刀使の幕間   作:くろしお

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はじめましての方、こんにちは。
一度でも見かけたことのある方、お久しぶりです。くろしおと申します。

今話よりオムニバス形式での投稿をさせて頂きます。
百合系統の刀使ノ巫女SSが多い中、今作はどちらかといえばノンケな方向のSSとなります。

今回は可奈美編です。彼女に惹かれた刀使ファンの方も多いかと思われます。
短めですが、どうぞお付き合いください。

それでは、どうぞ。


可奈美編
① 鍛錬と休憩


 ―美濃関学院 剣道場―

 

 広い道場に、一人声を挙げて竹刀を振る少女。

「491、492、493、…」

 日頃からやっている鍛錬の一つとしての素振り、彼女はいつも放課後に数百、いや数千の回数を振るう。

「498、499、500!…ふう。ちょっと休もうかな…。」

 声の主、衛藤(えとう)可奈美(かなみ)はインターバルを置いて、また竹刀を振るおうと考えていた。

そんな時である。

「可奈美ー!お疲れ様。」

「ああ、差し入れいつもありがとう。」

「気にするな。あまり無理をし過ぎると、倒れるリスクが高まるからな…。最も、君はそれすらもねじ伏せそうな感があるがね。」

「あははー。」

 

 剣道場に訪れた彼は、刀剣類管理局に所属している舞草(もくさ)のメンバーだったが、ひょんなことからあちこちの伍箇伝の学園へと赴くこととなった。

 彼女、衛藤可奈美とはそんな中で出会った。

 

 

 彼女に、冷えたタオルとスポーツドリンクを手渡す。

「そう言えば、舞衣ちゃん見かけませんでしたか?」

「ああ、舞衣ならさっき羽島学長に呼ばれていたぞ。」

「そうですか。舞衣ちゃんにちょっと見てもらいたいと思ったんだけどな…。」

 スポーツドリンクを一気に喉に流し込む、可奈美。

 道着姿の彼女は、制服とはまた違った魅力を醸し出す。

 彼は、汗も滴るいい女とはこういう姿なのかもな、とも思った。

 

「ん?どうかしたの?」

「いや、つい見惚れてな。」

「えぇ、そうかなぁ…。皆からは剣術バカとか言われるけどね…。舞衣ちゃんや美炎(みほの)ちゃんとかは、よく立ち合ってくれるけれど、あんまりそういう目で見られることが無いんだよね…。」

「そうなのか…。スマン。要らんことを言った。」

「いや、急に言われてちょっと驚いただけで…。」

 少し赤面する可奈美。彼も、少し気まずくなった感じになった。

 

 ふと、可奈美が彼に提案する。

「そうだ!立ち合いしてくれません?このまま気まずい感じも難ですから、打ち合ったら気も晴れるかもしれないですし。」

 一部では、彼女の人物評として剣術マニアだの戦闘狂(バトルジャンキー)だのと言われることがあるが、それは半分正解、半分不正解だ。(特に後者)

「いいだろう。だが、いいのか?刀使では無い俺が相手でも。」

「うん!だって、打ち合ったらその人の考えや思いが伝わってくるんだ。剣を交わすことで見えてくることがあるし。」

「そうか。分かった。」

 彼女は、ただ純粋に剣戟を楽しみ、貪欲に自身の技術を広げていく。己の限界がどこまで通用するのかを、日々試し続けている。

 

 

「はあっ!」

「ふん!」

「せい!」

「ぬうっ!」

 ぶつかり合う二つの竹刀。どちらも互角の闘いを見せる。

「なかなか打ち込めないな…。」

「いや、そちらの方が一枚上手みたいだ。」

 

 可奈美の剣先が、喉元へと向かう。

 こちらは…、左肩のその脇に剣先があった。

 

「可奈美の勝ちだな。参りました。」

「いえ。いなすのが大変でした。でも、刀使のみんなだけでなく、剣術に詳しい人の動きも出来るように頑張りたいな。」

 試合が終わり、互いに礼をする。

 可奈美は竹刀を置き、立て掛けていた御刀《千鳥》を取りに行く。

 

「今日は、ありがとうございました。」

「いや。こちらもいいものを見させてもらったよ。それじゃ、また。」

 

 

 去り際に可奈美が、

「また今度、立ち合ってくれますか?」

 と聞いてきた。

 迷わず俺は、

「ああ。次は負けないように準備して来るさ。」

 そう言って、可奈美に返す。

 彼女は満面の笑みで、見送ってくれた。

 

 

(あらゆる剣術を極めることは、孤独への道かもしれない。だが、彼女はそれすらも受け入れて乗り越えてしまうかもしれないな。)

 美濃関学院から出る時に、可奈美のことをそう思いながら、最寄り駅の長良川鉄道関駅へと向かう。

 次はどこへ向かうのだろうか。真庭紗南本部長に連絡を入れる。




ご拝読頂きありがとうございました。

感想欄などから、感想・指摘等ございましたらよろしくお願い致します。

ちなみに、筆者は誰か一人選べと言われれば、可奈美派です。
無論、刀使ノ巫女に登場するメンバーそれぞれに魅力がありますので、ここから元の作品を知って頂けたら幸いです。

読者さんたちの意向のように書けるかは分かりませんが、頑張ろうと思います。
それでは、また。
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