最近、おおよそ週一回投稿というのが悩みどころです…。
今回は紫編その6 中編をお届けいたします。
時系列は前編の数日後となります。
それでは、どうぞ。
ー折神家・特別祭祀機動隊本部 局長室ー
正式な辞令が下りるまでの間、局長代理として刀剣類管理局を纏める朱音。
舞草として対立してきたなかで、二十年間大荒魂をその身に封じてきた姉の凄まじさを感じさせられつつも、その姉の幸せも今では願っていた。
「姉様、大丈夫でしょうか…。」
「どうかされました?朱音様。」
姉の心配をしていると、ノーノックで入室してきた紗南が此方に声を掛ける。
「今は二人きりだから、固いのはなしでいいのよ。なーちゃん。」
「そういうものかねぇ、朱音ちゃん。」
友人同士としての、親しみある呼び方に変わる二人。
「それで、何やら不安そうな顔をしていたようだけど、どうかしたの?」
「あ~、姉様のことでちょっと、ね。」
「大丈夫だとは思うけれどねぇ…。紫様に付いているのはアイツなんだろ?それに、護衛も何人かは伴っているそうだし、心配要らないよ。」
「…そうね。そうよね。」
性格的な対比としては、紫が即断即決のタイプであるならば、朱音は慎重さと丁寧さを重視するタイプであろう。最も、刀使へのシビアな風当たりの強さが、現状無防備な紫達へも向かないとは限らないため、朱音の懸念そのものは至って普通の感覚だろう。
「紫様、今頃は楽しんでおられるのだろうかねぇ…。私も休みが欲しい。」
「ごめんね、なーちゃん。…それに、今回は羽島学長へも付き添ってもらうことをお願いしているから。尚更、私達がここを離れるわけにもいかないの。」
「ああー、江麻先輩が一緒なら心配ないですね。…紫様のためにも、衛藤と十条を早く見つけだしたいところですが…。」
「今は二人が生きていることを信じて、動くしかありません。たとえ、最悪の事実が分かったとしても。」
暗い影を落とすなかでも、諦める訳にはいかない。朱音と紗南もまた、紫のことを気に掛けていた。
ー数時間前 折神家 迎賓館入口付近ー
御前試合の出場生徒が泊まるなどする、立派な日本屋敷。
車の準備などの関係で、紫からこの場所を集合地点に指定されたわけである。
「…まさか、羽島学長まで一緒だとは。俺、朱音様から何も聞かされていないんですけれど。」
「朱音様から、紫の外出許可が下りた時に付き添ってほしいとお願いされてね。…鬱屈した空気から、少しでも開放してあげられるといいのだけれど、ねえ…。」
美奈都や篝亡き今、紫の学生時代を知っている人間は、江麻など限られた人間に留まる。同世代の鎌府の刀使の多くは、あの相模湾岸大災厄で殉職するなどし、現在でも接点がある人間ともなれば、その数はより絞られる。
東京近郊の荒魂討伐の沈静化と、綾小路の派遣体勢が完全に整うまでの間、江麻やいろはは自校の生徒を派遣しつつ、鎌倉にまだ留まっていたため、今回彼女も参加したわけである。
「…ただ、未だに俺が信じられないのは、紫様の肉体年齢なんですよね。羽島学長が知る紫様の学生時代と、見た目は何ら変わりがないというのが。」
「まさか、大荒魂の憑依した影響で肉体年齢が停止したままだったというのもね…。まあ、それも含めて、貴方は紫のことを調べていたわけでしょ?」
「それはまあ、そうなんですけれど。…というか、羽島学長。相楽学長もそうですが、学生の頃とあまり見た目は変わってませんよね?」
「さあ、それはどうかしらね。世ではおばさんと言われる年齢には迫りつつあるけれど。」
「…リアクションに困る言葉を返すのは、勘弁してくださいよ…。」
彼も素直に綺麗と言えればいいのだが、人妻を口説き落とせるほどの強メンタルは持っていないため、地雷を踏まないような返事をするほかなかった。
そんなやり取りから暫く。
普段絶対に目にすることのない、私服姿の紫が当主住居の入口から現れる。
