「ふふふ……あのもりくぼは森久保の中でも最弱なんですけど……」 作:べれしーと
こんにちは。プロデューサーさんの机の下からお送りしてますもりくぼです。先程のレッスンが終わって、なんやかんやもりくぼはここに戻ってきました。彼の机はとても落ち着きますね……♪
(このプロダクション唯一の男性プロデューサーである彼が私の担当をしてくれています。とても嬉しい。自然体でいられますからね。)
と、彼が口を開きました。
「あぁー……俺は羨ましく思うぞ乃々。マジで。そんなラッキースケベ展開を体験出来るなんてさ。」
「もりくぼからすれば申し訳なさで心臓バクバクなんですけどね……」
この会話からも分かる通り、彼はもりくぼが男である事を知っています。
「おいおい。嘘を申すな森久保乃々。」
「なんですか急に。嘘なんて、別に……」
「そのドキドキバクバクは女性への関心の現れさ!」
「そ、それは違います!友達をそんな目で見ては」
「乃々はまゆの見てどう思った?」
「大きい柔らかそう包まれたい…………はっ!!」
「ほらな?お前もこちら側だ。」ニコニコ
「プ、プロデューサーさんみたいな変態と一緒にしないでほしいんですけど!!」
「は、は!?俺は変態じゃねぇからな!?」
「小梅さんと幸子さんを厭らしい目で見てるの知ってますよロリコン。」
「何で知っ……てねぇから!ちげぇから!」
「いえ、合ってます。違いません。男子中学生の観察眼を嘗めないで下さい。思春期くぼに敵なし。」キリッ
「それ言ってて悲しくなんない?」
「とても悲しい。」
いつも通りの男子トークが続きます。
……プロデューサーさんは大人だから男子ではない、という野暮なツッコミは無しの方でお願いします。
「だよなー……友達だから厭らしい目で見たくない。けど男の本能がそれを邪魔する。そんな卑しい自分が気持ち悪くさえ思えてくる。そうだよな……?」
「はい……そうです……理解してくれてありがとうございます……(涙目)」
「俺もそうだからだよ。信頼しあえる仲間としてやっていきたいのにふとした瞬間のあどけない女らしさに屈服しそうになる。一回りも下の少女を性的な目で見たくなどない……!ふざけるな男性本能……!」
「分かります……分かります……特に性的な目で見たくないという部分分かります……(涙目)」
「…………なあ、森久保。」ガシッ
彼は急に椅子から立ち上がり、もりくぼの前で屈みました。そしてもりくぼの手を掴んで、真っ直ぐな視線をこちらに向けてきます。目は、逸らさず、私も同じように、見つめ返し。
「俺ら男二人だけ。あまりにも崖っぷちで危なくて酷い道だ。周りが全員異性で、自分が自分に惑わされる。心が揺さぶられる。自己嫌悪に陥る。男であることに嫌気がさしてくる筈だ。けれどもそんな時はこうやって話し合おう。思いの丈をぶちまけあって、発散させよう。惑いを耐え抜くため、揺さぶりに動じなくなるため、自己嫌悪をしないため、弱い自分をここで曝け出すんだ。仲間がいると心強いからな。互いに慰めあって、労って、背中を押して、頑張ろう。俺ら男二人だけ。だからこその固くてほどけない厚い友情だ。この惑いの道を、一緒に協力して攻略しよう!」
「…………」ポカーン
「……悪い、不適切だったかもしれん。」
「熱い……」ボソッ
「え?今何か言っ」
「熱いです!プロデューサーさん!」ガシィッ
「あえ?」
「そうですよ!私達二人で乗り越えれば良いんです!この悩みは確かにそれで解決していきますね!流石プロデューサーさんです!協力もするに決まってます!はい!」ブンブン
「おうおうキャラ崩壊と腕振りを止めろ~嬉しさを抑えろ~」
「ごめんなさい!」フンスフンス
「興奮冷めやらぬ……あの……マジで落ち着いて……?」
「あ……ご、ごめんなさい……落ち着きます、はい。」
「うん落ち着いたね。よし。オッケー。」
「おけくぼですけど。」
「……取り敢えず、これからは協力体制で行くぞ。何か女性関係の事情で困ったり自分が嫌になったりとそういう事があったら二人で話す。これも大丈夫か?」
「…………はい。」
渾身の○○くぼネタをかわされました。訴訟ですねこれは。
「……頑張ろうな。一緒に。アイドルも、誘惑にも。」
「うん。」
×
(『固くてほどけない厚い友情だ』ですか。)
「えへへ。嬉しいです。」
初めて出来た男友達。一生大事にしなければいけません。
「あれれ?乃々ちゃん嬉しそうですねー?何か良い事ありましたか?」
彼が仕事でこの部屋を出て、代わりに入ってきたまゆさんがもりくぼにそう問いました。顔に出ちゃってますか。
(どうしよう。初めて男友達が出来たからとっても嬉しくて幸せなんて言えないし……)
「えっと……その…………ひ、秘密、です。しーなのさー……なんて。」///
秘密です、と言う時プロデューサーさんの言葉を思い出してしまいまた嬉しさで顔が赤くなります。しょうがないんですこれは。き、気持ち悪くなんてありません……
「…………プロデューサーさんですね?」
「な、何で分かるんですか!?」
一言も彼の事を話していないのに……
「ああ、やっぱりですかあ……ごめんなさい。まゆ、ちょっと用事を思い出しちゃいました。少しの間空けますねぇ。」
「え?あ、はい。」
彼女はそそくさと部屋から出ていきました。
(仄かにまゆさんの目が暗くなっていたような……気のせいですかね?)
×
もりくぼのこの辛くとも幸せな日常はまだ続いていくのです。
この世界では、小梅と幸子が人気アイドルでアンデスの三人が新人のアイドルって感じです。