刀使の幕間   作:くろしお

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どうも、くろしおです。

今回は人質奪還作戦の会議の様子や、『男性排斥運動』の展開状況などを書かせていただいております。
今話も刀使の何名かが登場しております。

それでは、どうぞ。


⑬ 作戦立案 中編

 ー神奈川県鎌倉市 由比ガ浜海水浴場ー

 

 鎌倉では、大荒魂討伐以外においては、恐らく最も長い夜になるであろう時を迎えようとしていた。

 

「…情報部隊が人質に取られたのは痛かったですが、水無月さんのお陰で助かりました。」

「……お役に立てたのなら、…何よりです。…はい。」

 

 魂が抜けたようにぐったりする葵。普段は数人で分担する情報分析を、ほぼ葵一人でこなす羽目になったのである。姫乃が加われれば良かったのだが、それ以前に彼女が部隊配置や奪還作戦の詰め作業に入っていた。そのため、現状で作業に動ける人間が葵のみという事態になってしまったわけだ。

 

無人航空機(UAV)から撮れた、サーモグラフィカメラ、赤外線暗視装置、画像アルゴリズムの解析処理まで進めましたが、…これ、人質を解放するには難しくないですか?」

「…いいえ、これで状況に確信が持てました。後は、長船と長久手からの到着を待つだけです。」

「…何の到着、ですか?」

「それは無論…」

 

 言葉を続けようとした時、広大な砂浜に多数のS装備射出用コンテナが着弾する。その砂塵が晴れると、姫乃はこう続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「反撃の一手のための、力ですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 不敵な笑みを浮かべる姫乃の表情に、葵はこの場に居ない彼の表情を重ねた。それは、具体的な言葉では表せないが、どこか安心感を与える、そんな笑顔に思えた。

 

(…どうしてかは分からないけれど、水沢さんの作戦は上手くいくような気がする。)

 

 いつもデスクトップ画面と睨めっこしている姿からは、想像がつかないほどの表情の変わりようであったこともあるだろう。加えて、数多の情報を繋げ、的確な選択を導き出そうとしてきた彼女に対し、同じく理系の人間としての尊敬の念が湧いたこともあったのだろう。

 

(あともう少しだけ、頑張ってみよう。)

 

 既に前日からぶっ続けでの勤務により、葵の限界はとうに超えていた。こうなれば最早、業務量に大差などない。

 

「…水沢さん、微力ながらもう少し頑張ってみます。指示、お願いします。」

「なら、鎌府女学院の各施設のデータを送るから、人質奪還への最短突入方法を算出して。それだけクリアできれば、他はどうにかなりますから。赤外線暗視装置の情報も含めてお願いします。」

「…あっ、はい。」

 

 葵が正直に思ったことは、分析を行う人手が欲しいということだけだった。彼女は情報部隊をも人質に取った武装集団を恨むと共に、解析と算出を進めていった。その彼女の情報分析が、今後の作戦成否に大きく関わることは紛れもない事実であった。後々につぐみ*1も葵の応援に加わり、どうにかその後の作戦開始までに必要な情報を揃えることができた。

 

 

 

 

タイムリミットまで、あと3時間20分 

 

 

 

 

 

 ー同刻 折神家・特別祭祀機動隊本部 作戦指揮室ー

 

 局長室から移動した朱音と紗南は、本部内で拘束された多くの職員たちに混ざって時を待つ。

 

「…上手くいくでしょうか。彼女達と連絡が取れないのがもどかしいところではありますが。」

「分かりません。ですが、今は祈るしかありません。拘束された全員が、耐えることしかできませんから。」

 

 朱音は、自分ができる範囲のことを起こすまでであった。

 

 

 

 

 時系列は少し遡り、局長室から移された直後、作戦指揮室にいた本町に朱音はある頼みをした。

 

「…放送で人質に逃げないよう、説得させてほしい?」

「はい。不測の事態が起きてからでは遅いので。お願いできないでしょうか。」

「言っておくが、今ご自身が仰ったこと以外を話すようならば、我々も容赦はできない。それでもよろしいのであれば、マイクを使うといい。ただし、外部との通信を試みようものなら…」

「いえ、鎌府と本部、そしてヘリポートの者達に伝えます。それでよろしいですか。」

「…いいだろう。」

 

 この時朱音は、紫や特務警備隊がまだ拘束されておらず、男性排斥運動との膠着状態にあったことを知らなかった。結果的にはそのことが後々、この陰鬱とした状況を突破する鍵となったわけだが、朱音は敢えてその可能性を頭に入れておかず、敷地内全体に向けての放送を行う。

