「ふふふ……あのもりくぼは森久保の中でも最弱なんですけど……」 作:べれしーと
キモい
リクからだいぶ逸れてしまった
これら三つの理由で没案になりましたこの世界をどうぞ堪能してください(ヤケクソと投げやり)
今日は総アイドル合同レッスンの日。間近に控えたライブのため組まれた数あるレッスンのうちの一日です。
そのライブでもりくぼはアンダーザデスクとインディヴィジュアルズの一員として出演することが決まっていて、演者毎に決められたレッスン日の今日がその割り当てられた日だったという訳なんですが……
「らんらんまた成長したんじゃなーい?」スリスリ
「ひゃっ!い、如何ような事を!」
(未央さんに蘭子さん。)
「文香さんの貸してくれた小説面白かったです。あんな世界観初めて見ました。」フンスフンス
「アシモフ、いいですよね……(恍惚)」
(加えて、ありすちゃんに文香さん、)
「ナナ先輩大丈夫すか?目ェ死んでますよ?」
「……寝起きが辛いだけです。」ズーン
(心さんと菜々さん、)
「美穂ちゃん、寝癖寝癖!」ボソボソ
「え!?……はっ!」ガバッ
(卯月さん、美穂さん……)
ガヤガヤワアワアキャッキャッウフフ
まさしく、女子。
(孤立なんですけどォ!)
紅一点とはもりくぼの事です(違います)
×
待って下さい、ほんとに待って下さい。これはヤバいです緊急事態です。計アイドル30名程で着替えてますがヤバいです。
だってもりくぼ男ですよ!?
「十四歳にしてはご立派なものをお持ちで~?」
(未央さんも充分にすんごいもの持ってるじゃないですかァ!)
悪い。とても悪いどこにとってかは言いませんが。
「そ、そんなことないもん!……ふ、普通だもんっ!」
(そんなことありますぅ!スタイル良すぎですぅ!一体何人の男子をその魅惑のボディーで堕落させてきたんですかねェ!?)
蘭子さんを堕天させたい。どうやってかは言いませんが。
(それにしてももりくぼ今日死ぬんでしょうか。これはこのまま悟りを開ける勢いですよ。)
美少女が同じ部屋にて着替えをしながらキャッキャッウフフしてるんです。男子中学生からすればあまりに衝撃的で仏陀を幻覚しそう。
それに今を緊急事態と形容しているのはもう一つ理由があります。既知の通り、
「乃々は見ちゃ駄目。ロッカーの方向こうか。」グイグイ
「桃源郷がァ!」ジタバタ
「乃々ちゃん?」ゴゴゴ
「ゴメンナサイ」
もりくぼを男だと知っている人の存在です。今のこの場所で言えば凛さんとまゆさん。
というかいくらなんでもこの仕打ちは酷くありませんか!?こんな素晴らしいセカイを見届ける事が許されないなんて緊急事態にも程がありますよ!?(開き直る男子中学生の図)
「全く……乃々はもうちょっと理性的だと思ってたんだけどな。」
まるでお母さんが子を憐れむ様に言います。
「じょ、冗談ですよ冗談……まさか本当に覗こうだなんて思ってないですし……」
「ならそのままロッカーを鑑賞してて下さいねぇ。」
声が冷えきっています。-273.15℃です。アブソリュートゼロです。
「はい……」
彼女達二人は周りの人らの着替えが終わってからもりくぼを自由にするつもりらしいです。どうやらレッスンまでまだ三十分程は猶予があるそうで。
(だからといってこの拘束は一体。もりくぼの自由権は果たして何処へ。何故もりくぼにだけ日本国憲法が適用されてないんでしょうか。乃々は人に非ずとか言いたいんですかそうですか。へー。)
ああ、ロッカーのぽつんと佇む感じ、まるで現状のもりくぼみたい……ふふ……
×
ロッカーについて論考し早数分。事件が起こります。
「ノノ?着替えないのか?」
(従ってロッカーとは即ちリベラリズム、換言して自由主義……ん?)
美玲ちゃんがいつまで経っても仏像の様にロッカーを見つめているもりくぼを不思議に思ったのか、そのような疑問を呈してきたのです。
「あ、その、着替えます。もうちょっと後で……」チラ
近くにはやはり凛さんとまゆさん。ちょっと二人とも圧が強すぎませんか。血の気が引きそうです。
それとは別にもりくぼは横目で美玲ちゃんを見ないように注意します。その……ユニットなので、ね?そういう目で見るのは、ね?
「マユとリンは?着替えないのか?」
「え?ああ、着替えるよ。ね、まゆ。」
「はい。」
ですから威圧感。二人からくるプレッシャーが。抑えて(震え声)
「でも後五分で集まらないと遅れるぞ?」
「「「え?」」」
ぽろっと発された、思いもよらぬ言葉に驚きます。
「7:30からじゃなかったっけ?」
凛さんが問います。
「7:10に変更されてただろッ?」
美玲ちゃんによる、簡潔な返答。
「「「…………」」」
その無慈悲な答えに押し黙るしかなかった私たちの行く末、いかに。
完。
…………なら、良かったんですけど。
×
(絶対に見ないでよ乃々?分かった?ねえ?)
