受け止めた女の子だが、やはり意識はないようで一先ずと宿まで運ぶことになったのだが――

 

「んっ……」

 

「お」

 

 女の子が目を覚ました。

 辺りを軽く見まわして、状況把握に努めた後、パラドに背負われているという自身の状況に気がついて、飛び下りた。

 

「…………」

 

 睨んでくる彼女だが、一応と話は聞かねばならぬと声を掛ける。

 

「えっと……君は空から落ちてきたわけなんだけど、何があったか教えてくれない?」

 

「……私、ここに来た前後のことが全く記憶にないの」

 

「そっか」

 

 何かあった、では済まなそうだ。記憶を飛ばすほどの出来事とは……。

 更に話を聞いていくために、また質問を投げかけた。

 

「じゃあ、君が前までどこにいたかもわからない?」

 

「……その前に、一つ良いかしら?」

 

 と、彼女が半歩退いて言ってきた。

 

「うん?」

 

 思わず疑問で返すと、彼女は警戒しながら恐る恐ると尋ねてきた。

 

「……なんで、あなたたち皆剣なんて持ってるの?」

 

「えっと、それはここがソードアート・オンラインのゲームの中だからとしか答えられないんだけど……」

 

「……ごめんなさい、わからないわ」

 

 記憶がないと言っていたが、まさかSAO事件以後の記憶も抜けているのか。

 どうしたものかと思案していると、キリト君が耳打ちで話しかけてきた。

 

「つまり、彼女には記憶がないってことでいいんだな」

 

「うん、そうなるね」

 

 答えれば、キリト君はユイちゃんに尋ねる。

 

「ユイ、彼女のことで何かわからないか?」

 

「はい、調べてみますね」

 

 目を閉じて、検索を掛けているのだろう唸るユイちゃん。

 だが、それも数秒ほどで終わると少し険しい表情で語り始めた。

 

「終わりました……結果から言うと、この方のIDはつい先ほどログインされたもののようです」

 

「ついさっき? ユイちゃん、どういうことかわかる?」

 

 アスナさんが尋ねれば、また少しの思案の後にユイちゃんから答えが返る。

 

「はい、リーファさんと同じように他のゲームからログインした可能性が高いと思います」

 

 と、ここまでの状況話に混ざれなかった彼女が不安げに語り掛けてくる。

 

「えっと……説明してもらえると助かるんだけど」

 

「ああ、細かい説明は宿に戻ってからするよ……えっと、なんて呼べばいいかな、キャラネームとか?」

 

 尋ねれば、彼女は首を傾げる。

 

「キャラネーム?」

 

「あ、こうするとウインドウが出るからそこに出る名前を読んでくれればいいよ」

 

 右手を振り、実演してみせる。

 それを真似るように覚束ない様子で右手を振った彼女は、ステータス画面を見るのも慣れない様子で時間を変えて名を読んだ。

 

「こ、こうね……シノン、って書いてあるわ」

 

「シノンさんか、よろしくね」

 

 こうして、シノンさんもデスゲーム《ソードアート・オンライン》の地に足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「これが主だった現在のSAO内部で起きた出来事です」

 

 長い説明を終えて、一息つくエム。

 逆に話を聞き終わった黎斗は、ふむふむと話を理解し噛み砕いた。

 

『成程……SAOに迷い混んだ二人のことも気になるが、君の言う《ホロウ・エリア》とやらは興味深いな……』

 

 やはり黎斗はゲームのことにしか頭がないようで、エムはため息をつく。

 と、そんな黎斗の背後から声が届く。

 

『その迷い混んだ二人の方は、自分が保護するように掛け合っとくわ』

 

 声の正体は貴利矢で、エムの不安もこれでどうにか解消されそうである。

 

「ありがとうございます。貴利矢さん」

 

『な~に、良いってことよ』

 

 エムの礼に軽く答えた貴利矢は、早速と動き出してくれたようで階段を下る音が耳に届いた。

 と、そのタイミングで黎斗がさっと告げた。

 

『エム、君は《ホロウ・エリア》について調べてくれ』

 

「え? でも攻略が…」

 

『パラドと分離が可能になった今ならば、攻略はパラドに任せ君は《ホロウ・エリア》の調査を出来るだろう』

 

 攻略の方が最優先だ、そう反論しようとするエムだが、次々と黎斗は指示を出してくる。

 

『君のストレージに新たにゲーマードライバーを1つ送った。パラドに渡したまえ』

 

「ちょっと黎斗さん!」

 

 呼びかけるも反応はなく、どうやら既に黎斗は回線を切ったようだ。

 ため息を吐きながら、身を投げ出すように椅子に深く腰掛けたエムは呆然と呟く。

 