(…紫様、やっぱり白が似合うよな。)
白いセーターに厚手なベージュのガウンジャケット、黒い冬向けのパンツという、遠目から見ても注目を浴びそうな服装であった。また、ミニベレー帽を頭に付けていたところから、紫自身のスタイルのよさも相まって、可愛さと綺麗さが互いに引き合う雰囲気を漂わせていた。
「待たせたな。…江麻、お前も来ていたのか。」
「ええ、朱音様から頼まれてね。それに彼や護衛の人間だけだと、貴女との距離感が掴みにくいじゃないかしらと思ってね?」
「◯◯(彼の苗字)、お前は江麻が来ることを知っていたのか?」
「いえ、つい先ほどです。なので、メチャクチャ緊張してます。」
彼としても江麻の登場は予定外だったため、彼女の登場の際には大いに慌てたのだが、そこは数多くの生徒を見てきた彼女。慌てた彼や護衛の面々を落ち着かせるように、今日の同伴の訳を説明していた。
「私が一緒なのは途中までよ。紫が現場の刀使達を視察したら、私は分かれるわ。そのまま、別の仕事の方に向かわなきゃならないから。」
「そ、そうか。」
「それに。」
と言うと、江麻が彼に近寄り、小声ながらはっきり耳打ちしてくる。
「◯◯君。紫のこと、頼んだわよ。」
「は、羽島学長っ!?」
思わず声が上擦ってしまった彼。
その『頼んだ』という言葉の意味がどういったところまでを含むのか、この段階ではよく分からなかった。単に今日のことだけなのか、それとも…。
「まあ、今日は貴方のやりたいようにやってみなさい。紫も、貴方ならそんな目くじら立てるようなことは無いだろうし。」
「ど、どういう意味ですか、それ?」
「それこそ、本人に聞いてみればいいんじゃないかしら。じゃ、私は少し離れるわね。」
そう言って、護衛に就いていた美濃関の刀使に声を掛けていった江麻。
「…本当に、どういう意味なんだろう…。」
その意味を知るには、まだもう少しの時間を要することとなる。
入れ替わりに紫が彼の方に寄ってくる。
「江麻との話は済んだのか?」
「ええまあ。…なんか気が重くなるような話をぶっ込まれたような感じがしてなりませんが。」
「それはそうと。今日はどのように動くつもりでいる?」
「あーっとですね。」
おもむろに肩掛けていたショルダーバッグから、タブレット端末を取り出す彼。
「紫様の傷口を考えるとそんな長距離移動はできませんからね。ですので、東京周辺で活動している特別祭祀機動隊の視察と、ちょっとした息抜きを考えていますから。」
紫の心配としてあった現場の現状確認と、建前的な側面が強い息抜き。本来は、紫の護衛には元親衛隊の人間を就かせた方が良かったのかもしれないが、人員不足という理由で断念せざるを得なかった。護衛が付いているとはいえ、紫と二人きりというのもかなり久しぶりといえる。
「◯◯さん、装備確認終わりましたー。」
「分かったー!先に車に乗り込んでいてくれ。」
護衛班の準備が整ったことを受け、彼も動き出す。
「さて、紫様。行きましょうか。」
「ああ。…それと、お前には悪いのだが、車に乗るまでは少し手を貸してもらえないだろうか。」
「…あっ、分かりました。歩幅は合わせますから、無理なさらないようにお願いします。」
彼女の傷を考え、可能な限りゆっくり進む彼。
先に車へ乗りこんでいた江麻は、そんな二人の方を見て口元を少し緩めていた。
ー東京都千代田区 大手町付近ー
東京決戦時のタギツヒメ・近衛隊との主戦場であり、無限に湧き出てくる荒魂との死闘も繰り広げられた東京駅周辺。
直前までの政治的対立はともかく、丸ノ内や大手町の近くには皇居が隣接しており、何が何でも荒魂の侵攻を防ぐ必要があった。少し距離の離れた永田町や霞が関はまだしも、皇居や皇室の方々に万一のことがあれば、内閣が吹っ飛ぶだけでは済まされない事態と成りうる。
