前回までのおさらい
イッセーは駒王学園にいるもう一人の上級悪魔ソーナ・シトリーのところに向かう。
イッセーの話を聞いたソーナは要件を承諾する。
そんな中、ソーナは大公からの依頼のはぐれ悪魔の討伐に協力してほしいと頼む。
イッセーはそのことに協力することにした。
目的地に到達した一向はイッセーと同じクェイサーであるはぐれ悪魔のクロアに出会う。
イッセーはクロアの言動や考えが同じクェイサーとして許せなくなり、クロアに戦いを挑む。
イッセーは銀の特性を利用し、クロアの塩素攻撃を物ともせず、クロアを討ち取る。
そんなイッセーの強さを見たソーナは自分の眷属を鍛えてほしいと懇願する、
イッセーはソーナの真っ直ぐな願いに鍛えることを約束する。
三人称SIDE
朝5時、まだ朝日が出始めたころ。
そんな中、とある敷地で数人の男女が体を激しく動かしている。
「はぁ!」
「甘い」
そこにはイッセーとシトリー眷属の姿があった。
イッセーはソーナに頼まれシトリー眷属を鍛えることになった。
クロア討伐から、4日が立った。
それ以来、朝と放課後の少しの時間だが鍛えている。
グーンと伸びるタイプはいないがそれでも指摘されたところは直そうとして
失敗が少なくなっていった。シトリー眷属の全員は努力の天才であった。
『女王』、『騎士』の場合
イッセーは刀を使う巡と椿姫に実戦形式での訓練を行った。
最初はイッセーに注意されてばかりだったが二人とも指摘されたところを直そうと必死だった。
「巡。攻撃するときにフェイントを入れろ。『騎士』のスピードを活かした戦いは
もっと相手に攻撃を悟られないことが大切だ。
例えば、手を使って相手の重心をずらして混乱させるのも兵法の一つだぞ」
「はい、兵藤君」
「椿姫は『女王』だけあってバランスがいい。
だが、まだまだスポーツ剣術だ。本気で敵を殺す剣術にはなっていない。
本気で強くなりたいなら敵を殺す斬術を知らないとこの先強く強くなれないぞ」
「わかりました。ですがすごいですね、兵藤君は。
槍だけでなく、剣も扱えるだなんて、他に武器を扱えるんですか?」
「ああ、それ以外に大鎌、銃、鉤爪、色々な武器での戦闘訓練を受けてきた。
よく使うのは剣、槍、大鎌、だな。
まあ、武器よりも徒手空拳の方が得意だけどな」
「それは・・・すごいですね」
椿と巡は驚く。訓練を受けてからイッセーの剣術を見てきたが自分たちの数段上だとわかった。
それなのに格闘の方が得意だと言う。
「驚くな、悪魔になって数年も経っていないお前たちと物心ついた時から訓練を受けてきた俺とでは
スタートが違うんだ。俺と違ってこれから何千年と生きるお前たちが悩むな。
今は少しずつでいいからつよくなればいい」
『戦車』の場合
『戦車』の訓練は常に体の打ち合いである。
イッセーが由良の攻撃を受けたり、由良がイッセーの攻撃を受けたりなど
兎に角常に体をぶつけ合い、体に覚えさせるの繰り返しだった。
「くらえ!!」
「・・・脇が甘い」
だが、最も得意な徒手空拳だけあってイッセーは相当な手加減をしている。
だから、訓練を始めてから一度も由良の攻撃は当たっていなかった。
「もっと力を抜け、お前は空手や投げ技とかができるんだ。
力を出すときは相手に触れる一瞬と攻撃を受け流す時でいいんだ。
無駄な力は相手に隙を生み、『戦車』の打たれ強さがあっても
実力がかけ離れた相手には意味がないぞ」
「ああ。・・・しかし、また一発も当てられなかったな。
スゴイな兵藤。動きにまるで隙がない。どんな訓練を受けてきたんだ」
「それはお前の勘違いだ。俺の動きにはまだまだ隙がある。
俺と実力が近い相手なら一瞬で見つけることができる。
だから、地味な基礎トレーニングが勝機を作るんだ」
イッセーは一つずつ指摘しながらも基礎が大事だということを伝える。
由良もイッセーの言うことに納得してイッセーの動きを盗もうと必死でいた。
「まだ、時間がある!もう一本頼む!」
「・・・いいぞ」
『兵士』、『僧侶』の場合
魔力が使えないイッセーが教えられることは身体能力の向上だけである。
よって、ただ只管に筋トレと走り込みの繰り返しである。
「おい、匙、情けないぞ。男が女に体力で負けるとわ」
「う、うる・・・さいっ!・・・ッうぶ!!」
ぶっ倒れながら吐き気を我慢する匙。
彼は悪魔になって日が浅いこともありまるで体力がない。
良くて一般人に毛が生えた程度である。
それでも同じ『兵士』の仁村、『僧侶』の草下と大体同じくらいである。
「たかが町内3周するだけでへばるな。この町はそんなに大きくないぞ」
「おまえな・・・じ、自分でやってみてから言え!」
「文句を垂れるな雑魚悪魔。今のお前らじゃ、そこらへんのはぐれにも殺されるぞ。
グレモリー眷属みたいな戦闘向けのチームじゃないんだからな。
どっちかというと、サポートチームだ」
「テメー!喧嘩売ってるのか!!」
「元ちゃん!落ち着いて!」
匙を止める草下。
イッセーは半眼で匙達を見る。
「生憎、俺はおまえたちみたいなこーんなに弱い悪魔は会うのが初めてでね。
俺の友も訳ありの半悪魔だが初めて会った十歳の時でもおまえらの二十倍は強かったぞ。