 

『…現在鎌府女学院、及び刀剣類管理局で拘束されている皆さん、折神朱音です。今私達が置かれている状況は、非常に苦しいものとなっています。極度の緊張状態により、トイレに行きたい方や体調を崩される方もおられることでしょう。…ですが、今は耐えてください。たった一人の行動により、他の方が命を落とされるようなことがあってはなりません。―必ず、道は拓けます。どうかその時まで、耐え忍んでいてください。……こんな無責任な言葉でしか、貴女方に伝えることしかできない私を、どうか許してください。放送は、以上です。』

 

 マイクのスイッチを切る時、自身の後ろに立つ構成員がアサルトライフルを向ける音を入れた。

 これが自身の置かれた状況であると気付いてほしい、ということも伝わっていれば、と朱音は思った。

 

 

 

 

 自身が決死の覚悟で挑んだ放送は、どうにか全体に伝わっていた。幸いにも、学生寮で指示をしていた真奈美にはこの放送内容が伝わることはなかった。真奈美も放送による呼びかけでの、ただの精神論だけでどうにか状況を打ち破れるわけがないとも思ってはいた。

 

 だが、この放送の効果は大きかった。後にこの騒動を調査した際に、この放送によって折れそうな気持ちをどうにか持ち堪えさせることができたという、多くの生徒や職員たちの証言があったからだ。『折神家』という、権威づけのみに留まらない刀剣類管理局全体の結束の象徴である証左でもあったことが、この事態からも窺い知ることができる。

 このように、水面下では様々な駆け引きや行動が起こされていた。結果、人質奪還作戦までは誰一人として銃撃などの受傷被害を受けることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 ー鎌府女学院 学生寮某室ー

 

 一触即発の緊張状態が続くなか、各制圧部隊からの情報が真奈美のもとへと寄せられる。今回、ヘリボーンした四部隊に分けての制圧劇だったのだが、折神家に派遣した部隊はある一ヶ所で膠着状態に陥っていた。そう、紫たちがいた離宮だった。他の折神家施設の制圧は完了していたものの、その一ヶ所だけが攻め込むことの出来ない場所となっていた。真奈美としては、他の三部隊が制圧、人質を取ることに成功したため、彼女達の制圧の遅れを責めるようなことは無かったのだが。

 

「折神家の離宮付近に展開する部隊は、まだ手をこまねいているのかしら。」

「一応、釘付けにすることには成功しているようです。ジャミング装置を載せたコンテナが外部との通信を遮断していますから、大よそ計画通りとは言えますね。ただし、スペクトラム計とスペクトラムファインダーには、御刀とノロの反応が出ていますから、容易な突入はできないのでしょう。」

「できれば、折神紫もこちらの制圧下に置きたかったのだけれど、仕方ないわね。…現状維持を続けるように言って。…オペレーション『陽はまた昇る(Rising Sun)』の成功まで、あともう二押しかしら。」

「はい。…女王。人質を抱える三部隊はいかがいたしましょうか。」

「正門や大門を押さえた部隊から補給人員を出しなさい。正門のところは基本的に対空火器と正門に突入しようとする車両を迎撃する部隊だし、ま、多少割いても大丈夫でしょ。」

 

 

 

 

 真奈美率いる『男性排斥運動(ブルー・パージ)』の構成員だが、今回の作戦に関しては真奈美を除いて多くが戦闘のできる構成員で組まれている。その部隊は次の通りだ。

 

 

[ヘリボーン部隊]

 

●四部隊 八十名(各二十名ずつの編成/第一~四部隊という風にナンバリング)

 

<役割>

・急襲と制圧の主力部隊、人質の動きを監視

 

<現状> 

・特別祭祀機動隊本部(第一)、刀剣類管理局本部(第二)、鎌府女学院(第三)を制圧下に置く。

 折神家離宮(第四)は未だ抑えられず、膠着状態に。(折神家の屋敷などは制圧・人員の排除済み)

 

 

[トレーラー部隊]

 

●三部隊 五十名(正門側:二部隊 四十名(第五部隊)、大門*2側:一部隊 十名(第六部隊))

 

<役割>

・正門側:人質奪還や武力行使による刀剣類管理局本部の解放の阻止、正門前通行車両の監視

・大門側:万が一鎌府や本部から脱出した人間を確保・拘束するための展開部隊

 

<現状> 

・正門側:対空機銃やロケットランチャーなどの重火器を展開。トレーラーを障壁にし、敵の侵入を遮断。

・大門側:一時神奈川県警と銃撃戦になりかけるも、火力の上回る第六部隊側が撤退に追い込む。

 

