今回は主人公編になります。
…申し訳ございませんが、文章量が想定以上に膨らみそうなため、分割させて頂きました。
あともう一話分だけ番外編が続きます。
時系列は波瀾編、タギツヒメのメディア登場後の話になります。
長くなっておりますが、ご容赦ください。
それでは、どうぞ。
Surgical Strike(サージカル・ストライク:軍事用語):「正常な部位を傷つけないように悪い部分のみ正確に切り取るようなくらい」的確に敵の戦闘員を排除すること。一般人を傷つけず、戦闘員のみ攻撃する意味にも使われる。(≒ピンポイント攻撃)
東京・市ヶ谷の防衛省本庁舎で発生した、二度にわたる大規模な武力衝突。特に二度目は、本来仲間であるはずの綾小路の刀使達が、数多くの刀使や自衛官らを負傷させるという、前代未聞の事態が起きてしまう。
その後、タギツヒメがタキリヒメを吸収し、冥加刀使となった近衛隊の動きが活発になるなか、都内での荒魂討伐は近衛隊の担当という形で、本部は折れるという判断が下された。これは体面上、本部から派遣した場合に二度手間になるのを防ぐ目的と、現場での刀使同士の衝突を避ける目的があった。
だが、これは明確にタギツヒメへ利するものであることに、変わりはなかった。政府高官が維新派に与している以上、朱音や真庭本部長の率いる刀剣類管理局は、大きく動くことが出来なかった。
そして、タギツヒメが三女神最後の一体、イチキシマヒメを吸収しに向かうべく、高津学長が更なる外堀を埋めていくなかで、別の計画が実行に移されようとしていた。
ー東京駅 丸の内南口ー
東京駅ステーションホテルを拠点にしているタギツヒメ、及び近衛隊。
この中の一室に、数人の近衛隊の刀使が詰めていた。
間接的には雪那の指示が入っていたのだが、その計画実行を決めたのは綾小路の近衛隊の刀使達だった。
「…隊長、これでよろしいでしょうか。」
「うん。ありがとう。…タギツヒメ様の御為に、障害となるあの男を排除する!皆、準備はいいか!」
「「「はっ!」」」
幸か不幸か、この計画に由依や葉菜は加わっていなかった。だが、もし彼女達が居たとしても、洗脳状態の彼女らでは止めることさえ出来なかっただろう。
六人の近衛隊の刀使と、近衛隊同様にノロを打ち込まれた、彼女らの行動を補助する二人のサポート要員が、目標に向けて前進を始めた。
―東京都台東区 上野
通称、上野公園の名前で親しまれているここは、敷地内に国立科学博物館や、パンダが居ることで知られる上野動物園などが所在している。
最近の維新派の動向に目を光らせながらも、日々の仕事を止めるわけにもいかないため、彼もこの場所で巡回警備に当たっているところだった。丸の内や大手町などの東京駅周辺が、戒厳令さながらの状況下に置かれているなかで、数駅離れたここは、比較的人の流れも普段とさほど変わらないように感じる。
隣で一緒に警備を行っている、同僚の刀使と話す彼。
「悪いな、中島。巡回警備に付き合わせるような真似をして。」
「仕方ないでしょ。綾小路の人は近衛隊に行ったか、京都まで呼び戻されているみたいで、人手が余計に足らなくなっているし。…それに、いつ荒魂が出現するのかも読めなくなってきているしね。」
「これが終わったら、一度青砥館まで向かうつもりなんだが、お前は何か調整とかやっておかなくて大丈夫か?」
「今のところは大丈夫ね。青砥さん達が丁寧に整備してくれているおかげで、いつも以上の力を発揮出来そうだし。」
「そりゃ良かった。…まあ、青砥館に寄った時に、ちょっとお前に頼みたいこともあるしな。時間があれば、お願いできないか?」
「私でよければ構わないけれど、アンタ、何をするつもりなの?」
「鎌府と美濃関、それと長船、平城の鍛冶達に依頼していたやつが届いてな。対刀使用…、というよりは護身用の武器の確認を、青砥館の方でやらせてもらえることになった次第だ。」
