「ここは…どこ?」
分からない。何もかも。
ここはどこ? 私は誰だ? いつ?
分からない。
あぁ…
でも、私は何か大切なものを忘れている。
でも、それが何かが、一切分からない。いや、この表現の方が正確か。
“覚えていない”
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私が何も分からないまま、数日経った。
そして、見た。
泣きそうな、彼の顔を。
私は思った。
何故? と。
当たり前だ。記憶がないのだから。
彼が何故顔を歪め、こっちを悲しそうに見ているのか?
私は言った。
「ごめん、ね? 何も、分からないの」
と。
彼は、
「そうだよな…」
と言って、かなり無理な作り笑いをした。
いくら、私の記憶が無くても、さすがにこれは分かる。いや、分かってしまう。本能的に感じる。
“前の”私と“今”の彼は、何か特別な関係、だったのだろう。
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彼は、ほぼ毎日私に会いに来てくれた。
私は、嬉しかった。
何も分からないままの私の前に、ずっといてくれたから。
でも、それ以上の感情は抱けない。いや、抱いてはいけない。
何故? 私の感情が問う。理性は答える。今のまま中途半に付き合う、好きになると、今後の彼との関係に支障が… と。
中途半端に何もわからず、中途半端に彼を好きにると、バッドエンドしか迎えない。
そう、理性は答える。
相反する、感情と理性。
それは、私の心に負荷をかけ…
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私は、何も分からないまま、病院、なる建物から出してもらった。
そこで、心配そうにこちらを見つめる、一組の男女がいた。
私は言った。いや、言ってしまった。
絶対に言ってはいけないことを。でも、それを止めれる理性など、もう私には存在しない。
そして残ったのは、悲しさと、泣き崩れる男女だった。
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あの日から、どれ程の時間が経ったのだろう。
私は、完全ではない(彼との関係は全く)が、記憶を取り戻した。
そして、彼(逸樹/いつき)と、デートしてる。
懐かしい。
ここである違和感に気づく。
私は何故、そんなことを知っている?
懐かしい? 単純に、デートに関することではなく、ただ街並みを見て懐かしいと思っているのでは?
いや、違う。
そう思うと同時に卵のから割れる感覚にあう。
これは… ひび割れているのは、私の記憶?
そう…なのかも知らない。
何より“記憶喪失”だったのだ。
こんな記憶、単純に、想像で作られたのでは?
…
……
………
私は思った。
例えそれが想像だろうとも、彼との記憶? が戻ってきたのだ。
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私は本当の笑顔で、彼の方に顔を向け、記憶が戻ったら言う、彼と約束した“あの言葉”を言うことにした。
「好きで…」
しかし、その幻想は、閃光により破壊される。
えっ!?
大きな音と共に、彼の頭が、ザクロのように爆ぜた。
その事を認識するよりも早く、あるいは同時に、私の思考が吹き飛んだ。
そして、美しい光りが、“私”を削っていき…
私はーーーー
誰だったんだろう?