このため、維新派に組みしていた首相・官房長官派とは別に、防衛大臣が荒魂対処目的の災害派遣という名目で、事実上の戒厳令を東京周辺に敷くことへと舵を切った。後々の歴史を辿るに、この防衛大臣の独自の判断によって、東京決戦時には陸上自衛隊に損害こそ出たものの、この時の荒魂対処への動きを速めることに繋がった事実は確かなものだろう*1。
地上だけでなく、地下に潜り込んだ荒魂も多かったことから、この辺りでは定期的に荒魂討伐の任務が組まれている。
「…ここで、いいですかね。」
「ああ。…しかしまさか、ここへ私服姿で来ることになろうとはな。」
「貴女の場合、どうやっても目立ちますから。そこは勘弁してください。」
紫達がやってきたのは、タギツヒメとの最後の戦いを行ったあのビルである。可奈美や姫和が消息を絶ったのも、ここである。
「…◯◯君。顔色悪そうだけれど、大丈夫?」
「羽島学長、お気遣いなく。…やっと、来られましたから。」
このビルの袂には、小さな献花台が置かれていた。行方知れずとなった二人のみならず、荒魂に襲われるなどして殉職した自衛官らへ向けた物が多かった。今も、ここへ手向けられる花は多かった。
先に紫と江麻が花束を置き、十数秒に渡って献花台へ向かって深いお辞儀をする。
「…一同、献花。」
続いて、彼の号令のもと、彼や護衛を含めた特祭隊員達が一斉に献花し、こちらも頭を下げた。
都心のオフィス街でのこの光景に首を傾げた人間もいたが、つい数ヶ月前に散っていった者達がこの場にいたことを知る者からすれば、鎮魂の意味で必ずやらなければならないものでもある。
「…一同、元の配置に戻るように。」
彼の指示のもと、並んでいた隊員達が散り散りに離れていく。
「終わったのか。」
「はい。…多分そろそろ、今日の討伐部隊が来る時間のはずなんですが…。」
腕時計に目線を落とし、現在時刻を確認する彼。
入れ替わるように、今度は刀使達の乗る軽装甲車などが献花台近くの路上に停まる。
今回の討伐部隊を率いるべく、車から降りた真希や寿々花、他の刀使なども、この場に紫達が居ることに対して驚いていた。中には、現実味のないようなポカンとした表情を浮かべた者もいたが。
「!?―紫様!此方にいらっしゃったのですか!?」
「ぜ、全員整列!」
真希と寿々花は半ば焦りながらも、特に紫に向けて礼を尽くそうとする。
「折神家当主、折神紫様へ向けて。全員、礼!」
寸分の狂いなく、一直線に下げられる刀使ら討伐部隊の者達の頭。
「も、もういいぞ。真希。寿々花。他の者達も。」
一方、礼を受けた側の紫は元々私用でこの場に居る関係上、あまりこうした状況になることへ戸惑いが隠せなかった。折角バレないように色々労を掛けたものが、一瞬で吹っ飛ばされた気分になった彼。それが仕方ないことくらいは理解していたが。
そして、真希と寿々花へ紫自身がここに姿を現した理由を説明する。
「…ああ、紫様がこの場所を訪れたのはそういうことだったのですね。」
「驚きましたわ。…やはり紫様も、衛藤さんや十条さんのことが気になっておられたのですね。」
「お前たちには迷惑をかけてすまないな。…もうしばらく、お前たちの力を貸してもらえるか。」
「勿論です。」
「私も異存ありません。」
「感謝する。…朱音へは心労は掛けさせないように、頼むぞ。」
「「はっ!!」」
元親衛隊と紫との信頼関係が未だに強固なものであることを、このやり取りは窺わせるものだった。
一方の彼の方は、あの日の自らの行動に対して、後悔と自責の念があった。
「…あの時、俺が下した決断は正しかったんでしょうか。」
「それは、貴方自身が見つけるべき答えだと思うわ。―でもね。一つ確かなことは、特祭隊の撤退命令が出て貴方の部隊は一旦後方へ下がった後でも、危険を顧みずここに戻ってきた結果、重傷の紫を迅速に医療施設へ運ぶことができた。貴方の判断が、あの場の柳瀬さん達だけでなく、紫の命をも救ったことは紛れもない事実だと思うわよ。」