(わ、分かりました。)
(まゆからもお願いしますよ?)
(分かりましたから早く着替えましょう!?)
大半のアイドルが既にレッスンルームへ向かった頃。もりくぼ達は漸く着替え始めました。
大半とは、つまり、まだ少数の事情を知らない女性の方々がいらっしゃるという訳で。
その方々に気づかれないよう、部屋の角で私達は着替えます。
壁側にもりくぼ、その前に凛さんとまゆさんのお二方が配置されているという図です。
上手にもりくぼを周りの人達から見えないよう隠してくれて感謝の限りです。一応、自分が男であること、バレたくないので。というかバレたら社会的死に変わりないので。まだもりくぼ、死にたくないので。
と、しかしこれに問題が発生しました。
「……乃々さんは何故後ろを向いて着替えてるのですか?」
隙間からもりくぼの姿が見えていたみたいで、それがおかしく見えたのでしょう。
「それに凛さんとまゆさんもそんなにくっついて、しかも乃々さんを隠すように。」
文香さんからの鋭い指摘。これもおかしいらしいです。……まあ確かにおかしいですよね。
(いえ、冷静に分析するんじゃなくて。)
文香さんだけでなくありすさんや菜々さん、心さんらの奇異の視線を犇々と感じます。
ヤバい、と思い、取り敢えずジャージを巧い具合に掲げて身体を隠し、前を向きます。
(なんこれ。滑稽なんですけどもりくぼの姿。)
服を上半身の前で広げているもりくぼ。なんこれ、なんですけど。
しかしそんな事より滑稽、というか、大変な事が起きました。私が前を向けば当然そこには焦った凛さんとまゆさんのお顔と身体がある訳でして。
(普通に、見てしまっている……お二方の御姿を目に焼き付けてしまっている……)
凛さんは現在上半身に服を着用していません。深い蒼色のブラのみでした。胸が小ぶりという、そんな些末事は気になりません。恥ずかしさに肌を赤くしているその事実がそれを忘れさせるのです。下はまだスカートを履かれています。
まゆさんは既に下半身をレッスン用のズボンで覆ってます。しかし上には一切手をつけていません。つまり今から脱ぐという訳です。中身の分からない宝箱を開けるような、純粋で、子供っぽい、そんなワクワクとする感情がもりくぼを支配します。
(これは後で殺されますね。)
もりくぼは殉教を瞬時に悟りました。まあ仏陀であり仏像である私ならそれも簡単です(混乱)
(滅茶苦茶ドキドキしてて心臓バクバクですがそれが前向きな理由なのか後ろ向きな理由なのか判別つきません。)
ただ仏陀にあるまじき煩悩だらけの男子中学生に分かるのは真っ赤っかな二人が可愛いという事実だけ。
ふと、まゆさんが深呼吸をしました。
(どうやら、行動を起こす気で……?)
もりくぼの予想は正しく、二人は少しずつ距離を空けていき、その空いた空間からもりくぼがはっきりと見える所まで近づいて……
次の瞬間、まゆさんは着ていた服を大きい挙動で脱ぎました。それでその空間を阻んだのです。
(深紅のブラだ。)
宝箱の中身は無限に近い、素晴らしいものでした。まゆさんは、これ以上ないほどに顔を赤くさせながら服を脱ぎ、その山脈を顕にしました。
男子中学生でごめんなさい。思春期でごめんなさい。そう思いながらまじまじと二人のその麗しい御姿を目に焼き付けていると、まゆさんが、
(乃々ちゃん……は、早く着替えてぇ……///)ボソッ
そう、発言しました。……は?
(かわいすぎてむりくぼなんですけど。)
恥辱に頬を赤らめ、瞳を潤ませ、その瑞々しい口唇で懇願し、そしてその艶やかな一声はもりくぼのみに捧げられたモノ。
(乃々……早く……///)
凛さんもまゆさんに便乗して発言します。
屈辱に身を震わせ、目を伏せ、その強かな口唇で懇願し、そしてその弱々しい一声はもりくぼのみに捧げられたモノ。
(どうしましょう。男子中学生としてはこのままの状態を保持して鑑賞を続けたいんですが……)
レッスンに遅れたらトレーナーさんに怒られます。それはトレーナーさんとプロデューサーさんに迷惑なので避けたい。
そもそもこの天国をじっと視聴し続けてたら多分料金とかが発生すると思うので要望通り着替えるとしますか。
け、決してお二方に嫌われたくないだとか、もりくぼ自身も流石に恥ずかしくなってしまってビビったのだとか、そういうんじゃありませんけど……
×
その後のレッスンには一応間に合いました。けれども私たち三人は終始赤面だったので周りの方々に不思議な視線を向けられました。そしてあれを見ていた心さんには「女の子同士なんだしそんなに恥ずかしがらなくても」と言われました。ごめんなさい。もりくぼは男です。
蛇足として、凛さんとまゆさんにはこのレッスンの日から数えて二日の間だけ口をきいてもらえませんでした。世界は残酷ですね……(元凶)
もりくぼのこの辛くとも幸せな日常は波瀾万丈に続くのだと思います。
if世界線はギャグに走りがち。