 

 このほか、指揮官の圭(真奈美)や彼女を補佐する高鍋、この二人とは別に非武装の情報工作担当の人間が数人、敷地内で活動中だ。合わせて百五十名弱が、この敷地内での主導権を握っているわけである。

 

 

 

 

 さて、真奈美が事前に計画した作戦プランでは、各本部施設・鎌府女学院の制圧を済ませた後、スムーズに事が運べば、朱音ら刀剣類管理局首脳部への条件提示と受諾までを本筋としていた。そうも行かない場合は、時間制限による期限切れとなった際、人質に取っている男性職員らの射殺ないし火炙りを企図している。受諾の場合ならば、全員の解放と男性職員らの永久追放という形に持っていけるのだが、その時はその時だ。

 組織の外聞的には、潜在的武力行使という形で無血での条件締結がいいに決まっている。だが、ダメそうな場合に関しては、でっち上げた情報操作で刀剣類管理局を悪とすればよい、という風に決めていた。管理局側の人間ではある真奈美だが、世間の風当たりが強いのならばこれを利用しない手はないという方向に考えてからは、いかに相手の虚を突くかという、そのタイミングを見計らっていたのだ。

 多くの関係者から注目を浴びていた彼と、自身を警戒していた同級生の失踪という事態で、刀使などに動揺が広がっていた時の急襲。捜索に多少なりとも人的リソースが割かれていたことで、対応に遅れが出てしまったことは、管理局側からすれば不運でしかなかった。また、派遣されていた刀使の多くが荒魂討伐に向かっていたこともまた、急襲する予定であった真奈美達からすれば運が回ってきた。彼女自身は、本来ならば安全圏である綾小路から遠隔で指示を出す予定だったのだが、軟禁状態に置かれることは想定していなかったため、そこは仕方が無かった。むしろ鎌府で足止めされたことが、結果として部隊の士気を高めることには繋がったようだが。

 

「さっ、てっ、と。本部に飛ばしてるドローンと電波妨害装置はちゃんと機能してるのかしらぁ?」

「無線の特定の周波数帯を外していただいたことで、戦術面のマウントを取り続けることができますからね。充電はまだ持つとは思いますが…。」

「…この調子ならまだまだ大丈夫そうね。ただ、上空から監視のためにヘリを離陸させようにも、燃料が勿体ないしこっちの動きも読まれるから、それは面倒ね…。」

「…あと、三時間ほどですね。タイムリミットまで。」

「そうね。…ふぁ~っ。高鍋、五時になったら起こしてくれる?それまでは少し寝てるわ。」

「監視は私が続けますね、女王。」

「お願いね~。」

 

 余裕しゃくしゃくの真奈美。スーツのジャケットは脱いだものの、ブラウスとスカートは着たまま傍にあるベッドへ眠りに入る。

 高鍋は、室内のテーブル上に展開しているパソコンとタブレット端末を駆使し、各部隊の情報を纏め続けていた。真奈美が起きてきた時に、素早い説明ができるようにするために。

 しかし、その余裕が何時までも続くとは限らないのが戦場の現実である。

 

 

 

 

タイムリミットまで、あと3時間 

 

 

 

 

 

 

 ー神奈川県鎌倉市 由比ガ浜海水浴場ー

 

 朱音達が『男性排斥運動(ブルー・パージ)』側へ行う回答期限まで残り三時間を切った頃、臨時作戦本部ではこの時点までに集めきれた情報を精査していた。そして、その情報を基にした作戦会議が始められる。

 

 この作戦会議の場には、刀使部隊の指揮官として舞衣、早苗、ミルヤの三人も呼ばれていた。特にミルヤは、鎌府、綾小路、長船の三校の刀使を束ねた指揮を執ることになりそうであった。姫乃を中心に、特祭隊の現場指揮者三名、そして里奈と早希も同席する。

 

「…ではまず、『男性排斥運動(ブルー・パージ)』と名乗っている武装集団側の現在の配置を確認します。」

 

 そう言って、姫乃は全体が分かるようテーブル上に表示された、本部周辺の概略図をタブレット端末を用いながら説明する。

 

「最初に、現在判明している武装集団の位置ですが、ヘリポート周辺に集められた人質のところに一グループ、これをまずA群*3とします。次に正門付近にいるグループ、こちらはB群*4と置きます。そして、大門側に展開中のC群*5、ここが神奈川県警と交戦手前までいった部隊です。県警の車両が二台ほど、ロケットランチャーの被害を受けています。」