「つまり、『刀使』である私の協力が必要ってことね。」
「ああ。万一、一般の隊員たちが斬り合いに巻き込まれても、それを防ぐものは必要だからな。盾だけでなく。」
舞草と折神家の部隊が衝突した時の出来事から着想を得たのだが、これから先、近衛隊と事を構えるのであれば、打てる手は全て打っておきたかった彼。
まさか、本当に必要になりそうだとは、夏前に依頼を出した段階では思わなかったが。
「で、その武装って?」
「ああ、十手だ。各校で御刀の鍛造し直しとかを行った時に出た、珠鋼の言わば残りカスを凝集して打ってもらったやつをな。」
「…十手って、あの十手のこと?左右の長さが違う、片手で持つ
「そう、それ。はっきり言えば、刀も御刀も強度の差異はあるが、ものそのものは変わらないしな。扱う刀使によって左右されるところが大きいし。」
「神力があるかはともかく、材質が珠鋼なら強度はほぼ互角ね…。…でも、明らかにリーチは御刀の方が上じゃない?」
「そこが一番の問題でな。正面からの斬撃ならともかく、真横から打ち込まれたら最後、胴と下半身はおさらば。脇差くらいの長さならまだ対処できるが、太刀や大太刀は防御困難だ。」
「それ、全然大丈夫じゃないでしょ。」
冷静にツッコミを入れる里奈。
「だが、ここに現代兵器を組み合わせると、話はだいぶ変わる。」
「ん?十手で戦うわけじゃないの?」
「何でこっちから、みすみす被害を増やす真似をせにゃならんのだよ…。ま、今の流れで聞いたらそう思うのは最もだろうがな。」
「でもって、アンタはどう使うか考えているわけ?」
「捕獲用のネットと組み合わせようと思っている。」
「ネット…?不審者とかを捕らえる用の、ってこと?」
「あれの刀使版を、ベンチャー企業に依頼していてな、もう一両日中には出来上がるそうだ。ネットの材質は、主成分をとりもちとこんにゃく芋のもの、骨組みを炭素繊維にして、簡単には剥がせないようにしてある。チーズみたいにドロッとしているから、仮に御刀で斬ろうとしても、摩擦力と粘着力がそれを上回ったら、話は別だ。」
「アンタ、結構えげつないこと考えるわね…。」
「ネットで抑えたら、今度は十手で御刀も抑えて刀使を無力化、という二段構えだな。」
「…そこまでベッタリなら、抗う気力もなくすわね。」
「剥がす時は、セロテープのようにゆっくりやらないと、大変なことになるのは間違いないな。…まあ、これ以外にも明かしてない隠し玉はまだあるけどな。」
「この二つ以外にもあるの!?」
「…ただ一つ気がかりなのが、それが条約に引っ掛からないよな?というくらいのところか。俺も個人的には気が進まないやつだし。」
「…もう、何も言わないでおく。…言っておくけど、正当な目的以外での使用は駄目よ。」
「そりゃそうだ。使う時はキツく言っておく。…出来れば、使わないで終わってくれればいいんだがな…。」
自身の嫌な予感が当たらないことを祈る彼。
だが、実際にはその予感通り、事態は更に悪い方に前へ進んでいた。
上野公園の巡回警備を他の特祭隊員に任せ、彼と里奈は原宿の青砥館に向かうべく、刀剣類管理局のミニバン型公用車に乗り込もうとした。
その時、彼の業務用携帯が鳴る。
「ん?…水沢から?」
「何かあったのかしら?」
通話ボタンを押した彼。里奈にも聞こえるようにスピーカー機能を起動させる。
『もしもし、○○(彼の苗字)さん!繋がってますか!?』
「ああ、中島も一緒だ。どうした?」
『お二人とも、大変です!早くそこから逃げてください!』
切羽詰まった声が、彼と里奈の意識を通話に向けさせる。
「荒魂が出たのか?水沢。」
『もっとマズいです!近衛隊の一個小隊が、そちらに向けて真っ直ぐ進んでいます!』
「…都内は近衛隊が対処するということになってたんじゃないのか?別にそうおかしくは…。」
『今、上野周辺に荒魂の反応はありません!近衛隊の刀使が取り込んだノロの反応だけが、そのエリアにあるだけです!』
