「ふふふ……あのもりくぼは森久保の中でも最弱なんですけど……」 作:べれしーと
朝照りも強く、健やかな快晴のとある一日のこと。
仕事やレッスンも無く、椅子に座った事で地面から浮いた足をブラブラと揺らしていた森久保にプロデューサーさんが言いました。
「今日の体調はどうだ?大丈夫か?」
彼からです。
彼の方から話しかけてくれました。
たったそれだけの、こんな些細な事が嬉しくて。
ああ、どうしよう。森久保だけを心配しているプロデューサーさん。今、この時、この瞬間は。
(あなたを独り占めできるかもしれない……)
早朝の事務所には人気なぞ存在していません。
その幸福の計りし得ない重要さ、森久保以外に理解できるなんて有り得ないんですけど。
なんでもいい。
小さな事でいいからもっと近づきたい。
こうするしかありません。
「……ちょっとだけ、辛いんですけど。」
常套手段。
嘘。
全くの偽り。
でも許して下さい。
素直になれない愛でごめんなさい。
森久保の全部があなたを求めてるんです。
仕方ありませんよね。
このチャンスを無駄にはしたくないのですから。
「なので、いいですか?」
「ああ……まあ、二回目だけど、いいぞ。ほら。」
そう言ってプロデューサーさんはおおらかな態度で膝を明け渡します。勿論、私だけの為に。
それだけで私は幸せでした。
しかし周りに他の誰もいないという事実も相まって、彼のその行動に、森久保は更に、痺れる程の快楽を感じました。
(森久保を気遣って、膝枕。)
私だけの特別。オンリーワン。
嘯いてでも欲しくて、何を犠牲にしても欲しくて、どれほどを無為にしても欲しくて……堪らない。我慢すらきかない。
その一つが手に入ったんです。
(好きです……大好きですプロデューサーさん。えへ、えへへ。)
にやついている顔がバレないように手で隠す。恥ずかしいですし……
なんとか表情筋を元に戻して、自分の頭を彼の太腿にそっとのせました。けれども、ふわりと香った柔軟剤に森久保はまた敗北するのです。
目を瞑り、密かに静かに深呼吸。
心が落ち着いて、そしてざわつきます。愛しくて愛しくておかしくなりそうだと。
凄く気持ちいい。麻薬のようです。思考が蕩けてままなりません。このまま、身を捧げてしまいたいと衝動的に思ってしまうくらいに。
夢想してしまう。プロデューサーさんとの衝動性を。
(そうなったら、森久保はたぶん……)
……ふと、柔らかい感触が髪を通り抜けていきました。
頂からするすると下降していくその感触。撫でられていたのだと気付くのに時間はあまりかかりません。
お母さんに髪を鋤かれる感覚にも似ていて、うつらうつらと、段階的に眠気が襲ってきました。
いつの間にか熱くなっていた身体が特にそれを誘引していたようです。
いいかもしれません。
(この熱が、浮いた熱が……あなたへの慕情。)
そう解釈してみると、またやはり、脳が麻薬に犯されていくのです。
ならばと思い、その感情の赴くまま、森久保は多幸感とプロデューサーさんに包まれて。
(おやすみなさい、森久保だけのプロデューサーさん。)
大好きな…………
法律の定むるところによると、森久保は女神らしいです(意味不明)