「…水沢さん、この数はまだ一部に過ぎないんですよね?」

「はい、柳瀬さん。現在、折神家離宮の周辺にも円状に展開している部隊があるようです。これをD群*6とします。あと、本部が寄せてきた情報には、特別祭祀機動隊本部に一グループ(E群*7)、鎌府女学院にもう一グループ(F群*8)、合計で六グループ存在することになります。」

「「ろ、六っ!?」」

「こちらの三原さんの証言では、私達が普段使用しているヘリが侵入に使われたようですので、だいたいの予測値ですが、ここに展開しているのは百名を超える武装集団ということになります。…こうなると、最早軍隊ですね。」

「それで、水沢さん。これ以上に武装集団が潜んでいるって可能性はあるのかな?」

「岩倉さんの疑問は最もですが、恐らく無いでしょう。幸い、本部の有線で繋がれた情報網は遮断されておらず使用できるようですし。美濃関学院の方を中継してもらったうえで、今の本部などの防犯カメラ映像が把握できています。結論から言えば、この六グループを除くと本部にいる戦闘員はほぼいないと考えられます。」

「―仮に我々が奪還に動いたとして、人質に危害が加わる可能性は?」

「木寅さんの質問に答えるのならば、それはあり得ます。ですが、このまま手をこまねいては、どの道人質に危害が加わる可能性が高いです。…死者が出るような事態になる前に、私達も動く必要があります。」

「では、水沢総指揮。我々が人質奪還に動くとして、どのような作戦をお考えか?」

 

 今回、人質奪還作戦全体の指揮を預かる姫乃は、一般の特別祭祀機動隊員からは『総指揮』と呼ばれている。そんな隊員からの声に、姫乃はこう答える。

 

「刀使さんを前面に押し出す、超攻撃的戦術でいくつもりです。」

「刀使を人間との戦闘の矢面に出そうってのか!?―総指揮の考えは正気か!?」

「その前に、無事だった作戦参謀本部の方々と私が考えた作戦案を提示します。一通り説明したうえで、色々とご指摘等お願いします。」

 

 姫乃は、淡々とした表情を浮かべながらも作戦案の説明に移る。

 

 

 

 

「作戦の序盤ですが、刀使さん達を突入させる前に、正門と大門付近にいるB、C群を排除します。」

「排除って、一体どうやって。」

「空のS装備コンテナを使います。」

「……水沢姫乃。まさか貴女、あの時に用いられた戦術を使うつもりですか?」

「はい。―衛藤さんが考案した、折神家強襲作戦の時の改良版です。ただし、今回はコンテナの運動エネルギーと落下時の位置エネルギーを利用して、展開中の武装集団を吹き飛ばします。高度三万mの高高度からの降下なら、向こうの設置している機銃での迎撃も不可能でしょうし。」

「…姫乃さん、それだとクレーターができませんか?」

「落下時の進入角度は市街地の影響が出ないよう、垂直方向から本部側にクレーターができるよう誘導をかけます。今、本部の上空には巡航飛行中の無人航空機(UAV)がいますから、GPSあるいはレーザー誘導もできますし。本来関係のない市街地への被害は、絶対に出すわけにはいきません。それに、他施設へなるべく被害を出さないように今弾道計算をしてもらっているところです。」

(…それなら自衛隊に頼んで、JDAM*9なりLJDAM*10でも貸してもらえばいいのに。)

 

 特祭隊員の一人はこうも思ったものの、そこには姫乃なりの考えがあった。これは後述する。

 

「正門と大門付近を薙ぎ払ったのち、S装備を付けた刀使さん達に突入してもらいます。その後、残存している可能性のある正門や大門付近の武装集団を、機動隊本体で一掃します。」

「姫乃、相手の生死は?」

「なるべくならば生かしてもらいたいところですが、どうしてもやむを得ない場合は正当防衛となりますでしょうから、そこに躊躇はなさらないでください。戸惑えば、刀使さんが死にます。一応、刀使さん達を含めて、全員に小型カメラを付けてもらうように言いますので。それで法的に此方が不利になるようなことは回避していきます。」

「正門の制圧後は、どう動きますか?」

「まず、離宮にいるであろう前局長と特務警備隊の方々を解放します。無人航空機(UAV)からの映像に、ジャミング装置らしきものが映っていましたのでそれを破壊します。破壊できれば前局長達も動き出すと思いますので、現場での連携が重要になります。ここには美濃関の方を回そうと思っていますが、柳瀬さん、それでもよろしいですか?」