「……ちょっと待て。水沢、まさか近衛隊は
『間違いありません!きな臭くなってきた時に、綾小路の刀使の方の携帯とスペクトラムファインダーに向けて、盗聴アプリをコッソリ仕込んでおいて正解でした。』
しれっと触法行為を打ち明けた姫乃。彼は少し頭を抱えた。
「……水沢、後でその話はじっくりと伺うとするが、近衛隊の狙いは分かっているのか?」
『彼女達の狙いは○○さん、貴方です!!』
「「え?」」
横で聞いていた里奈も、思わず気の抜けた声が飛び出す。
「待てまて。そりゃ、俺は確かに本部の人間で、刀使とかから反感を買っていてもおかしくはないが、仮にも一般人だぞ。」
「姫乃、根拠は何なの?」
『真庭本部長にお願いして、何名か舞草の諜報員の方をお借りしていたんですが、つい三十分ほど前に、近衛隊の携帯のアプリから不穏な会話が録音データとして届きました。』
「内容は。」
『○○さんの物理的な排除。それに類する作戦会議でした。』
「……ふ~~っ。」
まさか自分の暗殺計画を同僚から聞かされる日が来るとは、夢にも思わなかった。
ため息よりも、心を落ち着かせる方が重要と考え、彼は長く息を吐く。
「姫乃、ちょっと待って。近衛隊は、本気でコイツを殺しにくるってことなの!?」
『はい。』
「…なんで、コイツが…。」
里奈も口ではキツイことを彼に向けて言うことが多いが、目の前で刀使やそのサポートメンバーに向けてあれこれ考え、実際にそれを実行に移そうと奔走してきたその姿を見てきた。その彼の熱は本気であることを、この一年以上に渡って彼女自身も感じ、それに感化された。時には過労で倒れてもなお、自身のことよりも刀使達のことを気遣い続けてきたのだ。だが、その彼が守る、守りたいと思っている刀使達に命を狙われる危機が迫っているというのは、あまりに惨い話である。
その彼を守ってほしいと、刀使としての道を離れなければならなかった
『○○さん、里奈さん!近衛隊は今、御徒町駅付近です!もう時間がありません!早く逃げてください!』
「…姫乃、サポートお願いできる?」
「中島、お前…。」
『里奈さん?』
「意地でも近衛隊にコイツは渡さない、必ず鎌倉に連れ帰るわよ!」
『…分かりました。ともかく、上野駅へ向かってください。』
「了解。姫乃、地図データか何かを後で送ってね。一回切るわ。」
『ご武運を。里奈さん、○○さん。本部で待ってます。』
「水沢。必ず、帰る。糸崎にもそう伝えておいてくれ。」
姫乃との通話は、そこで切られた。
明確に命が狙われていると分かった彼と、彼を守る覚悟を決めた里奈は、行動を始める。本部に救援要請を行わなかったのは、彼自身の問題に里奈以外の他の刀使を巻き込みたくなかったことと、後述の理由があったからだ。
乗ろうとしていた車から離れ、走りながら上野駅方面に向かう。
「でも、何で近衛隊はアンタの居場所を特定できたわけ?」
「恐らく、舞草と敵対していた紫様の派閥だった奴から、俺のシフト表か何かが漏れたんだろう。あとあり得るとすれば、葉菜や由依とかから俺の番号を聞き出したとか、その辺だろ。」
「意外にあっさりしてるのね。」
「…最悪の最悪を想定していただけだ。それは一番当たってほしくなかったんだが。」
「で、どう逃げるつもり?」
「都心でJRと私鉄は避ける。地下鉄で逃げるしかないな。」
「何でまた。車を捨てたのは正解だっただろうけど。」
彼の位置が割れていたということは、何で上野に来ていたかも相手は知っているはずだ。そうなれば、必然的に車での逃走は諦めざるを得ない。
「写シを張った刀使がどういう体質なのかはそれぞれだが、追手の近衛隊がもし架線一つでも切ってみろ。途端に鉄道網はストップだ。地下鉄なら、剛体架線、あるいは第三軌条方式だから、いくら刀使でも簡単に線路には立ち入れまい。」
