「ふふふ……あのもりくぼは森久保の中でも最弱なんですけど……」 作:べれしーと
これは男の娘モノです。『男要素』を念頭に置いておいてください。
今回の話は、まあ、もりくぼにとって一番嫌な話になります。嫌悪しているとかじゃないんですが兎に角嫌な話です。苦手と表したほうがもしかしたら近いかもしれません。
「おはようございます。」
プロジェクトルームの扉を開けて入室しようとします。
(見ると、この部屋に先客がいるみたい。……あ、この二人ですか。嫌だなあ。)
嫌いという訳ではありませんが。
「おっはよー乃々ちゃーん♪早速だけどもう我慢出来ないし、いいよね!登らせろー!」ガバーッ
「ひぃ!?」ガシッ
彼女は棟方愛海さん。同じアイドル仲間の方です。そして、もりくぼがちょっと苦手な人第一です。
(何故苦手なの、って、そんなの、決まってるじゃないですか。)
「んん……この平坦な感じが新鮮で良い……やはり大きさじゃないんだと感ぜられるね……100点……」
「……あの。」
「なにかね……?」
「男の胸なんて価値ないと思いますけど。」キッパリ
「そうじゃないんだよ!!」バン!
「ええ……」
「お山とは、複雑なんだ……ただ大きく盛り上がっているとか小さく膨れているとかそんなものは関係ない……一流の登山家は山の大きさで区別しないの。」
「は、はあ。」
「乃々ちゃんは所謂女装男子、でしょ?これはね、あたしにとって貴重なんだ。希少なお山なんだ。」
「へえ。」
「果たして、平坦な野原をイメージや観念だけで山だと定義できるのか。無から何かを感じとれるのか。」
「……」テクテク
「流石に一流だと自負しているあたしでも判断、評価は難しかった。そのお山、平坦につき……っておーい?」
(男のもりくぼからもお山を感じるという支離滅裂な思考、発言を繰り返すからですよ。)
逃げたい。でもここでプロデューサーさんを待たなければならない。逃げられない。
「すんすん……およ?乃々ちゃんきてる?」ガバッ
睡眠中だった先客のもう一人の方が目覚めました。出来ればそのまま寝てて欲しかったんですけど。
「お、おはようございます……」
「んー。おはよー。やっぱ乃々ちゃんの匂いだったんだねえ。」
彼女は一ノ瀬志希さん。先輩アイドルです。そして、もりくぼがちょっと苦手な人第二です。
「もー、そんな遠くで怯えてないで。こっちにちこうよれ?」クイクイ
「う、うう……」テク,テクテク
「よーしよしよしよし。従順だねー。お利口さん。」ギュー
「(うわー!!当たってます、当たってますけど!!お山と登山家はブルジョワジーマルクシズム!!(意味不明))」
「すんすん……うん……不思議。男の子と女の子の両方の匂いがする。少しだけ刺激のある汗の香り、ふんわりとした刺激の弱い汗の香り、力強い香り、淑やかな香り。癖になりそ。」ギュー
「(ええ……変態なんですけど……)」
「……ふふっ。あー……まあ、しょうがないかー。」ニヤニヤ
「?」
「あのね、乃々ちゃん。残ってるよ。」
「?何がですか?」
「__の匂い。」コショコショ
「……!!!!!!」カアァッ
「んふっ……いやー、男の子だねー?」ニヤニヤ
「あの!!え、えっと!!その違くて!!違います!!も、もりくぼは!!」アワアワ
「アイドルの誰かで?」
「…………ち、ちが」
「そっかー。凛ちゃんとか?」
「だから違いますってば!!そ、そもそもそんな事してないです!!」
「別に人間なんだし良いと思うよ!恥ずかしがらないで!それにアタシがギリギリ分かるレベルだし気にしなくてもバレないよ!大丈夫!」
「あ……う……うぅ……///」