「はっ、はい!」

「ありがとうございます。―それと並行して解放するのは、特別祭祀機動隊本部と鎌府女学院です。」

「ヘリポートはいいのか?」

「後でそれも説明させていただきますが、その前に朱音様と真庭本部長、鎌府の生徒達を救出します。指揮系統の正常化と奪還のための戦力を増やす必要がありますから。そこまでやって、ようやくヘリポートです。特祭隊本部は平城の刀使さんが、鎌府のほうは綾小路などの刀使連合で考えています。岩倉さん、木寅さん、よろしいですか?」

「朱音様達の救出、大役を果たしてみせます!」

「骨が折れるでしょうが、やってみましょう。」

「……それで、ヘリポートの人質は一体どうやって奪還するんだ?」

「自衛隊から融通していただいている携帯式地対空誘導弾(SAM)かロケットランチャーで、駐機中の四機のヘリ全てのメインローター部を吹き飛ばします。それを合図に全方向から突入します。」

「「「え!?」」」

「ああ、勿論逃げる手段を失くすっていう目的もありますが、一番大きいのは不意打ちですね。気をそちらに取られている隙に、刀使さんの攻撃と機動隊の麻酔銃による狙撃によって解放、というところでしょうか。取り敢えず、大まかな作戦案はこのあたりでしょうか。私もこの作戦に結構な粗があることは認めていますが、どうか足らない部分などを教えていただければありがたいです。」

 

 と、賛否はともかく、姫乃の作戦案説明は一旦終わる。

 

 

 

 

 姫乃から提示された強硬的な作戦案であるが、残りの不安材料の解消目的の詰め作業は、他の刀使や隊員達との議論へ持ち越されることになった。

 人質奪還の作戦案が明かされ、いよいよ、彼女達の反撃の時が迫りつつあった。

 

 

 

 

タイムリミットまで、あと2時間20分 

*1
鎌府女学院の播つぐみ(とじともサポメン/プレイアブル化済み)のこと。

*2
鎌府側にある、鳥居の連続する門。(アニメでは舞衣・沙耶香と結芽とが対決したであろう場所。)夜間の大門は車両の通り抜けこそできないものの、人は普通に往来ができるため。

*3
『男性排斥運動』側の第二部隊のこと。

*4
『男性排斥運動』側の第五部隊のこと。

*5
『男性排斥運動』側の第六部隊のこと。

*6
『男性排斥運動』側の第四部隊のこと。

*7
『男性排斥運動』側の第一部隊のこと。

*8
『男性排斥運動』側の第三部隊のこと。

*9
Joint Direct Attack Munitionの頭文字より:統合直接攻撃弾のこと。無誘導爆弾に精密誘導能力を付加した装置のシリーズ名。航空自衛隊も導入している。

*10
Laser Joint Direct Attack Munitionの頭文字より:統合直接攻撃弾のレーザー誘導版。




ご拝読いただき、ありがとうございます。

姫乃が組んだ具体的な作戦プランは記述した通りです。
作戦の穴は、次の話で話し合いながら埋めていきます。
ちなみに今回、姫乃が指揮を執ることになった理由としては、

①刀剣類管理局本部や特祭隊本部といった指揮系統の中枢が制圧・占拠されたこと。(上層部の機能不全)
 また、相手側の制限時間の短さから首都圏周辺での即応可能な部隊が限られていたこと。先述のとおり、どう頑張ってもタイムリミットまでには他の伍箇伝各校からの増援が間に合わないため。
(特に今回のような場合、現場との調整なしのぶっつけ本番が非常に危険な事態を引き起こしかねないため。)

②たまたま鎌倉を離れていた部隊の人間のなかで、最も指揮権が高く、かつ大規模な部隊運用にも習熟している人間であること。

③管理局内部や舞草などのあらゆる利害関係から離れた部署と人間であり、作戦の全責任を負う覚悟ができている者であること。
(作戦行動いかんによっては身内側に死傷者が出る恐れがあるため、その泥を被る覚悟が問われた。)

というような条件等を経て、最終的にそれを引き受けたのが彼女であったというわけです。
…誰かの背中を追っていたらその誰か以上の作戦を引き受けることになるとは、彼女自身もこの時までは思ってもみなかったことでしょうが。


なお、真奈美の名付けた作戦名『陽はまた昇る(Rising Sun)』ですが、かつての某思想家が雑誌の発刊時に寄せた有名な辞の題を、彼女が発展的に解釈したうえで採っています。(但し、その解釈が「正しいもの」とは言ってない)
…とはいえ、武力で得られたもので良かったことって、日本史ではあまり多くは無いような気が。(個人的な意見です。)

それでは、また。
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