つまり、ロープ状の架線が圧倒的なJRなどよりも、架線関係は斬られる可能性が低い地下鉄を選んだのである。
「でも、もし近衛隊の虚偽報告によって運行停止命令なんか出されたら、その瞬間アウトよ。」
「相手が俺目的なら、大掛かりな動きは出来ないだろうよ。まして、そんなすぐにバレる嘘を吐けば、少なくとも維新派に疑惑の目を向けさせることができる。不自然なことがあれば、もの好きなやつほど調べたくなるようなもんさ。」
「なるほど…。意外と考えてるわね。」
「駐車場を出た時に、業務用携帯を車内においてきて正解だったな。携帯の位置情報を辿ってくるなら、上野公園にまだ居ると踏むだろうしな。」
「…そういえばアンタ、携帯はもう一つ持ってたのよね。」
「あまり使うことがないからな。本当に親しい相手くらいしか入れてねぇよ。」
「山城さんや鈴本さんとか、近衛隊に現在居る人の連絡先は?」
「二人に関しても、いずれは交換しようと思っていたんだが、業務用携帯だけしかまだ交換してなかったんだよ。しかも、葉菜は知らないだろうが、元々使っていた回線を業務用に回したんだよ。だから、二つあることは知っていても、片側の番号は分からないはずだ。」
ある意味葉菜には気の毒なことをしたと思ったが、今回ばかりはそれが正解だったというのも、皮肉なものだろう。
「…流石というか、舞草のスパイだっただけあるわね。危機管理能力はホントに化物クラスね。」
「今はもう、隠れて情報収集する必要性もなくなったしな。あとは、水沢が指導した情報部隊に任せるわな。帰り着けたら、諜報任務は後任の人間に任せるとしよう。」
舞草の諜報から手を引き、ただの一構成員に戻ろうと思った彼。これも、近衛隊の追撃から逃げ切れればの話だが。
「…来たわね。渋谷行き。」
近衛隊の実行部隊が上野公園に到着したと同時に、二人は上野駅から銀座線渋谷行きに乗り込む。
大量の乗客により、他駅のホームからは中の二人の様子は見えなかった。だが別の要因によって、近衛隊にこの動きを察知されてしまう。
それは、現代特有のツールによるものだった。
視点は変わり、上野公園に到達した近衛隊。
「あの男を探せ!絶対に捕らえろ!」
「「「はっ!」」」
捕らえろ、という言い方をしたのは、こんな人が歩いているなかで凶行を起こしたら、それこそ維新派は一般人(第三者視点)を普通に殺す集団と見なされ、高津学長の計画がご破算になりかねないからだ。それは無論、タギツヒメに対しての世間の目も変わる、そのキッカケに成りかねない。
(我々の邪魔をする者は、例え何者であっても排除しなければ!)
洗脳状態であるが故に正常な判断が困難になっている、実行部隊の指揮官。…そうでなくとも、異常なものであることに変わりはないが。
「隊長!」
上野公園を探索するように指示を出して数分。
一人の隊員が、刀剣類管理局の公用車を見つける。
「居たか!?」
「いいえ。ですが、車内に携帯らしき物が。」
隊員が車内を指差すと、隊長はその延長戦上にスマートフォンを認める。
「クソッ!」
車のボディに、ゴンと拳をぶつける隊長。
「恐らく、逃げられましたね。」
「あの男め、一体どうやって我々の動きを。」
相手は此方を出し抜いたというよりも、なぜ襲撃することが分かったのか、という点に疑問を持つ。…その会話さえも盗聴されていると知らずに。
しかしながら、彼女達にも運が回ってきた。
「隊長~!」
「どうした、見つかったのか!?」
「ある意味そうかもしれません。ですが、ここではないようです。」
駆けて寄ってきた一人が、自分の携帯画面を見せる。
その画面は、とあるSNSのものであった。
そこにハッシュタグで「#刀使」「#刀使さん」と検索をかけた画面に、投稿数分前のある一つの呟きが目に留まる。
「この写真…、どこで撮られたもの?」
「オレンジ色の帯は見えますが…。そこまでは。」
「そう…。」