江麻の言葉どおり、東京決戦時において近衛隊との決着を付けた後、彼を含めた当該部隊の人間は、一度荒魂の出現がかなり少ない安全圏までの撤退命令を受けていた。
荒魂との戦闘のなか、命令違反を覚悟したうえでかなりギリギリのところまで撤退を引き伸ばしていた。このため、逃げ遅れそうになっていた民間人の一部や、自衛隊部隊、更にはタギツヒメに洗脳されて、戦闘により行動不能状態へ陥っていた近衛隊の刀使の救援も、どうにか成功する。…ただ、いくら場数を踏んできた彼でも、流石に異常対処能力には限界があった。彼もある程度指揮権の高い地位に属していた以上、命を捨てたような行動を起こすことはできなかった。
自分の担当エリアで出来ることはある程度果たせたが、泣く泣く相楽学長からの撤退命令を受け入れ、撤退した現場にて部隊の建て直しと再編を図った。再度東京駅周辺へと突入した際に、紫が重傷を負ったことを把握したのである。
「…きっと、俺達が本来救わなければならない人間は多くいたのかもしれません。ただ、あの極限状況のなかで、まだ救える可能性があった紫様を搬送する選択を取った。そのことに、俺は後悔などありません。…二十年もタギツヒメに翻弄されて人生を終わらせるなんて、そんなあんまりな話はないじゃないですか。…まあ、あの時に冷静な判断ができていなかったと言われれば、返す言葉もありませんが。」
「それでもよ。紫を救った一端を貴方は担った。紫本人も、貴方には感謝していたわよ。」
「……そうでしたか。」
江麻は、紫を見つめる彼を横目で見やりながら、精神を追い込まれ普通の感覚なら投げ出したくなる状況から、何度も立ち上がってきた彼のことを信じようと思った。
その後、真希達討伐部隊の戦闘風景を仮設指揮所から視察する紫達。可奈美や姫和が不在ななか、あの日の悔しさや無力さをバネに、刀使達はより一層戦いへの真剣さを増していた。
「…以前よりも、刀使達の動きが洗練されているな。」
「どんなことがあっても、前に進むしかないですから。どんなに辛くとも、苦しくとも。荒魂は待ってくれませんし。」
「…そうだな。」
「―紫、私はそろそろ離れるけれど、大丈夫かしら?」
江麻はこの後に控える通常国会で、東京決戦を含めた一連の刀剣類管理局の動きなどを、分からず屋な国会議員へ説明することが決まっていた。
「ああ。…お前と外で話せて、少し気分が軽くなった。」
「なら、一緒について来た甲斐があったわね。」
そう言い、紫へ笑みを見せた。
離れ際、彼女は彼へと耳打ちする。
「あとは、貴方に紫を任せるわ。頑張ってね。」
「!?―は、羽島学長!」
何とか言葉を繋げようとしたが、結局頭がこんがらがってしまい言い淀んでしまった彼。江麻はそのまま一行から離脱し、国会議事堂へと赴いていった。
刀使達の戦闘が終わり、その次の行動に頭を抱えた彼。
(ど、どうすればいいんだ、今から。)
言い出した手前、ノープランというわけではなかったものの、内心ではかなり焦らざるを得なかった。下手な行動を起こせば、護衛の人間から銃口や刃を向けられかねない。慌てる姿を見せられなかった手前、長い時間真顔で固まる。
「何かあったのか、◯◯。」
「い、いえ。」
次の行き先を考えていた時、一つの考えが頭に舞い降りた。
「…紫様、アミューズメント施設に興味はございますか?」
「そうだな…、有るにはあるな。」
「なら、行ってみましょうか。…あまり体を動かさないような配慮はしますので。」
「う、うむ。分かった。」
(…さて、これが吉と出るか凶と出るか…。)
個人的には他の護衛の人間にも楽しく過ごしてもらいたいという意図もあったため、場当たり的ではありながらも、本来の流れへ引き戻すことに成功する。
