「ふふふ……あのもりくぼは森久保の中でも最弱なんですけど……」 作:べれしーと
(こんにちは。森久保乃々です。突然ですがピンチです。)
ここは私の所属するプロダクションの更衣室。レッスンをこの後に控えているので着替え中なんですが……
「私達で一つの曲を歌えるなんてな……今でも信じられない……」ゴソゴソ
「現実感はありませんが、現実なんですねぇ……」ゴソゴソ
(現実感無くていいのはこの空間ですけど……っ!)
何で男性と女性が同じ更衣室で着替えてるんですか……!
(いえ、これはしょうがない事なんですけど……全然慣れません。)
私、森久保乃々は『男』です。女の振りをする『男』です。
(とある訳があって性別を偽り、アイドルしてます。が、そんな訳があるのは勿論もりくぼただ一人。だから逆紅一点状態です。男女比率が働いてない。)
そうなると困る事。それが今。
(……そりゃアイドル成り立ての頃は、その、らっきーなんて思ったりも、しましたけど。)
ラッキーなんてもう思いません。普通に考えれば分かる事をもりくぼは分かっていなかったんです。
(それは。)
「……乃々ちゃん、着替えないの?遅れちゃいますよ?」
男女同室の着替えです。こんなのむりです。もりくぼの心労が絶えません。心臓が爆発します。
「えっと、その、き、着替えますよ?はい、着替えます。安心して下さい。きちんと着替えますから。」アセアセ
「そうですか……(何をそんなに焦っているんでしょうか。)」
(衣擦れの音とまゆさんと輝子さんの談笑の声が重なり合ってまるでもりくぼイケナイ事をしてる気分に……)
皆さんお気付きでしょうか。実は大きな問題が一つあるんです。普通、着替えの時に体を見られたらバレますよね。男だって。この回避方法、これが大きな問題です。何がバレるのって、それは、ナニですよ……
(二人が出ていくまで下の着替えは待ちます。上をゆっくりと脱いでゆっくりと着る。約数分をかける。遅いけれどでもしょうがない。)
因みにもりくぼは男ですがブラはしてます。胸なんてものはありませんがしてないとおかしいですからね。
「あれ?まゆさんまた大きくなったんじゃないか?」
「その……まあ、成長期ですから。」テレ
「!?!?」
突然の情報に狼狽えます。大きくなった。何が。いや言わないで。もりくぼには分かります。絶対アレです。柔らかい脂肪の塊です。男の希望です。
(み、見たい……でも見てはいけない!何故ならもりくぼは男!異性!見たら犯罪なんですけど!絶対に見ません!見るなんて友達しっ)
「ボノノちゃんもそう思わないか?」
「そうですね……完全に成長してます。」クルッ
「うぅ……は、早く着替えてレッスン行きましょう!」アセアセ
欲望には勝てませんね(白目)。怒らないでプロデューサーさん。だって直ぐ近くにたわわな果実がぁ!!中学生にこの周辺美少女だらけのパラダイスはヤバくぼなんですけどぉ!!
(い、今のは犯罪じゃありません。不可抗力。そう。不可抗力です。この状況に置かれて見ずにいけるなんていう男性だけがもりくぼに石を投げていいですよ。)
まゆさんが先にレッスンルームに行ってしまいました。プンスカしながら。凄く可愛いです。
「私も、あれくらいはいけるよな。うん。いける。だって成長期。何故なら成長期。うん。大丈夫。」
自己暗示をかけるように呟き続ける輝子さん。ちらと表情を伺い見てみると、暗い。僅かな希望を信じるしかないという暗い表情。輝子さんはその表情のまま更衣室から出ていきます。
(女性は胸の大きさで魅力が決まる訳じゃないですよと教えてあげたい……けど女性からすればそういうの関係なく小さいのがコンプレックスな人は多い……つまりもりくぼからは輝子さんに何も言えない……)
「輝子さんは既に充分魅力的なんですけどね。」
さて、私も素早く着替えてレッスンルームに行きましょう。
(にしても心臓の鼓動がやけくぼなんですけど。BPM120なんですけど。あんなん見せられたらふっとーするんですけど。)
本当に、中学生男子は、辛いです……っ!
「みなさん、かわいすぎなんですけどォォォォオオオ!!」
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もりくぼのこの辛くとも幸せな日常はまだ始まったばかりです。
需要と供給を同時に満たす変態は私です。