二分後、部隊を招集し、ついて来たサポート要員二人に先程の呟きを見せる。
「貴女たち、この写真がどこか分かる?」
「私は東京の地理に詳しくないので…。」
「そっちは?」
「…この写真、恐らく銀座線ですね。駅の構造的には、新橋駅だと思います。」
「根拠は?」
「写真に写っているこの向きでのホーム上の鉄柵は、銀座線で新橋駅にしかありませんから。」
「詳しいのね。」
「…これでも、何度か来ていますので。」
隠れ鉄オタであることは明かさなかった、写真の場所を特定した少女。
この写真、実は僅かに彼と里奈が写っていたのである。刀使であるがゆえに、そのトレードマークである御刀の珍しさが特定されるもとになったのだ。特に、現在都内では綾小路の近衛隊の刀使しか、配置がなされていない。鎌府女学院の制服の刀使は、本来いる筈がない(と実行部隊は思っていた)ため、容易に特定されることになったわけである。
そして、この少女は自身のもつ能力を再度発揮する。
「隊長、この写真は五分ほど前に撮られたものです。恐らく目標は、渋谷方面に向かっていると思われます。」
「本当に!?」
「急ぎましょう。恐らく、あと二十分くらいでこの電車は渋谷に着きます。」
「聴いたな!全員、これより渋谷に向かうぞ!」
「「「はっ!」」」
彼の追跡に動く、実行部隊。
先回りして、渋谷で確保する算段を立てた隊長は、迅移を駆使し超高速で移動を行う。刀使ではないサポート要員は、他の刀使におぶわれるように、行動を共にする。
計画遂行は達成されななければならないという、洗脳状態下での思考も強く影響を受けていた。
実行部隊の八人は、上野公園を後にする。
だが、彼女達は首都直下の地下街・地下鉄網を少し甘く見ていた。
銀座線で渋谷方面に向かっていた、彼と里奈。
「中島、ここで降りるぞ。」
「渋谷には行かないの?」
「スペクトラムファインダーに載っけておいた、舞草用のSNSを介して、水沢からナビゲーション指示が出た。一度原宿に向かう。」
「姫乃から?」
「一対一のやつなら、水沢の方で端末のセキュリティ強化をやってもらってたからな。それに、これにも通話機能がついているが、業務用携帯でそれは補っていたから、この端末が向こうにバレる心配はない。」
「…姫乃って、本当に凄い娘よね。」
「つくづく、味方で良かったと思ったよ。」
そしてドアが開き、二人は銀座線の車両から降りる。降りた駅は表参道、原宿に直接向かえる千代田線との乗換駅だ。
「中島、水沢と電話できるか?」
「ええ。いいけど。」
里奈の携帯を借り、姫乃に連絡を取る。
『はい、もしもし。』
「水沢、○○だ。今、中島の携帯を借りている。」
『今のところは無事のようですね。』
「ああ。で、近衛隊の部隊は。」
『複数の携帯は今、真っ直ぐに渋谷へ向かっています。超高速で移動していますので、恐らく迅移を発動しているものと思われます。』
「…まあ、沙耶香のように全員が無念無想を持っているわけでもないだろうから、時間的猶予はまだあるか。」
「姫乃。原宿に向かうのはいいけれど、もしかして青砥館に行けってこと?」
『里奈さん、察しがいいです。気休めかもしれませんが、○○さん用の護身具は準備できています。その後、埼玉方面に向かってください。』
「了解。…原宿で地上に出る、そのタイミングが正念場か。」
近衛隊の部隊が追い付くのが先か、都内を自身で脱出できるのが先か、双方手探りの心理戦と情報戦の様相を呈していた。また、なぜ彼が狙われることになったのか、それは後に明らかとなる。
ご拝読いただき、ありがとうございました。
後編に続きます。
投稿翌日は紫の誕生日になります。
紫ファンの方、おめでとうございます。数日後には薫も誕生日を迎えますね。
薫ファンの方も、おめでとうございます。
感想等ございましたら、お気軽に感想欄・活動報告にご投稿頂ければと思います。
それでは、また。