一年もまともに鍛錬もしたことない奴が弱音を吐くな」
その言葉に沈む匙達。
イッセーは気にせず話を進める。
「・・・まあ、おまえらにはいい『王』がいるからな。
シトリーには冷静さと判断力がある。
おまえたちの力を活かし、どのように勝利するかを最後まで考える姿勢。
グレモリーの我儘姫よりは『王』の器があることは確かだ。
だから、その時のために力を蓄えておけ。
・・・勝利のための無限の可能性を広げるために」
「・・・元ちゃん、がんばろ」
「・・・元士郎先輩」
「・・・会長のためなら、どんなことでも耐えてやる」
それから幾日かすぎとある日の放課後
生徒会室にソーナとイッセーがいた。
ソーナは仕事をし、イッセーはソファーで本を読みながらくつろいでいる。
「兵藤君、訓練の件、ありがとうございます。
少しずつですが全員が強くなっているのが私にもわかります」
「人間が教えてやれることなんか肉体方面だけだからな。
まあ、いい暇つぶしにはなっている。・・・なんかあったのか?」
イッセーはソーナの顔を見て尋ねる。
そんなイッセーにソーナは
「・・・ええ、実はリアスのことでちょっと・・・」
ソーナが言うには今、リアスはフェニックス家との婚約の件でもめている。
現グレモリー家当主と兄であり魔王であるサーゼクス・ルシファー、
そして相手側であるフェニックス家現当主が決めた、言わば政略結婚である。
それにリアスは反対しており、相手側の婚約者であるライザー・フェニックスと
婚約をかけて非公式のレーティングゲームをすることになった。
それで今は学校を休みグレモリー眷属は山籠もりをしている。
「・・・で、聞いてみた感想はどうですか?」
「無理だろ」
「そうですよね」
結果は互いにわかっている。決定的な根拠があるからだ。
一つは眷属の問題。
相手のライザー眷属はレーティングゲームを公式の試合で何度か経験している。
そのうえ、眷属は全部で十五人。グレモリー眷属は王を合わせて五人。
決定的な戦力差が有りすぎる。
二つ目は相手側がフェニックスであること。
その名の通り不死身の能力を持つために簡単には死なない。
魔王並みの攻撃を当てるか、精神的に追い詰めて倒す以外ないのである。
だがリアスにはどちらもすることはできない。
「友達を心配なのはわかるが、どうすることもできないだろ。
戦いを見てたがどいつもこいつも弱すぎる」
「兵藤君なら、フェニックスに勝つことはできますか?」
「もちろん。大体、本物の聖獣フェニックスと違って追い詰められて死ぬんならそれは不死身じゃない。ただの再生能力だ。それを不死身と言うならば悪魔側は大げさすぎる。
・・・なあ、シトリー。頭の良いおまえならわかるよな、・・・回復と再生の違い」
ソーナは暫く考える。
「・・・ッ!!・・・なるほど、そう考えるとフェニックスも恐いとは思えませんね」
「まあ、教えたとしても意味がないがな。
だが、グレモリー眷属の『兵士』が神器の力をそこそこ覚醒させていたらいけるかもな」
「相良一光君の神器ですか?」
「あいつの神器『双光龍の籠手』に宿るのは『太陽龍〈インティー〉』と『月光龍〈ルナティル〉』
と呼ばれる光属性を持つドラゴンだ。フェニックスでも悪魔だから光の攻撃は効くからな。
まあ、基本ができてないとそのまま消滅するかもな」
「・・・結局、勝つ可能性は万に一つないということですか」
ソーナは黙ってしまう。
「・・・だが、俺なら奴の神器の力を覚醒させることができる」
「で、できるのですか!」
「正確に言えば、俺の中で眠っている相棒が、同じドラゴンタイプの神器だからな。
そいつで細工をすれば力の覚醒に役立てることができる・・・どうする」
「お願いします。私は親友なのにリアスのことに協力できない自分が嫌でした。
でも、力になれるのならあなたには迷惑を掛けますがそれなりの覚悟はできています」
「いいだろう・・・さて、どうなることか?」
「さて、久しぶりに起こすか」
イッセーは左手を前に出し、意識を集中させる。
「・・・起きろ、『赤龍帝の籠手〈ブーステット・ギア〉』!」
叫びと共にイッセーの腕が光り、赤色の籠手が出現する。
『はあ~あ~、よく寝た』
「起きたか、ドライグ。三か月ぶりだな」
『おはようだな、イッセー。随分と長く感じたぞ』
籠手の宝玉からの声に正体は神器に封印されし、伝説のドラゴン『ドライグ』である。
その力は神や魔王を圧倒されることから赤龍帝の異名を持つ。
『それで、どうした?俺を使わざるを得ない相手でも現れたのか?』
「いや、おまえの昔の部下だった『太陽龍』の使いが現れたからさ」
『そうか、インティーも目覚めていたのか。つまり、ルナティルもか』
「ああ、久しぶりにルイの力でも使って会いに行くか?」
『ああ、それはいいんだが・・・あの小娘はどうも苦手だ』
「・・・まだ、小さいんだから我慢しろ。
少しだけ、あいつらに手助けしてやるか」
久しぶりの投稿です。
バイトや学校が忙しくて遅れました。
今回は天龍皇帝さんの意見を使ってダイジェストで書くための準備みたいなものです。
次回はダイジェスト後の閑話です。