「休む暇、なさそうだなぁ……」

 

 先ほど休むように言われたはずなのに、全く心休まらぬエムであった。

 

 

 




いどうも、後書き兼仕上げ担当(?)のクマさんです。
 今回もまたゲームのタイトル解説! といきたかったのですが、まじめにやってると後四回で終わってしまうので……今回は別な話題で間を繋ぎましょう(笑)

 

 では、何をするか……そうですね、アリシゼーションが始まって、原作を読んでない方なんかは一話の後半パートで頭抱えたかと思われる、キリトによる《ソウル・トランスメーター》の解説をかみ砕いていきましょうか



 それでは、まず《ソウル・トランスレーター》(以下STL)って何ぞ? というところから始めましょう。
 STLというのは、今回のアリシゼーションの作品の舞台であるアンダーワールド(以下、UW)にダイブするためのフルダイブ機器……つまり、ナーヴギアやアミュスフィアと系列としては同列の物です。

 さて、系列としては……などと濁すような言い方からも解る通り、STLは今までのフルダイブ機器とは根本からして異なります。

 今までのナーヴギア等のフルダイブ機器は、脳へ映像や感覚を信号を送ることで仮想世界を表現してきました。
 簡単に言うと、皆さんがプレイしているゲームの画面を直接脳内に送り込んでるといった感じでしょうか。

 では、ソウル・トランスレーターは一体どんな風に仮想世界を表現しているかというと……それがまた別な解説を挟まなければなりません。
 

 時に皆さん、人の心とはどこに存在していると思いますか?
 まあ、それは皆さんが声を揃えて「脳みそ」と答えるでしょうが、実際その通りです。
 で、その脳みそはなにで出来てるかとなり、それが脳細胞ときて、今度は細胞を形成する核となって……とそんな細かいところまで突き詰めなくてもいいですが、一先ずと脳細胞ネットワークと呼ばれる場所に、人間の心があると現在では仮定されています。
 まぁ、仮定なので、答えではないのですがね。

 では、心とは何ぞと最初の疑問に戻るわけですが、極限までその答えに近づいた理論がこの世にあったりします。
 それは《量子脳理論》とかいうんですがね。量子と聞いただけで、分かる方は卒倒もんですがこれがまるで理解できるもんではないときます――ので、必死に噛み砕いていきましょう。

 先ほど軽く触れた脳細胞ですが、実はその中にももう一つ脳があるんです――はい、わけわかりませんね。
 で、それが脳細胞の中の脳が光……光子、つまりは量子なわけです。
 量子というのは、波のようにも振る舞うこともあれば粒子のように振る舞うこともあるという、実に不安定な存在でして、その揺らぎというのが人の心だと量子脳理論では言う訳です。
 馬鹿です、わけわかりません。というか、わかんなくていいです。でもこれで納得してください(暴論)

 それで、その脳細胞の中の光子は《キュービット》という名のデータを記録してるんです。
 つまりは、光子そのものが一つの量子コンピューターとなるわけですね(どういうことだってばよ……)


 ほんと、自分でも何口走ってるかわかんなくなってますが、そういうことなんです。
 あ、量子コンピュータというのは、最近中国で開発に成功したとか噂のあれです、めっちゃ高性能な奴です。
 普通のコンピュータが「0か1」かしか計算できないなら、量子コンピュータは「2²」が計算できるみたいな感じです。高性能ですね(小並感)


 で、やっと本題です。
 その光子の集合体、SAO作中では《フラクトライト》と呼称されているそれに、STLは直接データを書き込むことで、仮想世界を表現しているわけです。
 結局書き込んでる時点で同じだろ、と思われるかもですが、STLによる仮想世界は感覚に情報を打ち込むナーヴギアによる仮想世界なんかとはわけが違うんです。
 魂に直接情報を乗せてるので、少なくとも頭の中ではSTLで表現される世界はまるで現実と変わらないわけなんですよ。


 えっとですね……もう解り易く一言で纏めます。明晰夢見てるのと一緒です。
 あ、明晰夢っていうのは夢と自覚してみる夢のことです。
 まず夢を見る過程というのが、自分の経験したことを蓄積した脳が情報の整理の際に見せるデータみたいなものなので、今までの説明を簡単に言うと、本当に夢を見ているのと何ら変わりないという状態を意識的に作り出すことができるといったことです。


 以上で、全く噛み砕けていないSTLの説明を終わります。
 ――では、皆さん、今度はSAOゲームシリーズ紹介の《ロスト・ソング編》で会いましょう

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