他の元親衛隊の面々が今日のことを知ったら、斬りかかるか泡を吹いて倒れるかというようなリアクションを示しそうだとも思ったが、あまり考えるのは止そうと考え、紫の手を引きながら車へとエスコートしていった。
ー東京都江東区 大規模商業施設内 某大手アミューズメント店舗ー
全国にチェーン展開している、ボウリング場とゲームセンターを核とした郊外型の大型アミューズメント施設。都市部にも出店しているところのなかには、こうした商業施設内に併設されているものもある。
ここへ行くことを決めた彼の意図を、よく理解していなかった護衛の女性隊員から疑問の声が寄せられる。
それに答えながら歩く彼。
「そういえば。◯◯さん、なぜにここなんですか?」
「あー、うん。紫様って、あんまりこうしたところへ行くことができなかっただろ?(立場的に)」
「確かに、そうですね。」
「だから、『私人』である今だけでも、こういうところで多少なりともストレスを発散してもらいたいんだよ。…これは、俺の勝手な願望なのかもしれないがな。」
「…気持ちは分かります。私は元々、紫様に忠義を尽くすという立場で舞草とは対立してました。ただ、貴方の場合は舞草でありながらも、紫様のことを色々考えていらっしゃった。ある意味、狭い視野に挟まっていた私達には、紫様へ休みなど進言できませんでしたから。」
「…それは、俺を買いかぶり過ぎなだけだろうよ。」
「……本当に会ってみると、不思議な人ですね。◯◯さんは。謙虚過ぎるのも、あまり良くないと思いますよ。」
「…忠告、親切にありがとう。」
舞草でありながら、紫派のことも考えるという点においては、確かに彼は異質なのだろう。だが、実際に彼は少なくとも現場レベルからの信頼は篤い。舞草だろうが、紫派だった者だろうが、である。でなければ、敵対勢力同士であったのに、ここまで親しげなやり取りが出来るわけがないからだ。
最も、それを彼がひけらかすような真似をしたことはなく、本人自身もそんなに人望はないと勝手に思っている節があるのが、周囲との認識の差に大きな影響を与えているのだが。
彼と女性隊員は、紫達の待つボウリング場の最も人が来にくい二レーンへとたどり着く。
仮に紫を狙う人間がいても、出入口のない端側ならば警備も容易であるという、彼の考えからだった。
「さて、護衛組の何名かはワンゲーム交代で投げてもらうとして…。」
「どうかしたのか?」
「あー、いえ、こっちはどうしようかなと思いまして。」
この場にいるのは護衛の人間を合わせて八人であるため、二レーンで投球する人間を合わせて六人とした場合、投球ペースを加味すると三人二組で回した方が一番いい形になると、彼は考えていた。(組み合わせ自体は幾通りもあるのだが。)
「俺と紫様はともかく、護衛の誰かが此方に入ってくれれば回りはするんですよね。」
「ならば、運で勝負すればよいのではないか?」
「…あっ、ジャンケンですね。確かにそれなら、誰も文句はありませんでしょうし。」
彼も、護衛の人間のなかには紫と一緒に投げたい者がいるとは思っていたため、公平さという点で最も信用のおける運試しであれば、皆納得するだろうと判断した。
「「「最初はグー!ジャンケン、ポン!!」」」
紫ガチ勢からすれば、絶対に逃すことのできない機会。
進行役の彼からは、紫と一緒の組になった人間はこの場での護衛の任務を一時的に解くと言っていたこともあり、必然的に彼以外の護衛の人間全員がジャンケンに加わった。
その光景を楽しそうに眺める紫の姿に、彼は今日、彼女を外へ連れ出した甲斐があったように思えた。
ご拝読いただき、ありがとうございました。
ガチャの方は私服のエレンとつぐみ、彩矢が引けたので撤退…。
感想等ございましたら、感想欄・活動報告へお気軽に投稿いただければと思っております。
次回は後編となります。
それでは、また。