「まゆちゃん?輝子ちゃん?ねえねえ、誰?」
「や、止めてぇ……あうぅ……」
「あはは。もしかしてまさかのアタシとか?それなら確かに言えないよねー!」
「………………」
「……ありー?そっかー。これは、まあ、困らせてしまったねー……ごめん。」
「違います……違います……何かの間違いなんです……」ボソボソ
「んー……」ギュッ
「っ……」
「ハスハス……乃々ちゃん緊張してるね。ドキドキ。」
「こ、こういうのは」
「駄目?今更?」
「っ。」
「……てゆーかさ、『女の子』同士なんだしいいじゃん。それとも、なに?本当に間違いでも犯しそう?」
「ちゅ、中学生にこれはヤバい。特にふにふにのおっ」
「本音出てるよキミ。」
「……中学生にこれは厳しいんですけど。」
「どんなシチュエーションを想像して慰めてたのかにゃ?」
「え?」
「アタシに攻められて成すがまま?それとも逆に攻めて思いのまま?ラブラブ?嫌々?サディスティックに?マゾヒスティックに?」ギュー
「ちょ、」
「これまでやりたい放題やっちゃったからね。今日は、キミのしたい事をしよっか。ほら。何でも言って?」
これは危険です。掌で転がされてます。でも、
「…………じゃあ、言いますけど。」
やられっぱなしじゃ、男のプライドが廃る!
「うん。」ギュー
「顔真っ赤ですよ。」
「……バレたか。」カアァッ
「物凄く可愛いです志希さん。めっちゃタイプです。好き。」
「止めてぇ……くうぅ……立場が逆に……」
「(なんかチャンスですし今までの腹いせでもしますか。)志希さん。もりくぼのやりたい事聞いてくれるんですよね?」
「いいよ……何でもかかってこい……もうアタシは負けな」
「プロデューサーさんにラブラブ恋人の如く甘えてきましょうか。(乙女モードの今なら恐らく……)」
「ウソダー」シロメ
「(勝った。)早速行きましょう。ほら。立って。」
「ハナセェ!!イヤダァ!!シニタクナイ!!」ジタバタ
「触ってないんですが。」
「はい。」
(……よし。上手く誤魔化せました。このまま有耶無耶に)
「そういえば乃々ちゃん。グラビアの写真集頼まれた通り持ってきたけどどうすれ」
「うわー!!」
「!?」
(出来なかったァ!しかも悪化してるゥ!愛海さん間が悪すぎですゥ!)
「え?誰の?」ニヤニヤ
また逆転してしまった……!くそぅ……!
「い、言わなくてもいいですから!」
「先輩だよ?言うことは聞いておいた方がいいんじゃない?」ニヤニヤ
「こんな人は敬わなくていいですから。その事は言わずに、ね?」
「ひっでぇ。」
「志希さんのやつです。」ニヤニヤ
「う、裏切りましたね……?」
「ごめん。面白そうだったから。んふっ。」
「もう志希さんのお山の話止めます。」
「ああっ、それは止めてェ。」
「やだ。」
「幸子さんのお山で、どうか。どうか御慈悲をば。」
「……吝かでもありません。」
「やった。」
「素晴らしいほどのゲスだね君達。」ヒキッ
「「そんな誉めないで下さい……///」」
「そこは照れるところじゃなくない?」
×
もりくぼのこの辛くとも幸せな日常は緩やかに続いていきます。
「ねえ、勝手に終わらせないで?あたしのグラビアでなにするつもりだったの?ねえねえ?ナニするつもりだったの?」
「」
補足事項…この話に出てきた三人は仲が良いです。特に乃々と愛海は『話が通じる者』同士、ほぼ親友と言って相違ないレベル。毎日お山を語らっています。しかし乃々からすると自分のお山も狙ってくる愛海が少し苦手だと思っている……なんて勝手にレッテルを貼っている状態。心の奥底では結構それも楽しんでます。